(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】フェーズドアレイアンテナ用の無線周波数回路
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20241206BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241206BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
(21)【出願番号】P 2023101735
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523225520
【氏名又は名称】トロン フューチャー テック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ワン チエン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン リー ハン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユー-ジウ
(72)【発明者】
【氏名】チュー ター-シュン
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-505108(JP,A)
【文献】特開2021-114753(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158810(WO,A1)
【文献】特開平09-237867(JP,A)
【文献】特表2019-535182(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0060164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0045955(US,A1)
【文献】国際公開第2020/027058(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0126366(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0021031(US,A1)
【文献】特開2021-016154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0359415(US,A1)
【文献】特開2013-058887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
H01Q 21/06
H01Q 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムであって、
複数のアンテナと、
複数の無線周波数(RF)出力信号をRF信号に従って前記アンテナに提供するために、行に編成され、前記アンテナに結合された、複数のRFチップと、
前記行と平行に直線状に編成され、前記RFチップに接続される伝送線と、
前記伝送線の第一の端部に結合された抵抗負荷と、
を備え、
前記伝送線の第二の端部は、前記RF信号を受信するように編成さ
れ、
前記RFチップのそれぞれは、
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタと、
コンデンサと、
を備え、
前記金属酸化膜半導体電界効果トランジスタは、直列接続された前記コンデンサを介して前記伝送線に接続される入力端子として機能するゲート端子を有し、
対応するRFチップの前記ゲート端子から見た第一のインピーダンスは、前記伝送線に接続された対応する入力端子から前記伝送線を見た第二のインピーダンスよりも10倍大きい、無線通信システム。
【請求項2】
前記RFチップは、前記第一の端部と前記第二の端部との間に均等に分散して編成され、前記伝送線に接続する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記RFチップのそれぞれは、前記伝送線の対応する接続端子上の電圧信号を結合することによって、前記RF信号を受信するように編成される、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記RFチップのそれぞれは、第一のダイオードおよび第二のダイオードを含み、
前記第一のダイオードおよび前記第二のダイオードのそれぞれは、前記ゲート端子および前記コンデンサに接続された端子を含む、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
複数の分岐伝送線であって、各分岐伝送線が対応するRFチップのゲート端子と前記伝送線との間に結合される、複数の分岐伝送線
をさらに備える、請求項
1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第一のダイオードおよび前記第二のダイオードは、逆バイアス構成で配置される、請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
第一の表面と、前記第一の表面とは反対側の第二の表面とを有する基板
をさらに備え、
前記アンテナは前記第一の表面の上に配置され、前記複数のRFチップ及び前記伝送線は前記第二の表面の上に配置される、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記基板は、透明である、請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記基板は、ガラス、溶融シリカ、又は石英で形成される、請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記RFチップは、前記基板を介して前記RF信号を前記アンテナに結合するように構成され、前記基板は、前記RFチップと前記アンテナとの間に導電素子が存在しない、請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記RFチップに接続され、前記RF信号の較正データを提供するように構成された複数の信号線をさらに備える、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記較正データは、振幅較正データ及び位相較正データのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記位相較正データは、前記アンテナのフェーズドアレイアンテナ方式に対する前記RFチップのそれぞれの位相遅延を提供する、請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項14】
無線通信システムであって、
複数のアンテナと、
前記アンテナから複数の無線周波数(RF)信号を受信して複数のRF出力信号を出力するために、行に編成され、前記アンテナに結合された、複数のRFチップと、
前記行と平行に直線状に編成され、前記RF出力信号を受信するために前記RFチップに接続される伝送線と、
前記伝送線の第一の端部に結合された抵抗負荷と、
を備え、
前記伝送線の第二の端部は、前記RF出力信号の累積RF出力信号を出力するように編成さ
れ、
前記RFチップのそれぞれは、
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタと、
コンデンサと、
を備え、
前記金属酸化膜半導体電界効果トランジスタは、直列接続された前記コンデンサを介して前記伝送線に接続される出力端子として機能するドレイン端子を有し、
対応するRFチップの前記ドレイン端子から見た第一のインピーダンスは、前記伝送線に接続された対応する出力端子から前記伝送線を見た第二のインピーダンスよりも10倍大きい、無線通信システム。
【請求項15】
前記RFチップは、前記伝送線に接続するために、前記第一の端部と前記第二の端部との間に均等に分配されるように編成される、請求項14に記載の無線通信システム。
【請求項16】
前記RF出力信号のそれぞれは、対応するRFチップから前記伝送線上の対応する接続端子に供給される電流信号である、請求項14に記載の無線通信システム。
【請求項17】
前記RFチップのそれぞれは、第一のダイオードおよび第二のダイオードを含み、
前記第一のダイオードおよび前記第二のダイオードのそれぞれは、前記ドレイン端子および前記コンデンサに接続された端子を含む、請求項14に記載の無線通信システム。
【請求項18】
複数の分岐伝送線であって、各分岐伝送線が対応するRFチップのゲート端子と前記伝送線との間に結合される、複数の分岐伝送線
をさらに備える、請求項
14に記載の無線通信システム。
【請求項19】
前記第一のダイオードおよび前記第二のダイオードは、逆バイアス構成で配置される、請求項17に記載の無線通信システム。
【請求項20】
第一の表面と、前記第一の表面とは反対側の第二の表面とを有する基板
をさらに備え、
前記アンテナは前記第一の表面の上に配置され、前記複数のRFチップ及び前記伝送線は前記第二の表面の上に配置される、請求項14に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張及び相互参照)
本出願は、2022年6月24日に出願された米国仮出願第63/367,030号、及び2022年12月14日に出願された米国非仮出願第18/065,934号の優先権を主張し、これらの開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フェーズドアレイアンテナ用の無線周波数回路に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の無線通信技術において、フェーズドアレイアンテナ技術は、従来のアンテナ技術と比較して、高利得、高信頼性、ビームステアリング能力等の利点があるため、多くの注目を浴びている。フェーズドアレイアンテナ技術は、アンテナ間隔を適切に管理して編成されたアンテナのアレイを採用するため、アレイアンテナが配置される基板面積は、従来の非アレイアンテナに比べて、はるかに大きい。基板の平面性は、許容できるコストで大規模なアンテナアレイを開発するための重要な課題の一つである。一方、アンテナアレイの信号処理性能を向上させるためには、回路密度が高く、消費電力が少ない高周波回路が必要である。そのため、フェーズドアレイアンテナの新しいアーキテクチャを開発して、基板の問題を解決することで、RF回路とアンテナを低コストで高性能に形成できるようにする必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、複数のアンテナと、RF信号に従って複数の無線周波数(RF)出力信号をアンテナに提供するために、行に配置され、アンテナに結合された複数のRFチップと、を含む、無線通信システムを提案する。無線通信システムは、また、行と平行に直線状に編成され、RFチップに接続される伝送線と、伝送線の第一の端部に結合された抵抗負荷と、を含む。伝送線の第二の端部は、RF信号を受信するように編成される。
【0005】
本開示の実施形態によれば、無線通信システムは、複数のアンテナと、行に編成され、アンテナに結合され、アンテナから複数の無線周波数(RF)信号を受信して複数のRF出力信号を出力するための複数のRFチップと、行と平行に直線状に編成され、RF出力信号を受信するためにRFチップに接続される伝送線と、伝送線の第一の端部に結合された抵抗負荷と、を含む。伝送線の第二の端部は、RF出力信号の累積RF出力信号を出力するように編成される。
【0006】
提案されたフェーズドアレイアンテナ及びRFチップの編成を通じて、送信機及び受信機は、より安価に製造することができ、より少ない電力で動作することができる。また、装置の信頼性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の態様は、添付の図と一緒に読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。当業界の標準的な慣行に従って、様々な特徴は、縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、様々な特徴の寸法は、議論を明確にするために、任意に大きく、又は小さくすることがある。
【0008】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、次世代通信シナリオにおける無線通信システムを示す概略図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、ユーザ装置の送信機又は受信機の概略透視図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による、
図2Aに示す送信機又は受信機の一部の拡大図である。
【
図2C】いくつかの実施形態による、
図2Bに示す送信機又は受信機の概略断面図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、送信機の概略ブロック図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、
図3Aに示す送信機の送信機アレイの概略ブロック図である。
【
図3C】いくつかの実施形態による、
図3Bに示す送信機アレイの送信機ブロックの概略ブロック図である。
【
図3D】いくつかの実施形態による、
図3Cに示すRFチップの概略ブロック図及びRFチップの入力の等価回路を示す。
【
図4A】いくつかの実施形態による、受信機の概略ブロック図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、
図4Aに示す受信機の受信機アレイの概略ブロック図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、
図4Bに示す受信機アレイの受信機ブロックの概略ブロック図である。
【
図4D】いくつかの実施形態による、
図4Cに示すRFチップの概略ブロック図及びRFチップの入力の等価回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態又は例を提供する。本開示を簡略化するために、構成要素及び配置の具体例を以下で説明する。当然、これらは単なる例であり、限定を意図するものではない。例えば、以下の説明において、第二の特徴の全体に、又はその上に第一の特徴を形成することは、第一及び第二の特徴が直接接触して形成される実施形態を含んでもよいし、また第一及び第二の特徴が直接接触し得ないように、第一及び第二の特徴の間に追加の特徴を形成し得る実施形態を含んでもよい。さらに、本開示では、様々な例において、参照番号及び/又は文字を繰り返すこともある。この繰り返しは、単純化及び明確化のためであり、それ自体では、議論される様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を指示するものではない。
【0010】
さらに、「下方に」、「下に」、「下部」、「上方に」、「上部」等の空間的に相対的な用語は、本明細書では、説明を容易にするために、図面に示すように、1つの要素又は特徴について、別の要素又は特徴に対する関係を説明するために使用することがある。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することを意図している。装置は、別の向きを向いていてもよく(90°回転していても、他の向きにあってくよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様に、それに応じて解釈されてもよい。
【0011】
本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示す数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれのテスト測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。また、本明細書で使用される場合、「約」、「実質的な」、又は「実質的に」という用語は、一般に、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%以内を意味する。あるいは、「約」、「実質的な」、及び「実質的に」という用語は、当業者が考慮した場合に、平均の許容可能な標準誤差内を意味する。操作例/動作例以外、又は特に断りのない限り、材料の量、持続時間、温度、操作条件、量の比率等の数値範囲、量、値及び百分率の全ては、本明細書に開示されるそれらの用語は、全ての場合において、「約」、「実質的な」、又は「実質的に」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲に提示される数値パラメータは、所望に応じて変化し得る近似である。少なくとも、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、通常の丸め技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。範囲は、本明細書では、1つのエンドポイントから別のエンドポイントまで、すなわち、2つのエンドポイントの間として表すことができる。本明細書に開示される全ての範囲は、特に明記しない限り、エンドポイントを含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「接続された」という用語は、「電気的に接続された」と解釈されることがあり、また「結合された」という用語も、「電気的に結合された」と解釈されることがある。「接続された」及び「結合された」は、2つ以上の要素が相互に協働又は相互作用することを示すために使用されることもある。
【0013】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、次世代通信シナリオにおける無線通信システム10を示す概略図である。無線通信システム10は、1つ以上のユーザ装置12、14、16、18と、地上基地局22と、非地上基地局24とを含む。いくつかの実施形態では、ユーザ装置12、14は、人間によって運ばれ、動かされ、ハンドヘルド装置と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ユーザ装置16は、自動車、電車等の陸上を移動する車両に装備されるモバイル装置である。いくつかの実施形態では、ユーザ装置18は、海、川等を移動する船舶に装備されたユーザ装置である。
【0014】
いくつかの実施形態では、地上基地局22は、セルラー通信ネットワーク等の通信ネットワークに配備される基地局の一例である。地上基地局22は、ユーザ装置12、14及び16に通信ネットワークを提供するように構成され、ユーザ装置12、14及び16は、複数の地上基地局22によって確立されたネットワークを通じて互いの間で情報を送信又は受信できる。地上基地局22は、低高度プラットフォームとも呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、非地上基地局24は、通信衛星ネットワークに配備される通信衛星の一例である。非地上基地局24は、ユーザ装置12、14、16及び18に通信ネットワークを提供するように構成され、ユーザ装置12、14、16及び18は、衛星ネットワークを介して互いの間で情報を送信又は受信できる。複数の地上基地局22と複数の非地上基地局24は、相互にリンクして複合通信ネットワークを形成することができ、この場合、低高度の場所、高高度の場所、又は地上基地局22のネットワークによってカバーされていない場所のいずれに位置していても、世界中のユーザ装置をカバーするグローバル通信ネットワークを実現することができる。
【0015】
無線通信システム10によって例示されるグローバル通信ネットワークの目標を達成するために、ユーザ装置12、14、16又は18は、高空に位置する非地上基地局24と通信するために、より大きな通信能力を有する送信機又は受信機を含むように設計し直す必要があるかもしれない。様々な送信機又は受信機の設計の中で、フェーズドアレイアンテナ技術は、より高い信頼性で送信又は受信利得を大幅に増加させることができ、衛星通信に適したビームフォーミング技術を実現するための有望な解決策である。
【0016】
図2Aは、いくつかの実施形態による、
図1に示すユーザ装置12、14、16又は18の送信機100の概略透視図である。いくつかの実施形態では、送信機100は、RF送信機である。いくつかの実施形態では、送信機100は、制御回路基板110と、RF回路基板120と、RF回路基板120を制御回路基板110に電気的に接続する接続回路基板130と、を含む。さらに、RF回路基板120は、RF回路基板120の基板上に形成されたアンテナパッチ等のアンテナ素子140のアレイで形成されたアンテナアレイを含む。いくつかの実施形態では、送信機100は、地上基地局22又は非地上基地局24に適用可能である。
【0017】
いくつかの実施形態では、制御回路基板110は、プリント回路基板(PCB)であり、複数の回路チップ及び配線が形成されている基板を含む。いくつかの実施形態では、制御回路基板110は、1つ以上の半導体ダイ、例えば、制御回路基板110の表面に装着された半導体ダイ150を含む。制御回路基板110の基板は、金属(例えば、銅)箔を有するエポキシ樹脂で形成されてもよい。制御回路基板110は、制御信号及びデータ信号を生成し、接続回路基板130を介して、これらの信号をRF回路基板120に供給するように構成される。データ信号は、所定の周波数、例えば、455kHzの中間周波数(IF)の変調キャリアによって変調されたベースバンド信号又はIF信号であってもよい。いくつかの実施形態では、制御回路基板110は、第一の電圧電位を第二の電圧電位に変換し、適切な電源電圧をRF回路基板120に伝送するように構成される。いくつかの実施形態では、接続回路基板130は、可撓性又は非可撓性の基板を含み、電源電圧、制御信号及びIFデータ信号をRF回路基板120に伝送するように構成された複数の伝送線を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ユーザ装置12、14、16、及び18は、送信機100とともに機能して双方向通信を達成する受信機(別途、図示せず)も有する。
図2Aに示す送信機100の構成は、受信機101(
図4A参照)にも適用することができ、この受信機101も、制御回路基板111と、RF回路基板121と、送信機100と同様の方法で相互接続される接続回路基板130と、を有する。ユーザ装置12、14、16、及び18は、送信機100と受信機101との両方を含んで、無線通信システムを形成してもよい。送信機100と受信機101との相違点については、後述する。
【0019】
図2Bは、いくつかの実施形態による、
図2Aに示すRF回路基板120の一部分A1の拡大図である。
図2Bに示すRF回路基板120の垂直方向(正のZ軸)は、
図2Aに関して逆であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、RF回路基板120は、基板202と、基板202の上に編成された相互接続構造204と、を含む。相互接続構造204は、上面を有し、基板202は、下面を有する。いくつかの実施形態では、アンテナ素子206のアレイが基板202の下面に形成され、複数のRFチップ208が相互接続構造204の上面に編成される。RFチップ208は、複数の導電線210を介して相互接続されてもよい。いくつかの実施形態では、導電線210は、電気絶縁材料によってカプセル化されてもよいし、相互接続構造204の表面を介して露出してもよい。いくつかの実施形態では、送信機100のアンテナのアレイは、パッチアンテナ構造を含み、アンテナ素子206は、それぞれのアンテナ構造のアンテナパッチである。
【0020】
図2Cは、いくつかの実施形態による、
図2Bに示すRF回路基板120の概略断面図である。
図2Cに示す概略断面図は、
図2Bの断面線AAから取られる。
図2Cを参照すると、基板202は、ガラス、溶融シリカ、酸化ケイ素、石英等の透明材料で形成されている。いくつかの実施形態では、基板202は、アンテナ素子206を、相互接続構造204又はRFチップ208の電子回路から分離する。いくつかの実施形態では、RF信号は、基板202の上側に形成されたRFチップ208から、相互接続構造204に形成されたRF回路を介して伝送され、透明基板202を横切って放射され、基板202の下側に形成されたアンテナ素子206に結合される。いくつかの実施形態では、基板202の厚さは、アンテナ素子206の動作周波数に基づいて決定される。基板202の材料はRF信号に対して透明であるため、基板202は、相互接続構造204をアンテナ素子206に接続するための導電性部材がなくてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、相互接続構造204は、スタック内の複数のメタライゼーション層で形成されている。メタライゼーション層は、パターン化された導電線又は導電ビアを含み、これらのパターン化された導電ライン及びビアは、相互接続経路及びアンテナの他の部分を形成するためにパターン化されるか、あるいは電気的に相互接続される。例えば、基板202上に形成された第一のメタライゼーション層は、第一の導電線又はパッド222Aを含む。第一の導電線又はパッド222Aは、接地板として使用されてもよく、残りの空間は、RF信号をアンテナ素子206に結合するためのアパーチャとして形成されてもよい。第二のメタライゼーション層は、第一のメタライゼーション層上に形成され、例示の第一の導電ビア224Aを含む、第一の導電ビアを含む。同様に、第三のメタライゼーション層は、第二のメタライゼーション層の上に形成され、第二の導電線又はパッド222Bを含み、第四のメタライゼーション層は、第三のメタライゼーション層の上に形成され、例示の第二の導電ビア224Bを含む、複数の第二の導電ビアを含む。第二の導電線は、電力線又は信号伝送線を形成するために、パターン化されてもよい。第五のメタライゼーション層は、第四のメタライゼーション層の上に形成され、第三の導電線222Cを含む。第三の導電線222Cは、RFチップ208の間でRF信号又は制御信号を通信するための伝送線を形成するようにパターン化されてもよい。いくつかの実施形態では、導電線222A、222B、222Cは、導電ビア224A、224Bを介して相互接続される。いくつかの実施形態では、複数の導電線210が第六のメタライゼーション層の上に編成され、導電線222CをRFチップ208に電気的に接続する。
【0022】
いくつかの実施形態では、導電線222A、222B、222C及び210、並びに導電ビア224A及び224Bは、銅、タングステン、アルミニウム、チタン、タンタル、これらの合金等の導電性材料で形成される。導電線222A、222B、222C、及び導電ビア224A、224Bは、さらに、ポリマーベースの材料、例えば、ポリイミド又はエポキシ樹脂等の絶縁材料226A、226B又は226Cによって電気的に絶縁される。
【0023】
図3Aは、いくつかの実施形態による、
図2Aに示す送信機100の概略ブロック図である。
図2A及び
図3Aを参照すると、いくつかの実施形態では、制御回路基板110は、電力変換モジュール312、メモリモジュール314、コントローラ316、局部発振器モジュール318及びデータ処理モジュール322を含む。制御回路基板110は、電源電圧VD、IFデータ信号IF_in、基準周波数信号LO、及び制御信号(較正データDin、データクロック信号CLK、及び同期クロック信号SYNCを含む)を、接続回路基板130の両側の入出力ポート及び接続回路基板130の信号線を通じてRF回路基板120に提供するように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、電力変換モジュール312は、制御回路基板110の外部の電源電圧源302から入力電力を受信するように構成される。電力変換モジュール312は、電源電圧源302の初期電源電圧(例えば110V)を、RF回路基板120の構成要素のための電源電圧VD(例えば、5V又は1.2V)に変換するように構成された電圧変換器を含んでもよい。電力変換モジュール312は、メモリモジュール314、コントローラ316、局部発振器モジュール318及びデータ処理モジュール322等、制御回路基板110の他の構成要素に電力をさらに供給してもよい。いくつかの実施形態では、電力変換モジュール312は、電源電圧VDを供給するための電圧変換器を含む。いくつかの実施形態では、電力変換モジュール312は、干渉をフィルタリングするための電磁干渉フィルタをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、メモリモジュール314は、コントローラ316及びデータ処理モジュール322によってアクセス可能なデータ及びコマンド、例えば、送信データを格納するように構成される。メモリモジュール314は、異なるタイプのメモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ等を含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、コントローラ316は、IF変調キャリアによって送信データを変調することによって、IFデータ信号IF_inを生成するように構成される。送信データは、データ処理モジュール322によって提供されてもよい。IFデータ信号IF_inは、RF回路基板120によってRF信号RF_inとなるようにアップコンバージョンされることになる。
【0027】
いくつかの実施形態では、コントローラ316は、較正データDin、データクロック信号CLK、及び同期クロック信号SYNC等のRF信号の較正のための制御信号を生成するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、較正データDinは、送信データ又はコマンドに従って、RF信号RF_inの振幅又は位相を較正するために使用される。較正データは、振幅較正データもしくは位相較正データ、又はその両方を含んでもよい。いくつかの実施形態では、データクロック信号CLKは、RF回路基板120の構成要素内のレジスタに汎用クロックを提供するために使用される。データクロック信号CLKの周波数は、RF回路基板120内のデジタルデータ処理の作業周波数を表してもよい。いくつかの実施形態では、同期クロック信号SYNCは、異なるステージのレジスタのいくつかに対して、同じクロック時間で較正データを出力するためのクロックを提供するために使用される。同期クロック信号SYNCは、較正データの更新レートを表してもよい。いくつかの実施形態では、制御信号は、デジタル形式を含むので、デジタル制御信号とも呼ばれる。
【0028】
局部発振器モジュール318は、IF信号IF_inとRF信号RF_inとの間のアップコンバージョン又はダウンコンバージョンのための基準周波数信号FRを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、局部発振器モジュール318は、所定の周波数の基準周波数信号FRを生成するように構成された水晶発振器を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、データ処理モジュール322は、制御回路基板110の外部の制御ユニット304から入力データ又はコマンドを受信するように構成される。データ処理モジュール322は、またコントローラ316によって提供される出力データを送信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、データ処理モジュール322は、伝送プロトコルの下でデータ又はコマンドを受信又は伝送するように構成されたネットワークインターフェース回路を含む。データ処理モジュール322は、入力データから送信データ又は制御信号を抽出するように構成されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、RF回路基板120は、一対のRF信号生成経路、一対の電力分割器ネットワーク342、及び2列の送信機アレイ300を含む。各RF信号生成経路は、IF信号受信機332、位相同期ループモジュール334、増幅器335及び338、並びにミキサ336を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、電力分割器ネットワーク342のそれぞれは、対応するミキサ336の出力に接続され、RF信号RF_inを各RFチップ208(
図3C参照)に送達するように構成される。いくつかの実施形態では、電力分割器ネットワーク342は、ツリー構造又はバイナリ構造で接続された複数の電力分割器344から形成される多段電力分割器ネットワークである。いくつかの実施形態では、電力分割器ネットワーク342は、2つの段K
1及びK
2を含み、段K
1又はK
2の各電力分割器344は、RF信号RF_inの電力を電力分割器344の2つの出力に実質的に等しく分配するように構成される。段K
2の電力分割器344の各出力は、対応する送信機アレイ300に接続される。いくつかの実施形態では、左側電力分割器ネットワーク342及び右側電力分割器ネットワーク342は、左側電力分割器ネットワーク342と右側電力分割器ネットワーク342との間の中心線について対称に編成される。いくつかの実施形態では、送信機アレイ300の左側列と送信機アレイ300の右側列とは、送信機アレイ300の左側列と右側列との間の中心線について対称に編成される。いくつかの実施形態では、電力分割器344は、受信機アーキテクチャにおける電力結合器としても使用することができ、ここで、電力分割器344の入力端子と出力端子は、電力結合器の出力端子と入力端子に反転している。
【0032】
いくつかの実施形態では、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCを含む制御信号は、バス又は複数の信号線を介して送信機アレイ300のそれぞれに提供される。いくつかの実施形態では、描かれている実施形態は、2段の電力分割器ネットワーク342のみを示している。しかしながら、2つより多くの段数又は少ない段数を有する電力分割器ネットワーク342も、他の実施形態における送信機100に適用可能である。いくつかの実施形態では、描かれている実施形態は、送信機アレイ300の1つの列における4つの送信機アレイ300のみを示している。しかしながら、アレイの送信機アレイ300を4つより多くすることも、少なくすることも、他の実施形態における送信機100に適用することができ、送信機アレイ300の数は、電力分割器ネットワーク342の段数に合わせて調整される。
【0033】
いくつかの実施形態では、IF信号受信機332は、接続回路基板130からIFデータ信号IF_inを受信するように構成される。位相同期ループモジュール334は、位相同期ループを介して基準周波数FRに基づいて、局部発振器信号LOを生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、局部発振器信号LOは、増幅器335を介して増幅される。いくつかの実施形態では、増幅器335は、オペアンプである。ミキサ336は、IF信号IF_inを、所定の動作周波数、例えば、18GHz、28GHz、又は他の好適な周波数のRF信号RF_inにアップコンバージョンするように構成される。いくつかの実施形態では、RF信号RF_inは、増幅器338を介して増幅される。いくつかの実施形態では、増幅器338は、オペアンプである。いくつかの実施形態では、位相同期ループ制御信号等のより多くの制御信号が、制御回路基板110から位相同期ループモジュール334に提供される。
【0034】
図3Bは、いくつかの実施形態による、
図3Aに示す送信機100の送信機アレイ300の概略ブロック図である。いくつかの実施形態では、送信機アレイ300は、別の電力分割器ネットワーク346と、複数の送信機ブロック310とを含む。いくつかの実施形態では、電力分割器ネットワーク346は、電力分割器ネットワーク342と組み合わされた電力分割器ネットワークを形成し、その中で、電力分割器ネットワーク346の最終段K
Nの電力分割器344は、対応する送信機ブロック310に接続される。いくつかの実施形態では、電力分割器ネットワーク346は、N-2個の段を含み、各段の各電力分割器344は、入力端子におけるRF信号RF_inの電力を電力分割器344の2つの出力端子に実質的に等しく分配するように構成される。いくつかの実施形態では、電源電圧VD及び制御信号Din、CLK、SYNCも、バス又は複数の信号線を介して送信機ブロック310のそれぞれに提供される。
【0035】
図3Cは、いくつかの実施形態による、
図3Bに示す送信機アレイ300の送信機ブロック310の概略ブロック図である。いくつかの実施形態では、送信機ブロック310は、RFチップ208の行と、RFチップ208の行に対応するアンテナ給電線212の行とで形成される。いくつかの実施形態では、
図2Bを参照して前述したように、RFチップ208は、それぞれ個々のRF回路を含み、RF回路208とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、RFチップ208は、送信機(TX)RFチップとして構成される。いくつかの実施形態では、電源電圧VDが提供され、RFチップ208のそれぞれに送信される。さらに、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCを含む制御信号が、1つ以上の信号線を介して各RFチップ208に供給される。いくつかの実施形態では、RF信号RF_inも、伝送線220を介して各RFチップ208に供給される。
図2B及び
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、RF信号RF_inは、伝送線220、RFチップ208(RF信号RF_outとして出力)、給電線212及び基板202を介してアンテナパッチ206に伝送され、アンテナパッチ206によって外側に放射される。
【0036】
RFチップ208は、較正データDinに従ってRF信号RF_inの較正が行われた後、較正されたRF信号をRF出力信号RF_outとして生成するように構成される。いくつかの実施形態では、較正の更新レートは、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCによって制御される。いくつかの実施形態では、RFチップ208は、それぞれのRF信号RF_in、電源電圧VD、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCのための入力ポートを含む。いくつかの実施形態では、RFチップ208は、それぞれの較正データDoutと、RF出力信号RF_outの2つの分岐(すなわち、RFコンポーネント信号RF_out_I及びRF_out_Q)のための出力ポートを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、RF出力信号RF_outは、水平(H)偏波成分及び垂直(V)偏波成分にそれぞれ対応する同相成分RF_out_I及び直交成分RF_out_Qから形成される。別個の成分RF_out_I及びRF_out_Qは、同相成分RF_out_I及び直交成分RF_out_Qを表し、互いに直交している。RF出力信号の別個の直交成分は、RF信号RF_in又はRF出力信号RF_outの較正を支援してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCは、RFチップ208のそれぞれのデータクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCの入力ポートにそれぞれ供給される。いくつかの実施形態では、較正データDinは、信号線を介して較正データDinの入力ポートから第一の(最も左の)RFチップ208に送信され、第一のRFチップ208は、第一のRFチップ208の出力ポートDoutから、別の信号線を介して、第一のRFチップ20に隣接する第二のRFチップ20に較正データDinを中継する。その後、較正データDinは、第三のRFチップ208の較正データDinの入力ポートDinに送信される。その結果、較正データDinは、最後(最も右)のRFチップ208まで、カスケード接続されたRFチップ208の入力ポート及び出力ポートを介して伝送される。データ読み出しタイミングは、データクロック信号CLK及び同期信号SYNCによって制御されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、送信機ブロック310は、第一の端部、すなわち、送信機ブロック310の入力ポートと、伝送線220の第二の端部との間に伝送線220を含む。いくつかの実施形態では、伝送線220の第二の端部は、抵抗負荷372を介して接地される。いくつかの実施形態では、伝送線220は、直線、又は異なる方向に延びる複数の線分を含む線である。いくつかの実施形態では、伝送線220は、RFチップ208の行に平行である。抵抗負荷372は、抵抗器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、抵抗負荷372の抵抗は、信号反射を排除するために、伝送線220のインピーダンスと整合するように決定される。いくつかの実施形態では、抵抗負荷372は、約50Ωの抵抗を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、RF信号RF_inは、伝送線220の第一の端部から第二の端部まで伝搬される。いくつかの実施形態では、フェーズドアレイアンテナ構成において、隣接するアンテナ給電線212は、所定のアンテナ間隔だけ離間される。アンテナ間隔は、RF信号RF_inの波長に関連することがある。さらに、個々のアンテナ給電線212によって送信されるRF出力信号RF_out_I及びRF_out_Qは、指向性RF信号ビームを集合的に構築するために、較正データDinの位相調整データに従って適切な位相遅延で変調される必要がある。したがって、RF出力成分信号RF_out_I及びRF_out_Qのそれぞれは、アンテナアレイ内の位置等の1つ以上の設計基準に従って位相変調される。
【0041】
いくつかの実施形態では、RFチップ208は、相互接続構造204上に任意に編成されない場合がある。いくつかの実施形態では、同じ送信機ブロック310内のRFチップ208の行は、伝送線220の異なる場所Diで伝送線220の接続端子に接続され、インデックスiは送信機ブロック310内のi番目のRFチップ208を表し、1<i≦L、Lは1より大きい任意の整数であり得る。いくつかの実施形態では、数Lは、2~8の範囲にある。場所Diは、所定の距離だけ離間している。いくつかの実施形態では、RFチップ208は、伝送線220の第一の端部と第二の端部との間に等しく分布している。単一の伝送線220を使用する送信機ブロック310におけるRFチップ208の信号供給型は、「直列給電」信号供給方法と呼ばれる。RF信号RF_inは、伝送線220の異なる場所D1、D2、…、D7、…、DLの間で位相差を有してもよい。異なる場所D1~DLによって引き起こされる望ましくない位相遅延は、同時に較正データDinの位相調整データによって対処され、補償されてもよい。その結果、追加コストを支払うことなく、フェーズドアレイアンテナの位相不正確性の問題を解決することができる。
【0042】
同相RF信号RF_out_I及び直交RF信号RF_out_Qは、アンテナパッチ206に結合され、合成され、アンテナパッチ206を介して外側に放射される。同相RF信号RF_out_I及び直交RF信号RF_out_Qに基づく合成RF信号RF_outは、円偏波RF信号RF_outをもたらす。いくつかの実施形態では、合成されたRF信号RF_outは、直交RF信号RF_out_Qに対する同相RF信号RF_out_Iの位相の順序に依存して、右側の円偏波RF信号又は左側の円偏波信号となる。いくつかの実施形態では、RF信号出力RF_outの理想的な円偏波は、同相RF信号RF_out_Iと直交RF信号RF_out_Qとの間の等しい振幅及び90°の正確な位相差によって達成されるので、較正データDinの有効性は、重要な役割を果たす。いくつかの実施形態では、同相RF信号RF_out_I及び直交RF信号RF_out_Qは、アンテナパッチ206に伝送される前に分割され、振幅較正及び位相較正に独立して付される。さらに、いくつかの実施形態では、同相RF信号RF_out_I及び直交RF信号RF_out_Qは、アンテナパッチ206から受信され、それらが合成されてRFチップ208から送信される前に、RFチップ208において振幅較正及び位相較正に独立して付される。したがって、較正タスクは、複雑な較正回路なしに、容易に達成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、RFチップ208は、高インピーダンスを有する入力端子又は入力ポートを含むように設計される。例えば、伝送線220からRFチップ208の入力端子208A又は入力ポートを介してRFチップ208に見られるRFチップ208の入力インピーダンスRinは、比較的高く、例えば、約100kΩより大きく、500kΩより大きく、又は1000kΩより大きい。
【0044】
図3Dは、いくつかの実施形態による、
図3Cに示すRFチップ208の概略ブロック図を左のサブ図で示す。いくつかの実施形態では、RFチップ208の入力ポート208Aは、電界効果トランジスタ(FET)M1、例えば、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)に接続され、そこでは、ゲート端子M1G又はゲート電極が分岐伝送線221を介して伝送線220に接続されている。いくつかの実施形態では、MOSFET M1は、キャパシタCp1を介してRFチップ208の入力ポート208Aに接続される。いくつかの実施形態では、キャパシタCp1は、ゲート端子M1Gで、RFチップ208のダイオードD11及びD12に接続される。
図3Dの右のサブ図を参照すると、左のサブ図に示された入力ポート208Aに接続されたRFチップ208の回路は、入力抵抗Rpと並列接続されたキャパシタCpの形成される等価回路によって表すことができる。いくつかの実施形態では、RFチップ208のゲート端子M1Gから見たRFチップ208の入力抵抗Rp(又はRin)又は入力インピーダンスは、伝送線220に接続された入力端子208Aから伝送線220を見たインピーダンスの実質的に10倍に等しいか、あるいはそれ以上であり、例えば、約500Ω以上である。いくつかの実施形態では、
図3Cに示す入力抵抗Rinに等しい入力抵抗Rpは、少なくとも500Ω以上、1000Ω以上、又は5000Ω以上である。いくつかの実施形態では、RFチップ208の入力ポート208Aの高インピーダンス性を維持するために、RFチップ208の入力ポート208Aに配置されたMOSFETは、RFチップ208の他の回路と並列に接続されない。いくつかの実施形態では、分岐線221とRFチップ208のゲート端子M1Gとの間には、中間回路、マッチングネットワーク、バッファリング回路は存在しない。いくつかの実施形態では、RF信号RF_inの上述の直列給電型の信号供給型は、電圧駆動型の信号供給型によって達成される。RF出力信号RF_outは、電流駆動信号ではなく、入力MOSFET M1のゲート端子M1Gで伝送される電圧信号に基づいて生成される。
【0045】
前述に基づいて、提案された直列型信号供給方法は、利点を提供する。リーク電流を適切に管理できれば、MOSFETの高インピーダンス性により、RFチップ208の入力ポート208Aに流れる電流レベルは、非常に低くなる。したがって、RFチップ208の消費電力は、装置性能を損なうことなく、比較的低くなるであろう。さらに、制御信号の較正データは、RF信号RF_inの較正を支援するために、フェーズドアレイアンテナアーキテクチャにおいて、位相較正データを既に含んでいるので、送信機ブロック310に対する追加の位相較正モジュールは、必要ではなく、遅延位相の調整も位相調整又は較正をカバーしている。
【0046】
既存のRFチップは、電流駆動信号供給型でRF信号の伝送を採用しており、ツリー型電力分割器ネットワークが付属している。ツリー型電力分割器ネットワークの最終段の電力分割器は、それぞれ対応するRFチップに接続されている。入力ポートは、インピーダンス整合ルールに従うように設計されており、例えば、約50Ωのインピーダンスを含む。駆動電流は、RF信号源からツリー型分割器ネットワークを介して各RFチップに流れる。このようなRF信号供給アーキテクチャは、RF信号が電力分割器ネットワークの終点にあるRFチップに分配されているときに電力を消費する。電流駆動信号供給型のRFチップ間の位相誤差は、RF信号源に対する全てのRFチップの伝送長が実質的に等しいため、電圧駆動信号供給型よりも小さくなる可能性があるが、それでもプロセス起因の装置変動により、しばしば無視できない位相誤差が発生する。したがって、フェーズドアレイアンテナの性能を確保するためには、通常、位相較正モジュールが必要である。これに対し、提案する電圧駆動信号型は、装置性能を損なうことなく、消費電力が少なく、電力分割器の数も少なくて済む。このように、提案するアンテナアレイ構造によって、送信機の電力、コスト、信頼性を向上させることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示の直列給電型信号供給型は、配線効率をさらに高める。
図3A、
図3B及び
図3Cを参照すると、送信機アレイ300(RFチップ208を含む)は、RF回路基板120の中央部分に列方向に編成され、周辺回路、例えば、電力分割器ネットワーク342及び346、増幅器335、338、並びにミキサ336は、RF回路基板120の2つの側に編成される。送信機ブロック310の一次元編成は行方向に延びており、その中で、アンテナ間隔とRFチップの数が送信機ブロック310の長さ/幅の比を決定する。送信機ブロック310の段数N=5、RFチップ数L=8を例にとると、結果として送信機アレイ300を形成した送信機100の送信機アレイは、サイズが32×32個のRFチップ208となり、正方形状となる。さらに、送信機ブロック310の電源及び信号伝送線、例えば、電源電圧VD、制御信号Din、CLK、SYNC、RF信号RF_in等の配線を行う際に、その行の形状から配線交差の割合が比較的低くなる。その結果、高い配線効率で正方形のフェーズアレーアンテナを実装することができる。さらに、本開示のフェーズアレーアンテナは、配置及び配線を再設計する必要なく、単に数N及びLを調整することによって、簡単な方法でスケールアップ又はスケールダウンすることができる。
【0048】
図4Aは、いくつかの実施形態による、受信機101の概略ブロック図である。いくつかの実施形態では、受信機101は、RF受信機である。いくつかの実施形態では、受信機101は、送信機100の相互装置として見られ、受信機101も、制御回路基板111と、RF回路基板121と、制御回路基板111をRF回路基板121に接続する接続回路基板130と、を含む。受信機101は、二重化伝送を容易にするために、送信機100と動作周波数が異なっていてもよく、例えば、送信機100及び受信機101の一方は18GHzの周波数で動作するように構成され、他方は28GHzの周波数で動作するように構成される。送信機100及び受信機101の装置設計パラメータは、動作周波数が異なるために、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、受信機101は、ユーザ装置12、14、16、18、地上基地局22又は非地上基地局24に適用可能である。
【0049】
いくつかの実施形態では、制御回路基板111は、電力変換モジュール312、メモリモジュール314、コントローラ317、局部発振器モジュール318、及びデータ処理モジュール323を含む。いくつかの実施形態では、制御回路基板111に追加のモジュールを追加してもよく、又は上述のモジュールの一部を省略することも、別のモジュールで置換することもできる。接続回路基板130、電力変換モジュール312、メモリモジュール314、及び局部発振器モジュール318の機能及び構成は、
図3Aを参照して説明したものと同様であり、したがって、簡潔のために、詳細は本明細書に繰り返さない。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラ317は、受信信号の復調を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、制御回路基板111によって生成された受信信号は、IF_outとしてIF入力信号の形態をとり、これは、コントローラ317又はデータ処理モジュール323によって、ベースバンド信号にダウンコンバージョンされる。いくつかの実施形態では、コントローラ317は、外部電源又は電力変換モジュール312によって電力供給され、RF回路基板121によって提供される受信データIF_outに従ってIF信号IF_outを受信する。いくつかの実施形態では、コントローラ317は、較正データDin、データクロック信号CLK、及び同期クロック信号SYNC等の、位相アレイアンテナの制御信号を生成するように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、
図4Aに示すデータ処理モジュール323は、制御回路基板110の外部の制御ユニット304からコマンドを受信するように構成される。データ処理モジュール323又はコントローラ317は、RF回路基板121によって提供される受信IF信号IF_outから抽出された送信データを受信し、送信データを制御ユニット304に送信するように構成されてもよい。
【0052】
RF回路基板121は、一対のRF信号受信経路と、一対の電力結合器ネットワーク352と、2列の受信機アレイ301と、を含む。
図4Aに示すRF信号受信経路のそれぞれは、
図3Aに示すRF信号生成経路と逆向きの方法で進行する。いくつかの実施形態では、受信機アレイ301の左側列と受信機アレイ301の右側列とは、受信機アレイ301の左側列と右側列との間の中心線について対称に編成される。いくつかの実施形態では、左側電力結合器ネットワーク352及び右側電力結合器ネットワーク352は、左側電力結合器ネットワーク352と右側電力結合器ネットワーク352との間の中心線について対称に編成される。いくつかの実施形態では、各RF信号受信経路は、IF信号受信機362、位相同期ループモジュール334、増幅器335及び338、並びにミキサ336を含む。いくつかの実施形態では、IF信号受信機332は、ミキサ336の出力からIF信号IF_outを受信するように構成される。位相同期ループモジュール334は、位相同期手順を通じて基準周波数FRに基づいて局部発振器信号LOを生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、局部発振器信号LOは、増幅器335を介して増幅される。いくつかの実施形態では、増幅器335は、オペアンプである。ミキサ336は、RF信号RF_outを、所定の周波数帯域、例えば、445kHzのIF信号IF_outにダウンコンバージョンするように構成される。いくつかの実施形態では、RF信号RF_outは、増幅器、例えば、オペアンプを介して増幅される。
【0053】
いくつかの実施形態では、電力結合器ネットワーク352は、ミキサ336の入力に接続され、各RFチップ208(
図4C参照)からのRF信号RF_outを合成RFデータ信号RF_outに収集するように構成される。
図4Aに示す電力結合器ネットワーク352は、入力端子と出力端子が逆であることを除いて、
図3Aに示す電力分割器342と同様の多段電力結合器ネットワークである。いくつかの実施形態では、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCを含む制御信号は、バス又は複数の信号線を介して受信機アレイ301のそれぞれに提供される。
【0054】
図4Bは、いくつかの実施形態による、
図4Aに示す受信機101の受信機アレイ301の概略ブロック図である。いくつかの実施形態では、受信機アレイ301は、別の電力結合器ネットワーク356と、複数の受信機ブロック311と、を含む。いくつかの実施形態では、
図4Bに示す電力結合器ネットワーク356は、入力端子と出力端子が逆であることを除いて、
図3Bに示す電力分割器ネットワーク346と同様である。いくつかの実施形態では、電源電圧VDと、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCを含む制御信号も、バス又は複数の信号線を介して受信機ブロック311のそれぞれに提供される。
【0055】
図4Cは、いくつかの実施形態による、
図4Bに示す受信機アレイ301の受信機ブロック311の概略ブロック図である。いくつかの実施形態では、受信機ブロック311は、RFチップ209の行と、RFチップ209の行に対応するアンテナ給電線213の行とで形成される。いくつかの実施形態では、
図2Bを参照して前述したように、RFチップ209は、それぞれ個々のRF回路を含み、RF回路209とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、RFチップ209は、受信機(RX)RFチップとして構成される。いくつかの実施形態では、電源電圧VDが提供され、RFチップ209のそれぞれに送信される。さらに、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCを含む制御信号が、各RFチップ209に供給される。
図2B及び
図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、RF信号RF_inは、アンテナパッチ206によって受信され、基板202、給電線213、RFチップ209(RF信号RF_outとして出力)、及び伝送線220を介して信号ポートRF_inに伝送される。
【0056】
RFチップ209は、較正データDinに従って、アンテナ給電線213上のRF入力信号RF_inから較正RF信号RF_outを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、較正の更新レートは、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCによって制御される。いくつかの実施形態では、RFチップ209は、それぞれの同相RF信号成分RF_in_I及び直交RF信号成分RF_in_Q、電源電圧VD、較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCに対する入力ポートを含む。いくつかの実施形態では、RFチップ209は、それぞれの較正データ及びRF信号RF_outに対する出力ポートDoutを含む。較正データDin、データクロック信号CLK及び同期クロック信号SYNCの機能及び構成は、
図3A~
図3Cを参照して説明したものと同様であり、詳細はここでは繰り返さない。
【0057】
いくつかの実施形態では、受信機ブロック311は、第一の端部、すなわち受信機ブロック311の出力ポートと、伝送線220の第二の端部との間に伝送線220を含む。いくつかの実施形態では、伝送線220の第二の端部は、抵抗負荷372を介して接地される。いくつかの実施形態では、伝送線220は、直線、又は異なる方向に延びる複数の線分を含む線である。いくつかの実施形態では、伝送線220は、RFチップ209の行に対して平行である。抵抗負荷372は、抵抗器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、抵抗負荷372の抵抗は、信号反射を排除するために、伝送線220のインピーダンスと整合するように決定される。いくつかの実施形態では、抵抗負荷372は、約50Ωの抵抗を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、提供されたRF信号RF_outは、伝送線220の第一の端部と第二の端部との間で伝搬される。個々のアンテナ給電線213によって提供されるRF信号は、較正データDinの位相調整データに従って適切な位相遅延で復調され、累積された構成RF信号RF_outを集合的に形成することが必要である。したがって、RF信号成分RF_in_I及びRF_in_Qが合成される前に、又は個々のRF信号RF_outが伝送線220に供給される前に、アンテナアレイ内のそれらの位置等の1つ以上の設計基準に従って位相復調される。いくつかの実施形態では、RF信号RF_outのそれぞれは、対応するRFチップ209から伝送線220上の異なる場所Diで対応する接続端子に供給される電流信号Ioutである。
【0059】
いくつかの実施形態では、RFチップ209は、RF信号RF_outの電流Ioutを最大化するために、伝送線220にインピーダンス整合した出力端子を含むように設計される。例えば、RFチップ209の出力インピーダンスは、約50Ωである。
【0060】
図4A及び
図4Bを参照すると、収集され、合成されたRF信号RF_outは、電力結合器ネットワーク356及び352を介して伝送されて、IF信号IF_outにダウンコンバージョンするためにミキサ336に達する。位相同期ループモジュール334は、位相同期手順を通じて、基準周波数FRに基づいて局部発振器信号LOを生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、IF信号受信機362は、ミキサ336の出力からIFデータ信号IF_inを受信するように構成される。いくつかの実施形態では、局部発振器信号LOは、増幅器335を介して増幅される。いくつかの実施形態では、増幅器335は、オペアンプである。IF信号IF_outは、IF信号受信機362及び接続回路基板130を介して制御回路基板110に伝送される。いくつかの実施形態では、IF信号IF_outは、コントローラ317又はデータ処理モジュール323によって、ベースバンド信号にダウンコンバージョンされ、RF信号RF_outで変調された送信データは、ベースバンド信号から復調され検出される。
【0061】
図4Dは、いくつかの実施形態による、
図4Cに示すRFチップ209の概略ブロック図と、RFチップ209の出力の等価回路を示す。
図4Dは、いくつかの実施形態による、
図4Cに示すRFチップ209の概略ブロック図を左のサブ図で示す。いくつかの実施形態では、RFチップ209の出力端子209A又は出力ポートは、FET M2で形成され、ドレイン端子D2が分岐伝送線221を介して伝送線220に接続されている。いくつかの実施形態では、RFチップ209の出力ポート209Aは、比較的高い入力インピーダンスを含むように設計され、1つのRFチップ209から伝送線220に提供される受信RF信号RF_outの出力電流I
outの大部分が同じ受信機ブロック311の他のRFチップ209に逆流しないようにしている。
【0062】
いくつかの実施形態では、MOSFET M2は、キャパシタCp1を介してRFチップ209の出力ポート209Aに接続される。いくつかの実施形態では、キャパシタCp1は、ドレイン端子M2Dで、RFチップ209のダイオードD21及びD22に接続される。
図4Dの右のサブ図を参照すると、左のサブ図に示す入力ポート209Aに接続されたRFチップ209の回路は、入力抵抗Rpと並列接続されたキャパシタCpの形成される等価回路によって表すことができる。いくつかの実施形態では、RFチップ209のドレイン端子M2Dから見たRFチップ209の入力インピーダンス又は抵抗Rpは、伝送線220に接続された出力端子209Aから伝送線220を見た入力インピーダンスの実質的に10倍に等しいか、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態では、RFチップ209の入力抵抗Rpは、少なくとも500Ω、1000Ω、又は5000Ωに等しいか、あるいはそれ以上である。
【0063】
前述に基づいて、提案された直列型信号蓄積方法は、利点を提供する。リーク電流を適切に管理できれば、MOSFETの高インピーダンス性により、同じ受信機ブロック311内の1つのRFチップ209から他のRFチップ209に流れる電流レベルは、非常に低くなる。したがって、RFチップ209の集電効率は、装置性能を損なうことなく、比較的高くなるであろう。さらに、制御信号の較正データは、RF信号RF_in(同相RF信号成分RF_in_I及び直交RF信号成分RF_in_Qを含む)の較正を支援するために、フェーズドアレイアンテナアーキテクチャにおいて、位相較正データを既に含んでいるので、受信機ブロック311に対する追加の位相較正モジュールは、必要ではなく、遅延位相の調整も位相調整又は較正をカバーしている。
【0064】
前述は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説したものである。当業者は、本開示を、本明細書で紹介した実施形態の同じ目的を実行するために、及び/又は同じ利点を達成するために、他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として、本開示を容易に使用できることを理解すべきである。また、当業者は、そのような同等の構築が本開示の精神及び範囲から逸脱しないことも、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書において様々な変更、置換、及び改変を実行可能なことを認識すべきである。