(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20241206BHJP
B65G 47/08 20060101ALI20241206BHJP
B65G 47/53 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B65G47/86 G
B65G47/08 A
B65G47/53 D
(21)【出願番号】P 2023217323
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】福澤 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-8619(JP,A)
【文献】特開平9-33609(JP,A)
【文献】特開平10-180556(JP,A)
【文献】特開2002-128264(JP,A)
【文献】特開2012-20822(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114291564(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/86
B65G 47/53
B65G 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを供給するワークフィーダと、
前記ワークを収納する複数のワーク収納溝が外周に設けられ、インデックステーブル駆動機構により回転するインデックステーブルと、
前記ワークフィーダと、前記インデックステーブルとの間に延びるとともに、前記ワークを搬送させる連通路を有する分離機構と、
制御部とを備え、
前記インデックステーブルは回転して、前記ワーク収納溝を前記連通路に向かい合う受入位置に配置し、
前記受入位置にある前記ワーク収納溝に連通し、前記連通路内の前記ワークを前記受入位置にある前記ワーク収納溝に吸引する吸引孔を設け、
前記分離機構の前記連通路の底面に、前記ワークを停止させる段部を形成し、
前記分離機構の前記連通路の底面であって前記段部よりワーク搬送方向上流側に、前記段部により停止する前記ワークに対して上方へ向かってエアー噴射を行うエアー開孔を設け、前記エアー開孔にエアー噴射機構を接続し、
前記受入位置にある前記ワーク収納溝内における前記ワークの有無を検出するワーク検出部を設け、
前記制御部は、前記ワーク検出部からの信号に基づいて、前記インデックステーブル駆動機構を駆動して前記インデックステーブルを回転させる、ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記エアー開孔は、切換機構を介して、前記エアー噴射機構および真空発生機構に接続され、
前記ワーク検出部からの信号に基づいて、前記制御部は前記切換機構を制御して、前記エアー開孔を前記エアー噴射機構または前記真空発生機構に接続させる、請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記分離機構の前記連通路の底面に、前記段部からワーク搬送方向上流側へ向かって上昇する傾斜面を形成した、請求項1または2記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記分離機構の前記連通路内の前記ワークの上下方向の高さをHとしたとき、前記段部の高さH1は、0.05×H以上、0.2×H以下となっている、請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記分離機構の前記連通路内の前記ワークのワーク搬送方向の長さをLとしたとき、前記傾斜面の長さL1は、0.8×L以上、1.2L以下となっている、請求項3記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記分離機構は前記連通路を形成する分離機構本体と、前記連通路を覆う分離機構カバーとを有し、
前記分離機構カバーの下面に、前記段部により停止する前記ワークの次のワークの上面との間に隙間を形成するスリットを設けた、請求項1記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続して供給される複数のワークを一つ一つに分離して個別に搬送するワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子部品をチップ化したチップ部品等のワークを搬送するワーク搬送装置として、従来よりワークを供給するワークフィーダ(パーツフィーダともいう)と、ワークを収納するワーク収納溝が外周に設けられたインデックステーブルと、ワークフィーダとインデックステーブルとの間に設けられた分離機構を有する連通路とを備えたものが知られている。
【0003】
このようなワーク搬送装置において、ワークフィーダにより連続的に供給され互いに当接する複数のワークは、分離機構において一つ一つ分離された後、インデックステーブルのワーク収納溝内に収納されて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-145445号公報
【文献】特開2001-187634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、ワークフィーダにより連続的に供給されたワークはお互いに接触しているため、分離機構においてワークを一つ一つ確実に分離してターンテーブルのワーク収納溝内に収納する必要がある。
【0006】
しかしながら従来より、分離機構によりワークに傷を付けることなく、かつワークを確実に分離することができるワーク搬送装置は開発されていない。
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、インデックステーブルに送る前にワークに傷を付けることなく、かつワークを確実に分離することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、複数のワークを供給するワークフィーダと、前記ワークを収納する複数のワーク収納溝が外周に設けられ、インデックステーブル駆動機構により回転するインデックステーブルと、前記ワークフィーダと、前記インデックステーブルとの間に延びるとともに、前記ワークを搬送させる連通路を有する分離機構と、制御部とを備え、前記インデックステーブルは回転して、前記ワーク収納溝を前記連通路に向かい合う受入位置に配置し、前記受入位置にある前記ワーク収納溝に連通し、前記連通路内の前記ワークを前記受入位置にある前記ワーク収納溝に吸引する吸引孔を設け、前記分離機構の前記連通路の底面に、前記ワークを停止させる段部を形成し、前記分離機構の前記連通路の底面であって前記段部よりワーク搬送方向上流側に、前記段部により停止する前記ワークに対して上方へ向かってエアー噴射を行うエアー開孔を設け、前記エアー開孔にエアー噴射機構を接続し、前記受入位置にある前記ワーク収納溝内における前記ワークの有無を検出するワーク検出部を設け、前記制御部は前記ワーク検出部からの信号に基づいて前記インデックステーブル駆動機構を駆動して前記インデックステーブルを回転させる、ワーク搬送装置である。
【0009】
本開示は、前記エアー開孔は、切換機構を介して、前記エアー噴射機構および真空発生機構に接続され、前記ワーク検出部からの信号に基づいて、前記制御部は前記切換機構を制御して、前記エアー開孔を前記エアー噴射機構または前記真空発生機構に接続させる、ワーク搬送装置である。
【0010】
本開示は、前記分離機構の前記連通路の底面に、前記段部からワーク搬送方向上流側へ向かって上昇する傾斜面を形成した、ワーク搬送装置である。
【0011】
本開示は、前記分離機構の前記連通路内の前記ワークの上下方向の高さをHとしたとき、前記段部の高さH1は、0.05×H以上、0.2×H以下となっている、ワーク搬送装置である。
【0012】
本開示は、前記分離機構の前記連通路内の前記ワークのワーク搬送方向の長さをLとしたとき、前記傾斜面の長さL1は、0.8×L以上、1.2L以下となっている、ワーク搬送装置である。
【0013】
本開示は、前記分離機構は前記連通路を形成する分離機構本体と、前記連通路を覆う分離機構カバーとを有し、前記分離機構カバーの下面に、前記段部により停止する前記ワークの次のワークの上面との間に隙間を形成するスリットを設けた、ワーク搬送装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本開示によれば、ワークフィーダから供給される複数のワークに傷を付けることなく、かつワークを確実に互いに分離して、インデックステーブル側へ送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本開示によるワーク搬送装置を示す側面図。
【
図3】
図3はワーク搬送装置の作用を示すフローチャート。
【
図5】
図5は連通路に形成された段部と傾斜面を示す拡大図。
【
図6】
図6は連通路とスリットの関係を示す
図1のVI-VI線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
【0017】
図1乃至
図6は本開示によるワーク搬送装置の一実施の形態を示す図である。まず
図4によりワーク搬送装置10の概略について述べる。
図4に示すように、ワーク搬送装置10は、例えばチップ部品等の複数のワークW1,W2,…を連続的に供給するワークフィーダ(パーツフィーダともいう)23と、ワークW1,W2,…を収納するワーク収納溝11aが外周に複数設けられた回転自在のインデックステーブル11と、ワークフィーダ23とインデックステーブル11との間に設けられた分離機構30とを備えている。このうち、インデックステーブル11は、インデックステーブル駆動機構11Aにより駆動されて回転する。
【0018】
図1乃至
図6に示すように、ワークフィーダ23は、ワークW1,W2,…を連続的に互いに当接させた状態で、かつ直線状に供給するものである。ワークフィーダ23はワークW1,W2,…を支持する支持台23aを有し、この支持台23aは、カバー23bにより覆われている。また分離機構30は、ワークフィーダ23とインデックステーブル11との間に延びる連通路35を有している。
【0019】
本実施の形態において、分離機構30は連通路35を形成する分離機構本体31と、分離機構本体31上面に取り付けられ、連通路35を覆う分離機構カバー32とを有する。
【0020】
またインデックステーブル11はベース(図示せず)により支持されている。
【0021】
ところで、インデックステーブル11は上述のようにその外周に複数のワーク収納溝11aを有し、インデックステーブル11の回転に伴ってワーク収納溝11aが、順次連通路35に向かい合う受入位置にくるようになっている。
【0022】
インデックステーブル11はベースにより支持されており、上述した分離機構30もベースにより支持される。さらに連通路35を覆う分離機構カバー32は受入位置にあるインデックステーブル11のワーク収納溝11aも覆っている(
図1参照)。
【0023】
なお、本実施の形態において、「上面」、「下面」、「上方」および「下方」とは、ワーク搬送装置10を
図1の状態で配置した場合の「上面」、「下面」、「上方」および「下方」をいう。
【0024】
次に分離機構30について
図1乃至
図6により更に述べる。
【0025】
まず受入位置にあるワーク収納溝11aには、連通路35内のワークW1,W2,…を受入位置にあるワーク収納溝11a内に吸引する吸引孔12が連通し、この吸引孔12はインデックステーブル11を支持するベース内に延びている。そして分離機構30の連通路35の底面35aに、ワークW1,W2,…と係合してこのワークW1,W2,…を停止させる段部40が形成されている。また連通路35の底面35aに、段部40からワーク搬送方向Dの上流側へ向かって上昇する傾斜面(テーパ面)41が形成されている。
【0026】
さらに連通路35の底面35aであって、段部40よりワーク搬送方向Dの上流側に、段部40により係合して停止するワークW1,W2,…に対して上方に向かってエアー噴出を行うエアー噴出孔(エアー開孔ともいう)25が設けられている。このエアー噴出孔25は、段部40に停止するワークW1,W2,…に対して上方に向かってエアー噴出を行うことにより、ワークW1,W2,…を段部40から浮かせて、このワークW1,W2,…を吸引孔12からの吸引力を用いて、受入位置にあるワーク収納溝11a内に吸引するものである。
【0027】
次に段部40と傾斜面41の形状について述べる。本実施の形態において、ワークW1,W2,…は、ワーク搬送方向Dの長さLが例えば1mm、上下方向の高さHが例えば0.5mm、ワーク搬送方向Dに直交する幅が0.5mmとなっている。
【0028】
そして分離機構30の連通路35の底面35aに形成された段部40の上下方向の高さH1は、0.05×H以上、0.2×H以下となっている。
【0029】
また連通路35の底面35aに形成された傾斜面41のワーク搬送方向Dの長さL1は、0.8×L以上、1.2×L以下となっている。
【0030】
上記のように段部40の上下方向の高さH1を0.05×H以上と定めることにより、連通路35により搬送されるワークW1,W2,…をこの段部40により確実に停止させることができる。また段部40の上下方向の高さH1を0.2×H以下と定めることにより、段部40により停止するワークW1,W2,…をエアー噴出孔25から上方に向かって噴出するエアーにより浮かせて、段部40との係合を容易に解除することができる。
【0031】
また傾斜面41のワーク搬送方向Dの長さL1を0.8×L以上と定めることにより、連通路35により搬送されるワークW1,W2,…をスムーズに段部40へ導くことができる。また傾斜面41のワーク搬送方向Dの長さL1を1.2×L以下と定めることにより、連通路35の高さを過度に高くする必要がなくなる。
【0032】
なお、本実施の形態において、連通路35内でワークW1,W2,…が詰ってしまうことがある。この場合は、ワーク搬送装置10を全体として停止し、吸引孔12を利用して連通路35内にエアー噴出を行うことがある。この場合、連通路35に段部40からワーク搬送方向Dの上流側に向かって上昇する傾斜面41を設けることにより、連通路35内のワークW1,W2,…をワーク搬送方向Dの上流側へ吹き飛ばして連通路35からワークフィーダ側の外方へ排出することができる。
【0033】
さらに
図1に示すように、連通路35の底面35aに設けられたエアー噴出孔25は、エアー噴出機構26に接続されている。このため上述のように、連通路35の段部40に係合して停止するワークW1,W2,…に対してエアー噴出孔25から上方に向かってエアー噴出を行うことができる。本実施の形態において、エアー噴出孔25は切換機構28を介してエアー噴出機構26に接続され、同様に切換機構28を介して真空発生機構27にも接続されている。
【0034】
また
図1に示すように、分離機構カバー32には、受入位置にあるワーク収納溝11aに対応する位置に受光部15aが設けられ、分離機構本体31には受光部15aに対向する位置に受光部15aに向けて光を投光する投光部15bが設けられている。この受光部15aと投光部15bとにより受入位置にあるワーク収納溝11a内におけるワークW1,W2,…の有無を検出するワーク検出部15が構成されている。
【0035】
また分離機構カバー32には段部40と係合して停止するワークW1と、受入位置にあるワーク収納溝11a内のワークとの間に対応して受光部16aが設けられ、分離機構本体31には受光部16aに対向する位置に、受光部16aに向けて光を投光する投光部16bが設けられている。この受光部16aと投光部16bとにより、段部40と係合して停止するワークW1が、受入位置にあるワーク収納溝11a内のワークから分離されたか否かを検出する分離検出部16が構成されている。
【0036】
また上記各構成要素は、制御部50により駆動制御される。
【0037】
ところで、分離機構30の分離機構カバー32の下面(連通路35の上面ともなる)35bには、段部40と係合して停止するワークW1の次のワークW2の上面との間に隙間を形成するスリット36が設けられている(
図1および
図6参照)。このスリット36は、分離機構カバー32の下面35bに、ワーク搬送方向Dの上流側に向かって徐々に上昇するよう形成されている。そして受入位置にあるワーク収納溝11aに連通する吸引孔12により、段部40と係合して停止するワークW1を吸引する際、このスリット36により次のワークW2に対する吸引孔12からの吸引力を低減させることができる。
【0038】
後述のように、段部40と係合して停止するワークW1をエアー噴出孔25からエアー噴出を行うことにより一旦浮上させた後、吸引孔12からの吸引力によって、受入位置にあるワーク収納溝11a内に吸引する。この場合、スリット36を設けることにより、次のワークW2に対する吸引孔12からの吸引力を低減させて、次のワークW2がワークW1とともにワーク収納溝11a内に入ることを未然に防止することができる。
【0039】
ところで上述のように、インデックステーブル11は回転して、ワーク収納溝11aを連通路24aに向い合う受入位置に配置するようになっている。そして受入位置のワーク収納溝11a内に収納されたワークW1,W2,…は、インデックステーブル11の回転に伴って円周方向に搬送され、インデックステーブル11の外周に設けられた図示しない検査機構によりワークW1,W2…に対して電気的検査や外観検査等が行われる。
【0040】
上記のように、受入位置にあるワーク収納溝11aには吸引孔12が連通し、この吸引孔12はインデックステーブル11を支持するベース内を延び、図示しない真空発生装置により吸引される。
【0041】
ところで受入位置にあるワーク収納溝11a内に収納されたワークW1,W2,……を検出するため、受光部15aと投光部15bとからなるワーク検出部15が設けられているが、ワーク検出部15の受光部15aはワーク収納溝11aの分離機構カバー32側の壁面に設けられている。また、投光部15bはワーク収納溝11aの分離機構本体31側の壁面に設けられている。これら受光部15aと投光部15bは、いずれもワーク収納溝11aの壁面から突出することなく壁面と同一面上に設けられているため、これらの受光部15aおよび投光部15bがワーク収納溝11a内のワークW1,W2…の進行を阻害することはない。
【0042】
同様に分離検出部16の受光部16aは分離機構カバー32側の壁面に設けられ、投光部16bは分離機構本体31側の壁面に設けられている。これら受光部15aと投光部15bは、いずれも連通路35の壁面から突出することなく壁面と同一面上に設けられている。このためこれらの受光部16aおよび投光部16bが連通路35内のワークW1,W2,W3,…の進行を阻害することはない。上述したワーク検出部15の受光部15aおよび投光部15bと、分離検出部16の受光部16aおよび投光部16bは、いずれも制御部50に接続されている。
【0043】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について
図2A乃至
図2Bおよび
図3により説明する。
【0044】
まずワークW1、W2…がワークフィーダ23により連続的に互いに当接しながら供給され、分離機構30の連通路35内へ送られる。ワークW1、W2…が分離機構30の連通路35内に送られると、まず先頭のワークW1が連通路35の段部40と係合して停止する。
【0045】
この間、制御部50は切換機構28を駆動させて、エアー噴出孔(エアー開孔ともいう)25が真空発生機構27に接続している。このため先頭のワークW1は段部40と係合して停止するとともに、同時にエアー噴出孔25が吸着機能をもつため、この吸着機能をもつエアー噴出孔25により吸着され、先頭のワークW1は段部40の位置に確実に止まる(
図2A参照)。
【0046】
なお、連通路35内のワークW1を段部40の位置に段部40のみで確実に停止することができれば、エアー噴出孔25が吸着機能をもつよう切換機構28を切り換えてエアー噴出孔25によりワークW1を吸着する必要はない。
【0047】
次に制御部50はワーク検出部15からの信号により受入位置にあるワーク収納溝11a内にワークW1,W2,…が無いことを確認した後、切換機構28を切換えてエアー噴出孔25をエアー噴出機構26に接続させる。この時、エアー噴出孔25から上方へ向かってエアーが噴出され、段部40により停止するワークW1を浮き上がらせる(
図2B参照)。
【0048】
この場合、ワークW1は図示しない真空発生装置に接続された吸引孔12により高速で吸引されて、受入位置にあるワーク収納溝11a内に収納される。このとき段部40で停止するワークW1の次のワークW2に対しても吸引孔12から吸引力が働くが、吸引孔12からの吸引力は先頭のワークW1が邪魔をして弱くなるため、次のワークW2がワーク収納溝11a側に吸引されることはない。
【0049】
しかも分離機構30の分離機構カバー32にスリット36が設けられているため、吸引孔12から次のワークW2に加わる吸引力を更に弱めることができる。
【0050】
このようにして段部40により停止する先頭のワークW1が受入位置にあるワーク収納溝11a内に到達する(
図2C参照)。
【0051】
このときワーク検出部15により、先頭のワークW1が受入位置にあるワーク収納溝11a内に収納されたことを検出することができる。次にワーク検出部15からの信号が制御部50に送られ、制御部50により切換機構28を切換えてエアー噴出孔25を真空発生機構27に接続させる。
【0052】
図示しない真空発生装置に接続された吸引孔12による吸引力はかなり強いため、ワーク検出部15により先頭のワークW1が受入位置にあるワーク収納溝11a内に収納されたことを確認した時は、未だ次のワークW2は連通路35内において、段部40から上流側に離れた位置にある。
【0053】
その後、分離検出部16により受入位置にあるワーク収納溝11a内の先頭のワークW1、と次のワークW2との間が確実に分離されていることを確認する。次にワーク検出部15により先頭のワークW1が受入位置にあるワーク収納溝11a内に収納されたことを前提として、分離検出部16からの信号に基づいて、制御部50によりインデックステーブル駆動機構11Aを駆動して、インデックステーブル11を1ピッチだけ間欠的に回転し、
図2Cの状態から
図2Aの状態に戻る。
【0054】
なお、この分離検出部16は必ずしも設ける必要はなく、ワーク検出部15により受入位置にあるワーク収納溝11a内に先頭のワークW1が収納されたことを確認した後、直ちにインデックステーブル11を間欠的に回転させてもよい。
【0055】
以上のように本実施の形態によれば、分離機構30の連通路35の底面に段部40を形成し、この段部40よりワーク搬送方向Dの上流側に傾斜面41を設けた。このことによりワークフィーダ23から送られ連通路35を通る先頭のワークW1を段部40に係合させて停止させることができる(
図2A参照)。この場合、段部40よりワーク搬送方向Dの上流側に設けられた傾斜面41によりワークW1を段部40までスムーズに導いて、段部40により確実に停止させることができる。
【0056】
さらには、段部40のワーク搬送方向Dの上流側に設けられたエアー噴出孔25を、切換機構28を介して真空発生機構27に接続させておくことにより、段部40により停止されたワークW1をより確実に段部40の位置に止めることができる。
【0057】
このようにワークW1を段部40の位置に確実に止めることができるため、段部40とインデックステーブル11のワーク収納溝11aの半径方向内方端までの距離L2を1.2×L以上、1.5×L以下のように極めて短くすることができる(ここでLは連通路35内のワークのワーク搬送方向の長さである)。
【0058】
このように段部40とインデックステーブル11のワーク収納溝11aの半径方向内方端までの距離L2を短くすることができるため、段部40で停止するワークW1をワーク収納溝11a内まで供給する供給時間を極めて短くすることができる。このことによりワーク搬送装置10の作業効率を向上させることができる。
【0059】
また連通路35の段部40に係合して停止するワークW1をインデックステーブル11のワーク収納溝11a内に送る場合、エアー噴出孔25を、切換機構28を介してエアー噴出機構26に接続させる。このことによりワークW1を浮き上がらせて段部40とワークW1との間の係合を解除する。このことによりワーク収納溝11a側の吸引孔12による吸引力により、ワークW1を容易かつ確実にワーク収納溝11a内に供給することができる。
【0060】
また分離機構カバー32の下面35bに、段部40と係合して停止するワークW1の次のワークW2の上面との間に隙間を形成するスリット36が設けられている。このため吸引孔からの吸引力により段部40により停止するワークW1とともに、次のワークW2がワーク収納溝11a側へ送り込まれることを未然に防止することができる。
【0061】
なお本実施の形態において、切換機構28を介してエアー噴出孔25をエアー噴出機構26または真空発生機構27のいずれかに接続させている。この場合、エアー噴出孔25からのエアー噴出は、段部40に係合するワークW1を浮き上がらせるためのものであって、エアー噴出孔25からのエアー噴出力は大きくする必要はなく、その微調整も不要である。
【0062】
またエアー噴出孔25を真空発生機構27に接続する際、エアー噴出孔25は段部40により停止するワークW1を確実に止めるものであるから、エアー噴出孔25からの吸引力も大きくする必要はなく、その微調整も不要である。
【符号の説明】
【0063】
10 ワーク搬送装置
11 インデックステーブル
11a ワーク収納溝
11A インデックステーブル駆動機構
12 吸引孔
15 ワーク検出部
15a 受光部
15b 投光部
16 分離検出部
16a 受光部
16b 投光部
23 ワークフィーダ(パーツフィーダ)
25 エアー噴出孔(エアー開孔)
26 エアー噴出機構
27 真空発生機構
28 切換機構
30 分離機構
31 分離機構本体
32 分離機構カバー
35 連通路
35a 底面
35b 分離機構カバーの下面
36 スリット
40 段部
41 傾斜面
50 制御部
W1,W2, ワーク
【要約】
【課題】ワークに傷を付けることなく、かつワークを確実に分離してインデックステーブル側へ送る。
【解決手段】分離機構30の連通路35の底面35aに、段部40を設け、この段部40によりワークW1を停止させる。エアー噴出孔25からエアーを噴出させ、ワークW1を浮き上がらせて吸引孔12によりワークW1をインデックステーブル11のワーク収納溝11a内へ送る。
【選択図】
図1