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特許7599246多相の生体画像を用いて学習されたニューラルネットワークを用いた疾患診断方法、およびそれを行う疾患診断システム
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  • 特許-多相の生体画像を用いて学習されたニューラルネットワークを用いた疾患診断方法、およびそれを行う疾患診断システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】多相の生体画像を用いて学習されたニューラルネットワークを用いた疾患診断方法、およびそれを行う疾患診断システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241206BHJP
   G06V 20/69 20220101ALI20241206BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20241206BHJP
   G06N 3/0464 20230101ALI20241206BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241206BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20241206BHJP
   G06N 3/09 20230101ALI20241206BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06T7/00 612
G06V20/69
G06V10/82
G06N3/0464
G01N33/483 C
G01N33/48 Z
G06N3/09
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023502694
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 KR2020009720
(87)【国際公開番号】W WO2022019355
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】519208133
【氏名又は名称】ディープ バイオ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100120008
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 くみ子
(72)【発明者】
【氏名】チョ ジュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンウ
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-153742(JP,A)
【文献】特開2019-028887(JP,A)
【文献】特開2014-035220(JP,A)
【文献】特開2007-189589(JP,A)
【文献】特開2019-193776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0082534(US,A1)
【文献】米国特許第10430946(US,B1)
【文献】深層学習を用いた前立腺異種画像統合の自動化に関する検討,ロボティクスメカトロニクス講演会2019講演会論文集 1A1-B09,一般社団法人日本機械学会,2019年06月05日
【文献】Hossam H. Sultan;Nancy M. Salem;Walid Al-Atabany,Multi-Classification of Brain Tumor Images Using Deep Neural Network,IEEE Access Year: 2019 Volume: 7,IEEE,2019年05月27日,69215 - 69225,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8723045
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
G01N 33/48
G01N 33/483
G06N 3/0464
G06N 3/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークを用いた診断システムが、生体画像を用いて所定の疾患に関する診断結果を予測するための診断ニューラルネットワークを生成するステップと、
前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが、複数の訓練用生体画像(ここで、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれには、それに対応する前記疾患に対する診断結果がラベル付けされている)を取得するステップと、
前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが、前記複数の訓練用生体画像を用いて前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、
を含み、
前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップは、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれに対して、
前記訓練用生体画像に互いに異なる特性を有するノイズを挿入して、前記訓練用生体画像に対応するK個(ここで、Kは2以上の整数)のノイズ挿入画像を生成するステップと、
前記訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像をすべて連結(concatenation)して、前記訓練用生体画像に対応する1つの訓練データを生成するステップ(ここで、前記訓練用生体画像に対応する訓練データは、前記訓練用生体画像に対する診断結果にラベル付けされる)と、
前記訓練用生体画像に対応する訓練データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記方法は診断ステップをさらに含み、
前記診断ステップは、
画像センサーにより連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得するステップと、
前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記診断ステップは、
前記K個の診断対象の生体画像に基づいて前記画像センサーが移動中であるか否かを判断するステップをさらに含み、
前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップは、
前記画像センサーが移動中でないと判断された場合、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は診断ステップをさらに含み、
前記診断ステップは、
画像センサーにより連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得するステップと、
前記K個の診断対象の生体画像をすべて連結して1つの診断対象データを生成するステップと、
前記診断対象データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記診断ニューラルネットワークは、
前記診断対象データを入力層に入力し、前記診断対象の生体画像のうち前記疾患が存在する領域を特定する分割ニューラルネットワークであり、
前記分割ニューラルネットワークは、
前記診断対象データを入力層に入力し、前記生体画像に前記疾患が存在するか否かに関する分類結果を出力する分類ニューラルネットワークと、
前記分類ニューラルネットワークに含まれる隠れ層のうち、2以上の特徴マップ抽出層のそれぞれで生成する特徴マップを入力し、前記生体画像のうち前記疾患が存在する領域を特定する分割アーキテクチャと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記分割アーキテクチャは、
前記2以上の特徴抽出層のそれぞれに対応する畳み込みノードを含む畳み込みサブアーキテクチャ(ここで、前記畳み込みノードのそれぞれは、それに対応する特徴抽出層から入力する特徴マップに対する畳み込みまたは2以上の互いに異なる畳み込みを行う)と、
前記畳み込みサブアーキテクチャで生成する畳み込み結果に基づいて、パッチのうち疾患が存在する領域を特定する分割サブアーキテクチャと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患は、
前立腺癌であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
データ処理装置にインストールされ、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の方法を行うためのコンピュータ読み取り可能な媒体に記録された、コンピュータプログラム。
【請求項9】
ニューラルネットワークを用いた診断システムであって、
プロセッサと、コンピュータプログラムを格納するためのメモリと、を含み、
前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによって行われる場合、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の方法を行うようにする、ニューラルネットワークを用いた診断システム。
【請求項10】
生体画像を用いて所定の疾患に関する診断結果を予測するための診断ニューラルネットワークを格納する記憶モジュールと、
複数の訓練用生体画像(ここで、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれには、それに対応する前記疾患に対する診断結果がラベル付けされている)を取得する取得モジュールと、
前記複数の訓練用生体画像を用いて、前記診断ニューラルネットワークを訓練する学習モジュールと、
を含み、
前記学習モジュールは、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれに対して、
前記訓練用生体画像に互いに異なる特性を有するノイズを挿入して、前記訓練用生体画像に対応するK個(ここで、Kは2以上の整数)のノイズ挿入画像を生成するステップと、
前記訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像をすべて連結(concatenation)して、前記訓練用生体画像に対応する1つの訓練データを生成するステップ(ここで、前記訓練用生体画像に対応する訓練データは、前記訓練用生体画像に対する診断結果にラベル付けされる)と、
前記訓練用生体画像に対応する訓練データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと
を行う、ニューラルネットワークを用いた診断システム。
【請求項11】
画像センサーにより連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得し、
前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して、疾患の診断結果を予測する診断モジュールをさらに含む、請求項1に記載のニューラルネットワークを用いた診断システム。
【請求項12】
前記診断モジュールは、
前記K個の診断対象の生体画像に基づいて、前記画像センサーが移動中であるか否かを判断し、
前記画像センサーが移動中でないと判断された場合、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測する、請求項1に記載のニューラルネットワークを用いた診断システム。
【請求項13】
画像センサーにより連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得し、
前記K個の診断対象の生体画像をすべて連結して1つの診断対象データを生成し、
前記診断対象データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測する診断モジュールをさらに含む、請求項1に記載のニューラルネットワークを利用した診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューラルネットワークを用いた疾患診断システムおよびその方法に関する。より詳しくは、多相の生体画像を用いて学習されたニューラルネットワークを用いた疾患診断方法、およびそれを行う疾患診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病理学または病理科で行う主なタスクの1つは、患者の生体スライド(例えば、生検などによる組織画像スライドなど)を読み取ることによって、特定の疾患に対する状態または徴候の診断を行うことである。このような診断は、長期間にわたる経験豊富な医療従事者の経験と知識に依存している。
【0003】
近年、機械学習の発達により、コンピュータシステムによる画像の認識や分類などの作業を自動化する試みがなされている。特に、機械学習の一種であるニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution neural network,CNN)を用いた深層学習手法)を用いることによって、熟練した医療従事者が行っていた診断を自動化する試みがなされている。
【0004】
特に、ニューラルネットワーク(例えば、CNN、深層学習ネットワーク)を用いた深層学習による診断は、従来の熟練した医療従事者の経験や知識を単に自動化するのではなく、自己学習によって特徴的な要素を見つけ出し、所望の答えを導出する点において、むしろ熟練した医療従事者が知らない疾患因子の特徴を画像から見つける場合もある。
【0005】
一般に、生体スライドのスキャン画像である生体画像を用いるニューラルネットワークによる疾患の診断は、生体画像または生体画像の断片であるパッチ(patchまたはタイル(tile)とも呼ばれる)を用いる。すなわち、当該生体画像またはパッチに精通した医療従事者は、特定疾患の状態(例えば、癌が発現しているか否か)をアノテーション(annotation)し、ニューラルネットワークを学習する訓練データとして複数のアノテーションタイルを用いる。この場合、前記ニューラルネットワークとして畳み込みニューラルネットワークが用いられてもよい。
【0006】
一方、現在のニューラルネットワークを介したほとんどの診断方法は、すでにスキャンしたデータを学習に利用し、スキャンしたデータで診断結果を予測している。つまり、従来のニューラルネットワークを介した診断方法は、固定データに対して比較的よく機能している。ところが、ノイズがある場合には脆弱であるという短所がある。例えば、顕微鏡によりリアルタイムで撮影した画像データの場合、顕微鏡のカメラから発生するノイズが画像に多く含まれ、このようなカメラ自体のノイズのために診断結果が変わり続けるという短所がある。
【0007】
一方、ニューラルネットワークによる診断速度は一般にカメラのフレームレートよりも遅いため、顕微鏡で診断する部分が動き続けると、カメラによる画面が途切れるという問題が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国特開10-2016-0034814「ニューラルネットワークを含むクライアント装置、およびそれを含むシステム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が達成しようとする技術的課題は、カメラに起因するノイズによらず安定して診断を行うことができるニューラルネットワークを用いた診断システムおよび方法を提供することである。
【0010】
また、カメラの動きを検知し、移動中や空の画面の場合は診断を行わず、特定の部位を固定して視認している場合にのみ診断を行うことで、スムーズな画面移動を可能にする診断システムおよび方法を提供することである。
【0011】
さらに、特定の生体画像を通じて、疾患の発症有無だけでなく、該当生体画像で疾患が発症した領域も区別できるニューラルネットワーク構造を提供することである。特に、パッチに疾患が存在するか否かを判断できる分類ニューラルネットワークアーキテクチャに分割のためのサブアーキテクチャを追加することによって、疾患が発症した領域の区分のための分割を効率的に行うことができるニューラルネットワーク構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によると、ニューラルネットワークを用いた診断システムが、生体画像を用いて所定の疾患に関する診断結果を予測するための診断ニューラルネットワークを生成するステップと、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが、複数の訓練用生体画像(ここで、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれには、それに対応する前記疾患に対する診断結果がラベル付けされている)を取得するステップと、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが、前記複数の訓練用生体画像を用いて、前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、を含み、前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップは、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれに対して、(a)前記訓練用生体画像に互いに異なる特性を有するノイズを挿入して、前記訓練用生体画像に対応するK個(ここで、Kは2以上の整数)のノイズ挿入画像を生成するステップと、(b)前記訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、を含む方法が提供される。
【0013】
一実施形態において、前記(b)ステップは、前記訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像をすべて連結(concatenation)して、前記訓練用生体画像に対応する1つの訓練データを生成するステップ(ここで、前記訓練用生体画像に対応する訓練データは、前記訓練用生体画像に対する診断結果にラベル付けされる)と、前記訓練用生体画像に対応する訓練データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、を含んでもよい。
【0014】
一実施形態において、上記方法は、診断ステップをさらに含み、前記診断ステップは、画像センサーによって連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得するステップと、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップと、を含んでもよい。
【0015】
一実施形態において、前記診断ステップは、前記K個の診断対象の生体画像に基づいて前記画像センサーが移動中であるか否かを判断するステップをさらに含み、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップは、前記画像センサーが移動中でないと判断された場合、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップを含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、上記方法は、診断ステップをさらに含み、前記診断ステップは、画像センサーによって連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得するステップと、前記K個の診断対象の生体画像をすべて連結して1つの診断対象データを生成するステップと、前記診断対象データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測するステップと、を含んでもよい。
【0017】
一実施形態において、前記診断ニューラルネットワークは、前記診断対象データを入力層に入力し、前記診断対象の生体画像のうち疾患が存在する領域を特定する分割ニューラルネットワークであり、前記分割ニューラルネットワークは、前記診断対象データを入力層に入力し、前記生体画像に前記疾患が存在するか否かに関する分類結果を出力する分類ニューラルネットワーク、および前記分類ニューラルネットワークに含まれる隠れ層のうち、2つ以上の特徴マップ抽出層のそれぞれから生成される特徴マップを入力して、前記生体画像のうち疾患が存在する領域を特定する分割アーキテクチャを含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、前記分割アーキテクチャは、前記2以上の特徴抽出層のそれぞれに対応する畳み込みノードを含む畳み込みサブアーキテクチャ(ここで、前記畳み込みノードのそれぞれは、それに対応する特徴抽出層から入力する特徴マップに対する畳み込みまたは2以上の互いに異なる畳み込みを行う)と、前記畳み込みサブアーキテクチャで生成する畳み込み結果に基づいて、前記パッチのうち疾患が存在する領域を特定する分割サブアーキテクチャと、を含んでもよい。
【0019】
一実施形態において、前記疾患は、前立腺癌であることを特徴としてもよい。
【0020】
本発明の他の態様によると、データ処理装置に設置され、上述した方法を行うためのコンピュータ読み取り可能な媒体に記録されたコンピュータプログラムが提供される。
【0021】
本発明の他の態様によると、ニューラルネットワークを用いた診断システムであって、プロセッサと、コンピュータプログラムを記憶するメモリと、を含み、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによって行われる場合、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが上述した方法を行うようにする、ニューラルネットワークを用いた診断システムが提供される。
【0022】
本発明の他の態様によると、生体画像を用いて所定の疾患に関する診断結果を予測するための診断ニューラルネットワークを格納する記憶モジュール、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが、複数の訓練用生体画像(ここで、前記複数の訓練用生体画像のそれぞれには、それに対応する前記疾患に対する診断結果がラベル付けされている)を取得する取得モジュールと、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムが、前記複数の訓練用生体画像を用いて、前記診断ニューラルネットワークを訓練する学習モジュールと、を含み、前記学習モジュールは、前記複数の生体画像のそれぞれに対して、(a)前記訓練用生体画像に互いに異なる特性を有するノイズを挿入して、前記訓練用生体画像に対応するK個(ここで、Kは2以上の整数)のノイズ挿入画像を生成するステップと、(b)前記訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、を行う、ニューラルネットワークを用いた診断システムが提供される。
【0023】
一実施形態において、前記(b)ステップは、前記訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像をすべて連結(concatenation)して、前記訓練用生体画像に対応する1つの訓練データを生成するステップ(ここで、前記訓練用生体画像に対応する訓練データは、前記訓練用生体画像に対する診断結果にラベル付けされる)と、前記訓練用生体画像に対応する訓練データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記診断ニューラルネットワークを訓練するステップと、を含んでもよい。
【0024】
一実施形態において、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムは、画像センサーによって連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得し、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測する診断モジュールをさらに含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、前記診断モジュールは、前記K個の診断対象の生体画像に基づいて前記画像センサーが移動中であるか否かを判断し、前記画像センサーが移動中でないと判断された場合、前記K個の診断対象の生体画像を前記診断ニューラルネットワークに入力して、前記疾患に対する診断結果を予測してもよい。
【0026】
一実施形態において、前記ニューラルネットワークを用いた診断システムは、画像センサーによって連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得し、前記K個の診断対象の生体画像をすべて連結して1つの診断対象データを生成し、前記診断対象データを前記診断ニューラルネットワークに入力して前記疾患に対する診断結果を予測する診断モジュールをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の技術的思想によると、カメラによるノイズによらず安定して診断を行うことができるニューラルネットワークを用いた診断システムおよび方法を提供することができる。
【0028】
また、カメラの動きを検知し、移動中や空の画面時には診断を行うことなく、特定の領域を固定して視認している場合にのみ診断を行う診断システムおよび方法を提供することができる。
【0029】
また、生体画像毎に疾患の発症有無を判断する分類だけでなく、該当生体画像のうち疾患が発症した領域を区別できる分割も行うことができる効率的なニューラルネットワーク構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の詳細な説明において引用された図面をより完全に理解するために、各図面の簡単な説明が提供される。
【0031】
図1】本発明の技術的思想によって、多相の生体画像を用いてニューラルネットワークを学習し、これを用いて疾患を診断する方法の動作環境を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による疾患診断システムの概略的な構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によって、複数の訓練用生体画像を用いて診断システムが診断ニューラルネットワークを学習する処理を示すフローチャートである。
図4】2つのノイズ付加画像を組み合わせて学習に用いた例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態によって、診断対象の生体画像を診断システムが診断する処理を示すフローチャートである。
図6】2つの連続撮影された診断対象の生体画像を用いて診断を行う過程を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態による分割のための診断ニューラルネットワークの全体的な構造を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による分割アーキテクチャの全体的な構造を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による分割のための診断ニューラルネットワークの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は種々の変換を加えることができ、種々の実施形態を有し得るので、具体的な実施形態を図面に図示し、詳細な説明において詳しく説明する。しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の思想および範囲に含まれるすべての変換、均等物および代替物を含むことを理解すべきである。本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術の詳細な説明が本発明の要旨を不明瞭にするおそれがあると判断した場合には、その詳細な説明は省略する。
【0033】
第1、第2のなどの用語は、様々な構成要素を記述するために使用され得るが、上記構成要素は、上記用語によって限定されるべきではない。上記用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別する目的でのみ使用される。
【0034】
本出願で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではない。単数形表現には、文脈が明確に別段の意味でない限り、複数形表現が含まれる。
【0035】
本明細書において、「含む」または「有する」という用語は、本明細書に記載される特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在することを指定するためのものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0036】
加えて、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素にデータを「伝送」するとき、構成要素は、データを他の構成要素に直接伝送してもよく、少なくとも1つのまた他の構成要素を介して他の構成要素にデータを伝送してもよい。逆に、ある構成要素が他の構成要素にデータを「直接伝送」する場合、データはまた他の構成要素を経由せずに構成要素から他の構成要素に伝送されることを意味する。
【0037】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を中心に本発明を詳しく説明する。各図に示す同一の符号は同一の部材を表す。
【0038】
本発明は種々の変換を加えることができ、種々の実施形態を有し得るので、具体的な実施形態を図面に図示し、詳細な説明において詳しく説明する。しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の思想および範囲に含まれるすべての変換、均等物および代替物を含むことを理解すべきである。本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術の詳細な説明が本発明の要旨を不明瞭にするおそれがあると判断した場合には、その詳細な説明は省略する。
【0039】
第1、第2のなどの用語は、様々な構成要素を記述するために使用され得るが、上記構成要素は、上記用語によって限定されるべきではない。上記用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別する目的でのみ使用される。
【0040】
本出願で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではない。単数形表現には、文脈が明確に別段の意味でない限り、複数形表現が含まれる。
【0041】
本明細書において、「含む」または「有する」という用語は、本明細書に記載される特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在することを指定するためのものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0042】
加えて、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素にデータを「伝送」するとき、構成要素は、データを他の構成要素に直接伝送してもよく、少なくとも1つのまた他の構成要素を介して他の構成要素にデータを伝送してもよい。逆に、ある構成要素が他の構成要素にデータを「直接伝送」する場合、データはまた他の構成要素を経由せずに構成要素から他の構成要素に伝送されることを意味する。
【0043】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を中心に本発明を詳しく説明する。各図に示す同一の符号は同一の部材を表す。
【0044】
図1は、本発明の技術的思想によって、多相の生体画像を用いてニューラルネットワークを学習し、これを用いて疾患を診断する方法の動作環境を示す図である。図1を参照すると、本発明の技術的思想による方法は、診断システム100によって行われてもよい。
【0045】
本発明の技術的思想において、診断システム100は、コンピューティングシステムであってもよい。あるいは、所定のサーバ10に設置されることで本発明の技術的思想を実現してもよい。サーバ10は、本発明の技術的思想を実現するための演算能力を有するデータ処理装置を意味し、一般にネットワークを介してクライアント(端末;20)が接続可能なデータ処理装置だけでなく、パーソナルコンピュータ、携帯端末などのように特定のサービスを行うことができるいかなる装置もサーバと定義できることを、本発明の技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0046】
サーバ10は、プロセッサと記憶装置とを含んでもよい。プロセッサは、本発明の技術的思想を実現するためのプログラムを駆動できる演算装置を意味し得る。記憶装置は、本発明の技術的思想を実現するために必要なプログラムや各種データを記憶できるデータ記憶手段を意味してもよく、実施形態によっては複数の記憶手段として実現されてもよい。また、記憶装置は、サーバ10に含まれる主記憶装置だけでなく、プロセッサに含まれ得る一時記憶装置やメモリも含む意味であってもよい。
【0047】
診断システム100が所定のサーバ10に含まれて実現されている場合、診断システム100は、サーバ10に接続可能な少なくとも1つのクライアント(例えば、20)と通信を行ってもよい。この場合、クライアント(例えば、20)は、生体画像を診断システム100に伝送してもよく、診断システム100は、伝送された生体画像に対して本発明の技術的思想に従って診断を行ってもよい。また、診断結果をクライアント(例えば、20)に伝送してもよい。
【0048】
診断システム100は、複数の訓練用生体画像を用いて生体画像の診断のためのニューラルネットワークを学習してもよく、ニューラルネットワークを学習した後、学習したニューラルネットワークを用いて、クライアント20が提供する診断対象画像に対する診断結果を予測してもよい。
【0049】
クライアント20は、画像センサー21を含んでもよい。画像センサー21は、生体画像を撮影または走査するためのセンサーであってもよい。画像センサー21は、生体画像を連続して撮影してもよい。例えば、画像センサー21は、1秒当たり60フレームで生体画像を撮影してもよい。
【0050】
一実施形態において、画像センサー21は、カメラであってもよい。
【0051】
別の実施形態において、画像センサー21は、顕微鏡であってもよい。この場合、画像センサー21は、生体スライドの特定部位を拡大して撮影することができ、クライアント20を用いて生体画像を診断しようとする診断者は、スライド上の撮影領域を動きながら生体スライドの特定領域に対する診断を行うことができる。
【0052】
疾患診断システム100は、図1ではいずれかの物理デバイスとして実現されたものと図示したが、必要に応じて複数の物理デバイスが有機的に結合され、本発明の技術的思想による診断システム100を実現できることを、本発明の技術分野の平均的専門家であれば容易に推論できるであろう。
【0053】
また、実施形態によっては、疾患診断システム100は、サーバ10でなくクライアント20に直接インストールされて動作する形態で実現されてもよい。
【0054】
図2は、本発明の一実施形態による疾患診断システム100の概略的な構成を示す図である。
【0055】
図2を参照すると、システム100は、記憶モジュール110、生成モジュール130、取得モジュール140、学習モジュール150、および診断モジュール160を含んでもよい。本発明の実施形態によっては、上述の構成要素の一部の構成要素は、本発明の実現に不可欠な構成要素に必ずしも対応しない場合もあり、実施形態によっては、診断システム100は、より多くの構成要素を含んでもよいことは勿論である。例えば、システム100は、システム100の他の構成(例えば、記憶モジュール110、生成モジュール130、取得モジュール140、学習モジュール150、診断モジュール160など)の機能および/またはリソースを制御するための制御モジュール(図示せず)をさらに含んでもよい。加えて、実施形態によっては、システム100は、本発明の技術的思想を実現するために必要な様々な情報および/またはデータを記憶するためのデータベース(Database;DB;300)をさらに含んでもよい。
【0056】
システム100は、本発明の技術的思想を実現するために必要なハードウェアリソース(resource)および/またはソフトウェアを有する論理構成を意味してもよく、必ずしも1つの物理的構成要素または装置を意味するわけではない。すなわち、システム100は、本発明の技術的思想を実現するために提供されるハードウェアおよび/またはソフトウェアの論理的な組み合わせを意味してもよく、必要に応じては、互いに離隔した装置に設置されて各機能を行うことで、本発明の技術的思想を実現するための論理構成の集合として実現されてもよい。また、システム100は、本発明の技術的思想を実現するための各機能または役割ごとに別々に実現される構成の集合を意味してもよい。例えば、記憶モジュール110、生成モジュール130、取得モジュール140、学習モジュール150、および診断モジュール160のそれぞれは、互いに異なる物理デバイスに位置してもよく、同じ物理デバイスに位置してもよい。また、実施形態によっては、記憶モジュール110、生成モジュール130、取得モジュール140、学習モジュール150、および診断モジュール160のそれぞれを構成するソフトウェアおよび/またはハードウェアの組み合わせも、互いに異なる物理デバイスに位置し、互いに異なる物理デバイスに位置する構成が互いに有機的に組み合わされてそれぞれのモジュールを実現してもよい。
【0057】
なお、本明細書において、モジュールという用語は、本発明の技術的思想を実現するためのハードウェアと、ハードウェアを駆動するためのソフトウェアとの機能的および構造的な組み合わせを意味し得る。例えば、モジュールは、所定のコードと所定のコードが行われるためのハードウェアリソース(resource)の論理的な単位を意味することができ、必ずしも物理的に連結されたコードを意味するか、一種のハードウェアを意味するわけではないことは、本発明の技術分野の平均的専門家であれば容易に推論できるであろう。
【0058】
DB200は、複数の訓練用生体画像を記憶してもよい。訓練用生体画像は、組織画像や生検画像を含む各種の生体画像であってもよい。
【0059】
また、訓練用生体画像は、生体スライドであってもよく、生体スライドが分割された一部であるパッチであってもよい。
【0060】
複数の訓練用生体画像のそれぞれには、疾患診断結果がラベル付けされていてもよい。ラベル付けされた診断結果は、疾患診断システム100によって診断された診断結果と同種のものであってもよい。なお、各訓練用生体画像にラベル付けされている診断結果は、予め当該生体画像に基づいて医療従事者がなした疾患の判断結果であってもよい。
【0061】
例えば、疾病診断システム100が疾患の発症有無に対する分類結果を予測するシステムである場合、複数の訓練用生体画像のそれぞれにラベル付けされた診断結果も疾患の発症有無に対するものであってもよい。または実施形態によっては、生体画像に対する診断結果は特定疾患の発現有無(陰性/陽性)のみならず、特定疾患の進行度(または進行度に当たる確率)を含んでもよい。例えば、本発明の技術的思想が前立腺癌の診断に用いられる場合、前立腺癌の進行度の指標であるグリーソンパターン(Gleason Pattern)またはグリーソンスコア(Gleason Score)を診断結果に含めることができる。例えば、グリーソンスコアの値は2から10であり、6から10の値は通常、癌と見なすことができ、数値が大きいほど前立腺癌の発現程度が重度であることを示す。グリーソンパターンは、1から5までのレベルに分類される。
【0062】
もし、疾患診断システム100が、疾患の発症領域またはピクセル単位の診断結果を予測するシステム(すなわち、分割を行うシステム)である場合、複数の訓練用生体画像のそれぞれにおいてラベル付けされた診断結果も、疾患の発症領域またはピクセル単位の診断結果に関連し得る。
【0063】
一方、疾患は前立腺癌であってもよく、以下では前立腺癌を中心に説明するが、本発明の技術的思想が前立腺癌に限定するものではないことは、本発明が属する分野で通常の技術者であれば容易に理解できるであろう。
【0064】
診断ニューラルネットワーク120は、記憶モジュール110に格納されてもよく、診断ニューラルネットワーク120は、生成モジュール130によって生成されてもよい。診断ニューラルネットワーク120は、生体画像を用いて所定の疾患の診断結果を予測するニューラルネットワークであってもよい。
【0065】
記憶モジュール110は、診断ニューラルネットワーク120を記憶できるデータ記憶手段を意味してもよく、実施形態によって複数の記憶手段として実現されてもよい。また、記憶モジュール110は、サーバ10に含まれる主記憶装置だけでなく、一時記憶装置やメモリも含む意味であってもよい。
【0066】
診断ニューラルネットワーク120は、パッチ単位の生体画像を診断するためのニューラルネットワークであってもよい。この場合、パッチは、所定のスライドを所定のサイズに分割した部分画像であってもよい。すなわち、1つのスライドを複数のパッチに分割してもよく、診断ニューラルネットワーク120は、パッチレベルの診断を行うためのパッチを入力してもよい。診断を実行する前に、診断ニューラルネットワーク120は、学習モジュール150によって予め学習されてもよい。
【0067】
一方、診断ニューラルネットワーク120によって出力される情報は、パッチに該当する組織に特定の疾患(例えば、特定の種類の癌)が発症したか否か、または特定の疾患が発症した領域に対する判断を可能にする情報であってもよい。例えば、診断ニューラルネットワーク160によって出力される情報は、パッチに該当する組織に特定の疾患(例えば、特定の種類の癌)が発現したか否かに対する確率を示す情報であってもよい。この場合、診断ニューラルネットワーク120が出力した確率値が特定の基準値(閾値)以上である場合、パッチに疾患(例えば、前立腺癌)が発現していると判断してもよい。当然のことながら、実施形態によって、診断ニューラルネットワーク120は、特定の疾患が発現されているか否かだけでなく、特定の疾患の進行度(または進行度に当たる確率)を示す情報を出力してもよい。例えば、本発明の技術的思想が前立腺癌の診断に用いられる場合、前立腺癌の進行度の指標であるグリーソンパターンまたはグリーソンスコアが、診断ニューラルネットワーク120によって出力される情報に含まれてもよい。一方、診断ニューラルネットワーク120が用いる閾値は種々設定されてもよく、閾値に応じて、特定のパッチを疾患が発現されたパッチ、すなわち疾患パッチと判断され、または正常なパッチと判断されてもよいことは勿論である。
【0068】
あるいは、診断ニューラルネットワーク120は、パッチを入力し、該当パッチを構成するピクセル毎に疾患の分類結果を予測するためのニューラルネットワークであってもよい。また、分類結果を画素別に出力する診断ニューラルネットワーク120は、疾患の発症領域を区別するための分割を行ってもよい。この場合、診断ニューラルネットワーク120は、パッチを構成するピクセル毎の疾患の発症有無または疾患の発症確率を出力してもよく、発症されたと判断されたピクセルまたは発症確率がある閾値を超えるピクセルが構成する領域を発症領域と判断してもよい。
【0069】
実施形態によって、診断ニューラルネットワーク120は、ピクセル毎の疾患の発症有無(または疾患の発症確率)および/または疾患の進行度(または進行度に当たる確率)を予測して出力してもよい。
【0070】
一方、分割(すなわち、ピクセル毎の診断結果の予測)を行う前に、診断ニューラルネットワーク120は、学習モジュール150によって予め学習されてもよい。
【0071】
本明細書において、ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークを定義する一連の設計項目を表す情報の集合を意味し得る。一実施形態において、診断ニューラルネットワーク120は、畳み込みニューラルネットワークであってもよい。
【0072】
周知のように、畳み込みニューラルネットワークは、入力層、複数の隠れ層、および出力層を含んでもよい。複数の隠れ層のそれぞれは、畳み込み層およびプーリング層(またはサブサンプリング層)を含んでもよい。
【0073】
畳み込みニューラルネットワークは、これらの層のそれぞれを定義するための関数、フィルタ、スライド(stride)、重み係数などによって定義されてもよい。さらに、出力層は、全結合(fully connected)されたフィードフォワード層(FeedForward layer)として定義され得る。
【0074】
畳み込みニューラルネットワークを構成する各層の設計の詳細は周知である。例えば、複数の層に含まれる層数、複数の層を定義するための畳み込み関数、プーリング関数、および活性化関数のそれぞれに対しては公知の関数を用いてもよく、本発明の技術的思想を実現するために別途定義された関数を用いてもよい。
【0075】
畳み込み関数の例としては、離散畳み込み和がある。プーリング関数の一例として、最大プーリング(max pooling)、平均プーリング(average pooling)などを用いることができる。活性化関数の一例は、シグモイド(sigmoid)、正接双曲線(tanh)、整流線形ユニット(rectified linear unit;ReLU)などであってもよい。
【0076】
このような畳み込みニューラルネットワークの設計が定義される場合、その設計が定義された畳み込みニューラルネットワークは記憶装置に格納されてもよい。また、畳み込みニューラルネットワークが学習されると、各層に該当する重み係数を特定することができる。
【0077】
すなわち、畳み込みニューラルネットワークの学習は、各層の重み係数が決定される過程を意味し得る。また、畳み込みニューラルネットワークが学習されると、学習された畳み込みニューラルネットワークは、入力層に入力データを入力し、予め定義された出力層を介して出力データを出力してもよい。
【0078】
本発明の一実施形態によるニューラルネットワークは、上述したように広く知られている設計項目のいずれか1つまたは複数を選択することによって定義されてもよく、ニューラルネットワークに対して独自の設計が定義されてもよい。
【0079】
再び図2を参照すると、取得モジュール140は、診断ニューラルネットワーク120に対する機械学習のための訓練データを取得し得る。すなわち、取得モジュール140は、複数の訓練用生体画像を取得してもよく、複数の訓練用生体画像のそれぞれには、それに対応する診断結果がラベル付けされてもよい。例えば、取得モジュール140は、訓練用の生体画像をDB200から取得し得る。
【0080】
また、本明細書では前立腺癌に対して本発明の技術的思想が適用された一例を主に説明したが、特定の組織だけでなく、該当組織の周辺組織の状態まで考慮して特定組織の診断を行う必要がある他の疾患に対しても、本発明の技術的思想が適用される場合に正確な診断が可能であることを、本発明の技術分野の平均的専門家であれば容易に推論できるであろう。
【0081】
一方、学習モジュール150は、複数の訓練用生体画像を用いて、診断ニューラルネットワーク120を訓練してもよい。
【0082】
より具体的には、学習モジュール150は、複数の訓練用生体画像のそれぞれに対して、互いに異なる特性を有するノイズを訓練用生体画像に挿入して、訓練用生体画像に対応するK個の(ここで、Kは2以上の整数)のノイズ挿入画像を生成し、訓練用生体画像に対応するK個のノイズ挿入画像を診断ニューラルネットワークに入力して、診断ニューラルネットワークを訓練してもよい。
【0083】
図3は、本発明の一実施形態によって、複数の訓練用生体画像を用いて診断システム100が診断ニューラルネットワーク120を学習する処理を示すフローチャートである。
【0084】
図3を参照すると、診断システム100の取得モジュール140は、疾患の診断結果がラベル付けされているN個(Nは2以上の整数)の訓練用生体画像を取得してもよい(S100)。
【0085】
その後、診断システム100の診断モジュール150は、N個の訓練用生体画像のそれぞれに対して、S120からS150の処理を行ってもよい(S110)。
【0086】
J番目の訓練用生体画像Sを通じた学習過程の場合、S120段階で訓練用生体画像Sに互いに異なる特性を有するノイズを挿入して、訓練用生体画像Sに対応するK個(ここで、Kは2以上の整数)のノイズ挿入画像T(J,1)ないしT(J,K)を生成してもよい(S120)。
【0087】
例えば、ノイズ挿入画像T(J,1)ないしT(J,K)は、訓練用生体画像Sに平均および/または分散の互いに異なるガウスノイズ(Gaussian Noise)を付加した画像であってもよい。ガウスノイズが付加される場合、平均および/または分散に加えて種々のパラメータが変更されてもよく、ガウスノイズに加えて様々な形態のノイズが生体画像に付加される態様があってもよい。
【0088】
ステップS130では、訓練用生体画像Sに対応するK個のノイズ挿入画像T(J,1)ないしT(J,K)をすべて連結して、訓練用生体画像Sに対応する1つの訓練データUを生成してもよい。このとき、訓練データUは、訓練用生体画像Sのラベルでラベル付けされてもよい(S130)。
【0089】
ステップS140において、訓練用生体画像Sに対応する訓練データUを診断ニューラルネットワーク120に入力して、診断ニューラルネットワーク120を訓練してもよい。
【0090】
図4は、1つの訓練用生体画像に2つの異なるノイズを付加して生成した2つのノイズ付加画像を組み合わせて学習に用いる例(すなわち、Kが2である例)を示す図である。
【0091】
図4に示すように、学習対象となる原本画像にノイズ1とノイズ2をそれぞれ付加して互いに異なる2つのノイズ挿入画像を生成し、これらを結合した後、診断ニューラルネットワーク120に入力して学習を行ってもよい。
【0092】
再び図2を参照すると、診断モジュール160は、連続撮影されたK個の診断対象の生体画像を取得し、K個の診断対象の生体画像を学習モジュール150によって学習された診断ニューラルネットワーク120に入力して疾患に対する診断結果を予測することができる。一実施形態において、K個の診断対象の生体画像は、画像センサー21によって撮影された生体画像であってもよい。
【0093】
図5は、本発明の一実施形態によって診断対象の生体画像を診断システム100が診断する処理を示すフローチャートである。
【0094】
図5を参照すると、診断モジュール160は、連続撮影されたK個の診断対象の生体画像OからOを取得してもよい(S200)。
【0095】
診断モジュール160は、K個の診断対象の生体画像OからOに基づいて所定の診断条件が満たされたか否かを判断してもよい(S210)。
【0096】
一実施形態において、診断モジュール(160)は、K個の診断対象の生体画像に基づいて、診断対象画像を撮影している画像センサー21が移動中であるか否かを判断してもよく、画像センサー21が移動中でないと判断された場合、診断条件が満足されたと判断できる。すなわち、診断モジュール160は、画像センサー21が移動中でなく静止状態で生体画像の特定の部分の撮影を続けている場合に、診断条件が満たされていると判断できる。
【0097】
例えば、診断モジュール160は、連続する2つの画像間の関係を示す数値または値を算出し、算出された数値または値が所定の限界範囲内にある場合は移動中でないと判断できる。
【0098】
あるいは、実施形態によって、診断モジュール160は、画像センサー21が移動中でなく、かつK個の診断対象の生体画像が生体組織を撮影していると判断した場合に、診断条件が満たされていると判断できる。また、各種の診断条件が予め設定されていてもよい。
【0099】
もし診断条件を満たさない場合は、疾患の診断を行うことなく、その後に撮影されたK個の生体画像を取得することができる(S210、S200を参照)。
【0100】
もし診断条件が満たされた場合、診断モジュール160は、K個の診断対象の生体画像O~Oを連結(concatenation)して診断対象データPを生成してもよく(S220)、診断対象データPを診断ニューラルネットワーク120に入力して疾患に対する診断結果を予測してもよい。
【0101】
図6は、2つの連続撮影された診断対象の生体画像を用いて診断を行う過程を説明するための図である。
【0102】
図6に示すように、入力装置(例えば、画像センサー21)から取得した2つの診断対象画像(すなわち、画像1、画像2)が互いに結合され、診断条件が満たされるか否かを判断するためのアルゴリズムに入力してもよい。もし診断条件が満たされた場合、結合されたデータ(すなわち、診断対象データ)を学習した診断ニューラルネットワーク120に入力してもよく、診断ニューラルネットワーク120は、診断結果を予測することができる。
【0103】
上述したように、実施形態によって、診断ニューラルネットワーク12は、生体画像(例えばパッチ)のうち疾患の発症領域を特定するための分割を行う分割ニューラルネットワークであってもよく、そのために分割ニューラルネットワークは非常に独特な構造を有してもよい。
【0104】
本発明の一実施形態による分割のための診断ニューラルネットワーク120は、生体画像に疾患が存在するか否かを判断するための分類を行うニューラルネットワーク(後述する「分類ニューラルネットワーク」)に基づいて、これに分割のためのサブアーキテクチャを結合した形で実現することができる。このような診断ニューラルネットワーク120の構造を図7に示す。
【0105】
図7は、本発明の一実施形態による分割のための診断ニューラルネットワーク120の全体的な構造を示す図である。
【0106】
図7に示されるように、本発明の一実施形態による診断ニューラルネットワーク120は、分類ニューラルネットワーク200および分割アーキテクチャ260を含んでもよい。
【0107】
分類ニューラルネットワーク200は、診断対象データを入力層に入力し、診断対象データに対応する診断対象画像に疾患が存在するか否かに関する分類結果(例えば、図7に示すようなスコア)を出力してもよい。これは分類と呼ばれ、分類の過程において、分類ニューラルネットワーク200は、内部に含まれる一部の隠れ層における中間生成物として入力(すなわち、パッチ)に対する特徴を生成できる。特に、画像などの2次元以上のマトリックスを入力として受け取る場合、生成される特徴は2次元マトリックスの形式であるため、特徴マップという用語が用いられることがある。一方、以下では、分類ニューラルネットワーク200に含まれる隠れ層のうち特徴マップを生成する層を特徴マップ抽出層と呼ぶことにする。
【0108】
一方、分割アーキテクチャ260は、分類ニューラルネットワーク200に含まれた隠れ層のうち、2以上の特徴マップ抽出層のそれぞれで生成する特徴マップ(例えば、図4に図示されているf1、f2、f3)を入力し、パッチのうち疾患が存在する領域を特定して出力してもよい。
【0109】
図7では、分類ニューラルネットワーク200が分類を行う過程で3つの特徴マップ(f1、f2、f3)を生成する例を示しているが、実施形態によってはこれより多いか少ない数の特徴マップが生成され得ることは勿論である。
【0110】
一方、本発明の実施形態によると、分類を行う分類ニューラルネットワーク200は、公知のデンスネット(densenet)を用いており、このとき、以前の出願に開示されたように診断の対象となる特定パッチだけでなく周辺パッチまでも考慮できるように設計され得る。加えて、様々なニューラルネットワークが活用されてもよく、いずれにしても、分類ニューラルネットワーク200は、特定のパッチを入力として受け取り、特定のパッチの疾患発現確率に対応する特徴値を出力するように定義され得る。
【0111】
一方、図8は、分割アーキテクチャ260の全体的な構造を説明するための図である。
【0112】
図8を参照すると、分割アーキテクチャ260は、畳み込みサブアーキテクチャ261、分割サブアーキテクチャ263を含んでもよく、実施形態によってトリミングサブアーキテクチャ264をさらに含んでもよい。
【0113】
上述したように、分類ニューラルネットワーク200において行われる分類過程で、各特徴抽出層によって特徴マップF1、F2、F3が生成されてもよく、各特徴マップは、畳み込みサブアーキテクチャ261に含まれた畳み込みノード262-1から262-3に入力してもよい。
【0114】
各畳み込みノード262-1から262-3は、分類ニューラルネットワーク200に含まれる2つ以上の特徴抽出層のそれぞれに対応し、それに対応する特徴抽出層から入力される特徴マップF1からf3に対する畳み込みまたは2つ以上の互いに異なる畳み込みを行ってもよい。一方、実施形態によって、各畳み込みノード262-1から263-3は、アップスケーリング(例えば、アップサンプリング)またはダウンスケーリング(例えば、ダウンサンプリング)の後に畳み込みを行ってもよい。
【0115】
各畳み込みノード262-1から262-3は、1つまたは2つ以上の結果物を生成するために1つまたは2つ以上の畳み込みを行ってもよい。実施形態によって、畳み込みノード262-1から262-3によって行われる畳み込みは、拡張畳み込み(Dilated convolution; Atrous convolutionともいう)であってもよい。拡張畳み込みは、従来の畳み込みとは異なり、隣接するピクセルから特徴を抽出するのではなく、予め定められた間隔(rate)をおいて畳み込みを行う方法である。例えば、畳み込みノードのいずれか1つ(例えば、511-2)は、1x1拡張畳み込み、レート6の3x3拡張畳み込み、レート12の3x3拡張畳み込み、およびレート18の3x3拡張畳み込みを行って、4つの畳み込み結果物(特徴)を生成し得る。
【0116】
一方、分割サブアーキテクチャ263は、畳み込みサブアーキテクチャ261によって生成された畳み込み結果に基づいて、パッチのうち疾患が存在する領域を特定し得る。
【0117】
分割サブアーキテクチャ263は、畳み込みサブアーキテクチャ261によって生成された畳み込み結果に対して所定の演算を行ってもよい。分割サブアーキテクチャ263が行う演算は、結合(concatenation)および/または畳み込みの組み合わせと定義できる。実施形態によって、結合および畳み込みは、様々な方法で組み合わされ得る。
【0118】
一方、実施形態によっては、トリミングサブアーキテクチャ264は、分割サブアーキテクチャ263から出力される結果物に対するセンタートリミングを行うことによって、分割に対する最終結果を生成し得る。これは、畳み込みサブアーキテクチャ261および分割サブアーキテクチャ263の結果物において、比較的中央部分が結果をより正確に反映する傾向があるためである。
【0119】
図9は、本発明の一実施形態による分割のための診断ニューラルネットワーク120の具体例を示す図である。
【0120】
図9を参照すると、診断ニューラルネットワークに含まれた分類ニューラルネットワーク200は、分類を行ってもよい。分類のために、分類ニューラルネットワーク200は、入力層にパッチを入力し、第1の特徴抽出層L1における畳み込みおよびプーリング演算を通じて、1/4サイズのロー特徴マップf1を生成してもよい。次いで、第1デンスブロックと第1トランジション演算(denseblock1、transition1)及び第2のデンスブロックと第2のトランジション演算(denseblock2, transition2)を経て、第2の特徴抽出層L2において1/16サイズのミドル特徴マップf2を生成することができる。次いで、第3のデンスブロックおよび第3のトランジション演算(denseblock3、transition3)、第4デンスブロック(denseblock4)、および1x1畳み込みを順に経て、第3の特徴抽出層L3において1/16サイズのエンド特徴マップf3を生成することができる。その後、平均プーリングを通じて疾患の有無に対するスコアを出力することができる。
【0121】
一方、分割アーキテクチャ260では、分類ニューラルネットワーク200において生成された各特徴を用いて分割を行ってもよい。
【0122】
より具体的には、畳み込みサブアーキテクチャ261に含まれた各畳み込みノード510は、それに対応する特徴抽出層から入力する特徴マップに対する予め定義された方式の少なくとも1つの畳み込みを行ってもよい。図9の例では、第1畳み込みノード262-1は、それに対応する第1特徴抽出層L1から入力する特徴マップf1に対する1x1畳み込みを行ってもよい。第2の畳み込みノード262-2は、それに対応する第2の特徴抽出層L2から入力する特徴マップF2に対して、1x1畳み込み、レート6の3x3拡張畳み込み、レート12の3x3拡張畳み込み、およびレート18の3x3拡張畳み込みを行って、4つの畳み込み結果物(特徴)を生成し得る。第3の畳み込みノード262-3は、それに対応する第3の特徴抽出層L3から入力する特徴マップf3に対して2倍アップサンプリングした後に1x1畳み込みを行ってもよい。
【0123】
一方、分割サブアーキテクチャ263は、畳み込みサブアーキテクチャ261で生成される結果を受け取り、予め定義された演算を行ってもよい。図9の例では、分割サブアーキテクチャ263は、第2の畳み込みノード511-2と第3の畳み込みノード511-3によって生成された畳み込み結果物(特徴)のすべてを結合して1×1畳み込みを行い、これと第1の畳み込みノード511-1で生成された畳み込み結果物(特徴)とを組み合わせた後、3×3畳み込みを行ってもよい。
【0124】
その後、センタートリミングは、トリミングサブアーキテクチャ264において行われてもよい。
【0125】
このような本発明の技術的特徴を有するニューラルネットワークを用いることにより、分割の精度を大幅に向上させることができる。従来のニューラルネットワークにおける分割精度を向上させるためには、入力データから特徴をうまく抽出し、訓練前にニューラルネットワークの初期重みを適切に設定して訓練を行う必要があることは経験的によく知られている。しかし、上述したように、本発明の技術的思想によると、分割は、分類ニューラルネットワークに基づく特定の構造を有する分割アーキテクチャを組み合わせた方式のニューラルネットワークによって行われ、パッチレベルの分類過程で抽出される特徴は、入力データの特徴を非常によく反映している。そのため、これを分割過程にそのまま用いることで、分割の精度を高める効果がある。
【0126】
一方、本明細書では、前立腺癌に対して本発明の技術的思想が適用された一例を主に説明したが、特定組織だけでなく、当該組織の周辺組織の状態まで考慮して特定組織の診断を行う必要がある他の疾患に対しても、本発明の技術的思想が適用されると正確な診断が可能であることを、本発明の技術分野の平均的専門家であれば容易に推論できるであろう。
【0127】
一方、実施形態によって、診断システム100は、プロセッサと、プロセッサによって行われるプログラムを格納するメモリと、を含んでもよい。プロセッサは、シングルコアCPUまたはマルチコアCPUを含んでもよい。メモリは、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、1つ以上の磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステートメモリデバイスなどの不揮発性メモリを含んでもよい。プロセッサおよび他の構成要素によるメモリへのアクセスは、メモリコントローラによって制御され得る。
【0128】
一方、本発明の実施形態による多色モデル及びニューラルネットワークを介した診断方法は、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令形態で実現され、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納でき、本発明の実施形態による制御プログラム及び対象プログラムもコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納できる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータが格納されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0129】
記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特に設計および構成されたものであってもよく、またはソフトウェア当業者に公知かつ利用可能であってもよい。
【0130】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気媒体(magnetic media)、CD-ROMやDVDなどの光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)などの光磁気媒体(magneto-optical media)、ROM、RAM、フラッシュメモリなどのプログラム命令を記憶および実行するように特に構成されたハードウェアデバイスが挙げられる。さらに、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、コンピュータ読み取り可能なコードを分散的に格納および実行することができる。
【0131】
プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コード、ならびにインタプリタ等を用いて電子的に情報を処理する装置、例えばコンピュータによって実行され得る高級言語コードが含まれる。
【0132】
上述のハードウェアデバイスは、本発明の動作を実行するための1つ以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成されてもよく、逆もまた同様である。
【0133】
上述した本発明の説明は例示のみを目的としており、本発明が属する分野の当業者は、本発明の技術的思想または本質的な特徴を変更することなく、他の特定の形態に容易に変換できることを理解できるであろう。したがって、上述した実施形態は、すべての点で例示的なものであり、限定的なものでないと理解されるべきである。例えば、単一の形態で記述された各構成要素が分散されてもよく、同様に分散されたものと記述された構成要素が結合された形態で実施されてもよい。
【0134】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは、以下に説明する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲ならびにそれらの等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、多相の生体画像を用いて学習されたニューラルネットワークを用いて疾患を診断する方法、およびそれを行う疾患診断システムに関する。

図1
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図9