(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ゴルフボール貸出機
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
A63B69/36 522V
(21)【出願番号】P 2024148574
(22)【出願日】2024-08-30
【審査請求日】2024-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399060388
【氏名又は名称】有限会社テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】伊達 康彦
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0038942(US,A1)
【文献】特開平07-108077(JP,A)
【文献】米国特許第05077854(US,A)
【文献】米国特許第05772778(US,A)
【文献】特開2019-000566(JP,A)
【文献】特開2002-028273(JP,A)
【文献】特開平09-028853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0206103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00 - 69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、この機枠の内部の上部に配した下方傾斜構成のボールストック部と、このボールストック部に連続させて、機枠の内部の下部に、ボールストック部における下方傾斜構成と逆方向の下方傾斜構成で配したボール排出部とを備えて成り、
ボールストック部は、下方傾斜するプレート状のボール支持盤の末端部分に、ボール排出部にゴルフボールを送出落下させる送出口が開口形成して成り、
ボール排出部は、下方傾斜する並列された複数の排出路と、この排出路の下部にはゴルフボールを所定量毎に区画保持した後、その所定量毎に排出させる排出機構とが設けられていて、この排出機構は、排出路の底面で排出路に直交させて横架固定した揺動支点シャフトと、排出路の外側幅員、並列状態のゴルフボールの所定量に相当する長さを備えた平面矩形状で、揺動支点シャフトに支承されて揺動される排出枠と、この排出枠の前後縁に設けられて、排出路それぞれ内に出没する前部規制片、後部規制片と、排出枠を前後方向で揺動させる揺動手段とを備
え、
この排出機構の揺動手段は、排出枠の前部を下方に強制牽引するようON―OFFされるソレノイドに排出枠の前部に連繋した牽引索と、排出枠の後部を下方に弾発的に牽引している弾性索とによって構成して成る、
ことを特徴とするゴルフボール貸出機。
【請求項2】
機枠の内部では、ボールストック部からボール排出部にゴルフボールが自然落下で順次に送出されるようボールストック部が下方傾斜形態で設けられ、この下方傾斜したボールストック部の最低位置である末端部分の下方に、ボールストック部の傾斜方向とは逆方向にして下方傾斜状態で設けられたボール排出部の最高位置である始端部分が配置されている請求項1に記載のゴルフボール貸出機。
【請求項3】
ボール排出部は、下方傾斜する並列された複数の排出路を備え、この排出路は、ゴルフボールの直径に比しやや狭幅の間隔で互いに平行させて並列配置した複数のパイプ材製のボール案内材から成り、隣接する一対のボール案内材相互間に形成される空隙によって1個の排出路を形成している請求項1に記載のゴルフボール貸出機。
【請求項4】
ボールストック部の送出口の下方には、ボール排出部の始端部分との間でボール崩し機構が設けられていて、このボール崩し機構は、1個のゴルフボールをくぐらせるだけの高さ間隔に設定させてボール排出部の始端部分上に配した制御バーと、この制御バー上でゴルフボールに接触回転する崩しローラーと、この崩しローラーを回転させる崩しモーターとを備えている請求項1に記載のゴルフボール貸出機。
【請求項5】
ボール排出部の始端部分には、ボール崩し機構の下方に位置させて、並列状の排出路それぞれに連続する1枚のボール案内板を繋げてある請求項4に記載のゴルフボール貸出機。
【請求項6】
排出機構において、前部規制片、後部規制片は排出枠に櫛歯状に配列されていて、前部規制片は後部規制片に比し、排出路に設定されている傾斜によって排出枠の前後に生じている高さの差異に応じて低く設定してある請求項1に記載のゴルフボール貸出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばゴルフ練習場においてゴルフボールを所定量で貸し出しするゴルフボール貸出機に係り、所定量のゴルフボールを迅速に目詰まりすることなく排出供給できるようにしたゴルフボール貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴルフ練習場では、練習者が所定量のゴルフボールの貸し出しを受け、ショット、アプローチなどの種々の練習をしている。そのためのゴルフボール貸出供給装置がゴルフ練習場に設置されており、練習者毎に区画された練習席それぞれにゴルフボールを所定量で供給するシステムであると設備費用が膨大となるため、その多くの練習場では例えば投入するコイン・メダルなどによって所定量のゴルフボールが供給されるとするゴルフボール貸出機が設置されている。
【0003】
このゴルフボール貸出機としては、例えば特許文献1のボール出庫装置、特許文献2のボール貸出機、特許文献3のゴルフボールの排出装置などが提案されている。特許文献1のボール出庫装置は、ボールドラムに連結したボール流路に形成したシュートによってボールを供給し、ボールを検知するセンサによって計測した所定量のボール毎にシャッタで開閉するとする。特許文献2のボール貸出機は、ボール収納部からのボールを2本の螺旋ローラで送ることでボールをほぐした後、通過するボールがカウント部を経ることで、設定された所定量毎にシャッタを開閉して供給するとする。特許文献3のゴルフボールの排出装置は、ゴルフボールが通過する投入口と出口との間のボール通路に、間隔調整できる制御カム、固定ガイド板とを設けてボール排出量を調節し、制御カムに可動ガイド板を上下動させるようローラーを介して接触させるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-108077号公報
【文献】特開平8-266699号公報
【文献】特開平9-28853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが以上のような従来の貸出供給装置では、ボールの供給路はボールの1個分の幅員に設定されていて、供給されるボールをカウントすることで貸し出す所定量毎にシャッタなどで閉鎖している。そのため、貸し出される所定量に達するまで待機する必要がある。そればかりでなく、供給路への供給に際しボールが互いに絡み合うように、いわゆる塊状となって目詰まりを生じることがあり、安定した供給排出が困難となることがあった。また、その目詰まり防止する従来の機構では複雑な構成となっているからそのメンテナンスも容易に行えるものではなかった。
【0006】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、例えば所定のコイン・メダルの投入によって所定量のゴルフボールを瞬時に速やかに供給排出でき、大量に投入保管されたゴルフボールでも排出路上で目詰まりを生じさせることなく円滑に安定的に作動し、メンテナンスも容易であってゴルフ練習場に設置するについても簡単であるゴルフボール貸出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、機枠1と、この機枠1の内部の上部に配した下方傾斜構成のボールストック部10と、このボールストック部10に連続させて、機枠1の内部の下部に、ボールストック部10における下方傾斜構成と逆方向の下方傾斜構成で配したボール排出部20とを備えて成り、ボールストック部10は、下方傾斜するプレート状のボール支持盤11の末端部分に、ボール排出部20にゴルフボールBを送出落下させる送出口12が開口形成して成り、ボール排出部20は、下方傾斜する並列された複数の排出路22と、この排出路22の下部にはゴルフボールBを所定量毎に区画保持した後、その所定量毎に排出させる排出機構31とが設けられていて、この排出機構31は、排出路22の底面で排出路22に直交させて横架固定した揺動支点シャフト32と、排出路22の外側幅員、並列状態のゴルフボールBの所定量に相当する長さを備えた平面矩形状で、揺動支点シャフト32に支承されて揺動される排出枠34と、この排出枠34の前後縁に設けられて、排出路22それぞれ内に出没する前部規制片35A、後部規制片35Bと、排出枠34を前後方向で揺動させる揺動手段36とを備えて成ることを特徴とする。
機枠1の内部では、ボールストック部10からボール排出部20にゴルフボールBが自然落下で順次に送出されるようボールストック部10が下方傾斜形態で設けられ、この下方傾斜したボールストック部10の最低位置である末端部分の下方に、ボールストック部10の傾斜方向とは逆方向にして下方傾斜状態で設けられたボール排出部20の最高位置である始端部分が配置されて構成することができる。
ボール排出部20は、下方傾斜する並列された複数の排出路22を備え、この排出路22は、ゴルフボールBの直径に比しやや狭幅の間隔で互いに平行させて並列配置した複数のパイプ材製のボール案内材22Aから成り、隣接する一対のボール案内材22A相互間に形成される空隙によって1個の排出路22を形成するように構成することができる。
ボールストック部10の送出口12の下方には、ボール排出部20の始端部分との間でボール崩し機構15が設けられていて、このボール崩し機構15は、1個のゴルフボールBをくぐらせるだけの高さ間隔に設定させてボール排出部20の始端部分上に配した制御バー16と、この制御バー16上でゴルフボールBに接触回転する崩しローラー17と、この崩しローラー17を回転させる崩しモーター18とを備えて構成することができる。
ボール排出部20の始端部分には、ボール崩し機構15の下方に位置させて、並列状の排出路22それぞれに連続する1枚のボール案内板23を繋げて構成することができる。
排出機構31において、前部規制片35A、後部規制片35Bは排出枠34に櫛歯状に配列されていて、前部規制片35Aは後部規制片35Bに比し、排出路22に設定されている傾斜によって排出枠34の前後に生じている高さの差異に応じて低く設定して構成することができる。
排出機構31の揺動手段36は、排出枠34の前部を下方に強制牽引するようON―OFFされるソレノイド37に排出枠34の前部に連繋した牽引索38と、排出枠34の後部を下方に弾発的に牽引している弾性索39とによって構成することができる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係るゴルフボール貸出機にあって、例えばコイン・メダルの投入によって、ボール排出部20における排出機構31では、その揺動によって区画保持していた所定量のゴルフボールBを排出させ、貸出希望者のゴルフショットの練習に供させる。
ボールストック部10では、貸し出すゴルフボールBを十分に貯留保持させており、ボール排出部20によって所定量毎に貸出排出するのであり、ボール排出部20では、複数の並列状態で構成された複数の排出路22に整列保持された所定量のゴルフボールBを排出機構31によって短時間で瞬時に排出させる。
ボールストック部10の送出口12に設けたボール崩し機構15は、積み重ねられて塊状となったゴルフボールBをボール案内板23上で平坦状に並列させて並列構成の排出路22それぞれに整列状態で供給させ、所定量のゴルフボールBを排出枠34内に一時的にでも区画保持させた後、排出機構31の揺動によって瞬時に過不足なく排出させる。
ボール排出部20の下部に設けた排出機構31は、揺動する排出枠34の前後に設けた前部規制片35A、後部規制片35Bが揺動に伴い、排出路22の前後で交互に出没することで、整列供給されるゴルフボールBを所定量で区画し、その一時的保持、保持後の排出、排出後の保持を、ゴルフボールBが排出路22に連続供給されることと相俟ち、円滑に作動、処理させる。
排出機構31における揺動手段36は、揺動させる排出枠34の前部を牽引するソレノイド37のONによって前部規制片35Aの排出路22下方への没入、及び後部規制片35Bの排出路22上方への突出によって、保持したゴルフボールBのみを排出させる。ソレノイド37のOFFによって弾性索39の牽引が排出枠34を原位置に復帰させ、前部規制片35Aの排出路22内への突出、及び後部規制片35Bの排出路22下方への没入によって、並列配置の排出路22それぞれに整列状態で所定量のゴルフボールBを供給させ、次動作に備えさせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば所定のメダル、コインの投入によってボール排出部20から所定量のゴルフボールBを瞬時に速やかに供給排出でき、ボールストック部10に大量に投入保管されたゴルフボールBでもボール排出部20における排出路22上で目詰まりを生じさせずに円滑に安定的に排出作動でき、しかもメンテナンスも容易であってゴルフ練習場に設置するについても簡単に行うことができる。
【0010】
すなわちこれは本発明において、機枠1の内部に配した下方傾斜構成のボールストック部10と、逆方向の下方傾斜構成で配したボール排出部20とを連続して設け、ボールストック部10末端部分の送出口12からボール崩し機構15を介してボール排出部20に並列状に平坦にしてゴルフボールBを自然落下させるようにし、ボール排出部20は、並列された複数の排出路22と、排出路22の下部にはゴルフボールBを所定量毎に区画保持した後、その所定量毎に排出させる排出機構31とを設け、排出機構31は、揺動支点シャフト32を支点として揺動される平面矩形状の排出枠34の前後縁に、排出路22それぞれ内に出没する前部規制片35A、後部規制片35Bを櫛歯状に設け、この排出枠34の揺動で、所定量のゴルフボールBの一時的保持、排出、供給保持の動作を繰り返させて次動作に備えるようにしたからである。
【0011】
また、ボールストック部10とボール排出部20とは、共に下方傾斜構成であっても、これらの傾斜方向は全く逆方向であり、ボールストック部10の末端部分の下方にボール排出部20の始端部分を配置してあることで、機枠1内でこれらのボールストック部10とボール排出部20とをコンパクトに纏めることができ、機枠1の小型化に大きく寄与する。
【0012】
ボールストック部10は、機枠1の上部に下方傾斜構成で設けてあることで、大量のゴルフボールBを貯留でき、大量で積み重ねられて塊状となっていても、ゴルフボールBをボール排出部20に送出させる送出口12に設けたボール崩し機構15によって、その塊状のゴルフボールBを崩すことができる。すなわち、このボール崩し機構15では、1個のゴルフボールBをくぐらせるだけの高さでボール排出部20上に配した制御バー16上でゴルフボールBに接触回転する崩しローラー17を回転させるようにしたからであり、ゴルフボールBが塊状に積重ねられていても、それらをランダムに崩すものとなり、崩すことでボール排出部20には平坦な並列状態で供給できる。
【0013】
しかも、ボール排出部20の始端部分において、ボール崩し機構15の下方の直下に、並列した複数の排出路22に繋がる1枚のボール案内板23を設けることで、ボールストック部10から排出路22それぞれへの整列案内を一層確実にすることができる。
【0014】
排出路22は、ゴルフボールBの直径に比しやや狭幅の間隔で互いに平行させて並列配置した複数のパイプ材製のボール案内材22Aから成ることで、排出路22に供給されたゴルフボールBは、この下方傾斜した排出路22に沿って速やかに転がり、案内されて下部の排出機構31にスムーズに供給される。
【0015】
排出機構31において、その排出枠34は、排出路22の外側幅員、並列状態のゴルフボールBの所定量に相当する長さを備えた平面矩形状で、排出路22それぞれ内に出没する前部規制片35A、後部規制片35Bを前後縁に設けてあることで、排出路22上で所定量のゴルフボールBを区画保持できる。そして、揺動手段36による排出路22内への前後における前部規制片35A、後部規制片35Bの交互の出没によって、前部規制片35A、後部規制片35Bそれぞれの高さの差異と相俟って、区画保持した所定量のゴルフボールBの排出、排出後の再度の所定量の区画保持を確実にし、次動作に備えるのであり、これの繰り返しによってゴルフボールBの貸出排出を円滑にしている。
【0016】
排出機構31の揺動手段36は、ON―OFFされるソレノイド37による排出枠34の前部の牽引索38を介した上下動と、後部の弾性索39による弾発的牽引とによって、排出枠34を繰り返し揺動させ、例えばコイン・メダルなどの投入による一連の作動の制御も簡単に行うことができる利点もある。
【0017】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す正断面図である。
【
図5】同じく排出機構の作動を説明する正断面図で、その(A)は所定量のゴルフボールを区画保持しているとき、(B)は排出しているとき、(C)は次動作に備えゴルフボールが供給されるときそれぞれを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は本発明に係る貸出機の外郭フレームを形成する機枠であり、例えばゴルフ練習場における通路などに設置したときでも、通行の邪魔にならない程度の大きさの直方体のボックス状に形成されている。
【0020】
この機枠1内には、貸し出すためのゴルフボールBを収容保持して貯留しているボールストック部10、所定量でゴルフボールBを排出供給するボール排出部20、このボール排出部20によるゴルフボールBの排出作動を制御する制御部6が設けられている。
【0021】
機枠1の上部壁には、ボールストック部10内にゴルフボールBを投入するボール投入口2を開閉自在にして設けてあり、正面壁には、その上部に機枠1の内部におけるゴルフボールBを確認点検する点検窓3が、その下部に貸し出されるゴルフボールBが供給排出される排出口4がそれぞれ設けられている。また、機枠1の正面において、所定量毎のゴルフボールBを排出させるボール排出部20を制御作動させるよう、コイン・メダルなどが投入される貸出投入口5が配置されており、この貸出投入口5は前記制御部6に組み込まれている。
【0022】
機枠1の内部では、ボールストック部10からボール排出部20にゴルフボールBが自然落下で順次に送出されるようボールストック部10が下方傾斜形態で設けられ、この下方傾斜したボールストック部10の最低位置である末端部分の下方に、ボールストック部10の傾斜方向とは逆方向にして下方傾斜状態で設けられたボール排出部20の最高位置である始端部分が配置されている。すなわち、投入されたゴルフボールBのボールストック部10におけるボール排出部20に対する送出方向と、機枠1がゴルフボールBを排出する排出方向とは逆になって連続しており、いずれもゴルフボールBの自然落下作用によって転がるものとしてある。
【0023】
図例にあっては、機枠1の正面から見て、右側の上部位置にボールストック部10の最高位置である始端部分を、左側にボールストック部10の末端部分及びボール排出部20の始端部分を、右側にボール排出部20の末端部分それぞれを配置してなるも、配置形態はこの図示例に限定されない。
【0024】
ボールストック部10には、機枠1の内部の上部に、末端部分に至るに伴い下方傾斜するプレート状のボール支持盤11が機枠1の壁部にその側周縁が固定されることで配装されている。そして、機枠1の上部壁に開閉自在に設けられた前記ボール投入口2を経てゴルフボールBが投入供給され、投入されたゴルフボールBはこのボールストック部10の下方に設けられているボール排出部20を経て、排出、貸し出される。ボール支持盤11における末端部分の最低位置には、ボール排出部20にゴルフボールBを送出落下させる送出口12が開口形成されており、この送出口12は、その幅員はボール排出部20の幅員に対応していて、ボール排出部20において、後述する排出路22それぞれに並列排出させる並列数でボール排出部20に送出落下させるようにしている。
【0025】
また、ボール排出部20は、ボールストック部10の下方に、機枠1の内部の下部において前後左右で立設した支柱枠21によって支持配置されており、排出口4が設けられた、機枠1の側部に至るに伴い下方傾斜する並列された複数の排出路22を備える。排出路22は、支柱枠21に固定されて、ゴルフボールBの直径に比しやや狭幅の間隔で互いに平行させて並列配置した複数のパイプ材製のボール案内材22Aから形成されている。すなわち、隣接する一対のボール案内材22A相互間に形成される空隙によって1個の排出路22が形成されているのであり、図示例にあっては10個の排出路22を形成する11本のボール案内材22Aが配装されている。そして、この排出路22それぞれは、ボールストック部10における送出口12の直下部位に配装した1枚のボール案内板23の下面に繋がっており、送出口12から落下されたゴルフボールBはボール案内板23の上面で転がって排出路22それぞれに案内されるようにしている。なお、排出路22の両側縁には、この排出路22の側方へのゴルフボールBの脱落を防止する側板が設けられている。
【0026】
また、ボール案内板23上では、ゴルフボールBを上下で積重ねさせずに並列させるように、送出口12の下方には、送出口12から落下されたゴルフボールBがいわゆる塊状となって滞留するのを防止し、ゴルフボールBが重ならずに転動するようにするボール崩し機構15が設けられている。このボール崩し機構15は、ボール案内板23上で1個のゴルフボールBをくぐらせるだけの高さ間隔に設定させてボール案内板23の上方に配した制御バー16と、この制御バー16上でゴルフボールBに接触回転する崩しローラー17と、この崩しローラー17を回転させるよう、前記後部の支柱枠21に配した崩しモーター18とを備えて成る。
【0027】
崩しローラー17は、ボール案内板23上のゴルフボールBをボールストック部10がわに逆走させる向きに回転されるもので、ボール案内板23において生じ得る滞留しているゴルフボールBをボールストック部10がわに逆走させるようにすることで滞留した塊を崩し、多数のゴルフボールBを平坦状に並列させて制御バー16の下方でくぐらせるようにしている。こうすることで、送出口12から落下送出されるゴルフボールBが積み重ねられ塊状になっていても、ボール案内板23上では制御バー16によって並列状態となって1個毎でくぐらされ、平坦状に並列されてボール案内板23上を転がり並列形成されている排出路22それぞれに1個毎で整列されて案内される。
【0028】
そして、ボール排出部20における排出路22の下部には、所定量毎に区画保持した後、その所定量毎に排出させる排出機構31が設けられている。この排出機構31は、排出路22の底面で排出路22に直交させて横架固定した揺動支点シャフト32と、排出路22の外側幅員、並列状態のゴルフボールBの所定量に相当する長さを備えた平面矩形状で、揺動支点シャフト32に支承されていて、揺動支点シャフト32を支点として揺動される排出枠34と、この排出枠34の前後縁に設けられて、排出路22それぞれ内に出没する前部規制片35A、後部規制片35Bと、排出枠34を前後方向で揺動させる揺動手段36とを備える。そして、揺動手段36によって、ゴルフボールBの排出時では排出路22の前方がわの前部規制片35Aを排出路22下方に没入させると同時に、排出路22の後方がわの後部規制片35Bを排出路22上方に突出させる。ゴルフボールBの区画保持時では排出路22の前方がわの前部規制片35Aを排出路22上方に突出させると同時に、排出路22の後方がわの後部規制片35Bを排出路22下方に没入させるようにして成る。
【0029】
揺動支点シャフト32は、排出路22を形成している前記ボール案内材22Aの底面にボール案内材22Aに直交させて溶接などで固着されており、この揺動支点シャフト32の両端に揺動連繋板33を揺動自在にして支承してあって、この揺動連繋板33の下部に排出枠34を連繋してある。こうすることで、排出枠34は、揺動支点シャフト32を支点として揺動連繋板32を介して揺動可能に支承されることになり、揺動手段36によって揺動されるようになっている。
【0030】
排出枠34は、例えば帯板材、アングル材、筒状材などによって平面から見て矩形状に形成されていて、その幅員は排出路22の外法幅員にほぼ対応しており、その前後方向の長さは、排出させるゴルフボールBの貸出数に対応して設定されている。図例にあっては、排出路22は10列構成とすると共に、1列におけるゴルフボールB数は5個毎として計50個のゴルフボールBを一度の操作で排出するようにしてあることで、排出枠34の長さは5個のゴルフボールBを排出方向で整列させたときの全体長さに対応したものとしてある。
【0031】
もとより、一度の操作によるゴルフボールBの貸出数に対応して、排出路22の数、排出枠34の長さは適宜に選択される。また、必要があれば、図示を省略したが、排出枠34における後縁の後方位置で出没調整される堰板を配装することで、予め設けられた貸出数から1列分毎の個数で減じるように調整設定することも可能である。
【0032】
前部規制片35A、後部規制片35Bは、排出枠34における前後縁で排出路22内に位置されるように設けられることで、いわば櫛歯状になっており、前部規制片35A、後部規制片35Bの高さは排出路22内に突出されたときにゴルフボールBの排出側への転がりを阻止するに足りるものとしてある。ただ、排出路22に設定されている傾斜によって排出枠34の前後に生じている高さの差異に応じて、前部規制片35Aは後部規制片35Bに比し低く設定されている。
【0033】
揺動手段36は、排出枠34の前部を下方に強制牽引するようON―OFFされるソレノイド37のアクチュエーターに排出枠34の前部に連繋した牽引索38と、排出枠34の後部を下方に弾発的に牽引しているコイルスプリングの如き弾性索39とから成る。
【0034】
これによって、ゴルフボールBの排出制御時では、ONされるソレノイド37が牽引索38を牽引させて排出枠34の前部を下方に牽引すると、前部規制片35Aを排出路22の下方に没入させ、これによって、排出枠34内で区画保持していたゴルフボールBを排出させるようにしている(
図5(B)参照)。このとき、排出枠34の後部規制片35Bは排出路22中に突出していることで、この後部規制片35Bの後方に貯留されているゴルフボールBをそのまま維持させている。
【0035】
ゴルフボールBの排出後でOFFされたソレノイド37は牽引索38に対する牽引作用を解除するのであり、排出時には後部規制片35Bが突出されることで牽引伸長されていた弾性索39がその弾発力で排出枠34の後部を下方に牽引し、排出路22内の後部規制片35Bを排出路22内から没入させる。すると、転がりが抑制されていた後方のゴルフボールBは排出路22上を下方に転がり(
図5(C)参照)、排出枠34の前部規制片35Aが排出路22内に突出していることで、排出路22の排出側へのゴルフボールBの転がりを阻止し、排出枠34内に所定量のゴルフボールBを区画保持し、次動作に備える(
図5(A)参照)。
【0036】
排出機構31によって排出された所定量のゴルフボールBは、ボール排出部20の前方に設けた排出案内路40を経て、機枠1の正面における下部に開口形成した排出口4から機枠1の外部に用意された例えば貸出篭内などに排出される。排出案内路40は、図に示すように、機枠1の側部の内側に排出口4側に下方傾斜した溝樋状に形成されている。
【0037】
また、前記制御部6は、貸出投入口5にコイン・メダルなどが投入されると、排出機構31の揺動手段36が例えば3秒間の間で駆動して排出枠34内の所定量のゴルフボールBを排出し、駆動停止後に排出枠34が原位置に復帰すると排出枠34内には再び所定量のゴルフボールBが供給されて区画保持する。そして、ボール崩し機構15が例えば2乃至3秒間の間で駆動し、送出口12に積重ねられている塊状のゴルフボールBを崩してボール案内板23上にゴルフボールBを送出させ、排出路22それぞれに対応して排出路22の後方部位にゴルフボールBを並列状に平坦に配置させて、次動作に備えさせるように制御させるようになっている。
【0038】
次に本発明に係る貸出機の作動を説明すると、例えばゴルフ練習場などに設置され、ボールストック部10内に多数のゴルフボールBを投入しておき、ボールストック部10の送出口12を経てボール排出部20にゴルフボールBを送出させ、排出機構31の複数回の作動によって、所定量のゴルフボールBを区画保持させておく。
【0039】
こうして準備された貸出機にあっては、貸出希望者が例えばコイン・メダルなどが貸出投入口5に投入されると、制御部6の制御作動によって排出機構31では、揺動手段36が排出枠34を揺動させ、排出枠34内に区画保持されていた所定量のゴルフボールBを排出案内路40に排出する。
【0040】
揺動手段36の停止後は、原位置に揺動復帰する排出枠34内に再び所定量のゴルフボールBを区画保持する。その一方では、ボール崩し機構15によって送出口12に積重ねられて塊状となっているゴルフボールBを崩し、平坦状に並列させた多数のゴルフボールBをボール案内板23上に転がり出させて排出路22それぞれに対応した並列状態にして配置させ、次動作に備える。
【符号の説明】
【0041】
B…ゴルフボール
1…機枠
2…ボール投入口
3…点検窓
4…排出口
5…貸出投入口
6…制御部
10…ボールストック部
11…ボール支持盤
12…送出口
15…ボール崩し機構
16…制御バー
17…崩しローラー
18…崩しモーター
20…ボール排出部
21…支柱枠
22…排出路
22A…ボール案内材
23…ボール案内板
31…排出機構
32…揺動支点シャフト
33…揺動案内板
34…排出枠
35A…前部規制片
35B…後部規制片
36…揺動手段
37…ソレノイド
38…牽引索
39…弾性索
40…排出案内路
【要約】
【課題】貸し出す所定量のゴルフボールを瞬時に速やかに供給排出し、大量に保管されたゴルフボールでも排出路上で目詰まりを生じさせずに安定的に排出動作させる。
【解決手段】機枠1の内部に配した下方傾斜構成のボールストック部10、逆方向の下方傾斜構成で配したボール排出部20を連続して設け、ボールストック部10末端部分の送出口12からボール崩し機構15を介してボール排出部20に並列状に平坦にしてゴルフボールBを自然落下させる。ボール排出部20は、並列された複数の排出路22と、排出路22の下部にはゴルフボールBを所定量毎に区画保持した後、その所定量毎に排出させる排出機構31とを設ける。排出機構31は、揺動支点シャフト32で揺動される平面矩形状の排出枠34の前後縁に、排出路22それぞれ内に出没する前部規制片35A、後部規制片35Bを櫛歯状に設け、一時的保持、排出、供給保持による次動作に備える。
【選択図】
図1