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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】製袋機
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/64 20170101AFI20241206BHJP
   B31B 70/18 20170101ALI20241206BHJP
【FI】
B31B70/64
B31B70/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024527698
(86)(22)【出願日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2023043457
【審査請求日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2023005888
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110192
【氏名又は名称】トタニ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐司
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-85483(JP,A)
【文献】特開2009-173291(JP,A)
【文献】国際公開第2016/051470(WO,A1)
【文献】特開2008-100466(JP,A)
【文献】特開昭57-1748(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199863(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2重袋を順次製造するように構成された製袋機であって、
前記2重袋は、第1外胴部、第2外胴部、第1内胴部、および、第2内胴部を備え、前記第1および第2内胴部は、互いに対向し、かつ、前記第1および第2外胴部の間に介在しており、
前記製袋機は、
第1原反から巻き出された第1主ウェブが送られる際に、前記第1主ウェブをスリットして前記第1外胴部用の第1外胴ウェブおよび前記第2外胴部用の第2外胴ウェブにするための第1スリッターと、
第2原反から巻き出された第2主ウェブが送られる際に、前記第2主ウェブをスリットして前記第1内胴部用の第1内胴ウェブおよび前記第2内胴部用の第2内胴ウェブにするための第2スリッターと、
重ねローラ対と、
前記第1主ウェブを案内して前記第1スリッターに通し、かつ、前記第1および第2外胴ウェブを前記重ねローラ対へ案内する第1ガイド機構であって、前記第1および第2外胴ウェブが前記重ねローラ対に達するまで前記第1および第2外胴ウェブを互いに離して前記第1外胴ウェブと第2外胴ウェブとの間に空間を形成する第1ガイド機構と、
前記第2主ウェブを案内して前記第2スリッターに通し、かつ、前記第1および第2内胴ウェブを、前記空間から、前記重ねローラ対へ案内して、前記第1外胴ウェブ、前記第2外胴ウェブ、前記第1内胴ウェブ、および、前記第2内胴ウェブが、前記重ねローラ対にて、互いに重ね合わされるようにする第2ガイド機構と、
前記第1外胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第1外胴ウェブに係合するための第1ダンサローラと、
前記第2外胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第2外胴ウェブに係合するための第2ダンサローラと、
前記第1および第2ダンサローラを互いに連動させるための第1リンク機構と、
前記第1リンク機構を介して、前記第1および第2ダンサローラを、前記第1および第2外胴ウェブに向けてそれぞれ付勢するための第1付勢部材と、を備える、
製袋機
【請求項2】
前記重ねローラ対は、前記第1および第2原反から前進水平方向に間隔をあけて設けられており、
前記第1ガイド機構は、
前記第1外胴ウェブを前記前進水平方向に直角な横方向から上方向に、前記第2外胴ウェブを前記横方向から下方向に方向転換するための第1分離ガイド部材と、
前記第1分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第1外胴ウェブを上方向から前記前進水平方向に方向転換するための第1下流水平ローラと、
前記第1分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第2外胴ウェブを下方向から前記前進水平方向に方向転換するための第2下流水平ローラと、を備え、
前記第2ガイド機構は、
前記第1内胴ウェブを前記横方向から上方向に、前記第2内胴ウェブを前記横方向から下方向に方向転換するための第2分離ガイド部材と、
前記第2分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第1内胴ウェブを上方向から前記前進水平方向に方向転換するための第3下流水平ローラと、
前記第2分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第2内胴ウェブを下方向から前記前進水平方向に方向転換するための第4下流水平ローラと、を備える、
請求項1に記載の製袋機
【請求項3】
前記第2スリッターおよび前記第2分離ガイド部材は、前記第1分離ガイド部材から前記前進水平方向に間隔をあけて、前記第1下流水平ローラより下方にかつ前記第2下流水平ローラより上方に位置している、
請求項2に記載の製袋機
【請求項4】
前記第3および第4下流水平ローラは、前記第1分離ガイド部材から前記前進水平方向に間隔をあけて、前記第1下流水平ローラより下方にかつ前記第2下流水平ローラより上方に位置している、
請求項3に記載の製袋機
【請求項5】
前記第2ガイド機構は、前記第2主ウェブを、前記第1スリッターおよび前記第1分離ガイド部材から前記横方向に迂回させるための複数の迂回ローラをさらに備える、
請求項2に記載の製袋機
【請求項6】
前記第1ガイド機構は、前記第1主ウェブを前記前進水平方向から前記横方向に方向転換して前記第1スリッターに通すための第1下流垂直ローラをさらに備え、
前記第1スリッターは、前記第1下流垂直ローラを経て前記横方向に送られている前記第1主ウェブをスリットするように配置されている、
請求項2に記載の製袋機
【請求項7】
前記第2ガイド機構は、前記第2主ウェブを前記前進水平方向から前記横方向に方向転換して前記第2スリッターに通すための第2下流垂直ローラをさらに備え、
前記第2スリッターは、前記第2下流垂直ローラを経て前記横方向に送られている前記第2主ウェブをスリットするように配置されている、
請求項6に記載の製袋機
【請求項8】
前記第1および第2ガイド機構は、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブが重ね合わされるときに、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブのスリットにより生じる縁が全て同じ方向を向くように前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブを案内するように構成されている、
請求項1に記載の製袋機
【請求項9】
前記重ねローラ対の下流に設けられて、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブを間欠送りする送り装置をさらに備える、
請求項に記載の製袋機。
【請求項10】
前記第1内胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第1内胴ウェブに係合するための第3ダンサローラと、
前記第2内胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第2内胴ウェブに係合するための第4ダンサローラと、
前記第3および第4ダンサローラを互いに連動させるための第2リンク機構と、
前記第2リンク機構を介して、前記第3および第4ダンサローラを、前記第1および第2内胴ウェブに向けてそれぞれ付勢するための第2付勢部材と、をさらに備える、
請求項に記載の製袋機。
【請求項11】
前記重ねローラ対の下流に設けられて、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブを間欠送りする送り装置と、
前記重ねローラ対の下流に設けられて、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブをヒートシールするシール装置と、
前記シール装置の下流に設けられて、間欠送りの度に、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブをその幅方向にクロスカットして、前記2重袋を成形するクロスカット装置と、をさらに備える、
請求項に記載の製袋機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2重袋を順次製造するための製袋機用のウェブ重ね装置に関する。また、本願は、2重袋を順次製造するための製袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
2重袋は、例えば特許文献1、2に開示の通り広く知られている。2重袋は、互いに対向する2つの複合シートを少なくとも備える。収容空間が、2枚の複合シートによってこれらの間に形成される。各複合シートは、互いに重ね合わされた内胴部および外胴部によって構成されている。したがって、2重袋は、2枚の内胴部および2枚の外胴部によって、すなわち、少なくとも4枚のシートによって構成される。
【0003】
特許文献1は、また、2重袋を順次製造する製袋機を開示している。このような製袋機は、当該製袋機の最上流に設置された4本の原反からウェブを繰り出している。2本の原反は外胴部用であり、残りの2本の原反は内胴部用である。ガイドローラや重ねローラ対等からなるウェブ重ね装置が、製袋機に設けられており、各々原反から繰り出された4枚のウェブを互いに重ね合わせる。重ね合わされたウェブが、ヒートシール装置などの加工装置に送られて、加工される。
【0004】
特許文献1のように、2重袋を製造するためには4本の原反を必要とする。4本の原反の送り速度や巻き量の微差により、4本の原反がなくなるタイミングに微妙にずれが生じ得る。これが積み重なると、4本原反を交換するタイミングがずれ、結果的に原反交換の手間が増大し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-141427号公報
【文献】特開2022-7011号公報
【発明の概要】
【0006】
本願では、2重袋を順次製造するように構成された製袋機用のウェブ重ね装置が提供される。前記2重袋は、第1外胴部、第2外胴部、第1内胴部、および、第2内胴部を備え、前記第1および第2内胴部は、互いに対向し、かつ、前記第1および第2外胴部の間に介在している。
【0007】
前記ウェブ重ね装置は、
第1原反から巻き出された第1主ウェブが送られる際に、前記第1主ウェブをスリットして前記第1外胴部用の第1外胴ウェブおよび前記第2外胴部用の第2外胴ウェブにするための第1スリッターと、
第2原反から巻き出された第2主ウェブが送られる際に、前記第2主ウェブをスリットして前記第1内胴部用の第1内胴ウェブおよび前記第2内胴部用の第2内胴ウェブにするための第2スリッターと、
重ねローラ対と、
前記第1主ウェブを案内して前記第1スリッターに通し、かつ、前記第1および第2外胴ウェブを前記重ねローラ対へ案内する第1ガイド機構であって、前記第1および第2外胴ウェブが前記重ねローラ対に達するまで前記第1および第2外胴ウェブを互いに離して前記第1外胴ウェブと前記第2外胴ウェブとの間に空間を形成する第1ガイド機構と、
前記第2主ウェブを案内して前記第2スリッターに通し、かつ、前記第1および第2内胴ウェブを、前記空間から、前記重ねローラ対へ案内して、前記第1外胴ウェブ、前記第2外胴ウェブ、前記第1内胴ウェブ、および、前記第2内胴ウェブが、前記重ねローラ対にて、互いに重ね合わされるようにする第2ガイド機構と、を備える。
【0008】
前記重ねローラ対は、前記第1および第2原反から前進水平方向に間隔をあけて設けられてよい。
【0009】
前記第1ガイド機構は、
前記第1外胴ウェブを前記前進水平方向に直角な横方向から上方向に、前記第2外胴ウェブを前記横方向から下方向に方向転換するための第1分離ガイド部材と、
前記第1分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第1外胴ウェブを上方向から前記前進水平方向に方向転換するための第1下流水平ローラと、
前記第1分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第2外胴ウェブを下方向から前記前進水平方向に方向転換するための第2下流水平ローラと、を備えてよい。
【0010】
前記第2ガイド機構は、
前記第1内胴ウェブを前記横方向から上方向に、前記第2内胴ウェブを前記横方向から下方向に方向転換するための第2分離ガイド部材と、
前記第2分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第1内胴ウェブを上方向から前記前進水平方向に方向転換するための第3下流水平ローラと、
前記第2分離ガイド部材の下流に設けられ、前記第2内胴ウェブを下方向から前記前進水平方向に方向転換するための第4下流水平ローラと、を備えてよい。
【0011】
前記第2スリッターおよび前記第2分離ガイド部材は、前記第1分離ガイド部材から前記前進水平方向に間隔をあけて、前記第1下流水平ローラより下方にかつ前記第2下流水平ローラより上方に位置してよい。
【0012】
前記第3および第4下流水平ローラは、前記第1分離ガイド部材から前記前進水平方向に間隔をあけて、前記第1下流水平ローラより下方にかつ前記第2下流水平ローラより上方に位置してよい。
【0013】
前記第2ガイド機構は、前記第2主ウェブを、前記第1スリッターおよび前記第1分離ガイド部材から前記横方向に迂回させるための複数の迂回ローラをさらに備えてよい。
【0014】
前記第1ガイド機構は、前記第1主ウェブを前記前進水平方向から前記横方向に方向転換して前記第1スリッターに通すための第1下流垂直ローラをさらに備えてよい。前記第1スリッターは、前記第1下流垂直ローラを経て前記横方向に送られている前記第1主ウェブをスリットするように配置されてよい。
【0015】
前記第2ガイド機構は、前記第2主ウェブを前記前進水平方向から前記横方向に方向転換して前記第2スリッターに通すための第2下流垂直ローラをさらに備えてよい。前記第2スリッターは、前記第2下流垂直ローラを経て前記横方向に送られている前記第2主ウェブをスリットするように配置されてよい。
【0016】
前記第1および第2ガイド機構は、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブが重ね合わされるときに、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブのスリットにより生じる縁が全て同じ方向を向くように前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブを案内するように構成されてよい。
【0017】
本願では、さらに、2重袋を順次製造するための製袋機が提供される。前記製袋機は、上記のウェブ重ね装置を備える。
【0018】
前記製袋機は、
前記重ねローラ対の下流に設けられて、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブを間欠送りする送り装置と、
前記第1外胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第1外胴ウェブに係合するための第1ダンサローラと、
前記第2外胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第2外胴ウェブに係合するための第2ダンサローラと、
前記第1および第2ダンサローラを互いに連動させるための第1リンク機構と、
前記第1リンク機構を介して、前記第1および第2ダンサローラを、前記第1および第2外胴ウェブに向けてそれぞれ付勢するための第1付勢部材と、をさらに備えてよい。
【0019】
前記製袋機は、
前記第1内胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第1内胴ウェブに係合するための第3ダンサローラと、
前記第2内胴ウェブを連続送りから間欠送りに切り替えるために前記重ねローラ対の上流にて前記第2内胴ウェブに係合するための第4ダンサローラと、
前記第3および第4ダンサローラを互いに連動させるための第2リンク機構と、
前記第2リンク機構を介して、前記第3および第4ダンサローラを、前記第1および第2内胴ウェブに向けてそれぞれ付勢するための第2付勢部材と、をさらに備えてよい。
【0020】
前記製袋機は、
前記重ねローラ対の下流に設けられて、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブを間欠送りする送り装置と、
前記重ねローラ対の下流に設けられて、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブをヒートシールするシール装置と、
前記シール装置の下流に設けられて、間欠送りの度に、前記第1および第2外胴ウェブおよび前記第1および第2内胴ウェブをその幅方向にクロスカットして、前記2重袋を成形するクロスカット装置と、をさらに備えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1Aは、例示の二重袋を示し、図1Bは、図1Aの袋の部分断面図である。
図2図2Aは、例示の製袋機の上流部分の概略平面図であり、図2Bは、その側面図である。
図3図3は、図2Aの製袋機の下流部分の概略側面図である。
図4図4A図4Bは、例示のアキュムレータを示す。
図5図5は、例示の重ね装置の概略側面図である。
図6図6は、図5のA-A矢視、B-B矢視、C-C矢視、D-D矢視を示す。
図7図7は、図5の平面図である。
図8図8Aは、第1主ウェブの位置調整の構成を例示し、図8Bは、図8Aの領域Tの拡大図であり、図8Cは、傾斜板を例示し、図8Dは、図8CのS-S拡大断面を示し、図8Eは、第2主ウェブ用の位置調整の構成を例示する。
図9図9Aは、別の位置調整の構成を例示し、図9Bは、図9Aの領域Tの拡大図である。
図10図10は、ダンサローラを連動させるための構成を例示する。
図11図11は、リンク機構のアームの揺動振幅を小さくするための構成を例示する。
図12図12Aは、別の例示の重ね装置の概略平面図であり、図12Bは、その側面図である。
図13図13は、図12BのA-A矢視、B-B矢視、C-C矢視、D-D矢視を示す。
図14図14Aは、別の例示の重ね装置の概略平面図であり、図14Bは、その側面図である。
図15図15は、図14BのA-A矢視、B-B矢視、C-C矢視、D-D矢視を示す。
図16図16Aは、別の例示の重ね装置の概略平面図であり、図16Bは、その側面図である。
図17図17は、図16BのA-A矢視、B-B矢視、C-C矢視、D-D矢視を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本願の実施形態が説明される。以下は、本願の単なる例示に過ぎない。図面は、概略的なものにすぎず、正寸で描かれていない場合がある。また、図全体を通して同じ参照符号を使用して同一または類似の構成要素を表していることも理解されたい。
【0023】
図1Aは、例示の袋1を示す。袋1は、互いに対向する複合シート10を備える。図1Bの部分断面図の通り、各複合シート10は、互いに重ね合わされた外胴部11および内胴部12とからなる。袋1は、袋1の両側縁に沿って形成された第1シール部13、および、袋1の上下縁に沿って形成された第2シール部14を備える。また、袋1は、一方の複合シート10に装着されたスパウト15を備える。スパウト15を通じて内容物を、2枚の複合シート10の間の収容空間に充填したり、当該収容空間から取り出したりできる。
【0024】
図2A図2Bは、図1の袋1を順次製造するための例示の製袋機の上流部分を概略的に示す。2本の原反2’,3’が設置されている。一方の原反2’は、上述の外胴部11用の第1主ウェブ2が巻かれたものである。他方の原反3’は、上述の内胴部12用の第2主ウェブ3が巻かれたものである。この例示では、原反2’が下側に配置され、原反3’が上側に配置されている。方向X1は、ウェブの前進水平方向であり、方向X2は、X1と反対方向である。方向Y1,Y2は、方向X1に対して直角な水平方向であり、横方向である。Y1を第1横方向とし、方向Y2を第2横方向とする。Z1は上方向で、Z2は下方向である。
【0025】
ウェブ2は、例えばラミネート構造である。ウェブ2の一方の表層(基材層)が、他方の表層(シーラント層)よりも高い融点を有する。ウェブ3は、ウェブ2の基材層よりも融点の低い素材であればよい。ウェブ2,3のその他の特性(例えば、厚み)は、製造される袋1の特性(例えば、袋の強度など)に応じて決定される。これは、特許文献1と同様である。
【0026】
ウェブ2,3は、それぞれ、原反2’,3’から巻き出され、連続的に所定の速度でその長手方向に送られて、アキュムレータ80を通過する。
【0027】
アキュムレータ80は、ウェブ2,3をある程度の長さ、一時的に貯蔵する機能を有する。図4Aの例示のアキュムレータ80内には、固定ローラの群801と可動ローラの群802とがウェブ2,3のそれぞれに対して設けられている。ウェブ2,3は、それぞれ、固定ローラと可動ローラとに交互に係合している。アキュムレータ80は、図4A図4Bの通り、可動ローラの群802を不図示のアクチュエータによって固定ローラの群801に対して近接および離間させることで、貯蔵量を調整する。図4Aは、貯蔵量が多いときを示す。図4Bは、貯蔵量が少ないときを示す。
【0028】
原反の巻き量が少なくなると、オペレータは原反を新たなものに交換する。新たな原反に交換する間、ウェブはアキュムレータ80に送られない。この間、アキュムレータ80は、貯蔵されたウェブを下流に送る。オペレータは、貯蔵量がゼロになるまでにウェブの交換を完了する。それから、アキュムレータ80は、貯蔵量を増加させつつ原反からの巻き出し速度を上げる。これにより、原反の交換作業時でも、下流に配置された各装置へウェブを送り続けることができ、製袋工程を継続可能にする。
【0029】
製袋機は、図2Bの通り、さらに、ウェブ重ね装置4を備える。重ね装置4は、第1主ウェブ2(第1原反2’から繰り出された)をその長手方向にスリットして2枚の外胴ウェブ20a,20bに分割し、かつ、ウェブ3(第2原反3’から繰り出された)をその長手方向にスリットして2枚の内胴ウェブ30a,30bに分割する。この構成は、後に詳述される。
【0030】
製袋機は、さらに、4枚のウェブ20a-30bのそれぞれに対して設けられたダンサローラ70a-71bを備えており、ウェブ20a,20b/30a,30bを、ダンサローラ70a,70b/71a,71bによって、連続送りから間欠送りに切り替える。したがって、ダンサローラ70a,70b,71a,71bより下流において、ウェブ20a-30bは、送りと一時停止とを繰り返す。
【0031】
重ね装置4は、原反2’,3’から前進水平方向X1に離れた位置に重ねローラ対40を備える。重ね装置4は、4枚のウェブ20a-30bをダンサローラ70a-71bを経由させてから重ねローラ対40へ案内し、重ねローラ対40を通過させる。このとき、重ね装置4は、4枚のウェブ20a-30bを重ねローラ対40にて互いに重ね合わせる。重ね合わせの順序は、上から順に、外胴ウェブ20a、内胴ウェブ30a、内胴ウェブ30b、および、外胴ウェブ20bである。ここで、外胴ウェブ20aの高融点表層(基材層)が上方向Z1を向き、低融点表層(シーラント層)が下方向Z2を向き内胴ウェブ30aに接触する。外胴ウェブ20bの高融点表層は下方向Z2を向き、低融点表層が上方向Z1を向き内胴ウェブ30bに接触する。このための構成も、後に詳述される。
【0032】
図3は、図2A図2Bの製袋機の下流部分を概略的に示す。製袋機は、さらに、重ねローラ対40の下流に設けられた少なくとも1つの送り装置84を備える。送り装置84は、例えば、駆動ローラ対およびサーボモータを備える。駆動ローラ対が、サーボモータによって間欠回転されると、駆動ローラ対に挟持されたウェブ20a-30bが間欠送りされる。その搬送方向は、X1によって示されている。
【0033】
製袋機は、さらに、重ねローラ対40の下流に設けられたスパウト装着装置81を備える。スパウト装着装置81は、複数のガイドローラ810を備えており、重なった4枚のウェブ20a-30bを一時的に2枚のウェブ20a,30a(一方の複合シート10となる)と、2枚の20b,30b(他方の複合シート10となる)とに分ける。そして、スパウト装着装置81は、この分離区間にて、間欠送りの度に、ウェブ20a,30aにスパウト15を装着する。スパウト装着装置81は、このために、ウェブ20a,30aに穴をあける穴あけユニット、スパウト15を当該穴に挿入して、ウェブ20a,30aにシールするシールユニット等を含む。このような穴あけユニットやシールユニットは、例えば、特許文献1のそれらと同じ構成を有してよい。
【0034】
製袋機は、さらに、重ねローラ対40の下流に設けられた少なくとも1つのヒートシール装置82,83を備える。ヒートシール装置82,83が、間欠送りの度に、ヒートシールバーを用いて、ウェブ20a-30bをヒートシールする。上述の通り、ウェブ20a,20bの低融点表層が低融点の内胴ウェブ30a,30bにそれぞれ接触する。したがって、内胴ウェブ30a,30bが、互いにヒートシールされるとともに、外胴ウェブ20a,20bにもそれぞれヒートシールされる。これによって、袋1のシール部13,14が形成される。
【0035】
製袋機は、さらに、ヒートシール装置82,83より下流に配置されたクロスカット装置85を備える。クロスカット装置85は、間欠送りの度に、カッターを用いて、4枚のウェブ20a-30bをその幅方向にクロスカットする。クロスカットの度に、袋1が成形される。2枚の外胴部11が、クロスカットによって外胴ウェブ20a,20bから切除された部分から形成される。2枚の内胴部12が、クロスカットによって内胴ウェブ30a,30bから切除された部分から形成される。以上のようにして、2重袋1が順次製造される。
【0036】
以下で、図5図6図7を参照して、例示の重ね装置4が説明される。図6は、図5のA-A矢視、B-B矢視、C-C矢視、D-D矢視をまとめて示す。
【0037】
外胴用の主ウェブ2が、原反2’から巻き出され、アキュムレータ80を通過し、アキュムレータ80の下部から前進水平方向X1に送られている。内胴ウェブ3が、原反3’から巻き出され、アキュムレータ80を通過し、アキュムレータ80の上部から前進水平方向X1に送られている。この例示では、外胴用の原反2’は、高融点表層(基材層)が外向きになるようにウェブ2が巻かれたものである。
【0038】
ウェブ2に関係する構成が、図5のB-B矢視およびC-C矢視に示されている(ここでウェブ3,30a,30bは省略)。重ね装置4は、ウェブ2がその長手方向に送られる際に、ウェブ2をスリットして上述の2枚の外胴ウェブ20a,20bに分割するための第1スリッター41を備える。また、重ね装置4は、ウェブ2を、スリッター41を通過するように案内し、かつ、ウェブ20a,20bを重ねローラ対40に案内する第1ガイド機構5を備える。
【0039】
第1ガイド機構5は、第1上流水平ローラ50、第1傾斜板51、第1上流垂直ローラ52、第1下流垂直ローラ53、第1分離ガイド部材54、および、第1および第2下流水平ローラ55,56を備える。
【0040】
ウェブ2は、上流水平ローラ50によって、前進水平方向X1から上方向Z1に方向転換され、次いで、三角形状の傾斜板51によって第2横方向Y2に方向転換され、さらに、上流垂直ローラ52によって再び前進水平方向X1に方向転換される。すなわち、図6のB-B矢視において、第1ガイド機構5は、これら50-52によって、前進水平方向X1に送られているウェブ2の面を水平から垂直に変換している。
【0041】
それから、ウェブ2は、下流垂直ローラ53へ送られる。ウェブ2の高融点表層は、ローラ52とローラ53との間の区間において、第2横方向Y2を向いている。
【0042】
ウェブ2は、下流垂直ローラ53を経て、前進水平方向X1から第1横方向Y1に変換されて、スリッター41へ通される。この際に、ウェブ2は、スリッター41によってその中央の位置で長手方向にスリットされて、外胴ウェブ20a,20bになる。ウェブ20a,20bは、分離ガイド部材54へ送られる。
【0043】
分離ガイド部材54は、2つの三角形状の傾斜板が結合されたM形状のガイド板である。外胴ウェブ20aが、分離ガイド部材54によって第1横方向Y1から上方向Z1に方向転換されて、下流水平ローラ55に送られる。一方、外胴ウェブ20bが、分離ガイド部材54によって第1横方向Y1から下方向Z2に方向転換されて、下流水平ローラ56に送られる。そして、下流水平ローラ55が、上側のウェブ20aを前進水平方向X1に方向転換するとともに、その面を垂直から水平に変換する。下流水平ローラ56は、下側のウェブ20bを前進水平方向X1に方向転換するとともに、その面を垂直から水平に変換する。
【0044】
このように、第1ガイド機構5は、ウェブ2を案内してスリッター41に通し、2枚のウェブ20a,20bを上下に分離し、ウェブ20a,20bの面を水平にする。上側のウェブ20aが下流水平ローラ55を経るとその高融点表層が上方向Z1に向けられる。下側のウェブ20bが下流水平ローラ56を経るとその高融点表層が下方向Z2に向けられる。
【0045】
さらに、第1ガイド機構5は、複数のガイドローラ57および複数のガイドローラ58を備える。適切な数のガイドローラ57/58が、下流水平ローラ55/56から重ねローラ対40までの間に設けられており、ウェブ20a/20bを、ダンサローラ70a/70bを経て重ねローラ対40へ案内する。ここで、第1ガイド機構5は、これらのローラ55-58によって、ウェブ20a,20bが重ねローラ対40に達するまでウェブ20a,20bを互いに分離したままにしており、ウェブ20aとウェブ20bと間に空間43(図5)を形成している。この空間43は、内胴ウェブ30a,30bを形成しかつ重ねローラ対40へ案内するために有効活用される。
【0046】
ウェブ3に関係する構成が、図6のA-A矢視およびD-D矢視に示されている(ここでウェブ2,20a,20bは省略)。重ね装置4は、ウェブ3がその長手方向に送られる際に、ウェブ3をスリットして上述の2枚の内胴ウェブ30a,30bに分割するための第2スリッター42を備える。また、重ね装置4は、ウェブ3を、スリッター42を通過するように案内し、かつ、ウェブ30a,30bを、空間43から、重ねローラ対40に案内する第2ガイド機構6を備える。
【0047】
第2ガイド機構6は、第2上流水平ローラ60、第2傾斜板61、第2上流垂直ローラ62、第2下流垂直ローラ63、第2分離ガイド部材64、第3および第4下流水平ローラ65,66、および、中流垂直ローラ690,691を備える。
【0048】
ウェブ3は、上流水平ローラ60によって、前進水平方向X1から下方向Z2に方向転換され、次いで、三角形状の傾斜板61によって第1横方向Y1に方向転換され、さらに、上流垂直ローラ62によって再び前進水平方向X1に方向転換される。すなわち、図6のA-A矢視においては、第2ガイド機構6は、これら60-62によって、前進水平方向X1に送られているウェブ6の面を水平から垂直に変換している。
【0049】
それから、ウェブ3は、図7の通り、中流垂直ローラ690に送られ、このローラ690によって第2横方向Y2に方向転換されて、2つのウェブ20a,20bの間を横切って、Y2側にシフトし、別の中流垂直ローラ691によって前進水平方向X1に方向転換される。そして、ウェブ3は、その面を垂直にした状態で、下流垂直ローラ63へ送られる。図7の通り、ウェブ3は、ローラ62,690によって、第1スリッター41や第1ガイド機構5の要素50-56から、第1横方向Y1に迂回されている。すなわち、第2ガイド機構6のローラ62,690が迂回ローラを構成している。
【0050】
それから、ウェブ3は、下流垂直ローラ63によって、前進水平方向X1から第1横方向Y1に変換されて、スリッター42へ通される。この際に、ウェブ3は、スリッター42によってその中央の位置で長手方向にスリットされて、内胴ウェブ30a,30bになる。ウェブ30a,30bは、分離ガイド部材64へ送られる。
【0051】
分離ガイド部材64は、分離ガイド部材54と同様のM形状のガイド板である。内胴ウェブ30aは、分離ガイド部材64によって第1横方向Y1から上方向Z1に方向転換されて、下流水平ローラ65に送られる。一方、内胴ウェブ30bは、分離ガイド部材64によって第1横方向Y1から下方向Z2に方向転換されて、下流水平ローラ66に送られる。そして、下流水平ローラ65が、上側のウェブ30aを前進水平方向X1に方向転換するとともに、その面を垂直から水平に変換する。下流水平ローラ66は、下側のウェブ30bを前進水平方向X1に方向転換するとともに、その面を垂直から水平に変換する。
【0052】
このように、第2ガイド機構6は、ウェブ3を案内してスリッター42に通し、2枚のウェブ30a,30bを上下に分離し、ウェブ30a,30bの面を水平にする。
【0053】
さらに、第2ガイド機構6は、複数のガイドローラ67および複数のガイドローラ68を備える。適切な数のガイドローラ67/68が、下流水平ローラ65/66から重ねローラ対40までの間に設けられており、ウェブ30a/30bを、ダンサローラ71a/71bを経て重ねローラ対40へ案内する。
【0054】
したがって、ウェブ20a-30bは、重ねローラ対40にて互いに重ね合わされる。その順序は、上から順に、第1外胴ウェブ20a、第1内胴ウェブ30a、第2内胴ウェブ30b、第2外胴ウェブ20bである。このとき、外胴ウェブ20aの低融点表層が内胴ウェブ30aに接触し、外胴ウェブ20bの低融点表層が内胴ウェブ30bに接触する。
【0055】
第2スリッター42、第2分離ガイド部材64、第3および第4下流水平ローラ65,66、および、ガイドローラ67,68が、第1ガイド機構5によって形成された前記空間43に配置されている。すなわち、これらの要素42,64-68は、第1分離ガイド部材54から前進水平方向X1に間隔をあけて、第1下流水平ローラ55より下方で第2下流水平ローラ56より上方に位置している。こうして、第1ガイド機構5によって形成された空間43に第2スリッター42や第2ガイド機構6の要素64-68を配置することによって、2本の原反2’,3’から形成された4枚のウェブ20a-30bを互いに重ね合わせることが可能になっている。
【0056】
以上の通り、重ね装置4は、2本の原反2’,3’から繰り出されたウェブ2,3をスリットして4枚のウェブ20a-30bにして、これらのウェブ20a-30bを重ねローラ対40にて互いに重ね合わせている。したがって、この重ね装置4を備える製袋機は、重ねローラ対40の下流の位置で、重ね合わされた4枚のウェブ20a-30bを加工(例えばヒートシール)およびクロスカットでき、それにより、2重袋1を順次製造することを可能にしている。
【0057】
従来の2重袋の製袋は、外胴部用の2本の原反と内胴部用の2本の原反との計4本の原反を必要する。一方、本願の2重袋の製袋は、上記の重ね装置4があるため、外胴部用の1本の原反2’と内胴部用の1本の原反3’の計2本の原反だけでよい。これは、オペレータの原反交換作業の負担の軽減となり、作業の効率化につながる。また、4本から2本の原反数の低減は、原反の設置に必要なスペースを低減し、製袋機全体としての小型化に貢献し得る。
【0058】
上記の製袋においては、ヒートシール工程のために、ウェブ20a,20bの低融点表層を重ねローラ対40にてウェブ30a,30bに接触させる必要がある。そのため、第1ガイド機構5の要素によってウェブ2,20a,20bが方向転換される際に、ウェブ2,20a,20bの高融点表層/低融点表層の向きの変更も伴うことに留意されなければならない。加えて、第1原反2’が、第1主ウェブ2の高融点表層を外向きにして巻かれたものであるか、内向きにして巻かれたものであるかも留意されなければならない。
【0059】
上記例示と異なり、ウェブ2,3がラミネートではなくモノマテリアルの場合に、一方の面にヒートシールを阻害するメジウムインキが塗布されることもある。このように、一般的に、ウェブ2,3に裏と表が規定されることは多い。
【0060】
したがって、ガイド機構5,6がさらに追加の要素を有する、または、上記例示と異なる構成を有してもよいが、ヒートシールを伴う製袋を実施する際には、ガイド機構5,6の要素によるウェブの面の変換や、ウェブの表裏には、十分に留意を払う必要がある。これは、当業者であれば容易に理解することができる。
【0061】
例示の主ウェブ2(外胴ウェブ20a,20b)は、基材層およびシーラント層を有する。基材層が、一般的には、シーラント層よりも傷や摩擦に対して強い。そのため、ウェブ2,20aまたは20bが、第1傾斜板51や第1分離ガイド部材54などの第1ガイド機構5の要素に摩擦力を生じさせながら案内されるとき、シーラント層ではなく基材層をこれらの要素に摩擦接触させるのがよい。
【0062】
図6のC-C矢視、D-D矢視の通り、スリットの結果、ウェブ20a-30bにはそれぞれ縁200a,200b,300a,300bが生じる。図7の通り、第1および第2ガイド機構5,6は、縁200a,200b,300a,300bの全てを、重ねローラ対40のところで全て同じ方向(実施形態では第2横方向Y2)に向くようにしている。さらに、図7の通り、第1および第2ガイド機構5,6は、ウェブ20a-30bを重ねローラ対40にて互いに重ね合わせるときに、これらの縁200a-300bを互いに揃えている。
【0063】
主ウェブ2,3の両側の縁の直線性は、主ウェブ自体の製造工程および搬送工程が原因となって低い。一方、実施形態のように、機械によって搬送されつつスリットによって生じるウェブの縁200a-300bは、直線性が高く、縁の通過位置が安定する。したがって、縁200a-300bを正確に揃えることによって、製袋(製袋に必要な加工)の精度は向上する。
【0064】
そのための例示の構成が以下で説明される。図8Aの通り、重ね装置4は、送り中のウェブ2の幅方向の位置を検出する第1位置センサ44と、傾斜板51を上下に微調整するためのアクチュエータ45とを備えてよい。
【0065】
図8Cの通り、傾斜板51は、ウェブ2を方向転換するための傾斜縁510を有する。ウェブ2は傾斜縁510に係合して折り返されることにより、その面の向きの反転を伴って方向転換される。この傾斜縁510は、図8DのS-S断面の通り、ウェブ2の損傷などを防止するために丸みを帯びている。なお、傾斜板61、分離ガイド部材54,64(M形状のガイド板)も、同様の傾斜縁を有しており、それによって、面の向きの反転を伴うウェブのスムーズな方向転換を可能にする。
【0066】
この例示では、位置センサ44は、主ウェブ2用の第1上流垂直ローラ52のところ(ウェブ2の縁が水平に延在するところ)で、ウェブ2の縁の高さを検出している。これに代えて、位置センサ44は、ウェブ2に印刷等の手段によって付されているライン状マークを検出することでウェブ2の幅方向の位置を検出してもよい。位置センサ44は、光学センサである。アクチュエータ45は、傾斜板51を上下に微動させる。
【0067】
図8Bから明らかな通り、傾斜板51が下降すると、傾斜板51の傾斜縁510を通過後のウェブ2も下降する(図8Bの矢印参照)。このとき、位置センサ44によって検出される縁(ライン状マーク)の高さも下降する。同様に、傾斜板51が上昇するとウェブ2も上昇し、検出される縁の高さも上昇する。したがって、重ね装置4は、アクチュエータ45を用いて傾斜板51を上下に微動させることで、ウェブ2をその幅方向に(ウェブ2の高さ)を微調整することができる。
【0068】
その下流において、ウェブ2がスリッター41によってスリットされて2つのウェブ20a,20bになることは上述の通りである。ここで、スリッター41は固定されている。すなわち、重ね装置4(その1つ又は複数のプロセッサ)は、位置センサ44の検出に基づいてアクチュエータ45を介して傾斜板51を上下に微調整することによって、スリットにより生じる縁200a,200bの位置を微調整することができる。
【0069】
また、重ね装置4は、図8Eの通り、主ウェブ3に対しても、同様に、位置センサ46およびアクチュエータ47を備えてもよく、同様に、ウェブ30a,30bの縁300a,300bの位置を微調整することができる。
【0070】
この例示では、主ウェブ2,3は、それぞれ、縁の微調整後にスリッター41,42によってスリットされるため、結果的に、Y1側に位置することとなる縁が位置センサ44,46によって検出される。したがって、位置センサ44,46によって検出された縁を、スリット後にY1側にて高い精度で揃えることができる。
【0071】
さらに、上記の通り、主ウェブ2,3の一方の縁が、それぞれ、位置センサ44,46によって検出され、その位置が位置センサ44,46の検出に基づいてアクチュエータ45,47によって微調整された後、主ウェブ2,3が、機械的に固定された位置でスリッター41,42によってスリットされる。したがって、スリット後、スリットにより生じた縁200a-300bもY2側で高い精度で揃えることができる。
【0072】
したがって、重ね装置4は、当該構成により、ウェブ20a-30bの縁を、高い精度で互いに揃えることができる。結果、精度の高い製袋を可能にしている。
【0073】
ウェブ20a-30bのY1側の縁は、微調整されるものの、主ウェブ2,3のそもそもの全幅寸法のばらつきに起因して、多少、不揃いになり得る。このような問題は、その後の工程において、ウェブ20a-30bをY1側の縁に沿ってスリットすることにより解決してよい。また、Y2側の微調整された縁200a-300bがその後に位置ずれし得る場合には、必要に応じてこれを公知の手段により調整してもよい。
【0074】
なお、図9A図9Bの通り、M形状のガイド板である分離ガイド部材64をアクチュエータ47で横方向Y1およびY2に移動させて、縁300a,300bの位置を調整してもよい(例えば、図9Bの矢印参照)。さらに、図示は省略されているが、分離ガイド部材54(図6のC-C矢視)をアクチュエータ45で横方向Y1およびY2に移動させることによって、縁200a,200bの位置を調整してもよい。
【0075】
製袋機は、上述の通り、第1外胴ウェブ20aに係合するための第1ダンサローラ70aと、第2外胴ウェブ20bに係合するための第2ダンサローラ70bと、第1内胴ウェブ30aに係合するための第3ダンサローラ71aと、第2内胴ウェブ30bに係合するための第4ダンサローラ71bとを備える。そして、製袋機は、これらのローラ70a-71bによって、これらのウェブ20a-30bを連続送りから間欠送りに切り替えている。
【0076】
さらに、製袋機は、図10の通り、第1および第2ダンサローラ70a,70bを連動させるための第1リンク機構90と、第1リンク機構90を介して、第1および第2ダンサローラ70a,70bを、ウェブ20a,20bに向けてそれぞれ付勢するための第1付勢部材94(例えば、シリンダ)とを備える。
【0077】
第1リンク機構90は、短部と長部とからなる実質的にL字状で互いに同じ形状の2本のアーム91a,91bを備える。アーム91a,91bは、それぞれ、その屈曲部にて、回動シャフト92a,92bを介してこれを中心に回動可能である。ダンサローラ70aは、アーム91aの長部の先端にて回転可能に支持されており、ダンサローラ70bは、アーム91bの長部の先端にて回転可能に支持されている。また、2つのアーム91a,91bの短部の先端同士がリンク93を介して互いに連結されている。第1リンク機構90の当該構成によって、ダンサローラ70a,70bは、互いに、同じ距離および同じ方向に移動可能である。
【0078】
また、第1付勢部材94は、アーム91a,91bを第1および第2外胴ウェブ20a,20bに向けて(図10では半時計周りに)付勢して、第1および第2外胴ウェブ20a,20bにテンションを付与している。
【0079】
例えば、ダンサローラ70aに係合する上側の外胴ウェブ20aが緩んだとしても、2つのアーム91a,91b(したがってダンサローラ70a,70b)が、第1付勢部材94によって連動して(図10の半時計周り)に回動し、それによって下側の外胴ウェブ20bを強制的に延伸して、外胴ウェブ20aの緩みを解消する。その結果、外胴ウェブ20aのラインパス長さと、外胴ウェブ20bのパスライン長さは互いに同じになる。
【0080】
ウェブ20a,20bは、1つの主ウェブ2のスリットによって形成されたものであり、長さは理論的には同じである。しかしながら、実際には、主ウェブ2の厚みがその幅方向に不均一である等により、送りの途中で両者のパスライン長さに変化が生じ得る。上記リンク機構90および付勢部材94は、上述の通り、両者のパスライン長さを同じに保つので、この問題を解決することができる。
【0081】
製袋機は、第3および第4ダンサローラ71a,71bを連動させるための第2リンク機構95と、第2リンク機構95を介して、第3および第4ダンサローラ71a,71bを、ウェブ30a,30bに向けてそれぞれ付勢する第2付勢部材99(例えば、シリンダ)とを備える。第2リンク機構95は、アーム96a,96b、回動シャフト97a,97b、リンク98を含む。第2リンク機構95および第2付勢部材99の構成は、第1リンク機構90および第1付勢部材94の構成と同じであり、したがって、ウェブ30a,30bの両者のパスラインの長さを同じにする。
【0082】
図11の例示の通り、追加の第1ダンサローラ70cおよび追加の第2ダンサローラ70dが、それぞれ、第1リンク機構90のアーム91a,91bに回転可能に支持されてもよい。ウェブ20a,20bが、それぞれ、ダンサローラ70a,70b、位置固定された複数のガイドローラ57,58(ウェブ20a,20bを重ねローラ対40へ案内するための前述のガイドローラ)の1つ、および、追加のダンサローラ70c,70dの順に巻きかけられている。これにより、アーム91a,91bの揺動振幅を小さくすることができる。
【0083】
同様に、追加の第3ダンサローラ71cおよび追加の第4ダンサローラ71dが、それぞれ、第2リンク機構95のアーム96a,96bに回転可能に支持されてもよい。ウェブ30a,30bが、それぞれ、ダンサローラ71a,71b、位置固定された複数のガイドローラ67,68(ウェブ30a,30bを重ねローラ対40へ案内するための前述のガイドローラ)の1つ、追加のダンサローラ71c,71dの順に巻きかけられている。これにより、アーム96a,96bの揺動振幅を小さくすることができる。
【0084】
一般的に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のモノマテリアルは、ラミネート素材に比べて低い剛性を有し、高い伸縮性を有するので、モノマテリアルのウェブを用いた場合、その伸縮幅は、ダンサローラの揺動振幅が大きいと大きくなる。ウェブ20a,20b/30a,30bがモノマテリアルの場合、そのような伸縮により、ウェブ20a,20b/30a,30bが分離ガイド部材54/64(図6)を通過する際に生じる摩擦力が大きく変動し、スムーズな搬送の妨げになり得る。
【0085】
図11の構成は、アーム91a,91b/96a,96bの揺動振幅を抑制することができるので、上記の摩擦力の変動を抑制し、その結果、ウェブ20a,20b/30a,30bのスムーズな搬送を提供することができる。
【0086】
また、図11の構成は、ダンサローラ70a-71dの下流におけるウェブ20a-30bの間欠搬送ピッチが大きくても、アーム91a,91b,96a,96bの揺動振幅を抑制できる。これにより、結果的に、ウェブ20a-30bにかかる引っ張り応力の変動を抑制し、ウェブ20a-30bの伸縮幅を抑制し、ウェブ20a-30bのよりスムーズな搬送を提供することができる。
【0087】
アーム91a,91b,96a,96bは、その慣性が小さい方が好ましく、したがって、カーボンといった軽い素材からなることが好ましい。
【0088】
以下で、上記の製袋を可能にする別の例示の第1および第2ガイド機構5,6の別の例示が以下で説明される。同一または類似の構成については同一の符号が付される。
【0089】
図12A図12B図13は、別の例示の重ね装置4を示す。この例では、先の例示の中流垂直ローラ690,691(図7)が設けられていない。下流垂直ローラ63が、Y2側ではなく、Y1側に配置されている。上流垂直ローラ62および下流垂直ローラ63が、迂回ローラとして機能して、ウェブ3を、スリッター41および第1ガイド機構5の各要素50-56と干渉しないよう、第1横方向Y1に迂回させている。ウェブ3は、下流垂直ローラ63によって前進水平方向X1から第2横方向Y2に方向転換され、スリッター42に通される(図13のD-D矢視)。なお、この例示では、縁200a,200bと縁300a,300bとは、重ねローラ対40にて互いに揃わない。
【0090】
図14A図14B図15は、さらに別の例示の重ね装置4を示す。図15のA-A矢視の通り、この例示の傾斜板61の配向は、図6のA-A矢視のそれとは逆であり、主ウェブ3を第2横方向Y2に方向転換する。そして、上流垂直ローラ62および下流垂直ローラ63が共に、Y1側ではなくY2側に配置されており、これによって、ウェブ3を、スリッター41および第1ガイド機構5の要素50-56と干渉しないよう、ウェブ2よりもさらに外側にかつ第2横方向Y2に迂回させて、スリッター42へ案内する迂回ローラを構成する。
【0091】
図16A図16B図17は、さらに別の例示の重ね装置4を示す。図16A図16Bの通り、この例示は、上述の例示と異なり、外胴用の原反2’が上側に配置され、内胴用の原反3’が下側に配置されている。さらに、原反2’は、高融点表層が内向きになるように主ウェブ2が巻かれたものである。ウェブ2は、上流水平ローラ50によって前進水方向X1から下方向Z2に方向転換され、傾斜板51によって第2横方向Y2に方向転換され、それから、上流垂直ローラ52によって前進水平方向X1に転換されて、下流垂直ローラ53に送られる。これによっても、上記の他の例示と同様に、ウェブ20a-30bが重ねローラ対40にて互いに重ね合わされるとき、ウェブ20a,20bの低融点表層をウェブ30a,30bにそれぞれ接触させることができる。
【0092】
重ね装置4は、図1Aの単純な2重袋1の製造に限らず、あらゆるタイプの2重袋の製造に適用可能である。例えば、重ね装置4は、スパウト15に代えて又はこれに加えて、チャックや、ガセットなどといった付属の追加要素を備える2重袋用の製袋機に組み込まれてよいことは、当業者であれば自明である。
【符号の説明】
【0093】
1 2重袋
11 第1および第2外胴部
12 第1および第2内胴部
2 第1主ウェブ
2’ 第1原反
20a,20b 第1および第2外胴ウェブ
3 第2主ウェブ
3’ 第2原反
30a,30b 第1および第2内胴ウェブ
4 ウェブ重ね装置
40 重ねローラ対
41 第1スリッター
42 第2スリッター
5 第1ガイド機構
53 第1下流垂直ローラ
54 第1分離ガイド部材
55 第1下流水平ローラ
56 第2下流水平ローラ
6 第2ガイド機構
63 第2下流垂直ローラ
64 第2分離ガイド部材
65 第3下流水平ローラ
66 第4下流水平ローラ
62,63,690 迂回ローラ
70a,70b,71a,71b 第1、第2、第3および第4ダンサローラ
82,83 シール装置
84 送り装置
85 クロスカット装置
90 第1リンク機構
94 第1付勢部材
95 第2リンク機構
99 第2付勢部材
【要約】
ウェブ重ね装置は、第1主ウェブを第1スリッターでスリットして第1外胴ウェブおよび第2外胴ウェブにする。重ね装置は、第2主ウェブを第2スリッターでスリットして第1内胴ウェブおよび第2内胴ウェブにする。重ね装置は、第1および第2外胴ウェブを重ねローラ対へ案内する。重ね装置は、第1および第2外胴ウェブが重ねローラ対に達するまで第1および第2外胴ウェブを互いに離して第1および第2外胴ウェブの間に空間を設ける。重ね装置は、第1および第2内胴ウェブを、当該空間を通じて、重ねローラ対へ案内し、これら4枚のウェブが重ねローラ対にて互いに重ね合わされるようにする。
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