(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20241206BHJP
G03G 15/06 20060101ALI20241206BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/06 101
G03G15/08 221
G03G15/08 226
(21)【出願番号】P 2019062588
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉元 俊二
(72)【発明者】
【氏名】神村 直哉
(72)【発明者】
【氏名】今井 匡
(72)【発明者】
【氏名】植地 正樹
(72)【発明者】
【氏名】廣中 啓太
(72)【発明者】
【氏名】角谷 穂高
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】門 良成
【審判官】道祖土 新吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-192941(JP,A)
【文献】特開2008-281802(JP,A)
【文献】特開2004-184820(JP,A)
【文献】特開2012-247631(JP,A)
【文献】特開2010-156792(JP,A)
【文献】特開平8-129294(JP,A)
【文献】特開2010-79286(JP,A)
【文献】特開2014-89245(JP,A)
【文献】特開2013-148808(JP,A)
【文献】特開2010-181638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0105619(US,A1)
【文献】特開2009-229840(JP,A)
【文献】特開2017-49286(JP,A)
【文献】特開2003-307994(JP,A)
【文献】特開2018-156043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/06
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
装置本体と、
感光体ドラムと、前記感光体ドラムの累積ドラム回転回数を記憶するドラムメモリを有し、前記装置本体に対して着脱可能なドラムカートリッジと、
現像ローラと、累積ドットカウントを記憶するトナーメモリを有するトナーカートリッジと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ドラムカートリッジに対して、第1の前記トナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の前記現像ローラに印加する初期現像バイアスVG1を決定する処理と、
前記初期現像バイアスVG1が決定された後に、前記ドラムカートリッジに前記第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、前記ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われた場合、
前記第1のトナーカートリッジを用いて行われた前記画像形成によりさらに累積された前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記初期現像バイアスVG1と異なる初期現像バイアスVG2を決定する処理と、
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置であって、
前記制御装置は、前記累積ドラム回転回数と、前記累積ドットカウントとが増えるのに応じて、前記現像ローラに印加する現像バイアスを変更し、
|VG2|>|VG1|であり、
前記制御装置は、一つの前記トナーカートリッジが用いられて画像形成が行われる間は、前記累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、前記現像バイアスの絶対値を小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記累積ドットカウントが増えるのに応じて、前記現像バイアスの絶対値を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーカートリッジは、前記現像ローラに供給されたトナーの層厚を規制するブレードを備え、
前記制御装置は、
前記ドラムカートリッジに対して、第1の前記トナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記第1のトナーカートリッジで
画像形成が行われる場合の前記ブレードに印加する初期ブレードバイアスVB1を決定する処理と、
前記初期ブレードバイアスVB1が決定された後に、前記ドラムカートリッジに前記第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、前記ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われた場合、
前記第1のトナーカートリッジを用いて行われた前記画像形成によりさらに累積された前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記初期ブレードバイアスVB1と異なる初期ブレードバイアスVB2を決定する処理と、
を実行可能である画像形成装置であって、
前記制御装置は、前記累積ドラム回転回数と、前記累積ドットカウントとが増えるのに応じて、前記ブレードに印加するブレードバイアスを変更し、
|VB2|>|VB1|であり、
前記制御装置は、一つの前記トナーカートリッジが用いられて画像形成が行われる間は、前記累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、前記ブレードバイアスの絶対値を小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記累積ドットカウントが増えるのに応じて、前記ブレードバイアスの絶対値を小さくすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、
前記制御装置は、
前記ドラムカートリッジに対して、第1の前記トナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の前記供給ローラに印加する初期供給バイアスVK1を決定する処理と、
前記初期供給バイアスVK1が決定された後に、前記ドラムカートリッジに前記第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、前記ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われた場合、
前記第1のトナーカートリッジを用いて行われた前記画像形成によりさらに累積された前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記初期供給バイアスVK1と異なる初期供給バイアスVK2を決定する処理と、
を実行可能である画像形成装置であって、
前記制御装置は、前記累積ドラム回転回数と、前記累積ドットカウントとが増えるのに応じて、前記供給ローラに印加する供給バイアスを変更し、
|VK2|>|VK1|であり、
前記制御装置は、一つの前記トナーカートリッジが用いられて画像形成が行われる間は、前記累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、前記供給バイアスの絶対値を大きくすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記累積ドットカウントが増えるのに応じて、前記供給バイアスの絶対値を大きくすることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記ドラムカートリッジに対して、第1の前記トナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の前記現像ローラと前記感光体ドラムの初期周速差ΔV1を決定する処理と、
前記初期周速差ΔV1が決定された後に、前記ドラムカートリッジに前記第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、前記ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われた場合、
前記第1のトナーカートリッジを用いて行われた前記画像形成によりさらに累積された前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記初期周速差ΔV1と異なる初期周速差ΔV2を決定する処理と、
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置であって、
前記制御装置は、前記累積ドラム回転回数と、前記累積ドットカウントとが増えるのに応じて、前記現像ローラと前記感光体ドラムの周速差を変更し、
ΔV2>ΔV1であり、
前記制御装置は、一つの前記トナーカートリッジが用いられて画像形成が行われる間は、前記累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、前記周速差を小さくすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記累積ドットカウントが増えるのに応じて、前記周速差を小さくすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナーカートリッジは、前記ドラムカートリッジに対して着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドラムカートリッジとトナーカートリッジとを装着可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラムカートリッジとトナーカートリッジとを装着可能な画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、トナーカートリッジをドラムカートリッジに組み付けた上で、装置本体に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ドラムカートリッジの寿命は、トナーカートリッジの寿命より長い。このため、1つのドラムカートリッジに対して複数のトナーカートリッジを交換して使用している場合がある。しかしながら、1つ目のトナーカートリッジと2つ目以降のトナーカートリッジを同じ条件で使用した場合、トナーの供給量が変わってしまい、印刷濃度が安定しないという問題点があった。
【0005】
そこで、本開示は、画像形成装置の印刷濃度を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、画像形成装置は、装置本体と、ドラムカートリッジと、トナーカートリッジと、制御装置とを備える。ドラムカートリッジは、感光体ドラムと、感光体ドラムの累積ドラム回転回数を記憶するドラムメモリを有し、装置本体に対して着脱可能である。トナーカートリッジは、現像ローラと、累積ドットカウントを記憶するトナーメモリを有する。
制御装置は、ドラムカートリッジに対して、第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、累積ドラム回転回数に基づいて、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の前記現像ローラに印加する初期現像バイアスVG1を決定する処理と、初期現像バイアスVG1が決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期現像バイアスVG1と異なる初期現像バイアスVG2を決定する処理と、を実行可能である。
【0007】
この構成によれば、初期現像バイアスVG1と、初期現像バイアスVG2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量に近づけることができる。このため、画像形成装置の印刷濃度を安定させることができる。
【0008】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラに印加する現像バイアスを変更する構成としてもよい。
【0009】
これによれば、感光体ドラムの劣化およびトナー劣化の両方に応じて現像バイアスを変更するので、感光体ドラムに付着するトナー量を一定にすることができる。
【0010】
前記した構成において、制御装置は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、現像バイアスの絶対値を小さくする構成としてもよい。
【0011】
前記した構成において、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、現像バイアスの絶対値を小さくする構成としてもよい。
【0012】
前記した構成において、|VG2|>|VG1|である構成としてもよい。
【0013】
前記した構成において、トナーカートリッジは、現像ローラに供給されたトナーの層厚を規制するブレードを備え、制御装置は、ドラムカートリッジに対して、第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、累積ドラム回転回数に基づいて、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の前記ブレードに印加する初期ブレードバイアスVB1を決定する処理と、初期ブレードバイアスVB1が決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期ブレードバイアスVB1と異なる初期ブレードバイアスVB2を決定する処理と、を実行可能である構成としてもよい。
【0014】
これによれば、初期ブレードバイアスVB1と、初期ブレードバイアスVB2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジの現像ローラに付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジの現像ローラに付着するトナー量に近づけることができる。このため、現像ローラからドラムカートリッジに供給されるトナー量が安定する。この結果、画像形成装置の印刷濃度を安定させることができる。
【0015】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、ブレードに印加するブレードバイアスを変更する構成としてもよい。
【0016】
これによれば、感光体ドラムの劣化およびトナー劣化に応じてブレードバイアスを変更するので、感光体ドラムに付着するトナー量を一定にすることができる。
【0017】
前記した構成において、制御装置は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、ブレードバイアスの絶対値を小さくする構成としてもよい。
【0018】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、ブレードバイアスの絶対値を小さくする構成としてもよい。
【0019】
前記した構成において、|VB2|>|VB1|である構成としてもよい。
【0020】
前記した構成において、現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、制御装置は、ドラムカートリッジに対して、第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、累積ドラム回転回数に基づいて、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の前記供給ローラに印加する初期供給バイアスVK1を決定する処理と、初期供給バイアスVK1が決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期供給バイアスVK1と異なる初期供給バイアスVK2を決定する処理と、を実行可能である構成としてもよい。
【0021】
これによれば、初期供給バイアスVK1と、初期供給バイアスVK2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジの現像ローラに付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジの現像ローラに付着するトナー量に近づけることができる。このため、現像ローラからドラムカートリッジに供給されるトナー量が安定する。この結果、画像形成装置の印刷濃度を安定させることができる。
【0022】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、供給ローラに印加する供給バイアスを変更する構成としてもよい。
【0023】
これによれば、感光体ドラムの劣化およびトナー劣化に応じて供給バイアスを変更するので、感光体ドラムに供給するトナー量を一定にすることができる。
【0024】
前記した構成において、制御装置は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、供給バイアスの絶対値を大きくする構成としてもよい。
【0025】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、供給バイアスの絶対値を大きくする構成としてもよい。
【0026】
前記した構成において、|VK2|>|VK1|である構成としてもよい。
【0027】
前記した構成において、制御装置は、ドラムカートリッジに対して、第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、累積ドラム回転回数に基づいて、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の現像ローラと感光体ドラムの初期周速差ΔV1を決定する処理と、初期周速差ΔV1が決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期周速差ΔV1と異なる初期初期周速差ΔV2を決定する処理と、を実行可能である構成としてもよい。
【0028】
これによれば、初期周速差ΔV1と、初期周速差ΔV2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量に近づけることができる。このため、画像形成装置の印刷濃度を安定させることができる。
【0029】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラと感光体ドラムの周速差を変更する構成としてもよい。
【0030】
これによれば、感光体ドラムの劣化およびトナー劣化に応じて現像ローラと感光体ドラムの周速差を変更するので、感光体ドラムに供給するトナー量を一定にすることができる。
【0031】
前記した構成において、制御装置は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、周速差を小さくする構成としてもよい。
【0032】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、周速差を小さくする構成としてもよい。
【0033】
前記した構成において、ΔV2>ΔV1である構成としてもよい。
【0034】
前記した構成において、トナーカートリッジは、ドラムカートリッジに対して着脱可能である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本開示の画像形成装置によれば、印刷濃度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【
図2】印加回路とモータの接続を説明する図である。
【
図3】累積ドラム回転回数と帯電バイアスの関係を示すグラフである。
【
図4】累積ドットカウントと現像バイアス基準値の関係を示すグラフ(a)と、累積ドットカウントとブレードバイアス基準値の関係を示すグラフ(b)と、累積ドットカウントと供給バイアス基準値の関係を示すグラフ(c)と、累積ドットカウントと周速差基準値の関係を示すグラフ(d)である。
【
図5】累積ドラム回転回数と現像バイアス補正量の関係を示すグラフ(a)と、1つのドラムカートリッジに対し複数の現像カートリッジを交換して使用したときのドットカウント(累積ドラム回転回数)と現像バイアスを示すグラフ(b)である。
【
図6】累積ドラム回転回数とブレードバイアス補正量の関係を示すグラフ(a)と、1つのドラムカートリッジに対し複数の現像カートリッジを交換して使用したときのドットカウント(累積ドラム回転回数)とブレードバイアスを示すグラフ(b)である。
【
図7】累積ドラム回転回数と供給バイアス補正量の関係を示すグラフ(a)と、1つのドラムカートリッジに対し複数の現像カートリッジを交換して使用したときのドットカウント(累積ドラム回転回数)と供給バイアスを示すグラフ(b)である。
【
図8】累積ドラム回転回数と周速差補正量の関係を示すグラフ(a)と、1つのドラムカートリッジに対し複数の現像カートリッジを交換して使用したときのドットカウント(累積ドラム回転回数)と周速差を示すグラフ(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本開示の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1はモノクロ用のレーザプリンタである。画像形成装置1は、装置本体2と、フィーダ部3と、画像形成部4と、制御装置100と、を備える。
【0038】
装置本体2は、中空のケース状である。装置本体2は、左右一対の側壁21と、側壁21を繋ぐ前壁22とを有している。前壁22は、本体開口22Aを有する。前壁22には、本体開口22Aを開閉するフロントカバー23が設けられている。
【0039】
フィーダ部3は、供給トレイ31と、供給機構32とを備えている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される。供給機構32は、供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に向けて給紙する。
【0040】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、定着装置7と、ドラムカートリッジ8と、トナーカートリッジ9とを備えている。
【0041】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0042】
制御装置100は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、装着されたカートリッジの情報やROMに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて演算処理を行うことによって、印刷制御を実行している。
【0043】
ドラムカートリッジ8は、フィーダ部3とスキャナユニット5との間に配置されている。ドラムカートリッジ8は、装置本体2に対して着脱可能である。具体的に、ドラムカートリッジ8は、装置本体2のフロントカバー23で開閉される本体開口22Aを通して、装置本体2に対して着脱可能である。トナーカートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能である。トナーカートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に組み付けられた状態で、装置本体2に対して着脱される。
【0044】
ドラムカートリッジ8の寿命は、トナーカートリッジ9の寿命よりも長い。ここでいう寿命が長いとは、印刷可能な総枚数、または、印刷可能な総ドットカウント数が大きいことをいう。このため、1つのドラムカートリッジ8に対して複数のトナーカートリッジ9を交換して使用可能である。例えば、1つのドラムカートリッジ8に対して、3~5つのトナーカートリッジ9を交換して使用してもよい。
【0045】
ドラムカートリッジ8は、フレーム80と、感光体ドラム81と、転写ローラ82と、帯電器83と、ドラムメモリ85とを有している。フレーム80は、トナーカートリッジ9を装着可能である。感光体ドラム81は、フレーム80に回転可能に支持されている。
【0046】
トナーカートリッジ9は、筐体90と、現像ローラ91と、供給ローラ92と、ブレード93と、トナーメモリ95とを有している。筐体90は、内部にトナーを収容する。現像ローラ91は感光体ドラム81にトナーを供給する。供給ローラ92は筐体90のトナーを現像ローラ91に供給する。ブレード93は、現像ローラ91に供給されたトナーの層厚を規制する。
【0047】
このドラムカートリッジ8では、回転する感光体ドラム81の表面が、帯電器83により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0048】
次いで、回転駆動される現像ローラ91によってトナーカートリッジ9内のトナーが感光体ドラム81の静電潜像に供給されて、感光体ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム81と転写ローラ82の間でシートSが搬送されることで、感光体ドラム81の表面に担持されているトナー像がシートS上に転写される。
【0049】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加圧ローラ72とを備えている。加圧ローラ72は、加熱ローラ71と向かいあって位置している。加圧ローラ72は、加熱ローラ71を押圧する。定着装置7は、シートS上に転写されたトナーを、シートSが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着する。
【0050】
定着装置7で熱定着されたシートSは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラ24に搬送され、この排紙ローラ24から排紙トレイ25上に送り出される。
【0051】
ドラムメモリ85は、例えば、ICチップなどの情報を記憶する媒体であり、ICチップに限られない。ドラムメモリ85は、感光体ドラム81の累積ドラム回転回数が記憶される。
【0052】
トナーメモリ95は、例えば、ICチップなどの情報を記憶する媒体であり、ICチップに限られない。トナーメモリ95には、例えば、現像ローラ91の累積回転回数、現像したドット数であるドットカウント、トナーの残量が記憶される。本実施形態では、トナーメモリ95は、使用済みの累積ドットカウントが記憶される。
【0053】
図2に示すように、画像形成装置1は、帯電バイアス印加回路210と、現像バイアス印加回路220と、ブレードバイアス印加回路230と、供給バイアス印加回路240と、第1モータ250と、第2モータ260と、をさらに備えている。
【0054】
本実施形態では、正帯電性のトナーを使用している。正帯電性のトナーに対応して、帯電バイアス印加回路210と、現像バイアス印加回路220と、ブレードバイアス印加回路230と、供給バイアス印加回路240は、正電位のバイアスが印加される。
【0055】
帯電バイアス印加回路210は、帯電器83に帯電バイアスV
Tを印加するための回路である。帯電バイアス印加回路210のバイアス値は、制御装置100によって制御される。具体的には、
図3に示すように、制御装置100は、感光体ドラム81の累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に帯電バイアスV
Tを大きくする。なお、帯電バイアスV
Tと累積ドラム回転回数の関係性(
図3)は、予め取得された実験データによって感光体ドラムの表面電位が一定になるように決定されている。このようにして、累積ドラム回転回数が増えるに従って劣化していく感光体ドラム81の帯電性能を補完するようになっている。
【0056】
図2に戻り、現像バイアス印加回路220は、現像ローラ91に現像バイアスV
Gを印加するための回路である。制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとに応じて、現像ローラ91に印加する現像バイアスV
Gを決定する。
【0057】
具体的には、現像バイアスVGは、累積ドットカウントに応じた現像バイアス基準値VGnと、累積ドラム回転数に応じた現像バイアス補正量VMGNを足すことで決定される(VG=VGn+VMGN)。
【0058】
図4(a)に示すように、現像バイアス基準値V
Gnは、累積ドットカウントがゼロ(n=0)のときV
G0である。現像バイアス基準値V
Gnは、累積ドットカウントが増えるに従って、徐々に絶対値が小さくなる。ここでは、累積ドットカウントがnのときの現像バイアス基準値をV
Gnとしている。なお、現像バイアス基準値V
Gnと累積ドットカウントの関係性(
図4(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、ドットカウントが増えるに従って、トナーが劣化しても現像ローラ91から感光体ドラム81に移動するトナー量が一定になるようにしている。
【0059】
図5(a)に示すように、現像バイアス補正量V
MGNは、累積ドラム回転回数がゼロ(N=0)のときゼロである。現像バイアス補正量V
MGNは、累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に絶対値が大きくなるように設定されている。ここでは、累積ドラム回転回数がNのときの現像バイアス補正量をV
MGNとしている。なお、現像バイアス補正量V
MGNと累積ドラム回転回数の関係性(
図5(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、累積ドラム回転回数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化しても感光体ドラム81に付着するトナー量が一定になるようにしている。
【0060】
ここで、本実施形態では、1つのドラムカートリッジに対して1つ目のトナーカートリッジである第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行い、その後に、第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う。さらに、同様の手順で第3、第4、第5のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う。
【0061】
図5(b)に示すように、制御装置100は、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期現像バイアスV
G1を決定する処理と、第2のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期現像バイアスV
G2を決定する処理と、を実行可能である。同様に、第3、第4、第5のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期現像バイアスV
G3,V
G4,V
G5を決定する処理を実行可能である。
【0062】
トナーカートリッジの初期現像バイアスは、累積ドラム回転回数に基づいて決定される。ドラムカートリッジが新品のときには、累積ドラム回転回数がゼロなので、第1のドラムカートリッジの初期現像バイアスV
G1=V
G0である。第2のトナーカートリッジの初期現像バイアスV
G2は、
図5(a)に示す現像バイアス補正量から導き出される。累積ドラム回転回数がN
1のときには、現像バイアス補正量がV
MG1となる。第2のトナーカートリッジの初期現像バイアスV
MG2=V
G0+V
MG1となる。
【0063】
つまり、第2のドラムカートリッジの初期現像バイアスVG2は、第1のドラムカートリッジの初期現像バイアスVG1とは異なる値である。本実施形態では、初期現像バイアスVG2は、初期現像バイアスVG1より大きい値である(|VG2|>|VG1|)。
【0064】
第1のドラムカートリッジに第3、第4、第5のトナーカートリッジが装着されて画像形成を行う場合も同様に、制御装置100は、初期現像バイアスの絶対値を累積ドラム回転回数に応じて大きくする(|VG5|>|VG4|>|VG3|>|VG2|)。
【0065】
制御装置100は、初期現像バイアスが決定された後に、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91に印加する現像バイアスVGを変更する。具体的には、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、現像バイアスVGの絶対値|VG|を徐々に小さくするとともに、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、現像バイアスの絶対値|VG|を徐々に小さくする。
【0066】
図2に戻り、ブレードバイアス印加回路230は、ブレード93にブレードバイアスV
Bを印加するための回路である。制御装置100は、累積ドットカウントおよび累積ドラム回転回数に応じてブレード93に印加するブレードバイアスV
Bを決定する。
【0067】
具体的には、ブレードバイアスVBは、累積ドットカウントに応じたブレードバイアス基準値VBnと、累積ドラム回転数に応じたブレードバイアス補正量VMBNを足すことで決定される(VB=VBn+VMBN)。
【0068】
図4(b)に示すように、ブレードバイアス基準値V
Bnは、累積ドットカウントがゼロ(n=0)のときV
B0である。ブレードバイアス基準値V
Bnは、累積ドットカウントが増えるに従って、徐々に絶対値が小さくなる。ここでは、累積ドットカウントがnのときのブレードバイアス基準値をV
Bnとしている。なお、ブレードバイアス基準値V
Bnと累積ドットカウントの関係性(
図4(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、ドットカウントが増えるに従って、トナーが劣化してトナーの流動性が低下しても現像ローラ91に付着するトナー量が一定になるようにしている。
【0069】
図6(a)に示すように、ブレードバイアス補正量V
MBNは、累積ドラム回転回数がゼロ(N=0)のときゼロである。ブレードバイアス補正量V
MBNは、累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に絶対値が大きくなるように設定されている。ここでは、累積ドラム回転回数がNのときのブレードバイアス補正量をV
MBNとしている。なお、ブレードバイアス補正量V
MBNと累積ドラム回転回数の関係性(
図6(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、累積ドラム回転回数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化しても感光体ドラム81に付着するトナー量が一定になるようにしている。
【0070】
図6(b)に示すように、制御装置100は、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期ブレードバイアスV
B1を決定する処理と、第2のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期ブレードバイアスV
B2を決定する処理と、を実行可能である。同様に、第3、第4、第5のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期ブレードバイアスV
B3,V
B4,V
B5を決定する処理を実行可能である。
【0071】
トナーカートリッジの初期ブレードバイアスは、累積ドラム回転回数に基づいて決定される。ドラムカートリッジが新品のときには、累積ドラム回転回数がゼロなので、第1のドラムカートリッジの初期ブレードバイアスV
B1=V
B0である。第2のトナーカートリッジの初期ブレードバイアスV
B2は、
図6(a)に示すブレードバイアス補正量から導き出される。累積ドラム回転回数がN
1のときには、ブレードバイアス補正量がV
MB1となる。第2のトナーカートリッジの初期ブレードバイアスV
MB2=V
B0+V
MB1となる。
【0072】
つまり、第2のドラムカートリッジの初期ブレードバイアスVB2は、第1のドラムカートリッジの初期ブレードバイアスVB1とは異なる値である。本実施形態では、初期ブレードバイアスVB2は、初期ブレードバイアスVB1より大きい値である(|VB2|>|VB1|)。
【0073】
第1のドラムカートリッジに第3、第4、第5のトナーカートリッジが装着されて画像形成を行う場合も同様に、制御装置100は、初期ブレードバイアスの絶対値を累積ドラム回転回数に応じて大きくする(|VB5|>|VB4|>|VB3|>|VB2|)。
【0074】
制御装置100は、初期ブレードバイアスが決定された後に、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91に印加するブレードバイアスVBを変更する。具体的には、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、現像バイアスVBの絶対値|VB|を徐々に小さくするとともに、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、ブレードバイアスの絶対値|VB|を徐々に小さくする。
【0075】
図2に戻り、供給バイアス印加回路240は、供給ローラ92に供給バイアスV
Kを印加するための回路である。制御装置100は、累積ドットカウントおよび累積ドラム回転回数に応じて、供給ローラ92に印加する供給バイアスV
Kを決定する。
【0076】
具体的には、供給バイアスVKは、累積ドットカウントに応じた供給バイアス基準値VKnと、累積ドラム回転数に応じた供給バイアス補正量VMKNを足すことで決定される(VK=VKn+VMKN)。
【0077】
図4(c)に示すように、供給バイアス基準値V
Knは、累積ドットカウントがゼロ(n=0)のときV
K0である。供給バイアス基準値V
Knは、累積ドットカウントが増えるに従って、徐々に絶対値が大きくなる。ここでは、累積ドットカウントがnのときの供給バイアス基準値をV
Knとしている。なお、供給バイアス基準値V
Knと累積ドットカウントの関係性(
図4(c))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、ドットカウントが増えるに従って、トナーが劣化してトナーの帯電性能が低下しても現像ローラ91に付着するトナー量が一定になるように補完する。
【0078】
図7(a)に示すように、供給バイアス補正量V
MKNは、累積ドラム回転回数がゼロ(N=0)のときゼロである。供給バイアス補正量V
MKNは、累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に絶対値が大きくなるように設定されている。ここでは、累積ドラム回転回数がNのときの供給バイアス補正量をV
MKNとしている。なお、供給バイアス補正量V
MKNと累積ドラム回転回数の関係性(
図7(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、累積ドラム回転回数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化しても感光体ドラム81に付着するトナー量が一定になるようにしている。
【0079】
図7(b)に示すように、制御装置100は、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期供給バイアスV
K1を決定する処理と、第2のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期供給バイアスV
K2を決定する処理と、を実行可能である。同様に、第3、第4、第5のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期供給バイアスV
K3,V
K4,V
K5を決定する処理を実行可能である。
【0080】
トナーカートリッジの初期供給バイアスは、累積ドラム回転回数に基づいて決定される。ドラムカートリッジが新品のときには、累積ドラム回転回数がゼロなので、第1のドラムカートリッジの初期供給バイアスV
K1=V
K0である。第2のトナーカートリッジの初期供給バイアスV
K2は、
図7(a)に示す供給バイアス補正量から導き出される。累積ドラム回転回数がN
1のときには、供給バイアス補正量がV
MK1となる。第2のトナーカートリッジの初期供給バイアスV
MK2=V
K0+V
MK1となる。
【0081】
つまり、第2のドラムカートリッジの初期供給バイアスVK2は、第1のドラムカートリッジの初期供給バイアスVK1とは異なる値である。本実施形態では、初期供給バイアスVK2は、初期供給バイアスVK1より大きい値である(|VK2|>|VK1|)。
【0082】
第1のドラムカートリッジに第3、第4、第5のトナーカートリッジが装着されて画像形成を行う場合も同様に、制御装置100は、初期供給バイアスの絶対値を累積ドラム回転回数に応じて大きくする(|VK5|>|VK4|>|VK3|>|VK2|)。
【0083】
制御装置100は、初期供給バイアスが決定された後に、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91に印加する供給バイアスVKを変更する。具体的には、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、供給バイアスVKの絶対値|VK|を徐々に大きくするとともに、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、供給バイアスの絶対値|VK|を徐々に大きくする。
【0084】
図2に戻り、第1モータ250は、感光体ドラム81に駆動力を供給するための駆動源である。第1モータ250の速度は、制御装置100によって制御される。第2モータ260は、現像ローラ91に駆動力を供給するための駆動源である。第2モータ260の速度は、制御装置100によって制御される。制御装置100は、累積ドットカウントおよび累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、現像ローラ91と、感光体ドラム81の周速差ΔVを決定する。
【0085】
感光体ドラム81と現像ローラ91を駆動するモータがそれぞれ独立しているので、制御装置100は、感光体ドラム81の周速VDと現像ローラ91の周速VEとの差を適宜変更可能である。本実施形態では、感光体ドラム81の周速VDを一定速度とし、現像ローラ91の周速VEを変更している。現像ローラ91の周速VEは、感光体ドラム81の周速VD以上である(VE≧VD)。以下の説明では、現像ローラ91の周速VEと、感光体ドラム81の周速VDとの周速差VE-VDを単に、「周速差ΔV」という。
【0086】
具体的には、周速差ΔVは、累積ドットカウントに応じた周速差基準値ΔVnと、累積ドラム回転数に応じた周速差補正量ΔVMNを足すことで決定される(ΔV=ΔVn+ΔVMN)。
【0087】
図4(d)に示すように、周速差基準値ΔV
nは、累積ドットカウントがゼロ(n=0)のときΔV
0である。周速差基準値ΔV
nは、累積ドットカウントが増えるに従って、徐々に絶対値が小さくなる。ここでは、累積ドットカウントがnのときの周速差基準値をΔV
nとしている。なお、周速差基準値ΔV
nと累積ドットカウントの関係性(
図4(d))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、ドットカウントが増えるに従って、トナーが劣化しても現像ローラ91から感光体ドラム81に運ばれるトナー量が一定になるようにしている。
【0088】
図8(a)に示すように、周速差補正量ΔV
MNは、累積ドラム回転回数がゼロ(N=0)のときゼロである。周速差補正量ΔV
MNは、累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に絶対値が大きくなるように設定されている。ここでは、累積ドラム回転回数がNのときの周速差補正量をΔV
MNとしている。なお、周速差補正量ΔV
MNと累積ドラム回転回数の関係性(
図8(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、累積ドラム回転回数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化しても感光体ドラム81に付着するトナー量が一定になるようにしている。
【0089】
図8(b)に示すように、制御装置100は、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期周速差ΔV
1を決定する処理と、第2のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期周速差ΔV
2を決定する処理と、を実行可能である。同様に、第3、第4、第5のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期周速差ΔV
3,ΔV
4,ΔV
5を決定する処理を実行可能である。
【0090】
トナーカートリッジの初期周速差ΔVは、累積ドラム回転回数に基づいて決定される。ドラムカートリッジが新品のときには、累積ドラム回転回数がゼロなので、第1のドラムカートリッジの初期周速差ΔV
1=ΔV
0である。第2のトナーカートリッジの初期周速差ΔV
2は、
図8(a)に示す周速差補正量から導き出される。累積ドラム回転回数がN
1のときには、周速差補正量がΔV
M1となる。第2のトナーカートリッジの初期周速差ΔV
2=ΔV
0+ΔV
M1となる。
【0091】
つまり、第2のドラムカートリッジの初期周速差ΔV2は、第1のドラムカートリッジの初期周速差ΔV1とは異なる値である。本実施形態では、初期周速差ΔV2は、初期周速差ΔV1より大きい値である(ΔV2>ΔV1)。
【0092】
第1のドラムカートリッジに第3、第4、第5のトナーカートリッジが装着されて画像形成を行う場合も同様に、制御装置100は、初期周速差を累積ドラム回転回数に応じて大きくする(ΔV5>ΔV4>ΔV3>ΔV2)。
【0093】
制御装置100は、初期周速差ΔVが決定された後に、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91に印加する周速差ΔVを変更する。具体的には、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、周速差ΔVを徐々に小さくするとともに、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、周速差ΔVを徐々に小さくする。
【0094】
以上に説明したような本実施形態の画像形成装置1によれば、次のような効果を奏する。
【0095】
画像形成装置1によれば、初期現像バイアスVG1と、初期現像バイアスVG2とを異ならせる(具体的には、|VK2|>|VK1|とする)ことで、第2のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量に近づけることができる。このため、1つのドラムカートリッジに対して複数のトナーカートリッジを交換して使用しても、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。
【0096】
また、制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91に印加する現像バイアスを変更するので、感光体ドラム81の劣化およびトナー劣化の両方に応じて現像バイアスを変更することができる。
例えば、感光体ドラム81は劣化に伴って帯電性能が低下するので、帯電性能の低下を補うように、現像バイアスを徐々に大きくしていくとよい。一方、トナーは劣化に伴って付着力が上昇するので、付着しすぎないように、現像バイアスを徐々に小さくしていくとよい。この両方に応じて現像バイアスを変更することで、感光体ドラム81に付着するトナー量を一定にすることができる。
【0097】
また、初期ブレードバイアスVB1と、初期ブレードバイアスVB2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジの現像ローラ91に付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジの現像ローラ91に付着するトナー量に近づけることができる。このため、現像ローラ91から感光体ドラム81に供給されるトナー量が安定する。この結果、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。
【0098】
また、制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91に印加するブレードバイアスを変更するので、感光体ドラム81の劣化およびトナー劣化の両方に応じて現像バイアスを変更することができる。このため、感光体ドラム81に付着するトナー量を一定にすることができる。
【0099】
また、初期供給バイアスVK1と、初期供給バイアスVK2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジの現像ローラ91に付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジの現像ローラ91に付着するトナー量に近づけることができる。このため、現像ローラ91からドラムカートリッジ8に供給されるトナー量が安定する。この結果、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。
【0100】
また、制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、供給ローラ92に印加する供給バイアスを変更するので、感光体ドラム81の劣化およびトナー劣化に応じて供給バイアスを変更することができる。このため、感光体ドラム81に供給するトナー量を一定にすることができる。
【0101】
また、初期周速差ΔV1と、初期周速差ΔV2とを異ならせることで、第2のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量を、第1のトナーカートリッジを使用したときに感光体ドラムに付着するトナー量に近づけることができる。このため、現像ローラ91からドラムカートリッジ8に供給されるトナー量が安定する。この結果、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。
【0102】
また、制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、現像ローラ91と感光体ドラム81の周速差を変更するので、感光体ドラム81の劣化およびトナー劣化に応じて周速差を変更することができる。このため、感光体ドラム81に供給するトナー量を一定にすることができる。
【0103】
なお、本開示は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0104】
上述した実施形態においては、正帯電性のトナーを使用していたが、負帯電性のトナーを使用してもよい。この場合には、帯電バイアス印加回路210と、現像バイアス印加回路220と、ブレードバイアス印加回路230と、供給バイアス印加回路240は、負電位のバイアスを印加するようにすればよい。
【0105】
上述した実施形態においては、制御装置100は、ドラムカートリッジ8の累積ドットカウントが増えるのに応じて、現像バイアスVGの絶対値|VG|を小さくしていたが、累積ドットカウントの代わりに累積ドラム回転回数やトナー残量に応じてバイアス値を決定する構成としてもよい。同様に、感光体ドラムと現像ローラとの周速差ΔVについても、累積ドットカウントの代わりに累積ドラム回転回数やトナー残量に応じて値を決定する構成としてもよい。
【0106】
上述した実施形態においては、感光体ドラム81の周速を一定速度としていたが、感光体ドラム81の周速を変えてもよい。また、現像ローラ91の周速は、感光体ドラムの周速以上であったが、感光体ドラムの周速以下としてもかまわない。
【0107】
上述した実施形態においては、感光体ドラム81と現像ローラ91を別々のモータで駆動させていたが、1つのモータで駆動させてもよい。このときには、現像ローラとモータとを速度伝達比を変更可能な伝達機構を介して接続すればよい。
【0108】
上述した実施形態においては、画像形成装置として、モノクロ用のレーザプリンタを例示したが、画像形成装置は、カラー用のレーザプリンタであってもよく、コピー機や複合機であってもよい。
【0109】
上述した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0110】
1 画像形成装置
2 装置本体
4 画像形成部
8 ドラムカートリッジ
9 トナーカートリッジ
81 感光体ドラム
85 ドラムメモリ
91 現像ローラ
92 供給ローラ
93 ブレード
95 トナーメモリ
100 制御装置
VB ブレードバイアス
VB1 初期ブレードバイアス
VB2 初期ブレードバイアス
VG 現像バイアス
VG1 初期現像バイアス
VG2 初期現像バイアス
VK 供給バイアス
VK1 初期供給バイアス
VK2 初期供給バイアス
ΔV 周速差
ΔV1 初期周速差
ΔV2 初期周速差