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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241206BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20241206BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/16 103
G03G21/00 312
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019062594
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020160386
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉元 俊二
(72)【発明者】
【氏名】神村 直哉
(72)【発明者】
【氏名】今井 匡
(72)【発明者】
【氏名】植地 正樹
(72)【発明者】
【氏名】廣中 啓太
(72)【発明者】
【氏名】角谷 穂高
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】道祖土 新吾
【審判官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-181638号公報
【文献】特開2014-211465号公報
【文献】特開2003-241444号公報
【文献】特開2006-258868号公報
【文献】特開2018-200349号公報
【文献】特開2014-44286号公報
【文献】特開2010-156792号公報
【文献】特開2006-301297号公報
【文献】特開2005-242179号公報
【文献】特開2003-345224号公報
【文献】特開2004-184820号公報
【文献】特開2011-69952号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
装置本体と、
感光体ドラムと、前記感光体ドラムと向かい合う転写ローラまたは前記感光体ドラムと
向かい合うクリーニングローラと、前記感光体ドラムの累積ドラム回転回数を記憶するド
ラムメモリを有し、前記装置本体に対して着脱可能なドラムカートリッジと、
トナーを収容可能な筐体と、現像ローラと、累積ドットカウントを記憶するトナーメモ
リを有するトナーカートリッジと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ドラムカートリッジに対して、第1の前記トナーカートリッジが用いられて画像
形成を行う場合、前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記第1のトナーカートリッジで
画像形成が行われる場合の前記転写ローラに印加する初期転写電流I1、または、前記ク
リーニングローラに印加する初期クリーニングバイアスVC1を決定する処理と、
前記初期転写電流I1、または、前記初期クリーニングバイアスVC1が決定された
後に、前記ドラムカートリッジに前記第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカ
ートリッジが、前記ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、前
記累積ドラム回転回数に基づいて、前記初期転写電流I1と異なる初期転写電流I2、ま
たは、前記初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバイアスVC2を
決定する処理と、
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置であって、
前記制御装置は、前記累積ドラム回転回数と、前記累積ドットカウントとが増えるのに
応じて、前記転写ローラに印加する転写電流、または、前記クリーニングローラに印加す
るクリーニングバイアスを変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記累積ドットカウントが増えるのに応じて、前記転写電流を大きく
する、または、前記クリーニングバイアスの絶対値を大きくすることを特徴とする請求項
に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、前記転写電流を大きく
する、または、前記クリーニングバイアスの絶対値を大きくすることを特徴とする請求項
または請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
I2>I1、または、|VC2|>|VC1|であることを特徴とする請求項1から請求項
のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーカートリッジは、前記ドラムカートリッジに対して着脱可能であることを特
徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ドラムカートリッジは、前記転写ローラ、および、前記クリーニングローラを有し

前記制御装置は、前記初期転写電流I1、および、前記初期クリーニングバイアスVC
1を決定し、
前記初期転写電流I1、および、前記初期クリーニングバイアスVC1が決定された後
に、前記制御装置は、前記ドラムカートリッジに前記第1のトナーカートリッジと異なる
第2のトナーカートリッジが、前記ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行
われる場合、前記累積ドラム回転回数に基づいて、前記初期転写電流I1と異なる初期転
写電流I2、および、前記初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバ
イアスVC2を決定することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドラムカートリッジとトナーカートリッジとを装着可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラムカートリッジとトナーカートリッジとを装着可能な画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、トナーカートリッジをドラムカートリッジに組み付けた上で、装置本体に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-265401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ドラムカートリッジの寿命は、トナーカートリッジの寿命より長い。このため、1つのドラムカートリッジに対して複数のトナーカートリッジを交換して使用している場合がある。しかしながら、ドラムカートリッジの劣化により感光体ドラムの特性が変化して、1つ目のトナーカートリッジで印刷した場合と、2つ目以降のトナーカートリッジで印刷した場合とで、印刷濃度が変わってしまう虞があった。
【0005】
そこで、本開示は、画像形成装置の印刷濃度を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、画像形成装置は、装置本体と、ドラムカートリッジと、トナーカートリッジと、制御装置と、を備える。ドラムカートリッジは、感光体ドラムと、感光体ドラムと向かい合う転写ローラまたは感光体ドラムと向かい合うクリーニングローラと、感光体ドラムの累積ドラム回転回数を記憶するドラムメモリを有し、装置本体に対して着脱可能である。トナーカートリッジは、トナーを収容可能な筐体と、現像ローラと、累積ドットカウントを記憶するトナーメモリを有する。
制御装置は、ドラムカートリッジに対して、第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う場合、累積ドラム回転回数に基づいて、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の転写ローラに転写する初期転写電流I、または、クリーニング部材に印加する初期クリーニングバイアスVC1を決定する処理と、初期転写電流I、または、初期クリーニングバイアスVC1が決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期転写電流Iと異なる初期転写電流I、または、初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバイアスVC2を決定する処理と、を実行可能である。
【0007】
この構成によれば、1つのドラムカートリッジに対して、複数のトナーカートリッジに交換して使用した場合であっても、画像形成装置の印刷濃度を安定させることができる。
【0008】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、転写ローラに印加する転写電流、または、クリーニングローラに印加するクリーニングバイアスを変更する構成としてもよい。
【0009】
これによれば、感光体ドラムの劣化およびトナー劣化の両方に応じて転写電流を変更するので、トナーの転写量を一定にすることができる。
【0010】
前記した構成において、制御装置は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、転写電流、または、クリーニングバイアスの絶対値を大きくする構成としてもよい。
【0011】
前記した構成において、制御装置は、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、転写電流を大きくする、または、クリーニングバイアスの絶対値を大きくする構成としてもよい。
【0012】
前記した構成において、I>I、または、|VC2|>|VC1|である構成としてもよい。
【0013】
これによれば、第2のトナーカートリッジを使用したときのトナーの転写量を、第1のトナーカートリッジを使用したときのトナーの転写量に近づけることができる。このため、画像形成装置の印刷濃度を安定させることができる。
【0014】
前記した構成において、トナーカートリッジは、ドラムカートリッジに対して着脱可能である構成としてもよい。
【0015】
前記した構成において、ドラムカートリッジは、転写ローラおよびクリーニングローラを有し、制御装置は、初期転写電流Iおよび初期クリーニングバイアスVC1を決定し、初期転写電流Iおよび初期クリーニングバイアスVC1が決定された後に、制御装置は、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期転写電流Iと異なる初期転写電流Iおよび初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバイアスVC2を決定する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示の画像形成装置によれば、印刷濃度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
図2】帯電バイアス、転写電流およびクリーニングバイアスの印加回路を説明する図である。
図3】累積ドラム回転回数と帯電バイアスの関係を示すグラフである。
図4】累積ドットカウントと転写電流基準値の関係を示すグラフ(a)と、累積ドットカウントとクリーニングバイアス基準値の関係を示すグラフ(b)である。
図5】累積ドラム回転回数と転写電流補正量の関係を示すグラフ(a)と、1つのドラムカートリッジに対し複数の現像カートリッジを交換して使用したときのドットカウント(累積ドラム回転回数)と転写電流を示すグラフ(b)である。
図6】累積ドラム回転回数とクリーニングバイアス補正量の関係を示すグラフ(a)と、1つのドラムカートリッジに対し複数の現像カートリッジを交換して使用したときのドットカウント(累積ドラム回転回数)とクリーニングバイアスを示すグラフ(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本開示の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1はモノクロ用のレーザプリンタである。画像形成装置1は、装置本体2と、フィーダ部3と、画像形成部4と、制御装置100と、を備える。
【0019】
装置本体2は、中空のケース状である。装置本体2は、左右一対の側壁21と、側壁21を繋ぐ前壁22とを有している。前壁22は、本体開口22Aを有する。前壁22には、本体開口22Aを開閉するフロントカバー23が設けられている。
【0020】
フィーダ部3は、供給トレイ31と、供給機構32とを備えている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される。供給機構32は、供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に向けて給紙する。
【0021】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、定着装置7と、ドラムカートリッジ8と、トナーカートリッジ9とを備えている。
【0022】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0023】
制御装置100は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、装着されたカートリッジの情報やROMに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて演算処理を行うことによって、印刷制御を実行している。
【0024】
ドラムカートリッジ8は、フィーダ部3とスキャナユニット5との間に配置されている。ドラムカートリッジ8は、装置本体2に対して着脱可能である。具体的に、ドラムカートリッジ8は、装置本体2のフロントカバー23で開閉される本体開口22Aを通して、装置本体2に対して着脱可能である。トナーカートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能である。トナーカートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に組み付けられた状態で、装置本体2に対して着脱される。
【0025】
ドラムカートリッジ8の寿命は、トナーカートリッジ9の寿命よりも長い。ここでいう寿命が長いとは、印刷可能な総枚数、または、印刷可能な総ドットカウント数が大きいことをいう。このため、1つのドラムカートリッジ8に対して複数のトナーカートリッジ9を交換して使用可能である。例えば、1つのドラムカートリッジ8に対して、3~5つのトナーカートリッジ9を交換して使用してもよい。
【0026】
ドラムカートリッジ8は、フレーム80と、感光体ドラム81と、転写ローラ82と、帯電器83と、クリーニングローラ84と、ドラムメモリ85とを有している。フレーム80は、トナーカートリッジ9を装着可能である。感光体ドラム81は、フレーム80に回転可能に支持されている。転写ローラ82は、感光体ドラム81と向かい合って位置する。
【0027】
クリーニングローラ84は、転写ローラ84とは異なる位置に設けられ、感光体ドラム81と向かい合って位置する。クリーニングローラ84は、感光体ドラム81上の残留トナーや異物をクリーニングする。
【0028】
トナーカートリッジ9は、筐体90と、現像ローラ91と、供給ローラ92と、ブレード93と、トナーメモリ95とを有している。筐体90は、内部にトナーを収容可能である。現像ローラ91は感光体ドラム81にトナーを供給する。供給ローラ92は筐体90のトナーを現像ローラ91に供給する。ブレード93は、現像ローラ91に供給されたトナーの層厚を規制する。
【0029】
このドラムカートリッジ8では、回転する感光体ドラム81の表面が、帯電器83により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0030】
次いで、回転駆動される現像ローラ91によってトナーカートリッジ9内のトナーが感光体ドラム81の静電潜像に供給されて、感光体ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム81と転写ローラ82の間でシートSが搬送されることで、感光体ドラム81の表面に担持されているトナー像がシートS上に転写される。
【0031】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加圧ローラ72とを備えている。加圧ローラ72は、加熱ローラ71と向かいあって位置している。加圧ローラ72は、加熱ローラ71を押圧する。定着装置7は、シートS上に転写されたトナーを、シートSが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着する。
【0032】
定着装置7で熱定着されたシートSは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラ24に搬送され、この排紙ローラ24から排紙トレイ25上に送り出される。
【0033】
ドラムメモリ85は、例えば、ICチップなどの情報を記憶する媒体であり、ICチップに限られない。ドラムメモリ85は、感光体ドラム81の累積ドラム回転回数が記憶される。
【0034】
トナーメモリ95は、例えば、ICチップなどの情報を記憶する媒体であり、ICチップに限られない。トナーメモリ95には、例えば、現像ローラ91の累積回転数、使用済みのドットカウント、トナーの残量が記憶される。本実施形態では、トナーメモリ95は、使用済みの累積ドットカウントが記憶される。
【0035】
図2に示すように、画像形成装置1は、帯電バイアス印加回路210と、転写電流印加回路270と、クリーニングバイアス印加回路280とをさらに備えている。
【0036】
本実施形態では、正帯電性のトナーを使用している。正帯電性のトナーに対応して、帯電バイアス印加回路210は、正電位のバイアスVが印加される。
【0037】
帯電バイアス印加回路210は、帯電器83に帯電バイアスVを印加するための回路である。帯電バイアス印加回路210は、制御装置100によって制御される。具体的には、図3に示すように、制御装置100は、感光体ドラム81の累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に帯電バイアスVを大きくする。なお、帯電バイアスVと累積ドラム回転回数の関係性(図3)は、予め取得された実験データによって感光体ドラム81の表面電位が一定になるように決定されている。このようにして、累積ドラム回転回数が増えるに従って劣化していく感光体ドラム81の帯電性能を補完するようになっている。
【0038】
図2に戻り、転写電流印加回路270は、転写ローラ82に転写電流Iを印加するための回路である。制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとに応じて、転写ローラ82に印加する転写電流Iを決定する。
【0039】
具体的には、転写電流Iは、累積ドットカウントに応じた転写電流基準値Iと、累積ドラム回転数に応じた転写電流補正量Iを足すことで決定される(I=I+I)。
【0040】
図4(a)に示すように、転写電流基準値Iは、累積ドットカウントがゼロ(n=0)のときIである。転写電流基準値Iは、累積ドットカウントが増えるに従って、徐々に大きくなる。ここでは、累積ドットカウントがnのときの転写電流基準値をIとしている。なお、転写電流基準値Iと累積ドットカウントの関係性(図4)は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、ドットカウントが増えるに従って、トナーが劣化しても転写されるトナーの転写量が一定になるようにしている。
【0041】
図5(a)に示すように、転写電流補正量Iは、累積ドラム回転回数がゼロ(N=0)のときゼロである。転写電流補正量Iは、累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に大きくなるように設定されている。ここでは、累積ドラム回転回数がNのときの転写電流補正量をIとしている。なお、転写電流補正量Iと累積ドラム回転回数の関係性(図5(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、累積ドラム回転数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化しても転写されるトナーの転写量が一定になるようにしている。
【0042】
ここで、本実施形態では、1つのドラムカートリッジに対して1つ目のトナーカートリッジである第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行い、その後に、第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う。さらに、同様の手順で第3、第4、第5のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う。
【0043】
図5(b)に示すように、制御装置100は、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期転写電流Iを決定する処理と、第2のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期転写電流Iを決定する処理と、を実行可能である。同様に、第3、第4、第5のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期転写電流I,I,Iを決定する処理を実行可能である。
【0044】
初期転写電流は、累積ドラム回転回数に基づいて決定される。ドラムカートリッジが新品のときには、累積ドラム回転回数がゼロなので、第1のドラムカートリッジが装着されたときの初期転写電流I=Iである。第2のトナーカートリッジが装着されたときの初期転写電流Iは、図5(a)に示す転写電流補正量から導き出される。累積ドラム回転回数がNのときには、転写電流補正量がIN1となる。第2のトナーカートリッジが装着されたときの初期転写電流I=I+IN1となる。
【0045】
つまり、第2のトナーカートリッジが装着されたときの初期転写電流Iは、第1のトナーカートリッジが装着されたときの初期転写電流Iとは異なる値である。本実施形態では、初期転写電流Iは、初期転写電流Iより大きい値である(I>I)。
【0046】
第1のドラムカートリッジに第3、第4、第5のトナーカートリッジが装着されて画像形成を行う場合も同様に、制御装置100は、初期供給バイアスの絶対値を累積ドラム回転回数に応じて大きくする(I>I>I>I)。
【0047】
制御装置100は、初期転写電流が決定された後に、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、転写ローラ82に印加する転写電流Iを変更する。具体的には、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、転写電流Iを徐々に大きくするとともに、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、転写電流Iを徐々に大きくする。
【0048】
図2に戻り、クリーニングバイアス印加回路280は、クリーニングローラ84にクリーニングバイアスVを印加するための回路である。制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとに応じて、クリーニングローラ84に印加するクリーニングバイアスVを決定する。
【0049】
具体的には、クリーニングバイアスVは、累積ドットカウントに応じたクリーニングバイアス基準値VCnと、累積ドラム回転数に応じたクリーニングバイアス補正量VCNを足すことで決定される(V=VCn+VCN)。
【0050】
図4(b)に示すように、転写電流基準値Iは、累積ドットカウントがゼロ(n=0)のときVC0である。クリーニングバイアス基準値VCnは、累積ドットカウントが増えるに従って、徐々に大きくなる。ここでは、累積ドットカウントがnのときの転写電流基準値をVCnとしている。なお、クリーニングバイアス基準値VCnと累積ドットカウントの関係性(図4(b))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、ドットカウントが増えるに従って、トナーが劣化してもクリーニング量が一定になるようにしている。
【0051】
図6(a)に示すように、クリーニングバイアス補正量VCNは、累積ドラム回転回数がゼロ(N=0)のときゼロである。クリーニングバイアス補正量VCNは、累積ドラム回転回数が増えるに従って、徐々に大きくなるように設定されている。ここでは、累積ドラム回転回数がNのときのクリーニングバイアス補正量をVCNとしている。なお、クリーニングバイアス補正量VCNと累積ドラム回転回数の関係性(図6(a))は、予め取得された実験データによって決定されている。このようにして、累積ドラム回転数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化してもクリーニング量が一定になるようにしている。
【0052】
ここで、本実施形態では、1つのドラムカートリッジに対して1つ目のトナーカートリッジである第1のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行い、その後に、第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う。さらに、同様の手順で第3、第4、第5のトナーカートリッジが用いられて画像形成を行う。
【0053】
図6(b)に示すように、制御装置100は、第1のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期クリーニングバイアスVC1を決定する処理と、第2のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期クリーニングバイアスVC2を決定する処理と、を実行可能である。同様に、第3、第4、第5のトナーカートリッジで画像形成が行われる場合の初期クリーニングバイアスVC3,VC4,VC5を決定する処理を実行可能である。
【0054】
初期クリーニングバイアスは、累積ドラム回転回数に基づいて決定される。ドラムカートリッジが新品のときには、累積ドラム回転回数がゼロなので、第1のドラムカートリッジが装着されたときの初期クリーニングバイアスVC1=VC0である。第2のトナーカートリッジが装着されたときの初期クリーニングバイアスVC2は、図6(a)に示すクリーニングバイアス補正量から導き出される。累積ドラム回転回数がNのときには、クリーニングバイアス補正量がVCN1となる。第2のトナーカートリッジが装着されたときの初期クリーニングバイアスVC2=VC0+VCN1となる。
【0055】
つまり、第2のトナーカートリッジが装着されたときの初期クリーニングバイアスVC2は、第1のトナーカートリッジが装着されたときの初期クリーニングバイアスVC1とは異なる値である。本実施形態では、初期クリーニングバイアスVC2は、初期クリーニングバイアスVC1より大きい値である(VC2>VC1)。
【0056】
第1のドラムカートリッジに第3、第4、第5のトナーカートリッジが装着されて画像形成を行う場合も同様に、制御装置100は、初期クリーニングバイアスの絶対値を累積ドラム回転回数に応じて大きくする(VC5>VC4>VC3>VC2)。
【0057】
制御装置100は、初期クリーニングバイアスが決定された後に、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、クリーニングローラ84に印加するクリーニングバイアスVを変更する。具体的には、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、クリーニングバイアスVを徐々に大きくするとともに、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、クリーニングバイアスVを徐々に大きくする。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、次のような効果を奏する。
【0059】
制御装置100は、初期転写電流Iが決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期転写電流Iと異なる初期転写電流Iを決定する。このため、累積ドラム回転数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化しても転写されるトナーの転写量が一定になる。同様に、制御装置100は、初期クリーニングバイアスVC1が決定された後に、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバイアスVC2を決定する。このため、累積ドラム回転数が増えるに従って、感光体ドラム81が劣化してもクリーニング量が一定になる。この結果、画像形成装置1によれば、1つのドラムカートリッジに対して、複数のトナーカートリッジに交換して使用した場合であっても、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。
【0060】
また、制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、転写ローラ82に印加する転写電流Iを変更するので、感光体ドラム81の劣化およびトナー劣化の両方に応じて転写電流Iを変更することができる。このため、トナーの転写量を一定にすることができる。
同様に、制御装置100は、累積ドラム回転回数と、累積ドットカウントとが増えるのに応じて、クリーニングローラ84に印加するクリーニングバイアスVを変更するので、感光体ドラム81の劣化およびトナー劣化の両方に応じてクリーニングバイアスVを変更することができる。このため、トナーのクリーニング量を一定にすることができる。
【0061】
また、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、転写電流Iを大きくする。このため、トナーカートリッジ9内のトナーが劣化してもトナーの転写量を一定にすることができる。これは、トナーが劣化するとトナーの帯電力が低下するが、転写電流Iを大きくすることにより、転写量の低下を抑制することができるためである。
同様に、制御装置100は、累積ドットカウントが増えるのに応じて、クリーニングバイアスVの絶対値を大きくする。このため、トナーカートリッジ9内のトナーが劣化してもトナーのクリーニング量を一定にすることができる。これは、トナーが劣化するとトナーの帯電力が低下するが、クリーニングバイアスVの絶対値を大きくすることにより、クリーニング量の低下を抑制することができるためである。
【0062】
また、制御装置100は、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、転写電流Iを大きくする。このため、感光体ドラム81が劣化してもトナーの転写量を一定にすることができる。これは、感光体ドラム81が劣化すると感光体ドラム81の表面が荒れてトナーの付着力が大きくなるが、転写電流Iを大きくすることにより、転写量が減ることを抑制できるためである。
同様に、制御装置100は、累積ドラム回転回数が増えるのに応じて、クリーニングバイアスVの絶対値を大きくする。このため、感光体ドラム81が劣化してもトナーのクリーニング量を一定にすることができる。これは、感光体ドラム81が劣化すると感光体ドラム81の表面が荒れてトナーの付着力が大きくなるが、クリーニングバイアスVの絶対値を大きくすることにより、クリーニング量が減ることを抑制できるためである。
【0063】
また、制御装置100は、第2のトナーカートリッジの初期転写電流IをIより大きい値とする(I>I)。このため、第2のトナーカートリッジを使用したときのトナーの転写量を、第1のトナーカートリッジを使用したときのトナーの転写量に近づけることができる。この結果、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。これは、1つのドラムカートリッジに対して複数のトナーカートリッジを使用する場合には、2番目以降のトナーカートリッジを装着したとき感光体ドラム81が劣化しているためである。
同様に、制御装置100は、第2のトナーカートリッジの初期クリーニングバイアスの絶対値|VC2|を|VC1|より大きい値とする(|VC2|>|VC1|)。このため、第2のトナーカートリッジを使用したときのトナーのクリーニング量を、第1のトナーカートリッジを使用したときのトナーのクリーニング量に近づけることができる。この結果、画像形成装置1の印刷濃度を安定させることができる。
【0064】
なお、本開示は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0065】
上述した実施形態においては、正帯電性のトナーを使用していたが、負帯電性のトナーを使用してもよい。この場合には、帯電バイアス印加回路210、クリーニングバイアス印加回路には、負電位のバイアスを印加すればよい。
【0066】
上述した実施形態においては、制御装置は、初期転写電流I、および、初期クリーニングバイアスVC1を決定し、初期転写電流I、および、初期クリーニングバイアスVC1が決定された後に、制御装置は、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期転写電流Iと異なる初期転写電流I、および、初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバイアスVC2を決定していた。
しかし、制御装置は、初期転写電流I、または、初期クリーニングバイアスVC1を決定し、初期転写電流I、または、初期クリーニングバイアスVC1が決定された後に、制御装置は、ドラムカートリッジに第1のトナーカートリッジと異なる第2のトナーカートリッジが、ドラムカートリッジに対して用いられて画像形成が行われる場合、累積ドラム回転回数に基づいて、初期転写電流Iと異なる初期転写電流I、または、初期クリーニングバイアスVC1と異なる初期クリーニングバイアスVC2を決定する構成としてもよい。
【0067】
上述した実施形態においては、制御装置100は、ドラムカートリッジ8の累積ドットカウントが増えるのに応じて、転写電流Iを大きくしていたが、累積ドットカウントの代わりに累積ドラム回転回数やトナー残量に応じて電流値を決定する構成としてもよい。
【0068】
上述した実施形態においては、画像形成装置として、モノクロ用のレーザプリンタを例示したが、画像形成装置は、カラー用のレーザプリンタであってもよく、コピー機や複合機であってもよい。
【0069】
上述した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
4 画像形成部
8 ドラムカートリッジ
9 トナーカートリッジ
81 感光体ドラム
82 転写ローラ
83 帯電器
84 クリーニングローラ
85 ドラムメモリ
91 現像ローラ
95 トナーメモリ
100 制御装置
210 帯電バイアス印加回路
270 転写電流印加回路
280 クリーニングバイアス印加回路
I 転写電流
初期転写電流
初期転写電流
転写電流補正量
図1
図2
図3
図4
図5
図6