(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】シート給紙装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20241206BHJP
B65H 3/46 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B65H3/48 320B
B65H3/46 310
(21)【出願番号】P 2020111099
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】勝又 章佳
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-52942(JP,A)
【文献】特開2007-308295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/46-3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載トレイと、前記積載トレイ上のシートを給紙する給紙手段と、前記積載トレイ上のシート端部にエアーを送風する送風手段と、前記送風手段で送風されるエアーを加熱する加熱器と、を備えるシート給紙装置において、
前記加熱器を停止させた状態で前記送風手段を作動させて前記加熱器を冷却する冷却手段と、前記冷却手段にて前記加熱器を冷却する際にエアーをシートの端部を避けた方向に送風する偏向手段と、を設けたことを特徴とするシート給紙装置。
【請求項2】
前記偏向手段は、エアーをシートの端部に送風する第1の方向と、エアーをシートの端部を避けて送風する第2の方向と、に前記送風手段によるエアーの送風方向を偏向することを特徴とする請求項1に記載のシート給紙装置。
【請求項3】
前記加熱器の温度を検出する温度検出手段を設け、
前記冷却手段は、前記温度検出手段にて検出される前記加熱器の温度が所定の温度以下となるまで、前記加熱器を停止させた状態で前記送風手段を作動させることを特徴とする請求項1に記載のシート給紙装置。
【請求項4】
前記送風手段は、吸入口と吹出口を有するダクトと、前記ダクト内に配置され、前記吸入口からエアーを吸入し、前記吹出口からエアーを吹き出させる送風ファンを備え、前記加熱器は、前記ダクト内に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシート給紙装置。
【請求項5】
前記送風手段は、吹出口を有するダクトと、前記ダクトに沿ってエアーを送風して前記吹出口からエアーを吹き出させる送風ファンを備え、
前記偏向手段による前記第1の方向は、エアーを前記積載トレイ上のシートの端部に向けて前記吹出口から吹き出す方向であり、前記第2の方向は、エアーを前記積載トレイ上の最上位シートよりも上方に向けて前記吹出口から吹き出す方向であることを特徴とする請求項2に記載のシート給紙装置。
【請求項6】
前記送風手段は、前記積載トレイ上のシートの端部にエアーを吹き出す位置に設けられた第1の吹出口と、前記積載トレイ上のシートの端部を避けて吹き出す位置に設けられた第2の吹出口と、を有するダクトを備え、
前記偏向手段による前記第1の方向は、前記第1の吹出口に向けてエアーを送風する方向であり、前記第2の方向は、前記第2の吹出口に向けてエアーを送風する方向であることを特徴とする請求項2に記載のシート給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにエアーを送風する送風手段を備えた給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置には、収納トレイ上に積載されたシートを一枚毎に分離して画像形成装置に供給する給紙装置が備えられている。
【0003】
給紙装置は、シートが積載される昇降自在な積載トレイと、シートの上面に接触して繰り出す繰出手段と、繰り出されたシートを1枚に分離して給紙する分離手段と、1枚に分離されたシートを画像形成装置に向けて搬送する搬送手段が設けられている。そして、昇降トレイ上のシートは、繰出手段、分離手段、搬送手段によって、給紙経路に沿って画像形成装置に案内される。
【0004】
このような給紙装置においては、エアーを温める発熱器と放熱器からなる加熱器と、シートにエアーを吹き付ける送風ファンと、を備え、加熱器で温めた空気を送風ファンによって積載トレイ上のシートの端部に温風として吹き付けてシートを除湿しつつ捌くものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シートに温風を吹き付けて捌く給紙装置では、シートの厚さやサイズ、材質等のシートの種類によって、最適な温度の温風を吹き付ける必要がある。つまり、積載トレイ上のシートの種類を変更することに伴ってシートに吹き付ける温風の温度も変更される。このとき、温風を高温から低温に変更する場合、加熱器を停止してから低温となるまでには長い時間がかかる。その間、給紙ができず生産性が低下するといった問題があった。
【0007】
本発明は、シート捌きを行う際に吹き付けられる温風を短時間で所定の温度に低下させ、給紙動作を行う際の待ち時間を短縮することができる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
シートを積載する積載トレイと、積載トレイ上のシートを給紙する給紙手段と、積載トレイ上のシート端部にエアーを送風する送風手段と、送風手段で送風されるエアーを加熱する加熱器と、を備えるシート給紙装置において、加熱器を停止させた状態で送風手段を作動させて加熱器を冷却する冷却手段と、冷却手段にて加熱器を冷却する際にエアーをシートの端部を避けた方向に送風する偏向手段と、を設けた。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給紙装置によれば、加熱器によるエアーの加熱を停止した状態で送風手段を作動させるので、加熱器を簡易かつ効率よく冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の給紙装置を含む画像形成システムの一例を示す概念図である。
【
図3】給紙装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】送風機構の送風動作を示すフローチャート図である。
【
図5】ヒータの冷却動作を示すフローチャート図である。
【
図6】ヒータの冷却時におけるルーバーの移動動作を示す概念図である。
【
図7】他の実施の形態におけるヒータの冷却時のルーバー移動動作を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は給紙装置を含む画像形成システムの一例を示す概念図である。画像形成システム1は、原稿読取装置3及び原稿給送装置4が搭載される画像形成装置2と、この画像形成装置2に接続される給紙装置5とから構成されている。画像形成装置2は、原稿読取装置3によって原稿画像から読み取られた画像データに基づいて、上段カセット10、下段カセット11又は給紙装置5の何れか一つから供給されたシート上に画像形成部7にて画像形成を行い、画像形成されたシートを集積部8に集積する。原稿読取装置3には、原稿給送装置4によって原稿シートを給送することもできる。
【0012】
画像形成部7は、帯電器7aと、投光器(レーザヘッドなど)7bと、感光ドラム7cと、現像器7dと、転写チャージャ7eと、定着ローラ7fとを備えている。帯電器7aで帯電された感光ドラム7cの表面に投光器7bで静電潜像(静止画像)が形成され、現像器7dによって静電潜像にトナーが付着させられる。そして、感光ドラム7c上に付着されたトナーが上下段のカセット10、11又は給紙装置5のいずれから供給されたシートに転写チャージャ7eによって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラ7fに送られて、シート上のトナーを加熱定着させられた後、排紙ローラ対9によって集積部6へ排出される。
【0013】
上下段のカセット10、11には、各カセット10、11に収納されているシートを給紙する給紙機構がそれぞれ設けられている。給紙機構にはシートの最上位面に接触してシートを送り出す送出ローラと、送り出されたシートを一枚ずつに分離して給送する分離ローラ対とが設けられている。給紙機構にて送り出されたシートは搬送路12を通って搬送される。そして、搬送路13に沿って画像形成部7へと送られる。
【0014】
なお、画像形成装置2及び給紙装置5において扱われるシートには、普通紙の他、OHPシート、トレーシングペーパ、コート紙などを含み、またシートのサイズについても複数種類のサイズに対応する。
【0015】
原稿読取装置3は、原稿給送装置4にて所定の読取位置に搬送された原稿に光を転写して、原稿からの反射光を光電変換素子3aで受け取る。そして、光電変換素子3aは、受け付けた光を電気信号に変換することによって、原稿から画像データを生成させる。このようにして生成された画像データは画像形成装置2の投光器7bに画像信号として送信される。
【0016】
図2は、給紙装置5の構成を示した概念図である。
図1に示されるように、収納庫20の左右両側にはそれぞれスライドレール21a、21bが設けられている。収納庫20は、スライドレール21a、21bを介して引き出し可能に筐体50に支持されている。給送機構30は、給紙モータMT1によって駆動される繰出ローラ31、給紙ローラ32、分離ローラ33を備えている。収納庫20に収納されるシートは、繰出ローラ31によって繰り出され、給紙ローラ32及び分離ローラ33によって1枚ずつ分離されて給紙される。また、給送機構30のシート給紙方向下流には、搬送ローラ対34a、34bが設けられ、この搬送ローラ対34a、34bによって給紙されたシートを画像形成装置2に供給する。
【0017】
収納庫20内には、昇降自在な積載トレイ22が設けられている。この積載トレイ22は、平面状のプレートによって形成され、このプレート上に複数枚のシートが積載できるようになっている。また、収納庫20の上方には、積載トレイ22上に積載されたシートの最上位面の位置を検出する上面検知センサS1が設けられ、収納庫20内の下側には下限検知センサS2が設けられている。積載トレイ22は、上面検知センサS1にて検出された後に所定量上昇した位置から下限検知センサS2にて検出される位置との間を昇降機構28によって昇降するように構成されている。
【0018】
昇降機構28は、積載トレイ22に取り付けられたワイヤ26及びワイヤ26を巻き取る巻取プーリ27と、巻取プーリ27を一方向に回転させてワイヤ26を巻き取ることで積載トレイ22を上昇させ、巻取プーリ27を他方向に回転させてワイヤ26を弛めることで積載トレイ22を下降させる昇降モータMT2を有する。
【0019】
収納庫20内にはシートの給紙方向に直交するシート幅方向を整合するための一対のサイド規制板23が設けられている。一対のサイド規制板23、24は、収納庫20内のシートのサイズに合わせてシート幅方向に移動可能な構成になっている。また、シート給紙方向に移動して、シートの給紙方向の後端を整合する後端規制板25が設けられている。なお、
図1、
図2では、シート幅方向一端側に配置された第1のサイド規制板23のみを図示している。
【0020】
第1のサイド規制板23のシート規制面の背面側には、シート給紙方向の下流側に配置される第1の送風手段としての第1の送風機構40及びシート搬送方向の上流側に配置される第2の送風手段としての第2の送風機構50が設けられている。第1、第2の送風機構40、50は、それぞれの吹出口41b、51bから積載トレイ22に積載されているシートの側部にエアーを吹き付け、シートを浮上させてシート間にエアーを侵入させることでシートを捌くようになっている。
【0021】
なお、第1のサイド規制板23、第1の送風機構40、第2の送風機構50は、一体でユニット化され、第1のサイド規制板23の移動に伴って第1の送風機構40、第2の送風機構50も移動するように構成されている。
【0022】
第1の送風機構40は、吸入口41aと吹出口41bとを有する第1のダクト(送風路)41と、この第1のダクト41内に配置される第1の送風ファン42及びヒータ(加熱器)43とを備えている。第1のダクト41の吹出口41bは、第1のサイド規制板23に設けられた第1の吹出開口23aに連接され、積載トレイ53に積載されているシートの上部にエアーを吹き付ける位置に設けられている。第1のダクト41内に配置される送風ファン42は、回転することで第1のダクト41の吸入口41aから吸引したエアーを吹出口41bから積載トレイ22に積載されているシートの側部に吹き付ける。また、温風を吹き付ける際は、ヒータ43を作動させ、ヒータ43で温めた第1のダクト42内のエアーを送風ファン42にて吹出口41bからシートの側部に吹き付ける。
【0023】
さらに、第1の送風機構40の第1のダクト41内の吹出口41b側には、吹出口41bから吹き出すエアーの送風範囲とエアーの送風向きを変更する偏向手段としての第1のルーバー44が設けられている。この第1のルーバー44は、第1のダクト41の奥側の一端部を回動軸44aに取り付け、回動軸44aの回転によって回動するように構成されている。第1のルーパー44は、吹出口41bを全開して積載トレイ22上のシートの端部にエアーを吹き付け可能な開放位置(
図6(a)参照)と、シートの端部に臨む吹出口41bの部分を遮断してシートの端部にエアーが吹き付け不可の遮断位置(
図6(b)参照)に移動する。そして、第1のルーバー44が遮断位置にあるときに冷却動作が実行される。遮断位置において第1のルーバー44は、
図6(b)に示すようにシートの端部に臨む吹出口41bの部分を遮断するとともにエアーの送風向きを最上位シートよりも上方に吹き出すようにしている。つまり、冷却動作時には第1のルーバー44は開放位置から遮蔽位置に移動し、エアーの送風向きが偏向される。また、第1のルーバー44は、エアーを吹き付けてシートを捌く際に一定周期で上下にスイングするように制御される。これによって、シートの端部に吹き付けられるエアーの風圧に強弱が発生し、またエアーの風向きが変化してシートの捌き精度が向上する。
【0024】
第2の送風機構50は、第1の送風機構40よりも上流側に配置され、吸入口51aと吹出口51bとを有する第2のダクト51と、この第2のダクト51内に配置される第2の送風ファン52と、を備えている。第2のダクト51の吹出口51bは、第1のサイド規制板23に設けられた第2の吹出開口23bに連接され、積載トレイ22に積載されているシートの上流側の上部にエアーを吹き付ける位置となっている。また、第2の送風ファン52も第2のダクト51の吸入口51aから吸引したエアーを吹出口51bから積載トレイ22に積載されているシートの側部に吹き付ける。
【0025】
また、第2の送風機構50にもルーバー45が設けられている。このルーバー45は、エアーを吹き付けてシートを捌く際に、第1の送風機構40の第1のルーバー44と同期して一定周期で上下にスイングするように制御される。つまり、第2のルーバー45も第1の送風機構40の第1のルーバー44と同様にシートの端部に吹き付けられるエアーの風圧に強弱を発生させ、エアーの風向きを変化させている。
【0026】
第1の送風機構40のヒータ43は、ニクロム線等からなる発熱体43aと複数のフィンからなる放熱体43bとで構成されている。放熱体43bには、ヒータ43の温度(ヒータ温度)を検出するサーミスタS3が取り付けられている。発熱体43aは通電すると発熱してヒータ43をオン状態とし、通電を遮断(停止)するとヒータ43をオフ状態とする。放熱体43bは発熱体43aから伝達された熱を放散して周囲の広い範囲のエアーを温める。温められたエアーは、上述したように第1の送風ファン42によって温風となって第1のダクト41内を流れて吹出口41からシートの側部に吹き付けられる。サーミスタS3は、放熱体43bの表面温度を測定する。つまり、本実施の形態では、放熱体43bの表面温度をヒータ温度としている。
【0027】
図3は、
図2に示した給紙装置5の制御系ブロック図である。給紙装置5は、CPU、ROM、RAM、及び時間を図るタイマTMを有する制御部が設けられている。また、給紙装置5は、積載トレイ22の昇降に伴うシートの位置を検出する上面検出センサS1と、積載トレイ22を下限位置で検出する下限検出センサS2と、ヒータ41の温度を計測するサーミスタS3を備えている。さらに、繰出ローラ31、給紙ローラ32、分離ローラ33を駆動する給紙モータMT1と、一方の搬送ローラ34aを駆動する搬送モータM2と、積載トレイ22を昇降する昇降モータMT3と、送風するエアーを温めるヒータ43の発熱体43aと、シートにエアーを吹き付けるために送風する第1、第2の送風ファン42、52を駆動する第1、第2のファンモータMT4、MT5と、第1、第2のルーバー44、45を回動させる回動モータMT6と、を備えている。
【0028】
そして、制御部100は、シートのサイズや材質、特殊紙等のシートの種類、両面印刷、片面印刷や縮小印刷、拡大印刷等の印刷モードの情報が入力される操作部101からの各種情報や上面検出センサS1、下限検出センサS2、サーミスタS3の検出、測定の結果に基づき、給紙モータMT1、搬送モータMT2、昇降モータMT3、ヒータ43、第1、第2の送風ファン42、52の駆動を制御する。また、制御部100は、部品の損傷によるエラーや積載トレイ22の昇降不良、給紙不良等の情報を表示部に送信して、表示部で報知するようになっている。なお、本実施の形態では、制御部100を給紙装置5に設けたが、画像形成装置2または画像読取装置3に設けてもよい。さらに、操作部101、表示部102についても、画像形成装置2または画像読取装置3に取り付けてもよい。
【0029】
ここで、ヒータ43の温度制御について説明すると、制御部100はサーミスタS3で測定されたヒータ温度とシート種類によって設定された設定温度とを比較することによって、ヒータ温度を設定温度近辺に一定に保つように制御している。
【0030】
具体的には、設定温度に一定値を加算した上限値と一定値を減算した下限値とを設け、ヒータ43を停止(OFF)にした状態でサーミスタS3の温度が下限値に到達すると、ヒータ43を作動(ON)にする。このヒータ43をオンにした状態で上限値に到達すると、ヒータ43をオフにする。例えば、設定温度が60℃とすると、上限値が61℃、下限値が59℃に設定される。これによって、サーミスタS3の温度が59℃になるとヒータ43がオンとなり、ヒータ43がON状態で61℃に達するとヒータ43がOFFとなる。これによって、設定温度60℃とした場合のヒータ43の温度は、59℃から61℃の間に制御される。
【0031】
次に、ヒータ43を備えた第1の送風機構による送風動作を
図4の動作フローチャート図に基づいて説明する。送風動作は、収納庫20が閉められたことを確認したとき、及び給紙指令を受けたときに実行する。シートの給紙動作も送風動作は実行され、給紙動作が終了すると送風動作は停止する。しかし、ヒータ43が作動している場合は、ヒータ43は送風が停止しても作動を継続し、第1のダクト41内のエアーを加熱し続ける。
【0032】
上述では給紙動作が終了したならば送風動作を終了するとしたが、給紙動作に終了した後に実行してもよい。すなわち、送風動作を停止した後に再度送風動作を実行するようにしてもよい。
【0033】
送風動作では、先ずシートの紙質、紙厚(坪量)、サイズ等のシート情報を取得する(ST01)。これらのシート情報は、使用者が操作部を操作して入力され、シートの種類が変更された際は使用者がその都度、操作パネルを操作して新たな情報を入力する。
【0034】
入力されたシート情報に基づき、エアー捌きが必要であるか否かが判定される(ST02)。エアー捌きが必要と判定されたら、ヒータ43が必要であるか否か、すなわち温風によるエアー捌きを行うか否かが判定される(ST03)。この判定によって、ヒータ43が不要であるとされた場合は、ヒータ43の冷却動作が実行される(ST10)。一方、ヒータ43が必要とされた場合は、ヒータ43の設定温度が変更されているか否かを確認する(ST04)。この判定に関しては、シート情報に基づいた温度テーブルが制御部100のROMに予め記憶されており、ステップ(ST01)で取得したシート情報に基づく温度テーブルから設定温度を取得し、前回の設定温度と比較して設定温度が変更されたか否かを判定する。
【0035】
ヒータ43の設定温度が変更されたことが確認されると、サーミスタS3によってヒータ43の発熱温度が検出される(ST05)。そして、この測定値からヒータ43の冷却が必要であるか否かが判定される。具体的には、検出されたヒータ43の発熱温度と設定温度とを比較し、検出されたヒータ43の発熱温度が設定温度よりも高い場合にヒータ43の冷却が必要と判定される。一方、検出されたヒータ43の発熱温度が設定温度以下である場合は、ヒータ43の冷却が不要と判定される。
【0036】
ヒータ43の冷却が必要と判定された場合は、ヒータ43の冷却動作が実行される(ST10)。一方、ヒータ43の冷却が不要の場合は、設定温度調節を実行する。そして、この温度調節が完了したら、第1の送風ファン42を作動し、第1のダクト41を通してエアーをシートの側部に向けて吹き付け、シートを捌く(ST07~ST09)。
【0037】
ヒータ43の温度調整動作では、サーミスタS3の測定温度が設定温度以下である場合には、ヒータ43をONし、サーミスタS3にて設定温度になったことが検出されると調整を完了する。一方、温度設定の変更が行われていないとき(ST04)、あるいは、冷却動作後は、サーミスタS3の測定温度を確認し、設定温度と異なる場合は、ヒータ43をONまたはOFFすることによって、設定温度に近づけるように調整される。このようにして、ヒータ43の温度が、サーミスタS3によって測定された温度よりも低い所定の温度に達するまで、ヒータ43を停止させた状態で第1の送風ファン42を作動して第1のダクト41に沿ってエアーを流動させる。
【0038】
ここで、ヒータ43の冷却動作は、ヒータ43の温度がサーミスタS3によって測定された温度よりも低い所定の温度に達するまで、ヒータ43を停止させた状態で第1の送風ファン42を作動してダクト41に沿ってエアーを流動させる。
【0039】
つまり、ここでは冷却手段として、ヒータ43をOFFした状態で第1の送風ファン42による送風を行うようにしている。これによって、第1のダクト41内の温められたエアーが吹出口41bから吹き出され、第1のダクト41の外側のエアーが吸入口41aから取り込まれる。吸入口41aから取り込まれるエアーは、ヒータ43の放熱体43に接触しながら第1のダクト41内を吹出口41bに向かって流動し、ヒータ43を冷却する。
【0040】
図5は冷却動作を示す動作フローチャート図である。
図5に基づき冷却動作について詳細に説明する。先ず最初に、ヒータ43の設定温度調節を停止して、ヒータ43を停止(OFF)する(ST11)。その後、回動モータMT6を逆転駆動して第1のルーバー44を上方に回動させる(ST12)。回動モータMT6が所定量駆動すると回動モータMT6を停止して、第1のルーバー44の回動を停止させる(ST13~ST14)。これによって、第1のルーバー44は、
図6(a)に示すような吹出口41bを全開させる開放位置から
図6(b)に示すような遮断位置に移動して停止する。遮断位置で第1のルーバー44は、吹出口41bにおけるシートの上面位置よりも下方の部分を遮断し、シートの上面位置よりも上方の部分を開放する状態となる。
【0041】
この状態にて第1の送風ファン42を作動(ON)させ、冷却を開始する(ST15)。これによって、吸入口41aから吹出口41bに向かって流動するエアーがヒータ43を通過する過程でヒータ43を設定温度に冷却することができる。さらに、ルーバー44が遮断位置に移動しているので、冷却動作初期時の温風は
図6(b)に示すように吹出口41bの上方部分からシートの上側に吹き出し、シートの端部に吹き付けられることはない。
【0042】
そして、サーミスタS3によって測定されたヒータ温度が設定温度に達すると、送風ファン42を停止(OFF)して冷却を終了する(ST16~ST17)。その後に、回動モータMT6を正転駆動してルーバー44を下方に回動させる(ST18)。回動モータMT6が所定量駆動すると回動モータMT6を停止して、第1のルーバー44の回動を停止する(ST19~ST20)。これによって、第1のルーバー44は、遮断位置から開放位置に戻され、シートの端部にエアーが吹き付けられる状態となる。なお、上述した回動モータMT6の所定駆動量とは、開放位置と遮断位置の距離に相当する駆動量である。つまり、第1のルーバー44が開放位置から遮断位置に回動するのに要する駆動量である。
【0043】
ここで、送風動作のステップ(ST03)でヒータ43を不要とした場合のステップ(ST16)における設定温度は、給紙装置5内に設けられる環境センサS4によって行うことができる。このような環境センサS4を用いた場合は、測定された収納庫51内の温度に一定の値を加算した温度に自動的に設定される。このときの設定温度は、予め定めた温度(例えば、20℃以下)でもよい。
【0044】
なお、上記実施形態では、第1の送風機構40によるエアーの風量はシート捌きに適した風量に設定され、冷却動作時もこの設定された風量によってヒータ43を冷却している。しかし、ヒータ43の冷却動作においては、シート捌きに適した設定風量よりも大きい風量にしてもよい。さらに冷却動作時の第1の送風ファン42の回転数を最大に設定すれば、より短時間にヒータ43を冷却させることが可能となる。
【0045】
次に、他の実施の形態について述べる。前述した実施の形態では、第1のルーバー44をシートの端部に臨む吹出口41bの部分を遮断する遮断位置に移動させることで、冷却時の温風がシートの端部に吹き付けられないようにしたが、吹出口41bを遮断し、第1のダクト41の一部を開放してエアーが吹き出される方向を偏向する偏向機構を設け、冷却時の温風がシートの端部に吹き付けられないようにしてもよい。
【0046】
図7は他の実施の形態の構成及び動作を示す模式図である。偏向機構60は、エアーを吹出口41bに向けて案内する第1位置と、エアーを開放口61aに向けて案内する第2位置と、に回動する第1のルーバー44と、第1のルーバー44を回動させる回動モータMT6と、回動モータMT6の駆動を第1のルーバー44の回動軸44aに伝達する伝達部材としての複数のギヤ(図示せず)と、を備えている。さらに、偏向機構60は、第1のダクト41の一部を形成してエアーを吹出口41bに向けて案内するガイド位置と、第1のダクト41の一部を開放してエアーを吹き出る開口65を形成する開口位置と、に回動するガイド部材61と、回動モータMT6の駆動を第1のルーバー44の回転軸44aを介してガイド部材61の回動軸61aに伝達する3つのギヤ62、63、64と、を備える。
【0047】
そして、冷却動作時に回動モータMT6を逆転駆動して、第1のルーバー44を第1位置から第2位置に移動させ、ガイド部材61をガイド位置から開口位置に移動させることで、開口65から第1のダクト41の外にエアーを排出することができる。これによって、冷却動作初期時の温風がシートの端部に吹き付けられることを防ぐことができる。
【0048】
具体的には、
図6における冷却動作のステップ12(ST12)からステップ14(ST14)において、回動モータMT6を所定量逆転駆動して停止すると、第1のルーバー44が第1位置から第2位置に回動するとともにガイド部材61がガイド位置から開口位置に回動する(
図7(a)、
図7(b)参照)。この状態で、第1の送風ファン42をONしてヒータ43の冷却を開始すると、ヒータ43で温められたエアー(温風)は
図7(b)に示すように第1のルーバー44によって開口65に導かれて、開口65から第1のダクト41外に吹き出し、シートの端部に吹き付けられることはない。
【0049】
第1のまた、ヒータ43が設定温度となり、冷却が終了した際における
図6のステップ18(ST18)からステップ20(ST20)において、回動モータMT6を所定量正転駆動して停止すると、ルーバー44が第2位置から第1位置に回動するとともにガイド部材61が開口位置からガイド位置に回動する(
図7(b)、
図7(a)参照)。これによって、
図7(a)に示すように、ガイド部材61が開口65を塞ぎ、エアーが吹出口41bから吹き出す状態となる。なお、他の実施の形態における上述した回動モータMT6の所定駆動量とは、第1位置から第2位置の距離に相当する駆動量である。つまり、ルーバー44が第1位置から第2位置に回動するのに要する駆動量である。
【0050】
上記の実施の形態によれば、ヒータ43をOFFした状態で第1の送風ファン42を駆動したので、第1のダクト41内のヒータ43の温度を短時間で下げることができる。
【0051】
また、ヒータ43の冷却時にルーバー44を遮蔽位置に移動することで、冷却時の温風がシートに吹き付けられることを防止することができる。これによって、シートの種類による適正温度以上の温風が吹き付けられた際に発生する印刷ムラをなくすことができる。
【符号の説明】
【0052】
2 給紙装置
5 給紙装置
20 収納庫
23、24 一対のサイド規制板23、24
30 給送機構
22 積載トレイ
40 第1の送風機構
42 送風ファン42
41 ダクト
41a 吸入口
41b 吹出口
42 送風ファン
43 ヒータ
44 ルーバー
MT6 回動モータMT6
S3 サーミスタ