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特許7599311駐車場管理サーバ、車両共有サービス管理サーバ、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】駐車場管理サーバ、車両共有サービス管理サーバ、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20241206BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241206BHJP
【FI】
G06Q10/02
G16Y10/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020183999
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2021093143
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2019217291
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 章
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045233(JP,A)
【文献】特開2018-156197(JP,A)
【文献】特開2019-101973(JP,A)
【文献】特開2019-159712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室からシェアカーが出庫して当該シェア車室が空いている場合に時間貸し駐車場として利用できるように管理する駐車場管理サーバであって、
管理対象としている駐車場に関する満空データを蓄積している駐車場管理データベースと、
駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場の予約データを受信する予約データ受信手段と、
その予約データ受信手段が受信した予約データおよび前記の駐車場管理データベースへ蓄積された満空データを用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを判断する予約可否判断手段と、
その予約可否判断手段が判断した予約遂行の可否を前記の予約データの発信元へ送信する予約可否送信手段と、を備え、
前記のシェア車室の満空に関するシェア車室データは、車両共有サービスのデータ管理を実行する管理サーバにおけるシェア車室データベースへ蓄積されており、
前記の予約可否判断手段は、前記の満空データに加えて前記のシェア車室データをも用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを判断することとした駐車場管理サーバ。
【請求項2】
駐車を希望する者に係る通信端末からアクセスして駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場を検索可能な駐車場検索サイトを備え、
その駐車場検索サイトには、前記のシェア車室データを含むこととした請求項1に記載の駐車場管理サーバ。
【請求項3】
車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室に関するデータを駐車場管理サーバへ提供することで時間貸し駐車場として利用できるようにする車両共有サービス管理サーバであって、
サービス対象車両の利用を欲する者が予め属性データなどを登録することで会員ユーザとなった場合に当該会員ユーザに関する管理データを蓄積する会員データベースと、
サービス対象車両を管理するためのデータを蓄積する車両管理データベースと、
前記の車両管理データベースが蓄積する車両位置データをサービス対象車両から受信する車両データ受信手段と、
前記の会員データベースに蓄積されたサービス対象車両の利用の予約データ、および前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の車両位置データを用いて、サービス対象車両が出庫したことに伴って時間貸し駐車のための貸出可能なサービス対象車両用のシェア車室を抽出する貸し出し車室抽出手段と、
その貸し出し車室抽出手段が抽出した貸出可能な車室データを蓄積するシェア車室データベースと、
を備えた車両共有サービス管理サーバ。
【請求項4】
前記の貸し出し車室抽出手段は、会員データベースにおける使用履歴データの中から予約時の返却予定時刻より前に返却した確率を勘案して、貸し出すことが可能な時間帯を算出することとした
請求項3に記載の車両共有サービス管理サーバ。
【請求項5】
前記の貸し出し車室抽出手段は、
前記の駐車場管理サーバに備えられて管理対象としている駐車場の満空データを蓄積している駐車場管理データベースへもアクセス可能とした
請求項3または請求項4のいずれかに記載の車両共有サービス管理サーバ。
【請求項6】
前記の車両データ受信手段は、貸し出し中のサービス対象車両から貸出時間の延長を希望する旨の延長要請データを受信し、
前記の貸し出し車室抽出手段は、前記の延長要請データをも用いて貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出することとした
請求項3から請求項5のいずれかに記載の車両共有サービス管理サーバ。
【請求項7】
車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室からシェアカーが出庫して当該シェア車室が空いている場合に駐車場として利用できるように管理する駐車場管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記の駐車場管理サーバには、管理対象としている駐車場に関する満空データを蓄積している駐車場管理データベースが備えられており、
前記のシェア車室の満空に関するシェア車室データは、車両共有サービスのデータ管理を実行する管理サーバにおけるシェア車室データベースへ蓄積されており、
前記のコンピュータプログラムは、
駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場の予約データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した予約データおよび前記の駐車場管理データベースへ蓄積された満空データを用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを判断する予約可否判断手順と、
その予約可否判断手順にて判断した予約遂行の可否を前記の予約データの発信元へ送信する予約可否送信手順と、を前記の駐車場管理サーバに実行させることとし、
前記の予約可否判断手順においては、前記の満空データに加えて前記のシェア車室データをも用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを判断することとした
コンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の駐車場管理サーバには、駐車を希望する者に係る通信端末からアクセスして駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場を検索可能な駐車場検索サイトを備えており、
その駐車場検索サイトには、前記のシェア車室データを含むこととした
請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室に関するデータを駐車場管理サーバへ提供することで前記のシェア車室が時間貸し駐車場として利用できるようにする車両共有サービス管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記の車両共有サービス管理サーバには、サービス対象車両の利用を欲する者が予め属性データなどを登録することで会員ユーザとなった場合に当該会員ユーザに関する管理データを蓄積する会員データベースと、
サービス対象車両を管理するためのデータを蓄積する車両管理データベースと、を備えており、
前記のコンピュータプログラムは、
前記のサービス対象車両を管理するための車両位置データを前記のサービス対象車両から受信する車両データ受信手順と、
前記の車両データ受信手順にて受信した車両位置データを前記の車両管理データベースへ蓄積するデータ蓄積手順と、
前記の会員データベースに蓄積されたサービス対象車両の利用の予約データ、および前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の車両位置データを用いて、サービス対象車両が出庫したことに伴って時間貸し駐車のための貸出可能なサービス対象車両用のシェア車室を抽出する貸し出し車室抽出手順と、
その貸し出し車室抽出手順にて抽出した貸出可能な車室データをシェア車室データベースへ蓄積する貸し出し可能車室データ蓄積手順と、
を車両共有サービス管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の貸し出し車室抽出手順においては、会員データベースにおける使用履歴データの中から予約時の返却予定時刻より前に返却した確率を勘案して、貸し出すことが可能な時間帯を算出することとした
請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の貸し出し車室抽出手順においては、
前記の駐車場管理サーバに備えられて管理対象としている駐車場の満空データを蓄積している駐車場管理データベースへもアクセス可能とした
請求項9または請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記の車両データ受信手順においては、貸し出し中のサービス対象車両から貸出時間の延長を希望する旨の延長要請データを受信し、
前記の貸し出し車室抽出手順においては、前記の延長要請データをも用いて貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出することとした
請求項9から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共有車両のための駐車車室を効率的に運営するための情報通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(レンタカー事業の運営)
レンタカー事業をサービス業として成立させるため、以下のような設備が必要である。
すなわち、多数の車両(サービス対象車両)、それら車両をプールしたり整備したりしておく事業所、車両を借りるユーザへ車両を引き渡したり返却を受け付けるサービスカウンターなどである。事業所とサービスカウンターを兼ねられる場合もある。
【0003】
(カーシェアリング事業の運営)
カーシェアリングをサービス業として成立させるため、以下のような設備が必要である。
すなわち、多数の車両(サービス対象車両)、それら車両を駐車しておくための駐車車室、各車両に備え付ける通信端末、サービス対象車両の会員利用者や各車両の通信端末との情報通信をしてデータを管理する管理サーバなどである。
【0004】
(レンタカーとカーシェアとの相違点)
カーシェアリングは、レンタカーと比較した場合に短時間で気軽に安価に、という事業コンセプトがあり、そのコンセプトを実現するために、事業運営のコスト削減のため、事業所を設けていないことが多い。
レンタカー事業では、レンタカーサービスを利用しようというユーザが運転免許証の保有者を幅広く対象として貸し出しを行っており、カーシェアと比較して古くから存在するサービスであることもあって、会員登録を済ませた会員ユーザであることを要求していない事業者も多い。
【0005】
(両サービスの近接化)
レンタカー事業においても、ユーザのデータ取得やそのデータ取得に基づくサービス多様化を目指して、会員ユーザへの特典(非会員との差別化)などの工夫で、ユーザの会員化が進んでいる。
カーシェアリング事業においては、短時間の利用をするユーザのみならず、一回あたりの利用時間の長い会員ユーザが増加する傾向にある。たとえば、日をまたいでの利用をして観光地で一泊するなどの利用形態も増えている。
この結果、ユーザからは、レンタカーサービスを利用するのか、カーシェアリングサービスを利用するのか、という点に垣根がなくなってきている。
【0006】
特許文献1では、カーシェアリングにて必要なサービス対象車両と、レンタカー事業と融通し合うための情報技術が開示されている。
【0007】
ところで、カーシェアリング事業に用いるサービス対象車両については、事業者が駐車場(Y)において各サービス対象車両(シェアカー01,02)に対する専用の車室(01,02)を確保し、車庫証明を取得している(図1(a)参照)。換言すれば、事業者が取得している車庫証明に係る車室へ駐車しているサービス対象車両を会員が交代で使用している、というのがカーシェアリング事業である。
【0008】
カーシェアリング事業者は、会員登録をした会員の属性データやサービス利用の履歴データなどを蓄積する会員データベースと、サービス対象車両(シェアカー)に関するデータを蓄積する車両管理データベースとを備えたカーシェアリング管理サーバ(S1)を運営している(図1(b)参照)。
【0009】
一方、レンタカー事業においては、事業者がサービス対象車両の全てを駐車できる駐車場を事業所の近傍に確保していれば良く、各車両に対して個々に貸し出し専用の車室を確保する必要はない
なお、駐車場(Y)における一般車室(03,04)については、駐車場管理サーバ(S2)が管理しており、駐車場管理データベースを構築してデータを随時更新している(図3参照)。
【0010】
カーシェアリング事業では、サービス対象車両を駐車させておく車室を確保するため、駐車場事業者と連携して駐車車室を確保しているか、または駐車場事業を兼業しているカーシェアリング事業者が多い。
【0011】
駐車場事業においては、その効率的な運用のため、予約が可能としている事業者が増えている。そうした駐車場事業者は、駐車場ユーザに対しては、予約作業を効率化するため、インターネットで閲覧や予約が可能な駐車場検索サイトを準備している。そして、その駐車場検索サイトにて閲覧できるデータを蓄積している予約データベースを備えている。ただし、駐車場ユーザに対しては、会員登録を必須としていないことも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特許第6358583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図2(a)に示すように、駐車場Yにてシェアカー01の専用車室01に設置されているシェアカー01が会員Mによって利用され、シェアカー02が会員Nによって予約されているとする。この時、図2(b)に示すように、会員データベースには、会員Mがシェアカー01を使用している旨、会員Nがシェアカー02を予約している旨、が記録されている。なお、図示は省略しているが、会員データベースには、シェアカーの予約データについても蓄積している。
【0014】
車両管理データベースは、シェアカー01について、会員Mがいつから使用を開始し、どの辺りにいるかなどのデータを、シェアカー02について、いつから使用を開始し、どの辺りにいるかなどのデータを、それぞれ蓄積し、データを更新(随時追加)していく。
【0015】
カーシェアリングに用いるサービス対象車両(シェアカー)には、GPSおよびカーシェアリング管理サーバ(S1)との通信をするための通信機器が搭載されている。したがって、図3上に示すように、会員によって使用されているシェアカー(01,02)がどこにあるか、については、カーシェアリング管理サーバ(S1)の車両データ受信手段が車両位置データを受信している。そして受信した車両位置データは、図3下に示すように、車両管理データベースへ蓄積される。
【0016】
さて、サービス対象車両(シェアカー1)が使用されている時間帯は、対応する車室(シェア車室1)は空いていることとなる。カーシェアリング事業者としては、空いている車室を有効活用、すなわち駐車場として貸し出すことができれば、駐車場利用者に対するサービス向上や事業における収益向上につなげられる可能性がある。
【0017】
本発明が解決すべき課題は、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
たとえば、会員によって利用され、駐車場(Y)を出払っているシェアカーに対応するシェア車室(01)が空いている旨、いつまで使うかという予定であるかという予約データを組み合わせることによって、いつからいつまでが空いているか、などを把握するシェア車室管理データベース(図3において想像線にて図示)を構築することは可能である。シェア車室を管理することで、そのシェア車室をシェアカー以外の車両が使える駐車場へ一時的に転用するため、以下のような発明を提供する。
【0019】
(第一の発明)
第一の発明は、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室が空いている場合に駐車場として利用できるように管理する駐車場管理サーバ(S2)に係る(図4参照)。
その駐車場管理サーバ(S2)は、管理対象としている駐車場に関する満空データを蓄積している駐車場管理データベースと、
駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場の予約データを受信する予約データ受信手段と、
その予約データ受信手段が受信した予約データおよび前記の駐車場管理データベースへ蓄積された満空データを用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを判断する予約可否判断手段と、
その予約可否判断手段が判断した予約遂行の可否を前記の予約データの発信元へ送信する予約可否送信手段と、を備える。
前記のシェア車室の満空に関するシェア車室データは、車両共有サービスのデータ管理を実行する管理サーバ(カーシェアリング管理サーバ(S1))におけるシェア車室データベースへ蓄積されており、
前記の予約可否判断手段は、前記の満空データに加えて前記のシェア車室データをも用いて予約内容の遂行が可能か否かを判断する。
【0020】
(用語説明)
「車両共有サービス」とは、カーシェアリング事業および/またはレンタカー事業によって提供されるサービスのことである。レンタカー事業においても、営業所に所定の駐車場を確保していたり、営業所のバックオフィスとしてのレンタカー用カープールを備えたりしているので、それらの駐車スペースを有効利用できるからである。
「駐車場」と車室との関係は、複数の駐車車室について満空の数のみを把握する駐車場と、車室毎との満空を把握している場合と、の両方を含む。
「駐車場管理データベース」は、一般的には、通信ネットワークにてデータ送受信が可能な複数の駐車場を管理対象としているが、それ以外の駐車場が管理対象である場合も含む。
【0021】
「シェア車室」とは、車両共有サービスがレンタカー事業である場合には、そのレンタカー(サービス対象車両)の数を駐車できるだけの各スペースであり、カーシェアリング事業である場合には,各シェアカー(サービス対象車両)に割り当てられる各駐車車室である。カーシェアリング事業における車庫証明について、各車両に各車室を一対一で対応させるという規制が緩和されると、事業者からした場合にレンタカー事業との差分は小さくなる。
【0022】
(作用)
管理対象としている駐車場に関する満空データは、駐車場管理データベース(S2)へ蓄積されている。 シェア車室に関する満空データは、車両共有サービスのデータ管理を実行する管理サーバ(S1)におけるシェア車室データベースへ蓄積されている。
駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場の予約データを、予約データ受信手段が受信する。
【0023】
その予約データ受信手段が受信した予約データおよび前記の駐車場管理データベースへ蓄積された満空データを用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを、予約可否判断手段が判断する。この判断には、シェア車室データベース(S1)のシェア車室データベースに蓄積されたシェア車室データをも用いる。
その予約可否判断手段が判断した予約遂行の可否は、前記の予約データの発信元へ予約可否送信手段が送信する。
【0024】
車両共有サービスを提供している事業者(カーシェアリング事業者またはレンタカー事業者)としては、シャア車室を駐車場として提供することができるので、サービス向上や収益向上につなげられる可能性を高められる。
駐車場の予約をしようとする者としては、希望する駐車場を確保できる確率が高まる。
【0025】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、駐車を希望する者に係る通信端末からアクセスして駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場を検索可能な駐車場検索サイトを備え、
その駐車場検索サイトには、前記のシェア車室データを含むこととするのである(図5参照)。
【0026】
(用語説明)
「駐車場検索サイト」は、駐車を希望する者に係る通信端末が通信回線およびインターネットを介してアクセスすることができる閲覧用のデータベースである。
【0027】
(作用)
駐車場を探したい駐車場ユーザは、自らに係る通信端末などを用いて駐車場検索サイトへアクセスする。その駐車場検索サイトには、シェア車室データが含まれている。したがって、そのシェア車室データに係るシェア車室が利用される可能性が高まる。
【0028】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明とサブコンビネーションの関係となる発明である。 すなわち、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室に関するデータを駐車場管理サーバ(S2)へ提供することで駐車場として利用できるようにする車両共有サービス管理サーバ(カーシェアリング管理サーバS1)に係る。
前記の車両共有サービス管理サーバは、サービス対象車両の利用を欲する者が予め属性データなどを登録することで会員ユーザとなった場合に当該会員ユーザに関する管理データを蓄積する会員データベースと、
サービス対象車両を管理するためのデータを蓄積する車両管理データベースと、
前記の車両管理データベースが蓄積する車両位置データをサービス対象車両から受信する車両データ受信手段と、
前記の会員データベースに蓄積されたサービス対象車両の利用の予約データ、および前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の車両位置データを用いて、貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出する貸し出し車室抽出手段と、
その貸し出し車室抽出手段が抽出した貸出可能な車室データを蓄積するシェア車室データベースと、
を備える(図6参照)。
【0029】
(用語説明)
「サービス対象車両を管理するためのデータ」とは、サービス対象車両の位置データ、サービス対象車両の貸し出し予約データ、サービス対象車両が貸し出された記録データなどを含む。また、後述するが、「延長要請データ」も含む。
【0030】
(作用)
サービス対象車両の利用を欲する者が予め属性データなどを登録することで会員ユーザとなった場合に、当該会員ユーザに関する管理データを会員データベースへ蓄積する。サービス対象車両を管理するためのデータを車両管理データベースへ蓄積する。
会員データベースに蓄積されたサービス対象車両の利用の予約データ、および前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の車両位置データを用いて、貸出可能なサービス対象車両の車室を、貸し出し車室抽出手段が抽出する。抽出された貸出可能な車室データは、シェア車室データベースへ蓄積する。そして、駐車場として利用できるように検索対象などとして使う。
【0031】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の貸し出し車室抽出手段は、会員データベースにおける使用履歴データの中から予約時の返却予定時刻より前に返却した確率を勘案して、貸し出すことが可能な時間帯を算出することとする(図7参照)。
【0032】
(用語説明および作用)
会員データベースには、会員がサービス対象車両を使用した使用履歴データが蓄積されている。その使用履歴データには、予約データとして使用開始の予定時刻、使用終了の予定時刻、実際の使用開始時刻、使用終了時刻(返却時刻)が含まれる。貸し出し車室抽出手段は、使用終了の予定時刻と、実際の使用終了時刻とから、返却予定時刻より前に返却した確率を算出することで、貸し出すことが可能な時間帯を算出する。
そうして算出した時間帯であれば、サービス対象車両が返却される時間帯に、駐車車室へ別の車両が駐車されている確率を低下させることに寄与すると期待できる。
【0033】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の貸し出し車室抽出手段は、前記の駐車場管理サーバに備えられて管理対象としている駐車場の満空データを蓄積している駐車場管理データベースへもアクセス可能とするのである。
【0034】
(作用)
駐車場管理データベースにおける満空データを用いることで、サービス対象車両の使用における早期返却などへ対応できるキャパシティを拡げることができる。
【0035】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の車両データ受信手段は、貸し出し中のサービス対象車両から貸出時間の延長を希望する旨の延長要請データを受信し、
前記の貸し出し車室抽出手段は、前記の延長要請データをも用いて貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出することとするのである。
【0036】
(用語説明)
「延長要請データ」とは、予約時に返却時刻として登録した時刻までに返却できない場合において、返却予定時刻を後ろの時間帯へずらしたい旨の要請を車両共有サービス管理サーバへ送信するデータである。
【0037】
(作用)
貸し出し中のサービス対象車両から貸出時間の延長を希望する旨の延長要請データが送信された場合、その延長要請データを車両データ受信手段が受信する。
前記の貸し出し車室抽出手段は、その延長要請データによってずれた時間帯を加味しても貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出する。
【0038】
(第三の発明)
第三の発明は、第一の発明に係る駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムの発明である。
すなわち、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室が空いている場合に駐車場として利用できるように管理する駐車場管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムである。
前記の駐車場管理サーバには、管理対象としている駐車場に関する満空データを蓄積している駐車場管理データベースが備えられており、
前記のシェア車室の満空に関するシェア車室データは、車両共有サービスのデータ管理を実行する管理サーバにおけるシェア車室データベースへ蓄積されている。
前記のコンピュータプログラムは、
駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場の予約データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した予約データおよび前記の駐車場管理データベースへ蓄積された満空データを用いて前記の予約データに係る予約内容の遂行が可能か否かを判断する予約可否判断手順と、
その予約可否判断手順にて判断した予約遂行の可否を前記の予約データの発信元へ送信する予約可否送信手順と、を前記の駐車場管理サーバに実行させることとし、
前記の予約可否判断手順においては、前記の満空データに加えて前記のシェア車室データをも用いて予約内容の遂行が可能か否かを判断することとした。
【0039】
(第三の発明のバリエーション)
第三の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の駐車場管理サーバには、駐車を希望する者に係る通信端末からアクセスして駐車を希望する場所および駐車開始予定時刻を含む駐車場を検索可能な駐車場検索サイトを備えており、
その駐車場検索サイトには、前記のシェア車室データを含むこととするのである。
【0040】
(第四の発明)
第四の発明は、第二の発明に係る車両共有サービス管理サーバを制御するコンピュータプログラムの発明である。
すなわち、 車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されているシェア車室に関するデータを駐車場管理サーバへ提供することで駐車場として利用できるようにする車両共有サービス管理サーバを制御するコンピュータプログラムである。
前記の車両共有サービス管理サーバには、サービス対象車両の利用を欲する者が予め属性データなどを登録することで会員ユーザとなった場合に当該会員ユーザに関する管理データを蓄積する会員データベースと、
サービス対象車両を管理するためのデータを蓄積する車両管理データベースと、を備えている。
前記のコンピュータプログラムは、
前記の会員データベースに蓄積されたサービス対象車両の利用の予約データ、および前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の車両位置データを用いて、貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出する貸し出し車室抽出手順と、
その貸し出し車室抽出手順にて抽出した貸出可能な車室データをシェア車室データベースへ蓄積する貸し出し可能車室データ蓄積手順と、
を車両共有サービス管理サーバに実行させる。
【0041】
(第四の発明のバリエーション1)
第四の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記の貸し出し車室抽出手順においては、会員データベースにおける使用履歴データの中から予約時の返却予定時刻より前に返却した確率を勘案して、貸し出すことが可能な時間帯を算出することとするのである。
【0042】
(第四の発明のバリエーション2)
第四の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の貸し出し車室抽出手順においては、
前記の駐車場管理サーバに備えられて管理対象としている駐車場の満空データを蓄積している駐車場管理データベースへもアクセス可能とするのである。
【0043】
(第四の発明のバリエーション3)
第四の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の車両データ受信手順においては、貸し出し中のサービス対象車両から貸出時間の延長を希望する旨の延長要請データを受信し、
前記の貸し出し車室抽出手順においては、前記の延長要請データをも用いて貸出可能なサービス対象車両の車室を抽出することとするのである。
【0044】
(第三および第四の発明の提供方法)
第三および第四の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-R、CD-RW、MO(光磁気ディスク)、DVD-R、DVD-RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0045】
第一の発明によれば、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための駐車場管理サーバを提供することができた。
第二の発明によれば、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための車両共有サービス管理サーバを提供することができた。
第三の発明によれば、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムを提供することができた。
第四の発明によれば、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための車両共有サービス管理サーバを制御するコンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】駐車場Yの車室の一部にカーシェアリングで用いるシェアカーを配置した状態を示す概念図である。
図2】駐車場Yの利用時を示す概念図である。
図3】駐車場Yと駐車場管理サーバとカーシェアリング管理サーバとの関係を示す概念図である。
図4】本発明の第一の実施形態を示すブロック図である。
図5】本発明の第二の実施形態を示すブロック図である。
図6】本発明の第三の実施形態を示すブロック図である。
図7】第三の実施形態において用いる貸し出し車室抽出手段のアルゴリズムを示すための表である。
図8】本発明の第四の実施形態を示すブロック図である。
図9】第四の実施形態において用いる貸し出し車室抽出手段のアルゴリズムを示すための表である。
図10】シェア車室を予約して利用する駐車場ユーザと、駐車場管理サーバおよび駐車場Yとの関係を示す概念図である。
図11】シェア車室が駐車場ユーザによって利用されている場合に、シェアカーが戻ってきた場合の対処法を示す概念図である。
図12図11に示した対処法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで使用する図面は、図4から図12である。一般的な駐車場やカーシェアリングを示した図1から図3も随時参照する。
【0048】
以下の説明においては、車両共有サービスとしては、レンタカー事業ではなく、カーシェアリング事業を前提として説明する。本発明には、レンタカー事業も含まれることは前述したとおりである。
【0049】
図4
図4には、カーシェアリングサービスを利用してサービス対象車両(シェアカー)を予約するカーシェアユーザ(に係る通信端末)、駐車場を利用しようとする駐車場ユーザ(に係る通信端末)、カーシェアリング事業における必要なデータ管理を実行するカーシェアリング管理サーバ(S1)、および駐車場事業における必要なデータ管理を実行する駐車場管理サーバ(S2)の関係を、ブロック図で示している。
【0050】
カーシェアリングサービスを利用してシェアカーを予約しようとするカーシェアユーザは、自らに係る通信端末(スマートフォンを図示)を用いて、カーシェアリング管理サーバ(S1)へ予約データを送信する。本来であれば、乗降する場所、時間帯などの希望条件に合う予約が可能かどうかを打診する手続があるが、その部分は図示を省略する。
【0051】
カーシェアリング管理サーバ(S1)における予約データ受信手段が、前記の予約データを受信し、会員データベースへ蓄積する。
一方、カーシェアリング管理サーバ(S1)は、管理対象としているサービス対象車両(シェアカー)に搭載された通信機器から、当該シェアカーの車両位置データ、エンジンのオンオフなど車両管理用データを取得している。そうした車両管理用データは、車両データ受信手段が受信する。そして、車両管理データベースへ蓄積する。
【0052】
前述した予約データおよび車両位置データを用いることで、シェアカーのための車室が、どの時間帯においてシェアカーを駐車させているか、どの時間帯は空いているか、といったデータに加工することができる。その加工データをシェア車室データベースへ蓄積する。
【0053】
さて、駐車場を利用しようという駐車場ユーザは、駐車場へ出向いて、空いている駐車場へ停めるという場合の他、予め駐車場を予約する場合もある。この図では、予め予約を入れる駐車場ユーザについて説明する。
【0054】
前記のような駐車場ユーザは、自らに係る通信端末(ノートPCを図示)を用いて、予約をしたい場所および時間帯を含む予約条件データを駐車場管理サーバ(S2)へ送信する。駐車場管理サーバ(S2)の予約データ受信手段は、その予約条件データを受信する。
一方、管理対象の駐車場について満空データを駐車場管理データベースへ蓄積している。車室全てを個別に管理する駐車場や、空いている車室がいくつなのかという数を管理している駐車場がある。
【0055】
さて、予約データ受信手段が受信した予約条件データに合う駐車場を、予約可否判断手段が駐車場管理データベースのデータを用いて探し、予約の可否を判断する。このとき、前述したシェア車室データをも用いて、予約の可否を判断することができる。つまり、駐車場(駐車車室)の在庫をより多く持つことができる。
【0056】
図3に戻って補足する。駐車場管理データベースには、一般車室03が、ある時間帯においては空いている旨が蓄積されている。また、シェア車室データベースには、シェア車室01が、ある時間帯においては空いている旨が蓄積されている。
従来であれば、駐車場Yを希望する駐車場ユーザは、一般車室03が空いている時間帯と一致していなければ、駐車場の予約は不可、という予約可否データとなっていた。しかし、シェア車室01が空いている時間帯と一致していれば、駐車場の予約は可能、という予約可否データを送信することができるのである。
【0057】
予約可否判断手段による可否判断の結果は、予約可否データとして駐車場ユーザに係る通信端末へ予約可否送信手段が送信する。
なお、予約が可能であれば、正式に予約をするための予約確定データを駐車場ユーザが通信端末から送信するという手続となるが、その部分の図示は省略している。
【0058】
図5
図5に示す実施形態は、駐車場管理サーバ(S2)において駐車場検索サイトを加えた点が図4に示した実施形態と異なる。
駐車場管理サーバ(S2)においては、駐車場管理データベースへ蓄積しているデータを、駐車場検索サイト(閲覧や検索が可能なデータベース)へ提供する。駐車場ユーザは、自らの通信端末にて駐車場検索サイトへアクセスすれば、閲覧し、検索することができる。
【0059】
カーシェアリング管理サーバ(S1)から提供されるシェア車室データについては、シェア車室データ受信手段が受信し、駐車場管理データベースへ蓄積させ、駐車場検索サイトへ提供することとしている。
換言すれば、図4に示した実施形態において、シェア車室データをシェア車室データ受信手段が受信し、駐車場管理データベースへ蓄積させることとしてもよい。
【0060】
図6
図6に示す実施形態は、カーシェアリング管理サーバ(S1)において、シェア車室データベースへ蓄積するデータを、貸し出しが可能な車室に絞って提供することとしている点が、図5に示した実施形態と異なる。
すなわち、会員データベースに蓄積された予約データおよび利用履歴データ、車両管理データベースに蓄積された車両位置データを用いて、貸し出し可能な車室を抽出する貸し出し車室抽出手段を備えているのである。
【0061】
図7
図7は、図6で示した貸し出し車室抽出手段がどのようなデータを抽出しているか、を例示した表である。
表の上に「現在時刻 2019.11.25 15:37」と示しているが、貸し出し可能な車室というのは、常に変化している。そのため、貸し出し車室抽出手段もまた、定期的に(例えば3分毎に)貸し出し可能な車室についてのデータを更新することとなる。
【0062】
管理対象としているカーシェア車室は、駐車場Yにおける車室01,02(図1~3を参照)と駐車場Z(図示を省略)における車室07,08を図示している。すなわち、管理対象は駐車場Yに限らず、カーシェアリング事業にて使用しているシェアカーに対応する車室の全てを対象としている。
【0063】
予約データに基づいて、予約開始~予約終了の時刻がそれぞれの車室について示されている。また、車両位置データに基づいて、駐車場からの距離が算出され、示されている。駐車場からの距離が0kmとなっているのは、駐車場にあるということになる。
【0064】
使用会員ユーザの使用履歴を遡り、予約時の返却予定時刻と実際に使用した後の実返却時刻とをチェックし、「予定時刻前の返却率」を算出しておく。たとえば、「75%」と高めの会員ユーザが予約を入れている場合には、その会員ユーザは返却予定時刻を厳守するのみならず、オーバーしないようにする会員であるために、返却予定時刻よりも早くシェアカーを返却する可能性が高い。そのため、車室貸し出し可能時間帯の終了時刻を、返却予定時刻よりも早め(たとえば60分前)に設定する。
【0065】
予定時刻前の返却率」が「10%」や「20%」と低めの会員ユーザが予約を入れている場合には、返却予定時刻より、たとえば30分前に設定する。
【0066】
図8
図8に示す実施形態は、シェアカー01から車両位置データとともに延長要請データが送信された場合について示している。
カーシェアリング管理サーバ(S1)の車両データ受信手段は、車両位置データとともに延長要請データを受信する。「延長要請データ」とは、予約時に返却時刻として登録した時刻までに返却できない場合において、返却予定時刻を後ろの時間帯へずらしたい旨を内容とするデータである。多くの場合、延長要請には応じるようにしているため、シェアカー01とカーシェアリング管理サーバ(S1)とのデータ通信等については、詳細な説明を省略する。
【0067】
貸し出し車室抽出手段は、延長データにて貸し出しできる時間帯を改訂し、シェア車室データベースにおける対応するデータを書き換える。そして、貸し出し可能時間を改訂した車室データを駐車場管理サーバ(S2)へ送信する。その後の駐車場管理サーバ(S2)における駐車場ユーザに係る端末とのデータ通信等については、前述した場合と同様なので、説明を省略する。
【0068】
図9
図9は、図8で示した貸し出し車室抽出手段がどのようなデータを抽出しているか、を例示した表である。図7に示した時刻から7分後、シェアカー01から1時間の延長要請が、シェアカー08から30分の延長要請がなされていたとする。
【0069】
15時37分に抽出された車室貸し出しが可能な時間帯は「仮」となり、延長要請によって車室01、車室08における車室貸し出しが可能な時間帯が改訂され、「改」となる。改訂された時間帯は、駐車場管理サーバ(S2)へ送信され、駐車車室の管理に使われる。
【0070】
図10
図10は、駐車場ユーザが自らの通信端末から予約条件データを送信してから、シェア車室を予約し、実際に予約車両を車室01へ入庫させるまでを、概念的に示したものである。
駐車場ユーザに係る通信端末で予約可否データを受信するまでは、図4に示した通りなので説明を省略する。
【0071】
予約が可能であるとする予約可否データを受信した駐車場ユーザは、予約内容を確定した確定予約データを通信端末から送信する。確定予約データは、駐車場管理サーバ(S2)における確定予約受信手段が受信し、駐車場管理データベースへ蓄積される。
【0072】
駐車場ユーザが予約によって確保した駐車車室は、駐車場Yにおける車室01であり、シェアカー01がカーシェアユーザに使われていない時間帯において駐車されている車室である。駐車場ユーザは、その車室01へ自らに係る車両である予約車両05を入庫させる。
【0073】
駐車場Yには、駐車場Yにおける車室01,02,03,04が実際に使われているのか空いているのかという駐車場データを、駐車場管理サーバ(S2)へ定期的に送信している。その駐車場データは、駐車場管理サーバ(S2)における駐車場データ受信手段が受信し、駐車場管理データベースへ蓄積する。
【0074】
図11
図11では、図10において駐車場ユーザへ車室01を提供し、その車室に予約車両05が駐車している時間帯に、シェアカー01が戻ってきてしまった場合の対処手順について、概念的に示したものである。
【0075】
カーシェアリング管理サーバ(S1)においては、シェアカーの車両位置データを定期的に車両データ受信手段が受信している。その車両位置データが返却すべき駐車場Yへ近づいている旨を把握した場合(更に、返却をする旨の意思表示がシェアカーユーザから送信されることが多い)、シェアカー01用の車室01は、駐車場ユーザへ貸してしまっている。
【0076】
カーシェアリング管理サーバ(S1)においては、そうした事態に対処するための空き車室を探すための空き車室抽出手段を備えており、その空き車室抽出手段は、シェア車室データベースに蓄積されたデータから、代わりの車室を探す。
もし、シェア車室データベースに蓄積されたデータでは代わりの車室が見つからない場合には、駐車場管理サーバ(S2)の駐車場管理データベースに蓄積されたデータをも用いて、空き車室を探す。
【0077】
空き車室抽出手段は、駐車場管理データベースのデータから、車室03が空いている旨を把握した。そこで、返却車室連絡手段にて、シェアカー01に搭載された通信端末(およびシェアカーユーザに係る携帯通信端末)へ返却車室の指示データを送信する。返却車室の指示データとは、この場合「駐車場Yにおける車室01ではなく、車室03へ返却せよ」という趣旨のデータである。
【0078】
図12
図12は、図11で概念的に示した事態をフローチャートで示したものである。以下、説明する。
駐車場Yにおける車室01へ、駐車場ユーザに係る予約車両05が(予約手続を経たか否かは無関係)駐車している(T1)。
【0079】
シェアカー01の使用者(会員ユーザ)が、予約時における返却予定時刻よりも早く、駐車場Yへ向かう。その旨をカーシェアリング管理サーバ(S1)は、車両位置データを受信することなどで把握する(T2)。
【0080】
シェアカー01の使用者は、シェアカー01を駐車場Yへ返却することを前提としてシェアカー01を使用しているので、駐車場Yにおいて車室01以外の車室に空きがないかどうか、確認する(T3)。この際、シェア車室データベースにおける空き車室が見あたらない場合には、駐車場管理データベースのデータをも用いる。
【0081】
もし、駐車場Yにおいて車室が見つからない場合には、駐車場Yの近傍で空き車室を抽出する(T4)。この時も、シェア車室データベースにおける空き車室が見あたらない場合には、駐車場管理データベースのデータをも用いる。
【0082】
T3において「Yes」であっても「No」であっても、シェアカー01を返却すべき車室は必ず抽出する。そして、シェアカー01をどの車室へ返却すべきかを、シェアカー01に搭載された通信端末やシェアカー01の使用者である会員ユーザに係る携帯通信端末へ連絡する(T5)。図9に示した例を用いれば、駐車場Yにおける一般車室03へ返却すべき旨を連絡することとなる。
【0083】
シェアカー01が返却すべき車室03へ返却した旨を、駐車場Y管理装置(図9にて図示)を介して確認し(T6)、終了する(T7)。
【0084】
(実施形態に対する補足説明)
図11図12に示した事例においては、シェアカー01を返却する車室が、同じ駐車場Y内で融通することができた場合を説明した。また、同じ駐車場で融通できなかった場合には、カーシェアユーザに対して、返却すべき駐車場の近傍の駐車場を探す旨を説明した。
しかし、カーシェアリング事業における事業者が従業員に指示して、駐車場Yにおいて予約が入っていないシェアカー(例えば02)を運転して近傍の駐車場へ移動させ、車室02を空けるといった対応をすることもできる。そうした対応を可能とするためにも、駐車場管理データベースやシェア車室データベースが有用となる。
【0085】
前述してきた実施形態によれば、カーシェアリング事業に用いるサービス対象車両(シェアカー)のために確保されている車室(シェア車室)を、駐車場として有効活用するための技術を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、カーシェアリング事業またはレンタカー事業、駐車場の管理サービス業、カーシェアリング、レンタカー、駐車場などのデータ管理を実行するデータ通信業、データ通信に関わるソフトウェア開発業などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0087】
S1; カーシェアリング管理サーバ
S2; 駐車場管理サーバ
Y ; 駐車場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12