(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】胴部分割体の製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/18 20060101AFI20241206BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B29C65/18
F16J12/00 F
(21)【出願番号】P 2020203139
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日高 優次
(72)【発明者】
【氏名】大脇 優介
(72)【発明者】
【氏名】大神 敦幸
(72)【発明者】
【氏名】高見 昌宜
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-223569(JP,A)
【文献】特開昭59-049944(JP,A)
【文献】特開平10-113991(JP,A)
【文献】特開2019-082234(JP,A)
【文献】米国特許第04982856(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
F16J 12/00
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部分割体とドーム部分割体を合体して構成される圧力容器用の前記胴部分割体を製造する製造装置であって、
外周面がシート部材を筒状になるように保持する保持面となっているマンドレルと、
前記マンドレルの軸方向に沿う前記シート部材の両端部を外周側から加熱および加圧することで溶着する溶着ブロックと、
前記シート部材において前記溶着ブロックによって加圧される部分とは異なる部分を前記マンドレルに押さえ付ける一対のストッパと、
を備え、
一対の前記ストッパは、前記溶着ブロックと一体であり、
一対の前記ストッパは、前記マンドレルの軸方向において前記溶着ブロックを挟んだ両側のみに配置されている胴部分割体の製造装置。
【請求項2】
前記マンドレルの前記保持面のうち前記溶着ブロックと対応する領域に、前記マンドレルの軸方向に沿って延びる断熱部を備える請求項1に記載の胴部分割体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部分割体の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車などに搭載される水素ガス貯蔵タンクが開示されている。この水素ガス貯蔵タンクは、繊維強化プラスチックからなる内層と外層とを積層した構成となっている。内層は、型成形などによって作製される。外層は、公知のワインディング方法によって作製される。外層は、回転させた内層の上に連続長繊維束を連続的に巻き付けることによって作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような圧力容器において、胴部分割体とドーム部分割体とを合体させて製造する方法が知られている。胴部分割体の作製方法として、特許文献1に開示される方法を利用して、シート部材を用いて作製する方法が考えられる。すなわち、マンドレルにシート部材を筒状になるように巻き付け、シート部材の両端部を溶着させることで、筒状の胴部分割体を作製することができる。
【0005】
しかしながら、このように作製された胴部分割体において、溶着箇所(シート部材の両端部)の厚みは、シート部材の重なり分、その他の部分に比べて厚くなってしまう。したがって、溶着箇所の膨らみを抑制し得る胴部分割体の製造装置が求められている。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、溶着箇所の膨らみを抑制し得る胴部分割体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の胴部分割体の製造装置は、
胴部分割体とドーム部分割体を合体して構成される圧力容器用の前記胴部分割体を製造する製造装置であって、
外周面がシート部材を筒状になるように保持する保持面となっているマンドレルと、
前記マンドレルの軸方向に沿う前記シート部材の両端部を外周側から加熱および加圧することで溶着する溶着ブロックと、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、溶着ブロックによって外周側からマンドレルの軸方向に沿うシート部材の両端部(溶着箇所)を加圧することで、溶着ブロックとマンドレルとで溶着箇所を挟むことができる。そして、溶着ブロックによって溶着箇所を加熱することで、シート部材を筒状部材に形成することができる。このとき、溶着ブロックによって外周側からシート部材の両端部を加圧するため、溶着箇所の膨らみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の圧力容器をあらわす斜視図である。
【
図2】マンドレルにシート部材を巻き付けた状態をあらわす平面図である。
【
図5】マンドレルに巻き付けられたシート部材に対して溶着ブロックを接触させた状態をあらわす平面図である。
【
図7】シート部材の溶着が完了した状態における、
図5のB-B断面相当図である。
【
図8】シート部材の溶着が完了した状態における、
図5のC-C断面相当図である。
【
図9】マンドレルに巻き付けられたシート部材に対して、実施例1の溶着ブロックとは異なる溶着ブロックで溶着を完了させた状態をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、前記マンドレルの前記保持面のうち前記溶着ブロックと対応する領域に、前記マンドレルの軸方向に沿って延びる断熱部を備えることが好ましい。この構成によれば、シート部材の溶着箇所とマンドレルとの間に断熱部が介在することによって、シート部材の溶着箇所からマンドレルに熱が逃げることを抑制することができる。
【0011】
本発明は、前記シート部材において前記溶着ブロックによって加圧される部分とは異なる部分を前記マンドレルに押さえ付ける一対のストッパを備えることが好ましい。一対の前記ストッパは、前記溶着ブロックと一体であることが好ましい。一対の前記ストッパは、前記マンドレルの軸方向において前記溶着ブロックを挟んだ両側のみに配置されていることが好ましい。この構成によれば、一対のストッパによってシート部材の溶着箇所でない部分(加熱されない部分)をマンドレルに押さえ付けるため、ストッパとマンドレルとによって挟まれる部分が潰れることなく溶けずに一定の厚み(シート部材の厚み)を保つことができる。そして、ストッパが溶着ブロックと一体であるため、溶着ブロックもシート部材に対して一定の厚みを保つように加圧することができる。また、一対のストッパが、マンドレルの軸方向において溶着ブロックを挟んだ両側のみに配置されているため、マンドレルの周方向において溶着ブロックを挟んだ両側に配置される構成に比べて、シート部材を径方向内側に向かって押し易くなる。そのため、シート部材にしわができ難くなる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1~
図9を参照して説明する。尚、以下の説明において、上下の方向については、
図3、
図4、
図6~
図9にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。前後の方向については、
図1、
図2、
図4、
図5にあらわれる左方、右方を、前方、後方と定義する。左右の方向については、
図3、
図4、
図6~
図9にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0013】
(胴部分割体の製造装置)
本実施例の製造装置1は、
図1に示す圧力容器10の胴部分割体11を製造する装置である。圧力容器10は、例えば、車両に搭載され、高圧の水素ガスの充填容器として用いられる。圧力容器10は、円筒カプセル形状である。圧力容器10の材料の一例として、高密度ポリエチレン(HDPE)とエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)の混合樹脂などを用いることができる。
【0014】
圧力容器10は、胴部分割体11と、一対のドーム部分割体12と、を備えている。圧力容器10は、胴部分割体11と一対のドーム部分割体12を合体して構成される。
【0015】
胴部分割体11は、軸方向(軸線L1に沿う方向)に長い円筒状である。胴部分割体11の内径寸法は、前端から後端まで全長に亘って一定寸法であり、外径寸法も前端から後端まで全長に亘って一定寸法である。ドーム部分割体12は、胴部分割体11の長手方向の端部に連なる半球状の部分である。ドーム部分割体12は、胴部分割体11から離れるにつれて縮径している。ドーム部分割体12の頂部には、口金部13が設けられている。
【0016】
製造装置1は、
図2、
図3に示すマンドレル20および断熱部30と、
図4に示す溶着ブロック40および一対のストッパ50と、を備えている。マンドレル20は、
図2、
図3に示すように、軸方向(軸線L2に沿う方向)に長い円柱状である。マンドレル20は、例えば金属材料によって形成されている。マンドレル20の外周面21は、シート部材70を筒状になるように保持する保持面となっている。外周面21の外径寸法は、前端から後端まで全長に亘って一定寸法である。シート部材70は、胴部分割体11の基材である。シート部材70は、高密度ポリエチレン(HDPE)とエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)の混合樹脂などの材料によって形成される。
【0017】
マンドレル20には、
図2、
図3に示すように、溝部22が設けられている。溝部22は、後述する断熱部30が組み付けられる。溝部22は、外周面21から軸線L2に向かって凹んでいる。
【0018】
断熱部30は、
図2、
図3に示すように、マンドレル20に組み付けられている。断熱部30は、直方体に近い形状である。断熱部30の上面31は、上方に凸となるように湾曲している。上面31の曲率は、外周面21と同じ曲率である。断熱部30は、溝部22に嵌め込まれている。断熱部30は、溝部22の壁面に密着している。断熱部30は、マンドレル20の外周面21のうち、後述する溶着ブロック40と対応する領域に設けられている。断熱部30は、
図6に示すように、マンドレル20において、後述する溶着ブロック40と上下方向に重なる位置に設けられている。断熱部30は、マンドレル20よりも熱伝導率の低い材料(例えばセラミック材料など)によって形成されている。
【0019】
断熱部30は、
図2に示すように、マンドレル20の軸線L2と平行に延びている。断熱部30は、マンドレル20の長手方向の中心部分(長手方向の両端部を除く部分)に設けられている。断熱部30の左右方向のサイズは、
図2に示すように、マンドレル20の左右方向のサイズ(径の大きさ)よりも小さい。断熱部30の左右方向のサイズは、マンドレル20の左右方向のサイズに対して、例えば3分の1程度の大きさである。断熱部30がマンドレル20に組み付けられた状態で、断熱部30の上面31が露出している。断熱部30の上面31は、マンドレル20の外周面21と面一になっている。
【0020】
図3に示すように、シート部材70をマンドレル20の外周面21に巻き付けた状態で、シート部材70の軸線L2に沿う両端部71,72は、上下方向で重なっている。両端部71,72は、軸線L2および断熱部30の上方に位置している。端部71は、断熱部30の上面31に接触している。
【0021】
図4に示すように、溶着ブロック40および一対のストッパ50は、一体であり、溶着ユニット60を構成している。溶着ブロック40は、シート部材70の両端部71,72を、外周側(マンドレル20の径方向において中心軸とは反対側)から加熱および加圧することで溶着する。溶着ブロック40は、例えば図示しないヒータによって熱せられる。溶着ブロック40は、前後方向に沿って延びる、直方体に近い形状である。溶着ブロック40の左右方向および前後方向のサイズは、断熱部30の左右方向および前後方向のサイズと同程度である。
【0022】
溶着ブロック40の下面41は、
図4に示すように、上方に凸となるように湾曲している。下面41は、前端から後端に亘って一定の高さとなる湾曲面である。下面41の曲率は、シート部材70の厚さ1枚分だけ、外周面21の曲率よりも小さい。すなわち、下面41の曲率半径は、シート部材70の厚さ1枚分だけ、外周面21の曲率半径よりも大きい。
【0023】
ストッパ50は、
図4に示すように、マンドレル20の軸方向(前後方向)において溶着ブロック40を挟んだ両側(前側及び後側)のみに配置されている。一対のストッパ50は、それぞれ溶着ブロック40に前後で連なっている。一対のストッパ50は、シート部材70において溶着ブロック40によって加圧される部分とは異なる部分を、マンドレル20に押さえ付ける。シート部材70において溶着ブロック40によって加圧される部分とは異なる部分とは、溶着ブロック40によって加圧される部分に前後方向で隣接する部分(以下、ストッパ領域73という)である。ストッパ50は、ヒータなどによって熱せられず、溶着ブロック40からも熱が伝達されないようになっている。
【0024】
両方のストッパ50は、
図4に示すように、同じ形状である。ストッパ50の下面51は、上方に凸となるように湾曲している。下面51は、前後方向に沿って一定の高さとなる湾曲面である。下面51の曲率は、溶着ブロック40の下面41の曲率より小さい。下面51の曲率は、シート部材70の厚さ2枚分だけ、外周面21の曲率よりも小さい。すなわち、下面51の曲率半径は、シート部材70の厚さ2枚分だけ、外周面21の曲率半径よりも大きい。ストッパ50の左右方向のサイズは、溶着ブロック40の左右方向のサイズと同程度である。
【0025】
図4に示すように、溶着ブロック40の下面41とストッパ50の下面51との間には、段差45が設けられている。溶着ブロック40の下面41は、ストッパ50の下面51よりも高位置に設けられている。段差45の高さ(溶着ブロック40の下面41とストッパ50の下面51との間の上下方向の距離)は、例えばシート部材70の厚さ1枚分である。
【0026】
(胴部分割体の製造工程)
次に、製造装置1を用いた胴部分割体11の製造工程について説明する。まず、
図2、
図3に示すように、シート部材70をマンドレル20の外周面21に巻き付ける。シート部材70の軸線L2に沿う両端部71,72を、断熱部30の上方で重ねる。なお、シート部材70は、軸線L2と平行に延びる両端部71,72を有する。シート部材70の前後方向の両端部は、
図2に示すように、断熱部30よりも外側(前後両側)にはみ出るように配される。
【0027】
続いて、
図5に示すように、溶着ユニット60を、外周側(マンドレル20の径方向において中心軸とは反対側)からシート部材70の両端部71,72上に接触させる。このとき、溶着ブロック40は、上下方向で断熱部30と重なるように配される。
図6に示すように、溶着前の状態で、溶着ブロック40がシート部材70の端部72に接触している。一対のストッパ50は、ストッパ領域73に接触せず、ストッパ領域73の上方に位置している。
【0028】
続いて、
図7に示すように、溶着ブロック40で、シート部材70の両端部71,72の一部の溶着箇所(以下、溶着領域74という)を、加熱および加圧する。溶着ブロック40によって外周側から溶着領域74を加圧することで、溶着ブロック40とマンドレル20(具体的には、断熱部30)とで溶着領域74を挟むことができる。溶着ブロック40は、上方からマンドレル20の中心軸(軸線L2)に向かって溶着領域74を押さえつける。これにより、シート部材70の両端部71,72がつぶされて溶着し、シート部材70が筒状になる。シート部材70の溶着領域74とマンドレル20との間に断熱部30が介在するため、溶着領域74からマンドレル20に熱が逃げることを抑制することができる。
【0029】
溶着領域74の溶着時、
図8に示すように、ストッパ50は、ストッパ領域73に接触し、ストッパ領域73を押さえつける。ストッパ50は、ヒータによって加熱されることがないので、ストッパ領域73を溶着しない。そのため、ストッパ50は、ストッパ領域73(より具体的には端部72)に接触した状態(
図8に示す状態)で、それ以上下方に移動しなくなる。すなわち、ストッパ50は、シート部材70の2枚分の厚さを維持しつつ、ストッパ領域73に接触した状態となる。また、ストッパ50は、溶着ブロック40と一体となっているため、溶着ブロック40による溶着領域74の押しつぶしを途中で止めることができる。すなわち、段差45の高さがシート部材70の厚さ1枚分である場合、
図7に示すように、溶着領域74をシート部材70の厚さ1枚分まで押しつぶすことになる。これにより、外周面に膨らみのない円筒状のシート部材70を形成することができる。
【0030】
例えば、溶着ユニットの構成として、
図9に示すように、ストッパ250が溶着ブロック240の左右両側に設けられる構成も考えられる。しかしながら、このような構成では、ストッパ250は、シート部材70に対して、マンドレル20の周方向に向かう力(
図9の矢印参照)を及ぼすことになる。そのため、シート部材70においてストッパ250に押される部分がマンドレル20に対して滑り易くなり、シート部材70にしわができ易くなる。一方で、本実施例では、一対のストッパ50が溶着ブロック40の前後に配置されているため、
図9に示す構成に比べて、シート部材70を径方向内側に向かって(マンドレル20の軸線L2に向かって)押し易くなる。そのため、シート部材70にしわができ難くなる。以上のようにして、シート部材70を基材にした胴部分割体11が製造される。
【0031】
(本実施例の効果)
以下、本実施例1の効果について説明する。本実施例1の製造装置1によれば、溶着ブロック40によって外周側からマンドレル20の軸方向に沿うシート部材70の両端部71,72の溶着箇所(溶着領域74)を加圧する。そのため、溶着ブロック40とマンドレル20とで両端部71,72(溶着領域74)を挟むことができる。そして、溶着ブロック40によって両端部71,72(溶着領域74)を加熱することで、シート部材70を筒状部材に形成することができる。このとき、溶着ブロック40によって外周側からシート部材70の両端部71,72を加圧するため、溶着箇所の膨らみを抑制することができる。
【0032】
また、本実施例1の製造装置1は、マンドレル20の外周面(保持面)21のうち溶着ブロック40と対応する領域に、マンドレル20の軸方向に沿って延びる断熱部30を備えている。シート部材70の溶着領域74とマンドレル20との間に断熱部30が介在することによって、シート部材70の溶着領域74からマンドレル20に熱が逃げることを抑制することができる。
【0033】
また、本実施例1の製造装置1は、シート部材70において溶着ブロック40によって加圧される部分とは異なる部分をマンドレル20に押さえ付ける一対のストッパ50を備えている。一対のストッパ50は、溶着ブロック40と一体である。一対のストッパ50は、マンドレル20の軸方向において溶着ブロック40を挟んだ両側のみに配置されている。一対のストッパ50によってシート部材70の溶着箇所(溶着領域74)でない加熱されない部分(ストッパ領域73)をマンドレル20に押さえ付ける。そのため、ストッパ50とマンドレル20とによって挟まれる部分が潰れることなく溶けずに一定の厚み(シート部材70の厚み)を保つことができる。そして、ストッパ50が溶着ブロック40と一体であるため、溶着ブロック40もシート部材70に対して一定の厚みを保つように加圧することができる。また、一対のストッパ50が、マンドレル20の軸方向において溶着ブロック40を挟んだ両側のみに配置されている。そのため、マンドレル20の周方向において溶着ブロック40を挟んだ両側に配置される構成に比べて、シート部材70を径方向内側に向かって押し易くなる。これにより、シート部材70にしわができ難くなる。
【0034】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、溶着ブロック40がマンドレル20に対して移動する(下方に移動する)ことで、シート部材70をマンドレル20に押さえつける構成であった。しかしながら、マンドレル20が溶着ブロック40に対して移動する(上方に移動する)構成や、マンドレル20と溶着ブロック40がともに移動する構成であってもよい。
(2)上記実施例1では、溶着ブロック40がマンドレル20に対して上方から溶着領域74を介して接触する構成であったが、その他の方向から接触する構成であってもよい。例えば、溶着領域74および断熱部30がマンドレル20の下端に配され、溶着ブロック40がマンドレル20に対して下方から溶着領域74を介して接触する構成であってもよい。
(3)上記実施例1では、溶着ブロック40の左右方向および前後方向のサイズが、断熱部30の左右方向および前後方向のサイズと同程度であったが、このような構成に限定されない。例えば、溶着ブロック40の左右方向のサイズが、断熱部30の左右方向のサイズより大きくてもよい。
(4)上記実施例1では、マンドレルが円柱状であったが、円筒状であってもよい。
(5)上記実施例1では、一対のストッパ50が溶着ブロック40の前後に設けられていたが、一方のストッパ50のみが設けられる構成であってもよい。
(6)上記実施例1において、溶着ブロック40とストッパ50との間に断熱部材が設けられる構成であってもよい。
(7)上記実施例1において、一対のストッパ50がそれぞれ溶着ブロック40に前後で連なっていたが、他部材を介して前後に隣接する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…製造装置(胴部分割体の製造装置)
10…圧力容器
11…胴部分割体
12…ドーム部分割体
20…マンドレル
21…外周面(保持面)
30…断熱部
40…溶着ブロック
50…ストッパ
60…溶着ユニット
70…シート部材
71,72…端部
73…ストッパ領域
74…溶着領域(溶着箇所)