(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】建材昇降装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20241206BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
E04G21/16
B66F9/06 J
(21)【出願番号】P 2020210310
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07448598(US,B1)
【文献】登録実用新案第3080896(JP,U)
【文献】米国特許第04810151(US,A)
【文献】実公昭54-006216(JP,Y2)
【文献】実開平03-102375(JP,U)
【文献】実開平01-137998(JP,U)
【文献】特開平10-310393(JP,A)
【文献】特開2000-136095(JP,A)
【文献】特開2004-217394(JP,A)
【文献】特開2001-247294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F9/00-11/04
E04G21/14-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、
前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、
前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する
、前記建材昇降装置の直立姿勢状態保持用の支え部が一体的に設けられ
、
前記支え部は、前記可動部材に設けられ、前記可動部材が所定の下限位置まで下降した際に前記被載置面に接触又は近接することを特徴とする建材昇降装置。
【請求項2】
任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、
前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、
前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する、前記建材昇降装置の直立姿勢状態保持用の支え部が一体的に設けられ、
前記支え部は、前記被載置面に接触又は近接する下端面を、前記一方向に対し交差する方向へ長尺状に形成していることを特徴とする建材昇降装置。
【請求項3】
任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、
前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、
前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する、前記建材昇降装置の直立姿勢状態保持用の支え部が一体的に設けられ、
前記可動部材には、上下位置を調節可能に手持ち部材が設けられていることを特徴とする建材昇降装置。
【請求項4】
前記建材下面受部は、突端側が上方へ曲がっていることを特徴とする請求項1
~3何れか1項記載の建材昇降装置。
【請求項5】
前記建材下面受部と前記支え部は、前記ベース部材を間に置いてその両側に配設されていることを特徴とする請求項1~
4何れか1項記載の建材昇降装置。
【請求項6】
前記ベース部材には、前記被載置面上を転動するように走行輪が設けられ、
前記走行輪の軸方向の両側に、前記建材下面受部と前記支え部が位置することを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の建材昇降装置。
【請求項7】
前記走行輪として、1個の主輪と、この主輪による走行方向の両側のうち、少なくとも一方の側に配設されて前記走行方向へ転動可能な1個の副輪とを備え、
前記ベース部材の直立姿勢状態において、前記主輪の下端位置よりも前記副輪の下端位置が高くなっていることを特徴とする請求項6記載の建材昇降装置。
【請求項8】
前記昇降機構は、前記ベース部材と前記可動部材とのうち、その一方に上下方向にわたって支持されたネジ軸と、その他方に固定されるとともに前記ネジ軸に螺合するナット状部材とを備え、前記ネジ軸を回転させることで前記可動部材を昇降させることを特徴とする請求項1~7何れか1項記載の建材昇降装置。
【請求項9】
前記可動部材の昇降量を表示する昇降量表示手段を備えたことを特徴とする請求項1~8何れか1項記載の建材昇降装置。
【請求項10】
前記昇降量表示手段は、前記ベース部材と前記可動部材とのうち、その一方に上下方向へわたる目盛りを設けるとともに、その他方に前記目盛りの特定の位置を指す指示部を設け、前記可動部材の昇降に伴い前記目盛りに対する前記指示部の相対位置を変化させることを特徴とする請求項9記載の建材昇降装置。
【請求項11】
前記支え部の下端側には、前記被載置面上を前記一方向及び前記逆方向へ転動するように補助輪が設けられていることを特徴とする請求項1~10何れか1項記載の建材昇降装置。
【請求項12】
前記補助輪は、前記ベース部材の直立姿勢状態において、前記被載置面に近接し、前記ベース部材の上端側が前記支え部側へ傾いた際に、前記被載置面に接触することを特徴とする請求項11記載の建材昇降装置。
【請求項13】
前記建材起立面支持部には、前記建材を吸着するための吸着具が設けられていることを特徴とする請求項1~
12何れか1項記載の建材昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材を昇降動させるための建材昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、床面等に載置される支持部と、この支持部により揺動自在に支持された棒状の本体と、この本体の一端側をペダル部としてその他端側に設けられた支承部とを備えたドア吊り込み治具がある。
この従来技術によれば、支承部にドアを載置し、ベダル部を足で踏めば、梃子の原理によりドアを上昇させることができ、ドアの吊り込み作業等に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、不安定で自立し難い形状であるため、床面上の上記ドア吊り込み治具にドア載置する等の作業中に、ドアが上記ドア吊り込み治具にぶつかり、上記ドア吊り込み治具が転倒してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する、前記建材昇降装置の直立姿勢状態保持用の支え部が一体的に設けられ、前記支え部は、前記可動部材に設けられ、前記可動部材が所定の下限位置まで下降した際に前記被載置面に接触又は近接することを特徴とする建材昇降装置。
また、本発明は、以下の構成を具備するものである。
任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する、前記建材昇降装置の直立姿勢状態保持用の支え部が一体的に設けられ、前記支え部は、前記被載置面に接触又は近接する下端面を、前記一方向に対し交差する方向へ長尺状に形成していることを特徴とする建材昇降装置。
また、本発明は、以下の構成を具備するものである。
任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する、前記建材昇降装置の直立姿勢状態保持用の支え部が一体的に設けられ、前記可動部材には、上下位置を調節可能に手持ち部材が設けられていることを特徴とする建材昇降装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、自立性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る建材昇降装置の一例を示す正面図である。
【
図2】同建材昇降装置について、可動部材を上昇させた状態を示す正面図である。
【
図4】同建材昇降装置について、可動部材を上昇させた状態を示す左側面図である。
【
図5】(a)は同建材昇降装置の上面図であり、ベース部材及び走行輪等を省略している。(b)は同建材昇降装置の下面図である。
【
図7】支え部材の一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)に対する右側面図である。
【
図8】同建材昇降装置により建材を昇降する作業の一例を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る建材昇降装置の他例を示す側面図であり、(a)は直立姿勢状態を示し、(a)は補助輪を被載置面に接触するように傾けた状態を示し、(c)はさらに傾けた状態を示す。
【
図10】本発明に係る建材昇降装置の他例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴として、任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、 前記ベース部材又は前記可動部材には、前記一方向に対する逆方向へ突出するとともに、前記被載置面に接触又は近接する支え部が一体的に設けられている(
図1~
図9参照)。
【0009】
第2の特徴として、前記支え部は、前記可動部材に設けられ、前記可動部材が所定の下限位置まで下降した際に前記被載置面に接触又は近接する(
図3参照)。
【0010】
第3の特徴として、前記建材下面受部は、突端側が上方へ曲がっている(
図3参照。)
【0011】
第4の特徴として、前記建材下面受部と前記支え部は、前記ベース部材を間に置いてその両側に配設されている(
図3参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記支え部は、前記被載置面に接触又は近接する下端面を、前記一方向に対し交差する方向へ長尺状に形成している。
【0013】
第6の特徴として、前記ベース部材には、前記被載置面上を転動するように走行輪が設けられ、前記走行輪の軸方向の両側に、前記建材下面受部と前記支え部が位置する(
図3~
図6参照)。
【0014】
第7の特徴は、前記走行輪として、1個の主輪と、この主輪による走行方向の両側のうち、少なくとも一方の側に配設されて前記走行方向へ転動可能な1個の副輪とを備え、前記ベース部材の直立姿勢状態において、前記主輪の下端位置よりも前記副輪の下端位置が高くなっている(
図1~
図4参照)。
【0015】
第8の特徴として、前記昇降機構は、前記ベース部材と前記可動部材とのうち、その一方に上下方向にわたって支持されたネジ軸と、その他方に固定されるとともに前記ネジ軸に螺合するナット状部材とを備え、前記ネジ軸を回転させることで前記可動部材を昇降させる(
図1~
図2参照)。
【0016】
第9の特徴として、前記可動部材の昇降量を表示する昇降量表示手段を備えた(
図2参照)。
【0017】
第10の特徴として、記昇降量表示手段は、前記ベース部材と前記可動部材とのうち、その一方に上下方向へわたる目盛りを設けるとともに、その他方に前記目盛りの特定の位置を指す指示部を設け、前記可動部材の昇降に伴い前記目盛りに対する前記指示部の相対位置を変化させる(
図2参照)。
【0018】
第11の特徴として、前記支え部の下端側には、前記被載置面上を前記一方向及び前記逆方向へ転動するように補助輪が設けられている(
図9参照)。
【0019】
第12の特徴として、前記補助輪は、前記ベース部材の直立姿勢状態において、前記被載置面に近接し、前記ベース部材の上端側が前記支え部側へ傾いた際に、前記被載置面に接触する(
図9参照)。
【0020】
第13の特徴として、前記可動部材には、上下位置を調節可能に手持ち部材が設けられている(
図9参照)。
【0021】
第14の特徴として、前記建材起立面支持部には、前記建材を吸着するための吸着具が設けられている(
図3,
図4及び
図6等参照)。
【0022】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記昇降機構は、前記ベース部材と前記可動部材とのうち、その一方に上下方向にわたって支持されたネジ軸と、その他方に固定されるとともに前記ネジ軸に螺合するナット状部材とを備え、前記ネジ軸を回転させることで前記可動部材を昇降させる(
図1~
図2参照)。
【0023】
また、他の発明としては、任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記可動部材の昇降量を表示する昇降量表示手段を備えた(
図2参照)。
【0024】
また、他の発明としては、任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記可動部材には、上下位置を調節可能に手持ち部材が設けられている(
図9参照)。
【0025】
また、他の発明としては、任意の被載置面上に載置可能なベース部材と、前記ベース部材に対し上下移動可能に係合した可動部材と、前記可動部材を昇降する昇降機構とを備えた建材昇降装置において、前記可動部材は、前記被載置面に沿う一方向へ突出して載置される建材の下面を受ける建材下面受部と、前記建材下面受部の上方で前記建材の起立面に接触又は近接する建材起立面支持部とを一体的に具備し、前記建材起立面支持部には、前記建材を吸着するための吸着具が設けられている(
図3,
図4及び
図6等参照)。
【0026】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
建材昇降装置1は、任意の被載置面F上に載置可能なベース部材10と、ベース部材10に対し上下移動可能に係合した可動部材20と、ベース部材10と可動部材20の間で可動部材20を昇降する昇降機構30と、可動部材20の昇降量を表示する昇降量表示手段40とを備え、可動部材20に載置される建材X(
図3及び
図4参照)を搬送したり昇降したりする。
【0027】
被載置面Fは、床面や地面等であり、図示例によれば、略平坦な水平面である。
【0028】
ベース部材10は、被載置面Fから上方に離れて位置するベース本体11と、このベース本体11に支持され被載置面F上を転動可能な複数の走行輪(詳細には主輪12及び副輪13)と、ベース本体11内に止着され上方へ延設されたスライド機構14とを具備している。
【0029】
このベース部材10は、前記走行輪による走行方向の長さ(
図1及び
図2の左右方向)が、この走行方向に直交する方向(
図3及び
図4の左右方向)の長さよりも長い略偏平状に構成される。
以下の説明では、前記「走行方向」を本体幅方向、前記「直交する方向」を本体厚み方向と呼称する場合がある。
【0030】
ベース本体11は、正面視矩形状であり、上下方向へわたって横断面略凹状の断面を有する。
このベース本体11は、
図5(b)に示す一例によれば、外側の横断面C形鋼状の部材11aや、この部材11aを内側で補強する横断面コ字状の部材11b等、複数の部材を接合して構成される。なお、このベース本体11の他例としては、これら部材のうちの一部を省いた態様や、これら部材の一部又は全部を一体の部材から構成した態様等とすることが可能である。
【0031】
前記走行輪は、ベース本体11内に位置する1個の主輪12と、この主輪による走行方向の両側でベース本体11外に配設されて同走行方向へ転動可能な2個の副輪13,13とから構成される。
【0032】
主輪12は、ベース本体11内に固定されたブラケット12a(
図5(b)参照)に回転自在に軸支され、その外周面の下端側を、ベース本体11の下端よりも下方へ突出している(
図1及び
図2参照)。
【0033】
一方の副輪13は、主輪12と回転軸が平行になるように(
図5(b)参照)、ベース本体11の一方の外側面に、ブラケット13aを介して回転自在に支持される(
図1及び
図2参照)。他方の副輪13も、同様にして、ベース本体11の他方の外側面に、ブラケット13aを介して回転自在に支持される。
【0034】
ベース本体11の直立姿勢状態において、両側の副輪13,13の下端位置は、主輪12の下端位置よりも高くなっている。すなわち、各副輪13と被載置面Fの間には、微小な隙間sが確保される(
図1~
図2参照)。
ここで、前記直立姿勢状態とは、ベース本体11が被載置面Fに対し略直立した状態を意味する。
両側の副輪13,13は、ベース本体11が走行方向(
図1によれば右方向又は左方向)へ若干傾けられることで、被載置面Fに接触する。
【0035】
スライド機構14は、第一レール部材14aに対し略平行する第二レール部材14bをスライド可能に係合してなる。
図5(b)に示すスライド機構14は、第一レール部材14aと第二レール部材14bの間に、スライド時の抵抗を軽減するベアリング14cを介在したものであり、スライドレール等と呼称される場合がある。
【0036】
上記構成のスライド機構14は、ベース本体11の両側壁にそれぞれ支持される(
図1及び
図5(b)参照)。
各スライド機構14は、第一レール部材14aをベース本体11の側壁に止着固定するとともに、第二レール部材14bを可動部材本体21(詳細には柱状部材21a)に止着固定して、上部側が上方へ延設されている。
【0037】
可動部材20は、被載置面Fに沿う一方向(
図3によれば左方向)へ突出して載置される建材Xの下面を受ける建材下面受部Aと、建材下面受部Aから上方へ延設されて載置される建材Xの起立面x1に接触又は近接する建材起立面支持部Bと、建材下面受部Aとの間にベース部材10を配置するようにして前記一方向に対する逆方向(
図3によれば右方向)へ突出する支え部23bとを一体的に具備する。
【0038】
より詳細に説明すれば、この可動部材20は、下部側をベース本体11に対し上下方向移動自在に嵌め合わせて上方へ長尺状に延設された可動部材本体21と、この可動部材本体21の下端側で建材下面受部Aを前記一方向(
図3及び
図4によれば左方向)へ延設した建材受け部材22と、可動部材本体21の下端側で支え部23bを前記一方向に対する逆方向(
図3及び
図4によれば右方向)へ突出した支承部材23とを一体的に具備している。
【0039】
可動部材本体21は、上下方向へわたる横断面中空枠状の部材である。この可動部材本体21は、本体厚み方向の一方に開口を有する横断面凹状の柱状部材21a、この柱状部材21aの前記開口を塞ぐ表面パネル21b、この表面パネルの上側でバッテリーを装着するバッテリー装着部21c、柱状部材21aの外側面に固定された操作器装着部21d等、複数の部材により一体的に構成される。
これら複数の部材は、その一部又は全部を一体の部材としたり、柱状部材21a以外の一部の部材を省いたりすることが可能である。
【0040】
柱状部材21aは、金属材料をC形鋼状に加工してなり(
図5(b)参照)、上下方向へわたる長尺状に形成される。この柱状部材21aは、下部側がベース部材10に挿入され、スライド機構14を介してベース部材10に対し上下方向へスライドする。
【0041】
表面パネル21bは、後述する昇降機構30が露出しないように、柱状部材21aの表面側を覆っている(
図1参照)。なお、他例としては、この表面パネル21bを省いて、昇降機構30を露出するようにしてもよい。
【0042】
バッテリー装着部21cは、建材下面受部Aが突出する一方向に対する逆方向側(
図3によれば右方向側)に位置し、上方を開口した凹溝状に形成される。このバッテリー装着部21cは、前記凹溝状の部分の内部底面(別表現すれば奥側の面)に、バッテリーソケット21c1(
図5(a)参照)を介して、バッテリー34を上方側から抜差し可能に装着している。
【0043】
また、操作器装着部21dは、操作器35を脱着可能に装着する部材であり、図示例によれば、操作器35を上方側から抜差し可能な略凹状に形成される(
図1~
図4参照)。
操作器35と操作器装着部21dの係合構造は、その一方に設けられるフック状掛合部を他方に設けられる被掛合部に係合する態様や、その一方に設けられるマグネットを他方に設けられる磁性体に吸着する態様等、着脱可能な構造であれば、図示例以外の態様とすることが可能である。
【0044】
また、可動部材本体21の上端面には、手持ち部材28や、バッテリー34の残量を含む情報を表示する表示部37等が設けられる。
【0045】
手持ち部材28は、可動部材本体21の上端から上方へ突出する正面視略逆U字状の部材であり、当該建材昇降装置1を移動する際や持ち運びする際等に、作業者等によって握られる。
【0046】
そして、上記構成の可動部材本体21の下部側には、建材受け部材22及び支承部材23が設けられる。
建材受け部材22は、可動部材本体21の背面に止着固定された平板状の取付片22aと、この取付片22aの下端から被載置面Fに沿って突出する建材下面受部Aとから縦断面略L字状に形成される(
図3及び
図6等参照)。
【0047】
取付片22aは、可動部材本体21の背面に重なり合って、建材起立面支持部Bを形成している。すなわち、建材起立面支持部Bは、可動部材本体21の背面と取付片22a面を含む略垂直状の面である。
なお、他例としては、取付片22aを省いて建材下面受部Aを可動部材本体21の背面に直接接続した構造としてもよく、この場合、建材起立面支持部Bは、可動部材本体21の背面の略全体にわたり上下方向へ長尺な矩形状の面になる。
【0048】
建材下面受部Aは、被載置面Fに平行な平板部a1と、この平板部a1の突端側に接続されるとともに突端側が被載置面Fから離れるように上方へ曲がった曲げ片部a2とを有する。
平板部a1は、建材Xを載置可能な水平かつ平坦状の面である。
【0049】
曲げ片部a2は、平板部a1の突端から本体厚み方向の外側へ向かう斜め上方へ突出している。この曲げ片部a2の他例としては、凹曲面状(別表現をすれば縦断面円弧状)等、図示例以外の態様とすることが可能である。
この曲げ片部a2に建材Xが載置されると、建材Xは曲げ片部a2の上面によって建材下面受部A側へガイドされ、吸着具29(磁石)に吸着される。
そして、建材下面受部Aに載置された建材Xは、可動部材本体21から離れる方向へずれるのを曲げ片部a2により阻まれる。すなわち、建材下面受部Aに載置された建材Xのすわりがよい。
【0050】
上記構成の建材下面受部Aは、建材Xを上方から載置可能であって且つ上方へ離脱可能であればよく、他例としては、凹曲面状やその他の形状にすることが可能である。
【0051】
建材起立面支持部Bには、建材Xを吸着するための単数又は複数の吸着具29が設けられる。
吸着具29は、平板状のマグネット(永久磁石)であり、図示例によれば、可動部材本体21背面の上端側と、取付片22aの下端側との二か所に接着されている。この吸着具29は、建材下面受部Aに載置される建材Xに吸着して、当該建材昇降装置1と建材Xを一体化する。
なお、吸着具29は、建材Xを着脱可能に吸着可能なものであればよく、例えば、吸盤や、吸着力を適宜に調整した粘着テープ等とすることを可能である。
【0052】
また、支承部材23は、可動部材本体21正面の下部寄りに止着される左右両側の止着片部23a,23aと、これら止着片部23a,23aから本体厚み方向の外側へ突出して下方へ延設された支え部23bとから構成される(
図3,
図4及び
図7等参照)。
【0053】
止着片部23aは、平板状に形成され、可動部材本体21正面の左右両側に、ねじ止めや、溶接、接着等によって止着固定される(
図1及び
図2参照)。
なお、他例としては、この止着片部23aを省いて支え部23bを、可動部材本体21に直接止着した構造とすることも可能である。
【0054】
支え部23bは、両側の止着片部23a,23aからそれぞれ本体厚み方向の外側へ突出して下方へ延設された左右両側の支持片部23b1,23b1と、これら支持片部の下端間に接続された接続片部23b2とから一体的な正面視略凹枠状に構成される(
図7参照)。
この支え部23bは、接続片部23b2の下端面を、前記一方向(支え部23bの突出方向)に対し直交する方向(本体厚み方向)へ長尺状に延設して、被載置面Fに接触させる。
そして、この支え部23bと建材下面受部Aは、ベース部材10及び可動部材本体21を間に置くようにして、その両側に配設される。
これらの構成によれば、当該建材昇降装置1について、本体厚み方向の重量バランスを向上し、省スペースで安定した直立姿勢状態を保持することができる。
【0055】
なお、図示例によれば、支持片部23b1,23b1に対し、別体の接続片部23b2を接続するようにしているが、これらは一体の部材とすることが可能である。
【0056】
そして、建材下面受部A及び支え部23bの下端は、主輪12の下端と略同じ高さ位置にあり、可動部材20が所定の下限位置まで下降した際に被載置面Fに対し接触又は近接(図示例によれば接触)する。
【0057】
また、昇降機構30は、ベース部材10と可動部材20とのうち、その一方(図示例によれば可動部材20)に上下方向にわたって支持されたネジ軸31と、その他方に固定されるとともにネジ軸31に螺合するナット状部材32と、ネジ軸31の動力源としての電動モータ33と、電動モータ33の電力源であるバッテリー34と、操作信号を有線ケーブル35aにより送信する操作器35と、入力される操作信号に応じて電動モータ33を制御する制御部36と、バッテリー34の蓄電残量を含む情報を表示する表示部37とを備え、ネジ軸31を回転させることで可動部材20を昇降させる。
【0058】
ネジ軸31は、外周面に雄ネジ部を有する軸状の部材であり、図示例によれば、可動部材本体21内に上下方向へわたる長尺状に配設され、その上端側が、図示しないブラケットや軸受け部材等を介して、可動部材本体21に対し回転自在かつ上下移動不能に支持されている。
このネジ軸31の上端側には、電動モータ33からの回転力を受ける従動歯車31aが一体回転可能に固定されている。
また、このネジ軸31の下端側は、ナット状部材32に螺合して更に下方へ延設されている。
【0059】
ナット状部材32は、ネジ軸31に対し螺合する雌ネジ部を内周面に有する部材であり、中心軸を上下方向へ向けた筒状ブラケット32aにおける上端側に、回転不能且つ上下移動不能に固定されている。
【0060】
筒状ブラケット32aは、上下方向へわたる筒状の部材であり、その下端側がベース部材10に対し、図示しない他のブラケット等を介して回転不能かつ上下移動不能に固定されている。なお、他例としては、筒状ブラケット32aを図示例以外の形状にブラケットとしてもよいし、筒状ブラケット32aを省いて、ナット状部材32を直接的にベース部材10に固定するようにしてもよい。
【0061】
電動モータ33は、制御部36を介して供給されるバッテリー34の電力により回転する直流電動モータである。
この電動モータ33は、周囲のケーシング部分を、ブラケット(図示せず)等を介して可動部材本体21に固定し、上方向きに出力軸を突出させている。前記出力軸には、従動歯車31aに回転力を伝達する原動歯車33aが一体回転可能に固定されている。
【0062】
なお、図示例によれば、原動歯車33aと従動歯車31aを直接かみ合わせているが、他例としては、これら二つの歯車間に単数もしくは複数の歯車を介在し、原動歯車33aのトルク及び回転数を適宜に調整して従動歯車31aに伝達するようにしてもよい。
【0063】
また、バッテリー34は、例えばリチウムイオン電池や、その他の二次電池により構成される。このバッテリー34は、バッテリー装着部21cのバッテリーソケット21c1に対し、上方側から抜差し可能であって、手前方向や下方へは抜けないように構成される。この着脱手段は、例えば、バッテリー34とバッテリーソケット21c1とのうち、その一方に設けられるC形鋼状のレール部と、このレール部の内側に嵌り合って上方側へ引き抜き可能な嵌合部とから構成すればよい。
このバッテリー34の電力は、バッテリーソケット21c1を介して柱状部材21a内の制御部36へ送電され、さらにこの制御部36から後述する昇降機構30へ供給される。
【0064】
操作器35は、作業者等の手に収まる箱状又は板状等に構成され、その表面側に、可動部材本体21を上昇させたり下降させたりする押圧スイッチ35b,35c(例えば、自動復帰式押し釦スイッチ)を有し、裏面側には、建材Xに対し吸着可能な吸着具35dが設けられる。吸着具35dは、図示例によればマグネット(永久磁石)であるが、吸盤等とすることも可能である。
この操作器35は、有線ケーブル35aにより制御部36に電気的に接続されて操作器装着部21dに収められる。また、操作器35は、使用時には操作器装着部21dから外され建材Xの表面に前記マグネットにより吸着され、押圧スイッチ35b,35cに対する操作に応じた電気信号を、有線ケーブル35aを介して制御部36へ送信する。なお、図示例によれば、押圧スイッチ35bは上昇用スイッチ、押圧スイッチ35cは下降用スイッチである。
【0065】
制御部36は、例えばワンチップマイコン等を含む電子回路により構成され、操作器35や図示しないリミットスイッチ等からの電気信号に応じて、バッテリー34から電動モータ33へ供給する電力を制御し、電動モータ33を正転、逆転、ON/OFF等する。
【0066】
詳述すれば、操作器35の上昇用の押圧スイッチ35bが押圧されると、制御部36は、押圧スイッチ35bによる信号を受けて電動モータ33を正転し、可動部材20を上昇する。操作器35は、この上昇中、押圧スイッチ35bに対する押圧が解除されて前記信号を受けなくなると、電動モータ33への電力を遮断して可動部材20の上昇を停止する。
操作器35の下降用の押圧スイッチ35cが押圧されると、制御部36は、押圧スイッチ35cによる信号を受けて電動モータ33を逆転し、可動部材20を下降する。操作器35は、この下降中、押圧スイッチ35cに対する押圧が解除されて前記信号を受けなくなると、電動モータ33への電力を遮断して可動部材20の下降を停止する。
【0067】
また、可動部材本体21内には、可動部材20が所定の下限位置になった際に信号を発する下限リミットスイッチ(図示せず)と、可動部材20が所定の上限位置になった際に信号を発する上限リミットスイッチ(図示せず)とが設けられる。
制御部36は、可動部材20の上昇中に、前記上限リミットスイッチの信号を受けると電動モータ33の正転を停止し、可動部材20の上昇を停止する。また、可動部材20の下降中に、前記下限リミットスイッチの信号を受けると電動モータ33の逆転を停止して可動部材20の下降を停止する。
【0068】
また、制御部36は、電動モータ33の制御状態や、バッテリー34の蓄電残量等の情報を表示部37に表示する。
表示部37は、液晶ディスプレイ装置等の表示装置であり、可動部材本体21内の制御部36からの信号に基づき、バッテリー34の残量や、制御状態(上昇中又は下降中)等の表示をする。
【0069】
また、昇降量表示手段40は、ベース部材10と可動部材20とのうち、その一方(図示例によれば可動部材20)に上下方向へわたる目盛り41を設けるとともに、その他方に目盛り41の特定の位置を指す指示部42を設け、可動部材20の昇降に伴い目盛り41に対する指示部42の相対位置を変化させる。
【0070】
図示例について詳述すれば、目盛り41は、可動部材本体21の正面下部側における幅方向の端側に、上下方向にわたって刻印される。
指示部42は、ベース部材10の上端縁である。すなわち、ベース部材10は、その上端縁により目盛り41の特定の位置を指し、この上端縁よりも下側の部分により、目盛り41の下側部分を覆っている。
したがって、ベース部材10に対し可動部材20が上昇すると、目盛り41も上昇して露出されるとともにその露出長さを徐々に増加する。そして、露出した目盛り41は、その特定の位置が指示部42によって指示される。このため、作業者等は、可動部材20がどの程度上昇したかを、指示部42により指示される目盛り41位置や、露出した目盛り41の長さ等によって速やかに把握することができる。
【0071】
次に、上記構成の建材昇降装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図示例の建材Xは、金属材料により形成した比較的高重量な扉(例えば防火扉)である。
作業者等が操作器35の操作により可動部材20を所定の下限位置まで下げると、ベース部材10を厚み方向に挟む位置(別表現をすれば、走行輪の軸方向の両側)で、建材下面受部Aと支え部23bの双方が、被載置面Fに接触し、建材昇降装置1が良好な自立状態に保持される。
このため、例えば、
図3に示すように、直立姿勢状態の建材昇降装置1に建材Xを載置する際に、建材Xとの接触により建材昇降装置1が本体厚み方向へぐらつくようなことを防ぐことができる。
そして、この後、作業者等は、一方の手で建材Xを支えるとともに他方の手で、建材Xに吸着させた操作器35を操作して、可動部材20及び建材Xを上昇させたり下降させたりすることができる。したがって、例えば、
図8に示すように、建材Xである防火扉を枠体Yに吊り込む作業を容易に行うことができる。
なお、
図8に示す一例において、符号Zは、旗状の片半部の上向きの軸に他半部の筒部を嵌め合わせるようにした旗蝶番であ。
【0072】
また、前記のような作業の繰り返しによりバッテリー34を消耗仕切った場合には、このバッテリー34を上方へ抜き外し、充電済みの他のバッテリーを装着すればよく、このバッテリー交換作業を容易且つ速やかに行うことができる。
したがって、バッテリー充電のために作業が中断するようなことを低減することができる。
【0073】
しかも、可動部材20の昇降動作中に、バッテリー34が消耗仕切ってしまった場合や、可動部材20の上昇中に誤ってバッテリー34が引き抜かれた場合には、電動モータ33への電力供給が停止するが、このような場合でも、可動部材20の重量がネジ軸31とナット状部材32の螺合により支持されるため、可動部材20が不意に下降してしまうようなことを防ぐことができる。
また、操作器35の押圧スイッチ35b,35cの押圧力が緩められた場合や、可動部材20の上昇により上限リミットスイッチが作動した場合等にも、同様にして、可動部材20が不意に下降してしまうようなことを防ぐことができる。
【0074】
また、この建材昇降装置1は、直立姿勢状態で副輪13,13が被載置面Fから離れ主輪12が被載置面Fに接地するため、主輪12中心を通過する鉛直線を中心にした回転運動が可能である。したがって、作業者等が建材昇降装置1又は該建材昇降装置1に載置された建材Xを手で支えて両副輪13,13を被載置面Fから引き離せば、前記回転運動が可能であり、例えば、当該建材昇降装置1を建材Xに対し平行にするために回転させる作業や、載置された建材Xにおける前記鉛直線を中心とした回転方向の位置を調整するために建材昇降装置1を回転させる作業等を容易に行うことができる。
【0075】
<他の変形例>
上記実施態様によれば、特に好ましい態様として、バッテリー34を建材下面受部Aの突出方向(上記一方向)に対する逆方向の側(
図3によれば右側)に配設したが、他例としては、このバッテリー34を、例えば可動部材20の左右の側面等、建材下面受部A及び建材起立面支持部B以外の部分に配設することも可能である。
【0076】
また、上記実施態様では、操作器35を有線ケーブル35aにより可動部材20に接続することで、操作器35の紛失を防止するようにしたが、操作器35の他例としては、有線ケーブル35aを省き、操作信号を制御部36へ無線発信する態様とすることも可能である。
【0077】
また、上記実施態様によれば、昇降量表示手段40は可動部材20に目盛り41を設けるとともにベース部材10に指示部42を設けたが、この昇降量表示手段40の他例としては、ベース部材10に目盛り41を設けるとともに可動部材20に指示部42を設けることも可能である。
【0078】
また、上記実施態様によれば、昇降量表示手段40は目盛り41及び指示部42等により構成したが、この昇降量表示手段40の他例しては、制御部36が電動モータ33の回転量より可動部材20の上昇量を計算し表示部37に表示する構成とすることも可能である。
【0079】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい一例として、昇降機構30に送りねじ機構を用いたが、昇降機構30の他例としては、油圧シリンダ又は空圧シリンダを用いた態様や、ラックとギヤによる機構を用いた態様等とすることも可能である。
【0080】
また、上記実施態様によれば、昇降機構30は可動部材20にネジ軸31及び電動モータ33等を支持するとともにベース部材10にナット状部材32を固定したが、この昇降機構30の他例としては、ベース部材10にネジ軸31及び電動モータ33等を支持するとともに可動部材20にナット状部材32を固定するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施態様によれば、支え部23bを可動部材20に対し一体的に設けたが、他例としては、支え部23bを、可動部材20には設けずにベース部材10に対し一体的に設けることも可能である。
すなわち、この他例では、支承部材23の止着片部23aをベース部材10に止着することで、支え部23bを前記一方向(
図3によれば右方向)へ突出させ、この支え部23bの下端を被載置面Fに近接又は接触(好ましくは近接)させる。
この他例においても、上記実施態様と同様に、建材昇降装置1全体の自立性を向上することができる。
【0082】
また、上記実施態様によれば、支え部23bの下端側を凹枠状に形成したが、他の好ましい一例としては、
図9に示す建材昇降装置2のように、支え部23b’の下端側に補助輪23cを設けるようにしてもよい。
詳細に説明すれば、建材昇降装置2は、上記建材昇降装置1について、支承部材23を支承部材23’に置換し、手持ち部材28を手持ち部材28’に置換したものである。
【0083】
支承部材23’は、上記支承部材23に対し、支え部23bを支え部23b’に置換したものである。
支え部23b’は、上記構成の左右の支持片部23b1,23b1について、それぞれ下端側を短くし、その下端部に、軸支部材23dを介して補助輪23cを回転自在に設けている。
左右の補助輪23c,23cは、主輪12及び副輪13に対し回転軸を直交しており、本体厚み方向へ転動するように装着される。
これら補助輪23c,23cは、ベース部材10の直立姿勢状態において、被載置面Fに近接し、ベース部材10の上端側が支え部23b’側へ傾いた際に、被載置面Fに接触するように、その高さ位置が設定されている。
【0084】
また、手持ち部材28’は、上記構成の手持ち部材28について、上下位置を調節可能にするとともに、上端側の手持ちされる部分を、支え部23b’側を向く斜め上方向きに曲げたものである。
この手持ち部材28’の下端側は、可動部材本体21に対し上下方向へスライド可能に係合するとともに、そのスライドが所定の複数の高さ位置で係脱されるように構成される。手持ち部材28’を前記高さ位置で係脱する手段は、一例としては、手持ち部材28’を構成する棒材の外周面に凹部を複数設けるとともに、可動部材本体21側に弾性的に出没して前記凹部に係脱する凸部を設ければよい。
【0085】
よって、上記構成の建材昇降装置2によれば、上記建材昇降装置1と同様に自立性を向上することができる上、作業者等が上方へ引き延ばした手持ち部材28’を握り、建材昇降装置2全体を支え部23b’側へ傾けて、補助輪23cを被載置面Fに接触させ、建材受け部材22及び走行輪を被載置面Fから引き離し、転がすようにして、建材昇降装置2全体を容易に移動することができる(
図9(a)~(c)参照)。
【0086】
また、上記実施態様によれば、支承部材23(支え部23b)をベース部材10又は可動部材20に対し不動に固定したが、この支承部材(支え部)の他例としては、被載置面Fに近接又は接触するように係止された支持位置と、被載置面Fから上方へ離れて係止された収納位置との間で変位する態様にすることも可能である。
図10に示す建材昇降装置3は、上記建材昇降装置1について、支承部材23を支承部材24に置換したものである。
支承部材24は、被載置面Fに近接又は接触する支持位置と被載置面Fから上方へ離れた収納位置との間で回動するように支持された支え部24aと、支え部24aを可動可能に支持するとともに前記支持位置と前記収納位置で係止する基部24bと、支え部24aを支点pを境にして支持位置側と収納位置側へ付勢する付勢部材24c(図示例によれば、引張コイルバネ)とを具備し、基部24bをベース部材10に固定している。この支承部材24には、例えば、自転車用の片足スタンドの構造を適用することが可能である。
この構成によれば、使用時は支え部24aを立てるようにして、当該建材昇降装置3を安定した直立姿勢状態に保持することができ、また、当該建材昇降装置3を移動する際には支え部24aを折るように回動させて、支え部24aが被載置面Fから離れた姿勢にすることができる。
【0087】
さらに、建材昇降装置3の変形例としては、被載置面Fに近接又は接触するように係止された支持位置と、被載置面Fから上方へ離れて係止された収納位置との間でスライド移動するように、支え部を具備した態様(図示せず)等とすることも可能である。
【0088】
また、図示例以外の他例としては、建材昇降装置1において支承部材23を可動部材20に設けずにベース部材10に一体的に設けた態様、建材昇降装置2において支承部材23’を可動部材20に設けずにベース部材10に一体的に設けた態様、建材昇降装置3において支承部材24をベース部材10に設けずに可動部材20に一体的に設けた態様等とすることが可能である。
さらに、他例としては、建材昇降装置1,2又は3において支承部材23,23’又は24をベース部材10と可動部材20の双方に設けた態様や、単一の前記建材昇降装置に対し複数種類の前記支承部材を設けた態様等とすることも可能である。
そして、前記支承部材をベース部材10に設けた場合には、当該建材昇降装置の走行輪による移動を容易にするために、前記支承部材の支え部を被載置面Fに対し接触しないで近接する構成とするのが好ましい。
【0089】
なお、上記構成の建材昇降装置は、特に、防火扉を含む開き戸や、上吊り式引戸を引戸、折れ戸等の戸体を、戸枠等に吊り込む作業に好適なものであるが、他の用途として、戸枠や、パーティション、シャッター装置のシャッターカーテン、ガイドレール、シャッターボックス、壁材、床材、天井材等の各種建材を昇降動させるのに用いることも可能である。
【0090】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
1,2,3:建材昇降装置
10:ベース部材
11:ベース本体
12:主輪
13:副輪
20:可動部材
21:可動部材本体
21a:柱状部材
21b:表面パネル
21c:バッテリー装着部
22:建材受け部材
23,23’,24:支承部材
23b,23b’,24a:支え部
23c:補助輪
28,28’:手持ち部材
30:昇降機構
31:ネジ軸
32:ナット状部材
33:電動モータ
34:バッテリー
35:操作器
36:制御部
40:昇降量表示手段
A:建材下面受部
B:建材起立面支持部
s:隙間