(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】流体の送達のための医療用注入ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
A61M5/142 500
(21)【出願番号】P 2020546416
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 US2019022962
(87)【国際公開番号】W WO2019183088
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー オシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン サンドマン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ウォルシュ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】村上 哲
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0124826(KR,A)
【文献】特開平11-137674(JP,A)
【文献】特開2016-187591(JP,A)
【文献】国際公開第92/15349(WO,A1)
【文献】特開2011-19563(JP,A)
【文献】米国特許第4822344(US,A)
【文献】国際公開第2017/159683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口および出口を有するハウジングと、
前記入口のスパイク部材であって、前記スパイク部材は流体チャネルの一部を画定し、前記流体チャネルは前記入口および前記出口と流体連通する、スパイク部材と、
前記スパイク部材を通しておよび前記ハウジングの前記出口から外に流体を圧送するための駆動システム
であって、使用者による選択に応じて複数の所定の流量値で作動する駆動システムと、
前記駆動システムのための複数の
前記所定の流量値のそれぞれを示す複数の流量インジケータ要素
であって、前記複数の流量インジケータ要素のそれぞれは、第1のLED素子と第2のLED素子とを含む、複数の流量インジケータ要素と、
前記駆動システムおよび前記複数の流量インジケータ要素と通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記駆動システムを、1つの
選択された特定の流量
値の流量でもって流体を圧送するように制御するコントローラと、
気泡センサを含む警報システムと、
を含み、
前記駆動システムのための前記複数の所定の流量値のうちの前記
選択された特定の流量値を
表す前記複数の流量インジケータ要素のうちの1つ
の前記第1のLED素子は、前記使用者による前記選択に応じて作動され、
前記気泡センサは
、空気の存在を検出するように構成され、および前記空気の存在が検出された場合に、前記警報システムは、前記複数の流量インジケータ要素の
前記第2のLED素子の全てが作動された状態となるようにして、
前記使用者に警報を示すように構成されていることを特徴とする流体の送達のための注入ポンプ。
【請求項2】
前記使用者が前記流体の前記流量を前記複数の所定の流量値から選択することを可能にする流量セレクタボタンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記出口に取り外し可能に接続可能な可撓性チュービングをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項4】
ライトバーをさらに含み、前記ライトバーは、前記注入ポンプが動作しているときに作動させられるスクローリングLED素子を含む
第3のLED素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項5】
前記ハウジングの前記入口は、陥凹部分を含み、前記スパイク部材の一部は、前記陥凹部分内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項6】
前記スパイク部材は、静脈内流体容器の注射ポートに接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項7】
注射ポートを有する静脈内流体容器と、
流体の送達のための注入ポンプであって、
入口および出口を有するハウジング、
前記入口のスパイク部材であって、前記スパイク部材は流体チャネルの一部を画定し、前記流体チャネルは前記入口および前記出口と流体連通する、スパイク部材、
前記スパイク部材を通しておよび前記ハウジングの前記出口から外に前記流体を圧送するための駆動システム
であって、使用者による選択に応じて複数の所定の流量値で作動する駆動システム、
前記駆動システムのための複数の所定の流量値のそれぞれを示す複数の流量インジケータ要素
であって、前記複数の流量インジケータ要素のそれぞれは、第1のLED素子と第2のLED素子とを含む、複数の流量インジケータ要素、
前記駆動システムおよび前記複数の流量インジケータ要素と通信するコントローラであって、前記コントローラは、前記駆動システムを
、1つの
選択された特定の流量
値の流量でもって流体を圧送するように制御する、コントローラ、および
気泡センサを含む警報システム
を含む注入ポンプと、
を含み、
前記駆動システムのための前記複数の所定の流量値のうちの前記
選択された特定の流量値を
表す前記複数の流量インジケータ要素のうちの1つ
の前記第1のLED素子は、前記使用者による前記選択に応じて作動され、
前記気泡センサは
、空気の存在を検出するように構成され、および前記空気の存在が検出された場合に、前記警報システムは、前記複数の流量インジケータ要素の
前記第2のLED素子の全て
が作動された状態となるようにして、
前記使用者に警報を示すように構成されており、
前記スパイク部材は前記注射ポートに接続可能であることを特徴とする医療用注入システム。
【請求項8】
前記注入ポンプは、前記使用者が前記流体の前記流量を前記複数の所定の流量値から選択することを可能にする流量セレクタボタンをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の医療用注入システム。
【請求項9】
ライトバーをさらに含み、前記ライトバーは、前記注入ポンプが動作しているときに作動させられるスクローリングLED素子を含む
第3のLED素子を含むことを特徴とする請求項
7に記載の医療用注入システム。
【請求項10】
前記ハウジングの前記入口は、陥凹部分を含み、前記スパイク部材の一部は、前記陥凹部分内に配置されることを特徴とする請求項
7に記載の医療用注入システム。
【請求項11】
前記スパイク部材は、患者に送達されるべき前記流体を含む静脈内流体容器の注射ポートに直接的に接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項12】
前記注入ポンプの前記スパイク部材は、患者に送達されるべき前記流体を含む前記静脈内流体容器の前記注射ポートに直接的に接続されていることを特徴とする請求項
7に記載の医療用注入システム。
【請求項13】
前記静脈内流体容器を前記患者の腕に固定するように構成された前記静脈内流体容器に取り付けられるキャリングストラップをさらに含むことを特徴とする請求項
12に記載の医療用注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月20日に出願された「流体の送達のための医療用注入ポンプ(Medical Infusion Pump for Delivery of a Fluid)」と題された米国仮出願シリアル番号62/ 655,444に対する優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1. 技術分野
本開示は、概して、流体の送達のための医療用注入ポンプに関する。より具体的には、本開示は、従来の静脈内(IV)セットにおける点滴チャンバに取って代わる小さなマイクロポンプに関する。
【0003】
2.関連技術の説明
静脈内(IV)注入による薬剤、再水和流体および栄養製剤の投与は、最も一般的な医療処置の1つである。重力点滴IV注入において、IVバッグは、患者のレベルより上に配置され、重力はIV液体をIIVバッグから流出させる。重力注入セットは、再水和流体の投与、非侵襲的(non-critical)治療措置、および薬物投与に使用される。重力に基づくIVセットは、注入の間にわたって患者がIVポールに近接していることを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、流体の送達のための注入ポンプを対象とする。注入ポンプは、使用者が流体の流量を選択的に制御することを可能にし、および静脈内流体容器の注射ポート(injection port)に接続可能であるスパイク部材を含む。
【0005】
本開示の注入ポンプは、従来の静脈内(IV)セットにおける点滴チャンバに取って代わる。有利には、本開示の注入ポンプをIVセットに一体化させることは、IVを受けている間の患者の可動性を増加させる。病院での処置後の早期離床は、多くの利点を有することが知られており、および患者の転帰の改善に貢献する。本開示の注入ポンプをIVセットに一体化させることによって、患者は、自分たちが歩き回るときに、自分たちと一緒にIVポールを連れて移動するという負担から解放され得る。一般的な注入は、重力に基づいており、および従って、注入の間にわたって、患者はIVポールに近接していることが必要とされる。本開示の注入ポンプは、患者が、例えば、腕に小さなIVバッグを装着すること、またはIVバッグおよびポンプを小さなバックパックに入れて運ぶことを可能にする。本開示の注入ポンプの能動的な流体送達は、配向非依存性を可能にし、すなわち、システムは、流体の送達のために決して重力に依存せず、そのため、バッグは、ポンプまたは患者のカテーテルよりも上にある必要はない。患者はバッグを腕に装着し、および注入の中断を伴わずに、自由に横になったり、起き上がって歩き回ったりし得る。このようにして、患者はIVポールによって邪魔されずに自由に動き回り得る。
【0006】
本発明の実施形態によれば、流体の送達のための注入ポンプは、入口および出口を有するハウジングと、入口のスパイク部材であって、スパイク部材は流体チャネルの一部を画定し、流体チャネルは入口および出口と流体連通している、スパイク部材と、スパイク部材を通しておよびハウジングの出口から外に流体を圧送(pumping)するための駆動システムと、駆動システムと通信するコントローラと、を含み、コントローラは、流体の流量を選択的に制御する。
【0007】
1つの構成において、注入ポンプは、流量インジケータを含む。別の構成において、流量インジケータは、第1の視覚的表示を提供する第1のLED素子と、第1の視覚的表示とは異なる第2の視覚的表示を提供する第2のLED素子とを含む。さらに別の構成において、注入ポンプは、使用者が流体の流量を選択するのを可能にする流量セレクタボタンを含む。1つの構成において、注入ポンプは、注入ポンプ内の空気を検出するための警報システムを含む。別の構成において、警報システムはセンサを含む。さらに別の構成において、注入ポンプは、ストラップ受容ループを含む。1つの構成において、注入ポンプは、ハウジングの出口に取り外し可能に接続可能な可撓性チュービングを含む。別の構成において、注入ポンプはライトバーを含み、ライトバーは、注入ポンプが動作しているときに作動させられるスクロール式LED素子を含む。さらに別の構成において、ハウジングの入口は凹んだ部分を含み、スパイク部材の一部は凹んだ部分内に配置される。1つの構成において、スパイク部材は、静脈内流体容器の注射ポートに接続可能である。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、医療用注入システムは、注射ポートを有する静脈内流体容器、および、流体の送達のための注入ポンプであって、入口および出口を有するハウジングと、入口のスパイク部材であって、スパイク部材は流体チャネルの一部を画定し、流体チャネルは入口および出口と流体連通している、スパイク部材と、スパイク部材を通しておよびハウジングの出口から外に流体を圧送するための駆動システムと、駆動システムと通信するコントローラと、を含み、コントローラは、流体の流量を選択的に制御し、スパイク部材は、注射ポートに接続可能である、流体の送達のための注入ポンプ、を含む。
【0009】
1つの構成において、注入ポンプは、流量インジケータを含む。別の構成において、流量インジケータは、第1の視覚的表示を提供する第1のLED素子と、第1の視覚的表示とは異なる第2の視覚的表示を提供する第2のLED素子とを含む。さらに別の構成において、流量インジケータは、複数の異なる流量要素を含む。1つの構成において、第1のLED素子は、特定の流量要素が選択されたときに作動させられる。別の構成において、注入ポンプは、注入ポンプ内の空気を検出するための警報システムを含む。さらに別の構成において、警報システムはセンサを含む。1つの構成において、センサが空気の存在を検出したときに、第2のLED素子が作動させられる。別の構成において、注入ポンプは、使用者が流体の流量を選択するのを可能にする流量セレクタボタンを含む。さらに別の構成において、注入ポンプは、ストラップ受容ループを含む。1つの構成において、医療用注入システムは使い捨てである。別の構成において、流体は静脈内流体容器内にある。さらに別の構成において、流体は薬剤を含む。1つの構成において、医療用注入システムは、ハウジングの出口に取り外し可能に接続可能な可撓性チュービングを含む。別の構成において、医療用注入システムはライトバーを含み、ライトバーは、注入ポンプが動作しているときに作動させられるスクロール式LED素子を含む。さらに別の構成において、ハウジングは、入口に隣接する指把持式リップ部分を含む。1つの構成において、ハウジングの入口は凹んだ部分を含み、スパイク部材の一部は凹んだ部分内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面と併せて本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、本開示の上記および他の特徴および利点ならびにそれらを達成する方法は、より明らかになり、および開示自体はよりよく理解されるであろう。
【
図1】本発明の実施形態に従う注入ポンプの正面斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に従う注入ポンプの背面斜視図である。
【
図3A】本発明の実施形態に従う注入ポンプの上面斜視図である。
【
図3B】本発明の実施形態に従う注入ポンプの底面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に従う注入ポンプおよび可撓性チュービングの正面斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に従う、注入ポンプおよび可撓性チュービングの斜視図であって、注入ポンプの切り欠きの一部が注入ポンプの内部を示す図である。
【
図6A】本発明の実施形態に従う、静脈内流体容器、静脈内流体容器内に含まれる流体、注入ポンプ、および可撓性チュービングを含む医療用注入システムの斜視図である。
【
図6B】本発明の実施形態に従う、
図6Aのセクションに沿って取られた、注入ポンプのスパイク部材と静脈内流体容器の注射ポートとの間の接続の拡大部分図である。
【
図7A】本発明の実施形態に従う、携行ストラップを介して腕に本開示の医療用注入システムを装着している患者の斜視図である。
【
図7B】点滴チャンバおよび静脈ポールを有する従来の静脈内セットを使用する患者の斜視図である。
【
図7C】本発明の実施形態に従う、
図7Aのセクションに沿って取られた、静脈内流体容器、注入ポンプ、および携行ストラップの拡大部分図である。
【
図8】本発明の実施形態に従う、選択された流量要素の第1のLED素子が作動させられおよび第1の視覚的表示を提供する、注入ポンプの正面斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に従う、各流量要素の第2のLED素子が作動させられおよび第2の視覚的表示を提供する、注入ポンプの正面斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に従う、スクロールLED素子が作動させられた注入ポンプの側面斜視図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に従う注入ポンプの正面斜視図である。
【
図12】本発明の別の実施形態に従う注入ポンプの底面斜視図である。
【
図13】本発明の別の実施形態に従う注入ポンプの上面斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態に従う注入ポンプの概略図である。
【0011】
対応する参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に提示される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、およびそのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載は、本発明を実施するために考えられる説明された実施形態を当業者が製造しおよび使用することを可能にするために提供される。様々な修正、等価物、変形、および代替物は、しかしながら、当業者に容易に明らかになるであろう。任意のおよび全てのそのような修正、変形、等価物、および代替物は、本発明の精神および範囲の中に入ることが意図される。
【0013】
以下、説明の目的のために、用語「上部(upper)」、「下部(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直の(vertical)」、(水平の(horizontal)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」、およびそれらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、代替的な変形および工程順序(step sequences)を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および以下の明細書に記載される具体的なデバイスおよびプロセスは、単に本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的な特徴は、制限的であるとしてみなされるべきではない。
【0014】
本開示は、流体の送達のための注入ポンプ18を対象とする。注入ポンプは、使用者が流体の流量を選択的に制御することを可能にし、および静脈内流体容器の注射ポートに接続可能であるスパイク部材を含む。
【0015】
本開示の注入ポンプは、従来の静脈内(IV)セットにおける点滴チャンバに取って代わる。有利には、本開示の注入ポンプをIVセットに一体化させることは、IVを受けている間の患者の可動性を増加させる。病院での処置後の早期離床は、多くの利点を有することが知られており、および患者の転帰の改善に貢献する。本開示の注入ポンプをIVセットに一体化させることによって、患者は、自分たちが歩き回るときに、自分たちと一緒にIVポールを連れて移動するという負担から解放され得る。一般的な注入は、重力に基づいており、およびしたがって、注入の間にわたって、患者はIVポールに近接していることが必要とされる。本開示の注入ポンプは、患者が、例えば、腕に小さなIVバッグを装着すること、またはIVバッグおよびポンプを小さなバックパックに入れて運ぶことを可能にし得る。本開示の注入ポンプの能動的な流体送達は、配向非依存性を可能にし、すなわち、システムは、流体の送達のために決して重力に依存せず、そのため、バッグは、ポンプまたは患者のカテーテルよりも上にある必要はない。患者はバッグを腕に装着し、および注入の中断を伴わずに、自由に横になったり、起き上がって歩き回ったりし得る。このようにして、患者はIVポールによって邪魔されずに自由に動き回り得る。
【0016】
1つの実施形態において、本開示の注入ポンプ18は、医療用注入システムの一部であり得る。例えば、例示的な実施形態において、本開示の医療用注入システム10は、注射ポート14を有する静脈内流体容器またはバッグ12と、流体16の送達のためのマイクロポンプまたは注入ポンプ18とを含む。1つの実施形態において、流体16は、静脈内流体容器12内に含まれる。
【0017】
図1から
図7A、
図7Cから
図10および
図14を参照して、本開示の注入ポンプ18は、概して、入口の第1の端部または入口端22と出口の第2の端部または出口端24とを有するハウジング20、入口22のスパイク部材またはアンカー部材26、流体16をスパイク部材26を通しておよびハウジング20の出口24から外に圧送するための駆動システム28、および駆動システム28と通信するプロセッサまたはコントローラ30を含む。1つの実施形態において、コントローラ30は、注入ポンプ18を介して送達されている流体16の流量を選択的に制御する。1つの実施形態において、入口22は、ハウジング20の上部に位置していてもよく、および出口24は、ハウジング20の下部に位置していてもよい。入口22および出口24の他の構成が本開示に従って使用されてもよいことが企図される。例えば、1つの実施形態において、入口22は、ハウジング20の上部に位置していてもよく、および出口24は、ハウジング20の側部に位置していてもよい。別の実施形態において、入口22は、ハウジング20の側部に位置していてもよく、および出口24は、ハウジング20の反対側の側部に位置していてもよく、または入口22および出口24の他の任意の構成が可能である。
【0018】
重要なことには、本開示のマイクロポンプまたは注入ポンプ18は小さく、すなわち、本開示の注入ポンプ18は、従来の大容量のスマートポンプよりも小さい。1つの例示的な実施形態において、本開示の注入ポンプ18は、約2.8インチの高さである。1つの例示的な実施形態において、本開示の注入ポンプ18は、約1.8インチ幅である。1つの例示的な実施形態において、本開示の注入ポンプ18は、約1.0インチの奥行(deep)である。しかしながら、本開示の注入ポンプ18は、本明細書に記載されるような他の寸法および機能を有していてもよいことが企図される。
【0019】
1つの実施形態において、本開示の注入ポンプ18は、静脈内流体容器12を含む医療用注入システム10の一部であってもよい。1つの例示的な実施形態において、
図6Aおよび
図6Bを参照して、静脈内流体容器12は、流体バリア部材110および内壁112を有する少なくとも1つの注射ポート14を含む。1つの実施形態において、静脈内流体容器12は、また、流体バリア部材110および内壁112を有する付加的な注射ポート14を含んでいてもよい。1つの実施形態において、静脈内流体容器12は、薬剤である流体16を含む。
【0020】
1つの実施形態において、注入ポンプ18の入口端22は、静脈内流体容器12内の流体16が注入ポンプ18を介して患者に送達され得るように、静脈内流体容器12の注射ポート14に接続可能である。1つの実施形態において、スパイク部材26は、静脈内流体容器12の注射ポート14に接続可能である。1つの実施形態において、注入ポンプ18の出口端24は、可撓性チュービングまたは静脈ライン32に接続可能である。可撓性チュービング32は、注入ポンプ18の出口端24に接続可能な第1の端部34と、フィッティングまたはコネクタ38を有する反対側の第2の端部36とを含む。フィッティング38は、注入ポンプ18を介した静脈内流体容器12から患者への流体16の注入移送のために患者の静脈ポートに接続可能である。
【0021】
1つの実施形態において、可撓性チュービング32は、注入ポンプ18のハウジング20の第2の端部24に取り外し可能に接続可能である。例えば、可撓性チュービング32は、ルアーロック接続を介して、注入ポンプ18のハウジング20の第2の端部24に取り外し可能に接続可能であってもよい。別の実施形態において、可撓性チュービング32は、注入ポンプ18のハウジング20の第2の端部24に固定的に接続されている。例えば、1つの実施形態において、可撓性チュービング32は、注入ポンプ18のハウジング20の第2の端部24と一体である。
【0022】
本開示の注入ポンプ18は、従来の静脈内(IV)セットにおける点滴チャンバに取って代わる。
図7Bを参照して、点滴チャンバ102を有する従来の静脈内セット100が示される。有利には、本開示の注入ポンプ18を、静脈内セットに、例えば、医療用注入システム10に一体化させることは、IVを受けている間の患者の可動性を増加させる。病院での処置後の早期離床は、多くの利点を有することが知られており、および患者の転帰の改善に貢献する。本開示の注入ポンプ18を静脈内セットに、例えば、医療用注入システム10に一体化させることによって、患者は、自分たちが動き回るときに、自分たちと一緒に静脈ポール104(
図7B)を連れて移動する負担から解放され得る。一般的な注入は、重力に基づいており、およびしたがって、注入の間にわたって、患者は静脈ポール104に近接していることが必要とされる。
【0023】
図7Aを参照して、本開示の注入ポンプ18および医療用注入システム10は、患者が、例えば、静脈内流体容器またはバッグ12を腕に装着するか、または静脈内流体容器および注入ポンプ18を小さなバックパックに入れて運ぶことを可能にする。
図7Aを参照して、1つの実施形態において、本開示の注入ポンプ18および医療用注入システム10は、患者が、キャリングストラップ40を介して腕に静脈内流体容器またはバッグ12を装着することを可能にする。
【0024】
本開示の注入ポンプ18および医療用注入システム10が提供する能動的な流体送達は、配向非依存性を可能にし、すなわち、本開示の医療用注入システム10は、流体16の送達のために重力に決して依存せず、そのため、静脈内流体容器12は、注入ポンプ18または患者のカテーテルよりも上にある必要はない。患者は、上述のように、静脈内流体容器またはバッグ12を腕に装着し、および流体16の注入の中断を伴わずに、自由に横になったり、起き上がって歩き回ったりし得る。このようにして、患者は、静脈ポール104によって邪魔されずに自由に動き回り得る(
図7B)。
【0025】
1つの実施形態において、注入ポンプ18のスパイク部材26は、流体チャネル50の一部を画定する。スパイク部材26の流体チャネル50は、流体16が流体チャネル50を通っておよびハウジングの出口24から患者に送達され得るように、注入ポンプ18のハウジング20の入口22および出口24と流体連通している。例えば、1つの例示的な実施形態において、流体16は、スパイク部材26の流体チャネル50を通って、流体16を注入ポンプ18のポンプまたは駆動システム28に運ぶチューブまたは流体チャネルに引き込まれる。次いで、流体16は、注入ポンプ18の駆動システム28を通って、およびチューブまたは流体チャネルを通って、出口24に移動する。出口24へのおよび出口24からの流体16の移動の間、圧力センサはインラインであってもよいが、一定の流体の流れから外れていてもよい。1つの実施形態において、注入ポンプ18の駆動システム28は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および/またはステンレス鋼構成要素を含んでいてもよい。
【0026】
上述されるように、スパイク部材26は、静脈内流体容器12の注射ポート14に接続可能である。例えば、スパイク部材26は、穿刺先端52を含む。
図6Aおよび
図6Bを参照して、流体注入治療が必要とされるとき、患者または医療従事者は、スパイク部材26の穿刺先端52で、静脈内流体容器12の注射ポート14の流体バリア部材110をスパイクまたは貫通することができる。有利には、本開示の注入ポンプ18のスパイク部材26は、静脈内流体容器12の注射ポート14内に注入ポンプ18のスパイク部材26を係止し、すなわち、注入ポンプ18のスパイク部材26と静脈内流体容器12の注射ポート14との間の有意な相対運動は防止され、および静脈内流体容器12の注射ポート14からの注入ポンプ18のスパイク部材26の分離は防止される。このようにして、スパイク部材26は、静脈内流体容器12からの注入ポンプ18の不注意なおよび偶発的な取り外しを防止し、および静脈内流体注入手順中に注入ポンプ18と静脈内流体容器12との間の漏れ防止接続を提供する。
【0027】
1つの実施形態において、スパイク部材26は、また、アンカー要素を含んでいてもよい。例えば、スパイク部材26は、ねじ付き部分を含んでいてもよい。アンカー要素またはねじ付き部分は、注入ポンプ18を静脈内流体容器12に接続するときに、スパイク部材26が静脈内流体容器12の注射ポート14の内壁112と係合しおよび接合する(interface)ことを可能にする。1つの実施形態において、ねじ付き部分は、自己タップしてもよく、および注射ポート14の内壁112にそれ自体のねじを切ってもよい。このようにして、注入ポンプ18のスパイク部材26は、注射ポート14内に係止されおよび固定され、すなわち、注入ポンプ18のスパイク部材26と静脈内流体容器12の注射ポート14との間の有意な相対運動は防止され、および静脈内流体容器12の注射ポート14からの注入ポンプ18のスパイク部材26の分離は防止される。
【0028】
図5は、本開示の例示的な実施形態による注入ポンプ18の内部を描く。
図5に示されるように、注入ポンプ18は、ハウジング20、駆動システム28、ランニングライトバー80、回路基板300、気泡センサ302、および圧力センサ304を含む。
【0029】
1つの実施形態において、駆動システム28は、モーターを含む。モーターは、ブラシ付き直流(DC)電気モーター、ブラシレスモーター、ステッピングモーター(stepper motor)、サーボモーター、ギアモーター、中空シャフトモーター、またはシャフトレスモーターを含むがこれらに限定されない、当技術分野において知られている任意の電気モーターを含み得る。動作中、モーターが作動させられたときに、駆動システム28は、ポンプヘッド内で回転運動または往復運動を引き起こす。ポンプヘッド内の回転運動または往復運動は、流体経路に沿った流体の変位を引き起こす。1つの例示的な実施形態において、注入ポンプ18は、圧電結晶を使用してそれを駆動するマイクロダイアフラムポンプであってもよい。適用された電場を機械的ひずみに変換する圧電効果は、ポンプチャンバーに圧力を発生させる。供給された電圧を圧電結晶に交番させることが、シリコン膜を上または下に移動させ、そしてこれは、一方向バルブを通して流体を引き込み、およびそれをポンプチャンバー内で圧縮してから、出口の一方向バルブを通して排出する。
【0030】
図14は、注入ポンプ18の概略図を描く。注入ポンプ18は、流体流入位置306、スパイク部材26、回路基板300、気泡センサ302、圧力センサ304、マイクロポンプ18、駆動システム28、プロセッサまたはコントローラ30、電源ボタン68、流量セレクタボタン70、第1の発光ダイオード(LED)素子64、第2のLED素子66、スクロールLED素子86、メモリ310、バッテリ312、可撓性チュービングまたはIVライン32、および流体注入位置314を含む。
【0031】
図1を参照して、注入ポンプ18は、流量インジケータ62を含む。1つの実施形態において、注入ポンプ18の前部60は、流量インジケータ62を含む。他の実施形態において、注入ポンプ18の他の部分は、流量インジケータ62を含んでいてもよい。
【0032】
1つの実施形態において、流量インジケータ62は、注入ポンプ18を介して医療用注入システム10を通る選択された流体流量を示す、複数の数、例えば、複数の異なる流量要素63を含む。例えば、
図1を参照して、流量インジケータ62は、1、2、5、10、20、および40の流量を示す流量要素63を含んでいてもよい。1つの実施形態において、流量は、ミリリットル毎時(mL/時)で提供される。他の実施形態において、流量インジケータ62は、他の異なる流量を示すようにプログラムされていてもよい。
【0033】
1つの実施形態において、流量インジケータ62は、以下により詳細に説明されるように、第1のLED素子64および第2のLED素子66を含む。
図1を参照して、注入ポンプ18は、電源ボタン68および流量セレクタボタン70を含む。1つの実施形態において、電源ボタン68は、注入ポンプ18をオンおよびオフにするため、および注入ポンプ18を起動して作動させるために使用される。流量セレクタボタン70は、注入ポンプ18および医療用注入システム10を通る流体16の所望の流量を切り替えおよび選択するために使用される。
【0034】
使用中、患者または医療従事者が流量セレクタボタン70を使用して流体16の流量を選択したときに、選択された流量数を表す選択された流量要素63が点灯する。例えば、各流量要素63は、第1のLED素子64および第2のLED素子66を含む。
図8を参照して、選択された流量要素63の第1のLED素子64は、その流量要素63が流量セレクタボタン70を使用して選択されたときに作動させられる。第1のLED素子64は、第1の視覚的表示72を提供する。例えば、第1のLED素子64は、選択された流量要素63を照らす青色光を提供してもよい。このようにして、患者または医療従事者は、どの流量要素63が選択されているかの視覚的表示、例えば青色光を受け取る。
【0035】
1つの実施形態において、注入ポンプ18は、注入ポンプ18内の空気を検出するための警報システムを含む。例示的な実施形態において、警報システムは、注入ポンプ18内の空気の存在を検出するセンサ、例えば、気泡センサ302を含む。気泡センサ302が空気の存在を検出したときに、第2のLED素子66が作動させられる。例えば、1つの実施形態において、警報システムが作動させられたときに、各流量要素63の第2のLED素子66が作動させられる。第2のLED素子66は、第1の視覚的表示72とは異なる第2の視覚的表示74を提供する。例えば、第2のLED素子66は、流量要素63の各々を照らす点滅する赤色光を提供してもよい。1つの実施形態において、気泡センサ302は、空気の存在を検出しおよび除去するための付加的なメカニズムを含んでいてもよい。
【0036】
図9を参照して、警報システムが作動させられたときに、各流量要素63の第2のLED素子66が作動させられ、および各流量要素63は、点滅する赤色光を提供する。このようにして、患者または医療従事者は、視覚的表示、例えば、点滅する赤色光を受け取り、これは、警報システムが作動させられ、および医療用注入システム10内で空気の存在が検出されたことを示す。1つの実施形態において、警報システムの作動は、また、注入ポンプ18を自動的に遮断することとなる。次いで、医療従事者は、注入ポンプ18を再始動する前に、システム10内の空気を取り除いてもよい。いくつかの実施形態において、警報システムの作動は、また、システム10からの空気の自動除去を可能にする自動空気除去コンポーネントを開始することとなることも企図される。
【0037】
1つの実施形態において、警報システムは、空気の存在のために、および/または閉塞のために、すなわち、注入ポンプ18の入口端22または出口端24での圧力の増加のために作動させられてもよい。例えば、注入ポンプ18は、1つまたは複数の圧力センサ304を含んでいてもよい。
【0038】
図10を参照して、注入ポンプ18のハウジング20は、注入ポンプ18の一部に及ぶスクローリングライトバー80を含む。例えば、注入ポンプ18のハウジング20の第1の側部82は、ライトバー80を含んでいてもよい。
図1を参照して、1つの実施形態において、注入ポンプ18のハウジング20の第1の側部82および第2の側部84は、各々、ライトバー80を含んでいてもよい。本開示のライトバー80は、スクローリングLED素子86を含む。1つの実施形態において、スクローリングLED素子86は、注入ポンプ18が作動しているときに作動させられ、すなわち、電源ボタン68が押されて注入ポンプ18が作動するのを開始させ、および流体16がシステム10を通して圧送されるのを開始させたときに、スクローリングLED素子86が作動させられる。
図10を参照して、スクローリングLED素子86は、注入が起こっていること、例えば、流体16が静脈内流体容器12から患者の静脈ポートに注入ポンプ18および可撓性チュービング32を介して圧送されていることを患者または医療従事者に視覚的表示を提供するために、下向きにスクロールする複数の矢印88を含む。
【0039】
図2を参照して、注入ポンプ18は、ストラップ受容ループ78を含む。1つの実施形態において、注入ポンプ18の後部76は、ストラップ受容ループ78を含む。他の実施形態において、注入ポンプ18の他の部分は、ストラップ受容ループ78を含んでいてもよい。キャリングストラップ、例えば、キャリングストラップ40(
図7A)は、患者がキャリングストラップを介して腕または他の便利な場所に注入ポンプ18を装着することができるように、ストラップ受容ループ78を通して配置され得る。
【0040】
図1から
図4および
図10を参照して、注入ポンプ18のハウジング20は、ハウジング20の第1の端部22に隣接する指把持リップ部分90を含む。リップ部分90は、スパイク部材26を静脈内流体容器12の注射ポート14に接続するときに、患者または医療従事者が指で握って注入ポンプ18のハウジング20をよりよく保持することができる構造を提供する。
【0041】
図1から
図3Aを参照して、注入ポンプ18のハウジング20の第1の端部22は、陥凹部分92および観察窓94を含む。
図1から
図3Aを参照して、スパイク部材26の一部は、陥凹部分92内に配置される。このようにして、注入ポンプ18の全体的なサイズおよびプロファイルが低減される。例えば、本開示の注入ポンプ18は、スパイク部材26の一部が陥凹部分92内に配置されることを可能にし、それにより、スパイク部材26が注入ポンプ18のハウジングの第1の端部22から延びる距離を低減させる。
【0042】
ハウジング20の観察窓94は、スパイク部材26が静脈内流体容器12の注射ポート14に適切に接続されたときに、患者または医療従事者に視覚化する領域を与える。これは、スパイク部材26が静脈内流体容器12の注射ポート14と適切に接続されたときに、患者または医療従事者が視覚的フィードバックを受け取るのに役立つ。
【0043】
【0044】
図6Aおよび
図6Bを参照して、静脈内注入が必要とされるとき、患者または医療従事者は、注入ポンプ18のスパイク部材26の穿刺先端52で、静脈内流体容器12の注射ポート14の流体バリア部材110をスパイクまたは貫通し、およびスパイク部材26を静脈内流体容器12の注射ポート14にしっかりと接続することができる。有利には、スパイク部材26は、注射ポート14内に係止されおよび固定され、すなわち、注入ポンプ18のスパイク部材26と静脈内流体容器12の注射ポート14との間の有意な相対運動は防止され、および静脈内流体容器12の注射ポート14からの注入ポンプ18のスパイク部材26の分離は防止される。
【0045】
次に、可撓性チュービング32のフィッティング38は、注入ポンプ18を介した静脈内流体容器12から患者への流体16の注入移送のために、患者の静脈ポートまたは患者のカテーテルに接続される。
【0046】
有利には、患者または医療従事者は、注入ポンプ18の流量セレクタボタン70を使用して、流体16の流量を選択することができる。
図8を参照して、選択された流量数を表す選択された流量要素63が点灯し、その結果、患者または医療従事者は、どの流量要素63が選択されているかの視覚的表示、例えば、青色光を受け取る。
【0047】
必要に応じて、患者または医療従事者は、注入中に流量セレクタボタン70を使用して、流体16の流量を変更することができる。また、必要に応じて、患者または医療従事者は、電源ボタン68を使用して、流体16の注入を開始および停止することができる。
【0048】
注入手順が完了すると、患者または医療従事者はすべてを捨ててもよく、例えば、本開示の医療用注入システム10は使い捨てである。例えば、1つの実施形態において、医療用注入システム10の構成要素のすべては使い捨てであり、すなわち、システム10は完全に使い捨てである。別の実施形態において、医療用注入システム10は部分的に使い捨て可能であり、すなわち、バッテリ312および電子回路基板300を含む注入ポンプ18の一部を、注入ポンプ18から取り外しおよび再使用することができる。次いで、医療用注入システム10の他の構成要素を、処分することができる。
【0049】
図11から
図13は、本開示の注入ポンプの別の例示的な実施形態を示す。
図11から
図13に示される実施形態は、
図1から7A、
図7Cから
図10、および
図14に示される実施形態と同様の構成要素を含み、および同様の構成要素は、参照番号とそれに続く文字Aで示される。簡潔にするために、これらの同様の構成要素および注入ポンプ18Aを使用する同様の工程(
図11から
図13)は、
図11から
図13に示される実施形態と併せてすべてが議論されるわけではない。
【0050】
図11から
図13を参照して、注入ポンプ18Aは、円筒形状を画定している。注入ポンプ18Aは、可撓性チュービング32の第1の端部34と取り外し可能に接続するためのルアーロックコネクタ200を含む。
【0051】
注入ポンプは、使用者が流体の流量を選択的に制御することを可能にし、および静脈内流体容器の注射ポートに接続可能であるスパイク部材を含む。
【0052】
本開示の注入ポンプは、従来の静脈内(IV)セットにおける点滴チャンバに取って代わる。有利には、本開示の注入ポンプをIVセットに一体化させることは、IVを受けている間の患者の可動性を増加させる。病院での処置後の早期離床は、多くの利点を有することが知られており、および患者の転帰の改善に貢献する。本開示の注入ポンプをIVセットに一体化させることによって、患者は、自分たちが歩き回るときに、自分たちと一緒にIVポールを連れて移動するという負担から解放され得る。一般的な注入は、重力に基づいており、およびしたがって、注入の間にわたって、患者はIVポールに近接していることが必要とされる。本開示の注入ポンプは、患者が、例えば、腕に小さなIVバッグを装着すること、またはIVバッグおよびポンプを小さなバックパックに入れて運ぶことを可能にする。本開示の注入ポンプの能動的な流体送達は、配向非依存性を可能にし、すなわち、システムは、流体の送達のために決して重力に依存せず、そのため、バッグは、ポンプまたは患者のカテーテルよりも上にある必要はない。患者はバッグを腕に装着し、および注入の中断を伴わずに、自由に横になったり、起き上がって歩き回ったりし得る。このようにして、患者はIVポールによって邪魔されずに自由に動き回り得る。
【0053】
本開示の医療用注入システム10は、独立した(standalone)静脈内流体投与システム、および従来の静脈内流体投与システムよりも低コストの解決策を提供する。本開示の医療用注入システム10の低コストは、使い捨てのシステム10および/または注入ポンプ18を可能にする。使い捨てであるシステム10および/または注入ポンプ18は、従来のシステムに関連する洗浄、滅菌、および追跡のコストを排除する。
【0054】
本開示の注入ポンプ18の簡略化されたインターフェースは、臨床医のワークフローが合理化され、および投薬過誤の可能性が低減されることを可能にする。
【0055】
本開示の医療用注入システムの代替的な実施形態は、化学療法剤のような危険な薬物の送達に対応するための特別な特徴を含み得る。代替的な実施形態は、危険な薬物送達のためのクローズドシステム転送デバイス(CSTD)の構成要素を組み込み得ることが企図される。例えば、CSTDコネクタは、注入ポンプ18の第1の端部22および第2の端部24に提供されてもよい。また、注入ポンプ18は、薬局において静脈内流体容器12の注射ポート14に取り付けられ得、および注入ポンプ18は、薬剤の調合中に静脈内流体容器12を充填するために使用され得ることも企図される。このようにして、薬剤の調合および投与中の使い捨て可能なCSTD構成要素の全体的な使用は低減されてもよい。
【0056】
また、本開示のシステムは、薬局でまたは臨床医によって充填された一体化された内部リザーバーを含み得ることが企図される。あるいはまた、事前充填されたまたは薬局または病院の作業場で充填されたカスタムカートリッジが使用され得る。そのようなデバイスは、注入剤(infusate)源に関係なく有用であり得、および従来の静脈内バッグを超えて分岐する技術を促進し得る。
【0057】
本開示は例示的な設計を有するように記載されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲の中でさらに修正され得る。本出願は、したがって、その一般原則を用いる開示の任意の変形、使用、または適合(adaptation)を包含するように意図される。さらに、本出願は、本開示が属するおよび添付される特許請求の範囲内に入る技術分野における知られているまたは慣行の中に入るような、本開示からの逸脱を包含することが意図される。