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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20241206BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241206BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B05B11/00 102G
B05B11/00 102N
B65D47/34 100
F04B9/14 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021077853
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171285
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-176379(JP,A)
【文献】特表平07-504146(JP,A)
【文献】特開2009-056372(JP,A)
【文献】特開2012-176381(JP,A)
【文献】特開2015-085288(JP,A)
【文献】特開2017-196551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 47/34
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延びる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記トリガー機構は、
前方に向けて開口する有底筒状に形成されるとともに、前記縦供給筒部内に連通する第1連通孔及び第2連通孔が形成された底壁部を有するシリンダと、
前記シリンダの内周面上を摺動可能に構成されるとともに、前記トリガー部の前後方向への移動に伴い前記シリンダに対して前後方向に移動するピストンと、を備え、
前記ピストンの前後方向への移動に応じて前後方向に変位し、前記第1連通孔を通じた前記シリンダ内と前記縦供給筒部内との連通及び遮断を切り替える第1弁体、及び前記シリンダと前記第1弁体とを連結する第1連結片を有する第1弁部材と、
前記ピストンの前後方向への移動に応じて前後方向に変位し、前記第2連通孔を通じた前記シリンダ内と前記縦供給筒部内との連通及び遮断を切り替える第2弁体、及び前記シリンダと前記第2弁体とを連結する第2連結片を有する第2弁部材と、を備え、
前記第1弁部材は、前記容器体内から前記シリンダ内への液体の流入を許容し、前記シリンダ内から前記容器体内への液体の流出を規制し、
前記第2弁部材は、前記シリンダ内から前記噴出孔への液体の流出を許容し、前記噴出孔から前記シリンダ内への液体の流入を規制し、
前記ピストンは、前記第2弁体と前後方向で向かい合う押込部を備え、
前記押込部は、前記ピストンが最後端位置にあるとき、前記第2弁体が閉位置にあるときの前記第2弁体の前端面よりも後方に位置しているトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記シリンダに固定されるとともに、前記第1連結片及び前記第2連結片を介して前記第1弁部材及び前記第2弁部材を一体に接続する固定部材を備えている請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記縦供給筒部には、前記容器体内及び前記第1連通孔間を連通させる第1流路、並びに前記噴出孔及び前記第2連通孔間を連通させる第2流路の間で前記縦供給筒部内を仕切る仕切部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器は、上下方向に延びる縦供給筒部と、縦供給筒部内に連通するシリンダと、トリガー部の前後動に伴いシリンダの内周面上を前後方向に摺動するピストンと、噴出孔を有するノズル部材と、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1において、縦供給筒部内には、ボール弁及び吐出弁が設けられている。ボール弁は、縦供給筒部内を上下方向に移動することで、容器体内からシリンダ内への液体の流入を許容し、シリンダ内から容器体内への液体の流出を規制する。吐出弁は、縦供給筒部内において、ボール弁の上方に設けられている。吐出弁は、縦供給筒部内を上下方向に移動することで、シリンダ内から噴出孔への液体の流出を許容し、噴出孔から前記シリンダ内への液体の流入を規制する。
【0004】
上述したトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部を後方に引くと、ピストンによってシリンダ内が加圧されることで、シリンダ内から縦供給筒部内に液体が流出する。このとき、ボール弁が押し下げられることで容器体内とシリンダ内との連通が遮断され、かつ吐出弁が押し上げられることでシリンダ内と噴出孔とが連通する。これにより、縦供給筒部内の液体が噴出孔を通じて噴出される。
一方、トリガー部から手を離し、トリガー部が前方に復帰すると、シリンダ内が減圧されることで、容器体内の液体が縦供給筒部内に吸い上げられる。このとき、ボール弁が引き上げられることで容器体内とシリンダ内とが連通し、かつ吐出弁が引き下げられることでシリンダ内と噴出孔との連通が遮断される。これにより、縦供給筒部内に吸い上げられた液体がシリンダ内に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-50423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のトリガー式液体噴出器では、ボール弁や吐出弁の移動方向とピストンの移動方向とが異なっているため、ピストンの移動に伴うトリガー式液体噴出器内での圧力変化をボール弁や吐出弁に対して効果的に伝えることが難しかった。そのため、噴出性能を安定させる点で未だ改善の余地があった。
【0007】
本発明は、噴出性能を安定させることができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
本開示の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延びる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記トリガー機構は、前方に向けて開口する有底筒状に形成されるとともに、前記縦供給筒部内に連通する第1連通孔及び第2連通孔が形成された底壁部を有するシリンダと、前記シリンダの内周面上を摺動可能に構成されるとともに、前記トリガー部の前後方向への移動に伴い前記シリンダに対して前後方向に移動するピストンと、を備え、前記ピストンの前後方向への移動に応じて前後方向に変位し、前記第1連通孔を通じた前記シリンダ内と前記縦供給筒部内との連通及び遮断を切り替える第1弁体、及び前記シリンダと前記第1弁体とを連結する第1連結片を有する第1弁部材と、前記ピストンの前後方向への移動に応じて前後方向に変位し、前記第2連通孔を通じた前記シリンダ内と前記縦供給筒部内との連通及び遮断を切り替える第2弁体、及び前記シリンダと前記第2弁体とを連結する第2連結片を有する第2弁部材と、を備え、前記第1弁部材は、前記容器体内から前記シリンダ内への液体の流入を許容し、前記シリンダ内から前記容器体内への液体の流出を規制し、前記第2弁部材は、前記シリンダ内から前記噴出孔への液体の流出を許容し、前記噴出孔から前記シリンダ内への液体の流入を規制する。
【0009】
本態様によれば、第1弁体及び第2弁体がシリンダの底壁部に設けられるとともに、第1弁体及び第2弁体の移動方向がピストンの移動方向に一致しているので、シリンダ内の圧力変動が第1弁体及び第2弁体に効果的に伝わりやすい。そのため、トリガー部の移動に対する弁体の応答性を向上させ、噴出性能を安定させることができる。したがって、例えば高粘度の液体を噴出させようとした場合において、弁体が液体中に含まれる気泡を介して連通孔の内面に着座したとしても、弁体を速やかに連通孔の内面から離反させることができる。
【0010】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記シリンダに固定されるとともに、前記第1連結片及び前記第2連結片を介して前記第1弁部材及び前記第2弁部材を一体に接続する固定部材を備えていることが好ましい。
本態様によれば、第1弁部材及び第2弁部材を別々にシリンダに固定する場合に比べて、組付工数の削減や部品点数の削減を図ることができる。
【0011】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記ピストンは、前記第2弁体と前後方向で向かい合う押込部を備え、前記押込部は、前記ピストンが最後端位置にあるとき、前記第2弁体が閉位置にあるときの前記第2弁体の前端面よりも後方に位置していることが好ましい。
本態様によれば、ピストンが最後端位置まで移動した際、押込部の後端面が、閉位置の第2弁体の前端面よりも後方に位置する。そのため、シリンダ内に液体を充填するプライミング時において、トリガー部の牽引操作によって第2弁体が開位置に移動し難いような場合であっても、ピストンが最後端位置まで移動することで、押込部を介して第2弁体を後方に向けて押し込むことができる。これにより、第2弁体が開位置に移動するのを促すことができる。その結果、トリガー部が前方に復帰する際にシリンダ内を負圧にし易くなり、シリンダ内に液体を効果的に導入できる。よって、プライミングに必要なトリガー部の操作回数を低減させることができる。
また、液体の噴出時等において、ピストンが最後端位置まで移動した際に、既に第2弁体が開位置に移動していた場合には、第2弁体が閉位置に復帰するのを規制できる。これにより、ピストンが最後端位置にあるとき、第2弁体が開位置で維持されるので、シリンダ内の液体を確実に縦供給筒部内に流出させることができ、噴出ばらつきを抑制できる。
【0012】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記縦供給筒部には、前記容器体内及び前記第1連通孔間を連通させる第1流路、並びに前記噴出孔及び前記第2連通孔間を連通させる第2流路の間で前記縦供給筒部内を仕切る仕切部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、液体が縦供給筒部内を流通する過程で、容器体内から吸い上げられた液体をポンプ部に確実に供給できるとともに、ポンプ部から圧送される液体を確実に噴出孔に向けて供給できる。これにより、噴出性能の更なる安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、噴出性能を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図2】トリガー式液体噴出器の要部断面図である。
図3】弁モジュールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0016】
図1に示されるように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、容器体A内に収容される液体を噴出可能とするものである。トリガー式液体噴出器1は、噴出器本体10と、噴出孔11aを有するノズル部材11と、カバー13と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0017】
噴出器本体10は、台座部20と、装着キャップ21と、縦供給筒部22と、パイプ23と、ポンプ部24を有するトリガー機構25と、射出筒部26と、中継部材27と、弁モジュール28と、を備えている。
【0018】
以下、縦供給筒部22の軸線O1に沿う方向(軸方向)を上下方向とし、上下方向に沿って容器体Aの底部(不図示)側を下側、その反対側を上側とする。上下方向から見て、軸線O1に交差する方向を径方向とする。径方向のうち、縦供給筒部22とノズル部材11とが並ぶ方向を前後方向とする。前後方向のうち、縦供給筒部22に対してノズル部材11側を前側、その逆側を後側とする。また、径方向のうち、上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0019】
台座部20は、頂壁20a及び周壁20bを備える有頂筒状に形成されている。周壁20bには、径方向の外側に張り出すフランジ部20cが形成されている。
装着キャップ21は、上下方向に延びる筒状に形成されている。装着キャップ21は、容器体Aのうち口部A1の上端開口縁との間にフランジ部20cを挟み込んだ状態で、口部A1に着脱可能に締め付けられる。なお、装着キャップ21と口部A1との固定方法は、ねじ以外の方法(例えば、嵌合等)であってもよい。
【0020】
縦供給筒部22は、ポンプ部24により吸い上げられる液体を上方に向けて流通させる。縦供給筒部22は、上下方向に長い有頂筒状に形成されている。縦供給筒部22は、頂壁20aの後端部を上下方向に貫いている。図示の例において、縦供給筒部22の下端部は、周壁20bの後端部に一体に連なっている。但し、縦供給筒部22と台座部20とは、同軸に配置されていてもよい。
【0021】
縦供給筒部22内において、上下方向の中間部分には、仕切部22aが設けられている。仕切部22aは、縦供給筒部22内を上下方向に仕切っている。縦供給筒部22内のうち、仕切部22aに対して下方に位置する部分は、容器体A内に連通する第1流路22cを構成している。一方、縦供給筒部22のうち、仕切部22aに対して上方に位置する部分は、射出筒部26内等を通じて噴出孔11aに連通する第2流路22dを構成している。
【0022】
パイプ23は、縦供給筒部22内に下方から嵌め込まれている。パイプ23は、トリガー式液体噴出器1が容器体Aに装着された状態において、容器体A内を下方に延びている。
【0023】
射出筒部26は、縦供給筒部22内の液体を、ノズル部材11に向けて前方に流通させる。射出筒部26は、縦供給筒部22の上端部から前方に向けて延びている。射出筒部26は、後端部において縦供給筒部22内(第2流路22d)内に連通している。
中継部材27は、射出筒部26とノズル部材11との間を接続する。中継部材27は、射出筒部26に前方から組み付けられている。
【0024】
トリガー機構25は、ポンプ部24と、トリガー部45と、を備えている。
ポンプ部24は、トリガー部45の牽引操作(後方に引く操作)に応じて容器体A内の液体の貯留及び圧送を行う。ポンプ部24は、シリンダ51と、ピストン52と、を備えている。
【0025】
シリンダ51は、縦供給筒部22の前方に設けられている。シリンダ51は、前方に向けて開口し、前後方向に沿うシリンダ軸線O2を中心軸線とする有底筒状に形成されている。以下の説明において、前後方向から見てシリンダ軸線O2に交差する方向(交差方向)をポンプ径方向という場合がある。
【0026】
シリンダ51は、底壁部51aと、シリンダ筒51bと、を備えている。
底壁部51aは、縦供給筒部22の前端部に一体で連なっている。底壁部51aは、シリンダ軸線O2を中心とする円板状に形成されている。本実施形態において、底壁部51aは、縦供給筒部22のうち、仕切部22aを上下方向に跨った状態でポンプ径方向に向に張り出している。
【0027】
図2に示すように、底壁部51aの下部(仕切部22aに対して下方に位置する部分)には、シリンダ51内と縦供給筒部22内(第1流路22c)とを連通させる第1連通孔61が形成されている。第1連通孔61は、後方に向かうに従い漸次縮径する第1テーパ部61a、及び第1テーパ部61aから後方に向けて一様な内径に形成された第1ストレート部61bを備えている。
底壁部51aの上部(仕切部22aに対して上方に位置する部分)には、シリンダ51内と縦供給筒部22内(第2流路22d)とを連通させる第2連通孔62が形成されている。第2連通孔62は、後方に向かうに従い漸次縮径する第2テーパ部62a、及び第2テーパ部62aから後方に向けて一様な内径に形成された第2ストレート部62bを備えている。このように、第1流路22c及び第2流路22dは、シリンダ51を介して連通している。
【0028】
シリンダ筒51bは、シリンダ軸線O2を中心軸線とする筒状に形成されている。シリンダ筒51bは、底壁部51aの外周縁から前方に向けて延びている。本実施形態において、シリンダ筒51bの下端部は、頂壁20aに一体で連なっている。シリンダ筒51bの下端部のうち、頂壁20aに連なる部分には、シリンダ51内と台座部20内とを連通させる外気導入孔51cが形成されている。外気導入孔51fは、ピストン52が少なくとも最後端位置にあるとき、シリンダ51内を通じて容器体A内とトリガー式液体噴出器1の外部とを連通させる。なお、シリンダ筒51bの上端部は、リブ51dを介して射出筒部26に一体で連なっている。このように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1において、シリンダ51、台座部20、縦供給筒部22及び射出筒部26は、一体に形成されている。但し、各構成部材は、別体であってもよい。
【0029】
図1図2に示すように、ピストン52は、シリンダ51内を前後方向に移動可能に設けられている。ピストン52は、ピストン本体部52aと、ピストン軸52bと、接続部52cと、押込部52dと、規制部52eと、が一体に形成された構成である。
【0030】
ピストン本体部52aは、前後方向に沿うピストン軸線O3を中心軸線とした有頂筒状に形成されている。本実施形態において、シリンダ軸線O2とピストン軸線O3とは同軸に配置されている。ピストン本体部52aは、摺動筒65と、閉塞部66と、を備えている。
摺動筒65は、シリンダ筒51b内に嵌め込まれている。摺動筒65は、シリンダ51に対するピストン52の前後動に伴い、シリンダ筒51bの内周面上を摺動可能に構成されている。
閉塞部66は、摺動筒65の後端開口部を閉塞している。
【0031】
ピストン軸52bは、閉塞部66のうちピストン軸線O3上に位置する部分から前方に向けて突出している。ピストン軸52bは、ピストン52が最前端位置にあるとき、シリンダ51よりも前方に突出している。ピストン軸52bは、例えば摺動筒65よりも小径の中実円柱状に形成されている。ピストン軸52bは、ポンプ径方向に撓み変形可能(弾性変形可能)に構成されている。
【0032】
接続部52cは、ピストン軸52bの前端部に連なっている。接続部52cは、ピストン軸52bに対して拡径されている。接続部52cには、接続部52cを左右方向に貫通する貫通孔52gが形成されている。
【0033】
図2に示すように、押込部52dは、第1押込突起71と、第2押込突起72と、支持片73と、を備えている。
第1押込突起71は、閉塞部66のうち、第1連通孔61と正面視で重なる部分から後方に向けて突出している。
第2押込突起72は、閉塞部66のうち、第2連通孔62と正面視で重なる部分から後方に向けて突出している。図示の例において、第1押込み突起71及び第2押込み突起72は、ピストン軸線O3を中心とする点対称となる位置に形成されている。したがって、ピストン52は、押込突起71,72が上下方向に並んだ状態で、ピストン軸線O3回りの180°のどちらの向きで組み付けた場合であっても、少なくとも第2連通孔62(後述する第2弁体92a)に何れかの押込突起71,72が前後方向で向かい合う。但し、押込突起は、少なくとも第2弁体92aに対応して設けられていればよい。
【0034】
支持片73は、第1押込突起71及び第2押込突起72同士の間を架け渡している。支持片73は、左右方向を厚さ方向とし、上下方向に延びる板状に形成されている。支持片73の後端縁は、閉塞部66に連なっている。支持片73の前端縁は、各押込突起71,72の後端よりも前方に位置している。
【0035】
図1に示すように、規制部52eは、ピストン軸52bからポンプ径方向の外側に張り出している。規制部52eは、ピストン軸線O3と同軸に配置された円板状に形成されている。具体的に、規制部52eは、ポンプ径方向の内側から外側に向かうに従い厚さが漸次縮小している。規制部52eの外周縁は、ポンプ径方向の外側に向けて突の円弧状に形成されている。図示の例において、規制部52eの外周縁は、押込突起71,72よりもポンプ径方向の外側であって、摺動筒65の外周面と同等若しくはポンプ径方向の内側に位置している。したがって、規制部52eは、ピストン52の前後動に伴い、シリンダ筒51bの内周面にポンプ径方向に近接又は当接した状態でシリンダ51に対して進退する。規制部52eは、外周縁を介してシリンダ筒51bの内周面に接触することで、シリンダ51に対するピストン軸52bのポンプ径方向への変形を規制する。なお、規制部52eは、円板状に限らず、矩形状や三角形状であってもよく、ポンプ径方向に延びる棒状等であってもよい。
【0036】
規制部52eは、前後方向に間隔をあけて複数(例えば、3つ)配列されている。本実施形態では、複数の規制部52eのうち、最も後方に位置する規制部52eは、ピストン52が最前端位置にあるときシリンダ51内に位置している。なお、規制部52eは、単数又は3つ以外の複数設けられていてもよい。本実施形態において、各規制部52eが独立して設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。規制部52eは、ピストン軸O3回りを螺旋状に延びることで一体に形成されていてもよい。
【0037】
トリガー部45は、トリガー本体部45aと、接続筒45bと、を備えている。
トリガー本体部45aは、前後方向に沿う断面視において、後方に向けて開口するC字状に形成されている。トリガー本体部45aは、縦供給筒部22の前方において、下方に向かうに従い前方に向けて傾斜して延びている。本実施形態において、トリガー本体部45aの下端は、装着キャップ21よりも下方であって、ノズル部材11の前端よりも後方に位置している。トリガー本体部45aの上端部は、中継部材27に対して左右方向の両側において、左右方向に沿う軸線回りに回転可能に支持されている。
【0038】
トリガー本体部45aにおいて、上下方向の中間部分には、ばね保持部45eが設けられている。ばね保持部45eは、トリガー本体部45aから左右方向の両側に突出している。ばね保持部45eと、射出筒部26又は中継部材27と、の間には弾性部材81が介在している。トリガー部45は、中継部材27に回動可能に支持された状態で、弾性部材81によって前方付勢状態で後方移動可能に構成されている。
【0039】
接続筒45bは、トリガー本体部45aにおける上下方向の中間部分から後方に向けて延びている。接続筒45bの後端部には、連結軸45fが設けられている。連結軸45fは、接続筒45bのうち左右方向で向かい合う内壁面から左右方向の内側に向けてそれぞれ突出している。連結軸45fは、貫通孔52g内に係止されている。これにより、トリガー部45とピストン52とが接続部52cを介して連結されている。
【0040】
ノズル部材11は、中継部材27に対して前方から装着されている。ノズル部材11は、後方に開口する有底筒状に形成されている。ノズル部材11の頂壁部(前壁部)には、前後方向に延びる噴出孔11aが形成されている。噴出孔11aは、ノズル部材11内及び中継部材27内を通じて射出筒部26内に連通している。
【0041】
カバー13は、噴出器本体10のうち、装着キャップ21よりも上方に位置する部分を上方、後方及び側方から取り囲んでいる。カバー13は、噴出器本体10が前方に向けて挿入されることで、噴出器本体10に装着される。
【0042】
図2に示すように、弁モジュール28は、底壁部51aに設けられて、第1連通孔61及び第2連通孔62を別々に開閉する。具体的に、弁モジュール28は、固定部材90と、第1弁部材91と、第2弁部材92と、を備えている。
固定部材90は、シリンダ軸線O2上において前後方向に延びる角柱形状に形成されている。固定部材90は、底壁部51aに固定されている。具体的に、底壁部51aにおいて、第1連通孔61及び第2連通孔62の間に位置する部分には、前方に向けて嵌合筒51gが突出している。固定部材90は、嵌合筒51gに対して前方から嵌め込まれている。固定部材90は、支持片73に前後方向に向かい合っている。固定部材90の前端面には、ピストン52が最後端位置にあるとき、支持片73の後端面が近接又は当接する(図2中鎖線参照)。
【0043】
第1弁部材91は、第1連通孔61を通じたシリンダ51内と第1流路22cとの連通及び遮断を切り替える。第1弁部材91は、第1弁体91aと、第1連結片91bと、を備えている。
第1弁体91aは、後方に向けて突の半球状に形成されている。第1弁体91aは、第1テーパ部61aに前方から接離することで、第1連通孔61を開閉する。第1弁体91aは、第1押込突起71に前後方向に向かい合っている。第1弁体91aの内側には、ピストン52が最後端位置にあるとき、第1押込突起71が進入する(図2中鎖線参照)。したがって、第1弁体91aに向かい合う位置に第1押込突起71が設けられている場合であっても、第1押込突起71と第1弁体91aとの干渉を避けることができる。
【0044】
図2図3に示すように、第1連結片91bは、固定部材90と第1弁体91aとの前端部同士を一体に接続する。第1連結片91bは、正面視において、下方に向けて突の半円形状に形成されている。具体的に、第1連結片91bは、直線部91gと、円弧部91hと、を一対ずつ備えている。
各直線部91gは、固定部材90から左右方向の外側に向けて直線状に延びている。
各円弧部91hは、直線部91gの先端部からシリンダ軸線O2を中心とする円弧状に延びている。各円弧部91hの先端部は、第1弁体91aに左右方向の外側から連なっている。
【0045】
図2に示すように、第1連結片91bは、第1弁体91aを後方に向けて付勢した状態で、少なくとも前後方向に弾性変形可能に構成されている。すなわち、第1弁体91aは、第1連結片91bの前後方向への弾性変形に伴い、シリンダ51内を前後方向に弾性変位する。具体的に、第1弁部材91は、第1弁体91aが第1テーパ部61aから前方に離れることで、第1連通孔61を開放する(開位置)。これにより、第1連通孔61を通じた第1流路22cからシリンダ51内への液体の流入を許容する。一方、第1弁部材91は、第1弁体91aが第1テーパ部61aに押し付けられた状態で、第1連通孔61の閉塞状態を維持する(閉位置)。これにより、第1連通孔61を通じた第1流路22cからシリンダ51内への液体の流入を規制する。
【0046】
第2弁部材92は、第2連通孔62を通じたシリンダ51内と第2流路22dとの連通及び遮断を切り替える。第2弁部材92は、第2弁体92aと、第2連結片92bと、を備えている。
第2弁体92aは、前後方向に延びる柱状に形成されている。第2弁体92aは、第2連通孔62を貫いた状態で、底壁部51aに対して前後方向に移動可能に設けられている。具体的に、第2弁体92aは、大径部95と、大径部95よりも小径に形成された小径部96と、を備えている。
【0047】
大径部95は、第2ストレート部62b内に嵌め込まれている。大径部95の前端部は、第2連通孔62内に位置している。大径部95の後端部は、縦供給筒部22(第2流路22d)内に突出している。大径部95には、後方に向けて開口する凹部95aが形成されている。凹部95aは、前方に向かうに従い漸次縮径するテーパ状に形成されている。
小径部96は、大径部95の前方に連なっている。小径部96は、第2連通孔62を通じてシリンダ51内に突出している。
【0048】
第2連結片92bは、固定部材90と第2弁体92aとの前端部同士を一体に接続する。図3に示すように、第2連結片92bは、固定部材90における左右方向の両端部から上方に向けて延びている。各第2連結片92bの先端部は、第2弁体92aに左右方向の外側から連なっている。
【0049】
図2に示すように、第2連結片92bは、第2弁体92aを後方に向けて付勢した状態で、少なくとも前後方向に弾性変形可能に構成されている。すなわち、第2弁体92aは、第2連結片92bの前後方向への弾性変形に伴い、第2連通孔62内を前後方向に弾性変位する。具体的に、第2弁部材92は、第2弁体92aの大径部95が第2ストレート部62bから後方に離脱することで、第2連通孔62を開放する(開位置)。すなわち、第2弁体92aは、開位置において、小径部96が第2ストレート部62b内に配置される。これにより、第2連通孔62内において小径部96との隙間を通じたシリンダ51内から第2流路22dへの液体の流出を許容する。一方、第2弁部材92は、第2弁体92aの大径部95が第2ストレート部62b内に嵌め込まれた状態で、第2連通孔62の閉塞状態を維持する(閉位置)。これにより、第2連通孔62を通じた第2流路22dからシリンダ51内への液体の流入を規制する。
【0050】
上述した小径部96は、第2押込突起72と前後方向に向かい合っている。第2弁体92aが閉位置にあるとき、小径部96の前端面は、ピストン52が最後端位置にあるときの第2押込突起72の後端面よりも前方に位置している(図2中鎖線参照)。本実施形態では、ピストン52が最後端位置にあるとき、第2押込突起72の後端面は、第2弁体92aが開位置にあるときの小径部96の前端面と同等の位置に配置される。これにより、ピストン52が最前端位置から最後端位置に移動する過程において、第2弁体92aを閉位置から開位置まで確実に押し込めるとともに、ピストン52が最後端位置にあるときには、第2弁体92aの開位置から閉位置への移動を規制する。
【0051】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部45の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部22内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする(プライミング)。なお、プライミング時の作用については、後述する。
【0052】
プライミングの完了後、トリガー部45を後方に引くと、弾性部材81の付勢力に抗してピストン52がシリンダ51に対して後方に移動する。すると、摺動筒65がシリンダ筒51bの内周面上を摺動することで、シリンダ51内が加圧される。
【0053】
シリンダ51内の圧力が増加することで、第1弁部材91及び第2弁部材92が後方に向けて押し込まれる。第1弁部材91について、第1弁体91aが第1テーパ部61aに押し付けられることで、閉位置を維持する。これにより、第1連通孔61を通じた第1流路22c内とシリンダ51内との連通が遮断されている。一方、第2弁部材92について、第2弁体92aが小径部96を介して前方に押し込まれることで、第2弁体92aが前方に移動する。これにより、大径部95が第2ストレート部62bから後方に離脱する。その結果、第2弁体92aが開位置となり、第2連通孔62が開放される。なお、第2弁体92aは、大径部95の周壁部分(凹部95aの周囲に位置する部分)がポンプ径方向に弾性変形して、大径部95と第2ストレート部62bとの間に隙間が形成されることで、第2連通孔62が開放されてもよい。
【0054】
第2弁体92aが開位置となることで、第2連通孔62と第2弁体92aとの間の隙間を通じてシリンダ51内の液体が第2流路22d内に流入する。第2流路22d内に流入した液体は、縦供給筒部22を上方に向けて流れた後、射出筒部26内に流入する。射出筒部26内を流通する液体は、中継部材27を通じてノズル部材11に到達し、噴出孔11aを通じて噴出される。なお、シリンダ51内をピストン52が前後方向に移動する過程において、規制部52eは、シリンダ筒51bの内周面に近接又は当接した状態でシリンダ51内を移動する。また、シリンダ51内から第2流路22dへの液体の流出によりシリンダ51内の圧力が第2連結片92bの付勢力以下になると、第2連結片92bの復元力によって第2弁体92aが閉位置に向けて弾性変位する。これにより、第2弁体92aは、トリガー部45の牽引操作を解除する前に閉位置に復帰する。
【0055】
トリガー部45の牽引操作を解除すると、弾性部材81の復元力によってトリガー部45が前方に移動する。これに伴い、ピストン52がシリンダ51に対して前方に復元移動する。これにより、ピストン52内が減圧されることで、第1弁部材91及び第2弁部材92が前方に向けて引っ張られる。第2弁部材92について、第2弁体92aは、大径部95が第2ストレート部62b内に嵌まり込むことで、シリンダ51に対する前方への移動が規制される。これにより、第2弁体92aは閉位置に維持されることで、第2連通孔62を通じたシリンダ51内と第2流路22dとの連通が遮断される。一方、第1弁部材91について、第1弁体91aが前方に移動することで、第1弁体91aが第1テーパ部61aから離反する。これにより、第1弁体91aが開位置になり、第1連通孔61が開放される。
【0056】
第1弁体91aが開位置となることで、シリンダ51内の減圧に伴い、容器体A内の液体がパイプ23を通じて第1流路22c内に流入する。第1流路22c内に流入した液体は、第1連通孔61を通じてシリンダ51内に流入する。これにより、次の噴出操作に備えることができる。なお、第1流路22cからシリンダ51内への液体の流出により第1流路22c内の圧力が第1連結片91bの付勢力以下になると、第1連結片91bの復元力によって第1弁体91aが閉位置に向けて弾性変位する。これにより、第1弁体91aは、リガー部45の牽引操作を解除する前に閉位置に復帰する。本実施形態では、ピストン52の前後動に伴い、第1弁体91a又は第2弁体92aが前後動することで、シリンダ51及び第1流路22c間、又はシリンダ51及び第2流路22d間が開閉される。
【0057】
ところで、トリガー式液体噴出器1では、使用開始時において、トリガー部45の牽引操作を複数回行うことで、シリンダ51内に液体を充填させるプライミング操作を行う。具体的に、トリガー部45を後方に引くと、上述した噴出操作と同様に、摺動筒65がシリンダ筒51bの内周面上を摺動することで、シリンダ51内が加圧される。シリンダ51内の圧力が増加することで、第1弁部材91及び第2弁部材92が後方に向けて押し込まれる。第1弁部材91について、第1弁体91aが第1テーパ部61aに押し付けられることで、閉位置を維持する。これにより、第1連通孔61を通じた第1流路22c内とシリンダ51内との連通が遮断されている。一方、第2弁部材92について、第2弁体92aが小径部96を介して後方に押し込まれることで、第2弁体92aが後方に移動する。これにより、大径部95が第2ストレート部62bから後方に離脱する。その結果、第2弁体92aが開位置となり、第2連通孔62が開放される。
【0058】
ここで、本実施形態では、ピストン52が最後端位置まで移動した際、第2押込突起72の後端面が、閉位置の第2弁体92aの前端面よりも後方に位置する。そのため、シリンダ51内の液体が十分に充填されていない場合において、トリガー部45の牽引操作によって第2弁体92aが開位置に移動し難いような場合であっても、ピストン52が最後端位置まで移動することで、第2押込突起72を介して第2弁体92aを後方に向けて押し込むことができる。これにより、第2弁体92aが開位置に移動するのを促すことができる。その結果、プライミングに必要なトリガー部45の操作回数を低減させることができる。
【0059】
第2弁体92aが開位置となることで、第2連通孔62と第2弁体92aとの間の隙間を通じてシリンダ51内の空気が第2流路22d内に流入する。トリガー部45の牽引操作を解除すると、弾性部材81の復元力によってトリガー部45が前方に移動する。これに伴い、ピストン52がシリンダ51に対して前方に復元移動することで、ピストン52内が減圧される。すると、第1弁部材91及び第2弁部材92が前方に向けて引っ張られる。第2弁部材92について、第2弁体92aは、大径部95が第2ストレート部62b内に嵌まり込むことで、シリンダ51に対する前方への移動が規制される。これにより、第2弁体92aは閉位置に維持されることで、第2連通孔62を通じたシリンダ51内と第2流路22dとの連通が遮断される。一方、第1弁部材91について、第1弁体91aが前方に移動することで、第1弁体91aが第1テーパ部61aから離反する。これにより、第1弁体91aが開位置になり、第1連通孔61が開放される。
【0060】
第1弁体91aが開位置となることで、シリンダ51内の減圧に伴い、容器体A内の液体がパイプ23を通じて第1流路22c内に流入する。第1流路22c内に流入した液体は、第1連通孔61を通じてシリンダ51内に流入する。上述した操作を複数回行うことで、シリンダ51内に液体が充填される。
【0061】
このように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1において、ピストン52の前後方向への移動に応じて前後方向に変位する第1弁体91a及び第2弁体92aを有し、第1弁部材91は、容器体A内からシリンダ51内への液体の流入を許容し、シリンダ51内から容器体A内への液体の流出を規制し、第2弁部材92は、シリンダ51内から噴出孔11aへの液体の流出を許容し、噴出孔11aからシリンダ51内への液体の流入を規制する。
この構成によれば、第1弁体91a及び第2弁体92aがシリンダ51の底壁部51aに設けられるとともに、第1弁体91a及び第2弁体92aの移動方向がピストン52の移動方向に一致しているので、シリンダ51内の圧力変動が第1弁体91a及び第2弁体92aに効果的に伝わりやすい。そのため、トリガー部45の移動に対する弁体91a,92aの応答性を向上させ、噴出性能を安定させることができる。したがって、例えば高粘度の液体を噴出させようとした場合において、弁体91a,92aが液体中に含まれる気泡を介して連通孔61,62の内面に着座したとしても、弁体91a,92aを速やかに連通孔61,62の内面から離反させることができる。
【0062】
本実施形態では、弁モジュール28が第1連結片91b及び第2連結片92bを介して第1弁部材91及び第2弁部材92を一体に接続する固定部材90を備えている構成とした。
この構成によれば、第1弁部材91及び第2弁部材92を別々にシリンダ51に固定する場合に比べて、組付工数の削減や部品点数の削減を図ることができる。
【0063】
本実施形態では、ピストン52が、第2弁体92aと前後方向で向かい合う第2押込突起72を備え、第2押込突起72は、ピストン52が最後端位置にあるとき、第2弁体92aが閉位置にあるときの第2弁体92aの前端面よりも後方に位置している構成とした。
この構成によれば、ピストン52が最後端位置まで移動した際、第2押込突起72の後端面が、閉位置の第2弁体92aの前端面よりも後方に位置する。そのため、例えばシリンダ51内に液体を充填するプライミング時において、トリガー部45の牽引操作によって第2弁体92aが開位置に移動し難いような場合であっても、ピストン52が最後端位置まで移動することで、第2押込突起72を介して第2弁体92aを後方に向けて押し込むことができる。これにより、第2弁体92aが開位置に移動するのを促すことができる。その結果、トリガー部45が前方に復帰する際にシリンダ51内を負圧にし易くなり、シリンダ51内に液体を効果的に導入できる。よって、プライミングに必要なトリガー部45の操作回数を低減させることができる。
また、液体の噴出時等において、ピストン52が最後端位置まで移動した際に、既に第2弁体92aが開位置に移動していた場合には、第2弁体92aが閉位置に復帰するのを規制できる。これにより、ピストン52が最後端位置にあるとき、第2弁体92aが開位置で維持されるので、シリンダ51内の液体を確実に縦供給筒部22(第2流路22d)内に流出させることができ、噴出ばらつきを抑制できる。
【0064】
本実施形態では、容器体A内及び第1連通孔61間を連通させる第1流路22c、並びに噴出孔11a及び第2連通孔62間を連通させる第2流路22dの間で縦供給筒部22内を仕切る仕切部22aが設けられている構成とした。
この構成によれば、液体が縦供給筒部22内を流通する過程で、容器体A内から吸い上げられた液体をポンプ部24に確実に供給できるとともに、ポンプ部24から圧送される液体を確実に噴出孔11aに向けて供給できる。これにより、噴出性能の更なる安定化を図ることができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、トリガー部45を前方に付勢する部材として、ばね保持部45eと、射出筒部26又は中継部材27と、の間に弾性部材81を備える構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、シリンダ51とピストン52との間にコイルばね等を設け、ピストン52を介してトリガー部45を前方に付勢してもよい。
上述した実施形態では、シリンダ軸線O2とピストン軸線O3とが一致する構成について説明したが、この構成に限られない。シリンダ軸線O2とピストン軸線O3は、互いに平行に配置されていてもよい。
上述した実施形態では、トリガー部45が回動可能な構成について説明したが、この格子柄に限られない。トリガー部45は、前後方向に移動可能な構成であれば、スライド可能に構成されていてもよい。
【0066】
上述した実施形態では、ピストン軸52bが弾性変形可能で、かつピストン軸52bに規制部52eが設けられた構成について説明したが、上述した条件は必須ではない。
上述した実施形態では、第1弁部材91及び第2弁部材92が固定部材90を介して一体に接続された構成について説明したが、第1弁部材91及び第2弁部材92は、別々にシリンダ51に固定されていてもよい。
上述した実施形態では、縦供給筒部22内が仕切部22aによって上下方向に仕切られる構成について説明したが、この構成に限られない。仕切部22aは、第1連通孔61と第2連通孔62との間で縦供給筒部22内を仕切っていれば、上下方向に限られない。また、仕切部22aを有しない構成であってもよい。
上述した実施形態では、ピストン52が押込部52dを備える構成について説明したが、押込部52dを有しない構成であってもよい。
上述した実施形態では、押込部52dが、押込突起71,72及び支持片73を備える構成について説明したが、この構成に限られない。押込部52dは、押込突起のみを有する構成であってもよい。また、押込突起71,72と支持片73との後端縁が一致していてもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1:トリガー式液体噴出器
10:噴出器本体
11:ノズル部材
11a:噴出孔
22:縦供給筒部
22a:仕切部
22c:第1流路
22d:第2流路
25:トリガー機構
45:トリガー部
51:シリンダ
51a:底壁部
52:ピストン
52d:押込部
61:第1連通孔
62:第2連通孔
90:固定部材
91:第1弁部材
91a:第1弁体
91b:第1連結片
92:第2弁部材
92a:第2弁体
92b:第2連結片
A:容器体
図1
図2
図3