(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20241206BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241206BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241206BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241206BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G08B25/00 510M
G08B25/04 J
G06T7/00 510F
(21)【出願番号】P 2021078714
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140617(JP,A)
【文献】特開2015-198442(JP,A)
【文献】特開2020-45684(JP,A)
【文献】特開2020-187543(JP,A)
【文献】特開2019-146082(JP,A)
【文献】特開2013-196562(JP,A)
【文献】特開2019-029969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02-1/23
9/00-9/10
G06T 7/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段を備えたインターホン機器と、クラウド上に配置され、前記インターホン機器が通信可能な顔認証サーバとを備えており、
前記顔認証サーバでは、前記インターホン機器から送信された撮像データにもとづいて所定の顔認証処理が実行されるインターホンシステムであって、
前記インターホン機器は、前記撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、前記人物の顔までの距離を測定する距離測定部と、前記距離が予め設定されている所定の認証距離
以下であるか否かを判断する判断部とを備えており、
前記映像に映り込んだ前記人物の顔までの前記距離が前記認証距離以下であると、前記映像から前記撮像データを作成し、前記撮像データを前記顔認証サーバへ送信する
一方、
前記映像に映り込んだ前記人物の顔までの前記距離が前記認証距離よりも離れていると、前記映像から前記撮像データを作成しないことを特徴とするインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば集合玄関機で撮像した映像にもとづき来訪者をチェックする集合住宅インターホンシステム等のインターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホンシステムの一例である集合住宅インターホンシステムとしては、クラウド上に配置されたサーバを利用するものが考案されている(たとえば特許文献1)。そして、そのようなインターホンシステムでは、たとえば集合住宅インターホンシステムを構成する集合玄関機で撮像した来訪者の画像をサーバへ送信し、サーバにおいて顔認証に係る処理を実行するように構成することで、顔認証に係る精度の向上を図ることができるとともに、集合玄関機に搭載するCPUを安価なCPUとして低コスト化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に集合玄関機等のカメラでは、防犯性を高めるべく、常時撮像を行っている。そのため、たとえば集合玄関機の前方を通行する通行人等、来訪者以外の人物についても映像内に映り込むことが考えられる。しかしながら、そのようにして映り込んだ来訪者以外の人物の画像についてもサーバへ送信し、一々サーバで顔認証に係る処理を実行させてしまうと、サーバの利用料金等が必要以上にかかってしまい、低コスト化を目指しているにも拘わらず、インターホンシステムの運用コストが高騰してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、必要な場合にのみサーバを利用した顔認証を実行することができ、顔認証に係る精度が高く、且つ、低コストで運用可能なインターホンシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像手段を備えたインターホン機器と、クラウド上に配置され、インターホン機器が通信可能な顔認証サーバとを備えており、顔認証サーバでは、インターホン機器から送信された撮像データにもとづいて所定の顔認証処理が実行されるインターホンシステムであって、インターホン機器は、撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、人物の顔までの距離を測定する距離測定部と、距離が予め設定されている所定の認証距離以下であるか否かを判断する判断部とを備えており、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離以下であると、映像から撮像データを作成し、撮像データを顔認証サーバへ送信する一方、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離よりも離れていると、映像から撮像データを作成しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インターホン機器に、撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、人物の顔までの距離を測定する距離測定部と、距離が予め設定されている所定の認証距離以下であるか否かを判断する判断部とを備えており、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離以下であると、映像から撮像データを作成し、撮像データを顔認証サーバへ送信する一方、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離よりも離れていると、映像から撮像データを作成しないようになっている。したがって、映像に通行人が映り込んだ場合等には顔認証サーバでの顔認証処理は実行されず、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離以下であるというように必要な場合にのみ顔認証サーバを利用した顔認証を実行することができ、顔認証に係る精度が高く、且つ、低コストで運用可能なインターホンシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】集合住宅インターホンシステムを示す構成図である。
【
図2】集合住宅インターホンシステムの集合玄関機の機能を示したブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる集合住宅インターホンシステムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る集合住宅インターホンシステムを示す構成図である。
図2は、集合住宅インターホンシステムの集合玄関機1の機能を示したブロック構成図である。
集合住宅インターホンシステムは、集合住宅のエントランスに設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機1、各居室毎にその玄関に設置された居住者を呼び出すための玄関子機15、15・・、各居室毎にその居室内に設置されて居住者が呼び出しに応答するための居室親機12、12・・、管理室に設置されて管理者と居住者や来訪者とが通話するための管理室親機13、及びそれらの機器間の通信を制御するための制御機14等により構成されてなる。また、エントランスには、エントランスから居室のある居住エリアに進む際に通過しなければならないオートドア16が設置されている。さらに、集合玄関機1と制御機14とは伝送線L1を介して、管理室親機13と制御機14とは伝送線L2を介して、オートドア16と制御機14とは伝送線L3を介して夫々接続されているとともに、居室親機12、12・・と制御機14とは親機幹線L4を介して夫々接続されている。
【0011】
ここで、本発明の要部となる集合玄関機1、及び顔認証サーバ2を利用した顔認証に係る制御について説明する。
集合玄関機1は、来訪者を撮像するためのカメラ31と、来訪者と居住者とが通話するためのマイク32及びスピーカ33と、呼び出す居室番号等を来訪者が入力するための操作部34と、操作内容等を表示するための表示部35と、集合玄関機1自身の動作を制御するためのCPU36と、オートドア16の開閉を制御するためのオートドア制御部37とを備えてなる。また、集合玄関機1は、外部機器と通信するための通信部38を備えており、通信部38を介して制御機14及びクラウドN上に配置される顔認証サーバ2と通信可能となっている。
【0012】
上述したような集合玄関機1では、カメラ31を常時起動させて周囲の映像を撮像しており、CPU36は、映像内に人物が映り込むと顔検知部39で当該人物の顔を検知するとともに、距離測定部40で集合玄関機1からカメラ31に映り込んでいる人物の顔までの距離を測定する。また、判断部41で人物の顔までの距離が所定の認証距離(たとえば30cm)以下であるか否かを判断する。そして、その判断の結果、カメラ31に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離以下であると、映り込んでいる人物の顔画像を映像から抽出する(撮像データを作成する)とともに、その顔画像を顔認証サーバ2へ送信し、顔認証サーバ2で所定の顔認証処理を実行させる。一方、人物の顔までの距離が認証距離よりも離れていると判断すると、映り込んでいる人物の顔画像を映像から抽出することはなく、当然ながら顔認証サーバ2との間で通信することもない。
【0013】
なお、顔認証サーバ2で実行される顔認証処理とは、集合玄関機1のカメラ31に映っている人物の同定であり、たとえば集合玄関機1から送信されてきた顔画像と予め顔認証サーバ2に登録されている認証用画像とを比較し、集合玄関機1のカメラ31に映っている人物が予め登録されている人物と一致するか否かを判断する等して行う。そして、集合玄関機1では、顔認証サーバ2においてカメラ31に映っている人物が予め登録されている人物であると同定されたことをもって、操作部34における操作を許容したり、オートドア16の開放を許容したりという制御を実行する。また、人物の顔までの距離測定に関しては周知技術を採用すればよく、たとえば特開2015-198260号公報に記載されているように3Dカメラを用いて距離測定してもよいし、集合玄関機1に距離測定手段として赤外線撮像部を設ける等してもよい。
【0014】
以上のような構成を有する集合住宅インターホンシステムによれば、集合玄関機1に、カメラ31により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部39と、映像に映り込んでいる人物の顔までの距離を測定する距離測定部40と、人物の顔までの距離が予め設定されている所定の認証距離であるか否かを判断する判断部41とを備えており、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離以下であると、映像から撮像データを作成し、撮像データを顔認証サーバ2へ送信するようになっている。したがって、映像に通行人が映り込んだ場合等には顔認証サーバ2での顔認証処理は実行されず、映像に映り込んだ人物の顔までの距離が認証距離以下であるというように必要な場合にのみ顔認証サーバ2を利用した顔認証を実行することができ、顔認証に係る精度が高く、且つ、低コストで運用可能な集合住宅インターホンシステムとすることができる。
【0015】
なお、本発明に係るインターホンシステムは、インターホンシステムの全体的な構成は勿論、撮像手段を備えたインターホン機器に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0016】
たとえば上記実施形態では集合住宅インターホンシステムについて説明しているが、本発明は、インターホン子機とインターホン親機とからなるインターホンシステム等の他のインターホンシステムとしても好適に採用することができる。
また、上記実施形態では、撮像手段をインターホン機器の本体に内蔵するとしているが、たとえば集合玄関機と、該集合玄関機とは別に設置される監視カメラと、その両者の動作を制御する制御機とからインターホン機器を構成してもよい。
【符号の説明】
【0017】
1・・集合玄関機(インターホン機器)、2・・顔認証サーバ、31・・カメラ(撮像手段)、36・・CPU、39・・顔検知部、40・・距離測定部、41・・判断部。