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特許7599390単独運転監視装置、単独運転監視システム及び単独運転監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】単独運転監視装置、単独運転監視システム及び単独運転監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20241206BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/38 110
H02J13/00 311S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021136538
(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公開番号】P2023031063
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】石本 智之
(72)【発明者】
【氏名】高野 富裕
(72)【発明者】
【氏名】河野 俊介
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-065799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器と、前記遮断器に接続される配電線と、前記配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、前記複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用され、各々が前記複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が前記配電系統における前記分散電源の単独運転を監視する単独運転監視装置であって、
各々の前記区分開閉器における変電所側及び負荷側の前記配電線の電圧を監視する監視部と、
前記監視部の監視結果に基づいて前記分散電源が単独運転しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記区分開閉器の開閉状態を制御する制御部と、
を備え
前記区分開閉器が閉状態である場合において、前記分散電源の単独運転が検出された場合、
前記監視部は、前記区分開閉器における両側の電力潮流を監視し、
前記判定部によって前記電力潮流の大きさである潮流量が閾値以上であると判定された場合、
前記制御部は、前記閉状態に制御されている前記区分開閉器を開状態に制御する
とを特徴とする単独運転監視装置。
【請求項2】
前記監視部による監視結果において、少なくとも片側の電圧が観測された場合、
前記判定部は、前記電圧が観測された区間において、単独運転が行われていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の単独運転監視装置。
【請求項3】
閉状態から開状態に制御された前記区分開閉器において、規定時間の経過後に少なくとも片側の電圧が観測された場合、
前記制御部は、前記開状態に制御されている前記区分開閉器を閉状態に制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の単独運転監視装置。
【請求項4】
遮断器と、前記遮断器に接続される配電線と、前記配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、前記複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用され、各々が前記複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が前記配電系統における前記分散電源の単独運転を監視する複数の制御装置と、複数の前記制御装置と通信路で接続される中央装置と、を備えた単独運転監視システムであって、
各々の前記制御装置は、前記遮断器の動作情報を前記中央装置から受領すると共に、各々の前記区分開閉器における変電所側及び負荷側の前記配電線の電圧を監視し、その監視結果に基づいて前記分散電源が単独運転しているか否かを判定し、
前記区分開閉器が閉状態である場合において、前記分散電源の単独運転が検出された場合、
各々の前記制御装置は、前記区分開閉器における両側の電力潮流を監視し、前記電力潮流の大きさである潮流量が閾値以上であると判定された場合、対応する前記区分開閉器を開状態に制御する
ことを特徴とする単独運転監視システム。
【請求項5】
閉状態から開状態に制御された前記区分開閉器において、規定時間の経過後に、少なくとも片側の電圧が観測された場合、前記制御装置は、電圧観測情報を前記中央装置へ通知し、
前記中央装置は、前記制御装置から通知された電圧観測情報に基づいて投入する区分開閉器を選定する
ことを特徴とする請求項に記載の単独運転監視システム。
【請求項6】
前記中央装置は、選定した前記区分開閉器に対する投入指令を対応する制御装置に送信すると共に、投入指令を送信した前記制御装置との間の通信で前記配電線の充電状態を確認し、前記配電線の充電状態が継続している場合には、投入する区分開閉器を選定する処理を繰り返す
ことを特徴とする請求項に記載の単独運転監視システム。
【請求項7】
遮断器と、前記遮断器に接続される配電線と、前記配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、前記複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用され、各々が前記複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が前記配電系統における前記分散電源の単独運転を監視する単独運転監視方法であって、
各々の前記区分開閉器における変電所側及び負荷側の前記配電線の電圧を監視する第1ステップと、
前記第1ステップによる監視結果に基づいて前記分散電源が単独運転しているか否かを判定する第2ステップと、
前記区分開閉器が閉状態である場合において、前記第2ステップによって前記分散電源の単独運転が検出された場合、前記区分開閉器における両側の電力潮流を監視する第3ステップと、
前記電力潮流の大きさである潮流量が閾値以上であると判定された場合、前記閉状態に制御されている前記区分開閉器を開状態に制御する第4ステップと、
を含むことを特徴とする単独運転監視方法。
【請求項8】
前記第4ステップによって閉状態から開状態に制御された前記区分開閉器において、規定時間の経過後に少なくとも片側の電圧が観測された場合、前記開状態に制御された区分開閉器を閉状態に制御する第5ステップを更に含む
ことを特徴とする請求項7に記載の単独運転監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配電系統の単独運転を監視する単独運転監視装置、単独運転監視システム及び単独運転監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源が接続された配電系統において、配電線に設けられている遮断器が開放された場合、通常であれば、配電線は無電圧状態になる。一方、配電線に太陽光発電などの分散電源が接続されている場合、分散電源が配電系統から解列されない状態で運転を継続すると、本来は無電圧であるべき配電線が充電されてしまう。このように、商用電源から切り離された配電系統において、分散電源から供給される電力のみで配電線が充電されている状態を、分散電源が単独運転しているという。
【0003】
配電系統に接続する分散電源には、単独運転を検出するための機能を備えることが義務づけられている。この機能は「単独運転検出機能」と呼ばれる。単独運転検出機能には、能動的方式と受動的方式とがある。受動的方式は、電圧位相又は周波数の急変を探知して単独運転を検出する方式である。ところが、受動的方式には、単独運転を検出できずに、分散電源が運転を継続してしまう場合があるという問題がある。この問題は、配電系統のある区間内で、負荷の電力需要量と分散電源による電力供給量とがバランスしてしまうときに生起する。負荷の電力需要量と分散電源による電力供給量とがバランスしてしまうと、単独運転を検知できるレベルの電圧位相又は周波数の急変が発生しないためである。この問題に対応するため、バックアップ的に能動的方式を併用することが行われている。
【0004】
能動的方式は、無効電力を配電系統に注入することで、負荷の電力需要量と分散電源による電力供給量とのバランスを崩し、単独運転時にのみ周波数変動を引き起こすことを目的としている。しかしながら、無効電力の注入は、配電系統に電圧変動を引き起こすという弊害がある。このため、分散電源の数が増えると、電圧フリッカを引き起こすことが問題視されている。
【0005】
下記特許文献1には、電圧フリッカの発生を抑制する単独運転検出装置が開示されている。この特許文献1では、インバータの出力電圧の変動量をちらつき視感度曲線における10Hzの変動値であるΔV10に換算し、ΔV10が閾値を超えた場合にパワーコンディショナが出力する無効電力変動量を制限し、正帰還のゲインを実質的に小さくすることで電圧フリッカの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-3743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の単独運転検出装置は、無効電力変動量の正帰還のゲインを小さくすることで電圧フリッカの発生を抑制するため、単独運転の検出が遅くなるという問題がある。一方、高速で単独運転検出を行うために無効電力出力量の正帰還のゲインを高くした場合、単独運転の検出速度は速くなるが、電圧フリッカを充分に抑制することができず、電力品質が低下するという問題が残る。
【0008】
上記のように、単独運転の検出速度の改善と電圧フリッカの抑制とは、トレードオフの関係にある。何れにせよ、これらの課題は、単独運転の検出に能動的方式を併用することに起因している。このため、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を監視することが望まれている。
【0009】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を監視することができる単独運転監視装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る単独運転監視装置は、遮断器と、遮断器に接続される配電線と、配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用される。単独運転監視装置は、各々が複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が配電系統における分散電源の単独運転を監視する。単独運転監視装置は、各々の区分開閉器における変電所側及び負荷側の配電線の電圧を監視する監視部と、監視部の監視結果に基づいて分散電源が単独運転しているか否かを判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る単独運転監視装置によれば、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を監視することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る単独運転監視装置を含む配電系統を模式的に示す図
図2】実施の形態1の制御装置の構成例を示すブロック図
図3】実施の形態1の制御装置の機能を実現するハードウェア構成の例を示すブロック図
図4】実施の形態1の制御装置による単独運転検出の動作フローを示すフローチャート
図5】実施の形態2に係る単独運転監視システムを含む配電系統を模式的に示す図
図6】実施の形態2の制御装置の構成例を示すブロック図
図7】実施の形態2の制御装置による単独運転検出の動作フローを示すフローチャート
図8】実施の形態3に係る単独運転監視システムを含む配電系統を模式的に示す図
図9】実施の形態3の制御装置による単独運転検出の動作フローを示すフローチャート
図10】実施の形態4の制御装置による単独運転解消の制御手法の説明に供する図
図11】実施の形態4の制御装置による単独運転解消の第1の制御フローを示すフローチャート
図12】実施の形態4の制御装置による単独運転解消の第2の制御フローを示すフローチャート
図13】実施の形態5の制御装置による単独運転解消の制御フローを示すフローチャート
図14】実施の形態5の中央装置による単独運転解消の制御フローを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照し、本開示の実施の形態に係る単独運転監視装置、単独運転監視システム及び単独運転監視方法について詳細に説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る単独運転監視装置を含む配電系統を模式的に示す図である。配電系統100は、母線12と、母線12に接続された遮断器3とを含む。母線12及び遮断器3は、変電所に設置される。また、配電系統100は、遮断器3に接続される配電線2と、配電線2に設けられた複数の区分開閉器4とを含む。
【0015】
遮断器3には、継電器14が接続されている。母線12と継電器14との間には、零相変圧器18が設けられている。また、遮断器3から見て配電線2の側には、電流検出器16が設けられている。零相変圧器18は、母線12における零相電圧を測定する。電流検出器16は、配電線2における過電流及び零相電流を測定する。
【0016】
遮断器3は、配電系統100に短絡又は地絡といった事故が生じたときに、配電線2に供給される電力を遮断する。遮断器3の制御は、継電器14が行う。継電器14は、遮断器3の遮断及び再閉路を制御する。継電器14は、事故時において遮断器3が遮断状態となった後、再閉路時間の経過後に、遮断器3を再閉路する。継電器14は、通信路15を介して中央装置40に接続される。中央装置40は、コンピュータ、記憶装置及び通信装置を有するサーバ装置である。中央装置40は、継電器14に指令信号を送信して遮断器3の開閉状態を制御する。
【0017】
区分開閉器4は、電磁石の励磁により閉路し、減磁により開路する接点を有する開閉器である。区分開閉器4によって、配電線2は複数の区間に区分される。配電線2には、分散電源(DG)6と、負荷(ZL)8とが接続されている。図1に示す分散電源6及び負荷8は一例である。分散電源6及び負荷8の各々は、区分開閉器4によって区分される複数の区間のうちの少なくとも1つに接続される。
【0018】
通常の送電時において、区分開閉器4は、接点が閉路した投入状態になる。一方、配電線2の事故時において、配電線電圧が低下すると、区分開閉器4は、減磁によって接点が開路する。これにより、区分開閉器4は、接点が開路した開放状態になる。
【0019】
各々の区分開閉器4には、制御装置20が設けられている。また、各々の区分開閉器4の両側には、制御用変圧器24a,24bと、電流検出器22a,22bと、が設けられている。制御用変圧器24a,24bは、区分開閉器4の両側の電圧である配電線電圧を検出するための検出器である。電流検出器22a,22bは、区分開閉器4の両側における電力潮流を検出するための検出器である。なお、以下の記載では、区分開閉器4の両側のうち、区分開閉器4から見て遮断器3がある側を適宜「変電所側」と称し、その反対側を適宜「負荷側」と称する。
【0020】
実施の形態1に係る単独運転監視装置は、区分開閉器4の動作を制御する制御装置20によって実現される。即ち、制御装置20は、各々が複数の区分開閉器4のうちの対応する1つに接続され、各々が配電系統100における分散電源6の単独運転を監視する単独運転監視装置として動作する。
【0021】
図2は、実施の形態1の制御装置の構成例を示すブロック図である。制御装置20は、監視部201と、判定部202と、制御部203とを備える。
【0022】
監視部201は、各々の区分開閉器4における変電所側及び負荷側の電力潮流と、変電所側及び負荷側の配電線の電圧とを監視する。判定部202は、監視部201の監視結果に基づいて、分散電源6が単独運転しているか否かを判定する。制御部203は、判定部202の判定結果に基づいて、区分開閉器4の開閉状態を制御する。開状態は、区分開閉器4の接点が開放されている状態である。閉状態は、区分開閉器4の接点が閉じられている状態である。
【0023】
図3は、実施の形態1の制御装置の機能を実現するハードウェア構成の例を示すブロック図である。実施の形態1に係る制御装置20の機能の一部又は全部を実現する場合には、図3に示されるように、演算を行うプロセッサ300、プロセッサ300によって読みとられるプログラムが保存されるメモリ302、及び信号の入出力を行うインタフェース304を含む構成とすることができる。
【0024】
プロセッサ300は、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)といった演算手段であってもよい。メモリ302には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)を例示することができる。
【0025】
メモリ302には、実施の形態1に係る制御装置20の機能を実行するプログラムが格納されている。プロセッサ300は、インタフェース304を介して必要な情報を授受し、メモリ302に格納されたプログラムをプロセッサ300が実行し、メモリ302に格納されたテーブルをプロセッサ300が参照することで、所要の演算処理を実施する。区分開閉器4の制御に必要な制御信号は制御装置20の内部で生成され、プロセッサ300の制御下でインタフェース304を介して区分開閉器4に付与される。これらの処理により、下述する各実施の形態の制御が実施される。プロセッサ300による演算結果は、メモリ302に記憶することができる。
【0026】
次に、制御装置20の動作について説明する。図4は、実施の形態1の制御装置による単独運転検出の動作フローを示すフローチャートである。動作の前提として、配電系統100に事故が発生したことが想定されている(ステップS11)。配電系統100に事故が発生すると、遮断器3は開放される。なお、制御装置20は、零相電圧及び零相電流の計測機能を有しているものとする。零相電圧は、制御用変圧器24a,24bの計測値を用いて求めることができる。また、零相電流は、電流検出器22a,22bの計測値を用いて求めることができる。制御装置20は、零相電圧及び零相電流の演算値に基づいて、配電系統100における事故の有無を検出することが可能である。
【0027】
制御装置20は、区分開閉器4における両側の配電線2の電圧を監視する(ステップS12)。配電線2の電圧の監視は、制御用変圧器24a,24bの検出結果に基づいて行われる。
【0028】
制御装置20は、配電線2の電圧の監視を始めてから規定時間経過したか否かを判定する(ステップS13)。規定時間が経過していなければ(ステップS13,No)、ステップS12に戻って、電圧の監視が継続される。また、規定時間が経過していれば(ステップS13,Yes)、ステップS14に進む。
【0029】
ステップS14において、少なくとも片側の電圧が観測された場合(ステップS14,Yes)、制御装置20は、当該電圧が観測された区間において、単独運転が行われていると判定する(ステップS15)。一方、配電線2の両側の何れにも電圧が観測されない場合(ステップS14,No)、制御装置20は、両側の何れの区間においても、単独運転が行われていないと判定する(ステップS16)。
【0030】
区分開閉器4の両側、即ち変電所側及び負荷側における少なくとも一方の電圧が観測される場合には、当該電圧が観測される側の配電線2が分散電源6の電力によって充電されていることを意味する。従って、図4のフローに従って、配電線2の両側の電圧を個々の制御装置20が監視することにより、配電線2の全区間における単独運転の有無を検出することができる。
【0031】
なお、図4の制御フローには、中央装置40による動作が含まれていない。即ち、図4の制御フローは、中央装置40との間の情報の授受は不要であり、制御装置20の個々の動作によって完結される。このため、実施の形態1に係る単独運転監視装置によれば、事故発生後、速やかに単独運転の有無を検出することが可能となる。
【0032】
また、事故によって遮断器3が開放されると、その後に中央装置40の制御によって、再閉路の動作が行われる。従来から、再閉路時に単独運転の監視を行う技術は存在するが、実施の形態1に係る単独運転監視装置は、再閉路の制御が行われる前に、単独運転の検出を行うものである。即ち、実施の形態1に係る単独運転監視装置は、再閉路の制御に合わせて単独運転の検出を行う技術とは、一線を画するものである。
【0033】
以上説明したように、実施の形態1に係る単独運転監視装置は、配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用される。単独運転監視装置は、各々が複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が配電系統における分散電源の単独運転を監視する。単独運転監視装置は、各々の区分開閉器における変電所側及び負荷側の配電線の電圧を監視し、その監視結果に基づいて分散電源が単独運転しているか否かを判定する。これにより、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を検出することが可能となる。
【0034】
また、実施の形態1に係る単独運転監視方法は、配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用される。単独運転監視方法を実施する制御装置は、各々が複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が配電系統における分散電源の単独運転を監視する。単独運転監視方法には、各々の開閉器における変電所側及び負荷側の配電線の電圧を監視する第1ステップと、第1ステップによる監視結果に基づいて分散電源が単独運転しているか否かを判定する第2ステップとが含まれる。これらの処理ステップにより、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を検出することが可能となる。
【0035】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る単独運転監視システムを含む配電系統を模式的に示す図である。図5に示す配電系統100の構成要素は、図1に示すものと同一又は同等である。なお、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0036】
また、図5では、図1に示す構成と比較すると、制御装置20が制御装置20Aに置き替えられている。図5において、複数の制御装置20Aは、実施の形態2に係る単独運転監視システム1Aを構成する。
【0037】
図5において、複数の制御装置20A同士の間は、通信路41によって接続されている。通信路41は、光ファイバケーブル、メタルケーブルなどを用いた有線通信路として構築することができる。また、通信路41は、電力線搬送又は無線通信を利用する無線通信路として構築してもよい。また、通信路41の接続形態は任意であり、スター型、リング型、ダブルリング型、メッシュ型、カスケード型、バス型を含む任意の接続形態で接続されていてもよい。
【0038】
図6は、実施の形態2の制御装置の構成例を示すブロック図である。図2に示す制御装置20と、図6に示す制御装置20Aとを比較すると、図6では、更に通信部204が設けられている。複数の制御装置20Aにおける通信部204は、複数の制御装置20A間で相互に情報交換を行って情報を共有する。
【0039】
次に、実施の形態2に係る単独運転監視システム1Aの動作について説明する。図7は、実施の形態2の制御装置による単独運転検出の動作フローを示すフローチャートである。動作の前提として、配電系統100に事故が発生したことが想定されている。
【0040】
実施の形態1の動作との相違点は、実施の形態2に係る制御装置20Aは、事故遮断機能を有している点である。実施の形態2の動作では、事故が発生すると制御装置20Aによって事故が検出される(ステップS21)。事故が検出されると、遮断器3が動作する前に、事故地点に最も近い変電所側の区分開閉器4が動作して、当該区分開閉器4の接点が開放される。この動作は、「高速遮断」と呼ばれる。
【0041】
実施の形態1の制御装置20と同様に、実施の形態2の制御装置20Aは、零相電圧及び零相電流の計測機能を有している。配電系統100において、地絡事故が起こった場合、制御装置20Aは、零相電流によって地絡事故を検出し、零相電圧によって、地絡事故の方向を検出することができる。また、各々の制御装置20Aは、地絡事故方向の判定結果を共有することにより、自身が事故地点に最も近い変電所側に配置されていることを認識することができる。以下、この事故地点に最も近い変電所側に位置する区分開閉器4を「第1の区分開閉器」と呼ぶ。また、第1の区分開閉器の動作を制御する制御装置20Aを「第1の区分開閉器の制御装置」と呼ぶ。
【0042】
第1の区分開閉器の制御装置は、第1の区分開閉器における負荷側の電圧を監視する(ステップS22)。負荷側の電圧の監視は、制御用変圧器24bの検出結果に基づいて行われる。
【0043】
第1の区分開閉器の制御装置は、負荷側の電圧の監視を始めてから規定時間経過したか否かを判定する(ステップS23)。規定時間が経過していなければ(ステップS23,No)、ステップS22に戻って、電圧の監視が継続される。また、規定時間が経過していれば(ステップS23,Yes)、ステップS24に進む。
【0044】
第1の区分開閉器において、負荷側の電圧が観測された場合(ステップS24,Yes)、第1の区分開閉器の制御装置は、負荷側の区間において、単独運転が行われていると判定する(ステップS25)。一方、負荷側の電圧が観測されていない場合(ステップS24,No)、第1の区分開閉器の制御装置は、負荷側の区間において、単独運転が行われていないと判定する(ステップS26)。
【0045】
なお、第1の区分開閉器の制御装置による単独運転の有無に関する判定結果は、制御装置20A間で共有される。
【0046】
第1の区分開閉器が開放している状態において、第1の区分開閉器の負荷側において、電圧が観測される場合には、第1の区分開閉器の負荷側の配電線2が分散電源6の電力によって充電されていることを意味する。従って、図7のフローに従って、第1の区分開閉器の負荷側の電圧を、第1の区分開閉器の制御装置が監視することにより、第1の区分開閉器の負荷側の区間における単独運転の有無を検出することができる。
【0047】
なお、図7の制御フローには、中央装置40による動作が含まれていない。即ち、図7の制御フローは、中央装置40との間の情報の授受は不要であり、第1の区分開閉器の制御装置の動作によって完結される。このため、実施の形態2に係る単独運転監視システム1Aによれば、事故発生後、速やかに単独運転の有無を検出することが可能となる。
【0048】
また、実施の形態2に係る単独運転監視システム1Aを構成する各々の制御装置20Aは、事故遮断機能を有しているので、事故地点の早期発見が可能である。これにより、実施の形態1と比べて、単独運転の検出制御を速やかに行うことができるので、単独運転の早期検出が可能となる。
【0049】
また、事故によって遮断器3及び区分開閉器4が開放されると、その後に中央装置40の制御によって、再閉路の動作が行われる。従来から、再閉路時に単独運転の監視を行う技術は存在するが、実施の形態2に係る単独運転監視システム1Aは、再閉路の制御が行われる前に、単独運転の検出を行うものである。即ち、実施の形態2に係る単独運転監視システム1Aは、再閉路の制御に合わせて単独運転の検出を行う技術とは、一線を画するものである。
【0050】
以上説明したように、実施の形態2に係る単独運転監視システムは、配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用される。単独運転監視システムを構成する複数の制御装置は、各々が複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が配電系統における分散電源の単独運転を監視する。配電系統に事故が生じた場合、事故地点に最も近い変電所側に位置する区分開閉器である第1の区分開閉器の動作を制御する制御装置は、第1の区分開閉器の負荷側の電圧を監視し、その監視結果に基づいて、第1の区分開閉器の負荷側の区間における分散電源の単独運転の有無を判定する。これにより、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を検出することが可能となる。
【0051】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る単独運転監視システムを含む配電系統を模式的に示す図である。図8に示す配電系統100の構成要素は、図5に示すものと同一又は同等である。なお、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0052】
また、図8では、図5に示す構成と比較すると、複数の制御装置20A同士の間、及び中央装置40と複数の制御装置20Aとの間が、通信路42によって接続されている。図8において、中央装置40及び複数の制御装置20Aは、実施の形態3に係る単独運転監視システム1Bを構成する。
【0053】
図8において、通信路42は、光ファイバケーブル、メタルケーブルなどを用いた有線通信路として構築することができる。また、通信路42は、電力線搬送又は無線通信を利用する無線通信路として構築してもよい。また、通信路42の接続形態は任意であり、スター型、リング型、ダブルリング型、メッシュ型、カスケード型、バス型を含む任意の接続形態で接続されていてもよい。
【0054】
次に、実施の形態3に係る単独運転監視システム1Bの動作について説明する。図9は、実施の形態3の制御装置による単独運転検出の動作フローを示すフローチャートである。動作の前提として、配電系統100に事故が発生したことが想定されている(ステップS31)。配電系統100に事故が発生すると、遮断器3は開放される。
【0055】
各々の制御装置20Aは、遮断器3の動作情報を中央装置40から受領する(ステップS32)。これにより、制御装置20Aは、遮断器3が動作した情報を早期に入手することができる。
【0056】
図9において、ステップS12~S16の動作は、実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。
【0057】
区分開閉器4の両側、即ち変電所側及び負荷側における少なくとも一方の電圧が観測される場合には、当該電圧が観測される側の配電線2が分散電源6の電力によって充電されていることを意味する。従って、図9のフローに従って、配電線2の両側の電圧を個々の制御装置20Aが監視することにより、配電線2の全区間における単独運転の有無を検出することができる。
【0058】
なお、図9のステップS12~S16の制御フローには、中央装置40による動作が含まれていない。即ち、図9のステップS12~S16の制御フローは、中央装置40との間の情報の授受は不要であり、制御装置20Aの個々の動作によって完結される。このため、実施の形態3に係る単独運転監視システム1Bによれば、事故発生後、速やかに単独運転の有無を検出することが可能となる。
【0059】
また、実施の形態3に係る単独運転監視システム1Bによれば、遮断器3の動作情報を中央装置40から直接受領するので、事故の発生を速やかに把握することができる。これにより、実施の形態1と比べて、単独運転の検出制御を速やかに行うことができるので、単独運転の早期検出が可能となる。
【0060】
また、事故によって遮断器3及び区分開閉器4が開放されると、その後に中央装置40の制御によって、再閉路の動作が行われる。従来から、再閉路時に単独運転の監視を行う技術は存在するが、実施の形態3に係る単独運転監視システム1Bは、再閉路の制御が行われる前に、単独運転の検出を行うものである。即ち、実施の形態3に係る単独運転監視システム1Bは、再閉路の制御に合わせて単独運転の検出を行う技術とは、一線を画するものである。
【0061】
以上説明したように、実施の形態3に係る単独運転監視システムは、配電線を複数の区間に区分する複数の区分開閉器と、複数の区間の少なくとも1つに接続された1又は複数の分散電源とを含む配電系統に適用される。複数の制御装置及び複数の制御装置と通信路で接続される中央装置は、単独運転監視システムを構成する。複数の制御装置は、各々が複数の区分開閉器のうちの対応する1つに接続され、各々が配電系統における分散電源の単独運転を監視する。各々の制御装置は、遮断器の動作情報を中央装置から受領すると共に、各々の区分開閉器における変電所側及び負荷側の配電線の電圧を監視し、その監視結果に基づいて分散電源が単独運転しているか否かを判定する。これにより、能動的方式を併用せずに、受動的方式のみを使用して、配電系統の単独運転を検出することが可能となる。
【0062】
実施の形態4.
実施の形態1~3では、分散電源の単独運転の有無を検出する制御手法について説明した。実施の形態4では、単独運転の検出後に単独運転を解消する制御手法について説明する。なお、実施の形態4に係る制御手法は、実施の形態1と同様に、各々の制御装置20の個々の動作によって単独運転の解消を図るものである。
【0063】
図10は、実施の形態4の制御装置による単独運転解消の制御手法の説明に供する図である。図10では、個々の区分開閉器4、分散電源6及び負荷8を識別するため、区分開閉器4については添字a,b,cを付し、分散電源6及び負荷8については添字a,bを付して示している。
【0064】
図10の上段部には、破線の枠A1で示される区間において、単独運転が継続していることが示されている。前述したように、負荷の電力需要量と分散電源による電力供給量とがバランスしてしまうと、単独運転検出機能がうまく働かず、単独運転が継続してしまうおそれがある。この平衡状態を解消するには、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩せばよい。そのため、区分開閉器4において、電流潮流の大きさである潮流量が閾値以上である場合には、当該区分開閉器4を開放する。図10の中段部に示す例では、区分開閉器4a,4b,4c共に、閾値以上の潮流量があり、区分開閉器4a,4b,4cが開状態に制御されている。
【0065】
現実的には、閾値以上の潮流量が観測される区分開閉器4を開放することにより、単独運転が解消されると考えられる。その一方で、偶然的に単独運転が解消されないことも考慮しておく必要がある。図10の中段部に示す例では、単独運転が継続している区間の区分開閉器4a,4b,4cを開放したのにも関わらず、破線の枠A2で示される区分開閉器4a,4bの区間において、単独運転が継続していることが示されている。
【0066】
枠A2で示される区間においては、区分開閉器4aの負荷側、及び区分開閉器4bの変電所側において電圧が観測される。これらの区分開閉器4a,4bのうち、変電所側及び負荷側のうちの少なくとも片側の電圧が観測される区分開閉器4bを投入する。このときの状態が、図10の下段部に示されている。区分開閉器4bの投入によって、負荷の接続状態が変わるので、平衡状態を確実に崩すことができる。これにより、単独運転を確実に解消することができる。
【0067】
上述した制御フローを図11及び図12に示している。図11は、実施の形態4の制御装置による単独運転解消の第1の制御フローを示すフローチャートである。図12は、実施の形態4の制御装置による単独運転解消の第2の制御フローを示すフローチャートである。
【0068】
まず、図11のフローチャートについて説明する。図11のフローチャートは、個々の制御装置20によって実施される。
【0069】
図11の制御フローは、単独運転を検知することから開始される(ステップS41)。ステップS41の処理は、図4図7又は図9のフローチャートの全体に対応しており、これらのうちの何れかの処理が用いられる。次に、制御装置20は、区分開閉器4における両側の電力潮流を監視する(ステップS42)。制御装置20は、電力潮流の大きさである潮流量を閾値と比較する(ステップS43)。潮流量が閾値以上である場合(ステップS44,Yes)、制御装置20は、区分開閉器4を開放して開状態に制御する(ステップS45)。一方、潮流量が閾値未満である場合(ステップS44,No)、図11の制御フローを終了する。
【0070】
次に、図12のフローチャートについて説明する。図12のフローチャート処理も個々の制御装置20によって実施される。なお、ステップS41~S45までの処理については、図11と同じであり、重複する内容の説明は省略する。
【0071】
ステップS45における処理の後、即ち区分開閉器4が開状態とされた後、規定時間の経過を判断する(ステップS46)。規定時間が経過していなければ(ステップS46,No)、規定時間の経過まで待機する。規定時間が経過していれば(ステップS46,Yes)、ステップS47に進む。
【0072】
ステップS47において、区分開閉器4の変電所側及び負荷側のうちで少なくとも片側の電圧が観測された場合(ステップS47,Yes)、制御装置20は、当該電圧が観測された区分開閉器4を投入して閉状態に制御する(ステップS48)。一方、当該電圧が観測されない場合(ステップS47,No)、図12の制御フローを終了する。
【0073】
なお、図11及び図12のフローチャートにおいて、ステップS42の処理は、監視部201によって実施される。また、ステップS44,S46,S47における判定処理は、判定部202によって実施される。また、ステップS45,S48の処理は、制御部203によって実施される。
【0074】
なお、図11及び図12のステップS43では、潮流量と閾値とが等しいときを“Yes”と判定しているが、“No”と判定してもよい。即ち、潮流量と閾値とが等しいときを“Yes”又は“No”の何れで判定してもよい。
【0075】
図11及び図12の制御フローには、中央装置40による動作が含まれていない。即ち、図11及び図12の制御フローは、中央装置40との間の情報の授受は不要であり、制御装置20の個々の動作によって完結される。このため、実施の形態4に係る制御手法を用いれば、単独運転の検出後、速やかに単独運転の解消を図ることが可能となる。
【0076】
以上説明したように、実施の形態4に係る単独運転監視装置は、区分開閉器が閉状態である場合において、分散電源の単独運転が検出された場合、区分開閉器における両側の電力潮流を監視し、電力潮流の大きさである潮流量が閾値以上であると判定された場合、閉状態に制御されている区分開閉器を開状態に制御する。閾値以上の潮流量が観測される区分開閉器を開放することにより、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩すことができる。これにより、単独運転監視装置に具備される受動的方式による単独運転検出機能を有効に働かせることができ、単独運転の速やかな解消を図ることができる。
【0077】
また、実施の形態4に係る単独運転監視装置は、閉状態から開状態に制御された区分開閉器において、規定時間の経過後に少なくとも片側の電圧が観測された場合、開状態に制御されている区分開閉器を閉状態に制御するようにしてもよい。この制御によれば、偶然的に単独運転が解消されない場合であっても、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩すことができる。これにより、単独運転を確実に解消することができる。
【0078】
また、実施の形態4に係る単独運転監視方法は、実施の形態1に係る単独運転監視方法における第2ステップによって分散電源の単独運転が検出された場合、以下の第3及び第4ステップによる処理が含まれていてもよい。第3ステップでは、閉状態である区分開閉器における両側の電力潮流が監視される。第4ステップでは、第3ステップによって電力潮流の大きさである潮流量が閾値以上であると判定された場合、閉状態に制御されている区分開閉器が開状態に制御される。この制御により、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩すことができる。これにより、単独運転監視装置に具備される受動的方式による単独運転検出機能を有効に働かせることができ、単独運転の速やかな解消を図ることができる。
【0079】
また、実施の形態4に係る単独運転監視方法は、更に、閉状態から開状態に制御された区分開閉器において、規定時間の経過後に少なくとも片変電所側の電圧が観測された場合、当該区分開閉器を閉状態に制御する第5ステップが含まれていてもよい。この制御により、偶然的に単独運転が解消されない場合であっても、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩すことができる。これにより、単独運転を確実に解消することができる。
【0080】
実施の形態5.
次に、単独運転の検出後に単独運転を解消する実施の形態5の制御手法について説明する。なお、実施の形態5の制御手法は、各々の制御装置20と中央装置40とが連係して単独運転の解消を図るものである。
【0081】
図13は、実施の形態5の制御装置による単独運転解消の制御フローを示すフローチャートである。図14は、実施の形態5の中央装置による単独運転解消の制御フローを示すフローチャートである。
【0082】
まず、図13のフローチャートについて説明する。図13のフローチャート処理は、個々の制御装置20によって実施される。なお、ステップS41~S46までの処理については、図12と同じであり、重複する内容の説明は省略する。
【0083】
ステップS46における処理の後、即ち区分開閉器4が開状態とされた後、規定時間が経過した場合、ステップS51に進む。ステップS51では、区分開閉器4の変電所側及び負荷側のうちで少なくとも片側の電圧が観測された場合(ステップS51,Yes)、制御装置20は、その旨の情報である電圧観測情報を中央装置40へ通知する(ステップS52)。一方、変電所側及び負荷側のうちの何れの電圧も観測されない場合(ステップS51,No)、図13の制御フローを終了する。
【0084】
図14のフローチャートに進み、中央装置40は制御装置20から電圧観測情報を受領する(ステップS61)。中央装置40は、制御装置20から通知された電圧観測情報に基づいて、投入する区分開閉器4を選定する(ステップS62)。中央装置40は、ステップS62で選定された区分開閉器4に対する投入指令を対応する制御装置20に送信する(ステップS63)。中央装置40は、投入指令を送信した制御装置20との間の通信で配電線2の充電状態を確認する(ステップS64)。配電線2の充電状態が継続している場合(ステップS65,Yes)、単独運転は解消されていないとして、ステップS62からの処理を繰り返す。一方、配電線2の充電状態が継続していない場合(ステップS65,No)、図14の制御フローを終了する。
【0085】
なお、図14のステップS64では、制御装置20との間で通信を行って、配電線2の充電状態を確認しているが、制御装置20から規定時間内に応答がない場合には、単独運転が解消していると判断してもよい。
【0086】
実施の形態5に係る単独運転監視システムにおいて、中央装置40は、1又は複数の制御装置20から通知された電圧観測情報に基づいて投入する区分開閉器4を選定する。また、一般的に、中央装置40の演算能力は、制御装置20の演算能力よりも優れている。従って、各々の制御装置20が個々に区分開閉器4を投入する実施の形態4と比べて、単独運転の解消により適した区分開閉器4の選定が可能となる。
【0087】
以上説明したように、実施の形態5に係る単独運転監視システムは、区分開閉器が閉状態である場合において、分散電源の単独運転が検出された場合、各々の制御装置は、区分開閉器における両側の電力潮流を監視し、電力潮流の大きさである潮流量が閾値以上であると判定された場合、対応する区分開閉器を開状態に制御する。閾値以上の潮流量が観測される区分開閉器を開放することにより、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩すことができる。これにより、単独運転監視装置に具備される受動的方式による単独運転検出機能を有効に働かせることができ、単独運転の速やかな解消を図ることができる。
【0088】
また、実施の形態5に係る単独運転監視システムは、閉状態から開状態に制御された区分開閉器において、規定時間の経過後に、少なくとも片側の電圧が観測された場合、制御部は、電圧観測情報を中央装置へ通知する。中央装置は、制御装置から通知された電圧観測情報に基づいて投入する区分開閉器を選定する。また、中央装置は、選定した区分開閉器に対する投入指令を対応する制御装置に送信すると共に、投入指令を送信した制御装置との間の通信で配電線の充電状態を確認する。更に中央装置は、配電線の充電状態が継続している場合には、投入する区分開閉器を選定する処理を繰り返す。これらの制御によれば、偶然的に単独運転が解消されない場合であっても、電力需要量と電力供給量との間のバランスを崩すことができる。これにより、単独運転を確実に解消することができる。
【0089】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B 単独運転監視システム、2 配電線、3 遮断器、4,4a,4b,4c 区分開閉器、6,6a,6b 分散電源、8,8a,8b 負荷、12 母線、14 継電器、15,41,42 通信路、16,22a,22b 電流検出器、18 零相変圧器、20,20A 制御装置、24a,24b 制御用変圧器、40 中央装置、100 配電系統、201 監視部、202 判定部、203 制御部、204 通信部、300 プロセッサ、302 メモリ、304 インタフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14