(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】衛星コンステレーション形成方法、衛星コンステレーション、および、解析装置
(51)【国際特許分類】
B64G 1/10 20060101AFI20241206BHJP
B64G 3/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B64G1/10 600
B64G3/00
(21)【出願番号】P 2021136957
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迎 久幸
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158505(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/083903(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/016471(WO,A1)
【文献】米国特許第06024327(US,A)
【文献】特開平06-037687(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102040008(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10、1/24、1/66、
3/00
G01S 5/00- 5/14、
19/00-19/55
H04B 7/14- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n(nは2以上の整数)面の軌道面が経度方向に均等に配置され、前記n面の軌道面の各軌道面に最大m(mは2以上の整数)機の衛星が、位相角が均等になるよう飛翔軌道高度を飛翔しており、
n面以下の軌道面の各々においてm機以下の衛星が定常運用しており、
定常運用している衛星の各々を対象衛星としたとき、前記対象衛星の軌道に隣接する軌道の衛星が赤道上空を北上してから、前記対象衛星の軌道の衛星が赤道上空を北上するまでの軌道面内角度差を示す位相オフセット角が(360/(m×n))×i度(位相オフセットiは0以上m-1以下の整数)ずつずれるよう前記対象衛星の軌道と前記対象衛星の軌道に隣接する軌道とにおいて衛星が同期して飛翔している衛星コンステレーションにおける衛星コンステレーション形成方法であって、
新規に前記衛星コンステレーションに軌道投入される軌道投入衛星は解析装置を具備しており、
前記解析装置は、前記位相オフセットiと、前記n面以下の軌道面の各々における相対飛翔位置とをモデル化した位相オフセットモデルを用い、
前記位相オフセットモデルでは、衝突リスクのある軌道面と衛星の相対位相とが危険領域として識別されており、
前記解析装置は、定常運用している各衛星の軌道情報を受信し、受信した軌道情報と、前記軌道投入衛星の軌道情報とに基づいて前記軌道投入衛星の、定常運用している衛星の各々に対する位相オフセット角と位相オフセットiとを導出し、
前記軌道投入衛星は、前記位相オフセットモデルが示す危険領域を通過する前に前記軌道投入衛星の推進装置を稼働することにより前記軌道投入衛星と前記衛星コンステレーションを構成する衛星との衝突リスクを回避し、軌道投入位置に到達する衛星コンステレーション形成方法。
【請求項2】
前記n面の軌道面の各々は、傾斜円軌道であり、
前記解析装置は、定常運用している衛星が飛翔している複数の軌道面の交差線上のうち衛星飛翔高度に形成される交点であって、中緯度帯に形成される交点の位置を危険領域として予めデータベースに記録している請求項1記載の衛星コンステレーション形成方法。
【請求項3】
前記衛星コンステレーションにおいて、
前記衛星コンステレーションの各軌道面を対象軌道面としたとき、前記対象軌道面を飛翔する各衛星が各衛星の進行方向の前方と後方との少なくともいずれかに位置する衛星と通信する通信装置を具備することにより円環状通信網が形成されていること、かつ、
前記対象軌道面を飛翔する少なくともいずれかの衛星が前記対象軌道面に隣接する軌道を飛翔する少なくともいずれかの衛星と通信する通信装置を具備することによりに円環状またはスパイラル状の通信網が形成されていることによってメッシュ通信網が形成されており、
前記軌道投入衛星は、定常運用している衛星の軌道情報として、前記メッシュ通信網を経由して伝送された情報を入手する請求項1または請求項2に記載の衛星コンステレーション形成方法。
【請求項4】
前記解析装置は、衛星コンステレーションに対して過去に衛星を新規に軌道投入した実績を示す実績データに基づいて生成された推論モデルに対して、前記解析装置が導出した結果を適用した結果を用いて前記軌道投入衛星の推進装置を制御することに用いられるデータを生成し、
前記軌道投入衛星は、前記解析装置が生成したデータに従って前記軌道投入衛星の推進装置を稼働させる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の衛星コンステレーション形成方法。
【請求項5】
前記実績データは、前記解析装置が導出した結果を示すデータと、過去に新規に軌道投入された衛星の推進装置の制御データとを含む請求項4に記載の衛星コンステレーション形成方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の衛星コンステレーション形成方法により形成された衛星コンステレーション。
【請求項7】
請求項1に記載の位相オフセットモデルを具備する解析装置。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載の推論モデルを具備する解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛星コンステレーション形成方法、衛星コンステレーション、および、解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メガコンステレーションの登場とデブリ増加等に伴う軌道上物体数の激増により、宇宙空間における衝突リスクが増大しており、衝突回避方法が待望されている。
同一軌道高度に数千機の衛星を投入するメガコンステレーションを構築する計画がある。しかしながら、広大な宇宙空間の中で、軌道高度を同一にすることにより時間と空間3次元との合計4次元のうち1次元が人為的に一致されるメガコンステレーションでは、当該メガコンステレーション内の衝突リスクが懸念される。特に、傾斜円軌道を採用する数千機の衛星から成るメガコンステレーションでは中緯度帯に形成される複数の軌道面の交線上で軌道高度が同一である交点において衛星同士の衝突リスクがある。そのため、各衛星が交点を通過するタイミングを適宜ずらすことにより衛星同士の衝突を回避する必要がある。衛星は対地速度7km/s以上で飛翔しているため、衛星の通過タイミングが安全なタイミングから数秒ずれるだけでも衝突リスクが生じることがある。メガコンステレーションを構成する数千機の衛星全てに対して数秒の誤差も許容せずにメガコンステレーションを定常運用するだけでも技術難度が高い。
特に、新規に軌道投入する衛星を所定の軌道面の所定の位相に投入する過程において、軌道の交点における衝突を回避して衛星コンステレーションを形成する方法が待望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/240825号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、衛星同士の衝突を回避する技術を開示している。しかしながら、特許文献1が開示する技術には、新規に衛星を軌道投入する際に、新規に軌道投入される衛星の軌道面と、他軌道面との中緯度帯における交差点を危険領域と識別した上で新規に軌道投入される衛星が推進装置を稼働することにより、新規に軌道投入される衛星と衛星コンステレーションを構成する衛星との衝突を回避することができないという課題がある。
【0005】
本開示は、同一軌道高度を数千機が飛翔するメガコンステレーションにおいて、新規に衛星を軌道投入する際に、新規に軌道投入される衛星の軌道面と、他軌道面との中緯度帯における交差点を危険領域と識別した上で新規に軌道投入される衛星が推進装置を稼働することにより、新規に軌道投入される衛星と衛星コンステレーションを構成する衛星との衝突を回避する衛星コンステレーション形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る衛星コンステレーション形成方法は、
n(nは2以上の整数)面の軌道面が経度方向に均等に配置され、前記n面の軌道面の各軌道面に最大m(mは2以上の整数)機の衛星が、位相角が均等になるよう飛翔軌道高度を飛翔しており、
n面以下の軌道面の各々においてm機以下の衛星が定常運用しており、
定常運用している衛星の各々を対象衛星としたとき、前記対象衛星の軌道に隣接する軌道の衛星が赤道上空を北上してから、前記対象衛星の軌道の衛星が赤道上空を北上するまでの軌道面内角度差を示す位相オフセット角が(360/(m×n))×i度(位相オフセットiは0以上m-1以下の整数)ずつずれるよう前記対象衛星の軌道と前記対象衛星の軌道に隣接する軌道とにおいて衛星が同期して飛翔している衛星コンステレーションにおける衛星コンステレーション形成方法であって、
新規に前記衛星コンステレーションに軌道投入される軌道投入衛星は解析装置を具備しており、
前記解析装置は、前記位相オフセットiと、前記n面以下の軌道面の各々における相対飛翔位置とをモデル化した位相オフセットモデルを用い、
前記位相オフセットモデルでは、衝突リスクのある軌道面と衛星の相対位相とが危険領域として識別されており、
前記解析装置は、定常運用している各衛星の軌道情報を受信し、受信した軌道情報と、前記軌道投入衛星の軌道情報とに基づいて前記軌道投入衛星の、定常運用している衛星の各々に対する位相オフセット角と位相オフセットiとを導出し、
前記軌道投入衛星は、前記位相オフセットモデルが示す危険領域を通過する前に前記軌道投入衛星の推進装置を稼働することにより前記軌道投入衛星と前記衛星コンステレーションを構成する衛星との衝突リスクを回避し、軌道投入位置に到達する方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、同一軌道高度を数千機が飛翔するメガコンステレーションにおいて、新規に衛星を軌道投入する際に、新規に軌道投入される衛星の軌道面と、他軌道面との中緯度帯における交差点を危険領域と識別した上で新規に軌道投入される衛星が推進装置を稼働することにより、新規に軌道投入される衛星と衛星コンステレーションを構成する衛星との衝突を回避する衛星コンステレーション形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る衛星コンステレーション形成システム100の概略を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る衛星コンステレーション形成システム100の構成例を示す図。
【
図3】実施の形態1に係る衛星30の構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る地上設備500の構成例を示す図。
【
図5】実施の形態1に係る衛星コンステレーション形成システム100の構成例を示す図。
【
図6】軌道面7面であり位相オフセット0である位相オフセットモデルを示す図。
【
図7】軌道面7面であり位相オフセット1である位相オフセットモデルを示す図。
【
図8】軌道面7面であり位相オフセット2である位相オフセットモデルを示す図。
【
図9】軌道面7面であり位相オフセット3である位相オフセットモデルを示す図。
【
図10】軌道面7面であり位相オフセット4である位相オフセットモデルを示す図。
【
図11】軌道面7面であり位相オフセット5である位相オフセットモデルを示す図。
【
図12】軌道面7面であり位相オフセット6である位相オフセットモデルを示す図。
【
図13】軌道面8面であり位相オフセット6である位相オフセットモデルを示す図。
【
図14】軌道面9面であり位相オフセット3である位相オフセットモデルを示す図。
【
図16】8機の衛星30が均等位相で飛翔する円軌道を示す図。
【
図17】法線ベクトルが互いに異なる軌道面同士が交差する点における衝突リスクを示す図。
【
図18】軌道面毎の衛星30の飛翔位置の位相をずらした様子を示す図であり、(a)は位相をずらしていない図、(b)は位相を9度ずらした図、(c)は位相を18度ずらした図、(d)は位相を27度ずらした図、(e)は位相を36度ずらした図。
【
図19】
図18に示す軌道面を重ねた様子を示す図であり、(a)は傾斜がない場合を示す図、(b)は傾斜がある場合を示す図。
【
図20】
図18に示す軌道面に軌道傾斜角をつけた様子を示す図であり、(a)は軌道面1を示す図、(b)は軌道面2を示す図、(c)は軌道面3を示す図、(d)は軌道面4を示す図、(e)は軌道面5を示す図、(f)は第1の軌道面を示す図、(g)は第2の軌道面を示す図、(h)は第3の軌道面を示す図、(i)は第4の軌道面を示す図、(j)は第5の軌道面を示す図。
【
図21】軌道の交点を説明する図であり、(a)は第1の軌道面を示す図、(b)は第2の軌道面を示す図、(c)は第3の軌道面を示す図、(d)は第4の軌道面を示す図、(e)は第5の軌道面を示す図、(f)は第1の軌道面を示す図、(g)は第2の軌道面を示す図、(h)は第3の軌道面を示す図、(i)は第4の軌道面を示す図、(j)は第5の軌道面を示す図。
【
図22】軌道面同士の交線上で軌道高度が一致する点を示す図であり、(a)は第1の軌道面を示す図、(b)は第2の軌道面を示す図、(c)は第3の軌道面を示す図、(d)は第4の軌道面を示す図、(e)は第5の軌道面を示す図、(f)は第1の軌道面を示す図、(g)は第2の軌道面を示す図、(h)は第3の軌道面を示す図、(i)は第4の軌道面を示す図、(j)は第5の軌道面を示す図。
【
図23】軌道面同士の交線上で軌道高度が一致する点を示す図であり、(a)は第1の軌道面を示す図、(b)は第2の軌道面を示す図、(c)は第3の軌道面を示す図、(d)は第4の軌道面を示す図、(e)は第5の軌道面を示す図。
【
図24】軌道面同士の交線上で軌道高度が一致する点を示す図であり、(a)は第1の軌道面を示す図、(b)は第2の軌道面を示す図、(c)は第3の軌道面を示す図、(d)は第4の軌道面を示す図、(e)は第5の軌道面を示す図。
【
図26】実施の形態1の変形例に係る地上設備500の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。また、以下の図面では各構成の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。図中の矢印はデータの流れまたは処理の流れを主に示している。また、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった方向あるいは位置が示されている場合がある。それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置、器具、あるいは部品といった構成の配置および向きを限定するものではない。
また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」、「手段」または「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0010】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム100の概略を示している。
衛星コンステレーション形成システム100は、本図に示すように、衛星コンステレーション20と、地上設備500とを備える。本明細書では、人工衛星を単に衛星と表記することもある。
【0012】
衛星コンステレーション20は、典型的には100機以上の衛星30を備える衛星メガコンステレーションである。衛星コンステレーション20の具体例は[参考文献1]および[参考文献2]に開示されている。メガコンステレーションの具体例は[参考文献3]に開示されている。衛星コンステレーション形成システム100は、これらの参考文献に開示されている機能を適宜備える。
衛星コンステレーション20が含む各衛星30は、具体例として、地上に存在する利用者に通信サービス等を提供する。
【0013】
[参考文献1]
特開2021-054167号公報
[参考文献2]
特開2021-070342号公報
[参考文献3]
国際公開第2021/060492号パンフレット
【0014】
地上設備500は、通信装置950と衛星制御装置501とを備え、各衛星30と通信することによって衛星コンステレーション20を制御する。
衛星制御装置501は、各衛星30を制御するための各種コマンドを生成するコンピュータであり、処理回路および入出力インタフェース等のハードウェアを備える。処理回路は各種コマンドを生成する。入出力インタフェースには入力装置および出力装置が接続される。衛星制御装置501は、入出力インタフェースを介して、通信装置950に接続される。
通信装置950は、各衛星30と通信を行う。具体的には、通信装置950は、各種コマンドを各衛星30へ送信する。
【0015】
図2は、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム100の構成例を示している。
衛星コンステレーション形成システム100は、コンピュータを備える。
図2では、1つのコンピュータの構成を示しているが、実際には、衛星コンステレーション20を構成する複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備500の各々にコンピュータが備えられる。そして、複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備500の各々に備えられたコンピュータが連携して、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム100の機能を実現する。以下において、衛星コンステレーション形成システム100の機能を実現するコンピュータの構成の一例について説明する。
【0016】
衛星コンステレーション形成システム100は、衛星30と地上設備500とを備える。衛星30は、地上設備500の通信装置950と通信する衛星通信装置32を備える。
【0017】
衛星コンステレーション形成システム100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0018】
衛星コンステレーション形成システム100は、機能要素として、衛星コンステレーション形成部110を備える。衛星コンステレーション形成部110の機能は、ハードウェアあるいはソフトウェアにより実現される。
【0019】
衛星コンステレーション形成部110は、衛星コンステレーション20を形成するための処理を実行する機能を有する。
【0020】
プロセッサ910は、衛星コンステレーション形成プログラムを実行する装置である。衛星コンステレーション形成プログラムは、衛星コンステレーション形成部110の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU、DSP(Digital Signal
Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0021】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash(登録商標))、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記憶媒体であってもよい。
【0022】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0023】
通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。衛星コンステレーション形成システム100は、通信装置950を介して、地上設備500と衛星30との通信を行う。
【0024】
衛星コンステレーション形成プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、衛星コンステレーション形成プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、衛星コンステレーション形成プログラムを実行する。衛星コンステレーション形成プログラムおよびOSは、補助記憶装置に記憶されていてもよい。補助記憶装置に記憶されている衛星コンステレーション形成プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、衛星コンステレーション形成プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0025】
衛星コンステレーション形成システム100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、衛星コンステレーション形成プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、衛星コンステレーション形成プログラムを実行する装置である。
【0026】
衛星コンステレーション形成プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0027】
衛星コンステレーション形成プログラムは、衛星コンステレーション形成部110の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、衛星コンステレーション形成方法は、衛星コンステレーション形成システム100が衛星コンステレーション形成プログラムを実行することにより行われる方法である。
本明細書に記載のいずれのプログラムも、コンピュータ読取可能な記録媒体あるいは記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、本明細書に記載のいずれのプログラムも、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0028】
図3は、本実施の形態に係る衛星30の構成例を示している。
衛星30は、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とを備える。衛星30は、その他、各種の機能を実現する構成要素を備えるが、
図3に関して、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とについて説明する。
衛星制御装置31は、推進装置33と姿勢制御装置34とを制御するコンピュータであり、処理回路を備える。具体的には、衛星制御装置31は、地上設備500から送信される各種コマンドに従って、推進装置33と姿勢制御装置34とを制御する。
衛星通信装置32は、地上設備500と通信する装置である。具体的には、衛星通信装置32は、自衛星に関する各種データを地上設備500へ送信する。また、衛星通信装置32は、地上設備500から送信される各種コマンドを受信する。
推進装置33は、衛星30に推進力を与える装置であり、衛星30の速度を変化させる。具体的には、推進装置33は電気推進機である。具体的には、推進装置33は、イオンエンジンまたはホールスラスタである。
姿勢制御装置34は、衛星30の姿勢と衛星30の角速度と視線方向(Line Of
Sight)といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置34は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロスコープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサといった装置である。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロといった装置である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備500からの各種コマンドにしたがって、アクチュエータを制御する。
電源装置35は、太陽電池、バッテリおよび電力制御装置といった機器を備え、衛星30に搭載される各機器に電力を供給する。
【0029】
衛星制御装置31に備わる処理回路について説明する。
処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
専用のハードウェアは、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはこれらの組み合わせである。
【0030】
図4は、本実施の形態に係る地上設備500の構成例を示している。
地上設備500は、全ての軌道面の多数の衛星30をプログラム制御する。地上設備500は、地上装置の例である。地上装置は、地上アンテナ装置、地上アンテナ装置に接続された通信装置、あるいは電子計算機といった地上局と、地上局にネットワークで接続されたサーバあるいは端末としての地上設備から構成される。また、地上装置には航空機、自走車両、あるいは移動端末といった移動体に搭載された通信装置を含んでもよい。
【0031】
地上設備500は、各衛星30と通信することによって衛星コンステレーション20を形成する。地上設備500は、衛星コンステレーション形成システム100に備えられる。地上設備500は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。地上設備500のハードウェアについては、
図2に示す衛星コンステレーション形成システム100で説明したものと同様である。
図2および
図4では、地上設備500に備えられるハードウェアについて説明した。しかし、同様の機能を有するハードウェアは、衛星30および地上設備50以外の、システム、衛星、装置、あるいは設備に備えられていてもよい。
【0032】
地上設備500は、機能要素として、軌道制御コマンド生成部510と、衛星解析部520とを備える。軌道制御コマンド生成部510および衛星解析部520の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせにより実現される。
【0033】
通信装置950は、衛星コンステレーション20を構成する衛星群の各衛星30を追跡管制する信号を送受信する。また、通信装置950は、軌道制御コマンド51を各衛星30に送信する。
【0034】
衛星解析部520は、衛星コンステレーション20の状態と、衛星30の状態等を解析する。具体例として、衛星解析部520は、衛星30同士が衝突するリスクがあるか否かを判定する。
【0035】
軌道制御コマンド生成部510は、衛星30に送信する軌道制御コマンド51を生成する。具体的には、軌道制御コマンド生成部510は、下記の動作例を実現するコマンドを衛星30に送信する。なお、軌道制御コマンド生成部510がコマンドを送信する方法はコマンド送信方法に相当する。軌道制御コマンド生成部510にコマンドを送信させるプログラムはコマンド送信プログラムに相当する。コマンド送信プログラムは衛星コンステレーション形成プログラムの一部であってもよい。コマンド送信プログラムは、地上設備500に、衛星コンステレーション形成方法を実現するための処理を実行することを要求するコマンドを衛星30に適宜送信させる。
このようにして軌道制御コマンド生成部510および衛星解析部520は、衛星コンステレーション形成部110の機能を実現する。すなわち、軌道制御コマンド生成部510および衛星解析部520は、衛星コンステレーション形成部110の機能の具体例に相当する。
【0036】
図5は、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム100の機能構成例を示す図である。
衛星30は、さらに、衛星コンステレーション20を形成する衛星コンステレーション形成部110bを備える。そして、複数の衛星の各衛星30の衛星コンステレーション形成部110bと、地上設備500の各々に備えられた衛星コンステレーション形成部110とが連携して、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム100の機能を実現する。なお、衛星30の衛星コンステレーション形成部110bは、衛星制御装置31に備えられていてもよい。
また、衛星コンステレーション形成部110bは、解析装置40を備える。解析装置40は、衛星コンステレーション20を構成する各衛星30の軌道を解析する。なお、新規に軌道投入される衛星30以外の衛星30は、解析装置40を備えなくてもよい。
【0037】
***動作の説明***
<実施の形態1に係る動作例1>
本動作例は衛星コンステレーション形成方法に相当する。
本動作例において、衛星コンステレーション20では、n(nは2以上の整数)面の軌道面が経度方向に均等に配置され、n面の軌道面の各軌道面に最大m(mは2以上の整数)機の衛星30が、位相角が均等になるよう飛翔軌道高度を飛翔しており、n面以下の軌道面の各々においてm機以下の衛星30が定常運用している。また、衛星コンステレーション20では、定常運用している衛星30の各々を対象衛星としたとき、対象衛星の軌道に隣接する軌道の衛星30が赤道上空を北上してから、対象衛星の軌道の衛星30が赤道上空を北上するまでの軌道面内角度差を示す位相オフセット角が(360/(m×n))×i度(位相オフセットiは0以上m-1以下の整数)ずつずれるよう対象衛星の軌道と対象衛星の軌道に隣接する軌道とにおいて衛星30が同期して飛翔している。
また、新規に衛星コンステレーション20に軌道投入される衛星30である軌道投入衛星は、解析装置40を具備している。解析装置40は、位相オフセットiと、n面以下の軌道面の各々における相対飛翔位置とをモデル化した位相オフセットモデルを用いる。位相オフセットモデルでは、衛星30同士の衝突リスクのある軌道面と衛星30の相対位相とが危険領域として識別されている。また、位相オフセットモデルにおいて、軌道傾斜角を具体的に規定していないので緯度については言及しておらず、経度については軌道面の数に応じて赤道上空における相対経度が決まる。解析装置40は、定常運用している各衛星30の軌道情報を受信し、受信した軌道情報と、軌道投入衛星の軌道情報とに基づいて軌道投入衛星の、定常運用している衛星30の各々に対する位相オフセット角と位相オフセットiとを導出する。解析装置40は位相オフセットモデルを具備してもよい。
軌道投入衛星は、位相オフセットモデルが示す危険領域を通過する前に軌道投入衛星の推進装置33を稼働することにより軌道投入衛星と衛星コンステレーション20を構成する衛星30との衝突リスクを回避し、軌道投入位置に到達する。軌道投入衛星が衝突リスクを回避する方法は、具体例として、推進装置33を稼働して危険領域を通過するタイミングを変更すること、または推進装置33を稼働して危険領域を通過しないようにすることである。軌道投入位置は、軌道投入衛星が投入される位置として適する位置であればどのような位置であってもよい。
【0038】
1つの軌道面にm機の衛星30が、位相角が均等になるよう飛翔する場合、位相角は360/m度である。
軌道傾斜角が90度である衛星コンステレーション20では、全ての軌道面の全ての衛星30が北極と南極との各々を通過するため、極における衛星30同士の衝突を回避するためには、任意の軌道面について、ある衛星30が極を通過してから、当該ある衛星30の後続の衛星30が極を通過するまでの位相角である360/m度の範囲において、他の全ての軌道面の衛星30が1つずつ通過する必要がある。軌道面の数がnである場合、任意の軌道を飛翔する衛星30が通過してから、360/(m×n)度毎に隣接軌道面を飛翔する衛星30が通過すれば、極において衛星30同士の衝突は発生しない。ここで、ある軌道面と当該ある軌道面に対する隣接軌道面との関係を説明すると、当該ある軌道面と当該隣接軌道面との間に1つ以上の軌道面が存在することがある。
各軌道面を飛翔する衛星30が赤道上空を北上するタイミングに着目して、360/(m×n)度毎に隣接軌道面を飛翔する衛星30が通過することを実現する方法として、軌道面の数に応じた位相オフセットのバリエーションがある。当該バリエーションでは、位相オフセットに依存して複数の軌道面の交差上のうち飛翔軌道高度を各衛星30が通過するタイミングが異なるため、衛星30同士の衝突を回避するために最適な位相オフセットを選択する必要がある。飛翔軌道高度は、衛星30が飛翔する軌道高度であり、ある範囲内の軌道高度であってもよい。
以下、位相オフセット角と位相オフセットiと位相オフセットモデルとについて軌道面の数が7面である衛星コンステレーション20の実施例を使って説明する。
図6は、位相オフセット角が0度であり、位相オフセットiの値が0である位相オフセットモデルを示している。ここで、位相オフセットiの値が0であることを位相オフセット0とも表記する。
7面の軌道面全てにおいて、衛星30が赤道上空を北上するタイミングが同期している状態が、位相オフセット0である。
【0039】
軌道面1において、1機目が赤道上空を北上して通過してから後続する2機目が赤道上空に飛来するまでに、360/m度の位相角がある。当該位相角の間をn等分した360/(m×n)度の位相角を、隣接軌道面を飛翔する衛星30が順番に時間差で通過するバリエーションには、軌道面の配列順番に応じて位相オフセット0から位相オフセット6の7種類ある。
図7は、位相オフセットiの値が1である位相オフセットモデルを示している。
位相オフセット1において、軌道面1を飛翔する衛星30が赤道上空を北上して通過してから、隣接する軌道面を飛翔する衛星30が360/(m×n)度の位相差分遅れて赤道上空を北上して通過する。
【0040】
以下、同様に位相オフセット2から位相オフセット6の各々に対応する位相オフセットモデルを
図8から
図12に示す。
位相オフセットiにおいて、軌道面1を飛翔する衛星30が赤道上空を北上して通過してから、隣接する軌道面を飛翔する衛星30が(360/(m×n))×i度の位相差分遅れて赤道上空を北上して通過する。
軌道面7面において例示したように、位相オフセットモデルは、軌道面毎の衛星30の相対飛翔位置をモデル化したものである。軌道面7面は、軌道面の数が7面であることを意味する。
【0041】
次に、危険領域について、軌道面8面の位相オフセットモデルを使って説明する。
図13は、軌道面8面であり位相オフセット6である位相オフセットモデルを示している。
軌道面5では、5機目の位相オフセットが軌道面1の2機目の位相オフセットと同じである。つまり、軌道面1から4に示される斜線のパターンと、軌道面5から8に示される斜線のパターンとが赤道を起点として同じである。ただし、軌道面1と軌道面5とで軌道面が異なるので、赤道上空を北上するタイミングにおいて軌道面1の衛星30と軌道面5の衛星30とが衝突するわけではない。しかしながら、位相オフセットモデルの下段に赤道、北端、赤道、南端、赤道と順に記載したように、軌道面5の5機目が赤道上空を北上するタイミングにおいて、軌道面1を飛翔する衛星30が赤道上空を南下するタイミングと一致する。そのため、北上して軌道面5を飛翔する衛星30と、南下して軌道面1を飛翔する衛星30とが衝突する危険領域であることが示されている。なお、
図13では危険領域の一例を示しているに過ぎず、
図13には他にも危険領域が存在する。具体例として、軌道面1と軌道面5とにおいて横並びに示されている全ての衛星30が危険領域に当たる。
【0042】
次に、軌道面9面であり位相オフセット3である位相オフセットモデルを
図14に示す。ここで、軌道面の数が偶数である場合、各軌道面について法線ベクトルが各軌道面の法線ベクトルと180度対向する軌道面が存在するため、各軌道面の衛星30と、法線ベクトルが各軌道面の法線ベクトルと180度対向する軌道面の衛星30とが赤道上空で衝突するリスクがある。軌道面の数が奇数である場合、各軌道面についてこのような関係にある軌道面が存在しないため、軌道面の数が偶数である場合に発生する危険領域は発生しない。しかしながら、軌道面の数が3の倍数である場合、経度方向60度毎に法線ベクトルが対向する軌道面が発生する。法線ベクトルが対向する軌道面間において、位相オフセットが重なると赤道上空において衝突するリスクがあることを
図14において示している。
図14より、軌道面1と、軌道面4と、軌道面7との各々において、位相オフセットが同期していることがわかる。つまり、軌道面1から3に示される斜線のパターンと、軌道面4から6に示される斜線のパターンと、軌道面7から9に示される斜線のパターンとが赤道を起点として同じである。即ち、これらのパターン間において赤道上空を衛星30が通過するタイミングが重なっている。なお、
図14において黒で塗りつぶした格子点は危険領域を示す。
図14から、互いに異なる軌道面の後続衛星が同時に赤道上空を通過することがわかる。そのため、地球自転速度との相対関係により後続衛星が飛翔する経度が一致すれば、互いに異なる軌道面の後続衛星同士が衝突する。
傾斜円軌道により構成される衛星コンステレーション20では、任意の2つの軌道面の交線上のうち飛翔軌道高度に形成される2点が、中緯度帯において格子状に多数形成される。そして、2つの衛星30が格子状に形成された点を通過するタイミングが一致した場合、当該2つの衛星30同士が衝突するリスクがある。
格子状に形成された点の配置は、軌道傾斜角と、2つの軌道面の法線ベクトルの経度成分の経度方向離角に依存する。そのため、位相オフセットが同期していると、中緯度帯において衛星30同士が衝突するリスクがあるため、危険領域が生じる。
図15は、中緯度帯における危険領域の具体例を示している。
図15において、法線ベクトルが異なる各2つの軌道の交点である危険領域を全て示している、即ち、全ての軌道面の組合せにおいて、位相オフセットがワースト状態である場合における全ての危険領域を示している。適切な位相オフセットを確保することによって、
図15に示す危険領域における各衛星30の通過タイミングをずらし、危険領域を解消することができる。また、公差の範囲内で当該通過タイミングに誤差が発生した場合において、十分なマージンがあれば
図15に示す危険領域を解消することができる。ただし、
図13及び
図14において黒丸で例示したように、衛星30の通過タイミングが重なってしまうために解消することができずに残る危険領域が存在する。
【0043】
軌道情報としては、以下から構成されるケプラーの法則に基づく軌道要素(Keplerian Elements)が代表的である。
元期:Epoch(年と日)
平均運動:Mean Motion(周回/日)または半長径:Semi-major Axis(km)
離心率:Eccentricity(単位無し)
軌道傾斜角:Inclination(度)
昇交点赤経:RAAN(Right Ascension of Ascending Node)(度)
近地点引数:Argument of Perigee(度)
平均近点角:Mean Anomaly(度)
【0044】
軌道投入衛星の解析装置40は、定常運用している衛星30の軌道要素を示す情報として、全ての衛星30の軌道要素の各々を示す情報を受信してもよい。しかしながら、全ての衛星30の軌道要素の各々を示す情報の情報量は膨大である。そのため、具体例として、軌道投入衛星の解析装置40は、定常運用している衛星30の代表である1機の代表衛星の軌道情報を入手し、その上で、代表衛星と同一の軌道面を飛翔するその他の各衛星30の飛翔位置を示す情報として代表衛星との相対位相を示す情報を入手してもよく、代表衛星が飛翔する軌道面と異なる軌道面を飛翔する各衛星30の飛翔位置を示す情報として、軌道面間の相対角度と、位相オフセットとを示す情報を受信してもよい。
【0045】
推進装置33を稼働して危険領域の通過タイミングを変更して衝突リスクを回避する具体的な実施方法を説明する。衛星30が推進装置33を用いて衛星30の進行方向において増速すれば衛星30の軌道高度が上昇し、また、衛星30が推進装置33を用いて衛星30の進行方向において減速すれば衛星30の軌道高度が下降する性質がある。衛星30がこの性質を利用して高度方向に移動することにより危険領域を通過するタイミングが変わり、衛星30同士の衝突を回避することができる。また、赤道上空近傍を衛星30が通過する際に軌道面外方向に衛星30が推進装置33を稼働すれば、軌道傾斜角が変化する性質がある。衛星30がこの性質を利用して高度と直行する方向へ移動することによって衛星30が危険領域とは異なる位置を通過することにより衛星30同士の衝突を回避することができる。
衛星30が新規に軌道投入される軌道面を新規投入軌道面とし、新規投入軌道面において定常運用している全ての衛星30が飛翔する位相オフセットが位相オフセットiであるものとしたとき、新規投入軌道面に新規に軌道投入される衛星30の位相オフセットは位相オフセットiであり、かつ、既に飛翔している定常運用している衛星30がない位置が新規に軌道投入される衛星30の定位置である。新規に軌道投入される衛星30は、定位置に到達した後に定常運用している全ての衛星30と飛翔速度を一致させる。その結果、新規に軌道投入された衛星30は新規投入軌道面において新規投入軌道面における他の衛星30と同一の軌道高度を一定の位相間隔で同期して飛翔することができ、また、新規投入軌道面における他の衛星30と衝突することなく新規に衛星30を新規投入軌道面に軌道投入する処理が完了する。
【0046】
<実施の形態1に係る動作例2>
本動作例は、実施の形態1に係る動作例を拡張した動作例に相当し、また、衛星コンステレーション形成方法に相当する。
本動作例において、衛星コンステレーション20を構成するn面の軌道面の各々は、傾斜円軌道である。また、解析装置40は、定常運用している衛星30が飛翔している複数の軌道面の交差線上のうち衛星飛翔高度に形成される交点であって、中緯度帯に形成される交点の位置を危険領域として予めデータベースに記録している。衛星飛翔高度は、衛星30が飛翔している高度であり、ある範囲の軌道高度であってもよい。データベースは、解析装置40に記録されていてもよく、地上設備500に記録されていてもよい。
【0047】
ここで、n面の傾斜円軌道に対応する軌道面が経度方向に360/n度ずつ位相をずらして均等に配置されており、各軌道面にm機の衛星30が360/m度ずつ位相をずらして均等に配置されて飛翔している衛星コンステレーション20の例として、m=8、n=5である場合を説明する。
【0048】
図16は、8機の衛星30が均等位相で飛翔する円軌道を軌道面の法線方向から見た様子を模式的に示している。
1つの軌道面内で位相角45度おきに衛星30を均等に配置した場合、8機の衛星30が同位相を維持しながら同一高度を飛翔するので、同一軌道面内で衛星30同士が衝突するリスクはない。
【0049】
図17は、法線ベクトルが互いに異なる軌道面同士が交差する点において、衛星30同士の衝突リスクがある様子を示している。ここで、衝突リスクがある2点の各々において、衛星30の軌道高度が一致しているものとする。衝突リスクを解消する手段として、交線上の2点を通過するタイミングをずらすことは有効である。各衛星30が赤道上空の通過タイミングに着目して、5つの軌道面の全ての衛星30の赤道上空通過タイミングが互いに異なれば交点において衛星30同士が衝突するリスクを解消することができる。
【0050】
法線ベクトルの経度成分が均等に分散配置された5つの軌道面の各々を法線方向から見た様子を並べ、さらに、軌道面毎の衛星30の飛翔位置を赤道面を基準にして均等にずらすと
図18に示すようになる。なお、
図18の(a)から(e)は、位相が360/(m×n)度ずつずれている様子を示している。
図19の(a)は、
図18に示す5つの軌道面の法線ベクトルを一致させて、5つの軌道面全てを重ね合わせた様子を示している。
図19の(b)は、
図19の(a)と同様の図であり、各軌道が傾斜軌道である場合において各軌道を北極から見た様子を示す図である。
軌道面毎に9度ずつ位相をずらすことにより5つの軌道面で赤道上空を衛星30が通過するタイミングが互いに異なる。そのため、各8機の合計40機が、赤道上空で衝突することはない。なお、1つの軌道面内で偶数機の衛星30が均等に配置されて飛翔する場合に、当該軌道面内において対向する位置に配置された衛星30同士が赤道上空を通過するタイミングが一致するが、当該衛星30同士は当該軌道面内における衝突対象ではない。
【0051】
次に、傾斜軌道の法線ベクトルの相違の影響を説明する。
仮に、
図18に示す5つの軌道面を全て軌道傾斜角相当分同じ方向に傾斜させて北極から見ると、
図20の(a)から(e)に示すようになる。
さらに、法線ベクトルの経度方向成分を等配分して傾斜させると
図20の(f)から(j)に示すようになる。ここで、各軌道面に対して第k(kは1以上5以下の整数)の軌道面と名称をつけている。なお、軌道面の数が5つであるため、各軌道面は経度方向に72度ずつ回転されている。
第1の軌道面を基準とした場合に、第2の軌道面から第5の軌道面の各々と第1の軌道面との交点を描くと
図21の(a)から(e)に示すようになる。
軌道面の傾斜を示すために軌道面の最北端に星印をつけると、
図21の(f)から(j)に示すようになる。
軌道面同士の交線上で軌道高度が一致する点を北半球側と南半球側との各々において示すと
図22の(a)から(e)に示すようになる。なお、矢印は衛星30の飛翔方向を示している。
各軌道面8機の位相を表示すると
図22の(f)から(j)に示すようになる。
南極から北上する衛星30に「昇」と示し、北極から南下する衛星30に「降」と示し、第1の軌道面を飛翔する衛星30を示す文字を上に記載し、その他の軌道面を飛翔する衛星30を示す文字を下に記載すると
図23に示すようになる。
図23より、いずれの交点も南極から北上する衛星30と、北極から南下する衛星30との交点であることがわかる。
なお、赤道を通過するタイミングが全ての衛星30間で互いに異なっていても、北上する衛星30の軌道と南下する衛星30の軌道との交点であって赤道上空以外の中緯度帯で発生する交点においては、衛星30同士が衝突するリスクが発生する。法線ベクトルの経度方向を一致させて各軌道面を赤道上空から見た場合に、
図19の(b)に示すように同一緯度において異なる軌道面の衛星30が同じタイミングで北上と南下をしているためである。ただし、互いに異なる2つの軌道の交点は前述の通り予め既知であるため、当該2つの軌道の各々を飛翔する衛星30同士が同じタイミングで当該交点を通過しないよう、設計初期段階において設定することは可能である。
8機の衛星30が飛翔する軌道面を5つ組み合わせる場合においては
図24に示す通り交点を同時に通過する組み合わせがないので、定常運用において衛星30同士の衝突は発生しない。
このように、衛星コンステレーション形成システム100では、衛星コンステレーション20の設計段階において、理想的運用状態において全ての交点で衛星30同士が衝突しないことを確認する。
【0052】
さらに、衛星コンステレーション形成システム100では、設計公差の範囲で、軌道面内の衛星30同士の位相角と、軌道面同士の経度方向の法線ベクトル成分の離角と、軌道高度と、離心率と、軌道傾斜角との少なくともいずれかに変化があった場合においても全ての交点で衛星30同士が衝突しないことを設計段階において確認しておく。
【0053】
軌道投入衛星は、定常運用している衛星群の位相オフセットiとは同期していない。そのため、軌道投入衛星には、南半球と北半球との各々における他の軌道面との交線上において他の軌道面を飛翔する衛星30と衝突するリスクがある。そこで、軌道投入衛星が具備する解析装置40は、軌道情報が既知であり、定常運用している他の衛星30の軌道情報を受信し、軌道投入衛星の軌道面と、他の衛星30の軌道面との経度方向の離角を導出する。軌道傾斜角が既知であるので、軌道面の離角と軌道高度とから、交点の位置が導出される。そこで、軌道投入する過渡段階においては軌道投入衛星の軌道が他の軌道面と交差する全ての交点を危険領域として識別する。
なお、危険領域を通過する前に推進装置33を稼働して危険領域の通過タイミングを変更して衛星30同士の衝突リスクを回避し、所定の位置まで到達する動作は、本実施の形態に係る動作例1に示す動作と同様である。所定の位置は、具体例として軌道投入位置である。
【0054】
本動作例によれば、軌道面毎に衛星30の飛翔位置をずらすことにより、北上する衛星30同士、南下する衛星30同士の衝突リスクを解消することができる。
【0055】
<実施の形態1に係る動作例3>
本動作例は、実施の形態1に係る動作例1または動作例2を拡張した動作例に相当し、また、衛星コンステレーション形成方法に相当する。本動作例では、衛星コンステレーション20において、円環状通信網が形成されていること、かつ、円環状またはスパイラル状の通信網が形成されていることによってメッシュ通信網が形成されている。円環状通信網は、衛星コンステレーション20の各軌道面を対象軌道面としたとき、対象軌道面を飛翔する各衛星30が各衛星30の進行方向の前方と後方との少なくともいずれかに位置する衛星30と通信する通信装置を具備することにより形成されている。通信装置は衛星通信装置32であってもよい。円環状またはスパイラル状の通信網は、対象軌道面を飛翔する少なくともいずれかの衛星30が対象軌道面に隣接する軌道を飛翔する少なくともいずれかの衛星30と通信する通信装置を具備することにより形成されている。軌道投入衛星は、定常運用している衛星30の軌道情報として、メッシュ通信網を経由して伝送された情報を入手する。
【0056】
軌道投入衛星は、所定の軌道面に到達した後に、到達した軌道面における進行方向の前方と後方との少なくともいずれかを飛翔する衛星30との通信を確立することにより、メッシュ通信網と連接される。なお、軌道投入衛星は、円環状通信網を形成する衛星30のうち2つの隣り合う衛星30の間に入り、円環状通信網における前後の衛星30との通信を確立することにより円環状通信網を再構築してもよい。
軌道投入衛星は、メッシュ通信網と連接すれば、他の衛星30の軌道情報をオンボードで受信することができるので、自律的に他の衛星30との衝突を回避しながら軌道遷移して所定の位置に到達することもできる。
なお、経度方向の通信網は、赤道上空で全ての軌道面の衛星30が赤道上空を通過するタイミングが同期しており、かつ、隣接軌道間において赤道上空を通過する衛星30同士が通信網を形成すればスパイラル状通信網である。ただし、この状況は位相オフセット0であるため、衛星30同士の衝突リスクがあるので推奨することはできない。
衛星30が赤道上空を通過するタイミングが軌道面毎に異なり、隣接軌道の位相オフセットが0以外の同じ位相オフセットiである隣接軌道間の衛星30同士で通信網を形成すると、スパイラル状通信網が形成される。なお、位相オフセットが互いに異なる隣接軌道間における衛星30間の通信を組み合わせることにより、円環状通信網を形成することも可能である。
【0057】
<実施の形態1に係る動作例4>
本動作例は、衛星コンステレーション形成方法に相当する。解析装置40は、衛星コンステレーション20に対して過去に衛星を新規に軌道投入した実績を示す実績データに基づいて生成された推論モデルに対して、解析装置40が導出した結果を適用した結果を用いて軌道投入衛星の推進装置33を制御することに用いられるデータを生成する。なお、推論モデルの学習データは、軌道投入衛星を軌道投入する衛星コンステレーション20とは異なる衛星コンステレーション20についてのデータであってもよく、軌道投入衛星とは異なる衛星30についてのデータであってもよい。実績データは、解析装置40が導出した結果を示すデータと、過去に新規に軌道投入された衛星30の推進装置33の制御データとを含んでもよい。学習データとして実績データを用いてもよい。推論モデルは、軌道投入に成功した過去の軌道遷移実績をディープラーニング等の機械学習手法により機械学習したモデルである。解析装置40は、用意された推論モデルを用いてもよく、実際のデータを用いて推論モデルを生成してもよい。推論モデルは、解析装置40が導出した結果を入力とし、推進装置33を制御することに用いられるデータを出力とする。解析装置40は推論モデルを具備してもよい。
軌道投入衛星は、解析装置40が生成したデータに従って軌道投入衛星の推進装置33を稼働させる。
軌道投入衛星は、推進装置33を稼働することにより、危険領域を通過するタイミングを変更し、または、危険領域内を通過することを回避して、衛星30同士の衝突を回避する実施の形態1に係る動作例1から3に示す衛星コンステレーション形成方法において、衝突を回避するために増速したままでは軌道高度が上昇して対地速度が低下する。そのため、軌道投入衛星は所望の軌道位置に到達することができなくなるという課題がある。そのため、軌道投入衛星は、適切なタイミングで減速して軌道高度を復帰させる必要がある。また、軌道投入衛星が分点において軌道面外方向に推進装置33を稼働した場合において、軌道投入衛星の軌道傾斜角が所望の軌道傾斜角とは異なるものとなる。そのため、軌道投入衛星は、危険領域通過後に、分点において軌道傾斜角を元に戻す方向に推進装置33を稼働する必要がある。
さらに、軌道投入衛星が危険領域を通過した後に軌道投入衛星の軌道高度および軌道傾斜角等の少なくともいずれかを戻す過程においても、軌道投入衛星は、別の軌道面を飛翔する衛星30との衝突リスクを回避する必要がある。
n面の軌道面の各々にm機の衛星30を軌道投入する衛星コンステレーション20において、危険領域を通過した後に軌道投入した衛星30の軌道高度および軌道傾斜角等の少なくともいずれかを戻す過程において、別の軌道面を飛翔する衛星30との衝突リスクを回避するための他の軌道面および他の衛星30との相対関係は、軌道投入する衛星30毎に同様である。そのため、衛星30を新規に軌道投入することに成功した際の推進装置33の稼働実績をAI(Artificial Intelligence)で機械学習して再現すれば、低リスクで衛星30を新規に軌道投入することができるという効果がある。
図25は、本動作例において用いる推論モデルを生成する様子を示している。推論モデルは、軌道上データと、位相オフセットモデルと、危険領域データベースと、危険回避運用実績とを用いて作成される。軌道上データは、具体例として、制御対象である衛星30の起動情報と、他の衛星30の起動情報とを含む。危険回避運用実績は、具体例として、推進装置33の稼働プロファイルと、回避プロファイルと、復帰プロファイルとを含む。推論モデルは、危険領域の通過予測と、推進装置33の動作指令とを出力する。
図25において、衛星30が、推論モデルが出力した動作指令に従って推進装置33を稼働させることにより、時刻T
nにおける位置から時刻T
n+1における位置に移動する様子が示されている。推論モデルは、推進装置33の動作指令をした結果に基づいて定常運用中である衛星群の飛翔位置を推論し、危険領域を推論し、また、危険領域を推論した結果に基づいて推進装置33の動作指令を出力する。また、推論モデルは、出力した動作指令に従って推進装置33を稼働することにより変化する飛翔位置を示す情報を出力する。
なお、教師モデルに危険回避運用実績は含まれなくてもよい。ここで、軌道上における各種誤差要因を考慮しなければ、推進装置33の稼働実績がなくても理論上の推進装置33の稼働条件と衛星30の飛翔位置の変化とを決定することができる。なお、推進装置33の稼働実績を用いたディープラーニングでは、地上設計段階において想定した要因、及び推進装置33のシミュレーションにおいて反映することができなかった想定外の要因等と、軌道上における推進装置33の稼働実績との関係を学習することを目的としている。
本動作例によれば、軌道投入成功実績をAIで機械学習する解析装置を提供することができる。
【0058】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、衛星コンステレーション形成部110の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、衛星コンステレーション形成部110の機能がハードウェアで実現されてもよい。
図26は、本変形例を示している。
【0059】
地上設備500は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
電子回路909は、衛星コンステレーション形成部110の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC、または、FPGAである。
衛星コンステレーション形成部110の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、衛星コンステレーション形成部110の一部の機能が電子回路909で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0060】
プロセッサ910と電子回路909とメモリ921と補助記憶装置922とを総称して、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、衛星コンステレーション形成システム100において、衛星コンステレーション形成部110の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0061】
***他の実施の形態***
実施の形態1について説明したが、本実施の形態のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、本実施の形態を部分的に実施しても構わない。その他、本実施の形態は、必要に応じて種々の変更がなされても構わず、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施されても構わない。
なお、前述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示と、その適用物と、用途の範囲とを制限することを意図するものではない。説明した手順は、適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
20 衛星コンステレーション、30 衛星、31 衛星制御装置、32 衛星通信装置、33 推進装置、34 姿勢制御装置、35 電源装置、40 解析装置、51 軌道制御コマンド、100 衛星コンステレーション形成システム、110,110b 衛星コンステレーション形成部、500 地上設備、501 衛星制御装置、510 軌道制御コマンド生成部、520 衛星解析部、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置。