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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20241206BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20241206BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20241206BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241206BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01L21/88 S
H01L21/88 Z
H01L27/04 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021144539
(22)【出願日】2021-09-06
(65)【公開番号】P2023037770
(43)【公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 友基
(72)【発明者】
【氏名】小清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】森 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】坂井 淳二郎
(72)【発明者】
【氏名】飯田 里志
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-270425(JP,A)
【文献】特開2003-297918(JP,A)
【文献】特開2008-227076(JP,A)
【文献】特開2003-282569(JP,A)
【文献】特開2016-167631(JP,A)
【文献】特開2003-051547(JP,A)
【文献】特開2016-072401(JP,A)
【文献】米国特許第06384464(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 21/82-21/822
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板上に、複数の素子と層間絶縁膜とを順に形成する工程、
(b)前記層間絶縁膜上に、複数の第1配線、第2配線、複数の第1ダミー配線および第2ダミー配線を形成する工程、
(c)前記層間絶縁膜の上面、複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれを覆う絶縁膜を形成する工程、
(d)前記絶縁膜上に、スピンコート法によりフォトレジスト膜を塗布する工程、
(e)前記フォトレジスト膜からなるレジストパターンを形成する工程、
(f)前記レジストパターンをマスクとして用いてエッチングを行うことで前記絶縁膜の一部を除去し、これにより複数の前記第1配線の一部の上面を露出させる工程、
を有し、
複数の前記第1配線は、平面視において前記第2配線を囲むように配置され、
複数の前記第1ダミー配線は、複数の前記第1配線のそれぞれの近傍に配置され、
前記複数の素子の一部は、アナログ回路部を構成し、
前記第2配線および前記第2ダミー配線は、前記アナログ回路部と平面視で重なる位置に配置され、
前記第2ダミー配線は、前記第2配線の近傍において前記第2配線の周囲に配置され、
前記第2ダミー配線と複数の前記第1配線との最短の距離は、隣り合う前記第1配線同士の最短の距離よりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の素子の一部は、バイアス回路部を構成し、
前記アナログ回路部は、第1回路部を有し、
前記第1回路部は、前記バイアス回路部よりも動作が頻繁に行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1回路部は、発振器、高圧アナログ回路部またはエラーアンプ回路部である、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2ダミー配線と複数の前記第1ダミー配線との最短の距離は、隣り合う前記第1配線同士の最短の距離よりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程で前記上面が露出した前記第1配線と前記第2配線とは、互いに離間している、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれは、同一の層に形成されている、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
平面視において、前記第2ダミー配線の最長の辺の長さは、前記第1ダミー配線の最長の辺の長さより小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程では、前記層間絶縁膜内に複数の配線を含む積層配線を形成し、
前記積層配線と、複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線とは、多層配線層を構成し、
複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれは、前記多層配線層のうち、最上配線層を構成している、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程において、複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれの直上に形成された前記絶縁膜の膜厚は、複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれの両端部の直上に比べ、複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれの中央部の直上の方が大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2ダミー配線は、平面視において、前記第2配線の周囲を連続的に囲む環状パターンを有している、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2ダミー配線は、複数形成されており、
前記複数の第2ダミー配線は、平面視において、前記第2配線の周囲を離散的に囲んでいる、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2ダミー配線は、複数形成されており、
平面視において、前記第2ダミー配線の周囲を囲むように、他の前記第2ダミー配線が形成されている、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
(a)主面と、前記主面上に形成された複数の第1素子と、前記主面上に形成された複数の第2素子と、前記主面上に形成された複数の第3素子と、前記複数の第1素子、前記複数の第2素子および前記複数の第3素子を覆うように前記主面上に形成された層間絶縁膜と、を備えた半導体基板を準備する工程、
ここで、
前記半導体基板は、
前記複数の第1素子で構成される第1回路が形成される第1回路形成領域と、
前記複数の第2素子で構成される第2回路が形成される第2回路形成領域と、
前記複数の第3素子で構成される第3回路が形成される第3回路形成領域と、
を有し、
(b)前記(a)工程の後、前記第1回路形成領域に位置する前記層間絶縁膜上に複数の第1配線パターンを、前記第2回路形成領域に位置する前記層間絶縁膜上に複数の第2配線パターンを、前記第3回路形成領域に位置する前記層間絶縁膜上に複数の第3配線パターンを、それぞれ形成する工程、
(c)前記(b)工程の後、前記複数の第1配線パターン、前記複数の第2配線パターンおよび前記複数の第3配線パターンを覆うように、前記層間絶縁膜上に絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程の後、スピンコート法を用いて、前記第1回路形成領域、前記第2回路形成領域および前記第3回路形成領域のそれぞれに位置する前記絶縁膜上にフォトレジスト膜を塗布する工程、
(e)前記(d)工程の後、前記フォトレジスト膜をマスクとしてエッチング処理を施すことにより、前記絶縁膜に第1開口部を形成し、前記第1開口部内において前記複数の第1配線の一部を露出させる工程、
を有し、
前記第2回路形成領域における前記複数の第2配線パターンの占有率は、前記第1回路形成領域における前記複数の第1配線パターンの占有率よりも小さく、
前記第3回路形成領域における前記複数の第3配線パターンの占有率は、前記第2回路形成領域における前記複数の第2配線パターンの占有率よりも小さく、
前記第1回路は、デジタル回路であり、
前記第2回路および前記第3回路のそれぞれは、アナログ回路であり、
前記第3回路が動作する頻度は、前記第2回路が動作する頻度よりも多く、
前記(b)工程では、さらに、前記第3回路形成領域に位置する前記層間絶縁膜上において、前記複数の第3配線パターンの隣に、複数のダミー配線パターンを形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、前記主面上に形成された複数の第4素子を備え、前記複数の第4素子で構成される第4回路が形成される第4回路形成領域を有し、
前記層間絶縁膜は、前記複数の第4素子を覆うように前記主面上に形成され、
前記(b)工程では、前記第4回路形成領域に位置する前記層間絶縁膜上に複数の第4配線パターンを形成し、
前記(c)工程では、前記複数の第4配線パターンを覆うように、前記層間絶縁膜上に前記絶縁膜を形成し、
前記(d)工程では、前記第4回路形成領域に位置する前記絶縁膜上に前記フォトレジスト膜を塗布し、
前記第4回路は、デジタル回路であり、
前記第4回路形成領域における前記複数の第4配線パターンの占有率は、前記第1回路形成領域における前記複数の第1配線パターンの占有率よりも小さく、
前記第4回路が動作する頻度は、前記第1回路が動作する頻度よりも多い、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3回路形成領域は、平面視において、前記第4回路形成領域の隣に位置しており、
前記第3回路形成領域は、平面視において、前記第1回路形成領域および前記第2回路形成領域のそれぞれよりも前記第4回路形成領域の近くに位置しており、
前記第4回路形成領域に位置する前記層間絶縁膜上には、ダミー配線パターンを形成しない、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
基板と、
前記基板上に形成された複数の素子と、
前記複数の素子上に形成された多層配線層と、
前記多層配線層の最上配線層を構成する複数の第1配線、第2配線、複数の第1ダミー配線および第2ダミー配線と、
複数の前記第1配線、前記第2配線、複数の前記第1ダミー配線および前記第2ダミー配線のそれぞれを覆う絶縁膜と、
を有し、
複数の前記第1ダミー配線は、複数の前記第1配線のそれぞれの近傍に配置され、
前記複数の素子の一部は、アナログ回路部を構成し、
前記第2配線および前記第2ダミー配線は、前記アナログ回路部と平面視で重なる位置に配置され、
前記第2ダミー配線は、前記第2配線の近傍において前記第2配線の周囲に配置され、
前記第2ダミー配線と複数の前記第1配線との最短の距離は、隣り合う前記第1配線同士の最短の距離よりも大きい、半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置において、
前記複数の素子の一部は、バイアス回路部を構成し、
前記アナログ回路部は、第1回路部を有し、
前記第1回路部は、前記バイアス回路部よりも動作が頻繁に行われる、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、多層配線の最上層の配線と隣り合うダミー配線を備えた半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを構成する多層配線のうち、最上層の配線を覆い保護する膜として、パッシベーション膜を用いることが知られている。
【0003】
特許文献1(特開2016-167631号公報)には、半導体装置の高周波配線近傍領域にダミーメタルを複数形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-167631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年ではパッシベーション膜が厚膜化する傾向がある。これに伴い、パッシベーション膜上にレジストパターンを形成してパッシベーション膜を加工する際のエッチング時間が長くなっている。最上層配線が疎に形成された領域ではレジストパターンの膜厚が薄い場合があり、この場合、パッシベーション膜を構成する最上層の絶縁膜が当該エッチングにより削れることがある。このため、半導体装置の信頼性が低下する問題がある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
一実施の形態である半導体装置の製造方法は、多層配線層の最上層配線として、第1配線、第2配線、第1ダミー配線および第2ダミー配線を有し、それらの配線を覆うパッシベーション膜を有する半導体装置を形成するものである。パッシベーション膜は、フォトレジスト膜を用いたエッチングによりパターニングされ、第1配線とその近傍の複数の第1ダミー配線とは密に形成され、第2ダミー配線は、アナログ回路部の直上に疎に形成された第2配線の周囲を囲むように形成される。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態である半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図2図1に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図3図2に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図4図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図5図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9】実施の形態である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図10】実施の形態である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図11】実施の形態である半導体装置を示す拡大平面レイアウトである。
図12】実施の形態である半導体装置を示す拡大平面レイアウトである。
図13】実施の形態である半導体装置を示す断面図である。
図14】実施の形態の変形例1である半導体装置を示す拡大平面レイアウトである。
図15】実施の形態の変形例1である半導体装置を示す拡大平面レイアウトである。
図16】実施の形態の変形例2である半導体装置を示す拡大平面レイアウトである。
図17】実施の形態の変形例2である半導体装置を示す拡大平面レイアウトである。
図18】比較例である半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図19】比較例である半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。
【0012】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0014】
本願でいう幅とは、半導体基板の主面に沿う方向(水平方向、横方向)における物体(パターン)の長さを指す。また、本願でいう厚さとは、半導体基板の主面に対して垂直な方向(厚さ方向、高さ方向)における物体の長さを指す。
【0015】
<半導体装置の製造方法>
以下に、図1図8を用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0016】
ここでは、まず、図1に示すように、半導体基板SB上に複数の配線からなる積層構造を有する積層配線を形成する。具体的には、最初に単結晶Si(シリコン)などからなる半導体基板を用意する。続いて、半導体基板SBの主面上に、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのトランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子または記憶素子などの、複数の半導体素子を形成する。それらの素子のうち、図1では、半導体基板SBの主面に形成されたソース・ドレイン領域と、当該主面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とを含むトランジスタQ1、Q2を示している。トランジスタQ1、Q2は、後述するアナログ回路またはデジタル回路を構成する。
【0017】
続いて、上記半導体素子の上に、積層配線層を形成する。すなわち、トランジスタQ1、Q2などの複数の半導体素子を層間絶縁膜CLで覆い、層間絶縁膜CLを貫通するコンタクトプラグ(接続部)を形成することで、コンタクトプラグを基板上素子に接続する。続いて、層間絶縁膜CL上に、層間絶縁膜IL1と、層間絶縁膜IL1を貫通してコンタクトプラグに電気的に接続された配線M1とを形成する。層間絶縁膜IL1および配線M1は、第1配線層を構成している。続いて、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2と、層間絶縁膜IL2の上面の溝内を埋め込む配線M2と、層間絶縁膜IL2を貫通して配線M2およびM1を電気的に接続するビア(接続部)とを形成する。層間絶縁膜IL2、配線M2および当該ビアは、第2配線層を構成している。
【0018】
続いて、第2配線層と同様の製造工程を行うことで、第2配線層上に、第3配線層、第4配線層および第5配線層を順に積層する。なお、第5配線層の底部には拡散防止膜(キャップ絶縁膜)である絶縁膜DP5が形成されており、図示は省略しているが、第2~第4配線層のそれぞれの底部にも拡散防止膜である絶縁膜が形成されている。拡散防止膜とは、各配線を構成する金属(例えばCu(銅))が当該配線上の層間絶縁膜内に拡散することを防ぐために設けられるものである。絶縁膜DP5、層間絶縁膜IL5および配線WRGと、配線WRGの底部に形成され、絶縁膜DP5および層間絶縁膜IL5を貫通するビアV5とは、第5配線層を構成している。
【0019】
続いて、第5配線層を構成する層間絶縁膜IL5上に、拡散防止膜である絶縁膜DP6と、層間絶縁膜IL6とを順に形成する。続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜IL6の上面に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、配線WRGの上面を露出するコンタクトホール(接続孔)を形成する。続いて、当該コンタクトホール内に例えば主にAl(アルミニウム)からなる導体膜を埋め込むことで、コンタクトホール内のプラグ(接続部)PGを形成する。以上により、積層配線を形成する。
【0020】
次に、図2に示すように、層間絶縁膜IL6上に、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2を形成する。すなわち、後述する複数の回路形成領域のそれぞれに位置する層間絶縁膜上に、複数の配線パターンを形成する。なお、図2図8では、層間絶縁膜IL6より下の構造と、プラグPGとの図示を省略する。ここでは、層間絶縁膜IL6上に、例えばスパッタリング法によりアルミニウム膜(金属膜)を形成し、当該アルミニウム膜をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてパターニングする。これにより、当該アルミニウム膜からなる第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2を形成する。ダミー配線D1は、第1配線WR1の隣に形成され、ダミー配線D2は、第2配線WR2の隣に形成される。このように、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2は、同一のアルミニウム膜から形成され、半導体基板の主面に対して垂直な方向(厚さ方向、高さ方向)において同じ高さに形成された膜、つまり同層の膜である。言い換えれば、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2は、同一の層に形成された配線である。
【0021】
第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2は、多層配線層を構成し、多層配線層の最上層の配線である。ダミー配線D1およびD2は擬似的な配線であり、回路を構成しない。第1配線WR1の平面視における最も長い辺(長辺)の長さは、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれの平面視における最も長い辺(長辺)の長さよりも長い。図示はしていないが、第1配線WR1、第2配線WR2のそれぞれは、その底面にプラグPGが接続されることで、トランジスタQ1、Q2などの半導体素子に電気的に接続されており、回路を構成するものである。第1配線WR1は、その底面が少なくとも1つのプラグPGに接続されている。第2配線WR2は、その底面が少なくとも1つのプラグPGに接続されている。ダミー配線D1およびD2の底面は、例えば、いずれのプラグPGとも接続されていない。
【0022】
次に、図3に示すように、層間絶縁膜IL6、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれの上に、薄い絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成され、酸化シリコン膜からなる。絶縁膜IF1は、例えばPTEOS(Plasma Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜からなるライナー膜である。絶縁膜IF1の膜厚は、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2(以下、最上層配線と呼ぶ場合がある)のうち、互いに隣り合う2つの間の最短距離の1/2よりも小さい。このため、絶縁膜IF1により、互いに隣り合う最上層配線同士の間が完全に埋め込まれることはない。
【0023】
次に、図4に示すように、絶縁膜IF1上に、絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF2は、例えば高密度プラズマCVD法により形成され、酸化シリコン膜からなる。絶縁膜IF1と絶縁膜IF2とからなる積層膜の膜厚は、最上層配線の膜厚よりも小さい。このため、最上層配線同士の間は、絶縁膜IF1、IF2により完全に埋め込まれない場合がある。すなわち、最上層配線同士の間では、絶縁膜IF2の上面の位置が、最上層配線の上面の位置よりも低い場合がある。
【0024】
次に、図5に示すように、絶縁膜IF2上に、絶縁膜IF3を形成する。絶縁膜IF3は、例えばCVD法により形成され、酸化シリコン膜からなる。絶縁膜IF3は、例えばTEOS膜からなるキャップ膜である。
【0025】
続いて、絶縁膜IF3上に、絶縁膜IF4を形成する。絶縁膜IF4は、例えばCVD法により形成される。絶縁膜IF4は、SiN(窒化シリコン)膜またはSiON(酸窒化シリコン)膜からなる。絶縁膜IF1~IF4からなる積層絶縁膜は、パッシベーション膜と呼ばれる。パッシベーション膜は、層間絶縁膜IL6の上面、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれを覆っている。
【0026】
次に、図6に示すように、絶縁膜IF4上に、スピンコート法によりフォトレジスト膜PRを塗布(供給)する。フォトレジスト膜PRは、後述する回路形成領域のそれぞれに位置するパッシベーション膜上に塗布される。フォトレジスト膜PRは、第1配線WR1から第2配線WR2に向かう方向に流れるように塗布される。このとき、長辺の長さが比較的大きい第1配線WR1上のフォトレジスト膜PRの厚さは、比較的幅が小さい第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれの上のフォトレジスト膜PRの厚さよりも大きい。
【0027】
次に、図7に示すように、フォトレジスト膜PRを露光・現像することで、一部の第1配線WR1の直上のフォトレジスト膜PRを除去する。これにより、一部の第1配線WR1の直上のパッシベーション膜(絶縁膜、保護膜)を露出する開口部OP1を備えたフォトレジスト膜PRからなるレジストパターンを形成する。ここでは、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれはレジストパターンにより覆われている。
【0028】
次に、図8に示すように、レジストパターンをエッチング阻止マスクとして用いてドライエッチングを行うことにより、一部の第1配線WR1の直上のパッシベーション膜を除去する。これにより、パッシベーション膜を貫通する開口部OP2が形成され、開口部OP2の底面では、第1配線WR1の上面が露出する。上面が露出した第1配線WR1は、当該上面にボンディングワイヤが接続されるパッド(ボンディングパッド)PADを構成する。以上により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。半導体基板(半導体ウェハ)をダイシングにより個片化することで、次に説明する半導体チップを複数得られる。
【0029】
<半導体装置の平面レイアウト>
以下に、図9図12を用いて、上記製造方法により形成した半導体装置の平面レイアウトについて説明する。本実施の形態の半導体装置は、半導体チップCHP(図9および図10参照)である。
【0030】
図9に示すように、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれは、平面視で互いに離間している。第1配線WR1の平面視における最も長い辺(長辺)の長さは、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれの平面視における最も長い辺(長辺)の長さに比べて長い。図9では、複数の第1配線WR1と、1つの第2配線WR2を示しているが、第2配線WR2は複数形成されていてもよい。第1配線WR1の一部は、パッドPADを構成している。第2配線WR2は、パッドPADを構成しておらず、パッドPADには接続されていない。つまり、第2配線WR2は、パッドPADと離間している。なお、図9ではパッシベーション膜の図示を省略している。
【0031】
複数のダミー配線D1のそれぞれの平面視における形状は矩形であり、互いに同様の面積を有している。複数のダミー配線D1は、等間隔で行列状に並んでおり、第1配線WR1と共に密に配置されている。すなわち、ダミー配線D1は第1配線WR1の近傍に配置されている。これに対し、ダミー配線D2は、第2配線WR2の近傍において、第2配線WR2の周囲に配置されている。言い換えれば、ダミー配線D2は、第2配線WR2を囲むように、第2配線WR2に近接して配置されている。なお、第2配線WR2は必ずしもダミー配線D2に囲まれている必要はない。第2配線WR2およびダミー配線D2からなる群において、第2配線WR2が最も外側に位置していてもよい。すなわち、ダミー配線D2は、第2配線WR2の隣に配置されていればよい。
【0032】
複数の第1配線WR1は、平面視において第2配線WR2を囲むように配置されている。第2配線WR2およびダミー配線D2は、第1配線WR1およびダミー配線D1に比べて疎に配置されており、第1配線WR1およびダミー配線D1に対して比較的離れた位置に形成されている。つまり、平面視において、ダミー配線D2と第1配線WR1との最短の距離aは、互いに隣り合う第1配線WR1同士の最短の距離bよりも大きい。また、ダミー配線D2とダミー配線D1との最短の距離は、互いに隣り合うダミー配線D1同士の最短の距離よりも大きい。また、距離aは、互いに隣り合うダミー配線D1と第1配線WR1との最短の距離よりも大きい。また、第2配線WR2とダミー配線D2との最短の距離は、距離aよりも小さい。
【0033】
ダミー配線D2は、第2配線WR2を囲むように環状に形成されている。つまり、ダミー配線D2は平面視に置いて第2配線WR2を内包している。ダミー配線D2の平面視における形状は矩形である。つまり、ダミー配線D2は、平面視において枠状の環状構造を有している。平面視におけるダミー配線D2の最長の辺(長辺)の長さは、平面視において矩形のダミー配線D1の長辺の長さよりも小さい。
【0034】
半導体チップCHPは、複数の回路形成領域を有する。複数の回路形成領域のそれぞれには、回路が形成されている。図10に示すように、半導体チップCHPは、平面視で互いに並ぶ複数の回路部(デジタル回路部DGCおよびアナログ回路部ANC)を有している。図10では、各回路部の輪郭を破線で示している。各回路部を構成する半導体素子は、図1に示すように多層配線層の下部に主に形成されている。
【0035】
第1デジタル回路形成領域には、第1デジタル回路部DGC1が形成されている。第1デジタル回路部DGC1は、ハイサイドパワーMOSFETにより構成されるスイッチングレギュレータ用の回路、およびハイサイドパワーMOSFETのオン時間を決定する回路を含む。第1デジタル回路部DGC1は、半導体基板の主面上に形成された複数の素子により構成される。第1デジタル回路形成領域に位置する層間絶縁膜上には、複数の配線パターンが形成されている。
【0036】
第2デジタル回路形成領域には、第2デジタル回路部DGC2が形成されている。第2デジタル回路部DGC2は、ハイサイドパワーMOSFETの駆動回路を含む。第2デジタル回路部DGC2は、半導体基板の主面上に形成された複数の素子により構成される。第2デジタル回路形成領域に位置する層間絶縁膜上には、複数の配線パターンが形成されている。第2デジタル回路部DGC2に含まれる回路が動作する頻度は、第1デジタル回路部DGC1に含まれる回路が動作する頻度よりも多い。第2デジタル回路形成領域に位置する層間絶縁膜上には、ダミー配線パターンは形成されていない。
【0037】
第1アナログ回路形成領域には、第1アナログ回路部ANC1が形成されている。第1アナログ回路部ANC1は、バイアス回路部を含む。第1アナログ回路部ANC1は、半導体基板の主面上に形成された複数の素子により構成される。第1アナログ回路形成領域に位置する層間絶縁膜上には、複数の配線パターンが形成されている。
【0038】
バイアス回路部は、IC(Integrated Circuit)内部の基準電源、基準電流を生成する回路として使用され、動作が比較的頻繁でない回路部である。
【0039】
第2アナログ回路形成領域には、第2アナログ回路部ANC2が形成されている。第2アナログ回路部ANC2は、互いに並ぶ発振器、高圧アナログ回路部およびエラーアンプ回路部を含む。第2アナログ回路部ANC2は、半導体基板の主面上に形成された複数の素子により構成される。第2アナログ回路形成領域に位置する層間絶縁膜上には、複数の配線パターンが形成されている。第2アナログ回路部ANC2に含まれる回路が動作する頻度は、第1アナログ回路部ANC1に含まれる回路が動作する頻度よりも多い。なお、図示しないが、第2アナログ回路部ANC2がデジタル回路の電流検出用回路である場合、第2アナログ回路部ANC2は平面視において第2デジタル回路部DGC2の隣に位置してもよい。その場合、第2アナログ回路部ANC2は、第1デジタル回路部DGC1および第1アナログ回路部ANC1のそれぞれよりも、第2デジタル回路部DGC2の近くに位置している。
【0040】
発振器は、スイッチングレギュレータのスイッチング周波数を決定するためのアナログ回路部であり、動作が比較的頻繁な回路部である。
【0041】
高圧アナログ回路部は、ハイサイドパワーMOSFETの電流検出回路として使用され、動作が比較的頻繁な回路部である。
【0042】
エラーアンプ回路部は、スイッチングレギュレータの出力電圧が目標電圧になるように制御するための誤差増幅器として使用され、動作が比較的頻繁な回路部である。
【0043】
第2デジタル回路形成領域における複数の配線パターンの占有率は、第1デジタル回路形成領域における複数の配線パターンの占有率よりも小さい。第1アナログ回路形成領域における複数の配線パターンの占有率は、第2デジタル回路形成領域における複数の配線パターンの占有率よりも小さい。第2アナログ回路形成領域における複数の配線パターンの占有率は、第1アナログ回路形成領域における複数の配線パターンの占有率よりも小さい。なお、占有率とは、複数の配線パターンの総面積を回路形成領域のサイズで割った値である。平面視において、第1デジタル回路形成領域および第1アナログ回路形成領域のそれぞれのサイズが40μmの場合に、これらの領域のそれぞれにおける配線パターンの占有率は、30%以上である。また、平面視において、第2デジタル回路形成領域および第2アナログ回路形成領域のそれぞれのサイズが70μmの場合に、これらの領域のそれぞれにおける配線パターンの占有率は、1%未満である。
【0044】
上記の各回路部のうち、第1デジタル回路部DGC1は、その直上にダミー配線を密に配置することによるノイズ発生が特に問題とならない回路部である。また、第1アナログ回路部ANC1は、アナログ回路部ANCの一部ではあるが、動作が比較的頻繁でないため、その直上にダミー配線を密に配置することによるノイズ発生が特に問題とならない。したがって、第1デジタル回路部DGC1と第1アナログ回路部ANC1とには、平面視で重なるようにダミー配線D1および第1配線WR1が密に形成されている。
【0045】
これに対し、第2デジタル回路部DGC2と、上記のアナログ回路部ANCのうちの動作が頻繁な第2アナログ回路部ANC2(発振器、高圧アナログ回路部およびエラーアンプ回路部)とは、それらの直上にダミー配線を密に配置することによるノイズ発生が問題となる回路部である。つまり、これらの回路部上にダミー配線が密に配置されていると、ダミー配線の下に形成されている配線とダミー配線との間に寄生容量が発生する。この寄生容量がノイズの発生源である。比較的動作が頻繁な回路や、例えば微小な信号を扱うエラーアンプ回路部などは、ノイズによる影響を受けやすい。よって、ダミー配線によるノイズの影響を避けるため、そのような回路部の直上には、平面視で重なるようなダミー配線D1および第1配線WR1を密に形成していない。例えば、発振器、高圧アナログ回路部およびエラーアンプ回路部のいずれの直上においても、ダミー配線D1および第1配線WR1を密に形成していない。
【0046】
また、MOSドライバ回路部はデジタル回路部だが、比較的頻繁に動作するため、ダミー配線によるノイズによる影響を受けやすい。そのため、MOSドライバ回路部の直上にダミー配線を密に配置すべきではない。MOSドライバ回路部の近くにアナログ回路が配置されているので、MOSドライバ回路部からアナログ回路部ANC2にノイズが伝搬することを避けるためにも、MOSドライバ回路部の直上にダミー配線を密に配置すべきではない。また、MOSドライバ回路部の近くにアナログ回路が形成されているので、アナログ回路部ANC2からMOSドライバ回路部にノイズが伝搬することを避けるために、アナログ回路部ANC2の直上にダミー配線を密に配置すべきではない。
【0047】
ただし、ノイズの発生を防ぐべき上記のような回路部の直上の領域であっても、配線(第2配線WR2)を形成しなければならない場合がある。この場合、ノイズの発生を防ぐため第2配線WR2は第1配線WR1に比べ小さい面積で低密度に形成される。
【0048】
図11および図12に、第2配線WR2およびその周囲のダミー配線D2を拡大して示す。第2配線WR2の平面視における形状は、図11に示すように矩形であってもよく、図12に示すように1以上の曲がり角を有する形状であってもよい。図11では、第2配線WR2は1方向に延在しており、図12では、第2配線WR2はM字型に延在している。ダミー配線D2は、第2配線WR2の辺に沿って連続的に形成されており、第2配線WR2の周囲を囲む閉ループ構造を有している。言い換えれば、ダミー配線D2は、第2配線WR2を連続的に囲む環状パターンを有している。図11および図12では、下層の配線WRGを示している。図11および図12では、第2配線WR2およびダミー配線D2のそれぞれの直下の配線WRGを破線で示している。第2配線WR2は、プラグPGを介して配線WRGに電気的に接続されている。
【0049】
図13に、多層配線層の最上層配線である第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2を並べた断面図を示す。図13では、左から順にダミー配線D1、ダミー配線D2および第2配線WR2、第1配線WR1、並びにパッドPAD(第1配線WR1)を示している。図13に示すように、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれは、層間絶縁膜IL6の平坦な上面に接して互いに同等の厚さで形成された金属膜からなる。つまり、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれは、同一の層に形成された配線である。
【0050】
ここで、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2の各配線の直上に形成されたパッシベーション膜の膜厚は、各配線の両端部の直上に比べ、各配線の中央部の直上の方が大きい。つまり、第1配線WR1、第2配線WR2、ダミー配線D1およびD2のそれぞれの直上において、パッシベーション膜は山なりに形成されている。
【0051】
また、図13に示すように、第2配線WR2の短手方向の幅は、第2配線WR2の短手方向の幅より小さくてもよい。つまり、平面視において、ダミー配線D2の長辺に対して直交する方向におけるダミー配線D2の最短の幅は、第2配線WR2の長辺に対して直交する方向における最短の幅より小さくてもよい。
【0052】
(本実施の形態の効果)
第2配線WR2を第1配線WR1に比べ小さい面積で低密度に形成した場合、以下のような問題が生じ得る。すなわち、半導体装置の製造工程で最上層配線およびパッシベーション膜を形成した後にスピンコート法によりフォトレジスト膜を塗布すると、図18に比較例として示すように、疎に形成された第2配線WR2の直上のフォトレジスト膜PRの膜厚L2が小さくなる。すなわち、フォトレジスト膜PRを塗布する際には、半導体基板上に、フォトレジスト液を一定量滴下する。このとき、高密度で第1配線WR1およびダミー配線D1が配置された領域が上流に位置し、第2配線WR2が配置された領域が下流に位置していると、前者の領域が防波堤として働き、フォトレジスト膜PRが流れる先のレジスト供給量が減少する。このようにして、第2配線WR2の直上のフォトレジスト膜PRの膜厚L2が小さくなると推定される。
【0053】
このような状態でレジストパターンを形成し、パッドを露出させるためのエッチングを行うと、図19に比較例として示すように、そのエッチング中に第2配線WR2の直上の薄いフォトレジスト膜PRが除去される。このため、第2配線WR2の直上のパッシベーション膜の一部(絶縁膜IF4など)がエッチングにより除去される。このような半導体装置では、パッシベーション膜の信頼性が低下するため、半導体装置の信頼性が低下する。パッシベーション膜の膜厚が大きい場合には、当該エッチングに要する時間も長くなるため、上記のように第2配線WR2の直上のパッシベーション膜の一部が除去される問題が生じ易くなる。
【0054】
これに対し、第2配線WR2のように、第1配線WR1に比べ疎に形成され面積が小さい配線であっても、近傍に高い密度で複数のダミー配線D1を配置することが考えられる。しかし、頻繁に動作するようなアナログ回路部の直上では、平面視における長辺の長さが比較的大きいダミー配線D1を密に配置すると、ノイズが発生し回路に悪影響を及ぼす虞がある。
【0055】
そこで、図7に示すように、本実施の形態では、第2配線WR2のように疎に形成された配線の周囲の近傍に、ダミー配線D1の長辺よりも長辺の長さが小さいダミー配線D2を局所的に配置している。つまり、フォトレジスト膜PRの厚さが薄くなり易い領域に局所的にダミー配線D2を形成している。これにより、ダミー配線D2の直上にもパッシベーション膜が形成され、その結果、第2配線WR2の近傍のフォトレジスト膜PRの膜厚を局所的に厚くできる。
【0056】
頻繁に動作するようなアナログ回路部の直上にこのようなダミー配線D2を形成したとしても、ダミー配線D2の長辺はダミー配線D1の長辺より小さく、ダミー配線D2を形成する領域は局所的である。このため、ダミー配線D2を形成することによるノイズ発生に起因して回路が受ける影響を抑えられる。
【0057】
ダミー配線D2の形成範囲を小さい範囲内に抑えるため、例えば、平面視において第2配線WR2の所定の辺に沿う方向の端部から、外側に向かって配置するダミー配線D2の数は2つまでとする。図11および図12に示す本実施の形態では、ダミー配線D2の当該数は1つである。当該数を2つとする場合については、変形例2において図16および図17を用いて後述する。
【0058】
本実施の形態では、上記のようにダミー配線D2を形成することで第2配線WR2上に形成されるフォトレジスト膜PRを厚膜化できる。これにより、パッシベーション膜の開口のためのエッチング工程などで、第2配線WR2の直上のパッシベーション膜の一部が除去されることを防げる。これにより、パッシベーション膜の信頼性を向上できる。すなわち、ノイズによる悪影響の発生を抑え、かつ、半導体装置の製造工程を増やさず、製造容易性を確保しつつ低コストで半導体装置の信頼性を向上できる。
【0059】
ここで、半導体チップが有する各回路部のうち、動作が頻繁な回路部の直上の領域ではダミー配線を密に配置するべきではない。このため、そのような領域の第2配線WR2の周囲にダミー配線D2を配置することで、ノイズ発生に起因する半導体装置の性能低下を防ぎつつ、半導体装置の信頼性を向上できる。ただし、ダミー配線を密に形成することによるノイズ発生が特に問題とならない回路部の直上に第2配線WR2が疎に形成されている場合においても、第2配線WR2の周囲にダミー配線D2を形成することで、上記と同様に半導体装置の信頼性を向上できる。つまり、本実施の形態の第2配線WR2およびダミー配線D2は、比較的動作が頻繁である回路部に限らず、比較的動作が頻繁でない回路部の直上に形成されていてもよい。比較的動作が頻繁である回路部とは、例えばハイサイドパワーMOSFETの駆動回路、発振器、高圧アナログ回路部またはエラーアンプ回路部である。また、比較的動作が頻繁でない回路部とは、例えばハイサイドパワーMOSFETにより構成される回路部またはバイアス回路部である。本願でいう動作が頻繁である回路部とは、例えばバイアス回路部よりも動作が頻繁な回路部を指す。
【0060】
<変形例1>
図14および図15に示すように、第2配線WR2の周囲のダミー配線D2は、第2配線WR2の辺に沿って離散的に並んで複数配置されていてもよい。ここで、複数のダミー配線D2のそれぞれの平面視における形状は矩形である。そのようなダミー配線D2を、第2配線WR2の辺に沿って等間隔で並べることで、第2配線WR2を囲んでいる。つまり、第2配線WR2の近傍で第2配線WR2の周囲を囲むダミー配線D2は、不連続で形成されていてもよい。
【0061】
ここでは、平面視において第2配線WR2の所定の辺に沿う方向の端部から、外側に向かって配置するダミー配線D2の数は1つである。
【0062】
<変形例2>
図16および図17に示すように、ダミー配線D2は第2配線WR2の周囲に二重に配置されていてもよい。ここでは、ダミー配線D2は上記変形例1と同様に離散的に並んで第2配線WR2を囲んでいる。ここで、第2配線WR2に近い位置で第2配線WR2を囲んでいる内側のダミー配線D2の他に、当該内側のダミー配線D2の周囲を平面視で囲む外側のダミー配線D2が設けられていてもよい。
【0063】
ここでは、平面視において第2配線WR2の所定の辺に沿う方向の端部から、外側に向かって配置するダミー配線D2の数は2つである。第2配線WR2の周囲のダミー配線D2は、内側のダミー配線D2および外側のダミー配線D2を含め、平面視で行列状に並んで配置されている。
【0064】
本変形例では、第2配線WR2の周囲を囲むダミー配線D2が不連続で形成されている場合について説明した。これに対し、図11および図12と同様に、内側のダミー配線D2および外側のダミー配線D2の両方または一方が環状構造を有し、連続的に形成されたパターンにより第2配線WR2を囲んでいてもよい。
【0065】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0066】
ANC アナログ回路部
ANC1 第1アナログ回路部
ANC2 第2アナログ回路部
D1、D2 ダミー配線
DGC デジタル回路部
DGC1 第1デジタル回路部
DGC2 第2デジタル回路部
IF1~IF4 絶縁膜
IL1~IL6 層間絶縁膜
PAD パッド
PR フォトレジスト膜
WR1 第1配線
WR2 第2配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19