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  • 特許-ユニット化弁座アセンブリ 図1
  • 特許-ユニット化弁座アセンブリ 図2
  • 特許-ユニット化弁座アセンブリ 図3
  • 特許-ユニット化弁座アセンブリ 図4
  • 特許-ユニット化弁座アセンブリ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ユニット化弁座アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/42 20060101AFI20241206BHJP
   B05B 1/32 20060101ALI20241206BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20241206BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
F16K1/42 F
B05B1/32
B05C5/00 101
F16K1/42 G
F16K27/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021516414
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019049997
(87)【国際公開番号】W WO2020060777
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】62/734,801
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521113623
【氏名又は名称】クラフツ テック,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー.ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エル.テイラー
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0095825(US,A1)
【文献】特開2013-141667(JP,A)
【文献】特表2006-501073(JP,A)
【文献】特開平07-138093(JP,A)
【文献】国際公開第2018/052797(WO,A2)
【文献】特開2004-148204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0199693(US,A1)
【文献】特開2004-148310(JP,A)
【文献】特表2009-514688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
B05C 5/00-5/04
F16K 1/00-1/54
27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有するハウジングと、
前記キャビティ内に位置し、前記ハウジングに接続されるパック、とを備える弁座アセンブリであって、
前記パックは、前記パックの総体積に対して85%体積から95%体積までの体積のダイヤモンドおよび炭化ケイ素セラミック結合材を含み、かつ、2,800kg/mm2以上の硬さを有する材料からなり、前記ハウジングは、前記パックの材料に対して硬さが低い材料からなり、
前記パックは、チタン合金ろう付けによって前記ハウジングに永久的に固着される、
弁座アセンブリ。
【請求項2】
前記パックは、3000kg/mm2以上の硬さを有する、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項3】
前記ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドである、請求項に記載の弁座アセンブリ。
【請求項4】
前記パックは、その中を通る分配チャネルを有するノズルを画定する、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項5】
前記パックの前記分配チャネルは、0.3mm(0.012インチ)以下のオリフィスを有する、請求項に記載の弁座アセンブリ。
【請求項6】
前記パックは、0.125インチ(3.18mm)以下の高さ及び0.125インチ(3.18mm)以下の断面幅を有する、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項7】
前記パックは、漏斗を画定する頂部を含む、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項8】
前記パックは、弁要素と嵌合するように構成された弁座を形成する頂部を含む、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記パックよりも大きな破壊靭性を有する、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項10】
前記パックは、前記ハウジングよりも低い摩擦係数を有する、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項11】
前記パックの前記材料は、0.2未満の摩擦係数を有する、請求項1に記載の弁座アセンブリ。
【請求項12】
キャビティを有するハウジングと、前記キャビティ内に位置し、前記ハウジングに接続されるパックとを備える弁座アセンブリであって、前記パックは、前記パックの総体積に対して85%体積から95%体積までの体積のダイヤモンドおよび炭化ケイ素セラミック結合材を含み、かつ、2,800kg/mm 2 以上の硬さを有する材料からなり、前記ハウジングは、前記パックの材料に対して硬さが低い材料からなり、前記パックは、流体を分配するためのチャネルを有する、弁座アセンブリと、
前記パックの前記チャネルを開閉するように作動する弁要素と、
を備える、流体を分配するためのマイクロ分配装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月21日出願の米国仮出願第62/734,801号の優先権の利益を主張するものであり、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、分配装置に使用され得る弁座アセンブリ(valve seat assemblies)、及び液体を分配するためのノズルを画定する弁座アセンブリに関する。より詳細には、本開示は、耐摩耗性弁座アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ分配(microdispensing)とは、ノズルから極めて少量の液体を分配するプロセスである。このプロセスは、3Dプリンティングプロセスにおける接着剤、溶媒及びインク又は分配材料に限定されないが、これらを含み、あらゆる用途に用いることができる。マイクロ分配は、上部に弁座(valve seat)を有し且つ下面に分配オリフィス(dispensing orifice)を有するノズルの使用を含むことができる。弁要素(valve element)は、ノズルの頂部の弁座と係合し、且つ分離して、ノズルを通って流れる液体の放出を制御する。例えば、弁要素及び弁座は、封止を形成し、ノズルを通る流体の流れを阻止する嵌合点を有する。弁要素が作動して嵌合点から引き戻されると、流体は弁要素の周囲を移動し、チャネル(channel)を通り、ノズルから出る。弁要素が作動して弁座を再係合すると、ノズルを通る流体の流れは停止する。
【0004】
弁要素の作動は、極めて迅速に行われ、場合によっては、数十億回の作動が、非常に短時間で起こり得る。全ての作動により、ノズルの弁座は非常に迅速に摩耗する可能性がある。弁要素との接触による磨耗に加えて、加工処理される流体が研磨剤である場合には、流体が構成部品上に残留物を残す可能性がある。この残留物は作動中にノズルに詰まる可能性があり、この研磨粒子の滞留は、材料の劣化を早め、結果として構成部品の故障になる。
【0005】
弁座の摩耗により、交換が必要な部品が生じる。部品の交換により、これらの構成部品を使用する装置が停止し、最終製品が生産されなくなる。更に、ノズル部品のサイズを非常に小さくすることは、摩耗が発生した際のおけるノズルの交換を困難にする。
【0006】
材料の摩耗を低減するために、より大きな耐摩耗性を有する、より大きな硬度を有する材料で作られたノズルを使用することが望ましい。しかしながら、より大きな硬度を有する材料はより良い耐摩耗特性を有するが、そのような材料もまた、一般的には非常に脆く、従って、割れ及び欠けを生じやすい。このような材料は頻繁に取り替えられることも要求されるので、繰り返し圧力下に置かれたときに割れや欠けが発生しやすい材料を使用することは、望ましいことではない。
【発明の概要】
【0007】
従って、耐摩耗性があり、割れや欠けが発生しにくい部品が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示による弁座アセンブリの一実施形態の断面図である。
図2図2は、弁座アセンブリの拡大断面図である。
図3図3は、本開示によるパックの一実施形態の斜視図である。
図4図4は、図3に示すパックの断面図である。
図5図5は、弁要素と係合して示された図3のパックの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで図を参照すると、図1は、弁要素102とともに示される弁座アセンブリ100の一実施形態を示す。弁座アセンブリ100は、種々の異なる装置及び機械で使用されてもよい。例えば、弁座アセンブリは、極微量のオイル、接着剤、液体又は任意の他の媒体を分配するために使用されるマイクロ分配装置の一部であってもよい。弁座アセンブリは、特に、印刷及び3-D印刷又は回路基板アセンブリのような用途に使用されてもよい。
【0010】
弁座アセンブリ100は、ハウジング(housing)104とパック(puck)106とを含み、これらは、異なる材料から作られ、互いに接続されている。ハウジング104は、パック106が収容されるか又は入るキャビティ108を備える。好ましくは、ハウジング104及びパック106は、ユニット化された一体のアセンブリを形成するように、互いに恒久的に固着される。ハウジング104は、種々の形状及び大きさであってもよく、ハウジングの形状及び大きさは、弁座が組み込まれる装置の種類に応じて変わってもよい。また、ハウジング104は、パック106の材料よりも低い硬さ(kg/mm2)を有する材料で製造してもよい。ハウジングの材料は、例えば、炭化タングステン、硬化工具鋼、アルミニウム等であってもよい。
【0011】
図3及び図4を参照すると、図示されたパック106は、円筒形又はほぼ円筒形の本体を含む。他の実施形態では、本体は、他の幾何学的形状又は非幾何学的形状を有してもよい。また、パックは、約0.05インチから約0.5インチの間の高さHと、約0.1インチから約0.5インチの間の断面幅Wとを有することができる。パックが円筒形状の場合、断面幅は直径である。一実施形態では、パックの高さは、約0.125インチ(3.18mm)以下であってもよく、断面幅は、約0.125インチ(3.18mm)以下であってもよい。図示の実施形態では、パックの頂部110は、縁部112を有してもよく、随意に、漏斗状部114を定めてもよい。漏斗状部114は、パック106の中心に向かって内側に徐々に傾斜する任意の形状であってもよい。図示の実施形態では、漏斗状部114は円錐形状であってもよい。一実施形態では、円錐形状は、円錐台形状であってもよい。円錐形状の高さ及び直径は、所望の用途に応じて変えてもよい。図1、2及び4に示されるように、パック106の頂部114は、弁要素102と係合する弁座を画定する。加えて、漏斗状部114の表面は、平滑化又は非平坦化されてもよい。例えば、前記表面は、輪、畝、凹凸又は他のテクスチャを含んでもよい。
【0012】
パック106が材料を分配するノズルを規定する場合、パック106は、上述の液体のいずれかの材料等を分配するために、当該パックを通過するチャネル116を含んでもよい。チャネル116は、パックの底部111に開口109を有していてもよい。チャネルは、約0.0005インチと約0.080インチとの間にある開口部又は直径を有してもよい。一実施形態では、チャネルの開口部は、約0.012インチであってもよい。
【0013】
パック106は、ハウジング104の硬さよりも硬い硬さを有する材料から作製することができる。一実施形態では、パック106の材料は、約2,800kg/mm2以上のビッカース硬度を有してもよい。他の実施形態では、前記材料のビッカース硬度は、約3,000kg/mm2以上、又は約4,000kg/mm2以上とすることができる。一実施形態では、パック106の材料は、炭化ケイ素を含んでもよい。他の実施形態では、パック106の材料は、ダイヤモンド材料を含んでもよい。例えば、パック106のダイヤモンド材料は、79%体積よりも大きい量であってもよいし、85%体積よりも大きい量であってもよいし、85%体積~95%体積の量であってもよい。ダイヤモンド材料は、例えば、セラミックダイヤモンド材料、多結晶ダイヤモンド材料又は任意の他の適切なダイヤモンド材料であってもよい。更に、パック106の材料は、ダイヤモンド材料及び結合剤を含む複合材料であってもよい。そのような結合剤としては、コバルト、炭化ケイ素、及び他の適切な結合剤が挙げられる。結合剤は、電子放電機械加工プロセスを使用して機械加工され得るように、材料が比電気伝導率を有することを考慮に入れてもよい。この処理及び他の処理を採用して、流体がノズルを通って流れることを可能にする仕上げされた特徴をパックに形成してもよい。更に、耐摩耗性に加えて、ダイヤモンド材料は、低い摩擦係数を有するので、分配される材料がパック106に付着するのを防止するのを補助し得る。
【0014】
パック106は、結合によってハウジング104に接続されてもよい。好ましくは、前記結合は、ユニット化された一体のアセンブリを形成するように、ハウジング104及びパック106を互いに恒久的に固着する。前記結合は、例えば、ろう付けであってもよい。一実施形態では、ろう付けは、合金ろう付けであってもよい。合金ろう付けは、チタン、銀、ニッケル、アルミニウム、インジウム、錫、及び/又は銅の元素を含むことができる。パックとハウジングとは、エポキシ、焼きばめ、圧入、機械仕掛け等、他の方法でも接続することができる。図1及び2を参照すると、パック106は、縁部112に沿ってハウジング104に接続されてもよい。例えば、パックは、ハウジング104と縁部112との間のろう付けジョイント118によって該パックに接続されてもよい。あるいは、又はパックを当該パックの縁部でハウジングに接続することに加えて、パックは、パックの本体に沿った任意の点でハウジングに接続されてもよい。
【0015】
上述のように、パック106の材料は、ハウジング104の材料よりも硬い硬さを有してもよい。更に、ハウジング104の材料は、ASTM E1820-18に基づいて、パック106の材料よりも大きい破壊靭性を有していてもよい。一実施形態では、ハウジングの材料は接合媒体と結合されており、パック106のダイヤモンド材料を圧縮状態に置き、ダイヤモンド材料の周囲に衝撃吸収機構を形成する。パック106及びハウジング104がユニット化された単一の実体として作用することにより、ハウジングの靭性及び前記結合の機構は、使用中に前記ダイヤモンド状の材料が衝撃を吸収することを可能にし、パック材料の破壊及び欠けのリスクを低減する作用機序を作り出す。更に、ハウジング104は、アセンブリを容易に取り扱う方法でパック106の捕捉を可能にする。例えば、アセンブリは、チッピングに対するリスクを最小限に抑えて、製造作業を通して最終用途に移行することができる。
【0016】
図1、2及び4を参照すると、1つの適用例では、パック106は、マイクロ分配流体に対するノズルを画定することができる。閉位置では、弁要素102は、パック106の上面の漏斗状部114に着座又は係合して、チャネル116を閉鎖する。弁要素102は、漏斗状部114又は弁座の形状及びサイズに整合するか又は対応する形状及びサイズを有する部分を有してもよい。図示の実施形態では、弁要素102は、栓部120及び最下部122を有する本体を含む。栓部120は、円筒形等の任意の形状であってよい。図示の実施形態では、栓部120は、弁要素を装置に接続するために使用され得るフランジ124を含む。最下部122は、パック106の頂部114と嵌合してパックのチャネル116を閉鎖する閉鎖部材を画定する。弁要素102の最下部122は、パック106の漏斗状部114と整合するサイズを有する円錐形を規定する。パック106のチャネル116を閉鎖するために、弁要素102の最下部122は、パック106の漏斗部/弁座内に挿入され、及び/又はそれと嵌合される。
【0017】
材料を分配するために、弁要素102は、図において上方に移動し、パック106の上部の漏斗状部114から外れるように作動される。これにより、材料が、分配のためにチャネル116を通って移動することができる。次いで、弁要素102が作動して、図において下方に移動し、パック106の上面の漏斗状部114と嵌合又は係合して、チャネル116を閉鎖する。アプリケーション及び装置によっては、弁要素102の作動が極めて迅速に起こり、数十億回の作動が非常に短時間で行われ得る。従って、弁要素102は、極めて短い期間でパック106を何度も離脱して係合することができる。上述のように、パック106及びハウジング104が連結されることにより、パック106上の弁要素102の作動に関連する力が最小化され、パック106のダイヤモンド材料の脆性破壊のリスクが低減される。
【0018】
更に、最小限の摩擦は、表面張力の低下をもたらし、オリフィス出口からより一貫した液滴を生成することを可能にする。パック106は、ハウジング104の係数よりも小さい摩擦係数を有する材料から作製されてもよい。一実施形態では、パック106の材料は、ASTM G115-10(2018)に基づいて、約0.2以下である静摩擦係数及び運動摩擦係数を有してもよい。他の実施形態では、0.15未満、又は約0.1以下であってもよい。
【0019】
このようにして装置を説明したので、当業者には様々な改変及び変更が行われるであろう。この変更及び変更は、添付の請求の技術的範囲によって定義される装置の技術的範囲内となるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5