IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オラクル・インターナショナル・コーポレイションの特許一覧

特許7599414人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム
<>
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図1
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図2
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図3
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図4
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図5
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図6
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図7
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図8A
  • 特許-人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】人工知能ベースの部屋割り当て最適化システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20241206BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20241206BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q10/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021518743
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020046611
(87)【国際公開番号】W WO2021080668
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】62/923,774
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/736,284
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボロウジェニ,セタレー・ボルジアン
(72)【発明者】
【氏名】バフティンスキー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヤグナバジハラ,サラスワティ
(72)【発明者】
【氏名】ペレズ,ショージ・ルイス・リベロ
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル,ダル
(72)【発明者】
【氏名】チャタージー,アカシュ
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0287629(US,A1)
【文献】特開2016-148920(JP,A)
【文献】特開2002-312440(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056368(WO,A1)
【文献】佐藤 達広,ラグランジュ緩和法を用いた空港スポット割当問題の解法,電気学会論文誌C,日本,(社)電気学会,2003年,Vol.123, No.7,p.1341-1349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホテルの最適化された部屋割り当ての方法であって、
コンピュータが、予約時の希望および部屋特徴を受信するステップと、
前記コンピュータが、複数のハードな制約及びソフトな制約に基づいて、最適化を実行するステップとを含み、前記最適化は、
前記予約時の希望および部屋特徴に基づいて宿泊客満足割り当てコストを決定するステップと、
屋利用と、途切れ利用と、部屋アップグレードコストとを含む運営効率割り当てコストを決定するステップと、
前記宿泊客満足割り当てコストおよび前記運営効率割り当てコストに基づいて、重み付けされたコスト行列を生成するステップとを含み、前記重み付けされたコスト行列を生成するステップは、予約および部屋の複数のペアの各々について、前記対応する宿泊客満足割り当てコストおよび前記対応する運営効率割り当てコストを、目的重みと組み合わせるステップを含み、前記最適化はさらに、
前記重み付けされたコスト行列に基づいて事前部屋割り当てを生成するステップを含み、
記方法はさらに、
前記事前部屋割り当てが実現不可能である場合、1つまたは複数の制約を緩和して、前記事前部屋割り当てが実現可能になるまで前記最適化を実行するステップを繰り返すステップを含み、前記最適化は、ブール変数を用いて多品種ネットワークフロー問題の近似解を求めるステップを含み、前記方法はさらに、
前記事前部屋割り当てに対応する制御信号を生成し、前記制御信号に応答して、前記事前部屋割り当てに対応する1つまたは複数のルームキーを自動的に電子的にプログラムするステップと、
前記コンピュータが、最適化前分析を実行するステップとをさらに含み、前記最適化前分析は、線形回帰を実行して、実現性のある部屋代替案を生成し、市場グループ階層を作成し、予約重要度を推定するステップを含む、方法。
【請求項2】
制約は、重要度の順にシーケンシャルに制約を無効にすることによって緩和される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記事前部屋割り当ては、ダブルブッキングがない場合に実現可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重み付けされたコスト行列に基づいて事前部屋割り当てを生成するステップは、割り当て問題を解くためのハンガリアンアルゴリズム発見的問題解決方法を含み、前記ハンガリアンアルゴリズム発見的問題解決方法は、前記宿泊客満足割り当てコストおよび前記運営効率割り当てコストを制約として利用する整数計画法定式化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
請求項に記載のプログラムを格納したメモリと、
前記プログラムを実行する一つ以上のプロセッサとを備える、ホテル部屋予約システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年10月21日に出願された米国仮特許出願番号第62/923,774号の優先権を主張し、米国仮特許出願番号第62/923,774号の開示内容は、引用によって本明細書に援用される。
【0002】
分野
一実施形態は、一般にコンピュータシステムに向けられ、特に人工知能ベースの部屋割り当て最適化を提供するコンピュータシステムに向けられる。
【背景技術】
【0003】
背景情報
通常、ホテルチェーンオペレータ(または、宿泊客のために部屋を割り当てるその他のタイプのサービス)は、特定の日に到着することが見込まれる宿泊客のために予約を手動で割り当てることによって最適な部屋割り当ての問題を日常的に解いている。しかし、最適な部屋割り当てでは、2つのメインカテゴリに属する複数の目的を考慮に入れる必要がある。これらのカテゴリは、「ホテル運営」および「宿泊客の満足」である。前者は、部屋の摩耗を均一にしながら不必要なアップグレードの数を最小化することによって部屋メンテナンス総コストを最小化し、部屋使用における1日または2日の途切れを最小化することによって部屋の稼働率を上げるというものである。後者は、予約システムで予約された部屋カテゴリと同一またはそれよりもよい部屋カテゴリを提供することによって宿泊客の要求の制約に見合うようにするというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、宿泊客の要求は、ハードな制約(アメリカ障害者法(「ADA」)によって規定された障害者が利用できる部屋、喫煙に関する希望、部屋の定員、および許可される部屋カテゴリ代替案など)を満たすために違反することが可能なソフトな制約であると考えられている。最後に、ホテル宿泊客は、ホテル独自のウェブサイトまたは電話システム、企業協定またはオンライン旅行代理店(「OTA」)などのさまざまなチャネルを通じて部屋を予約するので、ホテルオペレータは、それらの予約チャネル、宿泊頻度(たとえば、ホテルプログラムにおけるポイント数)および他の要素に基づいて異なる重要度スコアを宿泊客に割り当ててもよい。この宿泊客重要度スコアの暗黙的な定義を利用して、ある宿泊客の割り当てを別の宿泊客よりも優先し、その目的は、宿泊客の満足を最大化して顧客ロイヤルティを構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
実施形態は、複数のハードな制約およびソフトな制約を受信することと、予約時の希望および部屋特徴を受信することとに応答して、ホテルの最適化された部屋割り当てを提供する。上記最適化は、上記予約時の希望および部屋特徴に基づいて宿泊客満足割り当てコストを決定するステップと、運営効率割り当てコストを決定するステップと、上記宿泊客満足割り当てコストおよび上記運営効率割り当てコストに基づいて、重み付けされたコスト行列を生成するステップと、上記重み付けされたコスト行列に基づいて事前部屋割り当てを生成するステップとを含む。上記事前部屋割り当てが実現可能である場合、上記事前部屋割り当ては、上記行列の要素の実現可能な選択を備える上記最適化された部屋割り当てである。上記事前部屋割り当てが実現不可能である場合、実施形態は、1つまたは複数の制約を緩和して、上記事前部屋割り当てが実現可能になるまで上記最適化の実行を繰り返す。
【0006】
さらに他の実施形態、詳細、利点および変形例は、添付の図面と併せ読むことにより実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るコンピュータサーバ/システムのブロック図である。
図2】実施形態に係る、最適下限の部屋割り当てと最適な部屋割り当てとを対比する図である。
図3】実施形態に係る、図1の部屋割り当て最適化モジュールの機能を示すフロー図である。
図4】実施形態に係る、宿泊客満足最適化の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る、重み付けされたコスト最小化の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る、ネットワークフロー構築を示す図である。
図7】実施形態に係る、図1の部屋割り当て最適化モジュールの機能を示すフロー図である。
図8A】本発明の実施形態に係る、目的関数値対予約数を示すグラフである。
図8B】本発明の実施形態に係る、実行時間対予約数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
実施形態は、ホテル宿泊客の特定の要求および宿泊設備制約ならびにホテルの運営制約を受ける将来的な予約および部屋の稼働率を考慮に入れながら、当日から数日の期間にわたって部屋を割り当てることによって、既存のホテル予約のホテル部屋割り当てを最適化する。実施形態は、最適化目的を有する人工知能を使用して、ホテルチェーンによって規定された宿泊客重要度に従って割り当てに優先順位を付けながら、ホテル運営コストおよび割り当てられる部屋特徴についての宿泊客の要求間のミスマッチを最小化する。
【0009】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例は添付の図面に示されている。本開示を十分に理解してもらうために、以下の詳細な説明には多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、これらの具体的な詳細がなくても本開示を実施し得るということは当業者に明らかであろう。他の例では、実施形態の局面を不必要に曖昧にしないようにするために、周知の方法、手順、構成要素および回路については詳細に説明していない。可能な限り、同様の参照番号が同様の要素に使用される。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るコンピュータサーバ/システム10のブロック図である。システム10の機能は、単一のシステムとして示されているが、分散システムとして実現することもできる。さらに、本明細書に開示されている機能は、ネットワークを介して結合され得る別々のサーバまたはデバイス上で実現することもできる。さらに、システム10の1つまたは複数の構成要素は含まれなくてもよい。たとえば、システム10は、ウェブサーバまたはクラウドベースの機能として実現される場合、1つまたは複数のサーバとして実現され、ディスプレイ、マウスなどのユーザインターフェイスは不要である。
【0011】
システム10は、情報を通信するためのバス12または他の通信機構と、バス12に結合されて情報を処理するためのプロセッサ22とを含む。プロセッサ22は、いかなるタイプの汎用または特定目的プロセッサであってもよい。システム10は、情報およびプロセッサ22によって実行される命令を格納するためのメモリ14をさらに含む。メモリ14は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、リードオンリメモリ(「ROM」)、磁気ディスクもしくは光ディスクなどのスタティックストレージ、またはその他のタイプのコンピュータ読取可能媒体の任意の組み合わせで構成され得る。システム10は、ネットワークへのアクセスを提供するためのネットワークインターフェイスカードなどの通信デバイス20をさらに含む。したがって、ユーザは、直接的に、またはネットワークを介してリモートで、またはその他の方法でシステム10に接続してもよい。
【0012】
コンピュータ読取可能媒体は、プロセッサ22によってアクセスすることができる利用可能ないかなる媒体であってもよく、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体、ならびに通信媒体を含む。通信媒体は、搬送波または他の伝送機構などの変調データ信号の状態でのコンピュータ読取可能命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを含んでもよく、任意の情報送達媒体を含む。
【0013】
プロセッサ22はさらに、バス12を介して液晶ディスプレイ(「LCD」)などのディスプレイ24に結合される。キーボード26およびコンピュータマウスなどのカーソル制御装置28がさらにバス12に結合されて、ユーザがシステム10に接続することを可能にする。
【0014】
一実施形態では、メモリ14は、プロセッサ22によって実行されたときに機能を提供するソフトウェアモジュールを格納する。これらのモジュールは、システム10にオペレーティングシステム機能を提供するオペレーティングシステム15を含む。これらのモジュールは、部屋割り当てを最適化する部屋割り当て最適化モジュール16と、本明細書に開示されている全ての他の機能とをさらに含む。システム10は、より大きなシステムの一部であり得る。したがって、システム10は、プロパティ管理システム(「PMS」)(たとえば、「オラクルホスピタリティOPERAプロパティ」または「オラクルホスピタリティOPERAクラウドサービス」)またはエンタープライズ・リソース・プランニング(「ERP」)システムの機能などの追加機能を含むように1つまたは複数の追加機能モジュール18を含み得る。データベース17は、バス12に結合されて、モジュール16および18に集中型ストレージを提供し、宿泊客データ、ホテルデータ、トランザクションデータなどを格納する。一実施形態では、データベース17は、構造化照会言語(「SQL」)を使用して格納されたデータを管理することができるリレーショナルデータベース管理システム(「RDBMS」)である。一実施形態では、専門の販売時点情報管理(「POS」)端末99は、最適化を実行するために使用されるトランザクションデータおよび履歴販売データ(たとえば、ホテル宿泊客/顧客のトランザクションに関するデータ)を生成する。POS端末99自体は、一実施形態に従って部屋割り当て最適化を実行するための追加処理機能を含み得て、単独でまたは図1の他の構成要素とともに専門の部屋割り当て最適化システムとして動作することができる。
【0015】
一実施形態では、特にホテル所在地が多数である場合、宿泊客が多数である場合、および履歴データが大量である場合、データベース17は、インメモリデータベース(「IMDB」)として実現される。IMDBは、コンピュータデータの格納のために主にメインメモリに依拠するデータベース管理システムである。それは、ディスクストレージ機構を利用するデータベース管理システムと対比される。メインメモリデータベースは、ディスク最適化データベースよりも高速である。なぜなら、ディスクアクセスはメモリアクセスよりもゆっくりであり、内部最適化アルゴリズムはより単純であり、実行するCPU命令がより少ないからである。メモリ内のデータにアクセスすることにより、データに照会する際のシークタイムが無くなり、ディスクよりも高速かつ予測可能なパフォーマンスを提供する。
【0016】
一実施形態では、データベース17は、IMDBとして実現される場合、分散データグリッドに基づいて実現される。分散データグリッドは、コンピュータサーバの集合体が1つまたは複数のクラスタの状態で協働して分散環境またはクラスタ環境内で情報および計算などの関連動作を管理するシステムである。分散データグリッドを使用して、サーバにわたって共有されるアプリケーションオブジェクトおよびデータを管理することができる。分散データグリッドは、低応答時間、高スループット、予測可能なスケーラビリティ、継続的可用性および情報信頼性を提供する。特定の例では、たとえばオラクル社からの「オラクルコヒーレンス」データグリッドなどの分散データグリッドは、情報をメモリ内に格納してより高いパフォーマンスを実現し、当該情報のコピーを複数のサーバにわたって同期させ続ける際に冗長性を利用することにより、サーバが故障した際にシステムの復元力およびデータの継続的可用性を保証する。
【0017】
一実施形態では、システム10は、企業組織のためのアプリケーションまたは分散アプリケーションの集合体を含むコンピューティング/データ処理システムであり、ロジスティクス、製造および在庫管理機能も実現してもよい。アプリケーションおよびコンピューティングシステム10は、クラウドベースのネットワーキングシステム、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(「SaaS」)アーキテクチャ、または他のタイプのコンピューティングソリューションとともに動作するように構成されてもよく、クラウドベースのネットワーキングシステム、SaaSアーキテクチャ、または他のタイプのコンピューティングソリューションとして実現されてもよい。
【0018】
記載されているように、部屋割り当ての最適化は、解くことが困難な問題である。図2は、実施形態に係る、最適下限の部屋割り当てと最適な部屋割り当てとを対比する図である。2日間連続した2つの一泊予約AおよびBが2つの異なる部屋に割り当てられる場合(すなわち、最適下限)、これらの部屋のうちのいずれかに第3の予約Cを割り当てることはできない。しかし、予約AおよびBが同一の部屋に割り当てられる場合には(すなわち、最適)、他の部屋に予約Cを割り当てることができる。
【0019】
現在のところ、大半のホテルオペレータは、一般に、直観的なドメイン理解を介して部屋を個々の予約に割り当てることによって手動で部屋割り当てを行っており、これは、労働集約的であり、多くの場合、最適からは程遠い割り当てになる。いくつかの公知のソリューションは、混合整数線形計画法(「MILP」)を使用して問題を解く。しかし、このアプローチは、実行するのに非常に長い時間を要する場合があり、ホテルオペレータの現場で認可を受けた第三者ソフトウェアライブラリを必要とし、ソリューションの開発およびデプロイメントにとって複雑な問題になり得る。対照的に、本発明の実施形態は、アクティブな予約の数にかかわらず効率的に動作することによって機能を実行するコンピュータシステムのパフォーマンスを向上させながら、最適化されたソリューションを提供する。
【0020】
一般に、実施形態によって解かれる問題は、ホテル運営コストを低く抑えながら要求された部屋特徴のミスマッチを最小化するために、入ってくる予約および宿泊客の希望のセットを考慮に入れながら、利用可能な部屋在庫から最も最適な割り当てを見つけ出すというものである。一般に、これは、現在のところ、毎日ホテルスタッフが請け負っている時間のかかる手動のプロセスである。1日の期間については満足のいく割り当てが実現され得るが、予約計画期間が増加するにつれて複雑さが指数関数的に増加する。
【0021】
対照的に、実施形態は、データ駆動型最適化アルゴリズムを介して自動部屋割り当てプロセスを実現する。実施形態は、予約時の希望、宿泊客重要度およびアップグレードコストのような要因に影響を及ぼす多目的関数を構築して、ハードおよびソフトなビジネス制約をシミュレーションする。また、実施形態は、変化するビジネスダイナミクスに対して構成可能なソリューションを提供するために宿泊客の満足およびホテル運営効率を異なったように重み付けする。
【0022】
図3は、実施形態に係る、図1の部屋割り当て最適化モジュール16の機能を示すフロー図である。一実施形態では、図3(および以下の図7)のフロー図の機能は、メモリまたは他のコンピュータ読取可能なもしくは有形の媒体に格納されたソフトウェアによって実現され、プロセッサによって実行される。他の実施形態では、この機能は、(たとえば、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブルゲートアレイ(「PGA」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)などを使用することにより)ハードウェアによって実行されてもよく、またはハードウェアとソフトウェアとの任意の組み合わせによって実行されてもよい。
【0023】
実施形態は、入力データセット/データベース17を使用して、必要に応じて履歴予約データおよび宿泊客情報を提供する。一実施形態では、入力データセット17は、オラクル社からの「OPERA」データベースであり、単一のホテルまたはホテルチェーンなどの関連するホテル群の宿泊客および利用可能な部屋についての詳細を含む。他の実施形態では、任意のタイプのPMSのための宿泊客および部屋に関するデータのデータベースを使用することができる。
【0024】
データベース17はさらに、最適化のために実施形態によって使用される制約を格納する。これらの制約は、ハードな制約もソフトな制約も含む。実施形態では、ハードな制約は、(1)ダブルブッキングがないこと、(2)予約期間全体にわたって同一の部屋を確保すること、および(3)禁煙/喫煙/ADAによる利用しやすさの部屋要求に応えなければならないことを含む。ソフトな制約は、(1)宿泊客重要度、(2)市場グループ重要度、(3)部屋アップグレード、(4)部屋利用、および(5)部屋特徴要求(たとえば、フロアの希望、エレベータが近いこと、複数部屋予約での隣り合った部屋)を含む。実施形態とは対照的に、公知の自動部屋割り当てソリューションは、一般に、ルールベースのアルゴリズムに依拠し、このルールベースのアルゴリズムは、ハードな制約を十分に満たすことができるが、一般に比較コスト分析の欠如によりソフトな制約を全体論的に評価することができず、一般に計画期間における他の予約を無視して予約をシーケンシャルに処理する。
【0025】
301において、実施形態は、最適化前分析を実行し、最適化前分析は、線形回帰を実行して、実現性のある部屋代替案を生成し、市場グループ階層を作成し、予約重要度を推定することを含む。部屋カテゴリ階層を決定するために、実施形態は、線形回帰を使用して、部屋カテゴリ、部屋特徴およびレートコードを含む履歴予約データを用いて各部屋カテゴリについて「重要度スコア」を以下のように決定する。
【0026】
【数1】
【0027】
階層は、どの部屋代替案が実現性のある部屋アップグレードと考えることができるかを判断するのに使用される。
【0028】
市場グループ階層を決定するために、各市場グループ内の全ての宿泊客について集計された総予約収益を利用して、デフォルト階層を確立する。この階層は、部屋アップグレードを割り当てながら宿泊客に優先順位を付けるのに使用される。
【0029】
実施形態は、ルールベースまたは回帰ベースのアルゴリズムを使用して予約重要度を決定する。ルールベースの場合、実施形態は、やってくる宿泊客のメンバーシップレベルとVIPステータスとを組み合わせて、宿泊客優先順位リストを確立する。回帰ベースの場合、実施形態は、履歴データを使用して宿泊客の収益見込みおよびリピート見込みを推定して、それらの重要度を決定する。
【0030】
302において、実施形態は、ホテル独自の設定/構成をデータベース17からフェッチし、これらの設定/構成は、アルゴリズムにおいてハードおよびソフトな制約を制御するためのユーザがカスタマイズ可能な設定を含む。これらの設定は、ユーザが無効にすることができる代用可能な部屋のリストを含むアップグレード可能な部屋を含み、デフォルトは部屋カテゴリ階層分析から決定される。市場グループランキングは、重要度によって順序付けられたユーザが無効にすることができる市場グループ(たとえば、レジャー、パッケージ、会議など)のリストを含み、デフォルトは市場グループ階層分析から決定される。部屋アップグレードは、予約された部屋カテゴリよりも高い部屋カテゴリをアルゴリズムが割り当て中に検討することを可能にするか否かを制御するための設定を含む。好ましい市場グループは、「部屋アップグレード」がイネーブルにされた場合にアップグレードを検討するための市場グループのデフォルトリストを含む。除外されるものとしては、部屋を割り当てる際に検討から除外し、イネーブルにされた場合に「汚い」および「使用不能」などのステータスを有する部屋を除外するためのフロアのリストを含む。最適化目的は、相対的重みを使用して、以下の複数の目的関数のバランスをとる:
・運営効率:不均一な部屋の摩耗、割り当てにおける途切れ、部屋アップグレード
・宿泊客の満足:宿泊客の希望と割り当てられた部屋特徴との間のミスマッチ。
【0031】
301および302における機能は、事前処理機能であると考えることができる。次いで、325において、「最適化」を実行する。303において、宿泊客満足最適化は、予約時の希望および部屋特徴を使用して割り当てコスト(「C1」)を計算する。各予約は、それに関連付けられた特定の「予約時の希望」コードを有する。これらの要求は、部屋に存在する特徴のコードとマッチングされる。完全なマッチングからの逸脱が大きくなると、宿泊客の満足についての割り当てコスト(C1)が高くなる。
【0032】
図4は、実施形態に係る、宿泊客満足最適化の一例を示す図である。図4は、ミニバー、コーヒーマシンおよびバスタブを有する部屋を要求した予約ID♯142456についてのものである。計算されたコストは、列401に示されている。
【0033】
図3の304において、運営効率最適化は、部屋利用、途切れ利用およびアップグレードコストなどの要因を使用して割り当てコスト(「C2」)を計算する。部屋利用について、実施形態は、特定の期間にわたって稼働率(=利用される日数/延べ日数)を追跡することによって部屋の摩耗を最小化することを目指している。稼働率が高い部屋には高いコストが関連付けられる。途切れ利用について、実施形態は、特定の部屋における2つの予約の間の小さな途切れ(日単位)を回避する。これは、予約なし宿泊客および直前になっての予約の効率的管理を可能にする。コストは、2つの連続する予約の間で部屋が利用されないままになっている日数との関係で計算される。アップグレードコストについて、実施形態は、オーバーブッキングが発生した場合の予約アップグレードのコストを最小化する。コストは、部屋カテゴリおよび予約重要度との関係で計算され、大切な宿泊客が最初にアップグレードされることを保証する。これらのコストは、スケーリングされて、組み合わせられて、運営効率のためのコスト(C2)をもたらす。
【0034】
305において、重み付けされたコスト最小化最適化は、予約のための重み付けされた割り当てコストを最小化する。実施形態は、以下のようにコスト行列として宿泊客の満足(C1)および運営効率(C2)のためのコストとホテルの最適化目的重み(W1,W2)とを組み合わせることによって、予約と部屋との各対について割り当てコストを導き出す:総目的コスト=(W1×C1)+(W2×C2)。実施形態では、宿泊客の満足または運営効率のいずれかを強調するために重みがホテルによって手動で割り当てられ得て、または、いくつかの予め規定された要因に基づいて重みが自動的に割り当てられ得る。行列は、全ての考えられる予約対部屋割り当てを含み、割り当て問題を解く最適化されたソリューションは、行列要素の最も実現可能な選択である。
【0035】
一実施形態では、生成されたコスト行列は、任意の特定の日の部屋を割り当てる際に将来の予約を考慮に入れることに役立つ将来を見据えた変更で構築されたハンガリアン最適化方法(または、「ハンガリアン割り当てアルゴリズム」)によって消費される。他の考えられるソリューションは、重要度によって予約を順序付けてそれらの各々についてシーケンシャルに最低コスト部屋割り当てを見つけ出すのに使用することができる貪欲な発見的問題解決方法を含み、または、GurobiおよびCPLEXなどの強力な商用ソルバを使用した混合整数線形計画法(「MILP」)を活用してこのような問題に対する最適なソリューションを見つけ出すことができる。しかし、貪欲な発見的問題解決方法は、最適からは程遠いソリューションを提供し、MILPは、最適なソリューションを提供するのに長くかかりすぎて、特別なライセンスソフトウェアのインストールを必要とするので通常はデプロイするのが困難である。対照的に、実施形態は、以下に詳細に開示されているハンガリアン割り当てアルゴリズムを使用すると、ソリューション品質と計算時間との間の望ましいバランスを有する。
【0036】
図5は、実施形態に係る、重み付けされたコスト最小化の一例を示す図である。図5の例は、3つの部屋、3つの予約および2日間の簡単な例である。示されているように、コストは、1日目を最初に検討するか2日目を最初に検討するかによって異なり、これは、部屋が割り当てられる日の順序によって単純な貪欲なアプローチが最適下限のソリューションを提供し得ることを示している。計画期間内の日の全ての考えられる摂動を試みることは、期間がたとえ適度であっても増加するにつれて計算的に実現不可能になっていくので、それは貪欲な発見的アプローチの非実用性を示している。
【0037】
306および307において、実施形態は、重要度の順にシーケンシャルに制約をディスエーブルにすることによって制約を緩和する。実施形態は、実現可能な割り当てを見つけ出すために条件付きチェックの反復除去を実行する。実施形態では、302において構成から設定された以下の制約が以下の順序、すなわち部屋アップグレード(「UGR」)、好ましい市場グループ(「PMG」)および部屋ステータス制限(「RSR」)で最初に使用される。
【0038】
307において実現不可能であれば、実施形態は、これらの制約を上記の順序で緩和して、325において最適化ロジックの新たな実行を試みる。最終的に、アルゴリズムが依然として実現可能なソリューションに到達していなければ、実施形態は、全ての制約のステータスをリセットし、予約窓を1日目のみに制限して、この新たな窓を用いて最適化プロセスを再開する。この場合、部屋のダブルブッキングがなければ、すなわち2つの予約が同一の部屋に割り当てられていなければ、ソリューションは実現可能である。
【0039】
再び最適化325を参照して、この開示されているホテル部屋割り当ての問題を解くことは、NP困難な問題である(すなわち、それは、現在のところ公知の高速多項式時間ソリューションが存在しない幅広い種類の問題に属している)。しかし、実施形態は、この問題を0-1(すなわち、ブール)変数を有する多品種フロー問題として定式化して解く。この問題は厳密には多項式時間では解くことができないが、実施形態は近似アプローチを利用し、この近似アプローチは、ホテルオペレータによって提供される履歴データと比較して、最適に近く、かつ、手動部屋割り当てによって得られるソリューションを超える。
【0040】
実施形態は、多項式または別の高速アルゴリズムによって効率的に解くことができるより簡単な問題を提案するために、問題制約のうちのいくつかを緩和または除去することで構成されるラグランジュ緩和を実行する。緩和された制約は、完全に排除されるのではなく、その違反に対して特定のペナルティを保持する目的関数の一部になって、いわゆるラグランジュ目的を形成する。ペナルティ係数の正確な値を求めることによって、連続変数の最適性に向けて問題を解くことができる。実施形態と同様にソリューション変数が離散的または0-1である場合、このアプローチは、最適に近い近似ソリューションを提供する。
【0041】
実施形態のラグランジュ最適化アプローチは、限定的な組み合わせ数え上げ検索によっても強化され、この限定的な組み合わせ数え上げ検索は、局所的に最適なソリューションのみの取得および当該ソリューションの最適化後強化を逃れて、問題に対するよりよい同様のソリューションがないことを保証するためにさまざまな開始点を可能にする初期ソリューションの摂動を含む。
【0042】
実施形態は、最適化された予約問題を0-1変数を有する多品種フロー問題として定式化する。ラグランジュ緩和を使用してこのタイプの問題を解く1つの公知の方法は、エッジ容量制約を緩和してこれらの制約の違反に対してラグランジュ乗数でペナルティを科すというものである。部屋割り当て最適化問題の文脈において、それは、任意の宿泊日にいくつかの予約を同一の部屋に割り当てることを可能にすることを意味する。
【0043】
しかし、この公知のアプローチとは対照的に、実施形態は、1泊目に対する制約を所定の位置に保持し、緩和された問題を2部グラフにおいていわゆる割り当て問題として解き、これは、依然として高速強多項式アルゴリズムによるソリューションを可能にしながら制約のうちのいくつかを所定の位置に保持することによってよりタイトな定式化を提供する。実施形態は、数日の期間にわたって予約が開始する可能性がある場合でも1泊予約の場合の厳密な最適なソリューションを得ることを可能にする。一方、複数泊予約が異なる到着日を有する場合、実施形態は、同一の部屋に割り当てられる複数の予約があり得る宿泊日の部屋に対して特定のペナルティを追加する。最後に、実施形態は、単一の予約対部屋割り当てを確認することによって制約を満たすことを保証し、違反すれば、その最後のステップとして日ごとに部屋を割り当てる。
【0044】
実施形態は、重要度に基づいて予約を順序付けて、それらの各々について最低コスト部屋割り当てを見つけ出すタイプの「貪欲な」アルゴリズムを実行する。しかし、実施形態は、ソリューションを向上させるために割り当て後スワップを実行する。実施形態はさらに、1日目(すなわち、当日)から開始する、利用可能な部屋を使用してその日の予約の最適な割り当てを見つけ出すタイプの「ハンガリアン」アルゴリズム発見的問題解決方法を実行する。しかし、実施形態は、日の順序を変えて最適な割り当てを見つけ出す。実施形態はさらに、ダブルブッキングルールを無視して予約の割り当てを実行するタイプの「ラグランジュ緩和」を実行する。次いで、実施形態は、ダブルブッキングされた部屋に対するペナルティを追加し、ダブルブッキングがなくなるまでペナルティを増加させ続ける。
【0045】
実施形態は、2つの制約を利用して図3の最適化325を実行する以下の整数計画法定式化を使用する。
【0046】
表記法:
・aij=部屋iを予約jに割り当てる「コスト」
・xij=割り当て決定変数;部屋iが実現不可能であればxij∈{0,1};xij=0
・minΣijijij
・∀j:Σi∈Iij=1および∀i∈I,∀t:Σj∈Jtij≦1(すなわち、2つの制約)を受け、
式中、Jは日tにおいて「アクティブな」予約のセットである。
【0047】
【数2】
【0048】
図6は、実施形態に係る、ネットワークフロー構築を示す図である。図6は、2つの予約を示しており、そのうちの一方(予約A)は1日目から開始し、他方(予約B)は2日目から開始する。矢印は、取り得る全ての考えられる経路を表し、太い矢印(たとえば、矢印601~604)は、選択された最適化された経路を表す。図6は、上記の多品種フロー構築を表す。図6において、ノードは、特定の部屋に対応する行および計画期間の日に対応する列に配置されている。各々の水平のリンクは、宿泊に対応する。斜めのリンクは、予約のチェックインおよびチェックアウトに対応する。各予約は、理論的には、到着日のチェックイン時に任意の部屋に割り当てられることができ、そのため、出発日のチェックアウトで終了する経路を形成する。図6は、簡単な例であり、実際の例は、部屋数×日数にも部屋数×予約数にも対応するノードおよび考えられる経路を含み得る。
【0049】
【数3】
【0050】
図7は、実施形態に係る、図1の部屋割り当て最適化モジュール16の機能を示すフロー図である。図7は、特に図3の最適化325の機能に焦点を当てている。
【0051】
702において、最適化は、部屋ダブルブッキング制約を緩和し、1日当たりのダブルブッキング部屋ペナルティをゼロに設定し、ペナルティ更新ステップを最初に構成された値に設定することによって、初期化される。一実施形態では、702において、ソリューションは、図3の305、303および304の宿泊客の満足および運営効率要素からそれぞれ得られたコストを使用して、初期化される。さらに、702において、ラグランジュペナルティがゼロに設定されて、ペナルティ更新ステップが0.01という初期値に設定される。
【0052】
704において、計画期間の各日について、ダブルブッキング制約を緩和し、各々の1日当たりの部屋ペナルティを使用して当日予約の部屋割り当て問題を解く。704において、整数計画法定式化の上記のラグランジュ緩和を解く。
【0053】
706において、ダブルブッキングがあるか否かを判断する。706は、どの宿泊についても部屋がダブルブッキングされていないことを確認することによって問題の実現可能性を確認する。ダブルブッキングがあり、かつ、反復制限に到達していなければ(すなわち、706においてyes)、708において、反復制限に到達しているか否かを判断する。一実施形態では、反復制限は10に設定される。
【0054】
708においてnoであれば、710において、上記のラグランジュ緩和を使用して、部屋ダブルブッキングレベルに基づいて1日当たりの部屋ペナルティを更新する。704において、機能が再開/反復する。
【0055】
708においてyesであれば(すなわち、反復制限に到達していれば)、712において、計画期間の各日について、実施形態は、当日に予約された部屋を除去することによってダブルブッキング制約を尊重し、各々の1日当たりの部屋ペナルティを使用して当日予約の部屋割り当て問題を解く。712において、ハードなダブルブッキング制約を課して、部屋割り当てについての以前に計算されたラグランジュペナルティを使用して問題を日ごとに解く。
【0056】
706においてnoであれば(すなわち、ダブルブッキングが見つからなければ)、または712の後に、714において、実現可能なソリューションを見つけ出す(すなわち、部屋割り当ては最適である)。
【0057】
実施形態が公知の最適なMILPソリューションに近い結果を得ながらコンピュータの機能を向上させることを実験結果は実証している。実験は、1,000個の部屋、~150の1日当たりの到着、平均4日間の滞在、および7日から21日までさまざまである計画期間を使用した。
【0058】
図8Aは、本発明の実施形態に係る、目的関数値対予約数を示すグラフである。目的関数は、ホテル運営コスト要素と所望の部屋特徴をホテル宿泊客に提供しないコストとを含む割り当てコストを表す上記のソリューションの全体コストである。最適化目的がコストの最小化であるので、値が低くなればソリューションがよりよくなる。801は最適なMILPソリューションを表し、802は実施形態に係るソリューションを表す。示されているように、Y軸の目的関数値当たり、両方のソリューションが同様の結果を提供している。図8Bは、本発明の実施形態に係る、実行時間対予約数を示すグラフである。803は最適なMILPソリューションを表し、804は実施形態に係るソリューションを表す。示されているように、予約数が増加するにつれて、MILPソリューションの必要な実行時間は実質的に増加するが、本発明の実施形態の実行時間は比較的低く一定のままである。したがって、本発明の実施形態ではコンピュータの機能が向上する。
【0059】
現在のところ、公知のホテル管理ソリューションにより、部屋割り当ての大半は、到着する宿泊客について毎日ホテルオペレータによって手動で行われており、多くの時間および労力がかかっている。実施形態は、品質を維持または向上させながら部屋割り当てプロセスの自動化を可能にする。1日の早い時刻に部屋割り当てを決定することによって、割り当てられた部屋を清掃して準備するための追加の時間が可能になる。最適化された部屋予約が決定されると、実施形態は、専門の機器を応答して動作させる制御信号を生成する。たとえば、ジェネリックキーブランクをプログラムするかまたは新たなキーを作成することができるルームキー生成機は、これらの制御信号を受信して、割り当てられた決定された部屋のための対応するキーを生成する。さらに、ロボット装置は、割り当てられた部屋に入るための制御信号を受信して、部屋の清掃および適切な補給品がストックされていることの確認(または、必要であれば補給品の提供)、ならびに(たとえば、部屋が新たな到着を受け入れる準備が整っているか否かを判断するための)必要な部屋検査の実行を手助けすることができる。
【0060】
開示されているように、部屋割り当て最適化システムの実施形態は、ホテルの運営および宿泊客の経験の両方のニーズに応えることができる高品質のソリューションを提供しながら、部屋割り当てプロセスをスピードアップする。それは、いかなる第三者ソフトウェアにも頼ることなく非常に軽量のソフトウェアアーキテクチャをデプロイすることによって、自動化されたソリューションを提供し、ライセンスコストも節約する。実施形態が1分未満の計算実行時間以内に部屋を数千の予約に割り当てることができることを実験は示している。さらに、実施形態は、運営効率または宿泊客の満足についてホテルの希望に従った割り当てのカスタマイズされた実行を可能にし、それらは旅行季節またはホテルタイプに基づいて切り換えることができる。
【0061】
いくつかの実施形態が本明細書に具体的に示されおよび/または記載されている。しかし、開示されている実施形態の変形例および変更例が、本発明の精神および所期の範囲から逸脱することなく、上記の教示によって、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B