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特許7599436粒子を相互接続するポリマー要素を含むフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】粒子を相互接続するポリマー要素を含むフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241206BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20241206BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20241206BHJP
   B32B 5/22 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/01
B32B27/20 Z
B32B5/22
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021567911
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 IB2020054484
(87)【国際公開番号】W WO2020230024
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】62/848,287
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】アチャリャ,ブハラット アール.
(72)【発明者】
【氏名】デヘン,デレク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ギヴォット,ブラッドレイ エル.
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジャエウォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ヨン ケイ.
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-093759(JP,A)
【文献】特開2001-040330(JP,A)
【文献】特開2017-057258(JP,A)
【文献】特開2017-179061(JP,A)
【文献】米国特許第05525663(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0294729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268625(US,A1)
【文献】国際公開第2018/116127(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/179474(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
B32B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料と、その中に分散された複数の粒子とを含むフィルムであって、
前記ポリマー材料は、実質的に同じ第1の方向に沿って配向され、前記粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも1つの第1の細長ポリマー要素の細長末端部は、前記細長末端部の全長に沿って前記複数の粒子のうちの第1の粒子に適合かつ結合しており、
前記複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも1つの第2の細長ポリマー要素の細長中間部は、前記細長中間部の全長に沿って前記複数の粒子のうちの第2の粒子に適合かつ結合しており、
前記第2の細長ポリマー要素は、前記細長中間部分の両端から、前記第2の粒子から離れる方向に延びている、フィルム。
【請求項2】
前記複数の粒子のうちの前記粒子が、約50パーセントを超える体積容量で前記ポリマー材料中に分散している、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記複数の粒子のうちの前記粒子が、中空であり、約1ミクロンを超える平均サイズを有する、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
ポリマー材料と、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを、含むフィルムであって、
前記ポリマー材料は、前記粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記複数の細長ポリマー要素のうちの一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素は、複数の離間した細長部分を含み、
前記複数の離間した細長部分の各細長部分は、前記細長部分の全長に沿って前記複数の粒子のうちの1つの粒子に適合かつ結合し、
前記ポリマー要素は、前記細長部分の両端から、前記粒子から離れる方向に延びている、フィルム。
【請求項5】
前記複数の離間した細長部分が、少なくとも3つの細長部分を含む、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記複数の粒子の体積の、前記ポリマー材料の体積に対する比が、少なくとも5である、請求項4又は5に記載のフィルム。
【請求項7】
対向する非多孔質の第1及び第2の保護層の間に配置され、且つそれらに結合された多孔質中間層を含む多層フィルムであって、前記多孔質中間層は、
複数の中空粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素と、
前記複数の細長ポリマー要素及び中空粒子によって画定される複数の相互接続された空隙と、
を備える多層フィルムであって、約2.5GHzの周波数での前記フィルムの誘電率の実数部は約1.4未満である、多層フィルム。
【請求項8】
約2.5GHzの周波数での前記フィルムの誘電率の虚数部の、前記実数部に対する比が、約0.004未満である、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記複数の粒子のうちの前記粒子が、約50パーセントを超える体積容量で前記多孔質中間層中に分散している、請求項7又は8に記載の多層フィルム。
【請求項10】
対向する第1及び第2の保護層の間に配置され、且つそれらに結合された中間層を含む、多層フィルムであって、
前記中間層は、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記複数の粒子のうちの少なくとも1対の第1及び第2の粒子について、及び前記複数の細長ポリマー要素のうちの一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素について、前記要素の第1の端部は前記第1の粒子で終了し、前記要素の反対側の第2の端部は前記第2の粒子で終了する、多層フィルム。
【請求項11】
前記一部の複数の細長ポリマー要素における前記細長ポリマー要素が、互いに実質的に平行である、請求項10に記載の多層フィルム。
【請求項12】
対向する第1及び第2の層の間に配置され、且つそれらに結合された中間層を含む、多層フィルムであって、
前記中間層は、ポリマー材料と、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の中空粒子を含み、
前記ポリマー材料は、前記粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記多層フィルムは、室温で毎秒約5ニュートン以下の引張荷重速度で少なくとも15%の破断点伸びを有し、
前記多層フィルムを内側半径が最大1.5mmとなるように曲げ位置で曲げることが、前記曲げ位置における前記中間層への損傷を全く又はほとんどもたらさない、多層フィルム。
【請求項13】
フィルムを製造する方法であって、前記フィルムは、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含み、前記方法は、
第1の温度で混合物を提供することであって、前記混合物は、前記複数の粒子、前記ポリマー、及び前記第1の温度より高い第2の温度では前記ポリマーの溶媒であるが、前記第2の温度より低い前記第1の温度では前記ポリマーの溶媒でない成分を含む、提供することと、
前記混合物を第1及び第2の剥離表面との間に配置することと、
前記混合物を前記第2の温度に加熱することと、
前記混合物に第1の圧力を印加することと、
前記混合物を冷却して、前記成分からの前記ポリマーの相分離を誘導することと、
前記混合物を前記第1及び第2の剥離表面のうちの少なくとも1つから分離することと、を含み、
前記混合物を冷却する前の少なくとも第1の時間間隔の間、前記混合物は、前記第2の温度で前記第1の圧力下にあり、前記第1の圧力は、前記ポリマーを流動させる程度に十分に高い、方法。
【請求項14】
フィルムを製造する方法であって、前記フィルムは、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含み、前記方法は、
前記複数の粒子、前記ポリマー、及び第1の温度より高い第2の温度では前記ポリマーの溶媒であるが、前記第2の温度より低い前記第1の温度では前記ポリマーの溶媒でない成分を提供することと、
前記複数の粒子、前記ポリマー、及び前記成分を、前記第2の温度でストリームに押し出すことと、
前記ストリームをニップに通すことと、
前記ストリームを前記第1の温度に冷却して、前記成分からの前記ポリマーの相分離を誘導することであって、前記ニップは、前記相分離前又は前記相分離中に前記ストリームに圧力を与える、冷却して誘導することと、含む方法。
【請求項15】
フィルムを製造する方法であって、前記フィルムは、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、前記方法は、
前記複数の粒子、約10g/mol超の数平均分子量を有するポリマー、及び第1の温度より高い第2の温度では前記ポリマーの溶媒であるが、前記第2の温度より低い前記第1の温度では前記ポリマーの溶媒でない成分を提供することと、
前記ポリマーと前記成分との混和性溶液中に分散した前記複数の粒子を含む層を形成することと、
前記ポリマーが前記複数の細長ポリマー要素を形成するように、前記層が圧力下にある間に、前記成分からの前記ポリマーの相分離を誘導することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フィルムは、ポリマー結合剤中に分散した粒子を含んでもよい。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様において、ポリマー材料及び複数の粒子を含むフィルムが記載される。ポリマー材料は、異方性配向分布を有し、粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含む。
【0003】
本明細書のいくつかの態様において、ポリマー材料と、その中に分散された複数の粒子とを含むフィルムが提供される。ポリマー材料は、実質的に同じ第1の方向に沿って配向され、粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素(elongate polymeric element)を含む。複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも1つの第1の細長ポリマー要素の細長末端部(elongate end portion)は、細長末端部の全長に沿って複数の粒子のうちの第1の粒子に適合かつ結合される。複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも1つの第2の細長ポリマー要素の細長中間部(elongate mid portion)は、細長中間部の全長に沿って複数の粒子のうちの第2の粒子に適合かつ結合し、第2の細長ポリマー要素は、細長中間部分の両端から、第2の粒子から離れる方向に延びている。
【0004】
本明細書のいくつかの態様において、ポリマー材料と、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを、含むフィルムが提供される。ポリマー材料は、粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含む。複数の細長ポリマー要素のうちの一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素は、複数の離間した細長部分を含む。複数の離間した細長部分の各細長部分は、細長部分の全長に沿って複数の粒子のうちの1つの粒子に適合かつ結合し、ポリマー要素は、細長部分の両端から、粒子から離れる方向に延びている。
【0005】
本明細書のいくつかの態様において、対向する非多孔質の第1及び第2の保護層の間に配置され、且つそれらに結合された多孔質中間層を含む多層フィルムが提供される。多孔質中間層は、複数の中空粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素と、複数の細長ポリマー要素及び中空粒子によって画定される複数の相互接続された空隙と、を備える。約2.5GHzの周波数でのフィルムの誘電率の実数部は、約1.4未満である。
【0006】
本明細書のいくつかの態様において、対向する第1及び第2の保護層の間に配置され、且つそれらに結合された中間層を含む多層フィルムが提供される。中間層は、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含む。複数の粒子のうちの少なくとも1対の第1及び第2の粒子について、及び複数の細長ポリマー要素のうちの一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素について、要素の第1の端部は第1の粒子で終了し、要素の反対側の第2の端部は第2の粒子で終了する。
【0007】
本明細書のいくつかの態様において、対向する第1の層及び第2の層の間に配置され、且つそれらに結合された中間層を含む多層フィルムが提供される。中間層は、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の中空粒子を含む。多層フィルムは、室温で毎秒約5ニュートン以下の引張荷重速度で少なくとも15%の破断点伸びを有する。多層フィルムを内側半径が最大1.5mmとなるように曲げ位置で曲げることが、曲げ位置における中間層への損傷を全く又はほとんどもたらさない。
【0008】
本明細書のいくつかの態様において、フィルムを作製する方法が提供される。本方法は、ポリマーが異方性配向分布を有する複数の細長ポリマー要素を形成するように、より高い温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い温度ではポリマーの溶媒でない成分からのポリマーの相分離を誘導することを含む。いくつかの実施形態において、フィルムは、複数の粒子を含み、複数の細長ポリマー要素は、粒子を相互接続する。
【0009】
本明細書のいくつかの態様において、フィルムを作製する方法が提供される。フィルムは、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含む。本方法は、第1の温度で混合物を提供することであって、混合物は、複数の粒子、ポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分を含む、提供することと、混合物を第1及び第2の剥離表面との間に配置することと、混合物を第2の温度に加熱することと、混合物に第1の圧力を印加することと、混合物を冷却して、成分からのポリマーの相分離を誘導することと、混合物を第1及び第2の剥離表面のうちの少なくとも1つから分離することと、を含む。混合物を冷却する前の少なくとも1回の第1の時間間隔の間、混合物は、第2の温度で第1の圧力下にある。第1の圧力は、ポリマーを流動させる程度に十分に高い。
【0010】
本明細書のいくつかの態様において、フィルムを作製する方法が提供される。フィルムは、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含む。本方法は、複数の粒子、ポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分を提供することと、複数の粒子、ポリマー、及び成分を、第2の温度でストリームに押し出すことと、ストリームをニップに通すことと、ストリームを第1の温度に冷却して、成分からのポリマーの相分離を誘導することであって、ニップは、相分離前又は相分離中にストリームに圧力を与える、冷却して誘導することと、を含む。
【0011】
本明細書のいくつかの態様において、フィルムを作製する方法が提供される。フィルムは、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含む。本方法は、複数の粒子、約10g/mol超の数平均分子量を有するポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分を提供することと、ポリマーと成分との混和性溶液中に分散した複数の粒子を含む層を形成することと、ポリマーが複数の細長ポリマー要素を形成するように、層が圧力下にある間に、成分からのポリマーの相分離を誘導することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】フィルムの一部の概略上面図である。
図2】粒子を相互接続する細長ポリマー要素の概略図である。
図3】中空粒子の概略断面図である。
図4】コーティングされた中空粒子の概略断面図である。
図5】多層フィルムの概略断面図である。
図6】曲がったフィルムの概略断面図である。
図7A】フィルムを作製する方法を概略的に示す。
図7B】フィルムを作製する方法を概略的に示す。
図7C】フィルムを作製する方法を概略的に示す。
図7D】フィルムを作製する方法を概略的に示す。
図7E】フィルムを作製する方法を概略的に示す。
図7F】フィルムを作製する方法を概略的に示す。
図8】フィルムを製造する方法の概略図である。
図9】フィルムの部分の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図10】フィルムの部分の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図11】様々なフィルムの引張応力対引張ひずみのプロットである。
図12】様々なフィルム対周波数の誘電率のプロットである。
図13】様々な構造を介した測定された伝送損失のプロットである。
図14】様々な構造を介した計算された伝送損失のプロットである。
図15】様々な構造から計算された反射係数のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されるべきでない。
【0014】
ポリマー層に、脆弱な(例えば、機械的に脆弱な)粒子を高負荷(high loading)で充填することが望ましい場合がある。例えば、フィルムの誘電率を低下させるために、ポリマーフィルムにグラスバブルズを充填することが望ましい場合がある。しかしながら、グラスバブルズ又は他の脆弱な粒子は、例えば、押出成形などの従来のフィルム方法で使用される高圧に耐えることができない。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の方法を使用して、ポリマー層内にグラスバブルズ又は他の脆弱な粒子を高体積容量で提供することができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、実質的に全ての利用可能なポリマーを利用して粒子を一緒に結合することを可能にし、それにより、得られたフィルムに高強度を与える。粒子は、脆弱であってもよく、又は所望の用途に応じて他の種類の粒子が利用されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、空気によって占有される体積分率が大きいため、低い誘電率を有する中空(例えば、グラスバブルズ)粒子である。いくつかの実施形態において、得られたフィルムは、低い誘電率(例えば、2.5GHz若しくは9.5GHzの周波数で、又は例えば、60GHz~90GHz若しくは72~82GHzの周波数範囲全体で、誘電率の実数部が約1.5未満、又は約1.4未満、又は約1.35未満)及び/又は低いtanδ(例えば、2.5GHz又は9.5GHzの周波数で、又は例えば、60GHz~90GHz若しくは72~82GHzの周波数範囲全体で、約0.005未満、又は約0.004未満、又は約0.003未満、又は約0.0025未満、又は約0.002未満)を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書のフィルムは、例えば、自動車用レーダーユニットと自動車の外部との間の伝送損失を低減するために使用される。場合によっては、レードームと空気との間、及び/又は空気とバンパー材料との間の伝送損失は、レードームと空気との間、又は空気とバンパー材料との間の誘電率の差による反射のために発生する。このような反射はまた、望ましくない「ゴーストイメージ(ghost imaging)」をもたらし得る。実施例に示すように、伝送損失は、例えば、空気とバンパーで使用される典型的な材料との間の誘電率中間体を有する層を提供するために、本明細書のフィルムを使用することによって低減することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるフィルムを含むバンパーが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるフィルムを含むレードームが提供される。
【0018】
本明細書で使用する場合、「混和性」は、物質が全ての割合で混合(すなわち、任意の濃度で互いに完全に溶解)して、溶液を形成する能力を指し、いくつかの溶媒ポリマー系については、ポリマーが溶媒と混和するために、熱が必要な場合もある。対照的に、かなりの割合で溶液を形成しない場合、物質は非混和性である。例えば、ブタノンは水に著しく可溶であるが、これらの2種の溶媒は、全ての割合で可溶ではないため、混和性ではない。場合によっては、成分は、より高温ではポリマー用の溶媒である(すなわち、ポリマーは成分と混和性である)が、より低い温度ではポリマー用の溶媒ではない。より高温では、ポリマー及び成分は、混和性ポリマー溶媒溶液を形成する。温度が低下すると、成分はポリマーのための溶媒ではなく、ポリマーは、次いで、成分から相分離してポリマーネットワークを形成し得る。相転移が温度の変化によって誘導される場合、相分離は、熱誘起相分離(TIPS)プロセスと呼ばれることがある。
【0019】
TIPSプロセスにおいては、高温を使用して非溶媒をポリマーの溶媒とし、次いで温度を下げて、溶媒をポリマーの非溶媒に戻す。TIPSプロセスにおいて使用する溶媒は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。本明細書のいくつかの実施形態において、多層フィルム中のフィルム又は層は、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含むポリマー材料を含む。ポリマー材料及び複数の粒子は、ポリマーマトリックス複合体と称されてもよい。
【0020】
本明細書に記載の方法を使用してポリマーマトリックス複合体を作製する際に、スラリーは、比較的高い粒子充填量(particle loading)で作製することができ、溶媒成分が加熱されてポリマーと混和性になるときにその形態を維持する層に成形することができることが見出された。使用される溶媒は揮発性であり得、後で蒸発させることができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する方法により、所望の有用な物品に加工する、比較的高い粒子充填量をもたらすことができる。本明細書に記載する方法の実施形態により提供される、比較的高い充填の物品の実施形態により、充填剤粒子との結合剤接触を比較的少なくし、比較的高い多孔質の物品をもたらすことができる。このような開口性により、従来の粒子結合系中に存在するマスキング効果を著しく低下させることができ、また、比較的高い表面活性の粒子又は多孔質物品中の活性粒子の、液体又は気体への曝露を促進することができる。いくつかの実施形態において、この開口性は、低誘電率及び低誘電損失の提供に寄与する(例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー材料の相分離モルフォロジーは、ポリマー材料よりも実質的に低い誘電率を有する空気の高体積分率をもたらす可能性がある)。
【0022】
TIPSを利用してフィルムを作製する以前の方法は、アクティブ法及びパッシブ法の2つのグループに分類できる。アクティブ法では、粒子、結合剤ポリマー、及びその溶媒は、高温で活発に混合されてポリマー(ポリマー粒子として提供される場合がある)をその溶媒に溶解し、混合物を(例えば、実験室規模で)ホットプレスすることによって、又は加熱されたダイを通して(例えば、大規模又は製造規模で)押出成形することによって、ブレンドを所望のフォームファクタに成形する。その最終形態の高温のフィルムは、相分離が生じるより低い温度に急冷される。パッシブ法では、粒子、結合剤ポリマー、及び結合剤ポリマーの溶媒は、室温で混合され、スラリーは、最初に2つのライナーの間にコーティングするか、又は所定のキャビティを充填することによって、その所望のフォームファクタに成形され、フィルムは、オーブンで硬化されてポリマーが溶媒中に溶解する。次いで、相分離が起こるように、高温のフィルムをより低い温度に急冷する。
【0023】
アクティブ法は、ポリマーの均一な混合を可能にし、ポリマー鎖を実質的に完全に解きほぐし、それにより、利用可能なポリマーを実質的に完全に利用することを可能にする。この方法はまた、原材料を押出機に直接供給することを可能にする。しかしながら、この方法にはいくつかの重要な制限がある:第1に、蒸気圧が低く(例えば、鉱油など)及び/又は沸点が高いことが好ましい溶媒はごくわずかであるため、溶媒抽出法でフィルムから溶媒を抽出する必要があり得る。第2に、溶解したポリマーを含むスラリーは、通常、高粘度であり、スラリーを所望のフォームファクタに成形するために、通常、高圧が必要である。したがって、アクティブ法は、典型的には、機械的圧力を受けやすい脆弱な粒子(例えば、グラスバブルズ)の使用には好適ではない。押出法中に適用される高圧及び剪断は、例えば、押出成形中に誘発されるひずみに起因して、粒子の機械的破断、又は所望の特性の損失をもたらし得る。
【0024】
パッシブ法は、高蒸気圧溶媒の使用を可能にし、溶媒定格オーブン内で容易に揮発する可能性のある複数の溶媒の影響を受けやすく、溶媒抽出法の必要性を排除する。ポリマー粒子は溶媒中に溶解されないため、スラリーは、小さな圧力で容易に拡散することができる。したがって、この方法は、加工中に機械的損傷を受けやすい粒子を処理するために使用することができる。しかしながら、ポリマー粒子は、溶媒中で能動的に混合又は撹拌されないため、局所濃度勾配が生成されてもよく、ポリマー粒子は溶媒中に完全に溶解しない場合がある。更に、フィルム中にアクティブな流れ/混合がないため、急冷後に予想されるポリマーのもつれは、典型的には十分ではなく、より弱いフィルムにつながり、それによって、フィルムに充填され得る粒子の量を制限する。
【0025】
本明細書によれば、上記のアクティブ手法及びパッシブ手法の両方の利点を有するフィルムを作製する方法が提供される。ポリマーがコーティングされたフィルムに溶解された後に、(例えば、小さい)圧力を加えることによって、ポリマーは、粒子を損傷することなく能動的に流動するように強制され得、堅牢なフィルムを形成することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素をもたらす。いくつかの実施形態において、得られたフィルムは、ポリマー材料と、約50%を超える、又は約55%を超える、又は約60%を超える、又は約65%を超える体積容量で(例えば、体積容量は、約50%~約65%であってもよい)その中に分散された複数の粒子とを含む。この体積容量は、粒子によって占有されるポリマー材料を含む層又はフィルムの体積のパーセントを指す。層又はフィルムの体積のかなりの部分が空気によって占められる可能性があるので、粒子及びポリマー材料の体積に基づく体積%(粒子の体積を粒子の体積とポリマー材料の体積との合計で割ったものに100%を掛けたもの)は、ポリマー材料中の粒子の体積容量よりも著しく高くなり得る。いくつかの実施形態において、粒子とポリマーとの体積比(複数の粒子の体積対ポリマー材料の体積の比)は、少なくとも5、又は少なくとも10、又は少なくとも20、又は少なくとも30、又は少なくとも40である。いくつかのこのような実施形態において、粒子とポリマーとの体積比は、100以下、又は50以下、又は40以下である。
【0026】
典型的には、従来の粒子充填複合体(例えば、高密度ポリマーフィルム及び接着剤)において達成することができる最大粒子充填量は、粒子及び結合剤の体積に基づいて、約40~60体積%以下である。従来の粒子充填複合体に60体積%超の粒子を組み込むことは、このような高粒子充填材料が典型的には、コーティング若しくは押出法によって加工することができず、かつ/又は得られる複合体が非常に脆くなるため、達成可能ではない。従来の複合体はまた、典型的には、粒子表面への接近を防止し、起こり得る粒子と粒子との接触を最小化する結合剤によって、粒子を完全に封入する。驚くべきことに、本明細書に記載する方法によって得られる、高レベルの溶媒及び相分離したモルフォロジーは、少量の高分子量結合剤による、高い粒子充填量を可能にする。高い粒子充填量はまた、相分離中に形成し得る薄い非多孔質ポリマー層の形成を、最小化するのにも役立つ。更に、本明細書に記載するポリマーマトリックス複合体は、比較的可撓性であり、粒子が脱落しない傾向がある。
【0027】
理論に束縛されることを望むものではないが、いくつかの用途のための本明細書に記載するポリマーマトリックス複合体の実施形態の別の利点は、粒子が結合剤によって完全にはコーティングされていないことであると考えられ、これによって、結合剤の多孔質な性質のため、マスキングがなく、高度の粒子表面接触が可能になる。複合体マトリックスの多孔質の性質により、粒子間隙孔を介した流体力学的流動又は高速拡散が可能になる。より低速の拡散輸送は、典型的には、多孔質粒子媒体のより小さい孔を介して生じる。保持された粒子の高い開口表面積は、この低速拡散輸送効果を低減し、デプスフィルタ濾材で典型的に見られるような高い分離能及び分離容量をもたらすのに役立つ。高分子量結合剤はまた、溶媒不在下で、高温(例えば135℃)でも容易には流動しないことから、蒸気滅菌が可能である。いくつかの実施形態において、多孔質層は、従来の多孔質フィルムと比較して、より均一な孔径分布を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックス複合層を含むフィルムは、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、その誘電特性に使用される。いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックス複合層の誘電特性に実質的に影響を与えることなく、追加の層(例えば、保護層)が(例えば、改善された機械的特性のために)含まれる。
【0029】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む、本質的にこれらからなる、又はこれらからなる場合がある。例示的な熱可塑性ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリ乳酸)、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリペプチド)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド)、ポリカーボネート(例えば、ビスフェノール-A-ポリカーボネート)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアクリレート(例えば、アクリレート官能基を含有するモノマーの付加重合から形成される熱可塑性ポリマー)、ポリメタクリレート(例えば、メタクリレート官能基を含有するモノマーの付加重合から形成される熱可塑性ポリマー)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、スチレン及びスチレン系のランダムコポリマー及びブロックコポリマー、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、フッ素化ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン;テトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレンと、フッ化ビニリデンとのコポリマー;エチレンと、テトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー;並びにポリテトラフルオロエチレン)、並びにエチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーとしては、ホモポリマー、又はコポリマー(例えば、ブロックコポリマー若しくはランダムコポリマー)が挙げられる。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーの混合物(例えば、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物、又はポリエチレンとポリアクリレートとの混合物)を含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリエチレン(例えば、超高分子量ポリエチレン)、ポリプロピレン(例えば、超高分子量ポリプロピレン)、ポリ乳酸、ポリ(エチレン-co-クロロトリフルオロエチレン)、及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つであってよい。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、単一の熱可塑性ポリマーである(すなわち、少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーの混合物ではない)。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン(例えば、超高分子量ポリエチレン)から本質的になる、又はポリエチレンからなる。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載するフィルムを作製するために使用する熱可塑性ポリマーは、1000マイクロメートル未満(いくつかの実施形態においては、1~10、10~30、30~100、100~200、200~500、500~1000マイクロメートルの範囲)の粒径を有する粒子の形態である。
【0031】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、スチレン若しくはスチレン系のランダムコポリマー及びブロックコポリマー、塩素化ポリマー、フッ素化ポリマー、又はエチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、フィルムは、約10g/mol超の数平均分子量を有するポリマーを使用して形成される。いくつかの実施形態において、細長ポリマー要素を形成するポリマー又はポリマー材料は、5×10~1×10g/molの範囲(いくつかの実施形態においては、1×10~8×10、2×10~6×10、又は更には3×10~5×10g/molの範囲)の数平均分子量を有する。本明細書の目的のため、数平均分子量は、当該技術分野において既知の技術(例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC))によって測定することができる。GPCは、熱可塑性ポリマーに対する好適な溶媒中、分子量分布の狭いポリマー標準(例えば、分子量分布の狭いポリスチレン標準)の使用を伴って、実施され得る。熱可塑性ポリマーは、一般に、部分的に結晶質であることを特徴とし、融点を示す。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、120~350℃の範囲(いくつかの実施形態においては、120~300、120~250、又は更には120~200℃の範囲)に融点を有し得る。熱可塑性ポリマーの融点は、当該技術分野において既知の技術(例えば、5~10mgのサンプルによって、サンプルが窒素雰囲気下にある間、10℃/分の加熱走査速度で実施される、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)試験におけるオンセット温度の測定)によって測定することができる。
【0033】
溶媒成分(例えば、少なくともいくつかの温度のためのポリマーの溶媒である成分)は、混和性ポリマー溶媒溶液を形成するように選択される。溶媒は、少なくとも2種の個々の溶媒のブレンドであってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーがポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンのうちの少なくとも1つ)である場合、溶媒は、例えば、鉱油、テトラリン、デカリン、オルトジクロロベンゼン、シクロヘキサン-トルエン混合物、ドデカン、パラフィン油/ワックス、ケロシン、イソパラフィン流体、p-キシレン/シクロヘキサン混合物(1/1重量/重量)、カンフェン、1,2,4トリクロロベンゼン、オクタン、オレンジ油、植物油、ヒマシ油、又はパーム核油のうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの実施形態において、ポリマーがポリフッ化ビニリデンである場合、溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、又は1,2,3トリアセトキシプロパンのうちの少なくとも1つであり得る。溶媒は、例えば、蒸発によって除去され得る。高蒸気圧溶媒が、この除去方法に特に適している。しかしながら、第1の溶媒が低い蒸気圧を有する場合、蒸気圧の高い第2の溶媒によって第1の溶媒を抽出し、続いて、第2の溶媒の蒸発を行うことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、鉱油を第1の溶媒として使用する場合、高温(例えば、約60℃)のイソプロパノール、又はメチルノナフルオロブチルエーテル(COCH)と、エチルノナフルオロブチルエーテル(COC)と、trans-1,2-ジクロロエチレンとのブレンド(例えば、3M Company,St.Paul,MNから商品名「NOVEC 72DE」で入手可能)を第2の溶媒として使用して、第1の溶媒を抽出し、続いて、第2の溶媒の蒸発を行うことができる。いくつかの実施形態において、植物油又はパーム核油のうちの少なくとも1つを第1の溶媒として使用する場合、高温(例えば、約60℃)のイソプロパノールを第2の溶媒として使用することができる。いくつかの実施形態において、エチレンカーボネートを第1の溶媒として使用する場合、水を第2の溶媒として使用することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、追加の機能性を付与するために、又は加工助剤として作用するための、少量の他の添加剤をポリマーマトリックス複合体に添加することができる。これらとしては、粘度調整剤(例えば、ヒュームドシリカ、ブロックコポリマー、及びワックス)、可塑剤、熱安定剤(例えば、BASF(Ludwigshafen、ドイツ)から、商品名「イルガノックス1010」で入手可能なものなど)、抗微生物剤(例えば、銀及び第四級アンモニウム)、難燃剤、酸化防止剤、染料、顔料、及び紫外線(UV)安定剤が挙げられる。
【0035】
典型的には、混合物又はスラリーを連続的に混合又はブレンドして、溶媒からポリマー及び/又は粒子の、沈降又は分離を防止又は低減する。いくつかの実施形態において、捕捉された空気を除去するため、当該技術分野において既知の技術を使用して、スラリーを脱気する。
【0036】
ナイフコーティング、ロールコーティング(例えば、画定されたニップに通すロールコーティング)、及び適切な寸法又はプロファイルを有する任意の数の異なるダイを通してコーティングすることを含む、当該技術分野において既知の技術を使用して、スラリーを物品(例えば、フィルム)に形成することができる。
【0037】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態において、組み合わせる(例えば、ポリマー、粒子、及び成分(いくらかの温度での溶媒)を混合又はブレンドする)ことは、ポリマーの融点未満及び溶媒の沸点未満の温度(例えば、より低い第1の温度)で実施される。
【0038】
本明細書に記載する方法のいくつかの実施形態において、混合物(又はスラリー)は、混和性熱可塑性ポリマー溶媒溶液の融点を超え、かつ溶媒の沸点未満のより高い第2の温度で加熱される。
【0039】
本明細書に記載する方法のいくつかの実施形態において、相分離を誘起することは、スラリー中のポリマーの融点未満の少なくとも1つの温度で実施される。理論に束縛されることを望むものではないが、いくつかの実施形態において、ポリマーと混和性のブレンドを製造するために使用する溶媒は、ポリマー中の融点降下を生じ得ると考えられる。本明細書に記載する融点は、ポリマー溶媒系の任意の融点降下のものを含む。
【0040】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素構造を含むポリマー材料を含むフィルム又は層は、相分離中に形成され得る。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、混和性熱可塑性ポリマー溶媒溶液の誘起相分離によってもたらされる。いくつかの実施形態において、相分離は、(例えば、加熱中に使用した温度より低い温度に急冷することによる熱誘起相分離(TIPS)によって)熱的に誘起される。冷却は、例えば、空気中、液体中、又は固体界面上でもたらすことができ、相分離を制御するために変動させてもよい。ポリマー材料は、本来的に多孔質であってもよい(すなわち、孔を有してもよい)ネットワーク構造を形成し得る。孔の構造は開口されていてもよく、これにより、フィルム又は層の内側領域からフィルム又は層の外表面への流体連通、及び/又はフィルム又は層の第1の表面と反対側にあるフィルム又は層の第2の表面との間の流体連通が可能になる。
【0041】
本明細書に記載する方法のいくつかの実施形態において、溶媒の、ポリマーに対する重量比は、少なくとも9:1である。いくつかの実施形態において、粒子の、ポリマーに対する体積比は、少なくとも9:1である。いくつかの実施形態において、製造を容易にするため、室温で層を形成することが望ましい場合がある。典型的には、相分離を用いた層の形成中、比較的小さい孔は、溶媒抽出中に特に崩壊しやすい。本明細書に記載する方法によって達成可能な、比較的高い粒子のポリマーへの充填量は、孔の崩壊を低減させ、より均一で欠陥のないポリマーマトリックス複合体をもたらし得る。
【0042】
本明細書に記載するフィルムのいくつかの実施形態において、粒子は、ポリマーマトリックス複合体の総重量(いずれの溶媒も除く)に基づいて、1~99重量パーセントの範囲(いくつかの実施形態においては、15~99、25~98、50~98、75~98又は更には93~97重量パーセントの範囲)で存在するものであり、例えば使用される特定の粒子に応じて変化し得る。
【0043】
ポリマー材料は、粒子を相互接続して多孔質ネットワーク構造を形成し得る。ポリマー材料は、ポリマーフィブリルなどの細長ポリマー要素を含み、例えば、ノジュール、ノード、オープンセル、クローズドセル、リーフィーレース、ストランド、ノード、球、又はハニカムを含み得る複数の相互接続されたモルフォロジーを更に含み得る。ポリマー構造は、粒子の表面に直接接着し、粒子の結合剤として作用し得る。この点に関して、隣接する粒子(例えば、粒子又は集塊化した粒子)同士の間の空間は、固体マトリックス材料とは対照的に、ポリマー構造を含んでもよく、それにより所望の空孔を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態において、粒子は、ポリマー材料内に拡散しており、その結果、粒子の個々の単位(例えば、個々の粒子又は個々の集塊化した粒子)の外表面は大部分が、ポリマー材料による接触又はコーティングをされていない。この点に関して、いくつかの実施形態において、個々の粒子の外表面に関する、ポリマー材料の平均百分率面積被覆(すなわち、ポリマー材料と直接接触している外表面積の百分率)は、個々の粒子の外表面の総表面積に基づいて、50パーセント以下(いくつかの実施形態においては、40、30、25、20、又は更には10パーセント以下)である。
【0045】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、内部の空孔に浸透しておらず、又は個々の粒子(例えば、個々の粒子又は個々の集塊化した粒子)の内表面の領域は大部分が、ポリマーネットワーク構造による接触又はコーティングをされていない。
【0046】
例示的な粒子としては、中空粒子、音響活性粒子、軟磁性粒子、硬磁性粒子、熱伝導性粒子、断熱性粒子、発泡性粒子(intumescent particle)、機能性粒子、誘電体粒子、インジケータ粒子、極性溶媒可溶性粒子、極性溶媒膨潤性粒子、導電性粒子、又は吸熱粒子が挙げられる。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態において、粒子は、所定の周波数又は所定の周波数範囲で、低誘電率及び/又は低損失をもたらす中空粒子である。いくつかの実施形態において、中間層が複数の粒子を相互接続する細長ポリマー要素を含む、対向する外層の間に配置された中間層を含む多層フィルムが提供される。いくつかの実施形態において、外層は、例えば、フィルムが摩耗を受けたときに、粒子が中間層から失われるのを防ぐために含まれてもよい。いくつかの実施形態において、外側層を含むことにより、フィルムの機械的特性を実質的に改善する。
【0048】
図1は、ポリマー材料110と、その中に分散された複数の粒子120とを含むフィルム100の一部の概略上面図である。ポリマー材料110は、実質的に同じ第1の方向115に沿って配向され、例えば、中空粒子であり得る粒子120を相互接続する複数の細長ポリマー要素112を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素112のうちの少なくとも1つの第1の細長ポリマー要素114の細長末端部113は、細長末端部113の全長に沿って複数の粒子120のうちの第1の粒子121に適合かつ結合される。いくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素112のうちの少なくとも1つの第2の細長ポリマー要素117の細長中間部116-1は、細長中間部116-1の全長に沿って複数の粒子120のうちの第2の粒子122に適合かつ結合し、第2の細長ポリマー要素117は、細長中間部分116の両端116a、116bから、第2の粒子122から離れる方向に延びている。
【0050】
いくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素112のうちの一部の複数(例えば、117、119)の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素は、複数の離間した細長部分を含む(例えば、細長要素117は、少なくとも3つの離間した細長部分116-1、116-2、及び116-3を含み、細長要素119は、少なくとも3つの離間した細長部分118-1、118-2、及び118-3を含む)。複数の離間した細長部分の各細長部分(例えば、116-1)は、細長部分(例えば、116-1)の全長に沿って複数の粒子120のうちの1つの粒子(例えば、122)に適合かつ結合し、ポリマー要素は、細長部分(例えば、116-1)の両端(例えば、116a、116b)から、粒子122から離れる方向に延びている。いくつかの実施形態において、一部の複数の細長ポリマー要素は、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%の複数の細長ポリマー要素112を含む。いくつかのこのような実施形態において、一部の複数の細長ポリマー要素は、80%以下、又は70%以下、又は60%以下の複数の細長ポリマー要素112を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、複数の粒子120中の少なくとも1対の第1の粒子121及び第2の粒子132について、及び複数の細長ポリマー要素112のうちの一部の複数の細長ポリマー要素(114、134)における各細長ポリマー要素について、要素の第1の端部133は第1の粒子121で終了し、要素の反対側の第2の端部135は第2の粒子132で終了する。いくつかの実施形態において、一部の複数の細長ポリマー要素における細長ポリマー要素は、互いに実質的に平行である(例えば、一般に同じ第1の方向115に沿って延びるが、場合によっては、波打つ、又はそうでなければ第1の方向115の周りで幾分変化する配向を有する)。いくつかの実施形態において、一部の複数の細長ポリマー要素は、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%の複数の細長ポリマー要素112を含む。いくつかのこのような実施形態において、一部の複数の細長ポリマー要素は、80%以下、又は70%以下、又は60%以下の複数の細長ポリマー要素112を含む。
【0052】
細長ポリマー要素112の間の空間は、例えば、空気であり得るか、又は油であり得る材料143で少なくとも部分的に満たされ得る(例えば、満たされる)。いくつかの実施形態において、フィルム100は、複数の粒子120、ポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分(例えば、油)を提供することと、ポリマーが複数の細長ポリマー要素112を形成するように、層が圧力下にある間に、成分からのポリマーの相分離を誘導することと、によって製造される。いくつかのこのような実施形態において、材料143は成分である。他の実施形態において、成分は除去され、材料143は、空気又は成分が除去された後に空間に追加される別の材料である。
【0053】
いくつかの実施形態において、複数の相互接続された空隙147は、複数の細長ポリマー要素112及び中空粒子であり得る粒子120によって定義される。
【0054】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料110は、約10g/mol超の数平均分子量を有するか、又は他の場所に記載される範囲のいずれかである。いくつかの実施形態において、ポリマーは、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態において、複数の粒子120のうちの粒子は、ポリマー材料110中に、約50パーセント超の体積容量で、又は他の場所に記載される範囲のいずれかに分散している。いくつかの実施形態において、複数の粒子120の体積の、ポリマー材料110の体積に対する比は、少なくとも4であるか、又は比は、他の場所に記載される範囲のいずれかであり得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素は、配向の異方性分布を有する(例えば、フィルム又は層内の細長ポリマー要素は、フィルム又は層の平面内で実質的な方向性を有し得る)。
【0056】
ポリマー材料110は、実質的に同じ第1の方向115に沿って配向され(例えば、一般に第1の方向115に沿って延びるが、場合によっては、波打つ、又はそうでなければ第1の方向115の周りで幾分変化する配向を有する)、粒子120を相互接続する複数の細長ポリマー要素112を含む。いくつかの実施形態において、ポリマー材料110及びその中に分散された複数の粒子120を含むフィルム100の一部は、粒子120間の平均中心間間隔(average center-to-center spacing)よりも実質的に大きい寸法を有する(例えば、一部の長さ及び幅のそれぞれは、粒子120間の平均中心間間隔の少なくとも4倍、少なくとも6倍、又は少なくとも10倍であり得る)。いくつかの実施形態において、その部分の細長ポリマー要素は、実質的に同じ第1の方向に沿って延びる。このような場合、フィルムは、ポリマー材料(部分内のポリマー材料)及びその中に分散された複数の粒子(部分内の粒子)を含むものとして説明されてもよく、ポリマー材料は、実質的に同じ第1の方向に沿って配向され、粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含む。いくつかの実施形態において、フィルム全体の細長ポリマー要素は、実質的に同じ第1の方向に沿って延びる。いくつかの実施形態において、フィルム全体の細長ポリマー要素は、フィルム内の位置(例えば、中心付近)から実質的に半径方向に延びる。
【0057】
いくつかの実施形態において、フィルムは、細長ポリマー要素112の間に延びるポリマー材料を含む。このポリマー材料は、細長ポリマー要素間に横方向に延びるポリマー要素を画定し得る。場合によっては、このポリマー材料は、例えば、リーフィーレース、ストランド、又はメッシュなどのモルフォロジーを含む。いくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素及び細長ポリマー要素間に横方向に延びる任意のポリマー材料は、複数の相互接続された細孔を画定する。相互接続された細孔は、油で充填されてもよい(例えば、溶媒成分が除去されない実施形態において)、又は空気で充填されてもよい(例えば、低誘電率が所望される実施形態において)。
【0058】
いくつかの実施形態において、細長ポリマー要素は、幅よりも実質的に長い長さを有する。例えば、いくつかの実施形態において、細長ポリマー要素は、その平均幅の少なくとも2、5、10、又は20倍の長さを有する。いくつかの実施形態において、細長ポリマー要素は、ポリマーフィブリル(例えば、ポリマーミクロフィブリル)である。いくつかの実施形態において、個々の細長ポリマー要素又は個々のポリマーフィブリルは、10nm~100nmの範囲(いくつかの実施形態においては、100nm~500nm、又は更には500nm~5マイクロメートルの範囲)の平均幅を有する。
【0059】
図2は、細長ポリマー要素217並びに粒子221、222、及び223の概略図である。いくつかの実施形態において、複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素217は、少なくとも、複数の粒子のうちの1つの第1の粒子221から、細長ポリマー要素217に沿って第1の粒子221の次に最も近い隣接粒子223を超えて延びる。図示の実施形態において、細長ポリマー要素は、細長部分213、216-1、及び216-2を含む。細長部分213は、細長ポリマー要素217の端部233を含む。細長部分213は、端部233と細長部分213の両端部213aとの間の細長部分213の全長に沿って第1の粒子221に適合かつ結合される。細長部分216-1は、細長ポリマー要素217に沿って第1の粒子221の最も近い隣接粒子222に適合かつ結合される。ポリマー要素217は、細長部分216-1の両端部216-1a、216-1bから、粒子222から離れる方向に延びている。同様に、細長部分216-2は、細長ポリマー要素217に沿って第1の粒子221の次に最も近い隣接粒子223に適合かつ結合される。ポリマー要素217は、細長部分216-2の両端部216-2a、216-2bから、粒子223から離れる方向に延びている。細長部分213は細長末端部と称されてもよく、細長部分216-1及び216-2は、細長中間部と称されてもよい。
【0060】
図示の実施形態において、細長ポリマー要素217は、複数の粒子のうちの第1の粒子221から、細長ポリマー要素217に沿って第1の粒子221の次に最も近い粒子223を越えて延びる。他の場合には、細長部分213は、第1の粒子221で終了しなくてもよいが、その代わりに、細長部分の両端部から、第1の粒子(particle first)221から離れる方向に延びてもよい(例えば、図1に示される細長要素117を参照されたい)。このような場合、細長ポリマー要素217は、少なくとも、複数の粒子のうちの第1の粒子221から、細長ポリマー要素217に沿って第1の粒子221の次に最も近い隣接粒子223を超えて延びる。
【0061】
いくつかの実施形態において、複数の粒子(例えば、複数の粒子120)は、中空粒子を含む。例えば、少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも90%、又は全て若しくは実質的に全ての粒子120は、中空であり得る。いくつかの実施形態において、複数の粒子120のうちの粒子は、中空である。いくつかの実施形態において、複数の粒子120は、脆弱な粒子(例えば、中空ガラスビーズ)を含む。いくつかのこのような実施形態において、フィルム100は、中空ではない追加の粒子を含む。いくつかの実施形態において、中空粒子は、中空ガラスビーズ、中空セラミック粒子、又はこれらの組み合わせを含む。
【0062】
図3は、例えば、空気ポケット339を包囲し得るシェル338を含む中空粒子321の概略断面図である。
【0063】
粒子321は、直径Dを有する。いくつかの実施形態において、複数の粒子のうちの粒子は中空であり、約1ミクロンを超える、又は約5ミクロンを超える、又は約10ミクロンを超える平均サイズDを有する。いくつかの実施形態において、Dは、約500ミクロン未満、又は約200ミクロン未満、又は約150ミクロン未満、又は約100ミクロン未満である。複数の粒子の平均サイズは、例えば、粒径分析によって測定されるメジアン直径D50として測定することができる。いくつかの実施形態において、細長ポリマー要素間の平均横方向間隔(average lateral spacing)は、例えば、平均サイズD未満、又は0.5D未満、又は0.3D未満である。いくつかのこのような実施形態において、又は他の実施形態において、細長ポリマー要素間の平均横方向間隔は、細長ポリマー要素の平均幅の少なくとも1.5倍、又は少なくとも2倍、又は少なくとも3倍である。粒径は、単分散であっても、多分散であってもよい。いくつかの実施形態において、粒子は、球状又は実質的に球状である。他の実施形態において、他の形状を有する粒子を使用することができる。
【0064】
好適な粒子としては、ソーダ石灰ホウケイ酸ガラス粒子などのグラスバブルズが挙げられる。好適なソーダ石灰ホウケイ酸グラスバブルズとしては、3M Glass Bubbles S32HS及び3M Glass Bubbles K1(両方とも3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)が挙げられる。
【0065】
図4は、例えば、空気ポケット439を包囲し得るシェル438を含む中空粒子421の概略断面図である。コーティング440、441がシェル438に適用される。図示の実施形態において、コーティング440、441は、2つのコーティング層440及び441を含む。他の実施形態において、1つのコーティング層が含まれる。更に他の実施形態において、3つ以上のコーティング層が含まれる。いくつかの実施形態において、中空粒子の少なくとも過半数は、中空粒子の外面にコーティング440、441を含む。いくつかの実施形態において、最外層(例えば、層440)は、粒子に適用される表面処理層である。いくつかの実施形態において、コーティングは、金属層(例えば、層441)を含む。金属層は、例えば、銅、アルミニウム、銀、タングステン、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、コーティングは、外面に金属層(例えば、層441)上に配置された無機絶縁層(例えば、層440)を更に含む。絶縁層は、例えば、アルミナであってもよく、又はアルミナを含んでもよい。他の実施形態において、粒子421は、1つ以上の層でコーティングされ得る固体粒子であってもよい。無機絶縁コーティングを有する金属コーティングは、例えば、層を導電性にすることなく、粒子を含む層の誘電特性を変化させるために、粒子(中空又は固体)上に含まれてもよい。誘電体粒子を含むポリマーマトリックス複合体が、例えば、国際公開第2019/099603号(Veeraraghavanら)及び2017年11月16日に出願された、表題「Polymer Matrix Composites Comprising Dielectric Particles and Methods of Making the Same」である対応する米国特許仮出願公開第62/587045号に記載される。
【0066】
いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、ポリマーへの接着を改善するための表面処理を含む。好適な表面処理としては、シラン表面処理が挙げられる。いくつかの実施形態において、シランは、例えば、ビニル基又はアルキル基などの1つ以上の官能基を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、ソーダ石灰ホウケイ酸塩から製造される中空ガラス微小球である。いくつかの実施形態において、中空粒子のうちのアルカリイオンの少なくとも一部は、例えば、誘電特性を改善するために酸で抽出され得る。例えば、ナトリウム又は他のアルカリ金属イオンは、粒子の誘電率及び損失正接を増加させる傾向がある。酸抽出を利用して、粒子の誘電率及び/又は損失正接、並びに粒子を組み込む多孔質層の誘電率及び/又は損失正接を低減することができる。酸抽出は、粒子を多孔質層に組み込む前に粒子に適用することができ、又は酸抽出は、粒子を含む多孔質層に適用することができる。なぜなら、層の多孔性の性質により、酸が粒子の表面に到達することができるからである。酸抽出が多孔質層に適用される実施形態において、抽出物は、例えば、リンスプロセスによって多孔質層から除去することができる。
【0068】
図5は、対向する第1の層546及び第2の層548の間に配置され、且つそれらに結合された中間層500を含む、多層フィルム550の概略断面図である。中間層500は、例えば、複数の粒子を相互接続する細長ポリマー要素を含む、本明細書に記載の任意のフィルムに対応し得る。中間層500は、例えば、フィルム100に対応することができる。いくつかの実施形態において、中間層500は多孔質であり、第1の層546及び第2の層548は非多孔質である。いくつかの実施形態において、第1の層546及び第2の層548は、保護層(例えば、ポリマーフィルム)である。いくつかの実施形態において、第1の層546及び第2の層548のうちの一方は、保護ポリマーフィルムであり、第1の層546及び第2の層548の他方は、接着層である。接着層はまた、保護層として機能してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、多層フィルム550は、対向する非多孔質の第1の保護層546及び第2の保護層548の間に配置され、且つそれらに結合された多孔質中間層500を含み、多孔質中間層500は、複数の中空粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、複数の細長ポリマー要素及び中空粒子によって画定される複数の相互接続された空隙を備える。いくつかの実施形態において、約2.5GHzの周波数(又は他の場所で記載されている他の周波数若しくは周波数範囲)でのフィルム550の誘電率の実数部は、約1.4未満又は他の場所で記載される任意の範囲である。いくつかの実施形態において、約2.5GHzの周波数(又は他の場所で記載されている他の周波数若しくは周波数範囲)でのフィルム550の誘電率の虚数部の、実数部に対する比(tanδ)は、約0.004未満又は他の場所で記載される任意の範囲である。いくつかの実施形態において、複数の粒子のうちの粒子は、約50パーセントを超える体積容量で、又は他の場所に記載される任意の範囲で多孔質中間層500中に分散している。いくつかの実施形態において、中間層500中の複数の粒子の体積の、ポリマー材料の体積に対する比は、少なくとも4であるか、又は比は、他の場所に記載される範囲のいずれかであり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、フィルム又は多層フィルムは、室温(例えば、約20℃又は約25℃)で、毎秒約5ニュートン以下の引張荷重速度(例えば、5N/sの速度又は1N/sの速度)で、少なくとも3%、又は少なくとも5%、又は少なくとも7%、又は少なくとも10%、又は少なくとも12%、又は少なくとも15%の破断点伸びを有する。
【0071】
いくつかの実施形態において、多層フィルム550は、対向する第1の保護層546及び第2の保護層548の間に配置され、且つそれらに結合された中間層500を含み、中間層500は、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の中空粒子を含む。いくつかのこのような実施形態において、多層フィルムは、室温で毎秒約5ニュートン以下の引張荷重速度で少なくとも15%の破断点伸びを有する。いくつかのこのような実施形態において、多層フィルムを内側半径が最大1.5mmとなるように曲げ位置で曲げることが、曲げ位置における中間層への損傷を全く又はほとんどもたらさない。曲げ位置で中間層に損傷があるかどうかは、フィルムを曲げる前後の多層フィルムを見ることによって判断できる。語句「中間層への損傷が非常に少ない」とは、曲げが、せいぜい、中間層においてほとんど目に見えないわずかな亀裂をもたらしたことを意味する。
【0072】
いくつかの実施形態において、層546及び548は、層500に積層されたフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム)である。いくつかの実施形態において、層546及び548は、層500に適用される封止層である。例えば、封止層は、その溶媒に溶解したいくつかのポリマー(例えば、アクリレート)として適用でき、又は、後で重合するその溶媒に溶解したモノマーとして適用でき(例えば、UV光への暴露又は熱硬化によって)、又は、例えば、押出積層によって適用できる。
【0073】
図6は、内側半径Rにわたって曲げ位置653で曲げられたフィルム650(例えば、フィルム100又は多層フィルム550に対応する)の概略断面図である。いくつかの実施形態において、Rは最大1.5mmである。
【0074】
図7A図7Fは、フィルムを製造する方法を概略的に示す。いくつかの実施形態において、本方法は、第1の温度(例えば、室温)で混合物760を提供することを含む。混合物は、複数の粒子、ポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分を含む。第1の温度において、混合物760は、スラリーとして記載されてもよい。図7Bに概略的に示されるように、本方法は、混合物760を、例えば、剥離フィルムの表面であり得る、第1の剥離表面761と第2の剥離表面762との間に配置することを含む。図7Cに概略的に示されるように、本方法は、混合物760を第2の温度に加熱することを含む(例えば、図7Cに概略的に示されているように、ホットプレート763及び764を使用する)。次いで、ポリマー及び成分は混和性のポリマー溶媒溶液を形成し、含まれる場合、複数の粒子が溶液中に分散される。図7Dに概略的に示されるように、本方法は、混合物760に第1の圧力(例えば、大気圧よりも高い)を与えることを更に含む。図示の実施形態において、ライナーとの混合物は、追加のプレート766と767との間に配置され、スペーサ768は、プレート766及び767を分離させるために使用される。図7Eに概略的に示されるように、本方法は更に、混合物を冷却して、成分からのポリマーの相分離を誘導することを含む。図示の実施形態において、冷却板773及び774が利用される。図7Fに概略的に示されるように、本方法は、混合物を第1の剥離表面761及び第2の剥離表面762のうちの少なくとも1つから分離することを更に含む。図示の実施形態において、剥離表面761及び762の両方が除去される。混合物を冷却する前の少なくとも1回の第1の時間間隔(例えば、1~10分)の間、混合物は、第2の温度で第1の圧力下にあり、第1の圧力は、ポリマーを流動させる程度に十分に高い。ポリマーを流動させるための適切な圧力は、例えば、ポリマーの温度及び分子量に依存し得る。いくつかの実施形態において、得られたフィルム700は、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含む。いくつかの実施形態において、得られたフィルムは、複数の粒子の体積の、ポリマー材料の体積に対する比が少なくとも4であるか、又は比は、他の場所に記載される範囲のいずれかであり得る。
【0075】
いくつかの好ましい実施形態において、本方法は、フィルムを提供するために成分、又は成分の少なくとも一部を除去することを更に含む。いくつかの実施形態において、フィルムは、成分を含むことができる。
【0076】
図7A図7Fに示される一連の工程は、順次形成され得る。いくつかの実施形態において、加熱工程は、第1の圧力を与えることの前に実行され、第1の圧力を与えることは、混合物が第2の温度にある間に実行される。
【0077】
いくつかの実施形態において、相分離を誘導するために混合物を冷却する工程は、混合物を第1の温度に冷却することを含む。いくつかの実施形態において、混合物を冷却して成分からのポリマーの相分離を誘導することは、他の場所で記載されるように、ポリマーフィブリルなどの細長ポリマー要素を形成させる。いくつかの実施形態において、ポリマーフィブリルは、フィブリル配向の異方性分布を有する。いくつかの実施形態において、一部の複数のポリマーフィブリルの各フィブリル(例えば、ポリマーフィブリルの過半数)は、一般に、伸長方向に沿って、少なくとも複数の粒子のうちの1つの第1の粒子から、フィブリルに沿った第1の粒子の次に最も近い隣を超えて延びる。
【0078】
いくつかの実施形態において、粒子は脆弱であり、混合物に第1の圧力を与えることは粒子の5%以上が亀裂又は破断しない。いくつかの実施形態において、第1の剥離ライナーは、第1の剥離表面761を含み、混合物を第1及び第2の剥離表面のうちの少なくとも1つから分離することは、第1の剥離ライナーを除去することを含む。
【0079】
図8は、フィルム800を製造する方法の概略図である。本方法は、複数の粒子、ポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分を(例えば、スラリー又は混合物860中に)提供することを含む。本方法は、複数の粒子、ポリマー、及び成分を、第2の温度でストリーム870に押し出すこと(例えば、ポンプ880を使用する)を更に含む。いくつかの実施形態において、第1の剥離ライナー861及び第2の剥離ライナー862が提供され、間隙のあるニップローラー883及びアライメントユニット881は、剥離ライナー861と862との間にストリームを形成するために使用され、オーブン884を使用して、ストリームを第2の温度に加熱する。本方法は、ストリーム870をニップ872に通すことと、ストリームを第1の温度(例えば、874)に冷却して、成分からのポリマーの相分離を誘導することと、を更に含み、ニップ872は、相分離の前又は最中にストリームに圧力を与える。相分離の前(例えば、直前)又は相分離中にニップが適用される場合、結果として生じるストリームの剪断及び/又は流れパターンは、本明細書の他の場所に記載されるように形成され、実質的に整列される細長ポリマー要素(例えば、ポリマーミクロフィブリル)をもたらすことが見出された。冷却は、単に、例えば、オーブン884からストリーム870を除去することができる。あるいは、チルロールを使用してもよい。いくつかの実施形態において、ニップ872は、例えば、チルロールを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ライナー(例えば、図8に概略的に示されているライナー861)のうちの少なくとも1つを除去することと、次いで、成分を除去すること(例えば、図8に概略的に示されるように、オーブン885でのオーブン乾燥を介して)と、を更に含む。いくつかの実施形態において、第2のライナー862は、次いで、除去されて、フィルム800を提供し、フィルム800は、フィルム800のロール866に巻かれ得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、フィルム800は、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量で、又は他の場所に記載される範囲のいずれかで、その中に分散された複数の粒子とを含む。いくつかの実施形態において、フィルム800における、複数の粒子の体積の、ポリマー材料の体積に対する比は、少なくとも4であるか、又は比は、他の場所に記載される範囲のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、保護層外層は、多層フィルムを提供するために、フィルムの両側でフィルム800に追加される。これは、フィルムをロール866に巻く前に図8の連続法で行うことができ、又は例えば、別個の製造法で行うことができる。
【0081】
いくつかの実施形態において、複数の粒子、ポリマー、及び成分を、第2の温度でストリームに押し出すことは、ストリームを第1の剥離ライナー861に押し出すことと、ストリームをニップに通す前に、第1の剥離ライナー861の反対側のストリーム上に第2の剥離ライナー862を適用することと、を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、冷却工程の後、第1及び第2の剥離ライナーのうちの少なくとも1つを除去することと、次いで、成分の少なくとも一部を除去してフィルムを提供することと、を更に含む。
【0082】
他の実施形態において、図8の方法は、スラリー又は混合物860に粒子を含まずに実行される。いくつかの実施形態において、ポリマーを含むフィルムを製造する方法は、第1の温度よりも高い第2の温度でのポリマーの溶媒であり、第1の温度ではポリマーの溶媒ではない成分を提供することと、ポリマー及び成分を第2の温度でストリームに押し出すことと、ストリームをニップに通すことと、ストリームを第1の温度に冷却して、異方性配向分布を有する細長ポリマー要素(例えば、ポリマーフィブリル)が形成されるように、成分からのポリマーの相分離を誘導することであって、ニップは、相分離の前又は最中にストリームに圧力を与える、冷却して誘導することと、を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含むフィルムを製造する方法は、複数の粒子、約10g/mol超の数平均分子量を有する(又は他の場所に記載される範囲のいずれかで)ポリマー、及びより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない成分を提供することと、ポリマーと成分の混和性溶液中に分散した複数の粒子を含む層を形成すること(例えば、いくつかの実施形態において、図7Cに示される760又は図8に示される860)と、ポリマーが複数の細長ポリマー要素を形成するように、層が圧力下にある間に、成分からのポリマーの相分離を誘導すること(例えば、いくつかの実施形態において、図7Eに示される工程、又は図8に示されるように、ストリームをニップ872に通すこと)と、を含む。
【0084】
本明細書に記載の方法のいずれかで言及されるより高い第2の温度及びより低い第1の温度は、成分がより高い第2の温度ではポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度ではポリマーの溶媒でない任意の好適な温度であり得る。第1の温度は、例えば、室温(例えば、25℃)であってもよい。第2の温度は、例えば、60℃~200℃、又は80℃~160℃の範囲であってもよい。
【実施例
【0085】
本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。本明細書では、次の略語が使用される:RM=原材料、mBar=ミリバール、degC=℃、mins=分、hrs=時間、mg=ミリグラム、N=ニュートン、s=秒、nm=ナノメートル、kV=キロボルト、nA=ナノアンペア、psi=ポンド/平方インチ、N/s=ニュートン/秒、kPa=キロパスカル。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例1
4gのGB32HSを、化学天秤を使用して、30g混合容器で秤量した。1.0gのUHMWPEを容器に加え、粉末を完全に手で混合した。プラスチックピペットを使用して、7.65gのIsopar-Gを混合固体粉末に加えた。次いで、固体液体混合物をスピードミクスチャに充填し、表1に示すプロファイルと混合した。
【0088】
【表2】
【0089】
次いで、GH32HS、UHMWPE、及びIsopar-Gの均一な混合物を、厚いガラス板上に置いた約25.4cm×20.3cmのライナー上に楕円形(oval shape)にわずかに広げた。同様の寸法の第2のライナーを楕円形の混合物の上に重ねた。次いで、混合物を、約0.9mmの間隙に設定されたノッチバーを使用して、長さに沿って、2つのライナーの間で、楕円の長軸に沿って均一に広げた。ノッチバーの開口部は、使用したライナーの幅よりも広いため、湿潤フィルム及びライナーの合計の厚さは、ノッチバーの間隙によって測定された。ライナー間のフィルムを、30cm×30cmのステンレス鋼プレートの中心に注意深くそっと移送した。それぞれが、中心に22.86cm×22.86cmの開口部を有する207.5μm厚の4つの30cm×30cmのガスケットを、中心に湿潤フィルムを有するライナー上に重ねた。第2のステンレス鋼プレートをガスケットの上に配置した。次いで、2つのステンレス鋼プレート間のスタックをホットプレスの下部圧盤に移送した。圧盤の温度を135℃に維持した。ホットプレスの上部圧盤と下部圧盤の間の間隙は、それらの間にペイントスティックを使用することによって5.5mmに維持された。この構成では、上部圧盤はステンレス鋼プレートに圧力を与えなかったが、ペイントスティックの厚さによって定義される小さな加熱チャンバを作製した。UHMWPEを135℃で10分間溶解させた後、下部圧盤を下げ、ペイントスティックをすばやく除去し、圧盤をくっつけ、15トンの圧力をステンレス鋼プレートに5分間適用した。この構成では、ステンレス鋼プレート間の間隙、ひいては溶融した塊及びライナーの合計厚さは、全ガスケット厚さ(830μm)によって測定された。5分後、下部圧盤を下げ、ステンレス鋼プレートを含むスタック全体をホットプレスの冷却圧盤に移送し、圧盤の重量に約2分間押し付けた。2分後、スタックをホットプレスから除去し、ライナーが除去され、複合フィルム(2つのライナーの間に形成された)は、化学ドラフトチャンバ内に18時間吊るすことにより、室内環境で乾燥した。フィルムを、90℃で、オーブン内で30分間乾燥させて、任意の追加の残留溶媒を除去した。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約0.6mmであった。実施例1のフィルムを製造する方法は、図7A図7Fに概略的に示されている。
【0090】
実施例2
実施例2のサンプルは、2.501gの乾燥GBK1粉末を0.453gのUHMWPEと完全に手で混合し、12.374gのIsopar-Gを添加したことを除いて、実施例1と同じ方法を使用して調製した。ノッチバーの高さを1.44mmに上げた。ガスケットの厚さは、5つの207.5μmの厚さのガスケット及び1つの162.5μmの厚さのガスケットを積み重ねることによって1.2mmに増加させた。使用された混合プロファイルを表2に示す。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約1.00mmであった。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例3
実施例3のサンプルは、11.0gの乾燥セノスフェア粉末を1gのUHMWPEと完全に手で混合し、15gのIsopar-Gを添加したことを除いて、実施例1と同じ方法を使用して調製した。使用された混合プロファイルを表2に示す。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約0.69mmであった。
【0093】
比較例C1
4gのGH32HSを、化学天秤を使用して、30g混合容器で秤量した。1.0gのUHMWPEを容器に加え、粉末を完全に手で混合した。混合固体粉末上に、プラスチックピペットを使用して7.65gのIsopar-Gを添加した。次いで、固体液体混合物をスピードミクスチャに充填し、表1に示すプロファイルと混合した。
【0094】
次いで、GH32HS、UHMWPE、及びIsopar-Gの均一な混合物を、厚いガラス板上に置いた約25.4cm×20.3cmのライナー上に楕円形にわずかに広げた。同様の寸法の第2のライナーを楕円形の混合物の上に重ねた。次いで、混合物を、0.9mmの間隙に設定されたノッチバーを使用して、長さに沿って、2つのライナーの間で、楕円の長軸に沿って均一に広げた。ノッチバーの開口部は、使用したライナーの幅よりも広いため、湿潤フィルム及びライナーの合計の厚さは、ノッチバーの間隙によって測定された。2つのライナー間の湿潤フィルムをアルミニウムパンにそっと移送し、135℃のオーブンに15分間入れた。15分後、サンプルをオーブンから取り出し、実験台の表面に交互に両側を接触させることにより、室温まで急冷させた。サンプルを冷却した後、2つのライナーを剥がし、実験室の化学ドラフトチャンバに18時間吊るすことにより、複合フィルムを周囲環境で乾燥した。フィルムを、90℃で、オーブン内で30分間乾燥させて、任意の追加の残留溶媒を除去した。次いで、サンプルを2つの等しい半分に切断した。半分は比較例C1として使用され、残りの半分は比較例C2の入力材料として使用された。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約0.89mmであった。
【0095】
比較例C2
比較例C1のサンプルのもう半分は、2つの25.4cm×20.3cmライナーの間に配置された。ライナー間のフィルムを、30cm×30cmのステンレス鋼プレートの中心にそっと移送した。それぞれが、中心に22.86cm×22.86の開口部を有する207.5μm厚の4つの30cm×30cmのガスケットを、中心に湿潤フィルムを有するライナー上に重ねた。第2のステンレス鋼プレートをガスケットの上に配置した。次いで、2つのステンレス鋼プレート間のスタックをホットプレスの下部圧盤に移送した。圧盤を135℃に維持した。ホットプレスの上部圧盤と下部圧盤の間の間隙は、それらの間にペイントスティックを使用することによって5.5mmに維持された。この構成では、上部圧盤はステンレス鋼プレートに圧力を与えなかったが、ペイントスティックの厚さによって定義される小さな加熱チャンバを作製した。UHMWPEを135℃で10分間軟化させた後、下部圧盤を下げ、ペイントスティックをすばやく除去し、圧盤をくっつけ、15トンの圧力をステンレス鋼プレートに5分間適用した。この構成では、ステンレス鋼プレート間の間隙、ひいては溶融した塊及びライナーの合計厚さは、全ガスケット厚さ(830μm)によって測定された。5分後、下部圧盤を下げ、ステンレス鋼プレートを含むスタック全体をホットプレスの冷却圧盤に移送し、圧盤の重量だけで約2分間押し付けた。2分後、スタックをホットプレスから除去し、ライナーを除去し、ライナー間の複合フィルムを除去した。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約0.63mmであった。
【0096】
比較例C3
比較例C3のサンプルは、2.499gの乾燥GBK1粉末を0.451gのUHMWPEと完全に手で混合し、12.5gのIsopar-Gを添加したことを除いて、比較例C1と同じ方法を使用して調製した。ノッチバーの高さを1.44mmに上げた。使用された混合プロファイルを表2に示す。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約1.22mmであった。
【0097】
比較例C4
比較例C4のサンプルは、11gの乾燥セノスフェア粉末を1.0gのUHMWPEと混合し、15gのIsopar-Gを添加したことを除いて、比較例C1と同じ方法を使用して調製した。ノッチバーの高さを1.44mmに上げた。使用された混合プロファイルを表2に示す。5つの異なる場所でマイクロメーターによって測定された得られたフィルムの平均厚さは、約0.72mmであった。
【0098】
実施例4
16.256gのGBS32HSを、化学天秤を使用して、100g混合容器で秤量した。4.064gのUHMWPEを容器に加え、粉末を完全に手で混合した。プラスチックピペットを使用して、30.09gのIsopar-Gを混合固体粉末に加えた。次いで、固体液体混合物をスピードミクスチャに充填し、表3に示すプロファイルを使用して混合した。
【0099】
【表4】
【0100】
次いで、GBS32HS、UHMWPE、及びIsopar-Gの均一な混合物を、厚いガラス板上に置いた約25.4cm×25.4cmのライナー上に楕円形にわずかに広げた。同様の寸法の第2のライナーを楕円形の混合物の上に重ねた。次いで、混合物を、約2.8mmの間隙に設定されたノッチバーを使用して、長さに沿って、2つのライナーの間で、楕円の長軸に沿って均一に広げた。ライナー間のフィルムを、厚さ1mmのスペーサの中心にそっと移送した。第2の0.6mm厚のスペーサが第1のスペーサの上に重ねられ、2つの間にライナーがあった。第2のステンレス鋼プレートを第2のステンレス鋼スペーサの上に配置した。次いで、2つのステンレス鋼プレート間のスタックをホットプレスの下部圧盤に移送した。圧盤の温度を135℃に維持した。ホットプレスの上部圧盤と下部圧盤の間の間隙は、それらの間にペイントスティックを使用することによって5.5mmに維持された。この構成では、上部圧盤はステンレス鋼プレートに圧力を与えなかったが、ペイントスティックの厚さによって定義される小さな加熱チャンバを作製した。UHMWPEを135℃で10分間溶解させた後、下部圧盤を下げ、ペイントスティックをすばやく除去し、圧盤をくっつけ、15トンの圧力をステンレス鋼プレートに5分間適用した。この構成では、ステンレス鋼プレート間の間隙、ひいては溶融した塊及びライナーの合計厚さは、スペーサの合計厚さ及びスペーサ間の2つのライナーの厚さによって測定された。5分後、下部圧盤を下げ、ステンレス鋼プレートを含むスタック全体をホットプレスの冷却圧盤に移送し、圧盤の重量に約2分間押し付けた。2分後、スタックをホットプレスから除去し、ライナーが除去され、複合フィルムは、化学ドラフトチャンバ内に18時間吊るすことにより、室内環境で乾燥した。フィルムを、90℃で、オーブン内で30分間乾燥させて、任意の残留溶媒を除去した。これにより、マイクロメーターで測定したフィルムの厚さは約1.75mmになった。
【0101】
実施例5
実施例5のサンプルは、トップロールを約88℃に維持した状態でラミネータを使用して、2枚の40μm厚のポリオレフィンフィルムの間に乾燥フィルムを積層したことを除いて、実施例4に記載されているように調製した。2つのニップロール間の間隙は、ニップロールが過剰な圧力を与えることなく積層されたときにフィルムにちょうど接触するように維持された。マイクロメーターで測定した積層フィルムの合計厚さは、約1.8mmであった。
【0102】
実施例6
6.4gのGB32HSを、化学天秤を使用して、30g混合容器で秤量した。1.6gのUHMWPEを容器に加え、粉末を完全に手で混合した。プラスチックピペットを使用して、12.24gのIsopar-Gを混合固体粉末に加えた。次いで、固体液体混合物をスピードミクスチャに充填し、表1に示すプロファイルを使用して混合した。
【0103】
次いで、GB32HS、UHMWPE、及びIsopar-Gの均一な混合物を、厚いガラス板上に置いた約25.4cm×20.3cmのライナー上に楕円形にわずかに広げた。同様の寸法の第2のライナーを楕円形の混合物の上に重ねた。次いで、混合物を、約1.44mmの間隙に設定されたノッチバーを使用して、長さに沿って、2つのライナーの間で、楕円の長軸に沿って均一に広げた。ノッチバーの開口部は、使用したライナーの幅よりも広いため、湿潤フィルム及びライナーの合計の厚さは、ノッチバーの間隙によって測定された。ライナー間のフィルムを、30cm×30cmのステンレス鋼プレートの中心にそっと移送した。それぞれが、中心に22.86cm×22.86cmの開口部を有する207.5μm厚の5つの30cm×30cmのガスケット及び1つの162.5μm厚のガスケットを、中心に湿潤フィルムを有するライナー上に重ねた。第2のステンレス鋼プレートをガスケットの上に配置した。次いで、2つのステンレス鋼プレート間のスタックをホットプレスの下部圧盤に移送した。圧盤の温度を135℃に維持した。ホットプレスの上部圧盤と下部圧盤の間の間隙は、それらの間にペイントスティックを使用することによって5.5mmに維持された。この構成では、上部圧盤はステンレス鋼プレートに圧力を与えなかったが、ペイントスティックの厚さによって定義される小さな加熱チャンバを作製した。UHMWPEを135℃で10分間溶解させた後、下部圧盤を下げ、ペイントスティックをすばやく除去し、圧盤をくっつけ、15トンの圧力をステンレス鋼プレートに5分間適用した。この構成では、ステンレス鋼プレート間の間隙、ひいては溶融した塊及びライナーの合計厚さは、全ガスケット厚さ(830μm)によって測定された。5分後、下部圧盤を下げ、ステンレス鋼プレートを含むスタック全体をホットプレスの冷却圧盤に移送し、圧盤の重量に約2分間押し付けた。2分後、スタックをホットプレスから除去し、ライナーが除去され、複合フィルムは、化学ドラフトチャンバ内に18時間吊るすことにより、室内環境で乾燥した。フィルムを、90℃で、オーブン内で30分間乾燥させて、任意の追加の残留溶媒を除去した。これにより、マイクロメーターで測定したフィルムの厚さは約900μmになった。
【0104】
実施例7
実施例7のサンプルは、トップロールを約88℃に維持した状態でラミネータを使用して、2枚の40μm厚のポリオレフィンフィルムの間に乾燥フィルムを積層したことを除いて、実施例6に記載されているように調製した。2つのニップロール間の間隙は、ニップロールが過剰な圧力を与えることなく積層されたときにフィルムにちょうど接触するように維持された。マイクロメータで測定した積層フィルムの厚さは、約950μmであった。
【0105】
実施例8
実施例8のサンプルは、6.247gのGBK1の乾燥粉末、及び2.006gのUHMWPEを完全に混合し、次いで、30.658gのIsopar-Gを混合容器に添加したことを除いて、実施例4に記載されているように調製した。ノッチバーを約1.42mmの間隙に設定した。得られたフィルムは、マイクロメーターで測定すると、厚さが約1.4mmであった。
【0106】
実施例9
実施例9のサンプルは、トップロールを約88℃に維持した状態でラミネータを使用して、2枚の40μm厚のポリオレフィンフィルムの間に乾燥フィルムを積層したことを除いて、実施例8に記載されているように調製した。2つのニップロール間の間隙は、ニップロールが過剰な圧力を与えることなく積層されたときにフィルムにちょうど接触するように維持された。マイクロメーターで測定した積層フィルムの厚さは、約1.53mmであった。
【0107】
試験方法及び結果
1.TGA試験
直径数ミリメートルの小さなディスクを打ち抜いて秤量し、2~3枚のディスクの総質量が5~12mgの範囲になるようにした。各実施例1、比較例C1、及び比較例C2の3つのサンプルをアルミニウムTGAパンに充填し、温度を、窒素環境で4℃/分の速度で35℃から550℃に上昇させた。温度の関数としてのサンプルの重量の減少を記録した。3つのサンプルは全て、温度の関数として非常に類似した重量損失の傾向を示した。表4は、3つのサンプル全ての475℃での質量損失を示す。データは、全てのサンプルが同様のポリマー含有量を有することを示す。
【0108】
【表5】
【0109】
2.目視及びSEM試験
サンプルは、SEM1のステージに充填される前に、厚さ約10nmの金パラジウムフィルムでコーティングされた。SEM画像は、サンプルの均一性、ポリマーミクロフィブリルの分布、及びモルフォロジーを収集するために、様々な倍率で10kV及び0.4nAの電流で撮影された。同じ方法を使用して、各サンプルの両側でSEM画像を撮影した。
【0110】
視覚的には、実施例1~3のそれぞれは、光沢のある外観で両側に滑らかな表面を有した。比較例C1及びC3~C4は非常に粗い表面を有し(粒子のいくつかはそれらが剥がされたときにライナーに付着した)、比較例C2のフィルムは適度に滑らかな表面を有した。
【0111】
巨視的に、SEM画像は、実施例1からのフィルムがグラスバブルズの均一な分布を有することを示した。いくつかの小さな暗い斑点が観察されたが、グラスバブルズの分布は非常に均一であった。比較例C2のフィルムは、巨視的ピットを有し、それらのうちのいくつかは、100μm×50μmの大きさであった。比較例C2からのフィルムは、比較例C1よりも寸法及び数が小さいいくつかの巨視的ピットを依然として示した。
【0112】
顕微鏡レベルで、SEM画像は、実施例1のフィルムがUHMWPEポリマーミクロフィブリルの均一な分布を示したことを示した。ポリマーマイクロフィブリルは、バルク中及び表面上にGB32HS粒子を保持した。ポリマーミクロフィブリルはまた、流れによって誘発された異方性モルフォロジーであると思われるものを示した。比較例C1の拡大されたSEM画像は、グラスバブルズがより密に詰まっていないことを示した。UHMWPEポリマー粒子は、溶媒中に溶解されたが、積極的な混合/流れの非存在下では、相分離が生じたときに溶媒中の局所的濃度勾配があった可能性がある。得られたポリマー相は、この局所的濃度勾配を反映していた。したがって、より高いUHMWPEを有する局所的スポットが存在し、結合に利用可能なポリマーの利用が不十分となった。これは、機械的に弱いフィルム、又は同じ機械的性能を達成するためにより高いポリマー含有量の必要性につながった。グラスバブルズの結合も不均一であった。これは、粒子の一部を、上記の巨視的ピットの後ろに残るライナーに移動させる可能性がある。比較例C2のSEM画像は、非常に異なるモルフォロジーを示した。第1に、圧縮に使用されたガスケットは実施例1を調製したものと同じであったが、グラスバブルズのいくつかが壊れた。これにより、グラスバブルズは、Isopar-GのUHMWPEのスラリーのように、UHMWPEマトリックスにおいても再配列しなかったことが示された。この結論はまた、サンプルの横方向の膨張が実施例1のものほど高くなかったという観察によっても裏付けられた。第2に、ポリマーモルフォロジーも非常に異なって見えた。グラスバブルズの表面上のポリマーミクロフィブリルは、収縮又は融合して、より大きなフィブリル又はミクロフィルムを形成するように見えた。融合したポリマーフィブリルは依然としてフィルムの全体的な機械的強度に寄与したが、グラスバブルズ上の再処理されたミクロフィブリルは、グラスバブルズの結合に寄与せず、機械的に弱いフィルムをもたらした。
【0113】
実施例及び比較例のモルフォロジーの違いを理解するために、実施例1~3並びに比較例C1、C3、及びC4のそれぞれ約4インチ×6インチのサンプルを分析した。SEMサンプルは、サンプルをカバーする3×3マトリックスの9つの異なるスポット(周囲に8つ、中央に1つ)から切り取られた。全ての実施例において、ポリマーフィブリルの明確な異方性分布が観察された。フィブリルは、3×3マトリックスの各セクションで、フィブリルが中央セクションから離れて実質的に同じ方向に延びるように、実質的に放射状に配向された。3×3マトリックスの上部中央部分からの及び3×3マトリックスの左下隅部分からのSEM画像をそれぞれ図8及び図9に示す。比較例のポリマーフィブリルは、好ましい配向分布を示さなかった。
【0114】
0.5cm×0.5cmの小さいサンプルを実施例4及び実施例5の両方から切り出し、SEM2のサンプルステージに載置した。サンプルの光学画像は、EDXモードで動作するSEMを使用して、任意の更なる金属コーティングなしで撮影された。SEM画像は、未積層フィルム(実施例4)において、グラスバブルズがポリマーミクロフィブリルと一緒に保持されていることを示した。ポリオレフィンフィルムを注意深く除去した後の積層フィルムのSEM画像は、グラスバブルズがポリマーミクロフィブリルによって一緒に保持され、積層法中にグラスバブルズが破壊されなかったことを依然として示す。
【0115】
3.キャピラリーフローポロメトリー試験
キャピラリーフローポロメトリーは、多孔質膜における孔径分布及び最大孔を特性評価するために、一般に使用される技術である。直径25mmのディスクをカットし、化学天秤を使用して質量を測定した。ディスクの厚さは、自重50.3kPaのシックネスゲージ及び直径1.6cmのフラットアンビルを使用して、放置時間は約3秒、分解能は+/-0.0001インチで測定した。サンプルをキャピラリーポロメータに挿入した。次いで、デフォルトのソフトウェアパラメータを使用し、0~50psiのドライアップ/ウェットアップ試験を実行してサンプルを試験した。湿潤流体の表面エネルギーとして、15.6ダイン/cmの表面エネルギーを使用した。ドライ試験が完了した後、ソフトウェアはサンプルを濡らすように促した。サンプルホルダーを開き、湿潤流体FC-43をサンプルに分注して、細孔を完全に充填し、湿潤させた。その後、サンプルホルダーを閉じ、ウェット試験を継続した。次いで、ソフトウェアは圧力及び流量のデータをまとめ、バブルポイント圧力ポンド/平方インチ(psi)及びバブルポイント細孔径(μm)を報告した。この技術は、ASTM F316-03(2006)「Standard Test Methods for Pore Size Characteristics of Membrane Filters by Bubble Point and Mean Flow Pore Test」を変更したものであった。
【0116】
実施例1、比較例C1、及び比較例C2に関して、測定されたバブルポイント圧力及びバブルポイント直径を表5に示す。
【0117】
【表6】
【0118】
これらのキャピラリーフローポロメトリー試験の結果は、実施例1からのフィルムが最高(最低)のバブルポイント圧力(バブルポイント直径)を有し、サンプル中のより均一な小さな細孔分布を示していることを示す。従来のコーティング法を使用して調製された比較例C1は、最大の細孔を示す最低(最高)のバブルポイント圧力(バブルポイント直径)を有し、SEM試験からの観察を裏付けている。
【0119】
4.引張試験
実施例1~3及び比較例C1~C4の引張試験:
長さ12.0cm、幅2.45cmのドッグボーンの形をしたサンプルを、実施例1~3及び比較例C1~C4のそれぞれの複合フィルムからダイカットした。中央のサンプルの狭い部分は、長さが2.45cm、幅が1.5875cmであった。サンプルは、5.08cm離れたインストロン機器の2つのジョーの間に取り付けられた。下部ジョーが固定された状態で、サンプルが破断し、負荷が0.5Nの下限閾値に達するまで、サンプル上に5N/sの速度で一定の力を印加しながら、上部ジョーを動かしてサンプルを伸張させた。サンプルを破断させるために必要な力を最大負荷として記録し、サンプル中の総伸張も記録した。表6は、試験したサンプルについて、測定された破断時の最大力及び破断時の伸長を示す。
【0120】
【表7】
【0121】
実施例6及び7の引張試験:
長さ12.0cm、幅2.45cmのドッグボーンの形をしたサンプルを、実施例6及び実施例7のフィルムからダイカットした。中央のサンプルの狭い部分は、長さが2.45cm、幅が1.5875cmであった。サンプルは、5.08cm離れたインストロン機器の2つのジョーの間に取り付けられた。下部ジョーが固定された状態で、サンプルが破断し、負荷が0.5Nの下限閾値に達するまで、サンプル上に1N/sの速度で一定の力を印加しながら、上部ジョーを動かしてサンプルを伸張させた。特定の延長部を生成するために必要な力を、伸長の関数として記録した。引張強度は、力をドッグボーンでのサンプルの断面積で割ることによって計算され、引張ひずみは、伸長をジョーの間の間隔で割ることによって計算された。表11に引張試験結果を示す。
【0122】
引張試験からの結果は、積層フィルム(実施例7)が、未積層フィルム(実施例6)よりも高い破断強度力及びより高い破断点伸び(すなわち、より良好な機械的性能)を有することを示す。
【0123】
5.曲げ試験:
実施例1~3及び比較例C1~C4の曲げ試験:
円筒形マンドレルを使用して曲げ試験を実施した。4cm長、2.0cm幅のサンプル片を、実施例1~3及び比較例C1~C4のそれぞれから切断した。試験パネルの代わりに、7.6cm長、2.54cm幅、及び1.5mm厚のガラス製顕微鏡スライドを、クランピングジョーを使用してマンドレルと曲げ片の間に固定し、マンドレルに向かって0.8cm延ばした。ガラス片の端部に、試験サンプルフィルムを、0.4cmのサンプルフィルムを覆うカプトンテープで幅に沿って貼った。ハンドルを垂直に下げた位置の状態で、曲げ片の上面をガラススライドの上面と同じ高さにし、サンプルフィルムをそっと伸ばしてマンドレルと曲げ片との間にぴったりとはめ込んだ。直径16mmのマンドレルで開始して、ハンドルを約180度まですばやく持ち上げることにより、試験サンプルをマンドレルの周りで曲げた。亀裂の兆候がないか、フィルムを視覚的に評価した。試験フィルムを剥離したマンドレルから曲げプレートを持ち上げ、垂直位置でハンドルを下げた。マンドレルをより小さな直径のマンドレルと交換し、アライメント法を繰り返し、同じ試験サンプルを曲げ、試験サンプルの機械的状態を記録した。この方法は、直径が16mmから2mmの範囲の様々なマンドレルで繰り返され、サンプルの亀裂及び破壊の開始時のマンドレルの直径が記録された。この方法は、各実施例について少なくとも2つのサンプルで繰り返された。
【0124】
実施例4~9の曲げ試験:
円筒形マンドレルを使用して曲げ試験を実施した。実施例4及び5から、2.54cm幅、8.4cm長の片を切り取った。実施例6及び7から、10.16cm長、2.54cm幅のフィルムを切り取った。クランピングジョーからのサンプルへの圧力を避けるために、サンプル片をクランピングジョーの下に置き、約1cmのサンプルフィルムを覆うカプトンテープで幅に沿って固定した。ハンドルを垂直に下げた位置の状態で、曲げ片の上面をクランピング表面の上面と同じ高さにし、サンプルフィルムをそっと伸ばしてマンドレルと曲げ片との間にぴったりとはめ込んだ。直径16mmのマンドレルで開始して、ハンドルを約180度まですばやく持ち上げることにより、試験サンプルをマンドレルの周りで曲げた。亀裂の兆候がないか、フィルムを視覚的に評価した。試験フィルムを剥離したマンドレルから曲げプレートを持ち上げ、垂直位置でハンドルを下げた。マンドレルをより小さな直径のマンドレルと交換し、アライメント法を繰り返し、同じ試験サンプルを曲げ、試験サンプルの機械的状態を記録した。この方法は、直径が16mmから2mmの範囲の様々なマンドレルで繰り返された。サンプルの亀裂及び破壊の開始時のマンドレルの直径が記録された。この方法は、各実施例について少なくとも2つのサンプルで繰り返された。曲げ試験の結果は、ポリオレフィンフィルムの間に積層されたフィルムサンプルが曲げ性能の大幅な改善を示したことを示す。
【0125】
曲げ試験の結果を、表7にまとめる。
【0126】
【表8】
【0127】
6.複素誘電率試験
対象となる周波数範囲に応じて、2つの異なる誘電率試験を使用して、異なるグラスバブルズで調製されたグラスバブルズを充填したフィルムの誘電率を測定した。
【0128】
スプリットポスト共振器(SPR)誘電率試験:
複素誘電率(誘電率及び誘電損失正接)は、2.5GHz及び9.5GHzの2つの周波数での測定用に特別に設計された2つの別々の誘電体スプリットポスト共振器を使用して測定された。これらのキャビティ及び計算ソフトウェアは、QWED Company(Warsaw,Poland)から入手した。共振帯域幅及び適切なキャビティ共振の共振周波数(公称キャビティ周波数で定義)は両方とも、S21として定義された伝送Sパラメータの大きさで各キャビティを使用してサンプルを挿入せずに正確に測定した(4回の測定)。S21のこれらの電子測定は、VNA-KSを使用した2ポート測定を使用してそれぞれ実行された。上記の4つの電子機器測定及びサンプル厚さ測定を使用して、各キャビティに対して各周波数でQWEDソフトウェアを使用して複素誘電率を計算した。
【0129】
自由空間誘電率試験:
Thomas Keating Ltd(Billingshurst,United Kingdom)によって設計及び構築された単純な自由空間測定システムを実装して、高周波でのサンプルの誘電率を決定した。この自由空間システムをベクトルネットワークアナライザー(VNA)及び分析ソフトウェアと組み合わせて、入射角0度から60度までの任意の角度での材料を介した動力の伝達を含む複雑な材料特性の決定を可能にした。Thomas Keating由来のこのシステムは、60~90GHzの準光学システムである、すなわち、光学コンポーネントのサイズが波長に対して小さく、それによって、このようなシステムを設計するには幾何光学を使用する必要がある。
【0130】
Keysight VNAハードウェアは「ゼロゲイン」回路であり、これにより、1つのポートに接続された波形フィードホーンの開口部にあるガウシアンビームウエストが楕円体ミラーによって再集束されて、サンプル位置にビームウエストが形成され、次いで、第2のミラーを介して第2のポートに渡され、そこで第2の波形フィードホーンがビームをVNA導波路に送る。測定では、複素SパラメータS21及びS11に関連付けられた正規化された電力として、PNA-KSを伝送及び反射測定に直接使用した。複素SパラメータS21及びS11からの複素誘電率(誘電率及び誘電損失)の計算は、NIST Technical Note1355Rに記載されている標準NIST(米国国立標準技術研究所(National Institute of Standard and Technology))メソッドを使用するKeysight分析ソフトウェアを使用して実行された。
【0131】
対応する試験方法で異なる周波数で測定された様々なサンプルの誘電率を表8に示す。
【0132】
【表9】
【0133】
自由空間誘電率試験法で測定した60~90GHzの周波数範囲での誘電率の変化を図12に示す。
【0134】
複素誘電率試験からの結果は、積層サンプルの誘電率及び誘電損失が非常に低く、積層されていないサンプルと同様であることを示す。
【0135】
伝送損失試験:
高周波電磁用途における低誘電率、低損失材料の潜在的な用途を実証するために、散乱パラメータ又はSパラメータを、精密光学スライドマウントの中心に400mm離して取り付けられた2つのホーンアンテナを備えた無響チャンバ内で測定した。アンテナに対してその位置を変えることができるように、2つのアンテナの間の光学レール上に回転サンプルステージを取り付けた。ソースモジュール及び受信モジュールを使用して、ソースアンテナ及び受信アンテナをそれぞれ動作させた。50mm×50mmの開口部を有する銅板を、2つのアンテナの間のサンプルホルダーに取り付けた。サンプルを、取り付けねじ及びプラスチックバーを備えた銅板と同一平面に保持して、クランプとして機能させた。ソースアンテナからのサンプルの距離及び光学レールの軸に対するサンプルの配向を変化させた。高周波電磁信号をVNA-RSからソースモジュールに供給した。受信アンテナによって受信された送信信号は、受信モジュールを介してフィルタリングされた後、VNA-RSに供給された。次いで、サンプルがソースアンテナから200mm離れているときに、反射及び送信された信号を垂直入射で記録した。熱ゆらぎに対して機器を平衡化した後、基準用に各位置/角度の組み合わせで空気測定(すなわち、サンプルなし)を行い、実際のサンプルのデータセットから差し引いた。データは、空気サンプルのインターフェースでの信号のS21パラメータ(伝送係数)に関する情報を提供するために収集された。表9に示すように、TPO(3.0mmの厚さ、2.46のε′)、PX5008(0.8mmの厚さ、2.04のε′)、及びグラスバブルズフィルム(実施例1及び実施例2)を使用して3つのサンプルを調製して、例えば、バンパーでの自動車用レーダー信号の初期反射を抑制することにおいて、上記の方法を使用して調製されたフィルムの有効性を試験した:
【0136】
【表10】
【0137】
自動車用レーダーに使用される77GHz帯域(76~81GHz)の周波数の関数として測定された伝送損失を図13に示す。これらの結果は、自動車のバンパーに一般的に使用されているプラスチック材料であるTPOのみの伝送損失が、77GHz帯域で最も高いことを示す。TPOから高電波送信媒体(air high)への誘電率が変化するので、バンパーエアーのインターフェースでの初期反射により、伝送強度も高振幅のフリンジ(リップル)を示す。これらのフリンジは、レーダーの前にある目的のオブジェクトの「ゴーストイメージ」の原因である。同じ周波数範囲で、TPOとPX5008と、実施例1又は実施例2のフィルムとを組み合わせて形成された3層構造を使用した場合、伝送損失が減少した。更に、実施例1のフィルムがTPOに適用された場合、伝送曲線における初期反射フリンジの振幅は減少した。これらの結果は、本明細書に記載の(例えば、低誘電率、低損失)フィルムが、自動車レーダーの前で使用されるバンパー材料の多層構造における層の1つとして有利に使用できることを示す。
【0138】
伝送/反射損失に関するEMモデリング計算:
伝送損失及び反射損失に関するEM(電磁)モデリングは、Microwave Studio Simulation Toolを使用して実行された。上記と同じサンプル、対照、サンプル1、及びサンプル2は、伝送損失及び反射損失を計算するためにモデル化された。得られた伝送損失を図14に示し、得られた反射係数を図15に示す。伝送損失に関する測定及びモデリング結果は、図13及び図14から分かるように一貫している。サンプル2は、レーダー用途に関する対象の周波数範囲で最も好ましい性能を示した。サンプル2の構造で使用されたグラスバブルズフィルムの厚さ(すなわち、実施例2のフィルムの厚さ)は、EM the Microwave Studio Simulation Toolを使用して最適化及び計算された。図14の伝送損失プロットは、最小化された変動を示しており、これは、TPOの上のフィルムの例が、対象の周波数範囲にわたってTPOと空気の間のインターフェースからの反射を最小化できることを意味する。図16は、S11(反射係数)計算結果を示す。対照サンプルは、周波数に応じて最も高い反射変動を有し、サンプル1は、対照サンプルよりも変動が少ない。サンプル2は、CST Microwave Studio Simulation Toolを使用した個々の層構造の最適化(例えば、厚さ及び屈折率)を通じて、72~82GHzで最も低い反射変動を示した。サンプル2のこの広帯域特性は、バンパー材料の誘電率及び厚さの変動に対する許容差を提供することができる。したがって、サンプルフィルムは、バンパーの材料/厚さの選択及び製造公差の自由度を高めることができる。
【0139】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す数量に適用される際の「約」の使用が、これが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって明確ではない場合、「約」は、指定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。約指定の値として与えられている数量は、正確に指定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって明確ではない場合、約1の値を有する数量は、当該数量が0.9~1.1の値を有することを意味し、当該値が1であり得ることを意味する。
【0140】
上記で参照された全ての参照文献、特許、又は特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれている参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先される。
【0141】
図中の要素に関する説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において例示及び説明されているが、例示及び説明されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は均等の実施態様によって置き換えられ得る点が、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されることが意図されている。
本願発明は以下の態様を包含する。
(1)ポリマー材料と、その中に分散された複数の粒子とを含むフィルムであって、
前記ポリマー材料は、実質的に同じ第1の方向に沿って配向され、前記粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも1つの第1の細長ポリマー要素の細長末端部は、前記細長末端部の全長に沿って前記複数の粒子のうちの第1の粒子に適合かつ結合しており、
前記複数の細長ポリマー要素のうちの少なくとも1つの第2の細長ポリマー要素の細長中間部は、前記細長中間部の全長に沿って前記複数の粒子のうちの第2の粒子に適合かつ結合しており、
前記第2の細長ポリマー要素は、前記細長中間部分の両端から、前記第2の粒子から離れる方向に延びている、フィルム。
(2)前記複数の粒子のうちの前記粒子が、約50パーセントを超える体積容量で前記ポリマー材料中に分散している、項目1に記載のフィルム。
(3)前記複数の粒子のうちの前記粒子が、中空であり、約1ミクロンを超える平均サイズを有する、項目1又は2に記載のフィルム。
(4)ポリマー材料と、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを、含むフィルムであって、
前記ポリマー材料は、前記粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記複数の細長ポリマー要素のうちの一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素は、複数の離間した細長部分を含み、
前記複数の離間した細長部分の各細長部分は、前記細長部分の全長に沿って前記複数の粒子のうちの1つの粒子に適合かつ結合し、
前記ポリマー要素は、前記細長部分の両端から、前記粒子から離れる方向に延びている、フィルム。
(5)前記複数の離間した細長部分が、少なくとも3つの細長部分を含む、項目4に記載のフィルム。
(6)前記複数の粒子の体積の、前記ポリマー材料の体積に対する比が、少なくとも5である、項目4又は5に記載のフィルム。
(7)対向する非多孔質の第1及び第2の保護層の間に配置され、且つそれらに結合された多孔質中間層を含む多層フィルムであって、前記多孔質中間層は、
複数の中空粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素と、
前記複数の細長ポリマー要素及び中空粒子によって画定される複数の相互接続された空隙と、
を備える多層フィルムであって、約2.5GHzの周波数での前記フィルムの誘電率の実数部は約1.4未満である、多層フィルム。
(8)約2.5GHzの周波数での前記フィルムの誘電率の虚数部の、前記実数部に対する比が、約0.004未満である、項目7に記載の多層フィルム。
(9)前記複数の粒子のうちの前記粒子が、約50パーセントを超える体積容量で前記多孔質中間層中に分散している、項目7又は8に記載の多層フィルム。
(10)対向する第1及び第2の保護層の間に配置され、且つそれらに結合された中間層を含む、多層フィルムであって、
前記中間層は、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、
前記複数の粒子のうちの少なくとも1対の第1及び第2の粒子について、及び前記複数の細長ポリマー要素のうちの一部の複数の細長ポリマー要素における各細長ポリマー要素について、前記要素の第1の端部は前記第1の粒子で終了し、前記要素の反対側の第2の端部は前記第2の粒子で終了する、多層フィルム。
(11)前記一部の複数の細長ポリマー要素における前記細長ポリマー要素が、互いに実質的に平行である、項目10に記載の多層フィルム。
(12)対向する第1及び第2の層の間に配置され、且つそれらに結合された中間層を含む、多層フィルムであって、
前記中間層は、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の中空粒子を含み、
前記多層フィルムは、室温で毎秒約5ニュートン以下の引張荷重速度で少なくとも15%の破断点伸びを有し、
前記多層フィルムを内側半径が最大1.5mmとなるように曲げ位置で曲げることが、前記曲げ位置における前記中間層への損傷を全く又はほとんどもたらさない、多層フィルム。
(13)フィルムを製造する方法であって、前記フィルムは、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含み、前記方法は、
第1の温度で混合物を提供することであって、前記混合物は、前記複数の粒子、前記ポリマー、及びより高い第2の温度では前記ポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度では前記ポリマーの溶媒でない成分を含む、提供することと、
前記混合物を第1及び第2の剥離表面との間に配置することと、
前記混合物を前記第2の温度に加熱することと、
前記混合物に第1の圧力を印加することと、
前記混合物を冷却して、前記成分からの前記ポリマーの相分離を誘導することと、
前記混合物を前記第1及び第2の剥離表面のうちの少なくとも1つから分離することと、を含み、
前記混合物を冷却する前の少なくとも第1の時間間隔の間、前記混合物は、前記第2の温度で前記第1の圧力下にあり、前記第1の圧力は、前記ポリマーを流動させる程度に十分に高い、方法。
(14)フィルムを製造する方法であって、前記フィルムは、ポリマーと、約50パーセントを超える体積容量でその中に分散された複数の粒子とを含み、前記方法は、
前記複数の粒子、前記ポリマー、及びより高い第2の温度では前記ポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度では前記ポリマーの溶媒でない成分を提供することと、
前記複数の粒子、前記ポリマー、及び前記成分を、前記第2の温度でストリームに押し出すことと、
前記ストリームをニップに通すことと、
前記ストリームを前記第1の温度に冷却して、前記成分からの前記ポリマーの相分離を誘導することであって、前記ニップは、前記相分離前又は前記相分離中に前記ストリームに圧力を与える、冷却して誘導することと、含む方法。
(15)フィルムを製造する方法であって、前記フィルムは、複数の粒子を相互接続する複数の細長ポリマー要素を含み、前記方法は、
前記複数の粒子、約10 g/mol超の数平均分子量を有するポリマー、及びより高い第2の温度では前記ポリマーの溶媒であるが、より低い第1の温度では前記ポリマーの溶媒でない成分を提供することと、
前記ポリマーと前記成分との混和性溶液中に分散した前記複数の粒子を含む層を形成することと、
前記ポリマーが前記複数の細長ポリマー要素を形成するように、前記層が圧力下にある間に、前記成分からの前記ポリマーの相分離を誘導することと、を含む、方法。
図1
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図3
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図7A
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図7D
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図7F
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