(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】計画装置、計画方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241206BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20241206BHJP
B65G 67/60 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q10/083
B65G67/60 G
(21)【出願番号】P 2022141220
(22)【出願日】2022-09-06
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伍 偉恒
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祐一
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼根 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 栄治
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-269192(JP,A)
【文献】特開平04-262455(JP,A)
【文献】特開2012-086983(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107678433(CN,A)
【文献】国際公開第2022/012727(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0134747(KR,A)
【文献】特開2004-238134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 67/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するデータ取得部と、
前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する最適化計算部と、
を備える計画装置。
【請求項2】
前記最適化計算部は、
前記第1貨物の陸揚げの作業を担当する範囲を示す前記作業範囲の割り当てと、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた第1の作業手順の全パターンを列挙し、
前記第2貨物の船積みの作業を担当する範囲を示す前記作業範囲の割り当てと、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた第2の作業手順の全パターンを列挙し、
前記第1の作業手順の全パターンと前記第2の作業手順の全パターンとを組み合わせた第3の作業手順の全パターンを列挙し、
前記第3の作業手順の全パターンの各々について、前記荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する、
請求項1に記載の計画装置。
【請求項3】
前記最適化計算部は、
前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの両方の作業を担当する範囲を示す前記作業範囲の割り当てと、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた第4の作業手順の全パターンを列挙し、
前記第4の作業手順の全パターンの各々について、前記荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項4】
前記最適化計算部は、隣接する前記作業範囲を担当する2台の前記荷役機器が、干渉が生じる位置に存在する場合、一方の前記荷役機器が前記第1貨物の陸揚げまたは前記第2貨物の船積みの作業を実行している間は、他方の前記荷役機器の前記第1貨物の陸揚げおよび前記第2貨物の船積みの作業を停止するものとして前記荷役作業時間を計算する、 請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項5】
前記最適化計算部は、前記船舶に障害物が存在する場合、前記荷役機器が前記障害物を回避する時間を含めて、前記荷役作業時間を計算する、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項6】
前記作業範囲は、前記船舶の貨物を格納する領域を、前記船舶の前後方向に、前記荷役機器の台数と同じ個数に分割して得られる範囲である、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項7】
コンピュータによって実行される計画方法であって、
前記コンピュータが、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択するステップと、
を有する計画方法。
【請求項8】
コンピュータに、
船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するステップと、
前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計画装置、計画方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
港湾コンテナターミナルでは、クレーンでコンテナを船舶に積み卸しする作業が行われる。特許文献1には、コンテナの積み卸ろし作業を効率化する荷役計画の作成方法が記載されている。具体的には、特許文献1には、コンテナの卸し先のレーンを設定するステップと、船内の積み込み位置と陸の各レーンに散在している積み込み対象コンテナとを紐付けするステップと、複数台のクレーンの移動態様と該クレーンの荷役担当範囲とを仮設定するステップと、この仮設定に基づいて各クレーンの作業所要時間を試算するステップと、この試算結果に応じて先に仮設定した内容を変更して、各クレーンの作業所要時間の配分を均等化するステップと、この均等化された作業所要時間を、複数台のクレーンの移動態様及び荷役担当範囲ごとに比較して、最も作業所要時間の少ないものを選択するステップと、を有する荷役計画の作成方法が開示されている。特許文献1に記載の方法では、ターミナルに設けられた複数台のクレーンの全てを稼働すること、複数台のクレーンの作業所要時間を均等化すること、各クレーンは自分の荷役担当範囲については、その担当範囲のコンテナの積みと卸しの両方の作業を担当すること、などを前提として、作業所要時間が最短となるような複数台のクレーンの移動態様と荷役担当範囲を算出するものである。
【0003】
しかし、ターミナルに複数台のクレーンが存在しても必ずしもその全てを使用して荷役作業を行うことが作業所要時間の最短化につながるとは限らない。また、複数台のクレーンの作業所要時間を均等化することや、荷役担当範囲について積み卸しの両方を担当すること(あるクレーンについて、船にコンテナを積む作業の作業範囲と船からコンテナを卸す作業の作業範囲を同一の範囲として設定すること)が必ずしも作業所要時間の最短化につながるとは限らない。特許文献1に記載の方法よりも、検討範囲を広げてクレーンの作業計画を作成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
港湾コンテナターミナルにおける荷役作業時間を最短化するクレーンの作業計画を作成する方法を提供する。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができる計画装置、計画方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の計画装置は、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するデータ取得部と、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する最適化計算部と、を備える。
【0008】
本開示の計画方法は、コンピュータによって実行される計画方法であって、前記コンピュータが、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するステップと、前記コンピュータが、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択するステップと、を有する。
【0009】
また、本開示のプログラムは、コンピュータに、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するステップと、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の計画装置、計画方法及びプログラムによれば、荷役作業時間を最短化する荷役機器の作業計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る計画装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係るコンテナの積み揚げ作業について説明する図である。
【
図3A】実施形態に係る作業手順(陸揚げ)の列挙について説明する第1の図である。
【
図3B】実施形態に係る作業手順(船積み)の列挙について説明する第1の図である。
【
図4】実施形態に係る作業手順の全パターン数の一例を示す第1の図である。
【
図5】実施形態に係る作業手順の列挙について説明する第2の図である。
【
図6】実施形態に係る作業手順の全パターン数の一例を示す第2の図である。
【
図7】実施形態に係る作業時間の計算結果の一例を示す第1の図である。
【
図8】実施形態に係る作業時間の計算結果の一例を示す第2の図である。
【
図9】実施形態に係る計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る計画装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の荷役機器の作業計画の作成方法について図面を参照して説明する。
(概要)
図1は、実施形態に係る計画装置の一例を示すブロック図である。
図2は、コンテナの積み揚げ作業について説明する図である。
計画装置10は、コンピュータによって構成され、コンテナの陸揚げ・船積みの作業を最適化する荷役機器の作業計画を算出する。
図2に、港Aに停泊している船舶1を示す。船舶1は、港Aにてコンテナの陸揚げ・船積みを行う。港Aには、荷役機器GC1~GC4が設けられている。荷役機器GC1~GC4は、例えば、ガントリークレーンである。作業員は、荷役機器GC1~GC4の一部又は全てを操縦して、船舶1と陸の間でコンテナの陸揚げ・船積みを行う。この荷役作業(陸揚げ・船積み)において、荷役機器GC1等は、船舶1の前後方向(Bay方向)に移動する。
【0013】
船舶1の格子模様の領域Sは、コンテナを格納するエリアを示しており、各セルにコンテナが格納される。この領域Sの紙面横方向(船舶1の前後方向)をBay、紙面縦方向(船舶1の左右方向)をRowと呼び、各セルの水平面における位置は、あるセルを基準としたときのBay番号、Row番号で表すことができる。Bay番号とは、基準のセルからBay方向に何個目のセルかを示し、Row番号はRow方向に何個目のセルかを示す。なお、船舶1の上下方向(紙面の手前、奥行き方向)はTierと呼ぶ。
【0014】
コンテナの陸揚げ・船積みを行う場合、船積み先のセル又は陸揚げ対象のコンテナが格納されたセルが存在するBay番号の位置まで荷役機器GC1等を移動させる。そして、そのBay番号に陸揚げすべきコンテナがあれば、最初に陸揚げすべきコンテナを陸へ揚げ、その後、当該Bayに船積みすべきコンテナがあれば、陸から船舶1へコンテナを積む。コンテナを陸揚げする場合、船舶1の手前側(陸側)の上側のセルに格納されたコンテナから下側(船底側)のセルに格納されたコンテナの順に陸へ揚げ、徐々に奥側(海側)のRowに格納されたコンテナに移る。当該Bay番号にて陸揚げすべき全てのコンテナに対する荷役作業を終えると、今度は、船舶1の奥側(海側)の下(船底側)の空きセルから順にコンテナを積み、徐々に手前側(陸側)Rowに存在する空きセルへコンテナを積む。なお、どのセルのコンテナを陸揚げし、どのBay番号、Row番号に何個のコンテナを船積みするか、また、船積み対象のコンテナがターミナルのどこに蔵置されているか、陸揚げ対象のコンテナをどこへ置くかについては予め定められているとする。以降は、これを繰り返し、荷役機器GC1等をBay方向に移動させながら積み卸し作業を行う。
【0015】
荷役作業の手順の規則についてまとめると、Bay方向に荷役機器GC1等を移動させて、Bayごとに荷役作業を行う。1つのBayについて、陸揚げを先に行い、陸揚げ後に船積みを行う。また、陸揚げの場合、1つのBayにおいては陸側のRowから1つずつ海側のRowに作業対象を移しながら陸揚げ作業を行う。船積みの場合、1つのBayにおいては海側のRowから1つずつ陸側のRowに作業対象を移しながら船積み作業を行う。各Rowにてコンテナを陸揚げするときには、上側のセルから順にコンテナを揚げ、コンテナを船積みするときには、下側の空きセルから順にコンテナを積んでゆく。
【0016】
また、荷役作業には、(A)最初にBayを移動しながら全ての陸揚げ対象コンテナの陸揚げを行い、その後、Bayを移動しながら全ての船積み対象コンテナの船積み作業を行う方法と、(B)各Bayで陸揚げ対象コンテナの陸揚げと船積みを行いながら、Bayを移動する方法とが存在する。
【0017】
計画装置10は、荷役機器GC1~GC4のうちの何台を荷役作業に使用するか、複数台を使用する場合、各荷役機器にBay方向のどの範囲の荷役作業を担当させるか、各荷役機器をどの方向に移動させるか(例えば、船舶1の船首から船尾方向、あるいは、その逆など)を様々に変化させて、それらの組み合せ(作業手順と呼ぶ。)の全パターンを洗い出す。そして、計画装置10は、全パターンについて荷役作業の完了に要する時間を計算し、その作業時間が最短となるパターンを選択する。
【0018】
港湾で荷役作業に従事する事業者、船の所有者は、共に船舶1にコンテナを積んで輸送先まで輸送することによって利益を上げる。従って、なるべく多くの船を港湾Aに迎え入れて、短時間に必要なコンテナの積み卸しを行い、船舶1を速やかに送り出すことが、両者に資することになる。計画装置10は、荷役作業の短時間化を実現するために、効率的な作業計画を算出する。
【0019】
(構成)
図1に示すように、計画装置10は、データ取得部11と、入力受付部12と、制御部13と、出力部14と、記憶部15とを備える。
データ取得部11は、船舶1の構造(例えば、ハッチ位置、ハウス位置)、陸揚げ・船積み対象範囲の情報(船舶1のどのBay番号、どのRow番号が空きセルとなっているか、Bay番号とRow番号で規定される空きセル群に何個のコンテナを積載するか、港Aにて陸揚げすべきコンテナがどのセルに格納されているか等)、積載すべきコンテナが港Aのどこに蔵置されているか、陸揚げ先の位置、何台の荷役機器GC1等をコンテナの陸揚げ・船積み作業に用いることができるか、荷役機器GC1等の利用可能時間、など荷役機器の作業計画の作成に必要な情報を取得し、取得した情報を記憶部15に保存するとともに、取得した情報を最適化計算部131による最適化計算で扱えるように整形する機能を備える。
入力受付部12は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置を用いて入力された、処理の実行を指示する指示情報などを受け付ける。入力受付部12は、受け付けた指示情報等を制御部13へ出力する。
【0020】
制御部13は、荷役機器GC1~GC4の作業計画を作成する処理の実行制御を行う。制御部13は、最適化計算部131を備える。
最適化計算部131は、荷役機器GC1等の作業効率最大化(荷役作業時間の最短化)を目的として、最適な陸揚げ・船積み順を算出する。また、最適化計算部131は、荷役作業の進行中に船舶1の重心バランスを適正に保つことができるようなコンテナの陸揚げ・船積み順を算出する。
【0021】
出力部14は、各種の情報、例えば、荷役機器GC1等の荷役作業計画を表示装置や電子ファイルへ出力する。
記憶部15は、データ取得部11が取得した情報、処理中のデータなどを記憶する。
【0022】
(作業手順の列挙)
次に
図3A、
図3Bを用いて、実施形態に係る作業手順の列挙について説明する。
最適化計算部131は、まず、荷役作業に用いる荷役機器GC1等の台数を決定する。ここでは、4台のうち荷役機器GC1、GC2の2台を使用する場合を例に説明を行う。
【0023】
(陸揚げと船積みを別々に行う場合)
まず、(A)最初にBayを移動しながら全ての陸揚げ対象コンテナの陸揚げを行い、その後、Bayを移動しながら全ての船積み対象コンテナの船積み作業を行う方法に関して、作業手順の全パターンを列挙する方法を説明する。
【0024】
(揚げ作業)
最適化計算部131は、揚げ作業と積み作業に分けて、それぞれについて作業範囲と走行方向の組合せの全パターンを計算する。
図3Aに例示するように、揚げ作業を行う対象のBay番号が「1」、「2」、「3」、「6」、「7」、「8」、「9」、「12」であるとする。これらのBayを2台の荷役機器GC1~GC2で担当するパターンは、例えば、荷役機器GC1がBay番号「1」を担当するパターン、Bay番号「1」~「2」を担当するパターン、Bay番号「1」~「3」を担当するパターン、Bay番号「1」~「3」,「6」を担当するパターン、Bay番号「1」~「3」,「6」~「7」を担当するパターン、Bay番号「1」~「3」,「6」~「8」を担当するパターン、Bay番号「1」~「3」,「6」~「9」を担当するパターン、Bay番号「1」~「3」,「6」~「8」,「12」を担当するパターン、荷役機器GC2がBay番号「1」~「3」,「6」~「8」,「12」を担当するパターンの9通りである。荷役機器GC1がBay番号「1」を担当し、荷役機器GC2がBay番号「2」を担当し、・・といった作業範囲の分担は明らかに非効率的であるため考えない。また、荷役機器GC1がBay番号「1」~「3」,「6」~「8」,「12」を担当するパターン、荷役機器GC2がBay番号「1」~「3」,「6」~「8」,「12」を担当するパターンは1台での作業となるが、陸揚げ作業は1台で行っても、船積み作業を荷役機器GC1~GC2の2台で行う場合の作業効率(荷役作業時間)を検討する必要があるため、このようなパターンも考える。
【0025】
また、作業範囲をBay方向に分割することで、荷役機器GC1が船舶1の船首側で荷役作業し、荷役機器GC2が船尾側で荷役作業することになるため、作業範囲が一方に偏ることにより船舶1の重心バランスが崩れるようなことがなく、船舶1の重心バランスを保ったまま荷役作業を進行することができる。
【0026】
最適化計算部131は、作業範囲の各パターンについて、荷役機器GC1~GC2の走行方向のパターンを組み合わせて、作業手順の全パターンを列挙する。
図3Aは、荷役機器GC1がBay番号「1」~「3」,「6」~「7」を担当し、荷役機器GC2がBay番号「8」~「9」,「12」を担当する場合の作業範囲のパターンを示す。この作業範囲のパターンの場合、荷役機器GC1の走行方向には、Bay番号「1」~「7」の方向、Bay番号「7」~「1」の方向があり、荷役機器GC2の走行方向には、Bay番号「8」~「12」の方向、Bay番号「12」~「8」の方向がある。これらを組み合わせると荷役機器GC1~GC2の走行パターンは4パターンとなる。
【0027】
最適化計算部131は、陸揚げ作業について、作業範囲パターン9通りと、走行パターン4通りを組み合わせた36(9×4)通りの作業手順について、それぞれの荷役作業時間を計算する。
【0028】
(積み作業)
最適化計算部131は、船積み作業についても作業手順の全パターンを列挙する。
図3Bに例示するように、船積み作業を行う対象のBay番号が「1」、「2」、「3」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」、「11」、「12」であるとする。作業範囲のパターンは、荷役機器GC1がBay番号「1」、「1」~「2」、「1」~「3」、「1」~「3」と「6」、「1」~「3」と「6」~「7」、「1」~「3」と「6」~「8」、「1」~「3」と「6」~「9」、「1」~「3」と「6」~「10」、「1」~「3」と「6」~「11」、「1」~「3」と「6」~「12」を担当する10パターンと、荷役機器GC2がBay番号「1」~「3」と「6」~「12」を担当するパターンの計11パターンである。荷役機器GC1~GC2の走行パターンは、揚げ作業と同様に計4パターンである。
【0029】
最適化計算部131は、船積み作業について、作業範囲パターン11通りと、走行パターン4通りを組み合わせた44(11×4)通りの作業手順について、それぞれの荷役作業時間を計算する。
【0030】
(全パターンの算出)
更に最適化計算部131は、荷役機器GC1等を2台使用する場合に関し、陸揚げ作業の36通りと船積み作業の44通りを組み合わせた1584(36×44)通りの作業手順のそれぞれについて荷役作業時間を計算する。
【0031】
最適化計算部131は、荷役機器GC1等を1台使用する場合、3台使用する場合、4台使用する場合に関しても、同様にして陸揚げ作業、船積み作業別に作業手順の全パターン(作業範囲パターンと走行パターンの組合せ)を洗い出し、さらに陸揚げ作業の作業手順と船積み作業の作業手順とを組み合わせて、荷役機器の台数ごとに作業手順の全パターンを算出する。
図4に、陸揚げ作業が必要なBay数を8、船積み作業が必要なBay数を10としたときの荷役機器の台数ごとの作業手順の全パターン数を示す。陸揚げ作業、船積み作業が必要なBay数がそれぞれ8と10で、港Aに設けられた荷役機器が4台(GC1~GC4)の場合、最適化計算部131は、
図4に示すように12272308(4+1584+190080+1280640)通りの作業手順の各々について荷役作業時間を計算し、それらの中から荷役作業時間が最短となるときの作業手順パターンを採用する。
【0032】
(各パターンにおける荷役作業時間の計算方法)
最適化計算部131は、列挙した作業手順それぞれに対し、各荷役機器GC1~GC4の荷役作業時間を計算する。具体的には、荷役機器X(X:GC1~GC4)の荷役時間Txは以下の式(1)によって計算される。
Tx=Tdx+Tlx+Tmx+Thx+Twx ・・・(1)
【0033】
式(1)のTdxは、荷役機器Xによる陸揚げ作業時間である。
最適化計算部131は、Bayごとに、(a1)コンテナの陸揚げ時間と、(a2)取り出しにハッチを空けることが必要とされるコンテナについては、ハッチを空ける時間と、(a3)仮揚げシフトコンテナ(コンテナを陸揚げするために一時的に移動が必要となるコンテナ)の移動時間と、を計算し、これらを合計してBayごとの陸揚げ作業時間を計算する。さらに最適化計算部131は、各Bayについて計算した陸揚げ作業時間を合計してTdxを算出する。なお、ハッチを空ける時間、特殊コンテナに必要なアタッチメントの付け替え作業時間、コンテナの搬送速度などはデータ取得部11により取得され、記憶部15に登録されている。1個のコンテナを陸揚げするために要する時間は、陸揚げするコンテナの格納位置と、陸揚げ先の位置と、搬送速度から計算することができ、これに陸揚げするコンテナ数を乗じることにより、(a1)コンテナの陸揚げ時間を計算することができる。(a3)についても同様の考え方で、仮揚げシフトコンテナの移動時間を計算することができる。
【0034】
式(1)のTlxは、荷役機器Xによる船積み作業時間である。
最適化計算部131は、Bayごとに、(b1)コンテナの船積み時間と、(b2)ハッチを閉じる時間と、(b3)仮揚げシフトコンテナの元の位置への積み戻しに要する時間と、を計算し、これらを合計してBayごとの船積み作業時間を計算する。さらに最適化計算部131は、各Bayについて計算した船積み作業時間を合計してTlxを算出する。
【0035】
式(1)のTmxは、荷役機器Xの走行時間である。
最適化計算部131は、荷役機器Xごとに、当該荷役機器Xが担当する作業範囲から走行距離を算出し、走行距離を荷役機器Xの走行速度で除算して走行時間を計算する。例えば、
図3Aの荷役機器GC1の場合、1つのBayの長さ×7により走行距離を算出し、これを荷役機器GC1の平均的な走行速度で除算し、Tmxを算出する。
【0036】
式(1)のThxは、荷役機器Xのハウス越え時間である。
最適化計算部131は、荷役機器Xごとに、当該荷役機器Xが担当する作業範囲にハウス2(
図3A,
図3B)が存在するかどうかを確認し、ハウス超えに要する時間を計算する。ハウス2は、乗組員等の居住区であり、コンテナを積載する領域よりも背が高いため、ハウス2を跨ぐためには、荷役機器Xのアームを上下する必要がある。
図3Aの場合、荷役機器GC1の作業範囲にはハウス2が存在する。最適化計算部131は、荷役機器GC1に関してアームを上下する時間を算出し、この時間をThxとする。荷役機器GC2の作業範囲にはハウス2が存在しないため、荷役機器GC2についてのThxの値は0である。
【0037】
式(1)のTwxは、荷役機器同士の待ち時間である。
最適化計算部131は、隣接する作業範囲を担当する荷役機器Xについて、荷役機器Xの走行中に発生し得る、アームの干渉回避や安全距離確保に必要な待ち時間を計算する。例えば、
図3Aにて、荷役機器GC1と荷役機器GC2が同時に作業を開始し、荷役機器GC1がBay番号1からBay番号7へ向かって揚げ作業を行い、荷役機器GC2がBay番号12からBay番号8へ向かって揚げ作業を行う場合、各Bayでの揚げ作業時間、各Bay間の移動時間から、各時刻における荷役機器GC1と荷役機器GC2の距離を計算することができる。例えば、最適化計算部131は、荷役機器GC1と荷役機器GC2の距離が閾値以下となると、一方の荷役機器(GC1又はGC2)の作業中には他方の荷役機器(GC2又はGC1)は荷役作業を行わずに待機することとして、荷役作業時間を計算する。Twxは、このような場合の待機時間の合計である。
【0038】
(Bayごとに揚げ作業と積み作業を場合)
次に、(B)各Bayで陸揚げ対象コンテナの陸揚げと船積みを行いながら、Bayを移動する方法に関して、作業手順の全パターンを列挙する方法を説明する。
【0039】
最適化計算部131は、各Bayにて揚げ作業と積み作業を行う場合の作業範囲と走行方向の組合せパターンを列挙する。
図5に、陸揚げ作業が必要なBayと船積み作業が必要なBayを例示する(それぞれ、
図3A、
図3Bの例と同じである。)。作業範囲のパターンは、例えば、荷役機器GC1がBay番号「1」、「1」~「2」、「1」~「3」、「1」~「3」と「6」、「1」~「3」と「6」~「7」、「1」~「3」と「6」~「8」、「1」~「3」と「6」~「9」、「1」~「3」と「6」~「10」、「1」~「3」と「6」~「11」、「1」~「3」と「6」~「12」を担当する10パターンと、荷役機器GC2がBay番号「1」~「3」と「6」~「12」を担当するパターンの計11パターンである。なお、11パターンのうち2パターンは、荷役機器GC1又は荷役機器GC2の1台のみによる作業となるが、ここでは、これら2パターンを含め11パターンとする。このことは、最適化計算(荷役作業時間を最短化する計画を算出する処理のこと)の最終的な結果には影響しない。荷役機器GC1~GC2の走行パターンは、
図3A,
図3Bの場合と同様に4パターンである。最適化計算部131は、クレーンが2台の場合の作業手順のパターンとして、作業範囲パターン11通りと、走行パターン4通りを組み合わせた44(11×4)通りを列挙する。
【0040】
最適化計算部131は、荷役機器GC1等を1台使用する場合、3台使用する場合、4台使用する場合に関しても、同様にして、作業範囲パターンと走行パターンを組み合わせた全パターンを洗い出す。
図6に、陸揚げ作業が必要なBay数を8、船積み作業が必要なBay数を10としたときの荷役機器台数ごとの作業手順の全パターン数を示す。陸揚げ作業、船積み作業が必要なBay数がそれぞれ8と10で、港Aに設けられた荷役機器GC1等が4台(GC1~GC4)の場合、最適化計算部131は、
図6に示すように5150(4+44+528+4576)通りの作業手順の各々について荷役作業時間を計算し、それらの中から荷役作業時間が最短となるときの作業手順パターンを採用する。各作業手順についての荷役作業時間は、上述したように式(1)によって計算することができる。
【0041】
最適化計算部131は、(A)又は(B)の方法によって荷役作業時間を計算し、その中から荷役作業時間が最短となる作業手順を選択してもよいし、(A)と(B)の両方の方法によって作業時間を計算し、その中から荷役作業時間が最短となる作業手順を選択してもよい。
【0042】
図7に2台の荷役機器GC1~GC2を用いた場合の荷役作業時間の計算結果の一例を示す。
図7(a)~7(c)は、例えば44通りの作業手順パターンのうち、荷役作業時間が短い3つのパターンである。
図7(a)に示すパターン1の場合、荷役機器GC2の作業時間が荷役機器GC1より長く、その時間はT1である。パターン1の作業時間はT1となる。
図7(b)のパターン2の場合、荷役機器GC1の作業時間T2の方が荷役機器GC2より長く、パターン2の作業時間はT2となる。
図7(c)のパターン3の場合の作業時間はT3となる。この3つのパターンの中では、作業時間T3が最も短い為、作業効率が最も良い作業手順としてはパターン3が選択される。
【0043】
図8(a)に1台の荷役機器GC1を用いて陸揚げ・船積み作業を行う作業手順のうち、荷役作業時間が最短となる場合(パターン4)の計算結果を示す。
図8(b)に3台の荷役機器GC1~GC3を用いて陸揚げ・船積み作業を行う作業手順のうち、荷役作業時間が最短となる場合(パターン5)の荷役機器ごとの荷役作業時間の計算結果を示す。
図8(c)に4台の荷役機器GC1~GC4を用いて陸揚げ・船積み作業を行う作業手順のうち、荷役作業時間が最短となる場合(パターン6)の荷役機器ごとの荷役作業時間の計算結果を示す。
図8に示すパターン4~6のうち、3台で作業を行うパターン5が最も荷役作業時間が短くなる。パターン6よりもパターン5の方が、荷役作業時間が短くなる原因として、荷役機器の台数が多く、干渉による待機時間が増加したことが考えられる。最適化計算部131は、
図7、
図8の結果から荷役作業時間が最短となる場合の作業手順のパターン(例えば、パターン5)を選択する。これにより、何台の荷役機器を用いて陸揚げ・船積み作業を行うか、各荷役機器の作業範囲をどのように割り当てるか、各荷役機器の走行パターンをどのようにすれば、荷役作業時間が最短となるかが算出される。また、これらが決まると、上述した荷役作業の手順の規則により、最適なコンテナの陸揚げ・船積み順を算出することができる。
【0044】
(動作)
次に荷役機器による陸揚げ・船積みの作業を効率化する計画の作成処理の流れを説明する。
図9は、実施形態に係る計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
最初にデータ取得部11が、荷役機器GC1等の作業計画の作成に必要な入力データを取得する(ステップS1)。データ取得部11は、取得した各種のデータを記憶部15に書き込んで保存する。
【0045】
次にユーザが、計画装置10に対して、荷役機器GC1等の作業計画の作成を指示する操作を行う。入力受付部12は、この指示操作を受け付け、作業計画作成処理の実行を制御部13に指示する。すると、制御部13が、最適化計算部131を用いて以下の処理を実行する。まず、最適化計算部131は、荷役機器の台数を示す変数Kに1を設定する(ステップS2)。
【0046】
次に、最適化計算部131が、作業手順のパターンを列挙する(ステップS3)。例えば、港湾Aでは、(A)陸揚げと船積みを別々に行うことが決まっていれば、4通りの作業手順パターン(
図4のm=1の場合)を列挙し、(B)Bayごとに陸揚げと船積みを行うことが決まっていれば、2通りの作業手順パターン(
図6のm=1の場合)を列挙し、特に(A)や(B)の制約が無い場合には、6(4+2)通りの作業パターンを列挙する。
【0047】
次に、最適化計算部131が、列挙した作業手順ごとに荷役作業時間を計算する(ステップS4)。最適化計算部131は、ステップS3で列挙した作業手順ごとに式(1)により荷役作業時間を計算する。次に、最適化計算部131は、荷役作業時間が最短となる作業手順を選択する(ステップS5)。最適化計算部131は、1台の荷役機器GC1のみを用いて陸揚げと船積みを行った場合の最短の荷役作業時間とそのときの作業手順パターンを記憶部15に記録する。
【0048】
次に、最適化計算部131が、Kに1を加算する(ステップS6)。次に、最適化計算部131は、Kが荷役機器の最大値(例えば4)を上回るかどうかを判定する(ステップS7)。Kが荷役機器の最大値以下の場合(ステップS7;No)、ステップS3~S6の処理を繰り返す。つまり、最適化計算部131は、2台の荷役機器GC1~GC2を用いて荷役作業を行った場合に荷役作業時間を最短化する作業手順のパターンを算出し、その結果を記憶部15に記録する。同様に、最適化計算部131は、3台の荷役機器GC1~GC3を用いた場合と4台の荷役機器GC1~GC4を用いた場合それぞれの荷役作業時間を最短化する作業手順のパターンの算出および結果の記録を行う。
【0049】
Kが荷役機器の最大値を上回る場合(ステップS7;Yes)、最適化計算部131は、ステップS5で選択した台数別の荷役作業時間を最短化する作業手順のパターンのうち、荷役作業時間が最短となる作業手順を選択する(ステップS8)。次に出力部14が作成した作業計画を出力する(ステップS9)。例えば、出力部14は、
図3A等に例示した荷役機器ごとの作業範囲と走行方向を表示する。
【0050】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒューリスティックスな最適化手法を用いることで、荷役作業時間を最短化することができる荷役機器の作業計画(何台の荷役機器を用いて陸揚げ・船積み作業を行うか、各荷役機器の作業範囲をどのように割り当てるか、各荷役機器の走行パターンをどのようにするかを定めた計画)を算出することができる。また、荷役作業中の船舶1の重心バランスを損なわない荷役機器の作業計画を算出することができる。
【0051】
図10は、実施形態に係る計画装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の計画装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0052】
なお、計画装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0053】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0054】
<付記>
各実施形態に記載の計画装置、計画方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0055】
(1)第1の態様に係る計画装置10は、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するデータ取得部と、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する最適化計算部と、を備える。
様々な制約を設けずに実施可能な作業手順のパターンを漏れなく洗い出して(明らかに非効率な作業手順は除く)、それぞれについて荷役作業時間を計算し、その中から荷役作業時間が最短となる作業手順を選択するので、作業効率の高い計画(荷役作業時間を最短化する計画)を見落としなく、確実に算出することができる。
【0056】
(2)第2の態様に係る計画装置10は、(1)の計画装置であって、前記第1貨物の陸揚げの作業を担当する範囲を示す前記作業範囲の割り当てと、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた第1の作業手順の全パターンを列挙し、前記第2貨物の船積みの作業を担当する範囲を示す前記作業範囲の割り当てと、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた第2の作業手順の全パターンを列挙し、前記第1の作業手順の全パターンと前記第2の作業手順の全パターンとを組み合わせた第3の作業手順の全パターンを列挙し、前記第3の作業手順の全パターンの各々について、前記荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する。
これにより、陸揚げと船積みとで異なる作業範囲を設定して荷役作業を行う場合の最短の荷役作業時間を計算することができる。
【0057】
(3)第3の態様に係る計画装置10は、(1)~(2)の計画装置であって、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの両方の作業を担当する範囲を示す前記作業範囲の割り当てと、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた第4の作業手順の全パターンを列挙し、前記第4の作業手順の全パターンの各々について、前記荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択する。
これにより、陸揚げと船積みとで同一の作業範囲を設定(担当する作業範囲では陸揚げと船積みの両方を行う。)して荷役作業を行う場合の最短の荷役作業時間を計算することができる。
【0058】
(4)第4の態様に係る計画装置10は、(1)~(3)の計画装置であって、前記最適化計算部は、隣接する前記作業範囲を担当する2台の前記荷役機器が、干渉が生じる位置に存在する場合、一方の前記荷役機器が前記第1貨物の陸揚げおよび/または前記第2貨物の船積みの作業を実行している間は、他方の前記荷役機器の前記第1貨物の陸揚げおよび/または前記第2貨物の船積みの作業を停止するものとして前記荷役作業時間を計算する。
これにより、複数台のガントリークレーンを使用する場合、アームの干渉を回避するための待機時間を考慮した精度のよい荷役作業時間を計算することができる。
【0059】
(5)第5の態様に係る計画装置10は、(1)~(4)の計画装置であって、前記最適化計算部は、前記船舶に障害物が存在する場合、前記障害物を回避する時間を含めて、前記荷役作業時間を計算する。
これにより、船舶1のハウス位置でのガントリークレーンのアームの上下時間を考慮した精度のよい荷役作業時間を計算することができる。
【0060】
(6)第6の態様に係る計画装置10は、(1)~(5)の計画装置であって、前記作業範囲は、前記船舶の貨物を格納する領域を、前記船舶の前後方向に、前記荷役機器の台数と同じ個数に分割して得られる範囲である。
これにより、船舶の重心バランスを維持したままでの陸揚げ・船積みを可能とする作業計画を作成することができる。
【0061】
(7)第7の態様に係る計画方法は、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するステップと、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択するステップと、を有する。
【0062】
(6)第6の態様に係るプログラムは、コンピュータ900に、船舶から陸揚げする第1貨物と、前記船舶へ船積みする第2貨物と、前記船舶における前記第1貨物が格納された位置の情報と、前記第2貨物を格納する位置の情報と、前記第1貨物の陸揚げおよび/又は前記第2貨物の船積みに用いる荷役機器の情報と、を取得するステップと、前記荷役機器の作業範囲と、当該作業範囲における前記荷役機器の移動方向と、前記荷役機器の数と、を組み合わせた作業手順の全パターンを列挙し、前記全パターンの各々について、前記第1貨物の陸揚げと前記第2貨物の船積みの作業の完了に要する荷役作業時間を計算し、前記荷役作業時間が最短となるときの前記作業手順のパターンを選択するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・船舶
10・・・計画装置
11・・・データ取得部
12・・・入力受付部
13・・・制御部
131・・・最適化計算部
14・・・出力部
15・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース