(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ライダーを符号化および復号する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/487 20060101AFI20241206BHJP
G01S 7/497 20060101ALI20241206BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20241206BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20241206BHJP
【FI】
G01S7/487
G01S7/497
G01S17/10
G01S17/931
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179213
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2019536968の分割
【原出願日】2018-01-05
【審査請求日】2022-11-09
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522138308
【氏名又は名称】セヨンド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】イミン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジュンウェイ・パオ
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・チャン
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-308482(JP,A)
【文献】特開2016-014665(JP,A)
【文献】特開2010-048810(JP,A)
【文献】特開2016-206610(JP,A)
【文献】特開2008-107286(JP,A)
【文献】特開2003-167281(JP,A)
【文献】米国特許第07345743(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0059201(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源により、パルス群信号を伝送する工程であって、該パルス群信号は、特徴を有する複数のパルスを含む、工程と;
帰還パルス群信号を受け取る工程であって、帰還パルス群信号が
物体の表面から散乱された伝送パルス群信号に対応する、工程と;
該特徴に基づいて、帰還パルス群信号と伝送パルス群信号とを相関させる工程と;
(1)伝送パルス群信号に関連付けられた時間と(2)帰還パルス群信号に関連付けられた時間との間の時間差を決定する工程と;
該時間差に基づき、光源から
物体の表面までの距離を算出する工程と;
該パルス群信
号と該帰還パルス群信
号との相関
のピーク値の振幅に基づいて
物体の表面の反射率を判定する工
程と
を含む方法。
【請求項2】
特徴は、伝送パルス群信号のパルスの数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特徴は、パルス群信号のパルス幅である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
特徴は、パルス群信号の振幅である、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
特徴は、パルス群信号のパルス形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特徴は、パルス群信号の繰返し周期である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
特徴は、パルス群信号の所定のタイミングスロットにおけるパルス位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
伝送されたパルス群信号が第1のパルス群信号であり、さらに
第2のパルス群信号を伝送する工程であって、該第2のパルス群信号が、第2の特徴を有する第2の複数のパルスを含む、工程と;
第2の帰還パルス群信号を受け取る工程であって、該帰還パルス群信号は、
物体の第2
の表面から散乱された第2のパルス群信号に対応する、工程と;
第2の特徴に基づいて、第2の帰還パルス群信号と第2のパルス群信号とを相関させる工程と;
(1)第2のパルス群信号に関連付けられた時間と(2)第2の帰還パルス群信号に関連付けられた時間との間の第2の時間差を決定する工程と;
該第2の時間差に基づいて、光源から
物体の第2の表面までの第2の距離を算出する工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(1)第1のパルス群信号に関連付けられた時間と(2)第2のパルス群信号に関連付けられた時間との間の時間は、光パルスが光源の設計ごとに最も遠い物体に到達するための往復飛行時間よりも短い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2のパルス群信号は、第1のパルス群信号の後に伝送され、第1の帰還パルス群信号は、第2の帰還パルス群信号の後に受け取られる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第1の複数のパルス群信号を伝送する工程であって、該第1のパルス群信号は、第1の複数のパルス群信号の一部であり、該複数のパルス群信号の各パルス群信号は、第1の時間間隔で周期的に伝送される工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第2の複数のパルス群信号を伝送する工程であって、第2の複数の第2のパルス群信号の各々は、第2の時間間隔で周期的に伝送される工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の時間間隔と第2の時間間隔との間の比率は、第1の複数の第1のパルス群信号のいずれもが第2の複数のパルスのいずれとも重ならないように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2の時間間隔は、第1の時間間隔よりも短い、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
光源は、車両に設置される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
光検知測距(ライダー)走査システムであって:
パルス群信号を伝送するように構成され、パルス群信号が特徴を有する複数のパルスを含む、光源と;
帰還パルス群信号を受け取るように構成され、帰還パルス群信号が、
物体の表面から散乱された伝送パルス群信号に対応する、光検出器と;
該光源および該光検出器に電気的に結合されたマイクロプロセッサと
を含み、該マイクロプロセッサは:
該特徴に基づいて、帰還パルス群信号と伝送パルス群信号とを相関させ;
(1)伝送パルス群信号に関連付けられた時間と(2)帰還パルス群信号に関連付けられた時間との間の時間差を決定し;
該時間差に基づいて、光源から
物体の表面までの距離を算出し;
該パルス群信
号と該帰還パルス群信
号との相関
のピークの振幅に基づいて
物体の表面の反射率を判定
するように構成される、前記システム。
【請求項17】
特徴は、伝送パルス群信号のパルスの数である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
光源は、車両に設置される、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月5日出願の「METHOD AND SYSTEM FOR
ENCODING AND DECODING LiDAR」という名称の米国仮特許出願第62/442,758号の優先権を主張するものであり、同出願の内容を、全体として参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示は、一般に、光検知測距(ライダー)に関し、より詳細には、ライダーシステムを符号化および復号する技法に関する。
【背景技術】
【0003】
ライダーシステムは、物体とシステムとの間の距離を測定するために使用することができる。具体的には、システムは、信号を伝送し(たとえば、光源を使用)、帰還信号を記録し(たとえば、光検出器を使用)、帰還信号と伝送信号との間の遅延を計算することによって距離を判定することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、本開示の基本的な理解を提供するために、1つまたはそれ以上の例の簡略化された概要を提示する。この概要は、企図されるすべての例の広範な概説ではなく、すべての例の主要もしくは重要な要素を識別すること、またはいずれかもしくはすべての例の範囲を描写することを意図したものではない。この概要の目的は、以下に提示するより詳細な説明に対する前置きとして、1つまたはそれ以上の例のいくつかの概念を簡略化された形で提示することである。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、光検知測距(ライダー)走査システムが:光パルスを伝送して物体の表面を照明するように構成された光源と;シーケンス生成器からの信号に応答して光パルスを符号化するように動作可能な変調器と;光パルスの物体の表面からの散乱光を検出するように構成された光検出器と;光検出器に電気的に結合されており、散乱光をシーケンスコードと相関させ、光パルスが受け取られた時間に関連付けられたピーク値を出力するように構成された相関器と、光源および相関器に電気的に結合されたマイクロプロセッサとを含み、ここで、マイクロプロセッサは:ピーク値の振幅が閾値を超過するかどうかを判定し;ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って:光パルスが伝送された時間と光パルスが受け取られた時間との間の時間差を判定し;時間差に基づいて物体の表面までの距離を計算するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、光検知測距(ライダー)走査検出のための方法が:光源からの光パルスをシーケンスコードで符号化する工程と;光パルスを伝送して物体の表面を照明する工程と;物体の照明された表面からの散乱光を検出器で検出する工程と;検出した散乱光をシーケンスコードと相関させ、光パルスが受け取られた時間に関連付けられたピーク値を出力する工程と;ピーク値の振幅が閾値を超過するかどうかを判定する工程と;ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って:光パルスが伝送された時間と光パルスが受け取られた時間との間の時間差を判定する工程と;時間差に基づいて物体の表面までの距離を計算する工程とを含む。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータ実行方法が:光源および光検出器を有する光検知測距(ライダー)システム内で:光源を使用して、第1の数のパルス信号を有する
第1のパルス群信号および第2の数のパルス信号を有する第2のパルス群信号を伝送する工程であって、第1の数が第2の数とは異なる、工程と;光検出器を使用して、第3の数のパルス信号を有する帰還パルス群信号を受け取る工程と;第3の数のパルス信号に基づいて、帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するか、それとも第2のパルス群信号に対応するかを判定する工程と;帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第1のパルス群信号に基づいて、第1の距離を判定する工程と;帰還パルス群信号が第2のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第2のパルス群信号に基づいて、第2の距離を判定する工程とを含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、光検知測距(ライダー)走査システムが、第1の数のパルス信号を有する第1のパルス群信号および第2の数のパルス信号を有する第2のパルス群信号を伝送するように構成され、第1の数が第2の数とは異なる、光源と;第3の数のパルス信号を有する帰還パルス群信号を検出するように構成された光検出器と;光源および光検出器に電気的に結合されたマイクロプロセッサとを含み、ここで、マイクロプロセッサは、第3の数のパルス信号に基づいて、帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するか、それとも第2のパルス群信号に対応するかを判定し;帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第1のパルス群信号に基づいて、第1の距離を判定し;帰還パルス群信号が第2のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第2のパルス群信号に基づいて、第2の距離を判定するように構成される。
【0009】
記載する様々な態様をさらに理解するために、次の図とともに以下の説明を参照されたい。複数の図全体にわたって、同様に参照する番号は、対応する部分を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車両に取り付けられた複数のライダーシステムを示す図である。
【
図2】遅延光パルスを区別する例示的なライダーシステムを示す図である。
【
図3】異なる光源からの光パルスを区別する例示的なライダーシステムを示す図である。
【
図4A】重複領域内の符号化ライダーシステムに対する4つの符号化シーケンスを示す図である。
【
図4B】他のシーケンス間で符号化シーケンスを区別する相関を示す図である。
【
図5A】雑音および様々な減衰を有する散乱光の符号化信号を示す図である。
【
図5B】雑音および様々な減衰を有する散乱光の符号化信号に対する相関を示す図である。
【
図6】ライダーシステムを符号化および復号する例示的なプロセスを示す図である。
【
図7A】本開示のいくつかの実施形態による帰還散乱光を伝送パルス信号と相関させる例示的なライダーシステムを示す図である。
【
図7B】本開示のいくつかの実施形態によるライダーシステムによって伝送される例示的な1組のパルス信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
物体の距離を判定するために、ライダーシステムは、物体を光パルスで照明し、光パルスに対応する散乱光を検出する。光パルスをその光パルスに対応しない散乱光と関連付けると、ライダーシステムは、対象物がそこに存在しないにもかかわらず、物体が存在すると解釈するおそれがある。たとえば、同じライダーシステムまたはこのライダーシステムに近接する第2のライダーシステムによって伝送される別のパルスからの散乱光が、誤って元のパルス光と対にされる可能性があり、これが物体として不正確に解釈されるおそれ
がある。現在の技法では、典型的には、サンプルを後処理し、キャプチャフレームの隣接サンプルを比較することによって、「偽」の物体を補正するが、これは最善でも近似である。したがって、難題は、光パルスをその光パルスからの対応する散乱光と対にすることを改善することである。
【0012】
添付の図面に関連して以下に述べる詳細な説明は、様々な構成についての説明であることを意図したものであり、本明細書に記載する概念を実行することができる唯一の構成を表すことを意図したものではない。詳細な説明は、様々な概念の徹底的な理解を提供する目的で、具体的な詳細を含む。しかし、これらの概念は、これらの具体的な詳細がなくても実施することができることが、当業者には明らかであろう。いくつかの例では、そのような概念を曖昧にしないように、よく知られている構造および構成要素はブロック図の形で示されている。
【0013】
ライダーシステムおよびプロセスの例について、装置および方法の様々な要素を参照して次に提示する。これらの装置および方法について、以下の詳細な説明に説明し、様々なブロック、構成要素、回路、工程、プロセス、アルゴリズムなど(集合的に、「要素」と呼ぶ)によって添付の図面に示す。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこれらの任意の組合せを使用して実施することができる。そのような要素がハードウェアとして実施されるか、それともソフトウェアとして実施されるかは、特定の応用例および全体的なシステムに課される設計上の制約に依存する。
【0014】
以下の例の説明において、本説明の一部を形成する添付の図面を参照する。添付の図面では、例示を目的として、実施することができる特有の例を示す。開示する例の範囲から逸脱することなく、他の例を使用することもでき、構造上の変更を加えることもできることを理解されたい。
【0015】
以下の説明では、様々な要素を説明するために、「第1」、「第2」などの用語を使用するが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素を別の要素とは区別するためだけに使用される。たとえば、記載する様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1のパルス信号を第2のパルス信号と呼ぶこともでき、同様に、第2のパルス信号を第1のパルス信号と呼ぶこともできる。第1のパルス信号および第2のパルス信号はどちらもパルス信号であるが、同じパルス信号ではない可能性がある。
【0016】
本明細書に記載する様々な実施形態の説明で使用される術語は、特定の実施形態について説明することのみを目的とし、限定することを意図したものではない。記載する様々な実施形態の説明および添付の特許請求の範囲では、文脈上別途明白に示さない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数形も同様に含むことを意図している。本明細書では、「および/または」という用語は、関連する記載の項目のうちの1つまたはそれ以上のあらゆる可能な組合せを参照および包含することも理解されよう。「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、記載の構成、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたはそれ以上の他の構成、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解される。
【0017】
「~場合(if)」という用語は、場合により、文脈に応じて、「~とき(when)」もしくは「~とき(upon)」、または「~と判定したことに応答して(in response to determining)」もしくは「~を検出したことに応答して(in response to detecting)」を意味すると解釈される。
同様に、「~と判定された場合(if it is determined)」、または「[記載の条件または事象]が検出された場合(if [a stated condition or event] is detected)」という語句は、場合により、文脈に応じて、「~と判定したとき(upon determining)」もしくは「~と判定したことに応答して(in response to determining)」、または「[記載の条件または事象]を検出したとき(upon detecting [the stated condition or event])」もしくは「[記載の条件または事象]を検出したことに応答して(in response to
detecting [the stated condition or event])」を意味すると解釈される。
【0018】
図1は、車両100に取り付けられた複数のライダーシステム102A~102Fを示す。
図1に示すように、車両100は、車両100の前方領域104Aを走査するように向けられた第1のライダーシステム102Aと、車両100の後方領域104Bを走査するように向けられた第2のライダーシステム102Bと、車両100の助手席側領域104Cを走査するように向けられた第3のライダーシステム102Cと、車両100の運転席側領域104Dを走査するように向けられた第4のライダーシステム102Dと、車両100の前方助手席側コーナ領域104Eを走査するように向けられた第5のライダーシステム102Eと、車両100の前方運転席側コーナ領域104Fを走査するように向けられた第6のライダーシステム102Fとを有する。
【0019】
この例では、車両100の第5のライダーシステム102Eは、前方領域104Aと助手席側領域104Cとの間の走査されない区域に対応する「死角」(たとえば、ライダーシステムによって走査されない区域)をカバーする。したがって、第5のライダーシステム102Eでは、第1の重複領域106AEで前方助手席側コーナ領域104Eが前方領域104Aと重複し、第2の重複領域106ECで前方助手席側コーナ領域104Eが助手席側領域104Cと重複する。同様に、車両100の第6のライダーシステム102Fは、前方領域104Aと運転席側領域104Dとの間の走査されない区域に対応する「死角」(たとえば、ライダーシステムによって走査されない区域)をカバーする。したがって、第6のライダーシステム102Fでは、第3の重複領域106AFで前方運転席側コーナ領域104Fが前方領域104Aと重複し、第4の重複領域106FDで前方運転席側コーナ領域104Fが運転席側領域104Dと重複する。
【0020】
重複領域は、各重複領域が2つ以上のライダーシステムからそれぞれの各重複領域内の物体を測距することができるため、追加の分解能を提供することができる。たとえば、第1のライダーシステム102Aは、第1の重複領域106AE内に位置する物体の表面を測距することができ、第5のライダーシステム102Eは、第1の重複領域106AE内に位置する物体の隣接面を測距することができる。したがって、2つのライダーシステムが同じ区域内の物体を同時に測距することができる場合、第1の重複領域106AEが過剰に走査される可能性がある。
【0021】
重複領域(たとえば、第1の重複領域106AE、第2の重複領域106EC、第3の重複領域106AF、第4の重複領域106FDなど)を過剰に走査することで、1つまたはそれ以上のライダーシステム間に干渉が生じる可能性がある。たとえば、第5のライダーシステム102Eが第1の重複領域106AE内に位置する物体の表面を測距するのと実質上同じ時間および実質上同じ位置で、第1のライダーシステム102Aは、第1の重複領域106AE内に位置する物体の表面を測距することができる。そのような例では、第1のライダーシステム102Aからの散乱光パルスが、第5のライダーシステム102Eで誤って検出される可能性がある。同様に、第5のライダーシステム102Eからの散乱光パルスが、第1のライダーシステム102Aで誤って検出される可能性もある。
【0022】
いくつかの例では、第1のライダーシステム102Aからの散乱光パルスが、第5のライダーシステム102Eからの散乱光パルスと干渉する可能性がある。すなわち、第1のライダーシステム102Aは、両方の散乱光パルスを検出する可能性があり、どちらが第1のライダーシステム102Aから伝送された光パルスに対応する散乱光パルスであるかを区別するのが困難になる可能性がある。複数の散乱光パルスが検出されたときに、どの散乱光パルスが伝送光パルスに対応するかを区別する1つの手法は、最初に検出された散乱光を伝送光パルスに関連付ける「最初に到達したもの」の区別を実施することである。この手法の論拠は、最初に到達する光パルスは正しい伝送光パルスに対応する最短距離を移動することである。しかし、この手法では隣接ライダーシステムからの散乱光パルスが干渉する可能性がある。たとえば、第1のライダーシステム102Aから伝送される散乱光パルスの前に、第5のライダーシステム102Eからの散乱光パルスが第1のライダーシステム102Aに到達する可能性がある。したがって、「最初に到達したもの」(たとえば、この例では、第5のライダーシステム102Eからの散乱光パルス)の手法を選択すると、その物体が実際に位置する場所より近い物体に対する距離をもたらす。
【0023】
複数の散乱光パルスが検出されたときに、どの散乱光パルスが伝送光パルスに対応するかを区別する別の手法は、最も明るい検出された散乱光パルスを伝送光パルスに関連付ける「最も強いもの」の区別を実施することである。この手法の論拠は、光源および検出器の位置合わせにより、検出器とランダムに位置合わせされた第2の光源より強い光パルスが収集されることである。したがって、到達した中で最も強い(たとえば、最も明るい)光パルスが、伝送光パルスに対応する。たとえば、第5のライダーシステム102Eから発生した散乱光パルスが、第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルス後、それより高い強度で、第1のライダーシステム102Aに到達する可能性がある。そのような例では、「最も強いもの」(たとえば、この例では、第5のライダーシステム102Eからの散乱光パルス)の手法を選択すると、その物体が実際に位置する場所より遠い物体に対する距離をもたらす。
【0024】
複数の光パルスが検出されたときにどの散乱光パルスが伝送光パルスに対応するかを正確に区別するために、
図1に示す各ライダーシステム(たとえば、102A~102F)は、シーケンス生成器からの信号に応答して伝送光パルスを符号化するように動作可能な変調器を含む。すなわち、各伝送光パルスは、各走査領域(たとえば、領域104A~104F)に対するパターンとして
図1に表すシーケンスコードに従って変調される。いくつかの例では、シーケンスコードは、擬似乱数ビットシーケンス(PRBS)コードである。たとえば、PRBSコードは、PRBS-5コードに対応する2
5-1ビットを有することができ、PRBSコードは、PRBS-31コードに対応する2
31-1ビットを有することができ、以下同様である。PRBSコードは、2
5-1より大きくすることができることを理解されたい。たとえば、PRBSコードは、PRBS-6コードに対応する2
6-1ビットを有することができ、PRBSコードは、PRBS-7コードに対応する2
7-1ビットを有することができ、PRBSコードは、PRBS-8コードに対応する2
8-1ビットを有することができ、PRBSコードは、PRBS-9コードに対応する2
9-1ビットを有することができ、以下同様である。PRBSコードは、2
5-1より小さくすることができることも理解されたい。たとえば、PRBSコードは、PRBS-4コードに対応する2
4-1ビットを有することができ、PRBSコードは、PRBS-3コードに対応する2
3-1ビットを有することができ、以下同様である。
【0025】
図1のパターン領域(たとえば、104A~104F)に示すように、各ライダーシステムは、伝送光パルスを符号化し、それにより複数の散乱光パルスが検出されたときに、伝送光パルスに対応する散乱光パルスを区別することが容易になる。たとえば、第1のライダーシステム102Aから伝送される散乱光パルスの前に、第5のライダーシステム1
02Eから発生した散乱光パルスが第1のライダーシステム102Aに到達する可能性がある。第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルスおよび第5のライダーシステム102Eから発生した散乱光パルスは、第1のライダーシステム102Aのシーケンスコードと相関される。第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルスと第1のライダーシステム102Aのシーケンスコードとの間の相関が、第5のライダーシステム102Eから発生した散乱光パルスと第1のライダーシステム102Aのシーケンスコードとの間の相関より高いため、第1のライダーシステム102Aは、後に到達する散乱光パルス(たとえば、第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルス)を正確に識別する。
【0026】
別の例では、第5のライダーシステム102Eから発生した散乱光パルスが、第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルス後、それより高い強度で、第1のライダーシステム102Aに到達する可能性がある。第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルスおよび第5のライダーシステム102Eから発生した散乱光パルスは、第1のライダーシステム102Aのシーケンスコードと相関される。第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルスと第1のライダーシステム102Aのシーケンスコードとの間の相関が、第5のライダーシステム102Eから発生した散乱光パルスと第1のライダーシステム102Aのシーケンスコードとの間の相関より高いため、第1のライダーシステム102Aは、より低い強度を有する散乱光パルス(たとえば、第1のライダーシステム102Aから発生した散乱光パルス)を正確に識別する。
【0027】
図2は、遅延光パルスを区別する例示的なライダーシステム200を示す。ライダーシステム200は、光源210、光検出器230、ならびに電気処理および演算デバイス(マイクロコントローラなど)240を含む。
図2に示すように、光源210は、物体250の第1の表面252を照明する光パルス214を伝送するように構成される。本明細書に記載する例では、光源210はレーザダイオードである。いくつかの例では、光源210は、白熱灯、蛍光灯などとすることができる。さらに、光源210は、可視スペクトル内の1つもしくはそれ以上の波長、赤外スペクトル内の1つもしくはそれ以上の波長、または紫外スペクトル内の1つもしくはそれ以上の波長を有することができる。
【0028】
図2に示す例では、光源210は、シーケンス生成器244からの信号に応答して光パルス214を符号化するように動作可能な内部変調器212を有する。いくつかの例では、内部変調器212は、オンオフキーイングに従ってレーザダイオード光源210への注入電流を変調するように構成される。内部変調器212を使用する代わりに、変調器は、光源の外部に位置することもできる。たとえば、変調器は、
図2に選択肢として示すように、光源210および物体250の光路内に位置する光電変調器(opto-electrical modulator)220とすることができる。いくつかの例では、光電変調器220は、マッハツェンダ変調器とすることができる。
【0029】
図2に示すように、光検出器230は、散乱光パルス216の光路内に位置する。光検出器230は、光パルス214から発生して物体250の第1の表面252から拡散または散乱される散乱光パルス216を検出するように構成される。光検出器230は、光センサ232、アパーチャマスク234、および収束レンズ236を含むことができる。収束レンズ236は、散乱光パルスを光センサ232の焦点領域の方へ誘導するように構成される。収束レンズ236は、高屈折率ガラス(high index glass)、プラスチックなどの任意の透明材料から作ることができる。レンズ236は、大きい区域にわたって散乱光パルス216を誘導し、それにより光センサ232で収集される散乱光パルス216の量を増大させる。マスク234は、まっすぐな散乱光パルス216の光路に対して斜めに傾斜している散乱光パルス216を光センサ232付近で濾過するように構成され、その結果、まっすぐな散乱光パルス216の経路に対して実質上平行な光だけ
が、光センサ232に到達することができる。
【0030】
いくつかの例では、光パルス214からの光は、第1の表面252から分散して第2の表面254から「エコー」し、まっすぐな散乱光パルス216の経路に対して実質上平行な光路に沿って誘導されることがある。しかし、そのようなエコー散乱光パルス(pulse of echo-scattered light)218の余分の距離により、散乱光パルス216のよりまっすぐな経路からエコー散乱光パルス218の遅延が生じる。したがって、エコー散乱光218は、まっすぐな散乱光パルス216より遅れる。光センサ232は、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管などとすることができる。いくつかの例では、光センサ232は、光入射面の反対側の表面に対向する反射鏡を含み、反射鏡は、光センサ232の吸収領域へ光を後方反射する。
【0031】
ライダーシステム200は、散乱光パルス216およびエコー散乱光218の両方を検出し、ライダーシステム200は、散乱光パルス216およびエコー散乱光218の両方を、ライダーシステム200によって伝送される有効なパルスとして関連付けることを理解されたい。いくつかの例では、ライダーシステム200は、本明細書に記載する方法によってパルス内に符号化されたシーケンスコードに基づいて、散乱光パルス216およびエコー散乱光218の両方を、ライダーシステム200によって伝送される有効なパルスとして関連付ける。1つまたはそれ以上の有効なパルスが存在する例では、ライダーシステム200は、エコー散乱光218がまっすぐな散乱光パルス216より遅れるため、「最初に到達したもの」を散乱光パルス214の属性とし、残りをエコー散乱光218パルスの属性とする。
【0032】
図2に示す例では、光検出器230は、アナログデジタル(A/D)変換器238を含む。A/D変換器238は、吸収された散乱光216に対する検出器(たとえば、光センサ232)からのアナログ電気応答をデジタル電気信号に変換するように構成された集積回路とすることができる。さらに、実質上光センサ232にA/D変換器238を有することで、損失(たとえば、線路損)を低減させることができ、それにより信号の完全性を増大させることができる。
【0033】
図2に示す例は、コンピュータ可読媒体/メモリ248、光源210、光検出器230、光センサ232、任意選択の光変調器224、および任意選択の光電変調器220に電気的に結合された電気処理および演算デバイス(マイクロプロセッサなど)240を含む。ライダーシステム200内のマイクロプロセッサ240は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはその他と呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアコンポーネント、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、手続き、関数などを意味すると広義で解釈されるものとする。
【0034】
マイクロプロセッサ240は、タイマ/クロック242、シーケンス生成器244、および相関器246を含む。
図2に示すように、マイクロプロセッサ240は、光源210および相関器246に電気的に結合される。したがって、光源210は、タイマ/クロック242をトリガして、光パルス214が伝送された時間をマーク(mark)することができる。同様に、相関器246は、光パルスが検出された時間をマークすることができる。いくつかの例では、タイマ/クロックモジュール242は、伝送されまたは受け取られた各光パルス214をタイムスタンプでマークするように構成される。タイムスタンプは、符号化された日時である。タイムスタンプの例には、「month-day-year@hour:min:sec」、「year-dd-month@hour:min:
sec」、「1234567890(Unix時間)」などが含まれる。タイマ/クロックモジュール242は、さらに光パルス214を散乱光パルス216と対にし、時間差を判定することができる。いくつかの例では、タイマ/クロック242は、マイクロプロセッサ240内に埋め込まれたモジュールである。
【0035】
シーケンス生成器244は、シーケンスコードを生成するように構成される。シーケンス生成器244は、相関器246、光源210(たとえば、内部変調器212)に電気的に結合され、場合により光電変調器220に電気的に結合される。いくつかの例では、シーケンス生成器244は、マイクロプロセッサ240内に埋め込まれたモジュールである。いくつかの例では、シーケンスコードは、擬似乱数ビットシーケンス(PRBS)コードである。
【0036】
相関器246は、光検出器230に電気的に結合される。相関器246は、散乱光パルス216をシーケンスコードと相関させるように構成され、それにより散乱光パルス216とシーケンスコードとの間の類似性を測定する。類似性が高い場合、相関器246は、散乱光パルス216およびシーケンスコードが位置合わせされるピーク値を出力する。ピーク値の位置は、散乱光パルス216が受け取られた時間に関連付けられる。電気ドメイン内の相関に対して、相関器246は、散乱光216の電気表現に対応するA/D変換器238からのデジタル電気信号にアクセスする。
図2に示すように、A/D変換器238は、光検出器230に電気的に結合される。
【0037】
図2に示すように電気ドメイン内で散乱光パルス216を相関させる相関器246の代わりに、ライダーシステム200は、光ドメイン内で散乱光パルス216を相関させる光変調器224を含むことができる。
図2に示すように、光変調器224は、散乱光216の光路内に位置する。この例では、散乱光パルス216は、シーケンスコードと光学的に相関される。いくつかの例では、光変調器224は、4光波混合を実施するように構成される。
【0038】
いくつかの例では、マイクロプロセッサ240は、散乱光216とシーケンスコードとの間の相関からのピーク値の振幅が閾値を超過するかどうかを判定するようにさらに構成される。いくつかの例では、閾値は、相関器246からの出力の平均を上回る少なくとも1つの標準偏差である。ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って、マイクロプロセッサ240は、光パルス214が伝送された時間と散乱光パルス216が受け取られた時間との間の時間差を判定するようにさらに構成される。この時間差に基づいて、マイクロプロセッサ240は、物体250の表面までの距離(たとえば、第1の表面252までの距離)を計算するように構成される。いくつかの例では、マイクロプロセッサ240は、ピーク値の振幅に基づいて、物体250の表面(たとえば、第1の表面252)の反射率を判定するようにさらに構成される。
【0039】
図2に示すように、コンピュータ可読媒体/メモリ248は、マイクロプロセッサに電気的に結合され、タイムマーカ、シーケンスコード、タイムスタンプ、距離判定などのための記憶を提供する。
【0040】
図3は、異なる光源からの光パルスを区別する例示的なライダーシステム200’を示す。ライダーシステム200’は、エコー散乱光パルス218を受け取るのではなく、第2の光源310からの異なる散乱光パルス316を受け取る
図2のライダーシステム200とすることができる。
図3に示すように、ライダーシステム200’は、第2の光源310からの異なる光パルス314を示し、光パルス314は、第1の表面252に近接している物体250の第3の表面352を照明する。異なる光パルス314からの一部の光が、第3の表面352から分散し、まっすぐな散乱光パルス216の経路に対して実質上
平行な光路に沿って誘導され、光検出器230によって検出される可能性がある。
【0041】
この例では、相関器246は、光源310から発生した異なる散乱光パルス318およびコードシーケンスを相関させ、また光源210から発生した散乱光パルス218およびコードシーケンスを相関させる。相関結果は、異なる散乱光パルス318に対する相関と比較すると、相関が散乱光パルス218に対してより高いことを示す。したがって、ライダーシステム200’は、異なる光パルス314を散乱光パルス218に正確に関連付ける。
【0042】
図3は、異なる光源(すなわち、光源210および310)から発生した散乱光を区別することを示すが、本明細書に記載するパルス信号を符号化する方法は、同じ光源から発生した散乱光を区別するために使用することもできることを理解されたい。たとえば、ライダーシステムは、複数の伝送パルス信号をそれぞれ異なるシーケンスコード(たとえば、PRBSコード)で符号化することができる。散乱光を受け取ったとき、ライダーシステムは、復号を実行して、この散乱光を、同じ符号化情報を有する特定の伝送パルス信号に相関させることができる。したがって、複数の伝送パルス信号からの散乱光が、それらの対応するパルス信号がライダーシステムから伝送された順序とは異なる順序で、光検出器に到達した場合でも、システムはそれでもなお、各散乱光パルスを一意に識別することができる。そのような方法は、2017年1月5日出願の「HIGH RESOLUTION LiDAR USING HIGH FREQUENCY PULSE FIRING」という名称の米国仮特許出願第62/442,912号、および2017年12月28日出願の「HIGH RESOLUTION LiDAR USING HIGH FREQUENCY PULSE FIRING」という名称の米国特許出願第15/857,563号に記載されている方法など、散乱光を分析する他の方法とともに使用することもできることをさらに理解されたい。同出願の内容を、全体として参照によって本明細書に組み入れる。
【0043】
図4Aは、符号化ライダーシステムに対する4つの符号化シーケンスを示す。符号化シーケンス402は、立上りエッジ412または立下りエッジ414で遷移する論理レベル「1」410および論理レベル「0」416を有する。各シーケンスコード(たとえば、符号化シーケンス402、第1のシーケンス404、第2のシーケンス406、第3のシーケンス408など)上には、これらのシーケンスコードが信号ではなく生成された論理ビットシーケンスであるため、雑音はないことを理解されたい。
図4Aに示すように、符号化シーケンス402は、31ビット(たとえば、2
5-1)に対応するPRBS-5コードである。
【0044】
図4Bは、他のシーケンス(たとえば、第1のシーケンス404、第2のシーケンス406、第3のシーケンス408など)間の符号化シーケンス402を区別する相関を示す。この例では、相関器246は、シーケンスコード(たとえば、符号化シーケンス402)を、符号化シーケンス402、第1のシーケンス404、第2のシーケンス406、および第3のシーケンス408と相関させる。
図4Bに示すように、シーケンスコード(たとえば、符号化シーケンス402)と符号化シーケンス402との間の相関は、他のシーケンス(たとえば、第1のシーケンス404、第2のシーケンス406、および第3のシーケンス408)からの相関ピークよりはるかに高いピーク値418を生じる。これは、符号化シーケンス402が第1のライダーシステム102A(
図1)に対するシーケンスコードであり、かつ第1のシーケンス404が第5のライダーシステム102E(
図1)に対するシーケンスコードである場合、第1のライダーシステム102Aは、第1の重複領域106AE内で、第5のライダーシステム102Eに対して第1のライダーシステム102Aからの散乱光パルスを正確に区別することができることを意味する。
【0045】
第2のシーケンス406は、第2のライダーシステム102B(
図1)に対するシーケンスコードとすることができ、第3のシーケンス408は、第3のライダーシステム102C(
図1)に対するシーケンスコードとすることができ、他のシーケンスコードは、第4のライダーシステム102D(
図1)および第6のライダーシステム102F(
図1)に対して生成することができることを理解されたい。
【0046】
図4Bはまた、閾値420を示す。いくつかの例では、マイクロプロセッサ240は、相関出力の統計に基づいて、閾値420を判定する。たとえば、いくつかの例では、閾値420は、相関器246からの出力の平均を上回る少なくとも1つの標準偏差である。
【0047】
図5Aは、雑音530および様々な減衰(たとえば、0dBの減衰502A、20dBの減衰502B、30dBの減衰502C)を有する散乱光216の符号化信号を示す。この例では、光パルス214が、符号化シーケンス402で符号化される。したがって、光パルス214は、立上りエッジ412または立下りエッジ414で遷移する論理レベル「1」410および論理レベル「0」416で符号化される。
図5Aに示すように、0dBの減衰502Aに対する光パルス214は、雑音項(たとえば、雑音530)を有していない
図4Aの符号化シーケンス402に類似している。光パルス214内の雑音530は、熱雑音(たとえば、変調中のトランジスタから)、光雑音(たとえば、背景放射)などとすることができる。
図5Aに示すように、20dBの減衰502Bの光パルス214は、雑音項(たとえば、雑音530)に対してわずかに見えるが、30dBの減衰502Cの光パルス214は、雑音項(たとえば、雑音530)に対して裸眼にはほとんど区別できないように見える。
【0048】
図5Bは、雑音530および様々な減衰(たとえば、0dBの減衰502A、20dBの減衰502B、30dBの減衰502C)を有する散乱光216の符号化信号に対する相関を示す。この例では、相関器246は、
図5Aの0dBの減衰502A、20dBの減衰502B、および30dBの減衰502Cの光パルス214を符号化シーケンス402(
図4)と相関させる。
図5Bに示すように、0dBの減衰504Aの相関、20dBの減衰504Bの相関、および30dBの減衰504Cの相関の各々は、それぞれピーク値418A、ピーク値418B、およびピーク値418Cを有する。0dBの減衰504Aの相関は、
図4Bの符号化シーケンス402に対する相関に実質上類似しており、20dBの減衰504Bの相関のピーク値418Bは、類似しているように見えるが、0dBの減衰504Aの相関のピーク値418Aよりほぼ1桁小さい(たとえば、10分の1小さい)。30dBの減衰504Cの相関のピーク値418Cは、20dBの減衰504Bの相関のピーク値418Bよりほぼ3分の1小さい。
【0049】
ピーク値418A、418B、418Cは減衰とともに減少するため、マイクロプロセッサ240は、ピーク値418の振幅に基づいて、物体250の表面(たとえば、第1の表面252)の反射率を判定するように構成することができることが企図されることに留意されたい。
【0050】
裸眼には散乱光パルス216がほとんど区別できないように見える30dBの減衰502C(
図5A)でも、相関はなお、
図5Bに示すように、雑音530に対してピーク418Cを区別することができることを理解されたい。ピーク418A、418B、および418Cに対する場所は、時係数0に位置しており、それにより時間差を判定するためにタイマ/クロック242と同期することが容易になることも理解されたい。
【0051】
図6は、ライダーシステム(たとえば、ライダーシステム200、ライダーシステム200’など)を符号化および復号する例示的なプロセス600を示す。プロセス600は、車両内に配置または収容されるシステムによって実行することができる。システムは、
ライダーシステム200または200’(
図2および
図3)とすることができる。ブロック602で、プロセス600は、シーケンスコードを生成する。シーケンス生成器244(
図2および
図3)は、マイクロプロセッサ240内に埋め込まれたモジュールとすることができる。いくつかの例では、シーケンスコードは、擬似乱数ビットシーケンス(PRBS)コードである。たとえば、PRBSコードは、PRBS-5コードに対応する2
5-1ビットを有することができる。シーケンス生成器244は、光源210(たとえば、内部変調器212)および相関器246にシーケンスコードを提供する。
【0052】
ブロック604で、プロセス600は、光源からの光パルスをシーケンスコードで符号化する。たとえば、
図2および
図3に示すように、光源210はダイオードレーザであり、シーケンス生成器244からの信号に応答して光パルス214を符号化するように動作可能な内部変調器212を有する。いくつかの例では、光パルス214を符号化することは、オンオフキーイングに従ってレーザダイオード光源210への注入電流を変調することを含む。たとえば、内部変調器212は、オンオフキーイングに従ってレーザダイオード光源210への注入電流を変調するように構成することができる。いくつかの例では、変調器は、光源210および物体250の光路内に位置する光電変調器220などの外部変調器である。光電変調器220は、マッハツェンダ変調器とすることができる。いくつかの例では、光パルス214を符号化することは、光源210の光路内に位置するマッハツェンダ変調器を介して光パルス214を変調することである。いくつかの例では、光パルス214を符号化することは、電気光学変調器を介して光ドメイン内で光パルス214を変調することを含む。
【0053】
ブロック606で、プロセス600は、光パルスを伝送して物体の表面を照明する。すなわち、光源210(
図2および
図3)は、物体250の第1の表面252を照明する光パルス214を伝送することができる。その結果、光パルス214からの一部の光が、第1の表面252から分散し、まっすぐな散乱光216の経路に対して実質上平行な光路に沿って誘導される可能性がある。
【0054】
ブロック608で、プロセス600は、物体の照明された表面からの散乱光を検出器(たとえば、検出器230)で検出する。すなわち、検出器230は、第1の表面252から分散して光検出器230へ誘導された散乱光パルス216を検出することができる。光検出器230は、より多くの散乱光パルス(たとえば、散乱光パルス238)を集めるのを助けるために、光センサ232、アパーチャマスク234、および収束レンズ236を含むことができる。特に、収束レンズ236は、散乱光パルス(たとえば、散乱光パルス238)を集めて、光センサ232の焦点領域の方へ誘導する。いくつかの例では、散乱光パルス(たとえば、散乱光パルス238)は、光パルス214から発生して符号化された散乱光パルス238、分散された光パルス214から発生して1つまたはそれ以上の表面からエコーしたエコー散乱光218、および異なる光パルス314から発生した異なる散乱光パルス318を含む。いくつかの例では、光センサ232は、アバランシェフォトダイオードなどのフォトダイオードである。いくつかの例では、検出器は、光電子増倍管である。いくつかの例では、散乱光を検出することは、検出した散乱光パルス238をデジタル電気信号に変換することを含む。
【0055】
ブロック610で、プロセス600は、検出した散乱光パルスをシーケンスコードと相関させ、光パルスが受け取られた時間に関連付けられたピーク値を出力する。たとえば、相関器246は、信号生成器244からのシーケンスコードおよび検出器230のA/D変換器238からの変換されたデジタル電気信号を受け取る。次いで相関器246は、変換されたデジタル電気信号をシーケンスコードと相関させる。この相関により、時係数0に位置するピーク値418(たとえば、
図4Bのピーク418)が得られ、時間差を判定するためにタイマ/クロック242と同期することが容易になる。
【0056】
ブロック612で、プロセス600は、少なくとも1つのピーク値の振幅が閾値を超過するかどうかを判定する。たとえば、マイクロプロセッサ240は、散乱光216とシーケンスコードとの間の相関からのピーク値418の振幅が閾値418を超過するかどうかを判定するように構成することができる。たとえば、マイクロプロセッサは、
図4Bに示すピーク418が閾値420を超過するが、残りの相関のピークは閾値420を超過しないと判定するはずである。いくつかの例では、閾値は、相関器からの出力の平均を上回る少なくとも1つの標準偏差である。たとえば、マイクロプロセッサ240は、相関器246の出力の標準偏差を平均化することができ、次いで平均に標準偏差を加えた値に、この閾値を設定することができる。いくつかの例では、マイクロプロセッサは、1つの送受信サイクルからの相関器の出力が記録された後に判定を行う。
【0057】
ブロック614で、ピークの振幅が閾値を超過したという判定に従って、プロセス600は、光パルスが伝送された時間と光パルスが受け取られた時間との間の時間差を判定する。たとえば、タイマ/クロック242は、光パルス214を散乱光パルス216と対にして時間差を判定することができる。いくつかの例では、タイマ/クロック242は、タイムマーカ(たとえば、タイムスタンプ)を使用する。いくつかの例では、光パルス214を発することで、タイムマーカをトリガすることができ、時係数0の相関で、タイムマーカをトリガすることができる。
【0058】
ブロック616で、プロセス600は、時間差に基づいて、物体の表面までの距離を計算する。たとえば、マイクロプロセッサ240は、時間差に光の速度を掛けて2で割ると、物体250までの距離を得ることができる。たとえば、時間差が0.8マイクロ秒の場合、マイクロプロセッサ240は、物体250までの距離を約120メートル離れていると計算するはずである(たとえば、0.8e-6*2.9979e8/2)。距離を計算した後、計算器モジュール310は、これらの値をコンピュータ可読媒体/メモリ248に記憶することができる。
【0059】
任意選択のブロック618で、ピークの振幅が閾値を超過したという判定に従って、プロセス600は、ピークの振幅に基づいて、物体の表面の反射率を判定する。たとえば、光パルス214は、物体250の表面(たとえば、第1の表面252)を照明し、この光は分散し、散乱光218の一部が検出器230へ誘導される。高反射性の表面の場合、散乱光218の大きい部分(たとえば、割合)が検出器230へ誘導され、低反射性の表面の場合、散乱光218の小さい部分(たとえば、割合)が検出器230へ誘導される。相関ピーク418の振幅は減衰とともに減少し(
図5B)、減衰は表面の反射率に比例するため、マイクロプロセッサ240は、ピーク値418の振幅に基づいて、物体250の表面(たとえば、第1の表面252)の反射率を判定するように構成することができることが企図される。
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態による帰還散乱光を伝送パルス信号と相関させる例示的なライダーシステムを示す。図示の例では、ライダーシステム700は、送信器702および受信器704を含む。送信器702は、光源を使用して、第1のパルス群信号706および第2のパルス群信号708を2つの異なる時間に伝送する。パルス群信号は、比較的小さい時間間隔によって隔置された1群の1つまたはそれ以上のパルスを含むことができる。したがって、パルス群信号は、1つまたはそれ以上のピークを有することができる。図示の例では、第1のパルス群信号706は、単一のパルス、したがって1つのピークを含み、第2のパルス群信号708は、2つのパルス、したがって2つのピークを含む。図示の例では、第1のパルス群信号706のパルス信号および第2のパルス群信号708のパルス信号は、同じ波長に関連付けられる。いくつかの例では、パルス群信号706および708は、パルス幅、パルス形状、および/またはパルス群内のパルス繰返し周期などの他の特徴に関して異なる。
【0060】
第1のパルス群信号706および第2のパルス群信号708は、時間間隔によって分離される。時間間隔は、2つの群の信号が互いに重複しないように十分に大きく設定される。図示のように、パルス群信号706および708の伝送間の時間間隔は、パルス群信号708内の2つのパルス間の時間間隔より大きい。これにより、パルス群信号706および708からの散乱光が2つの別個の群の信号として認識される確率が改善される。さらに、いくつかの例では、散乱した後の群の中のピークの数をシステムがなお認めることができる限り、パルス群信号内のパルス間の時間間隔を可能な限り小さく設定することが望ましいことを理解されたい。さらにこれにより、複数の群の信号からの散乱光を、散乱した後に複数の別個の(たとえば、重複しない)パルス群信号として認識するのに役立つ。
【0061】
受信器704は、光検出器を使用して、第1の帰還パルス群信号712および第2の帰還パルス群信号714を受け取る。各帰還パルス群信号に対して、システムは、それが対応するのはどの伝送パルス群信号かに関して判定を行う。たとえば、システムは、第2の帰還パルス群信号714内に2つのパルス(またはピーク)を識別し、したがって第2の帰還パルス群信号714が第2のパルス群信号708に対応すると判定する。したがって、システムは、パルス群信号708が伝送された時間およびパルス群信号714が受け取られた時間に基づいて、距離を判定する。
【0062】
さらに、システムは、第1の帰還パルス群信号712内に1つのパルス(またはピーク)を識別し、したがって第1の帰還パルス群信号712が第1のパルス群信号706に対応すると判定する。したがって、システムは、パルス群信号706が伝送された時間およびパルス群信号712が受け取られた時間に基づいて、距離を判定する。
【0063】
ライダーシステム700は、帰還パルス群信号712および714が受け取られた順序にかかわらず、帰還パルス群信号712および714をそれぞれの伝送信号に相関させることができることを理解されたい。たとえば、第1のパルス群信号706が、比較的離れた物体によって散乱され、第2のパルス群信号708が、比較的近い物体によって散乱された場合、帰還パルス群信号712の前に帰還パルス群信号714(第2のパルス群信号708に対応)を受け取る可能性がある。それにもかかわらず、システムはなお、帰還パルス群信号714内で識別されるピークの数に基づいて、後に伝送されたパルス群信号708と帰還パルス群信号714を正確に相関させることができる。
【0064】
同じ光源から発生した散乱光を区別する前述の方法は、ライダーシステムの分解能を改善する。対応する光パルスが伝送された順序とは異なる順序で受け取った散乱光を正確に相関させることができない従来のシステムでは、システムは、たとえば信号を伝送し、次いでライダーが設計された最も遠い距離まで光パルスが往復移動するのにかかる最大時間を待ってから次の信号を伝送することによって、散乱光が同じ順序で到達することを確実にすることが必要になる可能性がある。前述の方法を使用することで、システムは、2つの連続する信号を伝送する間に、最大飛行時間を待つ必要がなくなる。たとえば、システムの設計仕様によって、第1のパルス群信号706の伝送と第2のパルス群信号708の伝送との間の時間を、光パルスが物体のうちの最も遠いものに到達するための往復飛行時間より小さくすることができる。したがって、システムは、パルス信号をより高い周波数で伝送することが可能になり、したがって検出範囲を低減させることなく視野内でより高い分解能を得ることができる。
【0065】
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態によるライダーシステムによって伝送される例示的な1組のパルス信号を示す。図示のように、この1組のパルス信号は、パルス群信号706および724を含む第1の複数のパルス群信号、ならびにパルス群信号708、720、722、および726を含む第2の複数のパルス群信号を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の複数のパルス群信号は、比較的遠い物体を検出するためのものであり、第2の複数のパルス群信号は、比較的近くの物体を検出するためのものである。そのようなシステムは、ライダーシステムの検出範囲を低減させることなく、検出される点の密度を増大させるために、複数のシードレーザのための電子機器を有する必要がない。図示のように、第1の複数のパルス群信号(たとえば、706、724)は、第2の複数のパルス群信号(たとえば、708、720、722、726)より高い振幅である。信号706および724の振幅がより高いことで、それらの信号を使用して、離れた物体を測距することが可能になる。さらに、第1の複数のパルス群信号のうちの信号706および724は、時間間隔t1によって分離される。いくつかの例では、時間間隔t1は、ライダーシステムが設計された最も遠い距離まで光パルスが往復移動するのにかかる最大時間とすることができ;したがってシステムは、「最初に到達したもの」の手法を使用して、第1の複数のパルス群信号のうちの信号を区別することができる。さらに、第2の複数のパルス群信号のうちの信号708および720は、時間間隔t2によって分離される。システムは、上述した方法によれば、各散乱光内のそれぞれのピークの数に基づいて、第1の複数のパルス群信号のうちの信号に対応する散乱光と、第2の複数のパルス群信号のうちの信号に対応する散乱光とを区別することができる。
【0067】
いくつかの例では、第1の複数のパルス群信号のうちの各パルス群信号は、隣接するパルス群信号から同じ時間間隔t1によって分離され、第2の複数のパルス群信号のうちの各パルス群信号は、隣接するパルス群信号から同じ時間間隔t2によって分離される。t1とt2との間の比は、第1の複数のパルス群信号のどれも第2の複数のパルス群信号のいずれかに重複しないように構成される。
【0068】
図7Bは、同じ光源から発生した散乱光を区別することを示すが、この方法は、異なる光源からの光パルスを区別するために使用することもできることを理解されたい。たとえば、第1のライダーシステムは、706および724を含む第1の複数のパルス群信号を伝送するように構成することができ、第2のライダーシステムは、708、720、722、および726を含む第2の複数のパルス群信号を伝送するように構成することができる。各散乱光に対して、第1のライダーシステムは、散乱光内のパルス(および/またはピーク)の数を識別し、散乱光が第1のライダーシステムから発生したか、それとも第2のライダーシステムから発生したかを判定することができる。
【0069】
例示的な方法、非一過性コンピュータ可読記憶媒体、システム、および電子デバイスについて、以下の項目に記載する:
1.光検知測距(ライダー)走査システムであって:
光パルスを伝送して物体の表面を照明するように構成された光源と;
シーケンス生成器からの信号に応答して光パルスをシーケンスコードで符号化するように動作可能な変調器と;
光パルスから発生した物体の表面からの散乱光パルスを検出するように構成された光検出器と;
光検出器に電気的に結合されており、散乱光パルスをシーケンスコードと相関させ、散乱光パルスが受け取られた時間に関連付けられたピーク値を出力するように構成された相関器と、
光源および相関器に電気的に結合されたマイクロプロセッサとを含み、ここで、マイクロプロセッサは:
ピーク値の振幅が閾値を超過するかどうかを判定し;
ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って:
光パルスが伝送された時間と光パルスが受け取られた時間との間の時間差を判定し;
時間差に基づいて物体の表面までの距離を計算するように構成される、ライダー走査システム。
2.光源は、レーザダイオード光源である、項目1に記載のライダー走査システム。
3.変調器は、オンオフキーイングに従ってレーザダイオードへの注入電流を変調するように構成される、項目2に記載のライダー走査システム。
4.変調器は、光パルスの光路内に位置する光電変調器である、項目1~3のいずれかに記載のライダー走査システム。
5.変調器は、光パルスの光路内に位置するマッハツェンダ変調器である、項目1~4のいずれかに記載のライダー走査システム。
6.検出器は、フォトダイオードである、項目1~5のいずれかに記載のライダー走査システム。
7.検出器は、光電子増倍管である、項目1~6のいずれかに記載のライダー走査システム。
8.検出器は、検出した散乱光パルスを電気デジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器をさらに含む、項目1~7のいずれかに記載のライダー走査システム。
9.相関器は、マイクロプロセッサ内に埋め込まれたモジュールである、項目1~8のいずれかに記載のライダー走査システム。
10.相関器は、4光波混合を実行するように構成された光変調器である、項目1~9のいずれかに記載のライダー走査システム。
11.シーケンス生成器は、マイクロプロセッサ内に埋め込まれたモジュールである、項目1~10のいずれかに記載のライダー走査システム。
12.シーケンスコードは、擬似乱数ビットシーケンスコードである、項目1~11のいずれかに記載のライダー走査システム。
13.擬似乱数ビットシーケンスコードは、PRBS-5である、項目12に記載のライダー走査システム。
14.閾値は、相関器からの出力の平均を上回る少なくとも1つの標準偏差である、項目1~13のいずれかに記載のライダー走査システム。
15.ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って、マイクロプロセッサは、ピーク値の振幅に基づいて、物体の表面の反射率を判定するようにさらに構成される、項目1~14のいずれかに記載のライダー走査システム。
16.光検知測距(ライダー)走査検出のための方法であって:
光源からの光パルスをシーケンスコードで符号化する工程と;
光パルスを伝送して物体の表面を照明する工程と;
物体の照明された表面からの散乱光パルスを検出器で検出する工程と;
検出した散乱光パルスをシーケンスコードと相関させ、散乱光パルスが受け取られた時間に関連付けられたピーク値を出力する工程と;
ピーク値の振幅が閾値を超過するかどうかを判定する工程と;
ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って:
光パルスが伝送された時間と散乱光パルスが受け取られた時間との間の時間差を判定する工程と;
時間差に基づいて物体の表面までの距離を計算する工程とを含む、方法。
17.ピークの振幅が閾値を超過するという判定に従って、ピークの振幅に基づいて物体の表面の反射率を判定することをさらに含む、項目16に記載の方法。
18.光源は、レーザダイオードである、項目16または17に記載の方法。
19.光パルスを符号化することは、オンオフキーイングに従ってレーザダイオードへの注入電流を変調することを含む、項目18に記載の方法。
20.光パルスを符号化することは、光パルスの光路内に位置する電気光学変調器を介して光ドメイン内で光パルスを変調することを含む、項目16~19のいずれかに記載の方法。
21.光パルスを符号化することは、光パルスの光路内に位置するマッハツェンダ変調器を介して光パルスを変調することを含む、項目16~20のいずれかに記載の方法。
22.検出器は、フォトダイオードである、項目16~21のいずれかに記載の方法。
23.検出器は、光電子増倍管である、項目16~22のいずれかに記載の方法。
24.散乱光パルスを検出することは、検出した散乱光パルスを電気デジタル信号に変換することを含む、項目16~23のいずれかに記載の方法。
25.シーケンスコードは、擬似乱数ビットシーケンスコードである、項目16~24のいずれかに記載の方法。
26.擬似乱数ビットシーケンスコードは、PRBS-5である、項目25に記載の方法。
27.閾値は、相関器からの出力の平均を上回る少なくとも1つの標準偏差である、項目16~26のいずれかに記載の方法。
28.ピーク値の振幅が閾値を超過するという判定に従って、ピーク値の振幅に基づいて、物体の表面の反射率を判定する、項目16~27のいずれかに記載の方法。
29.コンピュータ実行方法であって:光源および光検出器を有する光検知測距(ライダー)システム内で:
光源を使用して、第1の数のパルス信号を有する第1のパルス群信号および第2の数のパルス信号を有する第2のパルス群信号を伝送する工程であって、第1の数が第2の数とは異なる、工程と;
光検出器を使用して、第3の数のパルス信号を有する帰還パルス群信号を受け取る工程と;
第3の数のパルス信号に基づいて、帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するか、それとも第2のパルス群信号に対応するかを判定する工程と;
帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第1のパルス群信号に基づいて、第1の距離を判定する工程と;
帰還パルス群信号が第2のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第2のパルス群信号に基づいて、第2の距離を判定する工程とを含む、方法。
30.第1の数は1である、項目29に記載の方法。
31.第1のパルス群信号のパルス信号および第2のパルス群信号のパルス信号は、同じ波長に関連付けられる、項目29または30に記載の方法。
32.システムの設計仕様によって、第1のパルス群信号の伝送と第2のパルス群信号の伝送との間の時間は、光パルスが物体のうちの最も遠いものに到達するための往復飛行時間より小さい、項目29~31のいずれかに記載の方法。
33.第1のパルス群信号を含む第1の複数のパルス群信号を伝送する工程であって、第1の複数のパルス群信号のうちの各パルス群信号が、第1の複数のパルス群信号のうちの隣接するパルス群信号から第1の時間間隔によって分離される、工程と;
第2のパルス群信号を含む第2の複数のパルス群信号を伝送する工程であって、第2の複数のパルス群信号のうちの各パルス群信号が、第2の複数のパルス群信号のうちの隣接するパルス群信号から第2の時間間隔によって分離され、第1の時間間隔は、第2の時間間隔とは異なる、工程と
をさらに含む:項目29~32のいずれかに記載の方法。
34.第1の複数のパルス群信号のうちのパルス群信号は、第1の振幅に関連付けられ、第2の複数のパルス群信号のうちのパルス群信号は、第1の振幅とは異なる第2の振幅に関連付けられる、項目33に記載の方法。
35.光検知測距(ライダー)走査システムであって:
第1の数のパルス信号を有する第1のパルス群信号および第2の数のパルス信号を有する第2のパルス群信号を伝送するように構成され、第1の数が第2の数とは異なる、光源と;
第3の数のパルス信号を有する帰還パルス群信号を検出するように構成された光検出器と;
光源および光検出器に電気的に結合されたマイクロプロセッサとを含み、ここで、マイ
クロプロセッサは、第3の数のパルス信号に基づいて、帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するか、それとも第2のパルス群信号に対応するかを判定し;
帰還パルス群信号が第1のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第1のパルス群信号に基づいて、第1の距離を判定し;
帰還パルス群信号が第2のパルス群信号に対応するという判定に従って、帰還パルス群信号および伝送された第2のパルス群信号に基づいて、第2の距離を判定するように構成される、方法。
【0070】
開示するプロセスおよび/または流れ図内のブロックの特有の順序または階層は、例示的な手法の一例であることが理解される。設計上の好みに基づいて、プロセスおよび/または流れ図内のブロックの特有の順序または階層を配置し直すことができることが理解される。さらに、いくつかのブロックを組み合わせることができ、または省略することができる。添付の方法クレームは、様々なブロックの要素をサンプル順序で提示するが、提示する特有の順序または階層に限定されることを意味するものではない。
【0071】
前述した説明は、当業者であれば本明細書に記載する様々な態様を実行することが有効になるように提供される。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に定義する一般原理は、他の態様にも適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す態様に限定されることを意図したものではなく、特許請求の範囲の言語に一貫する完全な範囲が与えられ、ある要素を単数で参照することは、具体的にそのような記載がない限り、「1つだけ」ではなく、「1つまたはそれ以上」を意味することを意図したものである。本明細書では、「例示的」という単語は、「1つの例、事例、または例示として働く」ことを意味するために使用される。「例示的」であると本明細書に記載するあらゆる態様は、必ずしも他の態様に比べて好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。具体的に別段の記載がない限り、「いくつか」という用語は、1つまたはそれ以上を指す。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの1つまたはそれ以上」、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つまたはそれ以上」、ならびに「A、B、C、またはこれらの任意の組合せ」などの組合せは、A、B、および/またはCの任意の組合せを含み、複数のA、複数のB、または複数のCを含むことができる。具体的には、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの1つまたはそれ以上」、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つまたはそれ以上」、ならびに「A、B、C、またはこれらの任意の組合せ」などの組合せは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはAおよびBおよびCとすることができ、任意のそのような組合せは、A、B、またはCのうちの1つまたはそれ以上の部材を含むことができる。当業者には知られているまたは後に知られることになる本開示全体にわたって説明した様々な態様の要素に対するすべての構造上および機能上の均等物は、参照により本明細書に明示的に組み入れられており、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示するものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に示されているかどうかにかかわらず、公衆に供されることを意図しない。「モジュール」、「機構」、「要素」、「デバイス」などの単語は、「手段」という単語に対する置換えではない。したがって、どの特許請求の範囲の要素も、「~手段(means for)」という語句を使用してその要素が明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるべきではない。