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特許7599494複合スリットを有する張力作動式拡張シート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】複合スリットを有する張力作動式拡張シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
B65D81/05
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022538720
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 IB2020062061
(87)【国際公開番号】W WO2021130613
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】62/952,815
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/058,084
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コリガン,トーマス アール.
(72)【発明者】
【氏名】フレミング,パトリック アール.
(72)【発明者】
【氏名】ランガー-アンダーソン,デロニー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,リサ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニルマル,マノジ
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290356(JP,A)
【文献】国際公開第2018/045316(WO,A1)
【文献】米国特許第03655501(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレテンション形態において平面を画定し、軸方向と、前記軸方向に対して垂直である横方向を有し、前記軸方向に平行な引張軸に対して垂直である湾曲した横方向長さをそれぞれ有するスリットの複数の行に並べられた複数のスリットを有する材料シートであって、1行内にある前記スリットのそれぞれが、前記1行内にある直接隣接するスリットから前記横方向に間隔を空けて、軸方向ビームを形成しており、前記軸方向ビームが、隣接する行のスリット間に延びており、前記複数のスリットが、それぞれ2つより多くの終端部を有する複合スリットの繰り返しパターンを含む、材料シート、
を含む、拡張材料。
【請求項2】
記引張軸に沿って張力が加えられたときに前記材料の少なくとも一部分が前記平面から45度以上回転する、請求項1に記載の拡張材料
【請求項3】
リットの第1の行内にある前記スリットが、スリットの隣接する行内にあるスリットから、スリットの前記第1の行内にある各スリットの前記横方向の長さの75%以下だけオフセットされている、請求項1に記載の拡張材料。
【請求項4】
前記材料が、約0.001インチ(0.025mm)~約5インチ(127mm)の厚さを有する、請求項1に記載の拡張材料。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の複数のスリットを形成することができるダイ。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかを有する包装材料。
【請求項7】
前記拡張材料が、ロール構成である、請求項に記載の包装材料。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかの製造方法であって、
押出成形、成形、レーザー切断、ウォータージェット加工、機械加工、ステレオリソグラフィ、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ、化学エッチング、回転ダイカット、スタンピング、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって、前記材料に前記複数のスリットを形成すること、
を含む、製造方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかの使用方法であって、
引張軸に沿って前記拡張材料に張力を加えることにより、前記材料を拡張させること、
を含む、使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合スリットパターンを含む張力作動式拡張物品に関する。いくつかの実施形態では、これらの物品は、緩衝フィルム及び/又は包装材料として使用される。本開示はまた、概して、これらの張力作動式拡張物品の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2016年には、消費者は、店舗よりもオンラインで多くの製品を購入した。(Consumers Are Now Doing Most of their Shopping Online,Fortune Magazine紙,2016年6月8日)。具体的には、消費者は、買い物の51%をオンラインで、49%を実店舗で行った。同上。消費者行動のこの変化の1つの結果が、一日に郵送及び配送されるパッケージ数の増加である。134億個(米国郵便公社によって約52億個、Fed Exによって約33億個、及びUPSによって約49億個)を超えるパッケージが、一年に世界中の家庭及び事業所に配送される。パッケージ以外の郵便物の配送は年々減少しているが、パッケージの配送は年率約8%で成長している。この成長により、米国郵便公社のビジネスの25%が、パッケージ配送となっている。(Washington Examiner紙、「For every Amazon package it delivers,the Postal Service loses $1.46」、2017年9月1日)。Amazonは、一日に約300万個のパッケージを発送し、Alibabaは、一日に約1200万個のパッケージを発送する。
【0003】
それは、事業所の発送パッケージだけではない。成長するメイカームーブメントは、Etsy(商標)のようなウェブサイトを通じて個人がハンドメイド製品を世界中に発送する機会を生み出す。更に、持続可能性に関する注目の高まりにより、多くの消費者は、中古製品を、ごみ処分場に投げ込むのではなく、eBay(商標)のようなサイトで再販売する。例えば、2500万人を超える人々が商品をeBay(商標)で販売し、1億7100万人を超える人々がこれらの商品を購入する。
【0004】
これらの商品を発送する個人及び事業所は、それらの物品を、発送対象製品、緩衝材、及び空気を含め、典型的には箱である発送容器に入れて発送することが多い。箱は多くの利点を有する。例えば、箱は、直立可能であり、軽量で、平坦にして保管され、再生利用可能であり、比較的低コストである。しかしながら、箱は標準サイズで提供され、発送対象品のサイズと一致しないことが多く、そのため、ユーザは、大量のフィラー又は緩衝材で箱を満たして、大き過ぎる箱の中で輸送中の品物が周囲に衝突して損傷しないように保護する必要がある。
【0005】
包装緩衝材は、輸送中の品物を保護する。輸送中及び荷積み/荷降ろし中の振動及び衝撃の影響は、緩衝材によって軽減され、製品が損傷する可能性を低減する。緩衝材は、多くの場合、発送容器の内側に配置され、そこで、緩衝材は、例えば、座屈して変形することによって、並びに/又は振動を減少させることによって、もしくは衝撃及び振動を輸送中の品物ではなく緩衝材に伝達することによって、エネルギーを吸収する。他の例では、包装材料は、箱内の発送対象品を動かないようにして所定の位置に固定するなど、緩衝以外の機能にも使用される。あるいは、包装材料は、例えば、発送対象品よりも著しく大きい箱が使用される場合などに、隙間を埋めるためにも使用される。
【0006】
いくつかの例示的な包装材料としては、プラスチック気泡ラップ(商標)、気泡フィルム、クッションラップ、エアピロー、細断紙、しわ紙、細断ポプラ、バーミキュライト、クレイドル、及び波形気泡フィルムが挙げられる。これらの包装材料の多くは、再生利用可能ではない。
【0007】
1つの例示的な包装材料を、図1A及び図1Bに示す。フィルム100は、一重スリットパターンの一種である「スキップスリットパターン」と呼ばれることが多い、複数の切り込み又はスリット110のパターンを含む紙シートで作製されている。フィルム100が張力作動される(切り込み又はスリット110に実質的に垂直である引張軸(T)に沿って引っ張られる)と、複数のビーム130が形成される。ビーム130は、隣接する、同軸のスリットの行の間にある領域である。スリット110によって形成されたビーム130は、集合的に、ある程度の上向き及び下向きに動く(例えば、図1B及び図1Cを参照)。この上向き及び下向きの動きにより、図1Aの二次元物品(実質的に平坦なシート)が、張力作動されたときに、図1B及び図1Dの三次元物品になる。このフィルムが包装材料として使用されると、三次元構造が、二次元の平坦な構造と比較して、ある程度の緩衝作用をもたらす。
【0008】
フィルム100の切り込み又はスリットパターンは、図1Aに示され、米国特許第4,105,724号(Talbot)及び同第5,667,871号(Goodrichら)に記載される。このパターンは、複数の個々の直線状スリット110からなる複数の実質的に平行な行112を含む。所与の行112内にある個々の直線状スリット110のそれぞれは、直接隣接する、実質的に平行な行112内にある個々の直線状スリット110のそれぞれと位相がずれている。図1A図1Cの特定の構成では、隣接する行112同士は、水平方向の間隔の2分の1だけ位相がずれている。このパターンは、スリット110及び行112からなるアレイを形成し、アレイは、アレイ全体にわたって規則的な繰り返しパターンを有する。直接隣接するスリット110の行112間には、材料からなるビーム130が形成されている。
【0009】
図2Aは、90°回転させた図1A図1Cのフィルム100の切り込み又はスリットパターンを示す。各直線状スリット110は、第1の終端部114と第2の終端部116との間に延びている長さ(L)を有する。各直線状スリット110はまた、第1の終端部114と第2の終端部116との間の中間にある中点118を有する。中点118は、図2Aのスリット110のうちの2つのスリット上に点によって示されている。平行かつ整列したスリット110の中点118同士は、互いに実質的に整列している。言い換えれば、個別の直線状スリット110の中点118は、引張軸(T)に沿って直接隣接するビーム130上の個別の直線状スリット110の中点118と実質的に整列している。このようなスリット110は、直接隣接するスリットの行112内にはなく、代わりに、それらは、交互になっている行112上にある。更に、個別のスリット110の中点118は、引張軸(T)に沿って直接隣接するスリット又は切り込み110の終端部114と116との間にある。複数のスリット110の行112内の2つの直接隣接するスリット110の中心間の距離は、横方向間隔(H)として識別される。ビーム130の厚さ、又は隣接する直線状スリット110からなる2つの隣接する行112間の距離は、軸方向間隔(V)として特定される。
【0010】
より具体的には、図2Aの実施形態では、スリット110Aの中点118Aは、スリット110Bの中点118Bと軸方向に整列しており、これは、中点118A、118Bが、軸方向に延びている軸線に沿って整列していることを意味する。スリット110Bは、スリット110Aが位置しているビーム130Aに直接隣接するビーム130B上にある。また、スリット110Aの中点118Aは、スリット110Cの終端部114Cとスリット110Dの終端部116Dとの間にある。スリット110C及び110Dは、軸方向においてスリット110Aに直接隣接している。図2Aはまた、横方向に隣接する中点118間の横方向ピッチ(H)と、軸方向ピッチ(V)もしくはビーム130の高さと、スリット長(L)と、引張軸(T)を示し、引張軸(T)に沿って張力が与えられ、ビーム130の上向き及び下向きの動きをもたらし得る。
【0011】
図2Bは、図2Aのスリットパターンを含む物品が引張軸Tに沿った張力により展開されたときに形成される一次張力線(例えば、最高引張応力経路を近似している線)を示している。図2Bは、最大引張応力が発生する一次張力線140を点線で示している。張力線とは、張力が引張軸に沿って材料に加えられたときに、最大荷重を伝達する、材料を通る仮想経路である。張力が引張軸(T)に沿って加えられると、一次張力線140は、張力が加えられた軸とほぼ一直線になるように動き、パターンが形成された材料又はシートを歪ませる。一重スリットパターンを展開すると、一次張力線140に沿った張力がかかることにより、パターンの実質的に全ての領域が、いくらかの張力又は圧縮(引張応力又は圧縮応力)を受け、次いで、元の二次元フィルムの平面から面外へと座屈し、屈曲する。いくつかの実施形態では、フィルムが完全に展開されたとき、及び/又は張力が所望の程度加えられたとき、フィルムには、シートの元の平面に平行なままである領域は、実質的に存在しない。
【発明の概要】
【0012】
本開示の発明者らは、新規の複合スリットパターンを発明した。これらの複合スリットパターンを使用して、張力作動式拡張物品を形成することができる。いくつかの実施形態では、物品は、輸送及び包装用途に使用することができる。しかしながら、物品及びパターンは、多くの他の使用又は用途にも使用することができる。したがって、本開示は、単に1つの例示的な使用又は用途である輸送又は包装材料の用途に限定されることを意味するものではない。
【0013】
いくつかの実施形態は、複数の複合スリットを含む材料を含む拡張材料に関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、材料は、プレテンション形態において実質的に平面状であるが、引張軸に沿って張力が加えられると、材料の少なくとも一部分が、プレテンション形態の平面から90度以上回転する。いくつかの実施形態では、複合スリットは、3つ以上の終端部を含み、終端部のうちの少なくとも1つが、湾曲している。いくつかの実施形態では、複合スリットのうちの少なくともいくつかは、フック、ループ、正弦波、方形波、三角波、交差スリット、又は他の類似の特徴のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、スリットパターンが、実質的に、材料の縁部のうちの1つ以上まで延びている。いくつかの実施形態では、材料が、紙、段ボール紙、織布又は不織布、プラスチック、弾性材料、非弾性材料、ポリエステル、アクリル、ポリスルホン、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、生分解性ポリマー、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、材料が紙であり、厚さが、約0.003インチ(0.076mm)~約0.010インチ(0.25mm)である。いくつかの実施形態では、材料がプラスチックであり、厚さが、約0.005インチ(0.13mm)~約0.125インチ(3.2mm)である。いくつかの実施形態では、材料が、本明細書に記載の相互連結試験に合格している。いくつかの実施形態では、スリットが、引張軸に対して略垂直である。いくつかの実施形態では、複数のスリットのスリットが、隣接する行においてスリットの横方向の長さの75%以下だけ互いにオフセットされている。いくつかの実施形態では、スリットが、スリット形状及びスリット向きを有し、スリット形状及び/又は向きが、1行のスリット内で異なっている。いくつかの実施形態では、スリットは、スリット形状及びスリット向きを有し、スリット形状及び/又は向きは、隣接する行で異なっている。いくつかの実施形態では、材料が、約0.001インチ(0.025mm)~約5インチ(127mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、複数のスリットの各スリットが、約0.25インチ~約3インチのスリット長を有する。いくつかの実施形態では、複数のスリットの各スリットが、スリット長を有し、材料が、材料厚さを有し、スリット長の材料厚さに対する比が、約50~約1000である。
【0015】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の複合パターンのいずれかを形成することができるダイに関する。
【0016】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の拡張材料のうちのいずれかで形成された包装材料に関する。
【0017】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の拡張材料のうちのいずれかの製造方法であって、押出成形、成形、レーザー切断、ウォータージェット加工、機械加工、ステレオリソグラフィもしくは他の3D印刷技術、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ、化学エッチング、回転ダイカット、スタンピング、他の適切なネガティブもしくはポジティブ加工技術、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって、材料に複合スリットパターンを形成することを含む、方法に関する。
【0018】
実施形態のいくつかは、本明細書に記載の拡張材料のうちのいずれかの使用方法であって、引張軸に沿って拡張材料に張力を加えることにより、材料を拡張させることを含む、使用方法に関する。いくつかの実施形態では、張力を加えることにより、(1)スリットが開口部を形成する、及び/又は(2)スリットに隣接する材料が波形を形成する、のうちの1つ以上となる。いくつかの実施形態では、張力は、手又は機械によって加えられる。いくつかの実施形態では、引張軸に沿って拡張材料に張力を加えることにより、材料を二次元構造から三次元構造に変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を、添付図面と併せて考慮することで、より完全に理解され得る。
【0020】
図1A】例示的な一重スリットパターンの上面線画である。
【0021】
図1B図1Aの包装材料を形成するために使用されるスリットパターンの上面線画である。
【0022】
図1C図1Bの図の一部分の拡大図である。
【0023】
図2A】90度回転された、図1A及び図1Bの包装材料を形成するために使用されるスリットパターンの上面線画である。
【0024】
図2B図2Aに示されるスリットパターンの一次張力線を示す。
【0025】
図3A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0026】
図3B】張力がかけられたときの図3Aの複合スリットパターンにおける一次張力線を示す。
【0027】
図4A】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料の動きを示す概略上面図である。
図4B】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料の動きを示す概略上面図である。
図4C】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料の動きを示す概略上面図である。
【0028】
図4D】材料に張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料の一部分の概略斜視側面図である。
【0029】
図4E】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料の概略斜視側面図である。
【0030】
図4F】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料を示す画像である。図4Fは、写真から作成された略側面図であり、図4Gは、写真から作成された上面図であり、図4Hは、略斜視写真であり、図4Iは、写真から作成された上面図である。
図4G】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料を示す画像である。図4Fは、写真から作成された略側面図であり、図4Gは、写真から作成された上面図であり、図4Hは、略斜視写真であり、図4Iは、写真から作成された上面図である。
図4H】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料を示す画像である。図4Fは、写真から作成された略側面図であり、図4Gは、写真から作成された上面図であり、図4Hは、略斜視写真であり、図4Iは、写真から作成された上面図である。
図4I】張力がかけられたときの、図3Aのスリットパターンが形成された材料を示す画像である。図4Fは、写真から作成された略側面図であり、図4Gは、写真から作成された上面図であり、図4Hは、略斜視写真であり、図4Iは、写真から作成された上面図である。
【0031】
図5A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0032】
図5B】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図5Aのパターンの、略側面図、斜視図、及び略上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図5C】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図5Aのパターンの、略側面図、斜視図、及び略上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図5D】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図5Aのパターンの、略側面図、斜視図、及び略上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
【0033】
図6】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0034】
図7】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0035】
図8】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0036】
図9】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0037】
図10A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0038】
図10B】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンの、斜視図、略側面斜視図、略上面図、及び上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図10C】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンの、斜視図、略側面斜視図、略上面図、及び上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図10D】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンの、斜視図、略側面斜視図、略上面図、及び上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図10E】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンの、斜視図、略側面斜視図、略上面図、及び上面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
【0039】
図11】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0040】
図12】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0041】
図13】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0042】
図14】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0043】
図15】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0044】
図16】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0045】
図17A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0046】
図17B】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図17Aのパターンの、略上面図、上面図、及び略側面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図17C】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図17Aのパターンの、略上面図、上面図、及び略側面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
図17D】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図17Aのパターンの、略上面図、上面図、及び略側面図をそれぞれ示す、写真から作成された線画である。
【0047】
図18A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0048】
図18B】写真から作成された線画であり、図18D図18Eは、材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図18Aのパターンの、斜視図、引張軸と整列した横方向から約45度の図、略上面図、及び略側面図を示す写真である。
図18C】写真から作成された線画である。
図18D】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図18Aのパターンの、斜視図、引張軸と整列した横方向から約45度の図、略上面図、及び略側面図を示す写真である。
図18E】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図18Aのパターンの、斜視図、引張軸と整列した横方向から約45度の図、略上面図、及び略側面図を示す写真である。
【0049】
図19】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0050】
図20】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0051】
図21A】それぞれ、例示的な複合スリットパターンの概略上面図及び斜め前方から見た概略図である。
図21B】それぞれ、例示的な複合スリットパターンの概略上面図及び斜め前方から見た概略図である。
【0052】
図21C】材料に張力がかけられたときの、図21A図21Bのスリットパターンが形成されたシートの一部分の、それぞれ、斜め前方から見た図、正面図、側面図、及び見下げ図である。
図21D】材料に張力がかけられたときの、図21A図21Bのスリットパターンが形成されたシートの一部分の、それぞれ、斜め前方から見た図、正面図、側面図、及び見下げ図である。
図21E】材料に張力がかけられたときの、図21A図21Bのスリットパターンが形成されたシートの一部分の、それぞれ、斜め前方から見た図、正面図、側面図、及び見下げ図である。
【0053】
図22】本明細書に開示される技術と整合性のある材料を作製するための例示的なシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示の様々な実施形態は、複合スリットパターン、及び複合スリットパターンを含む物品に関する。「スリット」は、本明細書において、少なくとも2つの終端部を有し、直線状又は湾曲状であり得る、少なくとも1つの線を形成している、物品を貫通している狭い切り込みとして定義される。本明細書に記載のスリットは別個であり、これは、個々のスリットが他のスリットと交差しないことを意味する。スリットは一般に切り欠きではない。ここで、「切り欠き」とは、スリットがスリット自体と交差するときにシートから除去される、シートの表面領域として定義される。しかしながら、実際には、多くの形成技術では、シートの一部の表面領域が除去される結果となり、これは、本願の目的のための「切り欠き」とは見なされない。具体的には、多くの切断技術では、「カーフ」又はいくらかの物理的幅を有する切り込みが生成される。例えば、レーザーカッタは、シートの一部の表面領域を除去してスリットを作成し、ルータは、材料の一部の表面積を切り取ってスリットを作成し、クラッシュカットでも、材料の縁部にいくらかの変形を作成し、材料の表面領域にわたって物理的な間隙を形成する。更に、成形技術では、スリットの対向する面の間に材料を必要とし、スリットにおいて間隙又はカーフを作成する。様々な実施形態では、スリットの間隙又はカーフは、材料の厚さ以下となる。例えば、0.007インチの厚さの紙に切り込まれたスリットパターンは、約0.007インチ以下の間隙を有するスリットを有し得る。しかしながら、スリットの幅は、材料の厚さの何倍にも増加させることができ、かつ本明細書に開示される技術と整合性があることが理解される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「一重スリットパターン」という用語は、個々の行を形成している個々のスリットからなるパターンを指し、各行がシートにわたって横方向に延びており、これらの行は、シートの軸方向長さに沿って、個々の行からなる繰り返しパターンを形成しており、各行内のスリットのパターンは、直接隣接する行内のスリットのパターンとは異なる。例えば、1行内のスリットは、直接隣接する行のスリットと軸方向にオフセットされていてもよいし、又は位相がずれていてもよい。
【0056】
「マルチスリットパターン」という用語は、本明細書では、シートの横方向yにわたって第1の隣接する行のセットを形成している個々のスリットのパターンとして定義され、ここで、第1の隣接する行のセット内にある個々のスリットは、横方向yに整列している。マルチスリットパターンでは、第1の隣接する行のセットは、シートの軸方向長さに沿って少なくとも第2の行と共に繰り返しパターンを形成しており、ここで、第1の隣接する同一行のセット内にあるスリットは、第2の行内のスリットから横方向yにオフセットされている。「マルチスリットパターン」という用語は、二重スリットパターン、三重スリットパターン、四重スリットパターンなどを含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「複合スリット」という用語は、3つ以上の終端部を有するスリットを指し、これは、本明細書ではちょうど2つの終端部を有するスリットとして定義される「単純なスリット」と区別される。複合スリットは、少なくとも1つのセグメント交差部を有する少なくとも2つのスリットセグメントを有する。したがって、「複合スリットパターン」は、複数の個々のスリットを含み、それらのスリットのうちの少なくともいくつかが複合スリットである、パターンである。いくつかの実施形態では、パターンは、互いに位相オフセットされた複数のスリットの行を含む。いくつかの実施形態では、スリットは、引張軸(T)に対して実質的に垂直である。
【0058】
複合スリットパターンは、引張軸に沿った張力がかけられたときに、一重スリットパターンよりも大幅に多くの面外への回転を作り出すように構成することができる。材料のこの面外への回転は、多くの用途に対して大きな価値を有する。例えば、回転された領域は、面外材料を作り出し、この材料は、材料の一部分同士が互いに隣接して配置される、又は一緒に巻き付けられると、面外材料の他の領域と相互連結することができる。このように、複合スリットパターンは、本質的に相互連結する、及び/又は相互連結特徴部を含む。張力作動されると、これらの特徴部及びパターンが相互連結し、材料を実質的に所定の位置に保持する。
【0059】
材料が相互連結しているかどうかは、以下の試験方法によって判断することができる。36インチ(0.91m)の長さ及び7.5インチ(19cm)の幅の試料を得た。試料を、引き裂くことなく完全に展開し、次いで、滑らかなPVCパイプ(例えば、外径(OD)3.15インチ(8cm)及び長さ23インチ(58.4cm)のもの)に直接隣接して配置し、巻いている間、試料が完全に展開されたままになるようにした。パイプの上を覆うように試料を巻き付けて、各後続の層が前の層の上を覆うように直接配置され、試料がパイプの(長さに沿った)中心に配置されるようにした。このことにより、パイプの周りに最低2回の完全な巻き付けをもたらすことになる。試料全部をパイプの周りに巻き付けたら、試料を放し、試料が展開していないか/解けていないかどうかを観察した。1分間の待機後、試料が展開していなければ/解けていなければ、試料を摺動させてパイプから外しテーブルトップなどの平滑な表面上においた。次いで、試料を後縁部で持ち上げて、試料が開いていないか/解けていないか、又はその形状を保持しているかを確認した。
【0060】
試料を解放してから1分以内に、試料をパイプから摺動して外したときに、又は後縁部で持ち上げたときに、試料が開いた/展開した場合、試料は「相互連結していない」と見なした。試料をパイプから摺動させて外す間及び外した後、並びに後縁部で持ち上げたときに、試料がその管状の形状を保持していた場合、試料を「相互連結している」と見なした。この試験を試料毎に10回繰り返した。
【0061】
面外への回転はまた、非常に剛性な構造を作り出すので、大きな力に抵抗することができる。この構造は、著しい塑性変形なく、ばねのような様式でエネルギーを吸収することができ、また塑性変形によって座屈し、エネルギーを吸収することもできる。二次元物品(例えば、紙など)に複合スリットパターンを切り込み、その物品に引張軸(T)に沿って張力を加えると、二次元物品の一部分は、回転して、z軸(二次元物品の元の平面に垂直な軸)へ動き、三次元物品の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスリット形状は、図1A図2Bの先行技術のスリット形状及び/又は向きと比較して、材料又は物品の独特な面外への動きを可能にする。いくつかの実施形態では、複合スリットパターンが形成される材料は、実質的に非伸張性である。いくつかの実施形態では、複合スリットパターンは、中断及び変化することなく継続し、材料の少なくとも1つの縁部により途切れる。結果的に得られる材料及び/又は物品は、多種多様な利点を提供する。
【0062】
図3Aは、例示的な複合スリットパターン300の概略上面図である。複合スリットパターンは、一重スリットパターン又はマルチスリットパターンと整合性を有し得る。この例では、パターン300は、スリットの行312内に複数のスリット310を含む。各スリット310は、第1の軸方向部分321と、第1の軸方向部分321から間隔が空いており、第1の軸方向部分321に略平行である第2の軸方向部分323と、第1の軸方向部分321と第2の軸方向部分323とを接続している概ね横方向の部分325と、を含む。各スリット310は、4つの終端部、すなわち、第1の終端部314、第2の終端部315、第3の終端部316、第4の終端部317を含む。各スリット310は、中点318を有する。
【0063】
第1の終端部314及び第2の終端部315は、スリット310の第1の軸方向部分321の両側の終端部である。第3の終端部316及び第4の終端部317は、スリット310の第2の軸方向部分323の両側の終端部である。第1の終端部314は、軸方向x(本実施例では第1の軸方向部分321に平行である)の軸線に沿って第3の終端部316と整列されており、第3の終端部316は、軸方向(本実施例では第2の軸方向部分323に平行である)の軸線に沿って第4の終端部317と整列されている。第1の終端部314は、横方向yの軸線i1に沿って第3の終端部316と整列され、第2の終端部315は、横方向の軸線i2に沿って第4の終端部317と整列されている。行312a、312b内の直接隣接するスリット310間にある空間は、軸方向ビーム320と呼ぶことができる。張力がかけられると、行312a、312b内の隣接するスリット310間にある軸方向ビーム320は、非回転ビーム320になる(図3C図3E及び図3Gに見ることができる)。非回転ビーム320を除いた、概ね横方向の部分325によって画定された空間は、折り曲げ壁領域330a、330bを画定している。
【0064】
折り曲げ壁領域330a、330bは、2つの略矩形領域331及び333を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域331は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット310の概ね横方向の部分325と、(2)直接隣接する対向するスリット310の隣接する軸方向部分321及び323とによって、画定されている。軸方向ビーム320は、単一行312a、312b内の隣接するスリット310間、より具体的には、隣接する軸方向部分321と軸方向部分323との間にある。領域333がビーム320に直接隣接しており、この領域333は、ビーム320と、概ね横方向の部分325とによって軸方向に画定され、2つの略矩形領域331によって、より具体的には、隣接する軸方向部分321及び323の軸方向延長部によって、横方向に画定された、折り曲げ壁領域330a、330bの残りの材料である。直接隣接する行のスリット310同士は、互いに位相オフセットされている。
【0065】
図3Aの実施形態では、引張軸Tは、軸方向xに実質的に平行であり、横方向yに実質的に垂直である。引張軸Tは、スリット310からなる行312a、312bの方向に略垂直である。「略垂直」は、本明細書では、5度の誤差の範囲又は3度の誤差の範囲を含む角度として定義される。引張軸Tは、この軸に沿って張力が与えられ、パターン300が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0066】
本実施例では、他の実施例とは異なり、材料シートの幅にわたって横方向yに延びている横方向のビームは存在しない。むしろ、本実施例では、材料300のシートの軸方向の長さに沿って交互になっている、材料300の横方向の幅にわたって画定された折り曲げ壁領域330a、330bが存在する。いくつかの他の実施例と同様に、本実施例では、材料シートのスリットのパターンは、材料300のシートの軸方向長さに沿って交互になっている第1の行312a及び第2の行312bを画定している。材料シート内の複数のスリット310は、ビームの列及びビームの行を画定しており、ビームの列及びビームの行において、各軸方向ビーム320のそれぞれは、第1の折り曲げ壁領域330aから隣接する第2の折り曲げ壁領域330bまで延びている。更に、軸方向ビーム320のそれぞれは、行内の隣接するスリットの終端部に対応する2つの終端324a、324bを画定している。
【0067】
図3Bは、図3Aのスリットパターンを含む物品が引張軸Tに沿った張力により展開されたときに形成される一次張力線340(例えば、最高引張応力経路を近似している線)を示している。図3Bは、最大引張応力が発生する一次張力線340を点線で示している。張力線とは、張力が引張軸に沿って材料に加えられたときに、最大荷重を伝達する、材料を通る仮想経路である。張力が引張軸(T)に沿って加えられると、一次張力線340は、張力が加えられた軸とほぼ一直線になるように動き、シートを歪ませる。張力線340は、同じ行内の隣接するスリット間にある軸方向ビーム320に集束される。張力がかけられると、これらのビーム320は、非回転ビーム320になる。図3Aの実施形態では、これらの非回転ビーム320は、引張軸に略平行である。図3Aの実施形態では、これらの非回転ビーム320は、概ね軸方向である。張力が引張軸T(この実施形態では、非回転ビーム320に名目上平行な軸である)に沿って加えられると、張力(又はその張力によって引き起こされる応力の最大集中)は、全ての非回転ビーム320上にやや均一に、しかし点線で示されるように折り曲げ壁領域330a、330bのセクションにわたって存在する。
【0068】
図4A図4Eは、張力が引張軸Tに沿って加えられると、図3Aのスリットパターンを含む材料が空間内でどのように動くかを示す概略上面図である。複合スリットパターンを展開すると、一次張力線340に沿った張力がかかることにより、パターンの実質的に全ての領域が、いくらかの張力又は圧縮(引張応力又は圧縮応力)を受け、それらの領域の一部が、元の二次元フィルムの平面から面外へと回転及び/又は屈曲する。折り曲げ壁領域330を通って伝わる張力は、ビームを回転させると同時に折り曲げ、非回転ビーム320同士を互いに近付けて、引張軸Tとより整列させる。図4Aでは、非回転ビーム320は、分割されており、力ベクトル(矢印)で接続されているものとして表されている。これは、別々の領域における力の相互作用を視覚化し、材料の運動を明確にするのに役立つ。力を受けている材料300は比較的薄いため、折り曲げ壁領域330は、張力が加えられたことに応じて、非回転ビーム320の基部において面外へと回転し、折り曲げられる。具体的には、図4Aは、折り曲げ壁領域330に力ベクトルが作用している非回転ビーム320を示す。この作用により、材料300は、図4Bに概略的に示される位置へと動き、その位置で、折り曲げ壁領域330a、330bは、図4Aに示される力ベクトルの結果として回転している。図4Cに示されるように、折り曲げ壁領域330はまた、図4A図4B図4Cに示される力ベクトルに応じて折れ曲がる、又は屈曲する。折り曲げ又は屈曲の程度は、例えば、材料の剛性率、張力の大きさ、要素の寸法及びスケール、非回転ビームの幅、非回転ビーム間の距離などを含む多くの要因に応じて様々となる。
【0069】
図4Bは、図4Aの上面斜視図からの回転のみを示した折り曲げ壁領域330の概略上面図である。図4Cは、十分に張力をかけられ展開されたときの、回転及び屈曲した回転ビームの上面図を示す概略図である。上面図によれば、折り曲げ壁領域330は、一度回転すると、(x-y平面に直交する)Z軸の大きな圧縮力に抵抗することができるアコーディオン状に折り曲げられた垂直壁を形成する。折り曲げられた壁を座屈させるのに要するエネルギーは、この構造体が巻き付けられている物体への損傷を防止するために、この構造体によって吸収され得るエネルギーである。非回転ビーム320は、折り曲げ壁領域330同士を接続している。図3Aの複合スリットパターンは、非回転ビーム320同士を互い違いにさせ、これが、展開されたときの材料の強度に更に寄与する。非回転ビーム320及び折り曲げ壁領域330a、330bの動きは、開放領域322を作り出し、これは、図4E図4Iに見ることができる。
【0070】
図3Aに戻ると、略矩形領域333は、非回転ビーム320の幅又は横方向寸法に等しい、幅又は横方向寸法を有する。いくつかの実施形態では、この幅は、矩形領域331の幅又は横方向寸法と比較して小さいことが好ましい。矩形領域333の横方向の幅が矩形領域331の横方向の幅と比較して小さいと、矩形領域333は、展開されたときに実質的に折り目がつくことになり、図4Dの図によって近似されるように、及び図4Gに見ることができるように、折り曲げ壁領域330a、330bの残りの部分から明確に独立して区別することはできない。具体的には、図4Gの材料の正面図(上面又は底面)では、開口部322の形状は、八角形であることを正面図でより明確に見ることができる図4Iのモデル図と比較して、略六角形であるように見える。矩形領域333が十分に幅広い場合、図4Iに示される回転/折り曲げビームの折り目には、別の平坦な垂直セクションが存在することになる。視覚的には、これは、開口部322が、六角形ではなく八角形のように見えることを意味する。
【0071】
図4F図4Iは、紙シートに形成又は切り込まれ、引張軸Tに沿って張力がかけられた、図3Aの複合スリットパターンを示す写真及び写真から作成された図である。これらの図は、上述の原理が材料に対してどのように作用するかを視覚的に示している。図4Fは、写真から作成された略側面斜視図であり、図4Gは、写真から作成された略上面図であり、図4Hは、斜視写真であり、図4Iは、写真から作成された上面図である。
【0072】
いくつかの実施形態では、屈曲した壁セクション又は矩形領域331の高さ及び幅を名目上等しくして、折り曲げられた壁内に正方形のセクションを作り出すことが好ましいこともある。理論に束縛されるものではないが、所与の断面積について、正方形のプレートは、最大の座屈抵抗を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、折り曲げられた壁の鋭い折り目、及び壁と非回転ビームとの間の界面が、十分に高い(裂けることのない)応力を生成して、スリットパターンが形成された材料を塑性変形する(又は折り目が付く)傾向がある。結果として、構造体は、一旦展開されると、非常に小さな張力で、展開された(ハニカム)形状に留まる傾向があり、多くの場合、物体の周りに巻き付けることが容易になる。
【0074】
図3A図4Iの特定の実装のような実施形態は、独特の利点を有する。例えば、図3A図4Iは、展開又は張力作動されたときに、材料の一部分が(プレテンション状態にある材料300の元の平面に対して実質的に90°である、又は直交する)z軸まで回転する1セットの実施形態を例示している。更に、これらの実施形態のいくつかは、他のパターン化構造と比較して、垂直軸に加えられるより大きな荷重への曝露に、押しつぶされることなく耐えることができる。これは、輸送中のパッケージ及び他の用途などのために保護を向上又は強化することができることを意味する。これらの利点のうちのいくつかは、折り曲げられた壁の形状の強度が増加したことによる。折り曲げられた壁、もしくはアコーディオン形状の壁、又は回転している/折り曲げられている壁は、展開された(張力又は力の適用によって展開された)物品における大きな断面二次モーメント(area moment of inertia)(面積モーメント又は断面二次モーメント(second moment of inertia)とも呼ばれる)を有し、ここで、面積慣性モーメントは、元のシートの平面にあり、相対的屈曲軸は、引張軸に垂直で、行の軸線に平行である。断面二次モーメントは、折り目のない直線状の垂直壁と比較して、増加している。
【0075】
張力作動式材料300が物品の周りに巻き付けられる、又は張力作動式材料300自体に直接隣接して配置されると、回転した/折り曲げられた壁領域330が、互いに、及び/又は開口部322と相互連結し、相互連結構造を作り出す。相互連結は、上記に明記した相互連結試験に規定されているように測定することができる。
【0076】
図5Aは、スリット同士が、回転ビーム530領域内のオーバーラップ距離535だけ互いに重なり合っていることを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。具体的には、パターン500は、スリットの行512内に複数のスリット510を含む。各スリット510は、第1の軸方向部分521と、第1の軸方向部分521から間隔が空いており、第1の軸方向部分521に略平行である第2の軸方向部分523と、第1の軸方向部分521と第2の軸方向部分523とを接続している概ね横方向の部分525と、を含む。各スリット510は、4つの終端部514、515、516、517、及び中点518を含む。第1の終端部514、515は、第1の軸方向部分521の終端部である。終端部516、517は、第2の軸方向部分523の終端部である。行512内の直接隣接するスリット510間にある空間は、行512内の隣接するスリット510間に軸方向ビーム520を形成している材料である。張力がかけられると、行512内の隣接するスリット510間にある軸方向ビーム520は、非回転ビーム532になる(図5B図5Dに示される)。非回転ビーム532を除いた、概ね横方向の部分525によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁530を含む。回転/折り曲げ壁530は、2つの略矩形領域531及び533を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域531は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット510の概ね横方向の部分525と、(2)直接隣接する対向するスリット510の隣接する軸方向部分521及び523とによって、画定されている。軸方向ビーム520は、単一行512内の隣接するスリット510間、より具体的には、隣接する軸方向部分521と軸方向部分523との間にある。領域533が軸方向ビーム520に直接隣接しており、この領域533は、軸方向ビーム520と、概ね横方向の部分525とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域531によって、より具体的には、隣接する軸方向部分521及び523の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁530の残りの材料である。直接隣接する行のスリット510同士は、互いに位相オフセットされている。
【0077】
図5Aの実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット510の行512の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン500が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生させる。
【0078】
図5B図5Dは、材料に形成又は切り込まれ、次いで引張軸Tに沿って張力がかけられた、図5Aの複合スリットパターンを示す、写真から作成された図である。材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。オーバーラップ距離535の存在は、展開された材料に対する少なくとも2つの改善に寄与しており、すなわち、1)回転/折り曲げ壁530がプレテンション状態の材料500の平面から90度を超えて回転することを可能にし、2)非回転ビーム532と回転/折り曲げ壁530との接続部における塑性変形を増大させ、外部からの張力が取り除かれたときに、展開された材料がより十分に展開されたままであることを可能にする。
【0079】
図6は、非回転ビームの軸方向対称性の例示的な変形例を示すことを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。より具体的には、概ね横方向の部分625は、終端部614と615及び終端部616と617それぞれの中間には配置されていない。代わりに、概ね横方向の部分625は、終端部614、616よりも終端部615、617にはるかに近い位置に配置されている。
【0080】
より具体的には、パターン600は、スリットの行612内に複数のスリット610を含む。各スリット610は、第1の軸方向部分621と、第1の軸方向部分621から間隔が空いており、第1の軸方向部分621に略平行である第2の軸方向部分623と、第1の軸方向部分621と第2の軸方向部分623とを接続している概ね横方向の部分625と、を含む。各スリット610は、4つの終端部614、615、616、617、及び中点618を含む。第1の終端部614、615は、第1の軸方向部分621の終端部である。終端部616、617は、第2の軸方向部分623の終端部である。行612内の直接隣接するスリット610間にある空間は、行612内の隣接するスリット610間に軸方向ビーム620を形成している。張力がかけられると、行612内の隣接するスリット610間にある軸方向ビーム620は、非回転ビームになる。軸方向ビーム620を除いた、概ね横方向の部分625によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁630を含む。回転/折り曲げ壁630は、2つの略矩形領域631及び633を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域631は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット610の概ね横方向の部分625と、(2)直接隣接する対向するスリット610の隣接する軸方向部分621及び623とによって、画定されている。軸方向ビーム620は、単一行612内の隣接するスリット610間、より具体的には、隣接する軸方向部分621と軸方向部分623との間にある。領域633が軸方向ビーム620に直接隣接しており、この領域633は、軸方向ビーム620と、概ね横方向の部分625とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域631によって、より具体的には、隣接する軸方向部分621及び623の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁630の残りの材料である。直接隣接する行のスリット610同士は、互いに位相オフセットされている。
【0081】
図6Aの実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット610の行612の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン600が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0082】
材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。概ね横方向の部分625に対する非回転ビームの対称性の変化は、一端が、一方の回転/折り曲げ壁630ではより高く接続され、隣接する回転/折り曲げ壁630ではより低く接続されることから、横方向軸(又は引張軸に垂直な線)に対しては平行なままでありつつ、非回転ビームを回転させる。
【0083】
図7は、湾曲した終端部を示すことを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。湾曲した終端部は、スリットの端部領域であり、スリットの隣接する部分とは異なる曲率半径を有するスリットの終端部を形成している。端部領域は、スリットの全長の10%未満とすることができ、スリットの長さは横方向に延びている。
【0084】
より具体的には、パターン700は、スリットの行712内に複数のスリット710を含む。各スリット710は、第1の軸方向部分721と、第1の軸方向部分721から間隔が空いており、第1の軸方向部分721に略平行である第2の軸方向部分723と、第1の軸方向部分721と第2の軸方向部分723とを接続している概ね横方向の部分725と、を含む。各スリット710は、4つの終端部714、715、716、717、及び中点718を含む。各軸方向部分721及び723は、終端部に隣接する湾曲部分を含む。第1の終端部714、715は、第1の軸方向部分721の終端部である。終端部716、717は、第2の軸方向部分723の終端部である。行712内の直接隣接するスリット710間にある空間は、行712内の隣接するスリット710間に軸方向ビーム720を形成している。張力がかけられると、行712内の隣接するスリット710間にある軸方向ビーム720は、非回転ビーム732になる。非回転ビーム732を除いた、概ね横方向の部分725によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁730を含む。回転/折り曲げ壁730は、2つの略矩形領域731及び733を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域731は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット710の概ね横方向の部分725と、(2)直接隣接する対向するスリット710の隣接する軸方向部分721及び723とによって、画定されている。軸方向ビーム720は、単一行712内の隣接するスリット710間、より具体的には、隣接する軸方向部分721と軸方向部分723との間にある。領域733が軸方向ビーム720に直接隣接しており、この領域733は、軸方向ビーム720と、概ね横方向の部分725とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域731によって、より具体的には、隣接する軸方向部分721及び723の終端部714、715、716、及び717の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁730の残りの材料である。直接隣接する行のスリット710同士は、互いに位相オフセットされている。
【0085】
図7Aの実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット710の行712の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン700が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0086】
材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。湾曲した終端部714、715、716、及び717を軸方向部分721及び723に追加すると、材料が裂ける前に受けることができる最大の力が増加するが、それが材料の展開を大きく変えることはない。
【0087】
図8は、非回転ビームである行812内の隣接するスリット810間にある材料に形成された2つのマルチビームスリット880が存在する例示的な変形例を示していることを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。「マルチビームスリット」は、一重スリットパターン又はマルチスリットパターンにおいて2つの隣接するスリット間に形成された1つ以上の単純なスリット(スリットが2つ以下の終端部を有することを意味する)として定義され、ここで、2つの隣接するスリットは、同じ行内又は隣接する行内のいずれかにある。マルチビームスリット880は、パターンが形成された材料が張力展開されると、3つのマルチビーム882を作り出す。
【0088】
より具体的には、パターン800は、スリットの行812内に複数のスリット810を含む。各スリット810は、第1の軸方向部分821と、第1の軸方向部分821から間隔が空いており、第1の軸方向部分821に略平行である第2の軸方向部分823と、第1の軸方向部分821と第2の軸方向部分823とを接続している概ね横方向の部分825と、を含む。各スリット810は、4つの終端部814、815、816、817、及び中点818を含む。第1の終端部814、815は、第1の軸方向部分821の終端部である。終端部816、817は、第2の軸方向部分823の終端部である。行812内の直接隣接するスリット810間にある空間は、行812内の隣接するスリット810間に軸方向ビーム820を形成している。張力がかけられると、行812内の隣接するスリット810間にある軸方向ビーム820は、3つのマルチビーム882を含む非回転ビーム832になる。この実施形態では、2つのマルチビームスリット880が、行812内の隣接するスリット810間にある軸方向ビーム820内に形成される。マルチビームスリット880は、マルチビームスリット880が間に配置されている、スリット810の直接隣接する概ね軸方向のスリット821、823よりも長さがわずかに短い。マルチビームスリット880の中点は、概ね軸方向のスリット部分821、823の中点、及び概ね横方向のスリット部分825と概ね整列している。マルチビームスリット880は、パターンが形成された材料が張力展開されると、3つのマルチビーム882を作り出す。
【0089】
非回転ビーム832を除いた、概ね横方向の部分825によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁830を含む。回転/折り曲げ壁830は、2つの略矩形領域831及び833を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域831は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット810の概ね横方向の部分825と、(2)直接隣接する対向するスリット810の隣接する軸方向部分821及び823とによって、画定されている。軸方向ビーム820は、単一行812内の隣接するスリット810間、より具体的には、隣接する軸方向部分821と軸方向部分823との間にある。領域833が軸方向ビーム820に直接隣接しており、この領域833は、軸方向ビーム820と、概ね横方向の部分825とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域831によって、より具体的には、隣接する軸方向部分821及び823の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁830の残りの材料である。直接隣接する行のスリット810同士は、互いに位相オフセットされている。
【0090】
図8の実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット810の行812の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン800が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0091】
材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。非回転ビーム832内の3つのマルチビーム882は、材料が裂けることなく、より大きな張力を受けることを可能にする。これは、マルチビーム882が、追加の経路及び角を作り出して、張力荷重を分散し、裂け始めさせる可能性のあるピーク応力を低減するためである。
【0092】
図9は、非回転ビームである行912内の隣接するスリット910間にある軸方向ビーム920内に形成された1つのマルチビームスリット980が存在する例示的な変形例を示していることを除いて、図8の複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。マルチビームスリット980は、パターンが形成された材料が張力展開されると、2つのマルチビーム982を作り出す。
【0093】
より具体的には、パターン900は、スリットの行912内に複数のスリット910を含む。各スリット910は、第1の軸方向部分921と、第1の軸方向部分921から間隔が空いており、第1の軸方向部分921に略平行である第2の軸方向部分923と、第1の軸方向部分921と第2の軸方向部分923とを接続している概ね横方向の部分925と、を含む。各スリット910は、4つの終端部914、915、916、917、及び中点918を含む。第1の終端部914、915は、第1の軸方向部分921の終端部である。終端部916、917は、第2の軸方向部分923の終端部である。行912内の直接隣接するスリット910間にある空間は、行912内の隣接するスリット910間に軸方向ビーム920を形成している。張力がかけられると、行912内の隣接するスリット910間にある軸方向ビーム920は、2つのマルチビーム982を含む非回転ビーム932になる。この実施形態では、マルチビームスリット980が、行912内の隣接するスリット910間にある軸方向ビーム920内に形成される。マルチビームスリット980は、マルチビームスリット980が間に配置されている、スリット910の概ね直接隣接する軸方向のスリット921、923よりも長さがわずかに長い。マルチビームスリット980の中点は、概ね軸方向のスリット部分921、923の中点、及び概ね横方向のスリット部分925と概ね整列している。マルチビームスリット980は、パターンが形成された材料が張力展開されると、2つのマルチビーム982を作り出す。
【0094】
非回転ビーム932を除いた、概ね横方向の部分925によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁930を含む。回転/折り曲げ壁930は、2つの略矩形領域931及び933を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域931は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット910の概ね横方向の部分925と、(2)直接隣接する対向するスリット910の隣接する軸方向部分921及び923とによって、画定されている。軸方向ビーム920は、単一行912内の隣接するスリット910間、より具体的には、隣接する軸方向部分921と軸方向部分923との間にある。領域933が軸方向ビーム920に直接隣接しており、この領域933は、軸方向ビーム920と、概ね横方向の部分925とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域931によって、より具体的には、隣接する軸方向部分921及び923の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁930の残りの材料である。直接隣接する行のスリット910同士は、互いに位相オフセットされている。
【0095】
図9の実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット910の行912の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン900が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0096】
材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。非回転ビーム932内の2つのマルチビーム982は、材料が裂けることなく、より大きな張力を受けることを可能にする。これは、マルチビーム982が、追加の経路及び角を作り出して、張力荷重を分散し、裂け始めさせる可能性のあるピーク応力を低減するためである。
【0097】
図10Aは、マルチビームスリット1080が、概ね軸方向のスリット1021、1023と同じ長さであることを除いて、図9の複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0098】
より具体的には、パターン1000は、スリットの行1012内に複数のスリット1010を含む。各スリット1010は、第1の軸方向部分1021と、第1の軸方向部分1021から間隔が空いており、第1の軸方向部分1021に略平行である第2の軸方向部分1023と、第1の軸方向部分1021と第2の軸方向部分1023とを接続している概ね横方向の部分1025と、を含む。各スリット1010は、4つの終端部1014、1015、1016、1017、及び中点1018を含む。第1の終端部1014、1015は、第1の軸方向部分1021の終端部である。終端部1016、1017は、第2の軸方向部分1023の終端部である。行1012内の直接隣接するスリット1010間にある空間は、行1012内の隣接するスリット1010間に軸方向ビーム1020を形成している。張力がかけられると、行1012内の隣接するスリット1010間にある軸方向ビーム1020は、2つのマルチビーム1082を含む非回転ビーム1032になる(図10B図10Dに示される)。この実施形態では、マルチビームスリット1080が、行1012内の隣接するスリット1010間にある軸方向ビーム1020内に形成される。マルチビームスリット1080は、マルチビームスリット1080が間に配置されている、スリット1010の直接隣接する概ね軸方向のスリット1021、1023とほぼ同じ長さである。また、マルチビームスリット1080の中点は、概ね軸方向のスリット部分1021、1023の中点、及び概ね横方向のスリット部分1025と概ね整列している。マルチビームスリット1080は、パターンが形成された材料が張力展開されると、2つのマルチビーム1082を作り出す。
【0099】
非回転ビーム1032を除いた、概ね横方向の部分1025によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁1030を含む。回転/折り曲げ壁1030は、2つの略矩形領域1031及び1033を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域1031は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット1010の概ね横方向の部分1025と、(2)直接隣接する対向するスリット1010の隣接する軸方向部分1021及び1023とによって、画定されている。材料1020は、単一行1012内の隣接するスリット1010間、より具体的には、隣接する軸方向部分1021と軸方向部分1023との間にある。領域1033が軸方向ビーム1020に直接隣接しており、この領域1033は、軸方向ビーム1020と、概ね横方向の部分1025とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域1031によって、より具体的には、隣接する軸方向部分1021及び1023の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁1030の残りの材料である。直接隣接する行のスリット1010同士は、互いに位相オフセットされている。
【0100】
図10の実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット1010の行1012の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1000が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0101】
図10B図10Eは、材料に形成又は切り込まれ、次いで引張軸Tに沿って張力がかけられた、図10Aの複合スリットパターンを示す、写真から作成された図である。材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。非回転ビーム1032内の2つのマルチビーム1082は、材料が裂けることなく、より大きな張力を受けることを可能にする。これは、マルチビーム1082が、追加の経路及び角を作り出して、張力荷重を分散し、裂け始めさせる可能性のあるピーク応力を低減するためである。
【0102】
図11及び図12は、概ね横方向の部分1125、1225が相互連結構造又は特徴部を含むことを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。これらの特徴部は、材料の別の層に隣接して配置されると、及び/又は品物の周りに巻き付けられると、材料の相互連結を向上させることができる。更に、これらの特徴部は、材料の縁部を柔らかくすることができる。図11では、概ね横方向の部分1125は、波状又はv波形状を有する。波の「v」部分が、相互連結特徴部を作り出す。図12では、概ね横方向の部分1225は、交差スリット構造を有する。交差スリット部分が、相互連結特徴部を作り出す。
【0103】
図11及び図12の実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に対して実質的に平行であり、かつ横方向に対して及びスリットの行の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1100、1200が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0104】
材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。物体の周りに巻き付けられた場合など、材料の複数の層が接触している場合、相互連結特徴部は、それらの層同士が、より強力に及び/又は様々に異なる方法で、互いに相互連結することを可能にする。
【0105】
図21A図21Bは、相互連結構造又は特徴部がやや異なる形状を有することを除いて、図11のパターンと同様である材料2100のシートの複合スリットパターンを示す。それぞれのスリットの横方向部分2125は、曲線を画定している。具体的には、行2112内のスリットの横方向部分2125は、概して、スリット2110のそれぞれの間の軸方向ビーム2120によって中断された、起伏のある波又は正弦波を画定している。図21C図21Eは、材料が引張軸における張力がかけられた後に拡張したときの、図21A図21Bの複合スリットパターンを有する材料シートを示す。
【0106】
図13は、概ね横方向のスリット部分1325と2つの概ね軸方向のスリット部分1321、1323との間の交差部が丸みを帯びている、又は丸い角を有することを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同じである別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。これらの特徴部は、材料の使用中にユーザが接触する可能性がある鋭い角を除去することによって、材料の縁部を柔らかくすることができる。この実施形態では、引張軸(T)は、軸方向に対して実質的に平行であり、かつ横方向に対して及びスリットの行の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1300が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。
【0107】
図14は、別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。パターン1400は、スリットの行1412内に複数のスリット1410を含む。各スリット1410は、概ね横方向の部分1425を含み、この概ね横方向の部分1425は、4つの終端部1414、1415、1416及び1417で終端し、中点1418を有する。終端部1414、1415、1416、及び1417はそれぞれ、横方向部分1425からわずかに離れるように湾曲している。行1412内の直接隣接するスリット1410間にある空間は、行1412内の隣接するスリット1410間に軸方向ビーム1420を形成している。張力がかけられると、行1412内の隣接するスリット1410間にある軸方向ビーム1420は、非回転ビーム1432になる。
【0108】
非回転ビーム1432を除いた、概ね横方向の部分1425によって画定された空間が、回転/折り曲げ壁1430を含む。回転/折り曲げ壁1430は、2つの略矩形領域1431及び1433を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域1431は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット1410の概ね横方向の部分1425と、(2)直接隣接する対向するスリット1410の隣接する軸方向部分(終端部1414、1415及び終端部1416、1417をそれぞれ通る仮想軸方向線である)とによって、画定されている。軸方向ビーム1420は、単一行1412内の隣接するスリット1410間、より具体的には、隣接する軸方向部分1421と軸方向部分1423との間にある。領域1433が軸方向ビーム1420に直接隣接しており、この領域1433は、軸方向ビーム1420と、概ね横方向の部分1425とによって軸方向軸に画定され、2つの略矩形領域1431によって、より具体的には、隣接する軸方向部分1421及び1423の軸方向延長部によって、横方向軸に画定された、回転/折り曲げ壁1430の残りの材料である。直接隣接する行のスリット1410同士は、互いに位相オフセットされている。
【0109】
引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット1410の行1412の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1400が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0110】
軸方向部分1421と1423とは、整列する又は重なり合うのに十分なほど軸方向に延びていないため、材料は、図3A図4Iとは異なるように展開する。軸方向部分1421と1423とは、整列しない又は重なり合わないため、回転/折り曲げ壁1430は、プレテンション状態のシート1400の元の平面に対して90度回転することができない。代わりに、回転/折り曲げ壁は、座屈してわずかに回転することになる。軸方向部分1421及び1423が軸方向ピッチに対して非常に短い場合、材料は、図1A図1Cの単純なスリットパターンにより類似するように展開する。軸方向部分1421及び1423の湾曲した端部は、材料が裂けることなく受けることができる最大張力を増加させることになる。最大張力を測定するための試験方法は、本譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/953042号に記載されている。最大張力(例えば、引き裂き力)は、試料が引き伸ばされたときに、荷重フレームによって測定される最大の力である。これは、典型的には、材料が裂け始める直前である。
【0111】
図15は、別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。パターン1500は、スリットの行1512内に複数のスリット1510を含む。各スリット1510は、概ね横方向の部分1525を含み、この概ね横方向の部分1525は、2つの終端部1514、1516で終端し、中点1518を有し、複数の交差スリット1590を含み、複数の交差スリット1590は、概ね横方向の部分1525を通るように切り込まれ、概ね横方向の部分1525と交差し、かつ引張軸Tに略平行である。各交差スリット1590は、2つの追加の終端部を作り出すと解釈されることができる。したがって、図15の実施形態は、30個の終端部(14個の交差スリットからの14×2=28個の終端部+概ね横方向の部分1525の2個の終端部)を有すると解釈されることができる。クロスハッチスリットは、更に、強化された相互連結特徴部をもたらす。材料1520は、行1512内の隣接するスリット1510間にある。直接隣接する行のスリット1510同士は、互いに位相オフセットされている。
【0112】
引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット1510の行1512の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1500が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0113】
材料は、図1A図1Cに関して上述したように実質的に展開する。物体の周りに巻き付けられた場合など、材料の複数の層が接触している場合、交差スリットは、直線スリット同士(図1A図1Cなど)が相互連結しない一方で、それらの層同士が互いに相互連結することを可能にする。
【0114】
図16は、スリットが二重スリットであることを除いて、図15の複合スリットパターンと実質的に同様である別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である本明細書で使用される場合、「二重スリットパターン」という用語は、複数の個々のスリットからなるパターンを指す。このパターンは、スリットの複数の行を含み、第1の行内にある個々のスリットは、直接隣接する第2の行内にある個々のスリットと実質的に整列している。二重スリットは、第2の行内のスリットと実質的に整列した第1の行内のスリットから構成される。これら2つの実質的に整列したスリットが共に、二重スリットを形成する。直接隣接する(軸方向に直接隣接する)行の二重スリットは、互いに位相オフセットされている。二重スリットパターンに関するより多くの情報を、例えば、米国特許仮出願第62/952806号に見ることができ、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット1610の行1612の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1600が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0116】
材料1600が引張軸Tに沿って張力作動又は展開されると、材料1600の一部分は、材料1600を、張力がかけられていない状態にある材料1600の元の平面から面外へと動かす張力及び/又は圧縮を受ける。引張軸に沿って張力がかけられると、終端部1614、1616が、圧縮され、互いに向かって引き寄せられることにより、材料1600のフラップ領域1650が、プレテンション状態にある材料1600の平面に対して上向きに動いて、又は座屈して、フラップを作り出す。フラップ領域1650は、交差スリット終端部の一部分を含む交差スリットの一部分を含む。横方向ビーム1630の一部分は、プレテンション状態にある材料1600の元の平面から面外へと波立ち、引張軸に名目上平行に留まりながら、ループを形成する。横方向ビーム1630の波立った部分は、交差スリット終端部の一部分を含む交差スリットの一部分を含む。行1612内の隣接するスリット1610間にある軸方向ビーム1620は、プレテンション状態にある材料1600の元の平面に実質的に平行に留まる。オーバーラップビーム1636は、元の材料又はシートの平面から面外へと座屈し、回転する。フラップ領域1650の動きが、横方向ビーム1630の波形と組み合わされて、開口部1622を作り出す。この展開プロセスは、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/952806号出願の図5A図5Cに関して説明されたプロセスと実質的に同様である。
【0117】
図17Aは、概ね横方向のスリット部分1725が波状の形態又は構造を有することを除いて、図3Aの複合スリットパターンと実質的に同様である別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。このようなスリットパターンは、大きい壁セクション及び小さい壁セクションを作り出す(アコーディオン状の壁は、高いセクション及び低いセクションを有する)。
【0118】
引張軸(T)は、軸方向に実質的に平行であり、横方向及びスリット1710の行1712の方向に対して実質的に垂直である。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1700が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0119】
図17B図17Dは、材料に形成又は切り込まれ、次いで引張軸Tに沿って張力がかけられた、図17Aの複合スリットパターンを示す、写真から作成された図である。材料は、図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。物体の周りに巻き付けられた場合など、材料の複数の層が接触している場合、回転/折り曲げ壁1730の異なる高さは、それらの層同士が、より強力に及び/又は様々に異なる方法で、互いに相互連結することを可能にする。
【0120】
図18Aは、横方向スリット部分1725における波の振幅が変化することを除いて、図17Aの複合スリットパターンと実質的に同様である別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0121】
図18B図18Eは、材料に形成又は切り込まれ、次いで引張軸Tに沿って張力がかけられた、図18Aの複合スリットパターンを示す、写真及び写真から作成された図である。材料は、図17A図17D及び図3A図4Iに関して上述したように実質的に展開する。
【0122】
図19は、別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。パターン1900は、スリットの行1912内に複数のスリット1910を含む。スリット1910は、3つの直線部分1921、1922、1923の端部にある3つの終端部1914、1915、1916を有する。全ての直線部分1921、1922、1923は、点1918で交わっている。行1912内の直接隣接するスリット1910間にある空間は、行1912内の隣接するスリット1910間に軸方向ビーム1920を形成している。直接隣接する行のスリット1910同士は、互いに位相オフセットされている。
【0123】
スリット1910の独特な幾何学的形状は、材料が2つ以上の引張軸に影響されることを可能にする。具体的には、3つの一次引張軸(T1、T2、T3)によって表されるように、3つの直線部分のいずれかに対して実質的に垂直に張力が加えられると、材料は拡張し得る。一次引張軸(T1、T2、T3)は、これらの軸に沿って張力が与えられ、パターン1900が形成された材料を展開することができる一次軸であり、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。一次軸には全ての平面角度の構成要素があるため、どの方向の張力でも、材料の多少の展開が引き起こされる。
【0124】
図20は、図19に示されるパターンと同様である別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。パターン2000は、スリットの行2012内に複数のスリット2010を含む。スリット2010は、3つの直線部分2021、2022、2023の端部にある3つの終端部2014、2015、2016を有する。直線部分2021と2022とは、同一直線上にある。全ての直線部分2021、2022、2023は、点2018で交わっている。行2012内の直接隣接するスリット2010間にある空間は、行2012内の隣接するスリット2010間に軸方向ビーム2020を形成している。直接隣接する行のスリット2010同士は、互いに位相オフセットされている。
【0125】
スリット2010の独特な幾何学的形状は、材料が2つ以上の引張軸に影響されることを可能にする。具体的には、2つの引張軸(T1、T2)で表されるように、2つの直線部分のいずれかに対して実質的に垂直に張力が加えられる)と、材料は拡張し得る。引張軸(T1、T2)は、一次引張軸である。一次引張軸同士が直交しているため、任意の軸における張力は、パターン2000が形成された材料のいくらかの展開を引き起こし、材料の一部分の回転並びに上向き及び下向きの動きを生じさせる。
【0126】
本明細書に図示又は記載される実施形態のいずれも、本明細書に図示又は記載される他の実施形態と組み合わせることができ、これは、本明細書に図示又は記載される任意の具体的な特徴、形状、構造、又は概念が、本明細書に図示又は記載される他の具体的な特徴、形状、構造、又は概念のいずれかと組み合わせることができることを含む。当業者であれば、依然として本開示の範囲内に該当しつつ、複合スリットパターン、材料へのパターンの形成、及びそれらの材料の展開に多くの変更が加えられ得ることを認識するであろう。例えば、二重スリットパターンを示した実施形態において、パターンを、二重スリットパターンではなく、三重スリット、四重スリット、又は他のマルチスリットパターンとすることができる。あるいは、スリットの長さ、スリットのサイズ、スリットの厚さ、スリットの形状、行のサイズもしくは形状、横方向ビームのサイズもしくは形状、及び/又はオーバーラップビームのサイズもしくは形状は、様々であってよい。更に、オフセット又は位相オフセットの程度は、図示されるものとは異なっていてもよい。スリット、行、又はビームのピッチは、様々であってよい。引張軸とスリットとの間の角度は、様々であってよい。引張軸及び/又は材料の側部に対するパターンの整列は、様々に異なっていてもよい。これらの変更のうちのいくつかは、展開パターンを変更する可能性がある。
【0127】
本明細書に示されるスリットパターンの大半が、張力が加えられるとシートの元の平面に対して上向き又は下向きのいずれかに動く又は座屈するとして説明される領域を有する。上向きの動きと下向きの動きとの区別は、添付の図面と実質的に一致するように明確にするために使用される任意の説明である。試料は、全て裏返して、下向きの動きを上向きの動きに(及びその逆に)変えることが可能である。更に、試料のそれらの領域が反転する場所において、時折反転が発生し、以前の領域では上向きに動いていた同様の特徴部が今度は下向きに動くこと、またその逆も同様に、正常であり、かつ予想されることである。これらの反転は、単一のスリットのような小さい領域で、又は材料の大きな部分で発生する可能性がある。これらの反転は、ランダムで自然なものであり、材料、製造、及び加えられた力の自然なばらつきの結果である。反転のない材料の領域の写真を取るための努力を行ったが、試験した結果、全ての試料にこれらの自然なばらつきが存在し、性能には、反転の数又は位置による大きな影響はない。
【0128】
本明細書に示されるスリットパターンの全ては、引張軸に対して略垂直であるとして示されている。多くの実施形態では、このことは、優れた性能をもたらすことができるが、本明細書に図示又は記載されるスリットパターンのうちのいずれも引張軸に対してある角度で回転することが可能である。引張軸から45度未満の角度が好ましい。
【0129】
更に、本明細書に示されるスリットパターンの全ては、直接隣接するスリット間の横方向の間隔の約2分の1(又は横方向間隔の50%)だけ互いに位相がずれているスリットを含む。しかしながら、パターンは、例えば、横方向の間隔の3分の1、横方向の間隔の4分の1、横方向の間隔の6分の1、横方向の間隔の8分の1などを含む任意の所望の量だけ位相がずれていてもよい。いくつかの実施形態では、位相オフセットは、1行内にある直接隣接するスリットの横方向の間隔の、1未満もしくは4分の3未満、又は2分の1未満である。いくつかの実施形態では、位相オフセットは、1行内にある直接隣接するスリットの横方向の間隔の50分の1超、又は20分の1超、又は10分の1超である。
【0130】
いくつかの実施形態では、最小位相オフセットは、交互になった行のスリットの終端部が、隣接する行のスリットの終端部を通る引張軸に平行な線と交差するようになっている。いくつかの実施形態では、最大位相オフセットは、材料の連続経路を作り出すことによって同様に制限される。引張軸に直交するスリットの幅が、全てのスリットで一定であり、値wを有し、引張軸に直交するスリット間の間隙が、一定であり、値gを有する場合、最小位相オフセット及び最大位相オフセットは次のようになる。
【数1】
【0131】
物品。本開示はまた、本明細書に記載のスリットパターンのうちのいずれかを含む1つ以上の物品又は材料に関する。本明細書に記載されるスリットパターンを形成することができるいくつかの例示的な材料としては、例えば、紙(厚紙、段ボール紙、コート紙又は非コート紙、クラフト紙、綿ボンド、リサイクル紙を含む);プラスチック;織布及び不織布材料及び/又は布地;弾性材料(天然ゴム、合成ゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレン系ゴム、エチレンビニルアセテート、又はEVAゴムなどのゴムを含む);非弾性材料(ポリエチレン及びポリカーボネートを含む);ポリエステル;アクリル;及びポリスルホンが挙げられる。物品は、例えば、材料、シート、フィルム、又は任意の同様の構造体であり得る。
【0132】
使用することができる熱可塑性材料の例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE))、メタロセンポリエチレンなど、及びそれらの組み合わせ)、ポリプロピレン(例えば、アタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレン))、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、ポリアセタール(Delrinなど)、ポリアクリレート、及びポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)など、及びポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル、など)、フッ素樹脂(3M Company(St.Paul,MN)製のTHVなど)、及びそれらの組み合わせ、のうちの1種類以上を挙げることができる。熱硬化性材料の例としては、ポリウレタン類、シリコーン類、エポキシ類、メラミン、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの組み合わせのうちの1種類以上を挙げることができる。生分解性ポリマーの例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(カプロラクトン)、ラクチド及びグリコリドのコポリマー、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリヒドロキシブチレート、及びそれらの組み合わせのうちの1種類以上を挙げることができる。
【0133】
本明細書で使用される場合、「紙」は、セルロース(具体的には、(天然又は人工の)セルロースの繊維)から作製された、又はそうでなければ、木材、トウモロコシ、草、米などの植物源のパルプから生成可能な、織布又は不織布のシート状の製品又は布(折り畳むことができ、様々な厚さであり得る)を指す。紙には、従来の製紙プロセス及び従来とは異なる製紙プロセスの両方から作製された製品、並びにシートに他のタイプの繊維、例えば強化繊維が埋め込まれている上記のタイプの材料が含まれる。紙は、シートの上又は繊維自体の上にコーティングを有してもよい。本開示の文脈内における「紙」である従来とは異なる製品の例としては、PAPTIC(Espoo、Finland)から商品名TRINGAで入手可能な材料、及び商品名SULAPACでSULAPAC(Helsinki,Finland)から入手可能な材料のシート形態が含まれる。
【0134】
一重スリットパターンが形成される材料は、任意の所望の厚さとすることができる。いくつかの実施形態では、材料は、約0.001インチ(0.025mm)~約5インチ(127mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、材料は、約0.01インチ(0.25mm)~約2インチ(51mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、材料は、約0.1インチ(2.5mm)~約1インチ(25.4mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、厚さは、0.001インチ(0.025mm)超、0.01インチ(0.25mm)超、0.05インチ(1.3mm)超、0.1インチ(2.5mm)超、0.5インチ(13mm)超、1インチ(25mm)超、1.5インチ(38mm)超、2インチ(51mm)超、2.5インチ(64mm)超、又は3インチ(76mm)超である。いくつかの実施形態では、厚さは、5インチ(127mm)未満、4インチ(101mm)未満、3インチ(76mm)未満、2インチ(51mm)未満、1インチ(25mm)未満、0.5インチ(13mm)未満、0.25インチ(6.3mm)未満、又は0.1インチ(2.5mm)未満である。
【0135】
材料が紙であるいくつかの実施形態では、厚さは、約0.003インチ(0.076mm)~約0.010インチ(0.25mm)である。材料がプラスチックであるいくつかの実施形態では、厚さは、約0.005インチ(0.13mm)~約0.125インチ(3.2mm)である。
【0136】
いくつかの実施形態では、スリット又は切り込みパターンは、実質的に、シート、フィルム、又は材料の縁部のうちの1つ以上まで延びている。いくつかの実施形態では、これにより、材料が無制限の長さであることが可能になり、特に非伸張性材料で作製される場合、張力によって展開されることも可能になる。「非伸張性」材料とは、一般に、一体的に完全な(スリットがない)構成にあるときに、25%未満、10%以下の極限伸度値、又はいくつかの実施形態では5%以下の極限伸度値を有する材料として定義される。縁部材料の量とは、一重スリットパターンを包囲しているが一重スリットパターンを含まない材料の面積である。いくつかの実施形態では、縁部材料量又はダウンウェブ境界は、長軸が、引張軸に平行で、かつ無限の長さである、矩形の幅として定義することができ、いずれのスリットにも重なること、又は接触することなく基材上に設けることができる。いくつかの実施形態では、縁部材料量は、0.010インチ(0.25mm)未満、又は0.001インチ(0.025mm)未満である。いくつかの実施形態では、ダウンウェブ境界の幅は、0.010インチ(0.25mm)未満、又は0.001インチ(0.025mm)未満である。いくつかの実施形態では、縁部材料の量は、基材の厚さの5倍未満である。いくつかの実施形態では、ダウンウェブ境界の幅は、基材の厚さの5倍未満である。
【0137】
クロスウェブスラブは、長軸が、引張軸に垂直で、かつ無限の長さであり、幅が有限である矩形を有する矩形領域として定義することができ、いずれのスリット又は切り込みにも重なること、又は接触することなく基材上に設けることができる。いくつかの実施形態では、任意の幅のクロスウェブスラブが、パターンの一体部分として物品内に既に存在してもよい。いくつかの実施形態では、任意の幅のクロスウェブスラブを、有限の長さの物品の端部に追加して、物品を展開し易くしてもよい。いくつかの実施形態では、任意の幅のクロスウェブスラブを、連続的なパターンの入った物品に断続的に追加してもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、単一のスリットの最長の間隔が空いた終端部間の距離(スリット長とも呼ぶ)は、長さ約0.25インチ(0.001mm)~長さ約3インチ(76mm)、約0.5インチ(13mm)~約2インチ(51mm)、又は約1インチ(25mm)~約1.5インチ(38mm)である。いくつかの実施形態では、単一のスリットの終端部間の最長距離(スリット長とも呼ぶ)は、基材厚さの50倍~基材厚さの1000倍、又は基材厚さの100~500倍である。いくつかの実施形態では、スリット長は、基材厚さの1000倍未満、900倍未満、800倍未満、700倍未満、600倍未満、500倍未満、400倍未満、300倍未満、200倍未満、又は基材厚さの100倍未満である。いくつかの実施形態では、スリット長は、基材厚さの50倍超、100倍超、200倍超、300倍超、400倍超、500倍超、600倍超、700倍超、800倍超、又は基材厚さの900倍超である。
【0139】
製造方法。本明細書に記載のスリットパターン及び物品は、いくつかの異なる方法で製造することができる。例えば、スリットパターンは、押出成形、成形、レーザー切断、ウォータージェット加工、機械加工、ステレオリソグラフィもしくは他の3D印刷技術、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ、化学エッチング、回転ダイカット、スタンピング、他の適切なネガティブもしくはポジティブ加工技術、又はそれらの組み合わせによって形成することができる。具体的には、図22を参照すると、紙又は他のシート材料30を、回転ダイ20及びアンビル10からなるニップ内に供給することができる。この例では、材料30は、中心コアを含んでも含まなくてもよい中心軸の周りに材料が巻かれたロール構成で保管される。回転ダイ20は、その上に、シート材料30に切り込むことが望ましいパターンに対応する切り込み面22を有する。ダイ20は、所望の位置で材料30を貫通するように切り込んで、本明細書に記載のスリットパターンを形成する。同じプロセスを、平坦なダイ及び平坦なアンビルを用いて使用することができる。
【0140】
使用方法。本開示の物品及び材料は、様々な方法で使用することができる。一実施形態では、二次元シート、材料、又は物品は、引張軸に沿って張力が加えられ、これにより、スリットが、本明細書に記載の開口部及び/又はフラップを形成する、及び/又は動きをもたらす。いくつかの実施形態では、張力は、手又は機械によって加えられる。
【0141】
用途。本開示は、初めは平坦なシートだが、力/張力が加えられると三次元構造に展開する物品について説明する。いくつかの実施形態では、このような構造は、エネルギー吸収構造を形成する。本明細書に記載のパターン、物品、及び構造は、多数の可能な用途を有し、それらのうちの少なくともいくつかは本明細書に記載されている。
【0142】
1つの例示的な用途は、輸送又は保管のために物体を保護することである。上記のように、既存の発送資材には、様々な欠点があり、例えば、使用前の保管時にスペースを占有し過ぎる(例えば、気泡ラップ、パッキングピーナッツ)ため、輸送コストが高くなる;製造するのに特別な機器を必要とする(例えば、膨張式エアバッグ);常に効果的であるとは限らない(例えば、しわ紙);及び/又は、広くリサイクル可能ではない(例えば、気泡ラップ、パッキングピーナッツ、膨脹式エアバッグ)ことが挙げられる。本明細書に記載の張力作動式拡張フィルム、シート、及び物品は、上記のいずれの欠点もなく、輸送中に物品を保護するために使用することができる。持続可能な材料から製造される場合、本明細書に記載の物品は、効果的かつ持続可能である。本明細書に記載される物品は、製造、発送、販売、及び保管時には平坦であり、ユーザが張力/力で作動させたときにのみ三次元になるため、これらの物品は、保管スペースを最大限に活用し、発送/搬送/包装コストを最小限に抑える上で、より効果的かつ効率的である。小売業者及びユーザは、比較的小さいスペースを使用して、元のサイズの10倍、20倍、30倍、又は40倍以上に拡張する製品を収容することができる。更に、本明細書に記載される物品は、使用が、簡単かつ非常に容易である。ユーザは、単にロールから製品を引き出す、又は製品の平坦なシートを取り出し、引張軸に沿って物品全体に張力を加えて(これは手又は機械で行うことができる)から、発送対象品の周りに製品を巻き付ける。多くの実施形態では、相互連結特徴部により、製品はそれ自体の別の層と相互連結することが可能になるため、テープは必要ない。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスリットパターンは、既存の提供物に勝る利点をもたらす包装材料及び/又は緩衝フィルムを作り出す。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の包装材料及び/又は緩衝フィルムは、強化された緩衝能力又は製品保護を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の包装材料及び/又は緩衝フィルムは、既存の提供物と比較して同様の又は強化された緩衝能力又は製品保護をもたらすが、既存の提供物よりも、再生利用可能である、及び/又はより持続可能である、もしくは環境に優しい。いくつかの実施形態では、本開示の包装材料及び/又は緩衝フィルムは、既存の提供物と比較して同様の又は強化された緩衝能力又は製品保護をもたらすが、拡張して、発送対象品の周りに巻き付けることができる。張力が加えられると形状を保持する構造が好まれる場合があるが、それは、多くの用途で、材料を所定の位置に保持するためのテープの必要性を排除することができるためである。
【0144】
本文書において、用語「a」又は「an」は、特許文書において一般的であるように、任意の他の例、あるいは「少なくとも1つの(at least one)」又は「1つ以上の(one or more)」の使用と無関係に、1つ又は1つ以上を含むように用いられる。本文書において、用語「又は」は、非排他的な「又は」を指し、そのため、「A又はB」は、別途指示のない限り、「Aであるが、Bでない」、「Bであるが、Aでない」、及び「A及びB」を含む。本文書において、「含む(including)」及び「そこで(in which)」という用語は、対応する用語「備える/含む(comprising)」及び「そこで(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、添付の請求項において、用語「~を含む(including)」及び「~を備える(comprising)」はオープンエンドなものである。すなわち、請求項においてこのような用語の後に列挙された要素に加えて別の要素を含むシステム、装置、物品、組成物、調合物、又はプロセスは、依然として、その請求項の範囲内に含まれるとみなされる。更に、添付の請求項において、「第1の(first)」、「第2の(second)」、及び「第3の(third)」などの用語は、単に標示として使用され、それらの対象に数値的要件を課すことを意図していない。
【0145】
上記の説明は例示であることが意図されており、限定的であるとは意図されていない。例えば、上述の実施形態(又はそれらの1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて用いることができる。読者が技術的開示の本質を迅速に把握することを可能にするべく、米国特許法施行規則第1.72条(b)項に従うために要約書が提供されている。要約書は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために用いられることはないという了解の下で提示される。また、上述の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために様々な特徴が1つにまとめられている場合がある。これは、クレームされていない開示された特徴がいずれかの請求項に必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に存し得る。それゆえ、添付の請求項は本明細書において実施例又は実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として自立し、係る諸実施形態は様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の範囲は、添付の請求項を、係る請求項が主張する権利がある均等物の全範囲と併せて参照して決定することができる。
【0146】
端点による値範囲の記載は全て、その範囲内に含まれる全ての数を含むよう意図される(すなわち、1~10の範囲には、例えば、1、1.5、3.33、及び10が含まれる)。
【0147】
詳細な説明及び特許請求の範囲における、第1、第2、第3などの用語は、類似の要素同士を区別するために使用されるものであり、必ずしも順序又は時系列を説明するものとは限らない。そのように使用される用語は適切な状況下では互換的であること、及び本明細書に記載の本発明の実施形態は本明細書に記載又は例示したもの以外の順序で機能できるということを理解されたい。
【0148】
更に、詳細な説明及び特許請求の範囲における、上部、底部、上、下などの用語は、説明の目的で使用されるものであり、必ずしも相対的な位置を説明するものとは限らない。そのように使用される用語は適切な状況下では互換的であること、及び本明細書に記載の本発明の実施形態は本明細書に記載又は例示したもの以外の向きで機能できるということを理解されたい。
【0149】
当業者であれば、上述の実施形態及び実施態様の詳細には、それらの基礎をなす原理を逸脱することなく多くの変更が行われ得ることを理解するであろう。更に、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない、本開示に対する様々な改変及び変形が、当業者にとっては明らかであろう。したがって、本出願の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ決定されるべきである。
なお、各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
スリットの複数の行に並べられた複数のスリットを有する材料シートであって、1行内にある前記スリットのそれぞれが、前記1行内にある直接隣接するスリットから横方向に間隔を空けて、軸方向ビームを形成しており、前記軸方向ビームが、隣接する行のスリット間に延びており、前記複数のスリットが、複合スリットの繰り返しパターンを含む、材料シート、
を含む、拡張材料。
(付記2)
前記材料が、プレテンション形態において平面を画定し、かつ引張軸を画定しており、前記引張軸に沿って張力が加えられたときに前記材料の少なくとも一部分が前記平面から45度以上回転する、付記1に記載の拡張材料。
(付記3)
前記複合スリットが、3つ以上の終端部を含み、前記終端部のうちの少なくとも1つが、湾曲している、付記1又は2に記載の拡張材料。
(付記4)
前記複合スリットのうちの少なくともいくつかが、フック、ループ、正弦波、方形波、三角波、及び交差スリットのうちの少なくとも1つを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記5)
前記複数の複合スリットが、前記材料の縁部のうちの1つ以上を通って延びているスリットパターンを画定している、付記1~4のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記6)
前記材料が、紙、段ボール紙、プラスチック、弾性材料、非弾性材料、ポリエステル、アクリル、ポリスルホン、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、生分解性ポリマー、織布材料、不織布材料、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、付記1~5のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記7)
前記材料が、紙であり、厚さが、約0.003インチ(0.076mm)~約0.010インチ(0.25mm)である、付記1~6のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記8)
前記材料が、プラスチックであり、厚さが、約0.005インチ(0.13mm)~約0.125インチ(3.2mm)である、付記1~6のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記9)
前記材料が、本明細書に記載の相互連結試験に合格している、付記1~8のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記10)
前記スリットのそれぞれが、前記引張軸に対して垂直である横方向の長さを有する、付記1~9のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記11)
各スリットが、横方向の長さを有し、スリットの第1の行内にある前記スリットが、スリットの隣接する行内にあるスリットから、スリットの前記第1の行内にある各スリットの前記横方向の長さの75%以下だけオフセットされている、付記1~10のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記12)
前記スリットのそれぞれが、スリット形状及びスリット向きを有し、前記スリット形状、前記スリット向き、又は前記スリット形状及び前記スリット向きの両方が、1行のスリット内で異なっている、付記1~11のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記13)
前記スリットが、スリット形状及びスリット向きを有し、前記スリット形状、前記スリット向き、又は前記スリット形状及び前記スリット向きの両方が、隣接する行で異なっている、付記1~12のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記14)
前記材料が、約0.001インチ(0.025mm)~約5インチ(127mm)の厚さを有する、付記1~13のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記15)
前記複数のスリットの前記各スリットが、約0.25インチ(6.35mm)~約3インチ(76.2mm)のスリット長を有する、付記1~14のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記16)
前記複数のスリットの各スリットが、スリット長を有し、前記材料が、材料厚さを有し、スリット長の材料厚さに対する比が、約50~約1000である、付記1~15のいずれか一項に記載の拡張材料。
(付記17)
付記1~16のいずれか一項に記載の複合パターンを形成することができるダイ。
(付記18)
付記1~16のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかで形成された包装材料。
(付記19)
前記拡張材料が、ロール構成で保存されている、付記18に記載の包装材料。
(付記20)
前記拡張材料が、1つ以上の個々のシートである、付記18に記載の包装材料。
(付記21)
エンベロープであって、前記エンベロープ内に配置された前記拡張材料を有する、エンベロープを更に含む、付記20に記載の包装材料。
(付記22)
付記1~16のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかの製造方法であって、
押出成形、成形、レーザー切断、ウォータージェット加工、機械加工、ステレオリソグラフィ、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ、化学エッチング、回転ダイカット、スタンピング、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって、前記材料に前記複合スリットパターンを形成すること、
を含む、製造方法。
(付記23)
付記1~16のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかの使用方法であって、
引張軸に沿って前記拡張材料に張力を加えることにより、前記材料を拡張させること、
を含む、使用方法。
(付記24)
前記張力を加えることにより、(1)前記スリットが開口部を形成する、及び/又は(2)前記スリットに隣接する前記材料が波形を形成する、のうちの1つ以上となる、付記23に記載の方法。
(付記25)
前記張力が、手又は機械によって加えられる、付記23又は24に記載の方法。
(付記26)
前記引張軸に沿って前記拡張材料に張力を加えることにより、前記材料を二次元構造から三次元構造に変化させる、付記23~25のいずれか一項に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図22