(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】オキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法
(51)【国際特許分類】
C07D 305/06 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
C07D305/06
(21)【出願番号】P 2022560041
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2021081185
(87)【国際公開番号】W WO2021197057
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】202010261424.9
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110184195.X
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515324604
【氏名又は名称】常州強力先端電子材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU TRONLY ADVANCED ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Wucheng Industrial Park, Zhenglu Town, Tianning,Changzhou, Jiangsu 213159,China
(73)【特許権者】
【識別番号】517427152
【氏名又は名称】常州強力電子新材料股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Qianjia Industrial Park, Yaoguan Town, Wujin District Changzhou city, Jiangsu 213011, China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】銭曉春
【審査官】石田 傑
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-106380(JP,A)
【文献】国際公開第2005/080364(WO,A1)
【文献】西独国特許出願公告第01021858(DE,B)
【文献】特開2000-086646(JP,A)
【文献】特開平06-016804(JP,A)
【文献】国際公開第2004/106314(WO,A1)
【文献】特開2011-020004(JP,A)
【文献】国際公開第2010/032712(WO,A1)
【文献】特開2017-133039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示されるオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法であって、
【化1】
[式中、前記Rは、C
2~C
12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、オキシラン構造を含有するアルキル基、オキセタン構造を含有するアルキル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基又はビフェニル基であり、前記nは、1~4である。]
3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンと、一般式R-(X)
n(Xはハロゲン元素である。)で示される原料Haと、触媒と、アルカリとをマイクロ反応器中に輸送してエーテル化反応を行い、エーテル化生成物系を得る工程と、
前記エーテル化生成物系を分離し、前記オキセタン誘導体を得る工程と、
を含み、
前記マイクロ反応器の反応流路の内径が500~8000μmであり、
前記3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの重量に占める重量パーセントで、前記触媒の添加量が0.5~2%であることを特徴とする、オキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【請求項2】
前記アルカリが、アルカリ金属化合物又はアルカリ金属化合物の水溶液であり、アルカリ金属化合物が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、前記アルカリ金属化合物の水溶液の濃度が10~20%であり、
前記触媒が、ポリエーテル、環状ポリエーテル及び4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属化合物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求
項2に記載のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【請求項4】
前記触媒が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド及びテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【請求項5】
前記触媒が、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、18-クラウン-6及びテトラブチルアンモニウムブロミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4に記載のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【請求項6】
前記エーテル化反応の反応温度が10~60℃であり、滞留時間が2~5minであることを特徴とする請求項1に記載のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【請求項7】
前記分離の工程で採用する装置は、二段階薄膜蒸発装置又は精留塔を含むことを特徴とする請求項6に記載のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成分野に関し、具体的に、オキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンを原料として、アルカリの作用によりハロゲン化有機化合物とエーテル化反応させて一連のオキセタン誘導体を得ることができ、光硬化性カチオン系における単量体として用い、光硬化性インク、塗料、接着剤等の分野に適用することができ、代表的な製品としては、3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)メチル]エーテル及び3-ベンジルオキシメチル-3-エチルオキセタンが挙げられる。これらのオキセタン製品は、粘度が低く、希釈性が良く、架橋速度が速く、成膜後の性能に優れるため、カチオン光硬化分野において最もマーケットポテンシャルのある原料の1つとなっている。
【0003】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンを例として、その工業生産は、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンとエピクロルヒドリンとを原料として、固形の水酸化ナトリウムの作用によりエーテル化反応することにより得られ、反応系は、液-固不均一相であるので、物質移動が困難であり、転化率を保証するために、エピクロルヒドリンと水酸化ナトリウムは50%以上過剰にする必要があり、2m3反応釜で生産し、反応過程が約12hであり、後処理であるろ過、精留等の工程に必要な時間が約30hであり、生産過程において固形の水酸化ナトリウムを数回に分けて添加する操作が繁雑で温度暴走等の潜在的な安全上の問題が存在する。
【0004】
上記問題の存在に鑑みて、反応時間が短く、物質移動効率が高く、安全性が良いオキセタン誘導体の合成方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な目的は、従来のオキセタン誘導体の合成方法に存在する反応時間が長く、操作繁雑及び安全性が悪い問題を解決するために、オキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法を提供することである。連続化生産を実現しながら、エーテル化反応の選択性を保証し、生成物の収率を向上させる。
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、オキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法を提供し、オキセタン誘導体は、式(I)で示される構造を有する。
【0007】
【化1】
[式中、Rは、C
2~C
12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、オキシラン構造を含有するアルキル基、オキセタン構造を含有するアルキル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基又はビフェニル基である。nは、1~4である。]
【0008】
上記のオキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法は、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンと、一般式R-(X)n(Xはハロゲン元素である。)で示される原料Haと、触媒と、アルカリとをマイクロ反応器中に輸送してエーテル化反応を行い、エーテル化生成物系を得る工程と、エーテル化生成物系を分離し、オキセタン誘導体を得る工程と、を含む。
【0009】
さらに、マイクロ反応器の反応流路の内径が200~10000μmである。
【0010】
さらに、アルカリは、アルカリ金属化合物又はアルカリ金属化合物の水溶液であり、アルカリ金属化合物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。好ましくは、アルカリ金属化合物は、水酸化ナトリウムである。アルカリ金属化合物の水溶液の濃度は10%~20%である。触媒は、ポリエーテル類、環状ポリエーテル類及び4級アンモニウム塩類からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0011】
さらに、触媒は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド及びテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0012】
さらに、触媒は、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、18-クラウン-6及びテトラブチルアンモニウムブロミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0013】
さらに、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの重量に占める重量パーセントで、触媒の添加量が0.1~5%である。
【0014】
さらに、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの重量に占める重量パーセントで、触媒の添加量が0.5~2%である。
【0015】
さらに、エーテル化反応の反応温度が10~60℃であり、マッター滞留時間が2~5minである。
【0016】
さらに、分離の工程において採用される装置は、二段階薄膜蒸発装置又は精留塔である。
【0017】
さらに、マイクロ反応器の反応流路の内径が500~8000μmである。
【0018】
本発明の技術案を採用することにより、通常の反応器に比べて、マイクロ反応器は、熱伝導係数および物質移動係数が高く、混合性能が良く、温度を制御しやすく、過程が安全で制御可能である等の利点を有する。マイクロ反応器の利点を利用してオキセタン誘導体を製造することにより、反応系の物質移動性及び熱伝導性を大幅に向上させ、反応時間を減少して生産効率を向上させ、製品の収率を向上させ、過程の連続化、自動化を実現し、過程の安全性を向上させることができる。マイクロ反応器の反応流路の孔径を上記範囲内に限定することは、エーテル化反応の選択性の向上に有利であり、これにより、オキセタン誘導体の転化率の向上に有利である。なお、上記合成過程に必要な反応装置の体積が小く、生産拠点が占める面積が小さく、必要とする人的資源が少なく、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の一部を構成する図面は、本発明をさらに理解するために提供され、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するために用いられ、本発明を不適切に限定するものではない。図面において、
【
図1】
図1は、本発明に係る典型的な実施形態により提供されるオキセタン誘導体の製造装置の構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
なお、矛盾がない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせられてもよい。以下、実施例を組み合わせて本発明を詳しく説明する。
【0021】
背景技術で記載されている通り、従来のオキセタン誘導体の合成方法には、反応時間が長く、操作が繁雑であり、安全性が悪い問題が存在する。上記技術課題を解決するために、本願は、オキセタン誘導体をマイクロ反応器により合成する合成方法を提供し、オキセタン誘導体は、式(I)で示される構造を有する。
【0022】
【化2】
[式中、Rは、C
2~C
12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、オキシラン構造を含有するアルキル基、オキセタン構造を含有するアルキル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基又はビフェニル基であり、nは、1~4である。]
【0023】
当該オキセタン誘導体の合成方法は、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンと、一般式R-(X)n(Xはハロゲン元素である。)で示される原料Haと、触媒と、アルカリとをマイクロ反応器中に輸送してエーテル化反応を行い、エーテル化生成物系を得る工程と、エーテル化生成物系を分離し、オキセタン誘導体を得る工程と、を含む。
【0024】
従来の反応器に対して、マイクロ反応器は、熱伝導係数及び物質移動係数が高く、混合性能が良く、温度を制御しやすく、過程が安全で制御可能であるなどの利点を有する。マイクロ反応器の利点を利用してオキセタン誘導体を製造することにより、反応系の物質移動性及び熱伝導性を向上させ、反応時間を低減して生産効率を向上させ、製品の収率を向上させ、過程の連続化、自動化を実現し、過程の安全性を向上させることができる。なお、上記合成過程に必要な反応装置は、体積が小さく、生産拠点が占める面積が小さく、必要とする人的資源が少なく、安全性が高い。
【0025】
好ましくは、マイクロ反応器の反応流路の内径が200~10000μmである。マイクロ反応器の反応流路の孔径を上記範囲内に限定することは、エーテル化反応の選択性の更なる向上、オキセタン誘導体の転化率の更なる向上に有利である。例えば、マイクロ反応器の反応流路の内径が200μm、500μm、4000μm、6000μm、8000μm、10000μmであり、より好ましくは、マイクロ反応器の反応流路の内径が500~8000μmである。
【0026】
上記合成方法において、アルカリは、アルカリ金属化合物又はアルカリ金属化合物の水溶液である。アルカリ金属化合物としては、本分野で常用される種類を採用することができる。好ましくは、アルカリ金属化合物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むが、これらに限られない。より好ましくは、アルカリ金属化合物は、水酸化ナトリウムである。アルカリ金属化合物の水溶液の濃度が10~20%である。
【0027】
上記合成方法において、触媒は、本分野で常用される種類を採用することができ、触媒は、ポリエーテル類、環状ポリエーテル類及び4級アンモニウム塩類からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むが、これらに限られない。好ましくは、触媒は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、18-クラウン-6、15-クラウン-5、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド及びテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むが、これらに限られない。その他の触媒と比べて、上記のような触媒を採用することにより、エーテル化反応の反応速度の更なる向上、反応周期の短縮に有利である。より好ましくは、触媒は、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、18-クラウン-6及びテトラブチルアンモニウムブロミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むが、これらに限られない。
【0028】
1つの好ましい実施例において、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの重量に占める重量パーセントで、触媒の添加量が0.1~5%である。触媒の使用量は、上記範囲を含むが、これに限られず、また、それを上記範囲内に限定することは、エーテル化反応の反応速度の更なる向上に有利である。例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの重量に占める重量パーセントで、触媒の添加量が0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%であってもよい。より好ましくは、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの重量に占める重量パーセントで、触媒の添加量が0.5~2%である。
【0029】
1つの好ましい実施例において、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンと原料Ha中のハロゲン元素とのモル比が1:(1.0~1.2)である。3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンと原料Ha中のハロゲン元素とのモル比は、上記範囲を含むが、これに限られず、それを上記範囲内に限定することにより3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの転化率の向上に有利である。
【0030】
1つの好ましい実施例において、エーテル化反応の反応温度が10~60℃であり、マッター滞留時間が2~5minである。エーテル化反応の反応温度及びマッター滞留時間は、上記範囲を含むが、これに限られず、それを上記範囲内に限定することによりエーテル化生成物の収率の更なる向上に有利である。例えば、エーテル化反応の反応温度が10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃であってもよい。
【0031】
上記分離工程は、本分野で常用される装置を用いて行うことができる。好ましくは、分離の工程で採用される装置は、二段階薄膜蒸発装置又は精留塔を含む。
【実施例】
【0032】
以下、具体的な実施例を組み合わせて本願をさらに詳しく説明し、これらの実施例は、本願の保護を求める範囲を制限するものではないと理解され得る。
【0033】
実施例では、
図1に示す装置を採用してオキセタン誘導体を製造し、合成方法は以下の工程を含む。
【0034】
(1)計量した3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(MOX101)と原料R-(X)nとを均一に混合して有機物原料貯蔵タンク11に入れて、アルカリ溶液と触媒とを均一に混合してアルカリ溶液貯蔵タンク12に入れる。
【0035】
(2)マイクロ反応器20、第一薄膜蒸発器40、第二薄膜蒸発器50の温度を設定温度に調節し、有機物原料仕込みポンプ101及び原料仕込みポンプ102を起動し、原料をマイクロミキサー10に入れて混合を行い、マイクロ反応器20において一定時間滞留した後に緩衝タンク21に入れて、有機相を取ってGCにより転化率を検出する。
【0036】
(3)緩衝タンク21においてマッターが一定量蓄積した後に相分離タンク30に入れて、有機相と水相とを静置分離し、二つの相をそれぞれ廃液貯蔵タンク31及び有機相貯蔵タンク32に入れる。
【0037】
(4)第一薄膜蒸発器の仕込みポンプ103を起動し、有機相を第一薄膜蒸発器40により分離して過剰の原料を回収し、粗製品を得、回収した原料を回収原料貯蔵タンク42中に貯蔵し、粗製品を粗製品貯蔵タンク41中に貯蔵する。第二薄膜蒸発器の仕込みポンプ104を起動し、粗製品を第二薄膜蒸発器50に入れて精製して製品を得、最終製品を最終製品貯蔵タンク51に貯蔵し、再沸物を再沸物貯蔵タンク52に貯蔵する。実施例1~9におけるプロセスパラメータを表1及び表2に示す。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
実施例10
マイクロ反応器の反応流路の内径が200μmである点で実施例1と相違する。
【0043】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が90.5%であり、収率が74.6%である。
【0044】
実施例11
マイクロ反応器の反応流路の寸法が10000μmである点で実施例1と相違する。
【0045】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が95.2%であり、収率が76.7wt%である。
【0046】
実施例12
触媒の添加量が1.0%であり、触媒がポリエチレングリコールジメチルエーテルであり、マッター滞留時間が5minである点で実施例1と相違する。
【0047】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が94.4%であり、収率が82.4wt%である。
【0048】
実施例13
触媒の添加量が1.0%であり、触媒が18-クラウン-6であり、マッター滞留時間が4minである点で実施例1と相違する。
【0049】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が95.2%であり、収率が81.9wt%である。
【0050】
実施例14
触媒の添加量が1.0%であり、触媒がポリエチレングリコールであり、マッター滞留時間が4minである点で実施例1と相違する。
【0051】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が96.2%であり、収率が80.5wt%である。
【0052】
実施例15
触媒の添加量が1.0%であり、触媒がテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドであり、マッター滞留時間が5minである点で実施例1と相違する。
【0053】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が95.4%であり、収率が82.4wt%である。
【0054】
実施例16
エーテル化反応の反応温度が30℃である点で実施例1と相違する。
【0055】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が92.8%であり、収率が72.4wt%である。
【0056】
実施例17
マイクロ反応器の反応流路の寸法が12000μmである点で実施例1と相違する。
【0057】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が90.8%であり、収率が67.5wt%である。
【0058】
実施例18
計量した3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(MOX101)と、水酸化ナトリウムと、触媒とを均一に混合して有機物原料貯蔵タンク11に入れて、エピクロルヒドリンを原料貯蔵タンク12に入れる。マイクロ反応器の反応流路の内径が500μmである点で実施例1と相違する。
【0059】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が95.0%であり、収率が80.6%である。
【0060】
実施例19
計量した3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(MOX101)と、エピクロルヒドリンと、触媒とを均一に混合して有機物原料貯蔵タンク11に入れて、アルカリ溶液を原料貯蔵タンク12に入れる。マイクロ反応器の反応流路の寸法が8000μmである点で実施例1と相違する。
【0061】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が95.6%であり、収率が82.3wt%である。
【0062】
実施例20
エーテル化反応の反応温度が100℃である点で実施例1と相違する。
【0063】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が94.6%であり、収率が76.1wt%である。
【0064】
実施例21
エーテル化反応の反応温度が5℃である点で実施例1と相違する。
【0065】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が85.9%であり、収率が72.4wt%である。
【0066】
実施例22
触媒の添加量が0.1%であり、触媒がテトラブチルアンモニウムブロミドであり、マッター滞留時間が5minである点で実施例1と相違する。
【0067】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が90.3%であり、収率が73.5wt%である。
【0068】
実施例23
計量した3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(MOX101)と、水酸化ナトリウムとを均一に混合して有機物原料貯蔵タンク11に入れて、エピクロルヒドリンと触媒とを原料貯蔵タンク12に入れる。触媒の添加量が5%であり、触媒が18-クラウン-6であり、マッター滞留時間が2minである点で実施例1と相違する。
【0069】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が92.1%であり、収率が78.3wt%である。
【0070】
実施例24
計量した3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(MOX101)と、水酸化ナトリウムとを均一に混合して有機物原料貯蔵タンク11に入れて、エピクロルヒドリンと触媒とを原料貯蔵タンク12に入れる。触媒の添加量が4%であり、触媒がテトラブチルアンモニウムブロミドであり、マッター滞留時間が3minである点で実施例1と相違する。
【0071】
3-エチル-3-[(オキシラニル-2-メトキシ)メチル]オキセタンの選択率が91.7%であり、収率が75.3wt%である。
【0072】
比較例1~5では、従来の反応器を採用してオキセタン誘導体を製造し、具体的なプロセスパラメータを表3に示しており、合成方法は以下の工程を含む。
【0073】
4つ口フラスコに3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(MOX101)と原料R-(X)nとを投入し、撹拌して均一に混合し、アルカリ溶液と触媒とを均一に混合して上記4つ口フラスコ中に滴下し、滴下終了後、温度を維持しながら反応を行い、有機層を取ってGCにより転化率を検出し、転化率が変化しなくなった後、反応を停止した。反応生成物系を静置して相分離し、その後、精留して最終製品を得る。
【0074】
【0075】
上記の記載からわかるように、本発明に記載の実施例は以下の技術效果を実現した。
【0076】
比較実施例1~24及び比較例1~5からわかるように、本願が提供する方法を採用することは、オキセタン誘導体の選択率及び収率に有利である。
【0077】
比較実施例1、6、10、11、17~19からわかるように、マイクロ反応器の反応流路の内径を本願の範囲内に限定することは、オキセタン誘導体の選択率及び収率の向上に有利である。
【0078】
比較実施例1、16、20~21からわかるように、エーテル化反応の反応温度を本願の範囲内に限定することは、オキセタン誘導体の選択率及び収率の向上に有利である。
【0079】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者にとって、本発明は様々な変更及び変化を有することができる。本発明の趣旨及び原則内で行った如何なる修正、等価置換、改進等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0080】
10 マイクロミキサー
11 有機物原料貯蔵タンク
12 アルカリ溶液貯蔵タンク
20 マイクロ反応器
21 緩衝タンク
30 相分離タンク
31 廃液貯蔵タンク
32 有機相貯蔵タンク
40 第一薄膜蒸発器
41 粗製品貯蔵タンク
42 回収原料貯蔵タンク
50 第二薄膜蒸発器
51 最終製品貯蔵タンク
52 再沸物貯蔵タンク
101 有機物原料仕込みポンプ
102 原料仕込みポンプ
103 第一薄膜蒸発器の仕込みポンプ
104 第二薄膜蒸発器の仕込みポンプ