(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】化粧品およびメイクアップ方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20241206BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20241206BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/894
A61Q1/00
A61Q1/04
A61Q1/10
A61Q3/00
A61Q5/10
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2022567530
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(86)【国際出願番号】 CN2021090950
(87)【国際公開番号】W WO2021223652
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/088932
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011458347.2
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジミン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ジンギャ
(72)【発明者】
【氏名】フォーク,ベンジャミン
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518837(JP,A)
【文献】特表2005-526865(JP,A)
【文献】特開平05-178733(JP,A)
【文献】特表2019-507752(JP,A)
【文献】特開2008-174504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C08L 83/00-83/16
C08G 77/00-77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物i)を含む化粧品であって、配合物i)が、ポリエーテル変性ポリシロキサンの存在下で、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、および任意選択のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの乳化重合反応条件下でのラジカル重合から得られる架橋シリコーンのO/Wエマルジョンを含む、化粧品。
【請求項2】
少なくとも1つのポリオルガノシロキサンが、一般式(I)のものであり、
M
gM
H
hM
V
iM
F
jD
kD
H
lD
V
mD
F
nT
oT
H
pT
V
qT
F
rQ
s 式(I)
ここで
M=R
21R
22R
23SiO
1/2;
M
H=R
24R
25HSiO
1/2;
M
V=R
26R
27R
28SiO
1/2;
M
F=R
29R
30R
FSiO
1/2;
D=R
31R
32SiO
2/2;
D
H=R
33HSiO
2/2;
D
V=R
34R
35SiO
2/2;
D
F=R
36R
FSiO
2/2;
T=R
37SiO
3/2;
T
H=HSiO
3/2;
T
V=R
38SiO
3/2;
T
F=R
FSiO
3/2;および
Q=SiO
4/2
ここでR
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
27、R
28、R
31、R
32、R
33、R
35およびR
37は、それぞれ独立して、最大60個の炭素原子の一価炭化水素基であり;R
26、R
34およびR
38は、それぞれ独立して、最大30個の炭素原子のエチレン性不飽和基であり;R
29、R
30およびR
36は、それぞれ独立して、最大60個の炭素原子の一価炭化水素基またはR
Fであり;各R
Fは独立して、最大60個の炭素原子の一価アルコキシ基またはエーテル基であり;そして、下付き文字g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、およびsは、それぞれ独立して、0から1000の整数であって、i+m+q≧2という制限を受ける、請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
ポリオルガノシロキサンが、
M
V
iD
kD
V
mM
2-i (I-1)
ここでM
V、D、D
V、およびMは、前記で定義した通りであり、そして下付き文字i、k、およびmは整数であって、iが0から2であり、kが0から1000であり、mが0から100であるという制限を受け、そしてR
26およびR
34はそれぞれ独立して、ビニル、アリル、メタリル、アクリレートまたはアルキルアクリレート基からなる群から選択される;
M
V
iQ
s (I-2)
ここでM
VおよびQは、前記で定義した通りであり、そして下付き文字iおよびsは、整数であって、i≧2、s≧1、およびi+sが3から50であるという制限を受け、そして各R
26は、ビニル、アリル、メタリル、アクリレートまたはアルキルアクリレート基からなる群から選択される、
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項1に記載の化粧品。
【請求項4】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、一般式(I’)のものであり、
M1
g1M1
H
h1M1
V
i1M1
F
j1D1
k1D1
H
l1D1
V
m1D1
F
n1T1
o1T1
H
p1T1
V
q1T1
F
r1Q1
s1 式(I’)
ここでM1、M1
H、M1
V、M1
F、D1、D1
H、D1
V、D1
F、T1、T1
H、T1
V、T1
FおよびQ1は、M、M
H、M
V、M
F、D、D
H、D
V、D
F、T、T
H、T
V、T
FおよびQとの定義であり、そして
下付き文字g1、h1、i1、j1、k1、l1、m1、n1、o1、p1、q1、r1、およびs1は、それぞれ独立して、0から500の整数であって、h1+l1+p1≧1という制限を受け、そしてi1+m1+q1≧2の場合、ポリオルガノシロキサンについて定義された式(I)とオルガノハイドロジェンポリシロキサンについて定義された式(I’)は異なる、請求項1から3のいずれかに記載の化粧品。
【請求項5】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、
M
H
hD
kD
H
lM
2-h (I-3)
ここでM
H、D、D
HおよびMは、前記で定義した通りであり、そしてh、kおよびlは0または整数であって、kが10から300であり、lが0から50であり、hが0から2であり、そしてh+lが1から100という制限を受ける;
M
H
hQ
s (I-4)
ここでM
HおよびQは前記で定義した通りであり、そして下付き文字hおよびsは、整数であって、h≧1、s≧1、およびi+sが2から50であるという制限を受ける、
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項1から4のいずれかに記載の化粧品。
【請求項6】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、一般式(II)のものであり、
M
1
aM
2
bM
3
cD
1
dD
2
eD
3
f 式(II)
ここで
M
1=R
1R
2R
3SiO
1/2
M
2=R
4R
5R
6SiO
1/2
M
3=R
7R
8R
9SiO
1/2
D
1=R
10R
11SiO
2/2
D
2=R
12R
13SiO
2/2
D
3=R
14R
15SiO
2/2
ここで式(II)において、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
7、R
8、R
10、R
11、R
12およびR
14は、それぞれ独立して、最大60個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり;
R
6およびR
13はそれぞれ独立して-R
16-O-(C
2H
4O)
x(C
3H
6O)
y(C
4H
8O)
z-R
17であり、ここでR
16は、1から20個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、R
17は、水素、および1から20個の炭素原子を有するアルキル、アシルまたはエステル基から選択され、そして下付き文字x、y、およびzは、それぞれ独立して0から200の整数であって、1≦x+y+z≦200という制限を受け;
R
9およびR
15は、それぞれ独立して、4から20個の炭素原子の直鎖または分岐のアルキル基;最大20個の炭素原子の一価アルコキシ基またはアリールオキシ基;または、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、エステル基、アミドまたはエポキシド基にて末端化された、1から20個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり;
下付き文字a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0から200の整数であって、b+e≧1という制限を受ける;
請求項1から5のいずれかに記載の化粧品。
【請求項7】
ポリエーテル変性ポリシロキサンが、
M
1
2D
1
dD
2
e (II-1)
ここでM
1、D
1、およびD
2は前記で定義した通りであり、dは1から200であり、そしてeは1から200である;および
M
2
bD
1
dD
2
eM
1
2-b (II-2)
ここでM
1、M
2、D
1、およびD
2は前記で定義した通りであり、bは1または2であり、dは1から200であり、そしてeは0から200である、
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求
項6に記載の化粧品。
【請求項8】
ポリエーテル変性ポリシロキサンが、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有するポリオルガノシロキサン、および存在する場合のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計量100重量部に基づいて、5から50重量部の量で使用される、請求項1から7のいずれかに記載の化粧品。
【請求項9】
配合物i)が、保湿剤をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の化粧品。
【請求項10】
保湿剤が、ポリオール、アミノ酸、糖、乳酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ピロリドンカルボン酸、セラミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の化粧品。
【請求項11】
O/Wエマルジョンが、配合物i)の総重量に基づいて、1から100重量%の量で配合物i)に含まれる、請求項1から10のいずれかに記載の化粧品。
【請求項12】
O/Wエマルジョンが、配合物i)の総重量に基づいて、30から99重量%の量で配合物i)に含まれる、請求項1から10のいずれかに記載の化粧品。
【請求項13】
O/Wエマルジョンが、配合物i)の総重量に基づいて、50から90重量%の量で配合物i)に含まれる、請求項1から10のいずれかに記載の化粧品。
【請求項14】
配合物i)が、O/Wエマルジョンの転相によって形成される乳化油ベースの配合物である、請求項1から13のいずれかに記載の化粧品。
【請求項15】
配合物i)が、O/Wエマルジョンの転相によって、非反応性シリコーン油;炭化水素油;トリグリセリド;エステル;エーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される油をO/Wエマルジョンに添加することによって形成される乳化油ベースの配合物である、請求項1から13のいずれかに記載の化粧品。
【請求項16】
乳化または非乳化油ベースの配合物である配合物ii)をさらに含み、ここで配合物ii)が配合物i)とは別である、請求項1から15のいずれかに記載の化粧品。
【請求項17】
配合物ii)が、色および/または光沢を付与する美容成分;唇、爪、顔の皮膚、首の皮膚、目の皮膚などの皮膚、まつ毛、眉毛、頭髪などの毛髪をケアするためのケア成分;またはそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の化粧品。
【請求項18】
配合物ii)が、美容成分を単独で、またはケア成分と組み合わせて含む、請求項16に記載の化粧品。
【請求項19】
配合物ii)が、リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、または頭髪のカラーリングまたは染色用調製物である、請求項16から18のいずれかに記載の化粧品。
【請求項20】
配合物i)が、O/Wエマルジョンタイプ配合物であり;そして配合物ii)が美容成分を含む、請求項16から19のいずれかに記載の化粧品。
【請求項21】
配合物i)が、ポリオール、アミノ酸、糖、乳酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ピロリドンカルボン酸、セラミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される保湿剤を含むO/Wエマルジョンタイプ配合物である、請求項20に記載の化粧品。
【請求項22】
配合物i)を含む第1の容器および配合物ii)を含む第2の容器、および任意選択で空の容器をさらに含む、請求項16から21のいずれかに記載の化粧品。
【請求項23】
配合物i)を第1の容器から、配合物ii)を第2の容器からそれぞれ取り出すための;および任意選択で取り出した配合物を空の容器に送るための分配デバイスをさらに含む、請求項16から22のいずれかに記載の化粧品。
【請求項24】
化粧品が、乳化重合反応に由来する前記ポリエーテル変性ポリシロキサンを含む、請求項1から23のいずれかに記載の化粧品。
【請求項25】
i)唇、爪、顔の皮膚、眼の皮膚および首の皮膚などの皮膚、またはまつ毛、眉毛および頭髪などの毛髪に配合物i)を適用して、第1の外観または質感を提供すること;または
ii)唇、爪、顔の皮膚、目の皮膚および首の皮膚などの皮膚、またはまつ毛、眉毛および頭髪などの毛髪に配合物ii)を適用して、第2の外観または質感を提供すること;または
iii)配合物i)を配合物ii)と混合して配合物iii)を形成し、そして配合物iii)を唇、爪、顔の皮膚、目の皮膚および首の皮膚などの皮膚、またはまつ毛、眉毛および頭髪などの毛髪に適用して、第1および第2の外観または質感とは異なる、第3の外観または質感を提供すること、
を含む、請求項1から24のいずれかに記載の化粧品を使用するメイクアップ方法。
【請求項26】
配合物i)は配合物ii)と1:100から100:1の体積比で混合される、
請求項25に記載の化粧品を使用するメイクアップ方法。
【請求項27】
リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、または頭髪のカラーリングまたは染色調製物によって提供される外観、特に光沢および/または色、または質感の変更における、請求項1から24のいずれかに定義の架橋シリコーンのO/Wエマルジョンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月7日に出願されたPCT出願番号PCT/CN2020/088932および2020年12月11日に出願されたCN出願番号202011458347.2に対する優先権を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、油相の体積分率を増加させることによって容易にW/O(油中水)エマルジョンに反転できるO/W(水中油)エマルジョンを含む配合物を含む化粧品、および該化粧品を使用したメイクアップ方法に関する。本発明はまた、従来の化粧品によって提供される外観、特に色および/または光沢および質感を変更する際のO/Wエマルジョンの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
化粧品またはパーソナルケア製品とは、一般に、人体の外部部分(表皮、毛髪システム、爪、唇など)に接触させて、それらの洗浄、芳香付け、外観の変更、保護、良好な状態の保持、または体臭の修正を目的とした製品を指す。一方では、ケア機能やメイクアップ機能などの多機能化粧品が注目されている。他方では、化粧品はますますシーン志向になってきている。これらのニーズに応えるため、化粧品には様々な水性および油性成分を含むことが求められている。
【0004】
水相および油相を含むエマルジョンは、化粧品に広く適用されている。エマルジョンは、内相または分散相および外相または連続相に応じて、油中水型(W/O)および水中油型(O/W)エマルジョンに分けることができる。しかしながら、一般に、エマルジョンは、それらの外相または連続相と同じ極性を有する溶媒によってのみ希釈または分散することができる。換言すれば、O/Wエマルジョンは、一般に水性溶媒でしか希釈することができず、加熱または乳化剤の助けなしでは油中への分散が乏しい。同じことがW/Oエマルジョンにも当てはまる。さらに、これまでO/WエマルジョンのようにはW/Oエマルジョンの研究は盛んに行われておらず、室温で長期安定なW/Oエマルジョンを調製することは困難であった。したがって、O/Wエマルジョンが容易にW/Oエマルジョンに変換され、O/Wエマルジョンの適用が乳化または非乳化の油ベースの化粧品配合物に拡張され得ることが非常に望まれる。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本発明は、配合物i)を含む化粧品に関し、ここで配合物i)は、ポリエーテル変性ポリシロキサンの存在下で、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、および任意選択のポリオルガノシロキサンとは異なるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの乳化重合反応条件下でのラジカル重合から得られる架橋シリコーンのO/Wエマルジョンを含む。
【0006】
別の態様では、本発明は、本発明の化粧品を使用するメイクアップ方法に関する。
【0007】
さらに別の態様では、本発明は、リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、または頭髪のカラーリングまたは染色調製物によりもたらされる、質感および外観、特に光沢および/または色の変更における架橋シリコーンのO/Wエマルジョンの使用に関する。
【0008】
驚くべきことに、配合物i)で使用される架橋シリコーンのO/Wエマルジョンは、油相の体積分率を増加させることにより、例えば、追加の1つまたは複数の油、特に従来から化粧品に使用されている1つまたは複数の油と単純に混合することにより、W/Oエマルジョンに反転できることが見出された。転相時に、乳化重合によって形成された内部架橋シリコーンは、追加の油と混合され、油相での膨潤によって連続相になり、そして化粧品の配合においてレオロジー添加剤として機能し得る。O/Wエマルジョンの転相能力は非常に有益である。O/Wエマルジョンは、水性連続相であるため水性化粧品配合物に使用でき、その転相能力により乳化剤を添加せずに油ベースの化粧品配合物に使用することもできる。
【0009】
また、架橋シリコーンエマルジョンを含む化粧品は、ソフトでクッション性のある感触を与えることができ、ヒドロシリル化反応により架橋構造を形成する際に触媒として一般的に使用される貴金属を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される「貴金属を実質的に含まない」という表現は、貴金属が不純物量のみ、好ましくは1ppm未満の量で存在することを指す。
【0010】
一実施形態では、化粧品は、従来のO/Wエマルジョンを油中に分散させるために不可欠な追加の乳化剤の非存在下で、O/Wエマルジョンの転相によって形成された油ベースの化粧品配合物を含む。得られたW/Oエマルジョンと、元のO/Wエマルジョンにすでに含まれている水性成分との適合性により、化粧品は、従来のW/Oエマルジョンから形成された対応する化粧品よりも高い含有量の水および保湿剤を含むことができる。したがって、この化粧品は、べたつき感が少なく、向上した保湿力を提供し得る。
【0011】
別の実施形態では、化粧品は、架橋シリコーンのO/Wエマルジョンから形成されたO/Wエマルジョンタイプの配合物i)を少なくとも含む。驚くべきことに、この配合物i)は、油ベースのメイクアップと混合した後に位相反転することができ、その結果、メイクアップ、例えば、リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、頭髪のカラーリングまたは染色調製物によってもたらされる、質感と外観が変化することが判明している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、油としてのヘミスクワランとの混合前後の、例1で調製したエマルジョンについて撮影した写真を示す。
【
図2】
図2aおよび2bは、油としてSilsoft034を使用した転相前(2a)および転相後(2b)の例4で調製したエマルジョンの顕微鏡写真を示す。
【
図3】
図3aおよび3bは、イソプロピルアルコール(IPA)で解乳化した例4(3a)および比較例1(3b)で調製したエマルジョンについて撮影した写真を示す。
【
図4】
図4は、油としてのヘミスクワランと1:1の割合で混合した後の比較例2で調製したエマルジョンについて撮影した写真を示す。
【
図5】
図5aおよび5bは、PEG-10ジメチコン(5a)およびさらに脱イオン水(5b)と混合した後の、比較例2で調製されたエマルジョンについて撮影した写真を示す。
【
図6】
図6は、例11で調製されたリップグロスの写真を示す。
【
図7】
図7は、例11で調製されたリップグロスの保湿力を示す棒グラフを示す。
【
図8】
図8a、8bおよび8cは、適用後の例12で調製された2つの配合物を含むアイシャドー製品の外観を示し、ここで
図8aは、適用後の配合物ii)単独の外観を示し、そして
図8bおよび8cは、配合物i)を配合物ii)とそれぞれ体積比1:10および1:1で混合した後の外観を示す。
【
図9】
図9a、9bおよび9cは、例13で調製された2つの配合物を含むファンデーション製品の外観を示し、ここで
図9aは、配合物ii)のみを示し、そして
図9bおよび9cは、それぞれ配合物i)および比較配合物i)を配合物ii)と混合した後の外観を示す。
【
図11】
図11aおよび11bは、例14で調製された2つの配合物を含むリップ製品の外観を示し、ここで
図11aは、適用後の配合物ii)単独の外観を示し、そして
図11bは、配合物i)が配合物ii)と混合された後の外観を示す。
【
図12】
図12aおよび12bは、例15で調製された2つの配合物を含むリップ製品の外観を示し、ここで
図12aは、適用後の配合物ii)単独の外観を示し、そして
図12bは、配合物i)が配合物ii)と混合された後の外観を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および特許請求の範囲において、以下の用語および表現は、示されているように理解されるものである。
【0014】
単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0015】
本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書で提供されるすべての例または例示的な文言(たとえば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
明細書のいかなる文言も、特許請求されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示していると解釈されるべきではない。
【0017】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」という用語、およびそれらの文法上の均等物は、追加の記載されていない要素または方法ステップを排除しない包括的または無制限の用語であるが、より限定的な用語「からなる」および「から本質的になる」を含むことも理解されるであろう。
【0018】
実施例または別段の指示がある場合を除き、明細書および特許請求の範囲に記載されている材料の量、温度、時間分、材料の定量化された特性などを表すすべての数字は、表現で「約」という用語が使用されているかどうかにかかわらず、すべての場合において「約」という用語により修飾されていると理解されるべきである。
【0019】
本明細書に記載の任意の数値範囲は、その範囲内のすべての下位範囲、およびそのような範囲または下位範囲の様々な端点の任意の組み合わせを含むことが理解される。
【0020】
構造的、組成的、および/または機能的に関連する化合物、材料または物質の群に属するものとして明示的または黙示的に明細書に開示され、および/または特許請求の範囲に記載されている任意の化合物、材料または物質は、群の個々の代表およびそれらのすべての組合せを含むことがさらに理解されるであろう。
【0021】
「炭化水素基」という表現は、1つまたは複数の水素原子が除去された任意の炭化水素を意味し、アルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、アリール、アラルキルおよびアレーニル基を含み、そして少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭化水素基を含む。
【0022】
「アルキル」という用語は、任意の一価の飽和直鎖、分岐または環状炭化水素基を意味し;「アルケニル」という用語は、基の結合部位が炭素-炭素二重結合またはその中の他の場所のいずれかであり得る、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む任意の一価の直鎖、分岐、または環状炭化水素基を意味し;そして「アルキニル」という用語は、基の結合部位が炭素-炭素三重結合、炭素-炭素二重結合、またはその中の他の場所のいずれかであり得る、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合、および任意選択で1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む任意の一価の直鎖、分岐、または環状炭化水素基を意味する。アルキルの例には、メチル、エチル、プロピルおよびイソブチルが含まれる。アルケニルの例には、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネンおよびエチリデンノルボルネニルが含まれる。アルキニルの例には、アセチレニル、プロパルギルおよびメチルアセチレニルが含まれる。
【0023】
「環状アルキル」、「環状アルケニル」、および「環状アルキニル」という表現は、二環式、三環式およびより高次の環状構造、ならびにアルキル、アルケニル、および/またはアルキニル基でさらに置換された前述の環状構造を含む。代表的な例には、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、シクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシルおよびシクロドデカトリエニルが含まれる。
【0024】
「アリール」という用語は、任意の一価の芳香族炭化水素基を意味し;「アラルキル」という用語は、1つまたは複数の水素原子が同数の同種および/または異なるアリール(本明細書で定義)基によって置換されている任意のアルキル基(本明細書で定義)を意味し;そして、「アレーニル」という用語は、1つまたは複数の水素原子が同数の同種および/または異なるアルキル基(本明細書で定義)によって置換されている任意のアリール基(本明細書で定義)を意味する。アリールの例には、フェニルおよびナフタレニルが含まれる。アラルキルの例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。アレーニルの例には、トリルおよびキシリルが含まれる。
【0025】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素を除く第13-17族元素のいずれかを意味し、例えば、酸素、窒素、ケイ素、硫黄、リン、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0026】
一実施形態において、1つまたは複数の炭化水素基は、存在する場合、最大60個の炭素原子、別の実施形態において最大30個の炭素原子、さらに別の実施形態において最大20個の炭素原子を含む。
【0027】
有用な炭化水素基には、その例がメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびtert-ペンチルであるアルキル基;n-ヘキシルなどのヘキシル;n-ヘプチルなどのヘプチル;n-オクチル、イソオクチル、2,2,4-トリメチルペンチルなどのオクチル;n-ノニルなどのノニル;n-デシルなどのデシル;および、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシルなどのシクロアルキルが含まれる。アルケニル基の例には、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、シクロヘキセニルが含まれる。アルキニル基の例には、アセチレニル、プロパルギルおよびメチルアセチレニルが含まれる。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、o-、m-およびp-トリル、キシリル、エチルフェニル、およびベンジルが含まれる。
【0028】
「ヒドロシリル」、「水素化物(ヒドリド)」、「シリコーン水素化物」、「SiH」という用語および表現は、オルガノシロキサンの分野では互換的に使用され、ケイ素に直接結合した1つまたは複数の水素原子を含むポリオルガノシロキサンを指すと理解される。
【0029】
本明細書で使用される「エマルジョン」という用語はまた、「マイクロエマルジョン」を含むと理解されるべきである。
【0030】
本明細書で交換可能に使用される「水相」および「水性相」という用語は、水および任意選択で水溶性または水適合性成分を含むと理解されるべきである。1つまたは複数の「水性成分」とも呼ばれる水溶性または水適合性成分には、水溶性無機化合物、例えば、酸、塩基、および塩;水溶性有機化合物、例えば、一価アルコール、およびグリセロール、ジグリセロール、エチレングリコールおよびソルビトールを含む、2-6個のヒドロキシル基などの少なくとも2個のヒドロキシル基を含むアルコール化合物などのアルコール、カルボン酸およびその誘導体、アミンなど、ポリオール、ポリアミンまたはポリアミドアミンなどのポリマーまたはオリゴマー化合物、化粧品活性物質および水溶性染料などの複合水溶性有機化合物が含まれる。任意選択で、水相は、顔料、充填剤またはレオロジー添加剤などの水湿潤性粒子をさらに含むことができる。
【0031】
本明細書で使用される「油相」という用語は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である親油性または疎水性の非水性媒体を含むと理解されるべきである。油相は、1つまたは複数の油性成分から構成され得る。個々の成分は室温および大気圧で固体または液体であり得、ここで個々の成分の混合物は全体として室温および大気圧で液体である。本明細書で使用される1つまたは複数の「油性成分」には、油および/またはワックスが含まれる。本明細書で使用される1つまたは複数の「油」は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である任意の親油性または疎水性物質を含むと理解されるべきである。本明細書で使用される「ワックス」は、室温で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を示す親油性または疎水性化合物を含むと理解されるべきである。
【0032】
本明細書で使用される「水性配合物」および「水性化粧品」という用語は、連続相である水および/または1つまたは複数の水性成分と共に化粧目的で配合された複数の物質から形成された、乳化または非乳化の組成物を意味すると理解されるべきである。複数の物質は、相界面のない均質な相、例えば、溶液、またはローションまたは多重エマルジョンを含むエマルジョンなどを形成し、油相が水相に分散している。
【0033】
本明細書で使用される「油ベースの配合物」および「油ベースの化粧品」という用語は、油性成分が連続相である化粧目的で配合された複数の物質から形成される、乳化または非乳化のいずれかの組成物を意味すると理解されるべきである。複数の物質は、溶液のような相界面のない均質な相を形成するか、またはクリーム、または水相が油相に分散された、または油相が別の油相に分散された、例えば、炭化水素油が分散相であり、そしてシリコーン油が連続相であり、逆もまた同様である、多重エマルジョンを含む、エマルジョンを形成する。例示的な多重エマルジョンには、例えば、油中水中油型エマルジョンおよび水中油中水型エマルジョンが含まれる。
【0034】
本明細書で使用される「メイクアップ」という用語は、材料に適用することによってヒトのケラチン物質に色および/または光沢を与えることができる美容成分を含む任意の化粧品を意味すると理解されるべきである。ヒトのケラチン物質としては、例えば、唇、顔の皮膚、首の皮膚、体の皮膚、目の皮膚などの皮膚、爪などの表皮誘導体、まつ毛、眉毛、頭髪などの毛髪が含まれる。メイクアップの具体例としては、リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、または頭髪のカラーリングまたは染色調製物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
明細書および特許請求の範囲で使用される用語または文言は、通常の意味または辞書的な意味として限定的に解釈されるべきではなく、発明者が自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて、発明概念に適合する意味および概念として解釈されるべきである。
【0036】
一態様において、本発明は、配合物i)および任意選択で配合物i)とは別の配合物ii)を含む化粧品に関する。配合物i)は、O/Wエマルジョンタイプまたは油ベースの配合物であってもよい。一実施形態では、配合物i)はO/Wエマルジョンタイプの配合物であり、そして配合物ii)は乳化または非乳化の油ベースの配合物である。一実施形態において、化粧品は、配合物i)を含む第1の容器および配合物ii)を含む第2の容器を含む。化粧品は、乳化重合反応に由来する前記ポリエーテル変性ポリシロキサンを含む。化粧品は、必要に応じて、1つまたは複数の追加の配合物をさらに含んでもよい。
【0037】
配合物i)
配合物i)は、ポリエーテル変性ポリシロキサンの存在下での、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、およびポリオルガノシロキサンとは異なる任意選択のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの乳化重合反応条件下でのラジカル重合から得られる架橋シリコーンの少なくともO/Wエマルジョンを含む。前記配合物i)は、乳化重合反応に由来する前記ポリエーテル変性ポリシロキサンを含む。
【0038】
ポリオルガノシロキサンは少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有し、これらはフリーラジカル付加重合反応を受けてO/Wエマルジョンの内相に架橋シリコーンを形成することができる。脂肪族不飽和炭素-炭素結合の数は、例えば、2から約1000、好ましくは2から約500、より好ましくは2から約100であってもよい。
【0039】
好ましい実施形態において、ポリオルガノシロキサンは、アルケニル基およびアルキニル基からなる群から選択される少なくとも2つの不飽和基を含む。オルガノハイドロジェンポリシロキサンが存在する場合、ラジカル付加重合反応は、ポリオルガノシロキサンのアルケニル/アルキニル基のラジカル重合だけでなく、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSi-Hとポリシロキサンのアルケニル/アルキニル基との間のヒドロシリル化反応が含まれる。ポリオルガノシロキサンは、Si-H官能基も含み得る。
【0040】
一実施形態では、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有するポリオルガノシロキサンは、一般式(I)のものであり、
MgMH
hMV
iMF
jDkDH
lDV
mDF
nToTH
pTV
qTF
rQs 式(I)
ここで
M=R21R22R23SiO1/2;
MH=R24R25HSiO1/2;
MV=R26R27R28SiO1/2;
MF=R29R30RFSiO1/2;
D=R31R32SiO2/2;
DH=R33HSiO2/2;
DV=R34R35SiO2/2;
DF=R36RFSiO2/2;
T=R37SiO3/2;
TH=HSiO3/2;
TV=R38SiO3/2;
TF=RFSiO3/2;および
Q=SiO4/2
ここでR21、R22、R23、R24、R25、R27、R28、R31、R32、R33、R35およびR37は、それぞれ独立して、最大60個の炭素原子、具体的には最大30個の炭素原子、より具体的には最大20個の炭素原子の一価炭化水素基であり;R26、R34およびR38はそれぞれ独立して、最大30個の炭素原子、具体的には最大20個の炭素原子、より具体的には最大10個の炭素原子のエチレン性不飽和基であり;R29、R30およびR36はそれぞれ独立して、最大60個の炭素原子、より具体的には最大30個の炭素原子、さらにより具体的には最大20個の炭素原子の一価炭化水素基、またはRFであり;各RFは独立して、最大60個の炭素原子、より具体的には最大30個の炭素原子、さらにより具体的には最大20個の炭素原子の一価アルコキシ基またはエーテル基であり;そして、下付き文字g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、およびsは、それぞれ独立して0から1000の整数であって、i+m+q≧2という制限を受け、例えば、2から約500の整数である。
【0041】
好ましい実施形態において、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有するポリオルガノシロキサンは、
MV
iDkDV
mM2-i (I-1)
ここでMV、D、DV、およびMは、上記にて定義した通りであり、そして下付き文字i、k、およびmは、整数であって、iが0から2であり;kが0から1000であり、具体的には10から600であり、より具体的には10から500であり;mが0から100であり、より具体的には0から50であるという制限を受け;そしてR26およびR34はそれぞれ独立して、ビニル、アリル、メタリル、アクリレートまたはアルクアクリレート基からなる群から選択され、好ましくはビニルまたはアリルであり;
MV
iQs (I-2)
ここでMVおよびQは上記にて定義した通りであり、そして下付き文字iおよびsは整数であって、i≧2、具体的には≧3、より具体的には≧4;s≧1、具体的には≧2、より具体的には≧3;そしてi+sが3から50であり、具体的には3から20であり、より具体的には3から15であるという制限を受け;そして各R26は、ビニル、アリル、メタリル、アクリレートまたはアルクアクリレート基からなる群から選択され、好ましくはビニルまたはアリルである、
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである。
【0042】
一実施形態では、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、存在し、そして一般式(I)のものであり、
MgMH
hMV
iMF
jDkDH
lDV
mDF
nToTH
pTV
qTF
rQs 式(I)
ここでM、MH、MV、MF、D、DH、DV、DF、T、TH、TV、TFおよびQは、上記にて定義した通りであり、そして下付き文字g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、rおよびsは、それぞれ独立して、0から500、具体的には0から200、より具体的には0から100の整数であって、(1)h+l+p≧1、具体的には≧2、より具体的には≧8、および(2)i+m+q≧2の場合、ポリオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンについて定義された式(I)が異なるという条件を受ける。
【0043】
好ましい実施形態では、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、
MH
hDkDH
lM2-h (I-3)
ここでMH、D、DHおよびMは、上記にて定義した通りであり、そしてh、k、lは0または整数であって、hが0から2であり;kが10から300であり、具体的には10から200であり、より具体的には20から200であり;lが0から50であり、具体的には0から20であり、より具体的には1から10であり;そしてh+1が1から100であり、より具体的には1から32であり、さらにより具体的には2から12であるという制限を受け;
MH
hQs (I-4)
ここでMHおよびQは上記にて定義した通りであり、そして下付き文字hおよびsは整数であって、h≧1、具体的には≧2、より具体的には≧3;s≧1、具体的には≧2、より具体的には≧3;そしてi+sが2から50であり、具体的には2から20であり、より具体的には2から15であるという制限を受ける;
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである。
【0044】
全エチレン性不飽和基(ポリオルガノシロキサンおよび存在する場合のオルガノハイドロジェンポリシロキサンに存在するものを含む)対全Si-H官能基(存在する場合、ポリオルガノシロキサンおよびオルガノハイドロジェンポリシロキサンに存在するものを含む)のモル比は、少なくとも1、有利には少なくとも2であるべきである。重量基準で、全ポリオルガノシロキサン対全オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量比は、例えば、100:0から1:99まで、または100:0から50:50まで、または100:0から80:20まで、広く変化し得る。
【0045】
ポリオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度は大きく異なる。例えば、ポリオルガノシロキサンは、ブルックフィールド回転粘度計により25℃で測定して、0.0002から1000Pa.s、具体的には0.001Pa.sから100Pa.sの粘度を有し得る。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ブルックフィールド回転粘度計により25℃で測定して、0.001から50Pa.s、具体的には0.002から10Pa.sの粘度を有し得る。
【0046】
ほとんどの場合、少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有するポリオルガノシロキサンおよびオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、重合の開始時にO/W乳化重合反応混合物内に存在することになる。しかしながら、ポリオルガノシロキサン単独の重合を開始し、そしてその後のみであるがポリオルガノシロキサンの重合が完了する前に、任意選択のオルガノハイドロジェンポリシロキサンをエマルジョン反応媒体に導入し、これによりポリオルガノシロキサンに存在する未反応のMV、DVおよび/またはTV単位が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに存在するMH、DHおよび/またはTH単位によってヒドロシリル化されることになることは本発明の範囲内である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンのポリオルガノシロキサンへの遅延付加は、相互侵入ポリマーネットワーク(IPN)またはコアシェル構造を調製する場合に有利であり得る。
【0047】
本明細書において使用される「ポリエーテル変性ポリシロキサン」は、ポリシロキサン主鎖の1つまたは複数のSi原子に1つまたは複数のポリエーテル部位が直接または二価の炭化水素基を介して結合したポリシロキサンを指す。ポリエーテル部分は、1つまたは複数のアルキレンオキシド基から構成される。アルキレンオキシド基は、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基およびブチレン基から選択される少なくとも1つであることが好ましい。ポリエーテル部分が結合するSi原子は、M単位(SiO1/2)、D単位(SiO2/2)またはT単位(SiO3/2)のいずれか、好ましくはM単位および/またはD単位、より好ましくはD単位に位置することができる。二価の炭化水素基は、好ましくは1から約20個の炭素原子、より好ましくは2から約10個の炭素原子、さらにより好ましくは3から6個の炭素原子を有する二価の直鎖または分岐のアルキレン基である。
【0048】
ポリエーテル部分に加えて、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、ポリシロキサンの主鎖のSi原子に、直接または二価の炭化水素基、例えばポリエーテル部分に関して上記に挙げたものを介して結合できる、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、エステル基、アミドまたはエポキシド基などの他の官能基をさらに含んでもよい。
【0049】
好ましい実施形態では、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、一般式(II)のものであり、
M1
aM2
bM3
cD1
dD2
eD3
f 式(II)
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
M3=R7R8R9SiO1/2
D1=R10R11SiO2/2
D2=R12R13SiO2/2
D3=R14R15SiO2/2
ここで式(II)において、
R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R10、R11、R12およびR14はそれぞれ独立して、最大約60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、好ましくは最大10個の炭素原子を有するアルキルまたはアリールであり、より好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルキルまたはフェニルであり、なおより好ましくはメチルであり;
R6およびR13は、それぞれ独立して-R16-O-(C2H4O)x(C3H6O)y(C4H8O)z-R17であり、ここでR16は、任意選択で酸素原子または窒素原子を含み、そして1から約20個の炭素原子、好ましくは2から約10個の炭素原子、より好ましくは3から約6個の炭素原子を有する二価の直鎖または分岐のアルキレン基であり;R17は、水素、およびアルキル、アシル(-C(O)R、Rはアルキル基)またはエステル基(-C(O)OR、Rはアルキル基)であって、1から約20個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有するものから選択され;そして下付き文字x、yおよびzは、それぞれ独立して、0から約200、好ましくは1から約100、より好ましくは2から約20の整数であって、1≦x+y+z≦200という制限を受け;
R9およびR15は、それぞれ独立して、任意選択でF原子を含む4から約20個の炭素原子の直鎖または分岐のアルキル基;最大約20個の炭素原子の直鎖または分岐のアルコキシ基またはアリールオキシ基;または、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、エステル基、アミドまたはエポキシド基で末端化される、任意選択でF原子を含み、そして1から約20個の炭素原子、好ましくは3から約10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり;
下付き文字a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0から200の整数であって、b+e≧1という制限を受ける。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、
M1
2D1
dD2
e (II-1)
ここでM1、D1およびD2は式(II)について上記にて定義した通りであり、dは1から約200、好ましくは10から約100であり;そしてeは1から約200、好ましくは1から約100であり;および
M2
bD1
dD2
eM1
2-b (II-2)
ここでM1、M2、D1およびD2は式(II)について上記にて定義した通りであり、bは1または2であり、dは1から約200、好ましくは10から約100であり;そしてeは0から約200、好ましくは1から約100である、
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである。
【0051】
好ましい一実施形態では、式(II-1)および式(II-2)において、ここでeは0ではなく、d対eの比率(d:e)は、約3:1から約35:1、好ましくは約4:1から約30:1、より好ましくは約5:1から約20:1の範囲内である。
【0052】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、当技術分野で周知の、Pt触媒の存在下でのビニル含有ポリエーテルによるSi-H官能化ポリシロキサンのヒドロシリル化によって調製することができる。ポリエーテル変性ポリシロキサンはまた市販されており、例えば、PEG-3ジメチコン、PEG-6ジメチコン、PEG-7ジメチコン、PEG-8ジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-14ジメチコン、PEG-17ジメチコン、およびPEG/PPG-20/15ジメチコン(すべてMomentive Performance Materials製)である。
【0053】
少なくとも2つの脂肪族不飽和炭素-炭素結合を有するポリオルガノシロキサンおよびオルガノハイドロジェンポリシロキサン(存在する場合)の総量100重量部に基づいて、ポリエーテル変性ポリシロキサンは、約5から約50重量部、好ましくは約8から約35重量部、より好ましくは10から約30重量部の量で使用される。
【0054】
ポリオルガノシロキサンのフリーラジカル開始重合およびオルガノハイドロジェンポリシロキサン(存在する場合)によるポリオルガノシロキサンのヒドロシリル化は、従来のまたは他の公知の乳化重合手順を用いてO/W乳化重合反応媒体中で行うことができる。
【0055】
このような乳化重合手順では、エマルジョン反応混合物の分散油相は、ポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、任意選択のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および任意選択の有機溶媒および/または膨潤剤(相溶化剤)を含む。エマルジョン反応媒体の連続水相は、水および乳化剤、フリーラジカル開始剤などの水溶性または水混和性成分、および安定剤、補助安定剤、連鎖移動剤などの任意成分を含む。一般に、油相は乳化重合反応媒体の1から80重量%、有利には30から70重量%を構成することができ、水相が残りを構成する。
【0056】
一実施形態では、O/Wエマルジョンは、
(a)混合物を得るため、ポリオルガノシロキサンをポリエーテル変性ポリシロキサン、任意選択のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および任意選択の有機溶媒および/または膨潤剤(相溶化剤)と合わせること;
(b)乳化剤、フリーラジカル開始剤、および任意選択の安定剤および/または補助安定剤を含む水性媒体を混合物に撹拌下で添加すること;および
(c)混合物をラジカル重合に供すること、を含む方法により調製される。
【0057】
溶媒および/または膨潤剤(相溶化剤)を乳化重合反応媒体の油相に組み込むことができる。適切な溶媒/膨潤剤には、25℃で0.002Pa.sから0.2Pa.sの粘度を有する非反応性シリコーン油、例えば、メチコン、アルキルメチコン、例えばオクチルメチコン、ジメチコン、アルキルジメチコン、フェニルジメチコン、アミノジメチコン、トリメチルシロキシシリケート、およびポリメチルシルセスキオキサン;炭化水素油、例えばイソデカン、ヘキサデカン、およびスクワラン;トリグリセリド、例えばカプリル酸トリグリセリド;エステル、例えばパルミチン酸セチル、およびミリスチン酸イソプロピル;およびエーテル、例えばジプロピレングリコールブチルエーテルが含まれる。そのような溶媒/膨潤剤は、O/Wエマルジョン反応媒体の油相の95重量パーセントまでに相当することができる。
【0058】
適切な乳化剤には、非イオン性およびアニオン性タイプのものおよびそれらの混合物が含まれる。適切な非イオン性乳化剤には、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレートなどの乳化重合プロセスでこれまで使用されてきたもののいずれかが含まれる。同様に、有用なアニオン性乳化剤には、アルカリ金属スルホネート、スルフェート、ホスフェートおよびスルホスクシネート界面活性剤などの乳化重合手順において有用であることが知られているものが含まれる。これらの界面活性剤の具体例としては、アルカリ金属スルホレゾルシン酸塩;脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;スルホン化一価アルコールエステルの塩;アルファ-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウムなどのスルホン化芳香族炭化水素アルカリ塩;ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、およびラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどの硫酸塩;セチルリン酸のカリウム塩などのリン酸塩;および、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムなどのスルホコハク酸エステルが挙げられる。好ましい実施形態では、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレートまたはそれらの組み合わせなどの非イオン性乳化剤が使用される。
【0059】
フリーラジカル開始剤は、例えば、アゾ開始剤、無機過酸化物、有機過酸化物およびレドックス開始剤から選択することができる。アゾ開始剤には、(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が含まれる。無機過酸化物には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウムが含まれる。有機過酸化物には、過酸化ベンゾイルおよび過酸化ジラウロイルが含まれる。レドックス開始剤には、過硫酸アンモニウムおよび2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸二ナトリウム塩、過酸化水素およびアスコルビン酸および過硫酸カリウムおよびテトラメチルエチレンジアミンが含まれる。フリーラジカル反応はまた、超音波および放射線などの高エネルギー源によって、従来の手順および別の既知の手順に従って開始することもできる。
【0060】
本明細書のO/Wエマルジョンのすべての実施形態において、エマルジョン反応媒体は、例えば白金含有タイプの貴金属ヒドロシリル化反応触媒を欠いていることが望ましい。したがって、得られる架橋シリコーンO/Wエマルジョンは、その毒性のために化粧品用途に適さない貴金属ベースの化合物を実質的に含まないことがあり得る。
【0061】
適切な安定剤には、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル)などのポリマー立体安定剤、グアーガム、セルロースおよびその誘導体、ポリアクリレートおよびポリアクリル酸コポリマーなどの増粘剤が含まれる。適切な補助安定剤には、ポリエーテル、例えば、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、グリオール、グリセリン、および塩化カリウムおよび塩化カルシウムなどの電解質が含まれる。
【0062】
本明細書のO/Wエマルジョン中の架橋シリコーンの粒子サイズは、乳化前のポリオルガノシロキサンの粘度の選択および/または調整、ならびに温度、混合速度および/またはエマルジョンの調製に使用される乳化剤の調整によって効果的に制御され得る。一実施形態において、架橋シリコーンエマルジョンの粒子サイズは、レーザー粒子サイズ分析器LS230などの動的レーザー散乱分析器によって測定して、10nmから100ミクロン、具体的には100nmから30ミクロンであり得る。
【0063】
合わせ工程(a)および添加工程(b)は、室温で、または例えば100℃以下、好ましくは80℃以下の高温で行うことができる。
【0064】
選択したフリーラジカル開始剤の性質に応じて、ラジカル重合工程(c)は、40℃から100℃、好ましくは50℃から90℃の温度で、約1時間から10時間、好ましくは2時間から5時間行って、本発明による架橋シリコーンのO/Wエマルジョンをもたらすことができる。
【0065】
目視観察に加えて、低下した導電率は、O/WエマルジョンからW/Oエマルジョンへの転相が成功したことを示し得る。このような転相が起こると、25℃での導電率は約0.5μs/cm未満に低下する。本明細書では、導電率を測定するために知られている任意の方法を使用することができる。例えば、導電率は、SevenExcellenceマルチパラメーター(Mettler Toledo)を使用して測定することができる。
【0066】
O/Wエマルジョンは、配合物i)において、配合物i)の総重量に基づいて、約1から約100重量%、好ましくは約30から約99重量%、より好ましくは約50から約90重量%の量で含まれ得る。
【0067】
一実施形態では、配合物i)は、例えば、本発明のO/Wエマルジョンから直接、または本発明のO/Wエマルジョンを従来から水性化粧品で使用されている物質と混合することによって形成されるO/W型エマルジョン配合物である。したがって、配合物i)および配合物i)を含む化粧品は、乳化重合反応に由来する前記ポリエーテル変性ポリシロキサンを含む。
【0068】
O/Wエマルジョンに加え、配合物i)はさらに保湿剤を含んでもよい。保湿剤は、ポリオール、アミノ酸、糖、乳酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ピロリドンカルボン酸、セラミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましい実施形態では、保湿剤は、少なくとも1つのポリオールを含む。
【0069】
ポリオールは、例えば2から6個のヒドロキシル基を有する多価アルコールおよびそのエーテル誘導体から選択することができる。多価アルコールは、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン、キシリトール、ソルビトール、およびそれらの組み合わせから選択され得る。多価アルコールから誘導されたエーテルの具体的な例としては、例えば3から16個の炭素原子を有するグリコールエーテル、例えば、モノ-、ジ-またはトリエチレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-またはトリプロピレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセロール、ポリグリセロール、およびポリエチレングリコール、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特にポリオールは、グリセロール、エチルヘキシルグリセロール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、キシリトール、ソルビトール、約2から約10個の炭素原子を有するグリコール、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、それらのエーテル誘導体、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。より具体的には、ポリオールは、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、カプリリルグリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、キシリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
保湿剤の他の具体的な例には、トリメチルグリシン、グルカン、デキストラン、グルコサン、乳酸および乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸およびヒアルロン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、セラミド、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
保湿剤は、配合物の約0から約50重量%、例えば、約0.2から約40重量%、例えば、配合物の約1から約30重量%の量で、配合物i)中に存在し得る。
【0072】
配合物i)は、任意選択で皮膚軟化剤をさらに含んでもよい。皮膚軟化剤は、水溶性ホホバ油およびポリエチレングリコール変性油およびワックス、例えばホホバ油PEG-150エステル、ホホバワックスPEG-120エステル、PEG-7オリベート、PEG-7グリセリルココエート、PEG-75ラノリン、PEG-30グリセリルココエート、PEG-80グリセリルココエートを含むが、これらに限定されない水溶性植物油、特にホホバ油などの1つまたは複数の水溶性植物油および脂質から選択することができる。
【0073】
皮膚軟化剤は、配合物i)中に、配合物の約0から約40重量%、例えば、約0.2から約30重量%、例えば配合物の約1から約20重量%の量で存在し得る。
【0074】
配合物i)は、必要に応じて、レオロジー添加剤、例えば、特に天然由来の水溶性ポリマー、その具体的な例としては、キサンタンガムおよびグアーガムが挙げられる;オクチルグリコールやフェノキシエタノールなどの防腐剤;当該技術分野で知られている化粧活性剤、例えば抗酸化剤、およびアロエベラ抽出物や加水分解タンパク質などの植物および動物抽出物を、任意選択でさらに含み得る。
【0075】
他の実施形態では、配合物i)は、O/Wエマルジョンの転相によって、好ましくは非反応性シリコーン油;炭化水素油;トリグリセリド;エステル;エーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される油をO/Wエマルジョンに添加することによって形成される乳化油ベースの配合物である。一実施形態では、転相は、従来のO/Wエマルジョンを1つまたは複数の油中に分散させるのに不可欠な追加の乳化剤の非存在下で、好ましくは加熱することなく実施される。得られる化粧品は、元のO/Wエマルジョンにすでに含まれる水性成分と得られるW/Oエマルジョンとの適合性のために、従来のW/Oエマルジョンから形成される対応する化粧品よりも高い含有量の水および保湿剤を含むことができる。したがって、この化粧品は、べたつき感が少なく、向上した保湿力を提供し得る。
【0076】
非反応性シリコーン油の具体的な例としては、25℃で約0.001Pa.sから約10Pa.s、好ましくは約0.002Pa.sから約5Pa.sの粘度を有する直鎖または環状シリコーン油、例えば、約4から約20個の炭素原子を有するアルキルで任意選択で変性されたポリメチルシロキサン、および最大16個のケイ素原子を有する環状シロキサンが含まれる。具体的な例としては、メチコン、オクチルメチコンなどのアルキルメチコン、ジメチコン、オクチルジメチコンなどのアルキルジメチコン、フェニルジメチコン、およびオクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
「炭化水素油」という用語は、主に水素原子および炭素原子を含む油を意味する。炭化水素油の例には、8から16個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素油が含まれる。具体的な実施形態では、炭化水素油は、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカンおよびイソヘキサデカンなどのイソパラフィンとしても知られるC8-C16分岐アルカンから選択される。炭化水素油は、直鎖C8-C14アルカンから選択することもできる。本明細書で使用できる油のさらなる例としては、ポリオレフィン、特にワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクワラン、スクアレン、水素化ポリイソブテン、水素化ポリデセン、ポリブテン、鉱油、ペンタヒドロスクアレン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書で使用されるトリグリセリドは、グリセロールの脂肪酸エステルからなる高トリグリセリド含有量を有する植物油および動物油を含むことを意図しており、その脂肪酸は様々な鎖長を有し得、これらの鎖は可能性として直鎖または分岐であって、飽和または不飽和である。トリグリセリドに基づく特定の油には、小麦胚芽油、コーン油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、骨髄油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、カシス種子油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、オリーブ油、ライ麦油、ベニバナ油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油またはムスクローズ油;またはトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
例示的なエステルとしては、高級脂肪酸から合成されるエステル、例えば、7から19個の炭素原子を有する直鎖または分岐の高級脂肪酸および3から20個の炭素原子のアルコールから合成される油が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、オクタン酸セトステアリル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル;およびアルコールまたは多価アルコールのオクタノエート、デカノエートまたはリシノエートが挙げられる。他の例には、イソステアリルラクテートまたはジイソステアリルマレートなどのヒドロキシル化エステル;およびペンタエリスリトールエステルが含まれる。さらなる例としては、糖のC1-C30モノエステルおよびポリエステルを含む、酸および糖から調製されるエステル、例えば、グルコーステトラオレエート、大豆油脂肪酸のグルコーステトラエステル、混合大豆油脂肪酸のマンノーステトラエステル、オレイン酸のガラクトーステトラエステル、リノール酸のアラビノーステトラエステル、キシローステトラリノレート、ガラクトースペンタオレエート、ソルビトールテトラオレエート、不飽和大豆油脂肪酸のソルビトールヘキサエステル、キシリトールペンタオレエート、スクローステトラオレエート、スクロースペンタオレテート、スクロースヘキサオレエート、スクロースヘパオレエート、スクロースオクタオレエート、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
例示的なエーテルには、10から40個の炭素原子を含む合成エーテルが含まれる。
【0081】
1つまたは複数の油は、約10:90から約90:10、好ましくは約20:80から約80:20、または約30:70から約70:30の重量比で配合物i)と混合することができる。
【0082】
配合物i)は、少なくとも1つのワックスをさらに含んでもよい。ここで使用できるワックスの好適な例としては、化粧品分野で一般的に使用されているワックスが挙げられる。具体的な例には、植物ワックスまたは動物ワックスなどの天然由来のワックス;合成ワックス;シリコーンワックス;長鎖アルコールワックスなどが含まれるが、これらに限定されない。ワックスは、組成物に向上した保湿性、より長く持続する皮膚の感覚をもたらし、粘度を高め、そして優れた保存安定性を提供する。
【0083】
植物ワックスまたは動物ワックスの具体的な例としては、ミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、オーリクリワックス、木ロウ、コルク繊維ワックスまたはサトウキビワックス、ライスワックス、モンタンロウ、パラフィンワックス、亜炭ワックスまたはミクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、水添ヒマシワックスなどの水添ワックス、ホホバワックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
合成ワックスの具体的な例としては、エチレンの重合または共重合から得られるポリエチレンワックスなどの石油ワックス、およびフィッシャー・トロプシュワックス、またはオクタコサニルステアレートなどの脂肪酸のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
シリコーンワックスの具体的な例としては、約10から45個の炭素原子のアルキルまたはアルコキシ鎖を有するアルキル-またはアルコキシジメチコン、30℃で固体であって、そのエステル鎖が少なくとも10個の炭素原子を含むポリ(ジ)メチルシロキサンエステルなどのシリコーンワックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
長鎖アルコールワックスは、約20から約60個の炭素原子、最も好ましくは約30から約50個の炭素原子の平均炭素鎖長を有し得る。長鎖アルコールワックスは、約93℃から約105℃の範囲の融解温度を有し得る。
【0087】
一実施形態では、ワックスは、配合物の約0から約25重量パーセント、好ましくは配合物の0.1から約25重量パーセント、例えば、配合物の約1から約10重量パーセントの量で配合物i)に添加することができる。
【0088】
配合物i)は、任意選択で、油性成分として皮膚軟化剤、例えば、各種炭化水素、高級脂肪酸、油脂、エステル、ヒマシ油、スクワラン、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、2-オクチルドデシルガムエステル、2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソオクチル酸トリグリセリド、オレイン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸トリグリセリド、ヤシ油脂肪酸トリグリセリド、オリーブ油、アボカド油、ミリスチルミリサート、ミンク油、ラノリン、アミノ酸化合物、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、D-パンテルノール、乳酸、L-プロリン、グアニジン、ピロリドン、加水分解されたタンパク質および他のコラーゲン由来タンパク質、アロエベラゲル、アセトアミドMEAおよびラクタミドMEA、およびアクリル樹脂などの酢酸エチル樹脂を含んでもよい。
【0089】
皮膚軟化剤は、配合物i)中に、配合物の約0から約40重量パーセント、好ましくは配合物の約0.2から約30重量パーセント、例えば配合物の約1重量パーセントから約20重量パーセント、または5重量パーセントから約10重量パーセントの量で存在し得る。
【0090】
配合物i)は、1つまたは複数の化粧品として許容される成分をさらに含んでもよい。適切な化粧品成分には、例えば、モイスチャライザー、オキシ塩化ビスマスや二酸化チタンでコーティングされた雲母などの真珠光沢顔料を含む顔料、着色剤、香料、殺生物剤、防腐剤、酸化防止剤、抗真菌剤、制汗剤、角質除去剤、ホルモン、酵素、医薬品、ビタミン、塩、電解質、アルコール、ポリオール、紫外線吸収剤、植物抽出物、例えばヒュームドシリカまたは水和シリカなどの増粘剤、粒状充填剤、例えば、タルク、カオリン、デンプン、加工デンプン、雲母、ナイロン、粘土、例えば、ベントナイトおよび有機変性粘土が含まれる。
【0091】
配合物ii)
配合物ii)は、乳化または非乳化の油ベースの配合物である。配合物ii)は、油性成分、例えば、上記の配合物i)について例示した油およびワックスを含んでもよい。配合物ii)は、均質相を形成する油性成分で乳化されなくてもよい。
【0092】
配合物ii)を乳化して、油相に分散した水相を有するか、または別の油相に分散した油相を有するクリームまたはエマルジョンを形成することもできる。適切な乳化剤には、非イオン型乳化剤、アニオン型乳化剤およびそれらの混合物が含まれる。乳化剤は、配合物ii)中に、配合物の総重量に基づいて約1から約50重量パーセント、例えば、2から約40重量パーセント、例えば、配合物の3から約20重量パーセントの量で存在し得る。
【0093】
例示的な非イオン型乳化剤には、アルキルグルコシド、アルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化糖エステルおよびポリエステル、脂肪酸アミド、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えば、脂肪酸のアルキレンオキシドエステルおよび脂肪酸のアルキレンオキシドジエステル、アルキレンオキシドと脂肪族アルコールの縮合生成物、例えば、PEG40水添ヒマシ油、PEGステアレート、PEGラウリルエステル、PEGステアレートエーテル、アルキレンオキシドと脂肪酸と脂肪族アルコールの縮合生成物、ここでポリアルキレンオキシド部分は、一端が脂肪酸でエステル化され、他端が脂肪族アルコールでエーテル化されている、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびサッカロース脂肪酸エステルおよびポリソルベート、およびポリエーテル変性シロキサンなどのケイ素含有乳化剤が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアニオン性乳化剤には、アルカリ金属スルホネート、サルフェート、ホスフェートおよびスルホスクシネート界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。乳化剤の具体例としては、アルカリ金属スルホレゾルシネート;脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;スルホン化一価アルコールエステルの塩;アルファ-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウムなどのスルホン化芳香族炭化水素アルカリ塩;ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、およびラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどの硫酸塩;セチルリン酸のカリウム塩などのリン酸塩;および、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムなどのスルホコハク酸塩が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、乳化剤は非イオン型乳化剤であり、より好ましくは、PEGステアレート、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シロキサンおよびそれらの組み合わせから選択されるものである。
【0094】
好ましい実施形態では、配合物ii)は、色および/または光沢を付与する美容成分;唇、爪、顔の皮膚、首の皮膚、目の皮膚などの皮膚、まつ毛、眉毛、頭髪などの毛髪をケアするためのケア成分;またはそれらの組み合わせを含む。
【0095】
美容成分には、着色剤および光沢増強剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
着色剤は、染料、真珠光沢顔料を含む顔料、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0097】
染料の具体的な例としては、キノリンイエロー、アナットー、およびブロメートレッド染料などのブロメート染料が挙げられるが、これらに限定されない。特定の例には、FD&CのRed 28ALが含まれるが、これに限定されない。
【0098】
本明細書で使用される「顔料」という用語は、着色および/または不透明化効果を提供することを意図した、白色または有色の鉱物および/または有機粒子を含むと理解されるべきである。例示的な顔料には、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄、茶または赤)、酸化クロム、水酸化アルミニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム、フェリックブルー、カーボンブラック、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、またはアルミニウム有機レーキなどのタイプの顔料が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
真珠光沢顔料は、二酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母などの白色真珠光沢顔料、ピグメントブルー27などの酸化鉄で被覆された雲母などの有色真珠光沢顔料から選択することができる。
【0100】
着色剤は、配合物ii)中に、配合物の総重量の約0.001%から60%、好ましくは0.01%から50%、より好ましくは0.1%から40%の量で存在し得る。
【0101】
光沢増強剤は、高屈折率を有する薬剤からなる群から選択される。高屈折率を有する薬剤は、約1.45から約1.60の範囲の屈折率を有する化合物を指す。このような薬剤の具体的な例としては、フェニルトリメチコンおよびトリメチルペンタフェニルトリシロキサンなどのフェニル化シリコーン;エステル、例えば、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、アミノプロピルフェニルトリメチコン、ペンタエリスリチルテトラオレエート、およびPPG-3ベンジルエーテルミリステート、およびポリシクロペンタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
光沢増強剤は、配合物ii)中に、配合物の総重量の約0.05重量%から約20重量%、好ましくは0.1重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から5重量%の量で存在し得る。
【0103】
配合物ii)中のケア成分は、配合物i)について上記に記載の保湿剤および皮膚軟化剤、特に、ポリオール、例えば、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース、鉱油、ペトロラタム、植物油(大豆およびマレイン化大豆油など)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0104】
ケア成分は、配合物ii)中に、配合物の約0.01から約45重量%、好ましくは約0.1から約30重量%、より好ましくは約1から約20重量%の量で存在し得る。
【0105】
配合物ii)は、1つまたは複数の化粧品として許容される成分をさらに含むことができる。このような化粧品成分の具体的な例としては、例えば、モイスチャライザー、香料、殺生物剤、防腐剤、抗酸化剤、抗真菌剤、制汗剤、角質除去剤、ホルモン、酵素、医薬化合物、電解質、アルコール、紫外線吸収剤、植物抽出物、界面活性剤、皮膜形成剤、ヒュームドシリカや水和シリカなどの増粘剤、粒子状充填剤、例えば、タルク、カオリン、デンプン、加工デンプン、雲母、ナイロン、および粘土、例えば、ベントナイトおよび有機変性粘土、フリーラジカルスカベンジャー、ビタミン、および抗酸化物質;しわ防止剤または皮膚引き締め剤;アンチエージング剤;皮膚ホワイトニングまたは脱色剤;抗炎症剤;抗にきび剤;ストレッチマーク/傷跡除去剤;くま減少剤が含まれる。
【0106】
本発明の好ましい一実施形態では、配合物i)はO/Wエマルジョンタイプの配合物であり、そして配合物ii)は乳化または非乳化の油ベースの配合物である。好ましくは、配合物i)は、ポリオール、アミノ酸、糖、乳酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ピロリドンカルボン酸、セラミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される保湿剤を含み、そして配合物ii)は、色および/または光沢を付与する美容成分を含む。そのような実施形態によれば、配合物i)は、人の適用部位に十分な毎日のケアを提供することができ;そして配合物ii)は、人の適用部位に輝くまたはきらめく外観を提供する。さらに、配合物i)の配合物ii)との混合は、人の適用部位に異なる外観または質感、特につや消しの外観および濃厚な質感を提供する配合物iii)をもたらす。さらに、配合物i)と配合物ii)との混合比によって、つや消しの外観および重厚な質感を変えることができる。したがって、本発明の化粧品の最終使用者は、特定のシーンについて特定の外観または質感を選択することができ、一方で配合物i)を使用することによって適用部位を十分に湿らせることもできる。ここで適用部位とは、唇、爪、顔の皮膚、首の皮膚、目の皮膚などの皮膚、まつ毛、眉毛、頭髪などの毛髪を含むが、これらに限定されない。
【0107】
配合物ii)は、リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、頭髪のカラーリングまたは染色調製物から選択され得る。
【0108】
例示的な実施形態では、化粧品は、配合物i)を含む第1の容器、配合物ii)を含む第2の容器、および任意選択で空の容器を含む。好ましい実施形態では、化粧品は、配合物i)を第1の容器から、および配合物ii)を第2の容器からそれぞれ取り出すため;および任意選択で、取り出した配合物を空の容器に送るための分配デバイスをさらに含む。
【0109】
図10aおよび
図10bは、本発明の一実施形態における例示的な化粧品を示す。例示的な化粧品は、配合物i)およびリップグロスタイプである配合物ii)をそれぞれ収容するための2つのチューブ容器を有する。配合物i)は、唇またはさらに顔および体の皮膚を含む人の適用部位に十分な毎日のケアを提供することができ;そして配合物ii)は、必要に応じて、例えばパーティーシーンで、唇に輝きまたはきらめきの外観をもたらす。つや消し効果が望まれる場合、配合物i)を配合物ii)と混合して適用することができる。
【0110】
したがって、別の態様では、本発明は、本発明の化粧品を使用するメイクアップ方法であって、
i)唇、爪、顔の皮膚、眼の皮膚および首の皮膚などの皮膚、またはまつ毛、眉毛および頭髪などの毛髪に配合物i)を適用して、第1の外観または質感を提供すること;または
ii)唇、爪、顔の皮膚、目の皮膚および首の皮膚などの皮膚、またはまつ毛、眉毛および頭髪などの毛髪に配合物ii)を適用して、第2の外観または質感を提供すること;または
iii)配合物i)を配合物ii)と混合して配合物iii)を形成し、配合物iii)を唇、爪、顔の皮膚、目の皮膚および首の皮膚などの皮膚、またはまつ毛、眉毛および頭髪などの毛髪に適用して、第1の外観または質感および第2の外観または質感とは異なる、第3の外観または質感を提供すること、好ましくは配合物i)が、配合物ii)と約1:100から約100:1、好ましくは約1:50から約50:1、より好ましくは約1:20から約20:1、またより好ましくは、約1:15から約2:1の体積比で混合される、を含む方法に関する。
【0111】
さらに別の態様では、本発明は、質感や外観、特に、リップスティック、リップグロス、リップバーム、リップグレーズ、ネイルカラーリング調製物、ネイルポリッシュ調製物、ファンデーション、コンシーラー、ブレミッシュバーム、サンスクリーン、日焼け用調製物、チーク、ソフトフォーカス調製物、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、頭髪のカラーリングまたは染色調製物によって提供される光沢および/または色を変更する際の、架橋シリコーンのO/WエマルジョンまたはO/Wエマルジョン型配合物i)の使用に関する。
【実施例】
【0112】
以下、例を参照して本発明をより具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定すると解釈されるものではない。なお、以下の記載において「部」とあるのは、特に断りのない限り「重量部」を示す。粘度はLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定される。
【0113】
例1
混合物は、40重量部の25℃で約5Pa・sの粘度を有するビニル基含有ジメチルポリシロキサン(MVD560DV
36MV)、5重量部の25℃で約0.02Pa・sの粘度を有するビスハイドロジェンジメチコン(MHD20MH)、20重量部のヘミスクワラン(APRINNOVA)、10重量部のPEG9ジメチコン(Momentive Performance Materials、式(II-1)、ここでR1、R2、R3、R10、R11、およびR12はメチルであり、dは平均で60であり、eは平均で4であり、そしてR13は-C3H6-O-(C2H4O)9-CH3である)、および2重量部のステアレス21(Croda)を混合することにより形成された。次に、この混合物に、10重量部の初期水および0.2重量部のサーファクチンナトリウム(Kaneka Corporation)を激しく攪拌しながら投入して、安定なエマルジョンを得た。さらに脱イオン水を加えて不揮発分を50重量%とした。次いで、エマルジョンを60℃に加熱し、pH4に調整し、続いて0.05重量部の過硫酸アンモニウムを添加して、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンのフリーラジカル重合およびビスハイドロジェンジメチコンによるそのヒドロシリル化を開始した。4時間後、Luo et al., "Silicone Resin and its Application", ChemicalIndustry Press, Beijing, pp. 227 228 (2002)に記載のファーメンテーションチューブ法で測定した結果、得られた安定なO/WエマルジョンにSiHは検出されなかった。このエマルジョンをトリエタノールアミンでpH7に調整し、防腐剤としてフェノキシエタノール0.8重量部を加えた。このように調製されたO/Wエマルジョンは安定であり、60rpmでS64回転子を使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定して、4600cpsの粘度を有していた。
【0114】
次いで、調製したO/Wエマルジョンを油としてのヘミスクワランと3:7の重量比で室温で混合した。油と混合する前後のエマルジョンの状態を
図1に示す。ヘミスクワランと混合した後のエマルジョンを、室温でSevenExcellenceマルチパラメーター(Mettler Toledo)によって導電率を測定し、S4回転子を60rpmで使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって粘度を測定した。導電率は0.1μs/cmであり、そして粘度は6,500cPsである。結果は、調製されたO/Wエマルジョンが油との混合後にW/Oエマルジョンに反転したことを示す。
【0115】
例2
混合物は、50重量部の25℃で約2Pa・sの粘度を有するビニル基含有ジメチルポリシロキサン(MVD200MV)、10重量部の水素基含有シリコーン樹脂(MH
8Q4)、5重量部のセテアリルメチコン(Momentive Performance Materials)、3重量部のPEG8ジメチコン(Momentive Performance Materials、式(II-2)、ここでR4、R5、R10およびR11はメチルであり、dは平均で40であり、bは平均で2であり、eは0であり、R6は-C3H6-O-(C2H4O)8-CH3である)、8重量部の前記PEG9ジメチコン(Momentive Performance Materials)、2重量部のC30-45アルキルジメチコン(Momentive Performance Materials)、および80重量部の25℃で約0.01Pa・sの粘度を有するジメチコン(Momentive Performance Materials)を50℃で混合することによって形成された。次いで、この混合物に、セトステアリル硫酸ナトリウム1.5重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル6重量部、ポリオキシエチレンモノステアレート8重量部および脱イオン水20重量部の混合物を激しく撹拌しながら投入して、安定なエマルジョンを得た。さらに脱イオン水を加えて不揮発分を50重量%とした。このエマルジョンを温度40℃、pH4に調整し、過酸化水素とアスコルビン酸をそれぞれ0.1重量部添加して、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンのフリーラジカル重合とMH
8Q4の水素基によるそのヒドロシリル化を開始した。4時間後、ファーメンテーションチューブ法で測定したところ、エマルジョン中にSiHは検出されなかった。クエン酸でpHを5.5に調整した後、防腐剤として安息香酸ナトリウム0.5重量部をエマルジョンに添加した。このように調製されたO/Wエマルジョンは安定であり、60rpmでS64回転子を使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定して、4800cpsの粘度を有していた。
【0116】
例3
混合物は、100重量部の25℃で約0.5Pa・sの粘度を有するビニル基含有シリコーン樹脂(MV
8Q4)、15重量部の前記PEG9ジメチコン(Momentive Performance Materials)、2重量部のPEG/PPG-20/15ジメチコン(Momentive Performance Materials、式(II-1)、ここでR1、R2、R3、R10、R11およびR12はメチルであり、dは平均80であり、eは平均15であり、そしてR13は-C3H6-O-(C2H4O)20(C3H6O)15-CH3である)、10重量部の25℃で約0.2Pa・sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(MHD200MH)、40重量部のミリスチン酸イソプロピル、および0.5部の過酸化ラウロイルを80℃で混合することによって形成された。次いで、この混合物に、ステアレス2/21(Croda)4重量部、ポリオキシエチレンモノステアレート4重量部および脱イオン水20重量部の混合物を激しく攪拌しながら投入して、安定なエマルジョンを得た。さらに脱イオン水を加えて不揮発分を50重量%とした。次に、エマルジョンを80℃の温度に調整して、フリーラジカル重合およびフリーラジカルヒドロシリル化を開始した。4時間後、ファーメンテーションチューブ法で測定した場合、エマルジョン中の未反応SiHは0.1cc/g未満であることが判明した。トリエタノールアミンでpHを6.5に調整した後、防腐剤として0.8重量部のフェノキシエタノールをエマルジョンに添加した。このように調製されたO/Wエマルジョンは安定であり、60rpmでS64回転子を使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定して、3200cpsの粘度を有していた。
【0117】
例4
混合物は、40重量部の25℃で約5Pa・sの粘度を有するビニル基含有ジメチルポリシロキサン(MVD560DV
36MV)、20重量部のヘミスクワラン(APRINNOVA)、10重量部の前記PEG9ジメチコン(Momentive Performance Materials)、および2重量部のステアレス21(Croda)を混合することにより形成された。次に、この混合物に10重量部の初期水と0.2重量部のサーファクチンナトリウム(Kaneka Corporation)を激しく撹拌しながら投入して、安定なエマルジョンを得た。さらに脱イオン水を加えて不揮発分を50重量%とした。その後、エマルジョンを80℃に温度調節し、フリーラジカル重合を開始し、4時間で終了した。その後、防腐剤としてフェノキシエタノール0.8重量部、増粘剤としてグアーガム0.2重量部を添加した。このように調製されたO/Wエマルジョンは安定であり、60rpmでS64回転子を使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定して、4000cpsの粘度を有していた。
【0118】
次に、調製したO/Wエマルジョンを、油としてSilsoft034(Momentive Performance Materials)と室温で1:1.2の比率で混合した。油と混合する前後のエマルジョンの顕微鏡写真を、それぞれ
図2aと2bに示す。油と混合する前後のエマルジョンは、室温でSevenExcellenceマルチパラメーター(Mettler Toledo)で導電率について測定し、そしてLVDV-II+粘度計(Brookfield)でS64(前)またはS4(後)回転子を60rpmで使用して粘度について測定した。導電率は36.8μs/cmから0.2μs/cmに減少され、そして粘度は4,000cPsから112,000cPsに増加される。結果は、調製されたO/Wエマルジョンが油との混合後にW/Oエマルジョンに反転したことを示している。
【0119】
例1-4のO/WエマルジョンのD4(オクタメチルシクロテトラシロキサン)、D5(デカメチルシクロペンタシロキサン)およびD6(ドデカメチルシクロヘキサシロキサン)含有量を、従来のガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。測定結果を以下の表1に示す。一般に、D4、D5およびD6の総含有量が1,000ppm未満に制御されたO/Wエマルジョンを提供することは、特に化粧品において有利である。
【表1】
【0120】
比較例1
混合物は、40重量部の25℃で約5Pa・sの粘度を有するビニル基含有ジメチルポリシロキサン(MVD560DV
36MV)、20重量部のヘミスクワラン(APRINNOVA)、10重量部のPEG9ジメチコン(Momentive Performance Materials)、2重量部のステアレス21(Croda)を混合することによって形成された。次に、この混合物に10重量部の初期水と0.2重量部のサーファクチンナトリウム(Kaneka Corporation)を激しく撹拌しながら投入して、安定なエマルジョンを得た。0.33wt%H2PtCl6のエタノール溶液を0.1重量部加えた後、さらに脱イオン水を加えて不揮発分を50重量%とした。その後、エマルジョンを80℃に温度調節して重合を開始した。4時間後、エマルジョンに防腐剤としてフェノキシエタノール0.8重量部、増粘剤としてグアーガム0.2重量部を添加した。このように調製されたO/Wエマルジョンは、60rpmでS64回転子を使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定して、4200cpsの粘度を有していた。
【0121】
例4および比較例1からのエマルジョンをそれぞれイソプロピルアルコール(IPA)で解乳化した。解乳化の結果を示す写真をそれぞれ
図3a(例4)および3b(比較例1)に示した。例4の解乳化O/Wエマルジョンは小さなサイズのゲルを示したが、比較例1の解乳化エマルジョンにはそのようなゲルは存在せず、これは、比較例1の内相が(存在する場合)ほとんど架橋されていなかったことを意味する。
【0122】
比較例2
混合物は、100重量部の25℃で約5Pa・sの粘度を有するビニル基含有ジメチルポリシロキサン(MVD560DV
36MV)、10重量部の25℃で約0.2Pa・sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(MHD200MH)、および40重量部のミリスチン酸イソプロピル、および0.5重量部の過酸化ラウロイルを80℃で混合することによって形成された。次いで、この混合物に、4重量部のステアレス2/21(Croda)、4重量部のポリオキシエチレンモノステアレートおよび20重量部の脱イオン水の混合物を激しく攪拌しながら投入して、安定なエマルジョンを得た。さらに脱イオン水を加えて不揮発分を50重量%とした。次に、エマルジョンを80℃の温度に調整して、フリーラジカル重合およびフリーラジカルヒドロシリル化を開始した。4時間後、ファーメンテーションチューブ法で測定したエマルジョン中の未反応SiHは0.1cc/gであることが判明した。pHを7に調整した後、0.8重量部のフェノキシエタノールを防腐剤としてエマルジョンに添加した。このように調製されたO/Wエマルジョンは、60rpmでS64回転子を使用したLVDV-II+粘度計(Brookfield)によって測定して、4500cpsの粘度を有していた。
【0123】
テストA(転相テスト)
比較例2で調製したエマルジョンを、油としてのヘミスクワランと1:1の比率で混合した。しかしながら、エマルジョンは油と混合した後、相を反転できなかった。
図4に示すように、白いエマルジョンが底にあり、ヘミスクワランオイルが表面にあった。
【0124】
テストB(水適合性テスト)
30gの量の比較例2で調製したエマルジョンを5gのPEG-10ジメチコンと混合すると、得られたものが濃厚なペーストに変化した。次に、50gの脱イオン水を攪拌しながら得られたものに添加すると、
図5に示すように、濃厚なペーストが薄くなり、表面に多くの小さな欠けが生じ、好ましくない水の希釈であることを示している。
【0125】
例1-4と比較した比較例2の結果は、転相に対するポリエーテル変性ポリシロキサンの機能を示している。乳化重合時にポリエーテル変性ポリシロキサンを使用しないと、調製したO/Wエマルジョンを油と混合してW/Oエマルジョンに反転させることができない。ポリエーテルシリコーンが乳化重合中に存在する代わりに、乳化重合後に導入される場合、得られるエマルジョンは濃厚なペーストになり、乏しい水との適合性を有する。その結果、本発明のO/Wエマルジョンは、ポリエーテル変性ポリシロキサンの単なる物理的混合物ではないことが示された。
【0126】
例5-15は、例1から4で調製したO/Wエマルジョンを配合した様々な化粧品を例示する。例5から11は、1つの配合物を含む化粧品を示し、そして例12から15は、2つの配合物を含む化粧品を示す。
【0127】
例5:アボカドクリーム
【表2】
手順
1.パートA成分を配合する。
2.パートB成分を予備混合する。
3.撹拌しながらパートBをパートAにゆっくりと直接投入する。
4.3から5分間、高速攪拌する。
【0128】
例6:HDファンデーション
【表3】
手順
1.パートA成分を配合する。
2.パートB成分を予備混合する。
3.パートC成分を予備混合する。
4.パートBを直接パートAに攪拌しながらゆっくりと投入し、その後、混合物を3から5分間、高速攪拌する。
5.A/B混合物を予備混合したパートCと配合する。
【0129】
例7:コンシーラーバーム
【表4】
手順
1.パートAのすべての成分を混合し、80℃に加熱する。
2.パートB成分を予備混合する。
3.65℃まで冷却後、撹拌しながらパートAをパートBに加える。
【0130】
例8:リップバーム
【表5】
手順
1.パートAのすべての成分を混合し、80℃に加熱する。
2.パートB成分を予備混合する。
3.65℃まで冷却後、撹拌しながらパートAをパートBに加える。
【0131】
例9:シルキークリーム
【表6】
手順
1.パートAのすべての成分を混合し、そしてパートAを約80℃に加熱する。
2.パートBの成分を水に溶解し、そしてパートBを約80℃に加熱する。
3.パートAをパートBに攪拌しながら加え、そして数分間ホモジナイズする。
4.撹拌しながらパートCをパートA/Bに加える。
5.攪拌しながらパートDをパートA/B/Cに加える。
【0132】
例10:二層ヘアスプレー
【表7】
手順
1.撹拌しながらパートCをパートBに投入する。
2.パートA成分を混合する。
3.パートAをパートB/C混合物に加える。
【0133】
例11:リップグロス
【表8】
手順
1.パートA成分を混合する。
2.パートB成分を混合する。
3.撹拌しながらパートBをパートAにゆっくりと直接投入する。
4.3から5分間、高速攪拌する。
【0134】
図6は、例11で調製されたリップグロスの写真を示す。リップグロスは均一な赤色で光沢があり、これは例3のO/WエマルジョンがW/Oクリームに位相反転し、油性成分と良い適合性を有していることを示している。
【0135】
リップグロスは、CM825 Corneometer(Courage+Khazaka)を使用して、水分保持力についてさらにテストされた。テストは、温度26.8℃、空気湿度38.4%で実施された。40mgのサンプルを秤量し、前腕に直径3cmの円を描くように適用した。次に、CM825Corneometerで測定面積49mm2の皮膚水分値を測定した。
【0136】
結果を
図7に示す。サンプル配合物を適用した後、皮膚の水分を30から50に増加させ、少なくとも1時間維持した。従来、腕での50を超える値は、十分に保湿されていると考えられている。このように、結果は、配合物が皮膚バリアを改善し、皮膚の水分を効果的に増加および維持できたことを示した。
【0137】
例12:2つの配合物を含むアイシャドー製品
配合物i)は以下の通りであった。
【表9】
配合物ii)は以下の通りであった。
【表10】
手順
1.パートA成分を混合する。
2.パートB成分を予備混合する。
3.撹拌しながらパートBをパートAにゆっくりと直接投入する。
4.3から5分間、高速攪拌する。
【0138】
配合物i)およびii)は、それらを均一に混合した後、別々にまたは組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用する場合、配合物i)は配合物ii)の外観と質感を変えることがあり得る。
図8a、8bおよび8cは、適用後の例12で調製された2つの配合物を含むアイシャドー製品の外観を示し、ここで
図8aは、適用後の配合物ii)単独の外観を示し、
図8bおよび8cは、配合物i)を配合物ii)とそれぞれ体積比1:10および1:1で混合した後の外観を示す。
図8aに示されるように、配合物ii)のみが高い光沢外観を示した。ただし、
図8bと8cは、
図8aと比較してつや消しおよび濃厚な外観を示し、つや消しおよび濃厚効果は、
図8bよりも
図8cでより明白である。結果は、単純な物理的混合ではそのようなつや消しおよび濃厚効果を達成できなかったため、配合物i)は配合物ii)と単に混合するのではなく、配合物ii)と混合することによって位相反転したことを示した。
【0139】
例13:2つの配合物を含むファンデーション製品
例1で調製したO/Wエマルジョンを、例13の配合物i)として使用した。さらに、US10512602B2の例1を繰り返してシリコーンゲルエマルジョンを調製し、これをこの例の比較配合物i)として使用した。
配合物ii)は以下の通りであった。
【表11】
手順
1.パートA成分を混合する。
2.パートB成分を予備混合する。
3.撹拌しながらパートBをパートAにゆっくりと直接投入する。
4.3-5分間、高速で攪拌する。
【0140】
配合物i)および比較配合粒i)を、配合物ii)とそれぞれ1:10の体積比で混合した。
図9aは、単独で適用した後の配合物ii)の外観を示し、
図9bおよび9cは、それぞれ、配合物i)および比較配合物i)と混合した後の配合物ii)の外観を示した。その結果、
図9aと9cは、肉眼で見える違いがなく、同様の光沢と質感を示した。しかし、
図9bに示すように、配当物i)を配合物ii)と同じ1:10の混合比で混合した場合、得られた配合物はつや消しの外観および濃厚な質感を示した。結果は、比較配合物は配合物ii)によって提供される外観および質感を変えることができなかったのに対し、本発明に従って調製された配合物は転相によって外観および質感を変えることができたことを示した。
【0141】
例14:2つの配合物を含むリップ製品
例1で調製したO/Wエマルジョンを配合物i)として使用した。
配合物ii)は以下の通りであった。
【表12】
顔料Aは以下の通りであった。
【表13】
顔料Bは以下の通りであった。
【表14】
手順
1.顔料Aのすべての成分を混合する。
2.顔料Bのすべての成分を混合する。
3.BENTONEゲル、Silshine 150流体、SS4230流体、Silsoft CDC流体、および「トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(及び)PEG/PPG-20/15ジメチコン」をよく混合し、次にSF1642ワックスを投入し、80℃に加熱する。
4.上記の混合物に顔料Aと顔料Bを入れてよく混ぜ、
図10aと10bに示すようにバイチューブ容器にパッケージする前に45℃まで冷却した。
【0142】
配合物ii)の10滴を容器から前腕の皮膚上に押し出し、次いで指で広げた。
図11aは、皮膚に単独で適用された配合物ii)の外観を示す写真を示した。
【0143】
別の前腕皮膚上に、配合物ii)の10滴、続いて配合物i)の1滴を容器から押し出し、混合し、指で皮膚上に広げた。
図11bは、適用後の混合配合物i)およびii)の外観を示す写真を示した。
【0144】
図11aは高い光沢の輝きのある赤色を示したが、
図11bは明らかにつや消し効果および濃厚な質感を示し、赤色が比較的淡いように見えた。結果は、本発明による配合物i)が転相によって配合物ii)の外観および質感を変えることができることを再び示した。
【0145】
例15:2つの配合物を含むリップ製品
配合物i)は以下の通りであった。
【表15】
配合物ii)は以下の通りであった。
【表16】
顔料A:
【表17】
顔料B:
【表18】
手順
1.顔料Aのすべての成分を混合する。
2.顔料Bのすべての成分を混合する。
3.BENTONE GEL MIO V、Silsoft CDC流体、SS4230流体、アボカド油、および「トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(及び)PEG/PPG-20/15 ジメチコン」をよく混合する。
4.上記の混合物に顔料Aと顔料Bを入れ、
図10aと10bに示すようにバイチューブ容器にパッケージする前によく混合する。
【0146】
配合物ii)の8滴を容器から前腕の皮膚に押し出し、指で広げた。
図12aは、皮膚に単独で適用された配合物ii)の外観を示す写真を示した。
【0147】
別の前腕皮膚片に、配合物i)の1滴、続いてすぐに配合物ii)の8滴を容器から押し出し、混合し、指で皮膚上に広げた。
図12bは、適用後の混合配合物i)およびii)の外観を示す写真を示した。
【0148】
図12aは高い光沢の輝きのある赤色を示したが、
図12bは明らかにつや消し効果および濃厚な質感を示し、赤色が比較的淡いように見えた。結果は、本発明による配合物i)が転相によって配合物ii)の外観を変えることができることを再度示した。
【0149】
例12-15で調製した別々の配合物i)およびii)を含む、例5-15から得た配合物のそれぞれを、50℃のオーブンで1週間安定性についてテストした。すべての配合物は変化することなく留まった。
【0150】
好ましい実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を均等物に置き換えることができることは当業者には理解されるであろう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または物質を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。したがって、本開示は、本開示を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されないが、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むことが意図される。