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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】車載無線通信装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0457 20230101AFI20241206BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20241206BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20241206BHJP
   H04W 36/18 20090101ALI20241206BHJP
   H04W 76/16 20180101ALI20241206BHJP
【FI】
H04W72/0457 110
H04W4/40
H04W36/08
H04W36/18
H04W76/16
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023079865
(22)【出願日】2023-05-15
(65)【公開番号】P2024002913
(43)【公開日】2024-01-11
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/354,692
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506080739
【氏名又は名称】四零四科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Moxa Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】林 達生
(72)【発明者】
【氏名】顏 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】魏 宏宇
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-182735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0274595(US,A1)
【文献】国際公開第2018/146795(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信経路を介してデータを送受信するように構成された第1の無線トランシーバ(111)と、
第2の通信経路を介してデータを送受信するように構成された第2の無線トランシーバ(112)と、
前記第1の無線トランシーバ(111)及び前記第2の無線トランシーバ(112)に電気的に接続されたプロセッサ(104)と、を含み、
前記プロセッサ(104)は、少なくとも、
デフォルトの通信手段として、前記第1の無線トランシーバ(111)の第1のチャネルサブセットから選択された第1のチャネル上の前記第1の通信経路(401)と、前記第2の無線トランシーバ(112)の第2のチャネルサブセットから選択された第2のチャネル上の前記第2の通信経路(402)と、を含む複数の通信経路(401、402、403)を確立し、前記第1のチャネルサブセットは前記第1の無線トランシーバ(111)の第1の複数の利用可能なチャネルの部分集合であり、前記第1のチャネルサブセット中の利用可能なチャネルの数は前記第1の複数の利用可能なチャネル中の利用可能なチャネルの数より少なく、前記第2のチャネルサブセットは前記第2の無線トランシーバ(112)の第2の複数の利用可能なチャネルの部分集合であり、前記第2のチャネルサブセット中の利用可能なチャネルの数は前記第2の複数の利用可能なチャネル中の利用可能なチャネルの数より少なく、
前記第1の無線トランシーバ(111)を前記デフォルトの通信手段として使用して、第1のデータパケット(421)を前記第1の通信経路(401、551)を介して車両の外部に位置するネットワークに送信し、
前記第2の無線トランシーバ(112)を前記デフォルトの通信手段として使用して、前記第1のデータパケット(421)の第1の複製データパケット(422)を前記第2の通信経路(402、552)を介して前記ネットワークに送信し、
前記第1の無線トランシーバ(501)によって、前記第1のチャネルサブセットから第3のチャネルを選択することによって、第1の期間(511)に第1のハンドオーバー(HO)プロセスを実行し、
前記第1のHOの完了に応答して、前記第3のチャネルを通じて、前記第1の通信経路(551)を介して第2のデータパケット(521)を送信し、前記第2のチャネル上に残る前記第2の通信経路(552)を介して前記第2のデータパケット(521)の第2の複製データパケット(522)を送信するように構成される、
車両上の無線通信装置(100)。
【請求項2】
前記プロセッサ(104)は、さらに、
前記第2の無線トランシーバ(112)によって、前記第2のチャネルサブセットから第4のチャネルを選択することによって、前記第1の期間(511)とは異なる第2の期間(512)に第2のHOプロセスを開始し、
前記第2のHOの完了に応答して、前記第4のチャネルを通じて、前記第2の通信経路(552)を介して第3のデータパケット(523)を送信し、前記第3のチャネル上に残る前記第1の通信経路(551)を介して前記第3のデータパケット(523)の第3の複製データパケット(524)を送信する、
ように構成される、請求項1に記載の無線通信装置(100)。
【請求項3】
前記第1の無線トランシーバ(111)は、第1の無線アクセス技術用に構成され、前記第2の無線トランシーバ(112)は、第2の無線アクセス技術用に構成される、請求項2に記載の無線通信装置(100)。
【請求項4】
前記第1の無線トランシーバ(111)は、第4世代(4G)通信技術を介して通信するように構成され、前記第2の無線トランシーバ(112)は、第5世代(5G)通信技術を介して通信するように構成される、請求項3に記載の無線通信装置(100)。
【請求項5】
前記第1の無線トランシーバ(111)の前記第1の通信経路(401)は、第1の4G基地局と通信するための単一接続用に構成され、
前記第2の無線トランシーバ(112)の前記第2の通信経路(402)は、第2の4G基地局及び5G基地局と通信するためのデュアル接続用に構成される、
請求項4に記載の無線通信装置(100)。
【請求項6】
第3の通信経路を介してデータを送受信するように構成された第3の無線トランシーバ(113)、をさらに備え、
前記プロセッサ(104)はさらに、
前記第3の無線トランシーバ(113)による送信により、前記デフォルトの通信手段として、前記第1のデータパケット(421)の別の複製データパケット(432)を前記第3の通信経路(403)を介して前記ネットワークに送信するように構成される、
請求項に記載の無線通信装置(100)。
【請求項7】
前記プロセッサ(104)は、さらに、
前記第3の無線トランシーバ(113)によって、第3のチャネルサブセットから第5のチャネルを選択することによって、第3の期間(513)で第3のHOプロセスを開始し、
前記第3のHOの完了に応答して、第3の通信経路(553)上の前記第5のチャネルを通じて、第4のデータパケットを送信する、
ように構成される、請求項6に記載の無線通信装置(100)。
【請求項8】
前記第1の期間(511)は、前記第2の期間(512)と重複しない、請求項7に記載の無線通信装置(100)。
【請求項9】
前記第2の期間(512)は、前記第3の期間(513)と部分的に重複する、請求項7に記載の無線通信装置(100)。
【請求項10】
前記第1のチャネルサブセットから、前記第3のチャネルを選択することは、
前記第1のチャネルサブセットから選択するとき、前記第1のチャネルサブセットを除いて、前記第1の複数の利用可能なチャネルのすべてを制限することを含む、請求項1に記載の無線通信装置(100)。
【請求項11】
前記第2の複数の利用可能なチャネルは、前記4G通信技術のすべての利用可能なチャネル及び前記5G通信技術のすべての利用可能なチャネルを含み、
前記第2のチャネルサブセットから、前記第4のチャネルを選択することは、
前記第2のチャネルサブセットから選択するときに、前記第2のチャネルサブセットを除く前記第2の複数の利用可能なチャネルのすべてを制限し、前記第2のチャネルサブセットは、前記4G通信技術のすべての利用可能なチャネルのいくつかのチャネルと、前記5G通信技術のすべての利用可能なチャネルのいくつかのチャネルとを含む、
請求項5に記載の無線通信装置(100)。
【請求項12】
前記第4のチャネルは前記第2の4G基地局のチャネルであり、
前記プロセッサ(104)は、さらに、
前記第2のチャネルサブセットから、前記デュアル接続用の前記5G基地局のチャネルを選択するように構成される、
請求項11に記載の無線通信装置(100)。
【請求項13】
前記第1の無線トランシーバ(111)及び前記第2の無線トランシーバ(112)は、前記車両の異なる位置に配置され、前記第1の無線トランシーバ(111)は、第1の放射パターンの第1のアンテナアレイ(121)を含み、前記第2の無線トランシーバ(112)は、第2の放射パターンの第2のアンテナアレイ(122)を含む、
請求項1に記載の無線通信装置(100)。
【請求項14】
車両上の無線通信装置(100)によって実行される無線通信方法であって、
前記無線通信装置(100)は、第1の通信経路(401)を介してデータを送受信するように構成された第1の無線トランシーバ(111)と、第2の通信経路(402)を介してデータを送受信するように構成された第2の無線トランシーバ(112)と、前記第1の無線トランシーバ(111)及び前記第2の無線トランシーバ(112)に電気的に接続されるプロセッサ(104)と、を含み、
前記方法は、
デフォルトの通信手段として、前記第1の無線トランシーバ(111)の第1のチャネルサブセットから選択された第1のチャネル上の前記第1の通信経路(401)と、前記第2の無線トランシーバ(112)の第2のチャネルサブセットから選択された第2のチャネル上の前記第2の通信経路(402)と、を含む複数の通信経路(401、402、403)を確立すること(S201)であって、前記第1のチャネルサブセットは前記第1の無線トランシーバ(111)の第1の複数の利用可能なチャネルの部分集合であり、前記第1のチャネルサブセット中の利用可能なチャネルの数は前記第1の複数の利用可能なチャネル中の利用可能なチャネルの数より少なく、前記第2のチャネルサブセットは前記第2の無線トランシーバ(112)の第2の複数の利用可能なチャネルの部分集合であり、前記第2のチャネルサブセット中の利用可能なチャネルの数は前記第2の複数の利用可能なチャネル中の利用可能なチャネルの数より少ないことと、
前記デフォルトの通信手段として前記第1の無線トランシーバ(111)を使用して、第1のデータパケット(421)を前記第1の通信経路を介して前記車両の外部に位置するネットワークに送信すること(S202)と、
前記デフォルトの通信手段として前記第2の無線トランシーバ(112)を使用して、前記第1のデータパケットの第1の複製データパケット(422)を前記第2の通信経路を介して前記ネットワークに送信すること(S203)と、
前記第1の無線トランシーバ(111)によって、前記第1のチャネルサブセットから第3のチャネルを選択することによって、第1の期間(511)に第1のハンドオーバー(HO)プロセスを実行すること(S204)と、
第1のHOの完了に応答して、前記第3のチャネルを通じて、第1の通信経路(401、551)を介して第2のデータパケット(432)を送信し、前記第2のチャネル上に残る前記第2の通信経路(402、552)を介して前記第2のデータパケット(423)の第2の複製データパケット(424)を送信すること(S205)と、
を含む、無線通信方法。
【請求項15】
前記第2の無線トランシーバ(112)によって、前記第2のチャネルサブセットから第4のチャネルを選択することによって、前記第1の期間(511)とは異なる第2の期間(512)に第2のHOプロセスを実行することと、
前記第4のチャネルを通じて、第2のHOの完了に応答して、前記第2の通信経路(402、552)を介して第3のデータパケットを送信し、前記第3のチャネル上に残る前記第1の通信経路(401、551)を介して前記第3のデータパケットの第3の複製データパケットを送信することと、
をさらに含む、請求項14に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上の無線通信装置、及び車両上の無線通信装置によって実行される無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)通信技術は、セルラーネットワークの比較的新しい技術である。現在の商用5Gネットワークにより、ユーザ機器(UE)は、第4世代(4G)通信ネットワークよりも高いデータレートで無線接続を行うことができる。ただし、移動場面での信頼性や遅延ジッタ(latency jitters)などの他のパフォーマンスに関しては、現在の商用5Gネットワークは、現在の4G通信ネットワークよりも優れているとは言えない。その結果、ネットワーク事業者は、高い信頼性と低遅延の要件が必要な場面に5Gネットワークを展開するかどうかを検討する際に躊躇する可能性がある。
【0003】
このような場面の1つの例として、鉄道環境での列車制御モジュールの開発が挙げられる。列車制御モジュールの場合、列車は固定位置にある1つ又は複数の中央コントローラとの無線データ接続を備えていると想定され、無線データ接続を介して送信されるデータには、非常に高い速度で移動する列車を制御するための重要な制御メッセージが含まれる場合がある。このような場面では、中央コントローラとのデータ接続は時間に敏感であり、待機時間を短くする必要がある。そのような要件を満たすことができなかった場合、安全性に関する懸念が生じる可能性がある。さらに、列車制御モジュールには、低いパケット・ロス率 (パケット損失率、PLR)も要求される。PRLが低くなければ、通信の信頼性がないと見なされる可能性があり、データパケットを再送信する時間が過度のデータ遅延につながる。
【0004】
さまざまな出版物が、現在の商用5G通信ネットワークの高PLR又は過剰なデータ遅延の原因を、綿密な実験とそれに対応する結果とともに示している。基本的に、ハンドオーバー(HO)と無線リンク障害(Radio Link Failures、RLF)は、現在の5Gネットワークで高PLRと過度のデータ遅延の問題を引き起こす2つの最も一般的な要因として特定されている。これらの洞察により、データトラフィックのHOとRLFの影響を軽減することで、現在の5Gネットワークのパフォーマンスを向上させるために努力することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術の段落で説明したように、技術的課題は、特に車両が高速で移動しているときに頻繁にHO を受ける場合に、無線データトラフィックのHOとRLFが車両に与える影響に直面することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、前記技術的課題を解決するために、本発明は、車両上の無線通信装置、及び車両上の無線通信装置によって実行される無線通信方法を対象とする。
【0007】
ある実施形態において、本発明は、車両上の無線通信装置を対象とし、無線通信装置は、第1の通信経路を介してデータを送受信するように構成された第1の無線トランシーバと、第2の通信経路を介してデータを送受信するように構成された第2の無線トランシーバと、第1の無線トランシーバ及び第2の無線トランシーバに電気的に接続されるプロセッサと、を備えるがこれに限られない。プロセッサは、少なくとも、デフォルトの通信手段として、第1の無線トランシーバの第1の複数の利用可能なチャネルの第1のチャネルサブセットから選択された第1のチャネル上の第1の通信経路と、第2の無線トランシーバの第2の複数の利用可能なチャネルの第2のチャネルサブセットから選択された第2のチャネル上の第2の通信経路と、を含む複数の通信経路を確立し、第1の無線トランシーバをデフォルトの通信手段として使用して、第1のデータパケットを第1の通信経路を介して車両の外部に位置するネットワークに送信し、第2の無線トランシーバをデフォルトの通信手段として使用して、第1のデータパケットの第1の複製データパケットを第2の通信経路を介してネットワークに送信し、第1の無線トランシーバによって、第1のチャネルサブセットから第3のチャネルを選択することによって、第1の期間に第1のハンドオーバー(HO)プロセスを実行し、第1のHOの完了に応答して、第3のチャネルを通じて、第1の通信経路を介して第2のデータパケットを送信し、第2のチャネル上に残る第2の通信経路を介して第2のデータパケットの第2の複製データパケットを送信するように構成される。
【0008】
ある実施形態において、本発明は、車両上の無線通信装置によって実行される無線通信方法を対象とし、前記方法は、デフォルトの通信手段として、第1の無線トランシーバの第1の複数の利用可能なチャネルの第1のチャネルサブセットから選択された第1のチャネル上の第1の通信経路と、第2の無線トランシーバの第2の複数の利用可能なチャネルの第2のチャネルサブセットから選択された第2のチャネル上の第2の通信経路と、を含む複数の通信経路を確立することと、第1の無線トランシーバをデフォルトの通信手段として使用して、第1のデータパケットを第1の通信経路を介して車両の外部に位置するネットワークに送信することと、第2の無線トランシーバをデフォルトの通信手段として使用して、第1のデータパケットの第1の複製データパケットを第2の通信経路を介してネットワークに送信することと、第1の無線トランシーバによって、第1のチャネルサブセットから第3のチャネルを選択することによって、第1の期間に第1のハンドオーバー(HO)プロセスを実行することと、第1のHOの完了に応答して、第3のチャネルを通じて、第1の通信経路を介して第2のデータパケットを送信し、第2のチャネルに残る第2の通信経路を介して第2のデータパケットの第2の複製データパケットを送信することと、を含むが、これに限られない。
【発明の効果】
【0009】
本発明に記載の技術を適用することにより、車両上の無線通信装置は、特に車両が高速で移動中に頻繁にHOを受ける場合に、無線データトラフィックのHO及びRLFの車両への影響を低減することができる。
【0010】
本発明の前記特徴及び利点を理解できるようにするために、図面を伴い例示的な実施形態を以下で詳細に説明する。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方が例示的であり、特許請求する開示のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【0011】
ただし、この概要は、本発明の態様及び実施形態のすべてを含むわけではなく、したがって、いかなる方法による制限又は限定も意味しないことを理解されたい。また、本発明は、当業者にとって自明な改変及び変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0013】
図1】本発明の例示的な実施形態の1つによる無線通信装置のハードウェアブロック図を示す。
図2】本発明の例示的な実施形態の1つによる車両上の無線通信装置によって実行される無線通信方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の例示的な実施形態の1つによる無線通信装置の展開場面を示す。
図4】本発明の例示的な実施形態の1つによる無線通信装置の動作の一例を示す。
図5】本発明の例示的な実施形態の1つによる無線通信装置のハンドオーバー場面を示す。
図6】は、本発明の例示的な実施形態の1つによる環境ごとの最適な設定を決定するために実行メトリクスを計測する例を示すフローチャートである。
図7】本発明の例示的な実施形態の1つによるデータ接続ためのプロセスを示すフローチャートである。
図8】本発明の例示的な実施形態の1つによるシステム全体のパケットの全体的損失を示す。
図9】本発明の例示的な実施形態の1つによるシステム全体のパケットの全体的遅延を示す。
図10】本発明の例示的な実施形態の1つによるシステム全体の全体的切断間隔を示す。
図11】本発明の例示的な実施形態の1つによる4つの異なる設定を有するヒートマップにおける遅延性能を示す。
図12】本発明の例示的な実施形態の1つによる最良の構成の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一又は類似の構成要素を参照するために、同一の符号が図面及び説明で使用される。
【0015】
前掲のように、現在の5Gネットワークの下での高PLRと過度のデータ遅延に関連する課題を解決するために、本発明は、車両上の無線通信装置、及び車両上の無線通信装置によって実行される無線通信方法を提供する。この装置及び方法は、マルチパス伝送及び帯域ロック技術を含む技術を利用する。マルチパス伝送は、ユーザが複数のパスを同時に使用する接続でネットワークに接続できる技術である。例えば、ユーザが移動中の列車や移動中の車内でインターネットを使用している場合、ユーザは、複数の無線インターフェイスを含む端末装置(携帯電話、ラップトップ、PDAなど)を使用してインターネットに接続する。それは、複数の無線インターフェイスを備えているか、無線通信装置が提供する複数の無線インターフェイスに接続可能であり、複数の無線インターフェイスのそれぞれが独自のデータ経路を確立する。複数のデータパスの各データパスに対して、伝送の信頼性を高めるために、デフォルトで複製データパケットが各データパスを介して伝送される。「デフォルトで」という用語は、無線通信装置が1つの基地局からの信号にのみロックできる場合や、どの基地局からの信号にもまったくロックすることができず、他のすべての基地局の信号は無線通信装置が接続するには弱すぎる場合など、そうすることが不可能でない限り、無線通信装置が常に 2つ以上のデータパスを介して複製データパケットを送信しようとすることを意味する。
【0016】
帯域ロックの技術は、無線通信装置の複数の無線インターフェイスのそれぞれ、又はユーザの端末装置の複数の無線インターフェイスのそれぞれが、所定の周波数帯域のサブセットにのみ接続し、基地局によって提供される残りの利用可能な周波数帯域に接続することは禁止するように、無線通信装置又はユーザによって設定を適用することを含む。帯域ロックの技術を実行することによって、考慮すべき基地局の候補チャネルの数を減らして、不必要なHOプロセスの実行を回避することができる。前記技術は、高速で移動する新幹線内にユーザが位置し、無線通信装置又はユーザの端末装置が非常に頻繁にハンドオーバーを受ける場合に特に有用である。このように、マルチパス伝送と帯域ロックの技術を実行することにより、異なる無線インターフェイス間のハンドオーバー期間の重複を最小化することにより、異常なパフォーマンスを回避又は最小化することができる。
【0017】
本発明の概念は、4G及び5G通信プロトコル又は基地局に関して説明されているが、本発明が、4G及び5G通信システムには限定されず、それを超えて拡張され得ることは、当業者には明らかである。
【0018】
前記概念を実施するために、本発明は無線通信装置を提供し、無線通信装置のハードウェアブロック図を図1に示す。図1に示すように、無線通信装置100は、複数の無線トランシーバ111、112…11Nに電気的に接続された制御ノード101を含み、複数の無線トランシーバは、それぞれはアンテナモジュール121、122…12Nのうちの1つにそれぞれ接続されるが、これに限定されない。アンテナモジュール121、122…12Nは、それぞれは単一のアンテナ又はアンテナアレイであっても良い。また、アンテナモジュール121、122…12Nは、それぞれ異なる共振周波数を有していても良い。さらに、アンテナモジュール121、122…12Nは、それぞれは異なるアンテナ構成を有していても良い。例えば、第1のアンテナモジュール121は、無指向性放射パターンを有し、4G基地局と通信するように調整される。例えば、第2のアンテナモジュール122は、アンテナの少なくとも1つが無指向性放射パターンを有し、4G基地局と通信し、残りのアンテナが指向性放射パターンを形成し、5G基地局との通信を行なっても良い。例えば、第Nのアンテナモジュール12Nは、無指向性放射パターンを有するアンテナの少なくとも1つを有するアンテナアレイであって良く、4G基地局と通信し、他のアンテナの少なくとも1つは無指向性放射パターンを形成し、5G基地局との通信を行う。しかしながら、本発明は、前記アンテナ構成に限定されない。
【0019】
複数の無線トランシーバ111、112…11Nは、それぞれは1つ又は複数の統合された送信機及び受信機を有しても良く、あるいは代わりに1つ又は複数のセットの独立した送信機及び受信機を有しても良い。さらに、複数の無線トランシーバ111、112…11Nの各受信機は、受信した無線周波数(RF)信号又はマイクロ波信号をベースバンド周波数にダウンコンバートできるハードウェア回路であり、複数の無線トランシーバ111、112…11Nの各送信機は、受信したベースバンド信号を無線周波数又はマイクロ波周波数にアップコンバートできるハードウェア回路である。ハードウェア回路は現在よく知られているため、開示が不明瞭になることを避けるために、正確な回路は提供されない。代わりに、複数の無線トランシーバ111、112…11Nは、アップコンバート又はダウンコンバート機能なしで、車両の異なる部分に配置されたリピータとして機能するだけでも良い。複数の無線トランシーバ111、112…11Nは、それぞれはファイバ、無線、又は有線接続を介して制御ノード101に接続することができる。
【0020】
例えば、第1の無線トランシーバ111を列車客車の前部に配置し、第2の無線トランシーバ112を列車客車の車両の中央又は側面に配置し、第3の無線トランシーバ113を車両客車の端に配置しても良い。さらに、無線トランシーバ111、112…11Nの受信及び送信能力を最大化するために、アンテナモジュール121、122…12Nを、それぞれ異なる方向に向けることができる。例えば、第1のアンテナモジュール121は列車客車の前部に面し、第2のアンテナモジュール122は列車客車の側面に面し、第Nのアンテナモジュール12Nは列車客車の端部に面することができる、などである。
【0021】
制御ノード101は、各複数の無線トランシーバ111、112…11Nに電気的に接続され、それを制御するプロセッサ104と、任意の表示パネル103と、任意の記憶装置102と、を有する。例えば、プロセッサ104は、第1の無線トランシーバ111を制御して第1の通信経路でデータを送受信し、第2の無線トランシーバ112を制御して第2の通信経路でデータを送受信することができる。プロセッサ104は、通常、デフォルトで、第1の無線トランシーバ111の第1の複数の利用可能なチャネルの第1のチャネルサブセットから選択された第1のチャネル上の第1の通信経路と、第2の無線トランシーバ112の第2の複数の利用可能なチャネル112の第2のチャネルサブセットから選択された第2のチャネル上の第2の通信経路と、を含む複数の通信経路を確立しようと試みる。
【0022】
プロセッサ104がデータパケットを送信すると仮定すると、プロセッサ104は、送信されるデータパケットをN個のパケットに複製し、その後、複数の無線トランシーバ111、112…11Nのそれぞれによってデフォルトの動作方法として送信される。第1のチャネルサブセット及び第2のチャネルサブセットは、さらに詳細に説明される帯域ロック技術に従って予め決定される。ハンドオーバーを実行するとき、第1の無線トランシーバ111は第1のチャネルサブセットに制限され、第2の無線トランシーバ112は第2のチャネルサブセットに制限される。
【0023】
さらに、プロセッサ104は、第1のチャネルサブセットから新しいチャネルを選択することによって、第1の期間(例えば、511)に第1のハンドオーバー(HO)プロセスを開始するように第1の無線トランシーバ111を制御し、第1のHOを完了した後、新しいチャネルを通じて、第1の通信経路を介して第2のデータパケットを送信し、第2のチャネルに残る第2の通信経路を介して第2のデータパケットの第2の複製データパケットを送信することができる。同様に、プロセッサ104は、第2のチャネルサブセットから別の新しいチャネルを選択することによって、第1の期間(例えば511)とは異なる第2の期間(例えば512)に第2のHOプロセスを開始するように第2の無線トランシーバ112を制御し、第2のHOを完了した後、別の新しいチャネルを通じて、第2の通信経路を介して第3のデータパケットを送信し、第3のチャネルに残る第1の通信経路を介して第3のデータパケットの第3の複製データパケットを送信することができる。
【0024】
プロセッサ104は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ユニット、グラフィックスプログラミングユニット(GPU)、特注の集積回路(IC)などであって良い。
【0025】
第1のチャネルサブセット、第2のチャネルサブセット、…、チャネルの第Nのサブセットは、それぞれ、第1の無線トランシーバ111、第2の無線トランシーバ112、…、及び第Nの無線トランシーバに対応し、記憶装置102に格納することができる。チャネルのサブセットのそれぞれは、対応する各無線トランシーバの設定情報として格納することができる。ユーザは、表示パネル103上のユーザインターフェイスを使用して設定情報を変更することができる。
【0026】
複数の無線トランシーバ111、112…11Nのそれぞれに対応するチャネルのサブセットのそれぞれが、位置に依存し得ることは注目に値する。例えば、車両が第1の場所から第2の場所に移動したとき、第1のチャネルサブセットのコンテンツ(例えば、チャネル、周波数など)は、それに応じて変化し得る。チャネルが無線トランシーバで使用可能であるが、チャネルのサブセット内にない場合、そのチャネルは選択することができない。例えば、第1無線トランシーバが、利用可能なチャネルのセットを有する4G基地局と通信するように構成されていると仮定すると、利用可能なチャネルのセットのサブセット(つまり、第1のチャネルサブセット)のみが、HOプロセス中に選択可能であり、残りのチャネルは禁止される。チャネルの第1、第2、…、第Nのサブセットは、異なる無線トランシーバ間のハンドオーバー期間の重複を最小化する、複数の通信経路のパケット損失率を最小化する、複数の通信経路の遅延を最小化するなど、1つ又は複数の基準に基づいて事前に決定することができる。全体として、チャネルの所定のサブセットを含む設定情報は、無線トランシーバがHOプロセスを開始及び/又は終了する良い機会を有することができるように構成される。
【0027】
図2は、本発明の例示的な実施形態の1つによる車両上の無線通信装置によって実行される無線通信方法を示すフローチャートである。ステップS201において、無線通信装置(例えば、100)は、デフォルトの通信手段として、第1の無線トランシーバの第1の複数の利用可能なチャネルの第1のチャネルサブセットから選択された第1の通信経路と、第2の無線トランシーバの第2の複数の利用可能なチャネルの第2のチャネルサブセットから選択された第2のチャネル上の第2の通信経路と、を含む複数の通信経路を確立することができる。ステップS202において、無線通信装置(例えば、100)は、第1の無線トランシーバをデフォルトの通信手段として使用して、第1のデータパケットを第1の通信経路を介して車両の外部に位置するネットワークに送信することができる。ステップS203において、無線通信装置(例えば、100)は、デフォルトの通信手段として第2の無線トランシーバを使用して、第1のデータパケットの第1の複製データパケットを第2の通信経路上のネットワークに送信することができる。ステップS204において、無線通信装置(例えば、100)は、第1の無線トランシーバを介して、第1のチャネルサブセットから第3のチャネルを選択することによって、第1の期間に第1のHOプロセスを開始することができる。ステップS205において、無線通信装置(例えば、100)は、第3のチャネルを通じて、第1のHOを完了した後、第1の通信経路を介して第2のデータパケットを送信し、第2のチャネルに残る第2の通信経路を介して第2のデータパケットの第2の複製データパケットを送信することができる。同様に、無線通信装置(例えば、100)は、第2の無線トランシーバによって、第2のチャネルサブセットから第4のチャネルを選択することによって、第1の期間とは異なる第2の期間に第2のHOプロセスをさらに開始し、第4のチャネルを通じて、第2のHOの完了に応答して第2の通信経路を介して第3のデータパケットを送信し、第3のチャネルに残る第1の通信経路を介して第3のデータパケットの第3の複製データパケットを送信することができる。
【0028】
提供される装置及び方法は、少なくとも、パケット損失率の低減、通信の信頼性の向上、システムのスループットの向上、パケット配信遅延が最小閾値を超える可能性の低減、データの再送信の回数の低減を含む利点を達成する。
【0029】
各無線トランシーバは、4G、5G、6Gなどの3GPPセルラ無線通信規格のうちの少なくとも1つをサポートすることができる。各無線トランシーバは、同一又は異なる無線アクセス技術をサポートすることができる。さらに、各無線トランシーバは、チャネル又は周波数の異なるサブセットから選択するように構成することができる。例えば、第1の無線トランシーバは、周波数f1及びf2を含む周波数の第1のサブセットから選択するように構成することができ、第2の無線トランシーバは、周波数f3及びf4を含む周波数の第2のサブセットから選択するように構成することができる。あるいは、第1の無線トランシーバは、周波数f1、f2、f3、及びf4を含む周波数の第1のサブセットから選択するように構成することができ、第2の無線トランシーバは、周波数f1を含む周波数の第2のサブセットから選択するように構成することができる。本発明は、どの無線トランシーバも周波数の特定のサブセットに限定されない。
【0030】
複数の無線トランシーバのうち、2つの無線トランシーバのうちの1つを、例えば、ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution 、LTE)/5Gデュアルモード(例えば、非スタンドアロン5G無線又はスタンドアロンデュアルモードLTE/5G無線)用に構成することができる。複数の無線トランシーバのうちの1つの無線トランシーバは、例えば、LTE又は4Gのみを使用するように構成することができる。複数の無線トランシーバのうち、例えば、スタンドアロンの5Gのみを使用するように1つの無線トランシーバを構成することができる。複数の無線トランシーバのうち、例えば、2つの無線トランシーバの1つをLTE又は4G のみを使用するように構成し、もう一方の無線トランシーバを4G/LTE及び5G機能の両方を使用するように構成することができる。
【0031】
複数の無線トランシーバのうち、1つの無線トランシーバを電気通信事業者にサービスを供するように構成し、別の無線トランシーバを別の電気通信事業者にサービスを供するように構成することができる。さらに、図2で説明した方法は、ユーザによる自動車、オートバイ、又は列車での無線通信を含むさまざまな場面に適用することができる。同様に、図2に記載の方法は、操縦者なしで列車又は車両を制御するオペレータによっても使用され得る。各無線トランシーバの設定情報は、ポリシー、学習段階の測定結果、過去のデータ通信統計の測定結果などに基づいて事前に決定された構成の一部であって良い。本発明では、デフォルトで複数の通信経路があり、各通信経路は無線トランシーバによって行われる。複数の通信経路は、2つ以上のユーザ データグラムプロトコル(User Datagram Protocol、UDP)セッション、2つ以上の伝送制御プロトコル(Transmission Control Protocol、TCP)セッション、2つ以上のQUICセッション、又は固定のUDP/TCP/QUIC プロトコルを使用した2つ以上のセッションなどであって良い。
【0032】
本発明の概念をさらに明確にするために、本発明は、図3から5に示される例を提供し、これらの図に対応する発明の詳細な説明における説明を利用して、説明する。
【0033】
無線通信装置の展開場面が図3に示されている。図3の例では、無線通信装置(例えば、100)は、列車301内に配置されて良い。列車301がより速く移動する結果として、基地局302の間で頻繁なHOプロセスが実行され得る。頻繁なHOイベントは、高速で移動する列車 301 が、ある基地局のカバレッジ範囲から別の基地局のカバレッジ範囲に移動する結果である。複数の無線トランシーバ(すなわち、無線1、無線2、…、無線N)303は、列車301の異なるセクションに配置することができ、制御ノード304(例えば、101)に接続される。複数のトランシーバ303のそれぞれが列車301の客車の異なるセクションに配置されることに加えて、各アンテナは異なる構成で、異なる方向を向くように構成することができる。例えば、トランシーバ303の無線1は無指向性アンテナを有していても良く、トランシーバ303の無線2は列車301の前方を指すように構成された指向性パターンを有するアンテナアレイを有していても良く、トランシーバ303の無線3は列車301の後部を指すように構成された指向性パターンを有するアンテナアレイを有していても良く、トランシーバ303の無線4は列車301の一側を指すように構成された指向性パターンを有するアンテナアレイなどを有していても良い。全体として、1つ又は複数のアンテナを無指向性放射パターンを有するように構成し、1つ又は複数のアンテナが指向性放射パターンを有するように構成することができる。指向性放射パターンを有するように構成されたアンテナの中で、各アンテナは異なる方向を指すように構成することができる。あるいは、アンテナの少なくとも1つが異なる方向をカバーするために空間的に走査するように構成することができる。
【0034】
図4は、本発明の例示的な実施形態の1つによる無線通信装置の動作の一例を示す。図4の例では、クライアント411は、車両(例えば、301)内に位置すると想定され、携帯電話、ラップトップ、PDAなどの自分自身の端末装置を介してサーバ412(例えば、インターネット)と通信したいと考えているユーザである。マルチパス伝送の及び帯域ロックの技術を適用することによって、クライアント411は、図4に「サブフロー」として示される複数の通信経路401、402、403を確立する。Nが2より大きい整数であるN個の通信経路があると仮定すると、サブフロー1、サブフロー2、…、サブフローNなどがある。各サブフローは、異なるハードウェアインターフェイスに接続される。インターフェイスは、クライアント411自身の装置のトランシーバ、又は無線通信装置100の複数の無線トランシーバ(例えば、111、112…11N)のうちの1つである。したがって、サブフロー1はインターフェイス1を介して通信され、サブフロー2はインターフェイス2を介して通信され、…、サブフローNはインターフェイスNを介して通信される。
【0035】
データパケット(例えば、パケット1、パケット2、パケット3など)がサーバ412に送信される場合、データパケットは複製又は冗長データパケットとして複製され、すべてのサブフローに送信される。したがって、図5に示すように、サブフロー1上のパケット1、パケット2、及びパケット3がインターフェイス1を介してサーバ412に送信されると、同一のパケット1、パケット2、及びパケット3も、インターフェイス2を介してサブフロー2を介して送信され、インターフェイスNを介してパケットNが送信されるなどである。したがって、通信のデフォルトの方法として、本発明は、複数の通信経路を確立することが不可能でない限り、少なくとも1つの複製又は冗長パケットを送信することによって、少なくとも2つの異なる通信経路を有することを常に求める。
【0036】
さらに、各インターフェイスは、設定情報(設定1、設定2、…、設定N)によって構成されても良く、したがって、インターフェイスは設定1によって構成されても良く、インターフェイス2は設定2によって構成されても良く、…、インターフェイスNは設定Nによって構成されても良い。各設定情報は、HOプロセス中に基地局によって提供される周波数又はチャネルのより小さなサブセットにホップするように各インターフェイスを制限する。例えば、インターフェイス1がeNB 1に接続されているときに、インターフェイス1がeNB XへのHOを実行している場合、ここで、XはeNB識別子(ID)であり、eNB Xは、通常、eNB Xに接続されたユーザにMチャネルを提供する。Mは、通常、2より大きい整数であり、設定1の設定情報は、将来 eNB Xに接続するときにインターフェイス1をMチャネル未満に制限する。他の設定情報(設定2、…、設定N)も、設定1と同じ方法でそれぞれのインターフェイスを制限する。設定情報は、不適切なチャネル又は周波数への不必要なハンドオーバープロセスの開始を回避することによって、サブフローがより安定に維持されることを保証するように、制限として予め決定される。つまり、不適切なチャネルと周波数は、HO プロセスを実行する際に考慮すべき可能性から事前に選別される。
【0037】
図5は、図4の例のHOプロセスを示す。インターフェイス1は、eNB 1と通信する無線トランシーバであると仮定される。信号が弱いためにサブフロー1を維持できなくなった場合、HOプロセスが開始される。インターフェイス1は、候補基地局を探すときに設定1を参照する。候補基地局は、例えば、最高信号強度又は信号完全性を有する互換性のある基地局に基づいて決定することができる。また、候補基地局は設定情報に応じて限定されても良い。したがって、インターフェイス1が新幹線内にあると仮定すると、図5に示されるeNB1’が、設定1内の唯一の候補基地局であり、HOプロセス中の選択のためにインターフェイス1が利用できる利用可能なチャネル又は周波数の数も制限する。
【0038】
さらに、インターフェイス2は4G基地局であるeNB2と5G基地局であるgNB2とLTE/5Gデュアルコネクティビティ(DC)で接続されているものと仮定し、インターフェイス2は、不可能でない限り、HOイベント中に別の4G及び5G基地局のセットに接続することによって、DC下での動作継続を試みてもよい。サブフロー2がDC接続を維持できない場合、インターフェイス2は5G基地局又は4G基地局のみに接続を試みても良い。同様に、インターフェイス3は、4G基地局であるeNB3と5G基地局であるgNB3とがDCモードで接続されているものとし、インターフェイス3は、HOイベント中に別の4G及び5G基地局のセットに接続することにより、DCでの動作を継続しようと試みても良い。
【0039】
なお、サブフローのHOイベントは、設計上(つまり、帯域ロックの目的の達成に関連する設定情報を慎重に選択することによって)、異なる期間に発生する可能性が高いことに言及しておく価値がある。例えば、図4に示すように、インターフェイス1のHOプロセスは、t1で開始され、t1’で完了するため、第1の期間511中に実行される。インターフェイス1のHOプロセスの後、以前に第1の通信経路 551を介してeNB1に送信されたパケット521は代わりにeNB1’に送信されるが、パケット521の複製されたパケット522は、この特定の例ではインターフェイス2のHOプロセスがまだ開始されていないため、チャネルを変更することなく、第2の通信経路552を介してeNB2及び/又はgNB2に送信される。また、パケット521の複製されたパケットは、チャネルを変更することなく、第3の通信経路553を介してeNB3及び/又はgNB3に送信される。インターフェイス2のHOプロセスはt2で開始され、t2’で完了するため、第2の期間512中に実行される。インターフェイス 2のHOプロセスの後、以前にeNB2及び/又はgNB2に送信されたパケット523は、代わりに第2の通信経路 552を介してeNB2’及び/又はgNB2’に送信され、パケット523の複製されたパケット524は、第1の通信経路 551を介してeNB1’に送信され、パケット523の複製パケットは第3の通信経路 553を介してeNB3及びgNB3に送信される。インターフェイス3のHOプロセスは、t3で開始され、t3’で完了するため、第2の期間513中に実行される。インターフェイス3のHOプロセスの動作原理は、インターフェイス 1及び2のHOプロセスと同様である。基本的に、eNB3及び/又はgNB3からeNB3’及び/又はgNB3’にハンドオーバーした後、複製されたパケットが第1の通信経路551及び第2の通信経路552を介して送信される。設定情報は、HO期間が重複しないように事前に構成されることが理想的である。つまり、少なくとも1つのサブフローが維持されるので、第1の期間511、第2の期間512、及び第3の期間513が重複しないことを確実にする試みによって、RLFの影響を減少することができる。しかし、実際には、HO期間の重複を常に回避できるとは限らないが、各インターフェイスの設定情報を事前に設定して、HO 期間の重複を最小化することで、RLFの影響を軽減することができる。設定情報の事前構成については、以降の開示でさらに詳しく説明する。
【0040】
背景技術の段落で説明したように、HO又はRLFの影響をより好ましく軽減するために、インターフェイスは、データトラフィックがある場合は可能な限り異なるeNB又はgNBに接続する必要がある。異なるeNB 又はgNBに接続されている場合、インターフェイスはHO関連の間隔が重複しない可能性が高くなる。HO は異常パフィーマンスに大きく関係するため、マルチパス伝送の手法と帯域ロックの技術で、異なるインターフェイスを重複しないように構成することにより、異常パフィーマンスを回避又は最小化することができる。
【0041】
次に、本発明は、帯域ロックの技術を実行するための無線通信装置の構成を決定するためのプロセスを説明する。帯域ロック設定について、クライアント411のインターフェイスが使用可能な帯域の範囲を有する基地局を介してサーバ412に接続するように制限する。例えば、インターフェイス1が帯域ロック設定「テレコムA、LTEバンド:{1,28}、NRバンド:{n78}」を有するように設定されていると仮定すると、インターフェイス1は、バンド1又はバンド28を使用してテレコムAのeNodeB(eNB)のみに接続するか、プライマリ サービングセルとしてgNBのバンドn78に接続に接続する。インターフェイス1は、通常、5G接続が利用できない場合を除き、5G接続を求める。このような状況下では、インターフェイス1はeNBへの接続によって4G接続を有することになる。同じことが他のインターフェイスにも当てはまり得る。
【0042】
【数1】
【0043】
無線通信装置全体として考えられる設定は数多くあり、最適な設定は、環境や場所によって異なる可能性がある。さらに、複数の通信経路の最適な設定は、単一の経路で最高のパフォーマンスを発揮する設定とは異なる可能性がある。したがって、本発明は、環境における最良の設定を見つけるプロセスを提案する。なお、最適な設定を見つけるには、さまざまな手法がある。提供されたプロセスは専ら例として提供されたものであり、本発明は必ずしもそのようなプロセスに限定されない。提案されたプロセスには、実験前段階、実験中段階、及び実験後段階の3つの段階が含まれる。最適な設定を見つけるために、いくつかの実験を行うことができる。本開示の過程においては、実験を行う際にクライアントとして異なる装置(例:411)を使用することで、実験を簡素化し、加速することができる。全体のプロセスを図6に示す。
【0044】
実験前段階では、いくつかのパラメータが定義され、帯域ロック設定に関連するすべての構成が、図6のステップS601に説明されるようにリストされる。ステップS602では、すべての実験のインターフェイスの構成が取得される。以下の例は、簡潔にするために提供される。最終的な設定情報が2つのサブフローを含み、両方のサブフローが同じテレコムAを使用すると仮定する。テレコムAの利用可能な帯域が“LTE帯域:{b1,b3,b28},NR帯域:{n78},”であると仮定すると、1つのインターフェイスに対して (2-1)×2=14の異なる可能な構成が存在する(表1を参照)。2つのサブフローに異なる設定が必要であると仮定すると、システムのインターフェイスにはC(14,2)=91の可能な構成が存在する。
【0045】
【表1】
【0046】
実験では、別の装置を別のクライアントとして使用して実験を行うことができる。例えば、装置は、USB 経由で携帯電話に接続するラップトップであって良い。携帯電話は、USBテザリングを適用して無線ネットワークをラップトップに共有し、ラップトップのインターフェイスとして機能することができる。そのような装置は、設置される無線通信装置の数以上のインターフェイスを有する必要があり、装置が有するインターフェイスが多ければ多いほど好ましい。
【0047】
装置に8つのインターフェイス (n=8) があると仮定すると、1つの実験でC(8,2)=28の構成結果を同時に取得することができる。2つのインターフェイスの結果を組み合わせると、2つのインターフェイスが使用する構成の全体的な結果を得ることができる。実験後段階についてさらに説明する。前述の説明では、最終的な無線通信装置の設定情報について考えられるすべての構成をテストするには、約6回の実験(k=6)が必要となる。第jの実験では、インターフェイスCj={Sj1, Sj2,...,Sjn} (この例では n=8) の構成が存在する。異なる実験のためのインターフェイスの構成を以下に示す。
【0048】
実験1:(S_ji は、第jの実験の第iのインターフェイスの設定を示す)
【0049】
【表2】
【0050】
実施例2:
【0051】
【表3】
【0052】
実施例3:
【0053】
【表4】
【0054】
実施例4:
【0055】
【表5】
【0056】
実施例5:
【0057】
【表6】
【0058】
実施例6:
【0059】
【表7】
【0060】
実験の回数を減らすために、この段階で実行できる方法が2つ存在する。テスト装置のインターフェイスの数をできるだけ多く設定する。最終システムに必要な構成の数を減らす。以上の例から、帯域ロック設定にはNR n78が必要であるという新しい制約がある場合、1つのインターフェイスで可能な構成の数は(2-1)×(2-1)=7に減少する。前記新しい制約を使用すると、可能なすべての構成をテストするために実験を 1 回行うだけで済む。すべての実験のインターフェイスの構成が完了すると、実験中段階が開始され、実験前段階の構成を使用して実験が行われる。
【0061】
ステップS602ですべての異なる実験のためのインターフェイスの構成を取得した後、すべての実験を反復するためにループをセットアップすることができる。ステップS603では、構成Cを使用する。このステップでは、C(i =実験インデックス) がテスト 装置のインターフェイスの設定として選択される。各インターフェイスについて、そのテレコムが設定され、構成Cに従って帯域ロック設定を有する。ステップS604では、マルチパスデータ接続が実施される。このステップでは、各サブフローのパフォーマンスをテストするために、テスト装置にアップリンク(UL)(クライアント411からサーバ412へ)とダウンリンク(DL)(サーバ412からクライアント411へ)の両方のデータ接続が必要である。データ接続のプロセスを図7に示す。図7は、UL方向とDL方向の両方に適している。
【0062】
実験中段階の残りのプロセスは、パケットがシーケンス番号と順番に番号を有する定期的なパケット送信を行うことを目的とする。特定の移動環境での構成のパフォーマンスが検出されるため、パケットは定期的に送信され、各期間は固定される。さらに、パケット損失率などのメトリックが最終損失関数のパラメータとして使用されるため、パケットを生成するときにシーケンス番号をペイロードに挿入することができる。
【0063】
実験中段階のプロセスは、ソケットプログラミング(socket programming)を使用して実行することができる。このプロセスは、配置された無線通信装置が使用するプロトコルと、実験後段階で使用されるパフォーマンスメトリックに応じて、UDP又はTCPの両方をトラフィック プロトコルとして使用することができる。UDPとTCPのパフォーマンスメトリックは異なる。パフォーマンスメトリックには、UDPの遅延時間(一方向遅延時間、往復遅延時間(Round-Trip-Time,RTT))及びパケット損失率、TCPのスループット、RTT及び再送信率が含まれるが、これらに限定されない。実験が行われているため、テスト用のデータ接続がある場合、クライアント装置で追加の測定を行うことができる。例えば、オープンソースツールのモバイルインサイト(Mobile Insight)を使用して、クライアント装置と基地局間の下位層の制御メッセージを収集することができる。追加測定のパフォーマンスメトリックの例としては、HOの数、RLFの数、切断間隔の長さなどを含む。
【0064】
実験後段階は、実験中段階でデータ収集が完了した後に開始することができる。実験後段階は、主にオフライン分析を実行することによって実施される。ただし、システムがまだオンラインである間に、実験後段階が実行されても良い。この段階では、各無線インターフェイスが選択される。無線通信装置にはクライアント装置用のインターフェイスがm個あり、試験装置にはクライアント装置用のインターフェイスがn個あるものと仮定する。テスト装置により、さまざまな設定を有するインターフェイスのパフォーマンスに関するデータを収集することができる。1つの実験から最終的なシステムのC(n,m)の異なる設定についてデータが収集されたと仮定する。上記の例から、mは2に相当するため、選択を反復するには2層のforループ(for‐loops)のみが必要である。一方、mが2より大きい場合は、選択されたインターフェイスのすべての可能なセットを生成するために、より高い数の層のforループ又は再帰関数が必要である可能性がある。
【0065】
次に、損失関数が定義され(例えば、S605)、インターフェイスのパフォーマンスが結合される(例えば、S606)。損失関数は、ユーザが柔軟に定義でき、1つ又は複数のパフォーマンスメトリックで構成することができる。損失関数は、パフォーマンスメトリックの加重和、又はパフォーマンスメトリックの非線形関数であって良い。パフォーマンスが向上するほど、損失関数の値を低くする必要がある。
【0066】
損失関数の例:
【数2】
【0067】
損失関数が定義された後、インターフェイスのパフォーマンスが結合される。パフォーマンスメトリックが異なれば、インターフェイスの相互パフォーマンス(mutual performance)の算出式も異なる。最小のパケット損失率と最小の遅延を有する最適な構成を見つけるために、次の例でパケット損失と遅延が決定される。
【0068】
遅延は、一方向遅延時間、往復遅延時間(RTT)として定義することができる。パケットを複製又は冗長化するマルチパス技術を採用しているため、システム内でシーケンス番号が同一のパケットは、最もパフォーマンスの良いパケットのみ有効である。つまり、同一のシーケンス番号を有するパケットの場合、それらのマルチパス遅延は、選択したインターフェイスからの遅延の最小値となる。
【数3】
式中、I1,...,Iは、最終ステップで言及された選択されたインターフェイスである。Delay(s)は、インターフェイスiからのシーケンス番号sのパケットの遅延である。すべてのシーケンス番号のマルチパス遅延の平均は、パフォーマンスメトリックとして使用することができる。また、「停止確率」もパフォーマンスメトリックとして使用することができる。ここでは、閾値δを設定することができ、遅延が閾値を超えるパケットの比率を算出することができる。
【0069】
パケット損失率に関して、システム内の同一シーケンス番号を有するパケットの場合、そのうちの 1 つが受信機によって正常に受信された場合、パケットは正常に受信されたと標記される。式は次のように定義することができる。
【数4】
式中、I1,...,Iは選択されたインターフェイスである。 Loss(s)は、インターフェイスからのシーケンス番号 を有するパケットが受信機で受信されたかどうかを示す。その値は、パケットが消失した場合は1であり、パケットが消失していない場合は0である。したがって、パケット損失率(受信されなかった一意のパケット数/送信された一意のパケットの合計数)は、パフォーマンスメトリックとして使用することができる。
【0070】
上記の概念をよりよく説明するために、図8は、システム全体のパケットの全体的損失を示し、図9は、システム全体のパケットの全体的遅延を示す。図8に示すように、設定1で構成されたサブフロー1でパケット1が消失し、設定2で構成されたサブフロー2でパケット1を受信した場合、パケット1を受信したとみなす。また、設定1で構成されたサブフロー1でパケット2を受信し、設定2で構成されたサブフロー2でパケット2を消失した場合、パケット2を受信したとみなす。設定1で構成されたサブフロー1と設定2で構成されたサブフロー2の両方で消失したパケット3は、パケット3が消失したとみなす。
【0071】
図9に示すように、設定1で構成されるサブフロー1のパケット1の遅延は50ミリ秒であり、設定2で構成されるサブフロー2のパケット1の遅延は80ミリ秒であり、パケット1の全体的な遅延はすべてのサブフローの中で最も短い50ミリ秒であり、設定2で構成されたサブフロー2のパケット1の遅延は30ミリ秒であり、パケット2の全体的な遅延は30ミリ秒である。
【0072】
次に、異常又は切断間隔の決定は、次のように定義される。
【数5】
式中、I1,...,I は選択されたインターフェイスである。 AbnormalIntervals は、インターフェイス i からの異常間隔を示す。 AbnormalIntervalsとは、t<t<t<t の場合、[t,t],[t,t]などの数学的時間間隔の和集合であって良い。
図 6は、切断間隔のマルチパスパフォーマンスを視覚的に示す。
【0073】
図10は、システム全体に影響を与える相互に切断された区間の概念を示している。図10に示すように、実線は正常接続間隔であり、点線は任意のHOイベント中に発生する可能性がある異常切断間隔である。サブフロー1において、図10の例における切断間隔は、サブフロー2の切断間隔の少し前に発生する。相互切断間隔 M_DS は、サブフロー1の切断間隔とサブフロー2の切断間隔の間の重複である。
【0074】
本発明のマルチパス伝送の技術及び帯域ロックの技術の下では、相互に切断間隔1003の長さ(すなわち、すべてのサブフローが中断された期間)はシステム性能に影響を与えるが、単一のサブフローの切断間隔は、マルチパス伝送の技術によるデータパケットの冗長性により安全に保護される。その理由は、マルチパス伝送の技術では、その時点で正常なインターフェイスが少なくとも1つあれば、その瞬間の全体的なパフォーマンスは依然として正常であるからである。つまり、すべてのサブフローが同時に切断された場合にのみ、マルチパス全体が切断される。したがって、マルチパスのパフォーマンスは、次のようにさらに説明することができる。
【0075】
配置される最終的な無線通信装置のインターフェイスに最適な設定を選択するために、最小の損失関数値を有する設定を選択することによって、最良の相互性能を有する設定が実験で選択される。説明を簡単にするため、最終的な無線通信装置のサブフロー数を2とすると、図11のようなヒートマップを使用して、損失関数値を視覚化することができる。実際には、追加のヒートマップを描画して、さまざまな設定の組み合わせのパフォーマンスメトリックを視覚化することができる。図11に示すように、x軸がサブフロー1に使用される設定を表し、y軸がサブフロー2に使用される設定を表し、設定の総数がサブフロー1とサブフロー2の両方について実験されたと仮定すると、1つの設定の組み合わせが選択される。図11の例では、サブフロー1の設定1と、サブフロー2の設定3が、最良の待機時間性能を有する最良のペアリング1101として決定されたことが示されている。
【0076】
図6を参照すると、すべてのサブフローに対する最良の設定の組み合わせが決定された後、ステップS607において、そのような組み合わせは、展開される無線通信システムにおいて実施され得る。図12は、図11の最良のペアの組み合わせの実施を示す。そのため、サブフロー1は設定1で構成され、サブフロー 2 は設定3で構成される。
【0077】
以上の説明を考慮すると、本発明は、無線通信装置が頻繁にハンドオーバーを受ける可能性がある車両で使用するのに適している。本発明は、車両の外部に位置する基地局との無線通信を実現しながら、複数の無線トランシーバのハンドオーバープロセス間でのHO期間の重複を減らすことによって、ハンドオーバーの失敗とそれに関連するデータパケット損失の問題を軽減することができる。
【0078】
本発明で開示された実施形態の詳細な説明で使用される構成要素、行為、又は指示は、そのように明示的に記載されていない限り、本発明にとって絶対的に重要又は不可欠であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される不定冠詞「a」及び「an」のそれぞれは、複数の項目を含むことができる。1つの項目のみが意図されている場合、用語「a single」又は類似の言語が使用される。さらに、本明細書で使用される複数のアイテム及び/又はアイテムの複数のカテゴリの列挙の後に続く「いずれか」という用語は、「のいずれか」、「の任意の組み合わせ」、「の任意の倍数」、及び/又は「複数のアイテム及び/又はアイテムのカテゴリの任意の組み合わせ」を含み、個別に、または他のアイテム及び/又はアイテムの他のカテゴリと組み合わせて解釈されることを意図している。さらに、本明細書で使用される「セット」という用語は、ゼロを含む任意の数のアイテムを含むことを意図している。さらに、本明細書で使用される「数」という用語は、ゼロを含む任意の数を含むことを意図している。
【0079】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、開示された実施形態の構造に対して様々な修正及び変形を行うことができることは当業者にとって明らかである。上記を考慮して、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にある限り、本発明の修正及び変形を包含することが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、車両上のユーザに無線通信を提供するために車両上に配置することができる無線通信装置及び無線通信方法を提供する。
【符号の説明】
【0081】
100 無線通信装置
101 制御ノード
102 記憶装置
103 ディスプレイ
104 プロセッサ
111 第1の無線トランシーバ
112 第2の無線トランシーバ
11N 第N の無線トランシーバ
121 第1のアンテナモジュール
122 第2のアンテナモジュール
12N 第Nのアンテナモジュール
S201 方法ステップ
S202 方法ステップ
S203 方法ステップ
S204 方法ステップ
S205 方法ステップ
301 列車
302 基地局
303 無線トランシーバ
304 制御ノード
401 第1の通信経路
402 第2の通信経路
403 第3の通信経路
411 クライアント装置
412 サーバ
421 第1のデータパケット
422 第1のデータパケットの複製
423第1のデータパケットの別の複製
501 第1の通信経路
502 第2の通信経路
503 第3の通信経路
511 第1のハンドオーバー期間
512 第2のハンドオーバー期間
513 第3のハンドオーバー期間
S601~S607 方法ステップs
1001 第1のサブフロー
1002 第2のサブフロー
1003第1のサブフロー 1001と第2のサブフロー 1002の重複
1101 最適なペアリング設定
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12