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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】純水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/469 20230101AFI20241206BHJP
   B01D 61/44 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
C02F1/469
B01D61/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023100016
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2024-08-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶介
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 祐宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇規
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修久
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-034103(JP,A)
【文献】特開2012-239965(JP,A)
【文献】特開平11-221571(JP,A)
【文献】中国実用新案第204281389(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0233314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 1/78
B01D 61/00-71/82
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱イオン水製造装置同士の間に配置されている昇圧ポンプと、
前記昇圧ポンプと、当該昇圧ポンプの上流側に位置する前記脱イオン水製造装置との間に配置されている圧力計と、を有し、
前記昇圧ポンプおよび前記圧力計の上流側に位置する少なくとも1つの前記脱イオン水製造装置は、電気再生式の脱イオン水製造装置であり、
前記昇圧ポンプは、動作の開始と動作の停止の少なくとも一方が前記圧力計の測定値に基づいて行われることを特徴とする、純水製造装置。
【請求項2】
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作停止中に、前記圧力計の測定値が、第1の設定圧力値を下回る値から前記第1の設定圧力値以上に増加したときに動作を開始する、請求項1に記載の純水製造装置。
【請求項3】
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作中に、前記圧力計の測定値が、第2の設定圧力値を超える値から前記第2の設定圧力値以下に低下したときに動作を停止する、請求項1に記載の純水製造装置。
【請求項4】
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作停止中に、前記圧力計の測定値が、第1の設定圧力値を下回る値から前記第1の設定圧力値以上に増加したときに動作を開始し、前記第1の設定圧力値は前記第2の設定圧力値よりも大きい値である、請求項3に記載の純水製造装置。
【請求項5】
前記第2の設定圧力値は0.00MPa~0.05MPaの範囲内の値である、請求項3または4に記載の純水製造装置。
【請求項6】
前記第1の設定圧力値は0.02MPa~0.1MPaの範囲内の値である、請求項2または4に記載の純水製造装置。
【請求項7】
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作停止中に、当該昇圧ポンプの入口への送液を開始してからの経過時間が設定時間に到達したときに動作を開始する、請求項3に記載の純水製造装置。
【請求項8】
最前段に位置する前記脱イオン水製造装置の上流側に配置されている供給ポンプは、前記昇圧ポンプの動作の停止と同時に動作を停止する、請求項3,4,7のいずれか1項に記載の純水製造装置。
【請求項9】
複数の前記脱イオン水製造装置のうちの少なくとも1つの脱イオン水製造装置の通水差圧が0.20MPaより大きく、かつ前記昇圧ポンプの上流側に位置する前記脱イオン水製造装置の脱塩室の入口の圧力と前記昇圧ポンプの出口の圧力との合計が当該脱イオン水製造装置の脱塩室の入口の圧力値の1.5倍よりも大きい状態で、純水製造を行う、請求項1,2,3,4,7のいずれか1項に記載の純水製造装置。
【請求項10】
前記昇圧ポンプの上流側の前記脱イオン水製造装置の上流側に、当該脱イオン水製造装置へ被処理水を供給する通水ラインと最前段に位置する前記脱イオン水製造装置の上流側に配置されている供給ポンプの上流側に被処理水を戻す循環ラインとを切り替える切り替えバルブが設けられ、
前記昇圧ポンプの下流側の前記脱イオン水製造装置の下流側に、当該脱イオン水製造装置の外部へ処理水を送る通水ラインと、前記供給ポンプの上流側に処理水を戻すもう1つの循環ラインとを切り替える切り替えバルブが設けられ、
前記切り替えバルブのうちの少なくとも1つは三方弁である、請求項1,2,3,4,7のいずれか1項に記載の純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置や液晶装置を製造する際に、有機物、イオン成分、微粒子、細菌等の不純物が高度に除去された純水(超純水を含む)が洗浄水として使用されている。特に、半導体装置を含む電子部品の洗浄工程で使用される純水については、水質に対する要求が年々高まっている。とりわけ近年ではホウ素の低減が強く求められている。弱酸性成分であるホウ素は、逆浸透膜装置(以下「RO装置」という)や電気再生式の脱イオン水製造装置(以下「EDI装置」という)を用いて除去可能であることが知られている。近年では、特許文献1に開示されているように直列に接続された複数のEDI装置を用いた多段階処理、ならびにEDI装置と他の脱イオン水製造装置(例えばイオン交換樹脂装置やホウ素選択性樹脂装置など)とを組み合わせた多段階処理によって、処理水中のホウ素濃度を低減する方法が実用化されている。
【0003】
EDI装置は、イオン交換樹脂装置に比較して構造が複雑であり構成部材が多い高価な装置である。従って、純水製造の処理コストをできるだけ低く抑えるために、高流速で通水処理を行って単位時間あたりの処理水量を大きくすることが試みられている。多段階処理を行う場合にEDI装置の数が増加すると、流速の高速化の要求がより高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-34103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EDI装置を通過する液体の流速を速くすると、EDI装置の上流側と下流側の液体の圧力の差(通水差圧)が大きくなる。多段階処理によって純水製造を行う場合に、複数のEDI装置の各々を通過する液体の流速を速くすると、各EDI装置のそれぞれの通水差圧が大きくなる。複数のEDI装置の全てにおいて速い流速を実現する際には、通水差圧が大きくなることを考慮して、前段のEDI装置に供給する液体に、後段のEDI装置に供給する液体よりも高い圧力を加える必要がある。すなわち、前段のEDI装置には、それ自体の所望の通水差圧に後段のEDI装置の所望の通水差圧を加算して、より高圧の液体を供給する必要がある。その結果、前段のEDI装置に過剰に高い圧力の液体を供給することになり、EDI装置の損傷を招くおそれがある。特に、EDI装置は、一般的に、プラスチック製の枠体が積層された構造を有し、耐圧性能が比較的低いという構造上の特性を有しているため、高圧の液体が供給されると損傷し易いという傾向がある。そこで、前段のEDI装置の損傷を防ぐために過剰にならない程度の圧力の液体を供給すると、後段のEDI装置では十分に速い流速を実現できる供給水圧力が得られず、処理コストの抑制効果が小さくなる。なお、後段のEDI装置の代わりに他の脱イオン水製造装置(例えばイオン交換樹脂装置やホウ素選択性樹脂装置など)が設置された構成においても、前述した問題と同じ問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、各脱イオン水製造装置において十分に速い流速を実現するとともに、過剰に高い圧力が加わって脱イオン水製造装置が損傷することを抑えることができる純水製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の純水製造装置は、脱イオン水製造装置同士の間に配置されている昇圧ポンプと、前記昇圧ポンプと当該昇圧ポンプの上流側に位置する前記脱イオン水製造装置との間に配置されている圧力計と、を有し、前記昇圧ポンプおよび前記圧力計の上流側に位置する少なくとも1つの前記脱イオン水製造装置は、電気再生式の脱イオン水製造装置であり、前記昇圧ポンプは、動作の開始と動作の停止の少なくとも一方が前記圧力計の測定値に基づいて行われることを特徴とする。なお、この構成は、脱イオン水製造装置同士の間に、昇圧ポンプに加えてその他の装置(例えば紫外線酸化装置、タンク、ポンプ)も配置されている場合も含むものである。
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作停止中に、前記圧力計の測定値が、第1の設定圧力値を下回る値から前記第1の設定圧力値以上に増加したときに動作を開始してよい。
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作中に、前記圧力計の測定値が、第2の設定圧力値を超える値から前記第2の設定圧力値以下に低下したときに動作を停止してよい。そして、前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作停止中に、前記圧力計の測定値が、第1の設定圧力値を下回る値から前記第1の設定圧力値以上に増加したときに動作を開始し、前記第1の設定圧力値は前記第2の設定圧力値よりも大きい値であってよい。
前記第2の設定圧力値は0.00MPa~0.05MPaの範囲内の値であってよい。
前記第1の設定圧力値は0.02MPa~0.1MPaの範囲内の値であってよい。
前記昇圧ポンプは、当該昇圧ポンプの動作停止中に、当該昇圧ポンプの入口への送液を開始してからの経過時間が設定時間に到達したときに動作を開始してよい。
最前段に位置する前記脱イオン水製造装置の上流側に配置されている供給ポンプは、前記昇圧ポンプの動作の停止と同時に動作を停止してよい。
複数の前記脱イオン水製造装置のうちの少なくとも1つの脱イオン水製造装置の通水差圧が0.20MPaより大きく、かつ前記昇圧ポンプの上流側に位置する前記電気再生式の脱イオン水製造装置の脱塩室の入口の圧力と前記昇圧ポンプの出口の圧力との合計が当該電気再生式の脱イオン水製造装置の脱塩室の入口の圧力値の1.5倍よりも大きい状態で、純水製造を行ってよい。
前記昇圧ポンプの上流側の前記脱イオン水製造装置の上流側に、当該脱イオン水製造装置へ被処理水を供給する通水ラインと最前段に位置する前記脱イオン水製造装置の上流側に配置されている供給ポンプの上流側に被処理水を戻す循環ラインとを切り替える切り替えバルブが設けられ、前記昇圧ポンプの下流側の前記脱イオン水製造装置の下流側に、当該脱イオン水製造装置の外部へ処理水を送る通水ラインと、前記供給ポンプの上流側に処理水を戻すもう1つの循環ラインとを切り替える切り替えバルブが設けられ、前記切り替えバルブのうちの少なくとも1つは三方弁であってよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、各脱イオン水製造装置において十分に速い流速を実現するとともに、過剰に高い圧力が加わって脱イオン水製造装置が損傷することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
図2】脱塩室1室型のEDI装置の内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
図3】脱塩室2室型のEDI装置の内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
図4】第1の比較例の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
図6図5に示す純水製造装置を用いた純水製造時の各圧力計の測定値と経過時間との関係を示すグラフである。
図7】EDI装置の実際の流速の標準流速に対する比と脱塩室の通水差圧との関係を示すグラフである。
図8図5に示す純水製造装置の脱塩室2室型のEDI装置の脱塩室を模式的に示す断面図である。
図9】脱塩室1室型のEDI装置の脱塩室を模式的に示す断面図である。
図10】第2の比較例の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
図11図10に示す純水製造装置を用いた純水製造時の各圧力計の測定値と経過時間との関係を示すグラフである。
図12】本発明の第2の実施例の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
図13】本発明の第3の実施例の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
図14】本発明の第4の実施例の純水製造装置を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の純水製造装置の基本構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態の純水製造装置は、2つの脱イオン水製造装置1,2が直列に接続されており、これらの脱イオン水製造装置1,2の間に昇圧ポンプ3と圧力計4とが設けられている。前段の脱イオン水製造装置1は、EDI装置(電気再生式の脱イオン水製造装置)である。後段の脱イオン水製造装置2は、EDI装置であってもよく、他の脱イオン水製造装置(例えばイオン交換樹脂装置やホウ素選択性樹脂装置など)であってもよい。ただし、以下の説明では、一例として、前段の脱イオン水製造装置1と後段の脱イオン水製造装置2のいずれもEDI装置である例について説明する。
【0011】
EDI装置は、一般に、陽極と陰極との間に、1対のイオン交換膜で区画された脱塩室が設けられ、脱塩室にはイオン交換樹脂が充填された構成である。図2に例示するEDI装置1,2は、単一の脱塩室13を有する脱塩室1室型の構成であり、陽極18を備えた陽極室20と、陰極19を備えた陰極室21との間に、陽極室20の側から順に、濃縮室24、脱塩室13および濃縮室25が設けられている。陽極室20と濃縮室24はカチオン交換膜(CEM)26を隔てて隣接し、濃縮室24と脱塩室13はアニオン交換膜(AEM)22を隔てて隣接し、脱塩室13と濃縮室25はカチオン交換膜23を隔てて隣接し、濃縮室25と陰極室21はアニオン交換膜27を隔てて隣接している。脱塩室13には、イオン交換樹脂(一般的にはアニオン交換樹脂(AER)とカチオン交換樹脂(CER)とを含む)が充填されている。陽極室20にはカチオン交換樹脂が充填され、陰極室21にはアニオン交換樹脂が充填されている。このEDI装置1,2は、陽極18と陰極19との間に直流電圧を印加した状態で脱塩室13に被処理水が供給されたときに被処理水に対する脱塩(脱イオン)処理を行い、その結果、イオン成分が除去された水が処理水として脱塩室13から排出される。脱塩室13において被処理水から除去されたイオン成分のうちアニオン成分は、脱塩室13において陽極18側に設けられているアニオン交換膜22を介して濃縮室24に移動する。カチオン成分は、脱塩室13において陰極19側に設けられているカチオン交換膜23を介して濃縮室25に移動する。濃縮室24,25は、濃縮室供給水が供給されて濃縮水を排出する。陰極室21には電極室供給水が供給され、陰極室21に供給された電極室供給水は、陰極室21を通過した後に陽極室20に供給され、陽極室20から電極水として排出される。なお、カチオン交換膜26およびアニオン交換膜27を無くして、濃縮室24,25が電極室(陽極室および陰極室)を兼ねる構成にすることもできる。
【0012】
図3に例示するEDI装置1,2は、イオン交換膜(アニオン交換膜)12を介して隣接する2つの脱塩室13を有する脱塩室2室型の構成であり、陽極18を備えた陽極室20と、陰極19を備えた陰極室21との間に、陽極室20の側から順に、濃縮室24、2つの脱塩室13および濃縮室25が設けられている。陽極18と陰極19との間に位置する2つの脱塩室13のうちの陽極18側の脱塩室13は、アニオン交換膜12,22によって区画され、イオン交換樹脂(少なくとも一部がアニオン交換樹脂で構成されている)が充填されている。陰極19側の脱塩室13は、アニオン交換膜12とカチオン交換膜23とによって区画され、イオン交換樹脂(少なくとも一部がカチオン交換樹脂で構成されている)が充填されている。その他の構成は、図2に示す脱塩室1室型の構成と同様であるため説明を省略する。このEDI装置1,2では、陽極18と陰極19との間に直流電圧を印加した状態で、陽極18側の脱塩室13に被処理水が供給されて脱塩(脱イオン)処理を行った後に、陰極19側の脱塩室13に移動させて再び脱塩処理を行い、イオン成分が除去された水が処理水として陰極19側の脱塩室13から排出される。濃縮室24,25、陰極室21、陽極室20における処理は、図2に示す脱塩室1室型の構成と同様であるため説明を省略する。なお、通水方向を、図3に示す例と逆にして、陰極19側の脱塩室13に被処理水が供給されて脱塩(脱イオン)処理を行った後に、陽極18側の脱塩室13に移動させて再び脱塩処理を行い、イオン成分が除去された水が処理水として陽極18側の脱塩室13から排出されるようにすることもできる。
【0013】
図1に示す本実施形態の純水製造装置では、圧力計4は昇圧ポンプ3の入口側(上流側)に接続されている。前段のEDI装置1(図1に示す例では最前段に位置するEDI装置)の上流側に被処理水のタンク5が接続されており、前段のEDI装置1とタンク5との間に供給ポンプ6が配置されている。従って、上流側から、タンク5、供給ポンプ6、前段のEDI装置1、圧力計4、昇圧ポンプ3、後段のEDI装置2が、この順番で接続されている。そして、後段のEDI装置2の出口から純水が送出される。昇圧ポンプ3は、動作の開始と動作の停止の少なくとも一方が圧力計4の測定値に基づいて行われる。本明細書では、便宜上、前段のEDI装置1に供給される水を被処理水と言い、前段のEDI装置1を通過して後段のEDI装置2に供給される水を中間処理水と言う。全てのEDI装置1,2を通過した水を処理水または純水と言う。
【0014】
本実施形態の純水製造装置の動作について説明する。最初に供給ポンプ6の動作を開始して前段のEDI装置1に通水する。それにより、前段のEDI装置1の下流側に位置する圧力計4の測定値が上昇し始める。そして、昇圧ポンプ3の動作停止中に、圧力計4の測定値が、所定の値(第1の設定圧力値)を下回る値から第1の設定圧力値以上に増加したときに、昇圧ポンプ3の動作を開始する。それにより、後段のEDI装置2に十分な量の中間処理水が供給されるようになる。こうして、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2とが動作して純水の製造が行われる。
【0015】
以上説明した本実施形態の純水製造装置の作用効果について説明する。まず、本実施形態と対比するための第1の比較例の純水製造装置について説明する。図4に示す第1の比較例の純水製造装置では、第1の実施形態と同様に、上流側から、タンク5、供給ポンプ6、前段のEDI装置1、後段のEDI装置2が、この順番で直列に接続されている。ただし、圧力計4と昇圧ポンプ3は存在しない。本比較例の純水製造装置の供給ポンプ6が動作を開始すると、タンク5から前段のEDI装置1および後段のEDI装置2に通水し、純水の製造が行われる。この構成において、処理コストの低減等のためにEDI装置1,2の各々において所望の流速が実現する時の通水差圧(所望の通水差圧)がそれぞれX1,X2であると仮定する。そして、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力をIP1、後段のEDI装置2の出口から送出される純水の圧力をOPとする。圧力OPは、この純水製造装置の定常運転において製造されて送出される純水の所望の圧力である。前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力IP1は、IP1=OP+X1+X2という計算で求められる。すなわち、この圧力IP1は、圧力OPに、前段のEDI装置1の所望の流速が実現する時の通水差圧X1と後段のEDI装置2の所望の流速が実現する時の通水差圧X2とを加算した圧力であり、比較的高い圧力である。実際には、経路(通水ライン)中の圧力損失も考慮する必要があるため、圧力IP1はさらに高い圧力である必要がある。このように圧力IP1は非常に高い圧力であるため、前段のEDI装置1が損傷する可能性がある。なお、前段のEDI装置1の所望の流速が実現する時の通水差圧X1と後段のEDI装置2の所望の流速が実現する時の通水差圧X2とが一致する場合もある。
【0016】
これに対し、図1に示す本発明の第1の実施形態では、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間に昇圧ポンプ3が介在している。この昇圧ポンプ3によって中間処理水の圧力がYだけ上昇する場合、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力IP2は、IP2=OP+X1+X2-Yという計算で求められる。この圧力IP2は、昇圧ポンプ3による圧力上昇値Yだけ、第1の比較例の圧力IP1よりも小さい。従って、この構成では、各EDI装置1,2の所望の流速をそれぞれ実現して処理コストの低減を図れるとともに、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力IP2を低く抑えて前段のEDI装置1の損傷を防ぐことができる。
【0017】
前述した通り、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間に昇圧ポンプ3を設けることにより、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力IP2を低く抑えることができる。ただし、供給ポンプ6および昇圧ポンプ3はいずれも、動作開始してから定常動作状態になるまでにある程度の時間を要する。そのため、供給ポンプ6の動作を開始させて前段のEDI装置1への通水を開始した後に昇圧ポンプ3の動作を開始させるタイミングが重要である。供給ポンプ6の動作を開始させて前段のEDI装置1への通水を開始し、昇圧ポンプ3の動作を開始していない状態では、昇圧ポンプ3の上流側に供給される中間処理水の圧力が上昇する。仮に昇圧ポンプ3の動作を開始させるタイミングが遅れると、昇圧ポンプ3の上流側の圧力が過剰に高くなるため、前段のEDI装置1にかかる圧力も高くなりEDI装置1が損傷する可能性がある。一方、昇圧ポンプ3の動作を開始させると、前段のEDI装置1を通過した中間処理水は、昇圧ポンプ3の作用により後段のEDI装置2へ即座に送られる。その結果、昇圧ポンプ3の上流側における中間処理水の圧力が低下する。仮に昇圧ポンプ3の動作を開始させるタイミングが早過ぎると、昇圧ポンプ3の上流側における中間処理水の圧力が低くなり過ぎて負圧になり、昇圧ポンプ3の動作不良やEDI装置1の損傷を引き起こす可能性がある。その結果、後段のEDI装置2に十分な通水が行えず、良好な純水製造が行えなくなる。
【0018】
このように、供給ポンプ6の動作を開始させて前段のEDI装置1への通水を開始した後に昇圧ポンプ3の動作を開始させるタイミングが早過ぎても遅過ぎても、良好な純水製造が困難になったり、EDI装置1,2の損傷を引き起こしたりする可能性がある。そこで、供給ポンプ6の動作を開始させてから一定の時間が経過した時点で昇圧ポンプ3の動作を開始させることが考えられる。ただし、供給ポンプ6の動作開始からの経過時間と、昇圧ポンプ3における液体の圧力変化との関係は、必ずしも一定ではなくばらつきが生じる場合があることが実験的に判明した。純水製造装置の動作停止時の状態や送水先の装置の状況などが一定では無いため、タイマーを用いて供給ポンプ6の動作開始からの経過時間に基づいて昇圧ポンプ3の動作を開始するタイミングを調整しようとしても、好適なタイミングで昇圧ポンプ3の動作を開始させられない場合がある。そこで、本発明の第1の実施形態では、前段のEDI装置1と昇圧ポンプ3との間に、中間処理水の圧力を測定する圧力計4を配置した。そして、圧力計4の測定値が所定の値(第1の設定圧力値)に到達した時点で、昇圧ポンプ3の動作を開始させるようにしている。それにより、供給ポンプ6の動作開始からの経過時間にかかわらず、後段のEDI装置2の上流側および昇圧ポンプ3の上流側が適切な圧力になった時点で昇圧ポンプ3の動作が開始する。
【0019】
また、昇圧ポンプ3の動作開始後に、何らかの理由で昇圧ポンプ3の上流側における中間処理水の圧力が低くなると、前述した通り昇圧ポンプ3の動作不良や中間処理水の負圧化を引き起こす可能性がある。そこで、本実施形態では、昇圧ポンプ3の動作中に、圧力計4の測定値が所定の値(第2の設定圧力値)を超える値から第2の設定圧力値以下に低下したときに、昇圧ポンプ3の動作を停止させる。さらに、昇圧ポンプ3の動作停止と同時に供給ポンプ6の動作も停止する。こうして、昇圧ポンプ3と供給ポンプ6とを同時に停止することで、EDI装置1,2への通水が停止して純水の製造が停止する。それにより、停止時における圧力変動を抑制することが可能になり、品質が不十分な純水が製造されることや、EDI装置1,2が損傷することが抑制できる。一例では、第1の設定圧力値は0.02MPa~0.1MPaの範囲内の値であり、第2の設定圧力値は0.00MPa~0.05MPaの範囲内の値であって、第1の設定圧力値は第2の設定圧力値よりも大きいことが好ましい。また、通常の運転停止時にも、昇圧ポンプ3と供給ポンプ6とを同時に停止することで、装置の損傷を防止して安定して運転を停止することができる。このように、EDI装置1,2の間に配置されている昇圧ポンプ3の動作の開始と動作の停止が、圧力計4の測定値に基づいて行われることが好ましい。ただし、昇圧ポンプ3の動作の開始のみが圧力計4の測定値に基づいて行われる構成や、昇圧ポンプ3の動作の停止のみが圧力計4の測定値に基づいて行われる構成も、ある程度の効果が得られるため好ましい。それらの構成も本発明の範囲に含まれる。
【0020】
図1に示すように、昇圧ポンプ3の上流側に脱イオン水製造装置が1つだけ設置されている場合には、その脱イオン水製造装置がEDI装置1であって、そのEDI装置1と昇圧ポンプ3との間に圧力計4が配置されている。図示しないが、仮に、昇圧ポンプ3の上流側に複数の脱イオン水製造装置が設置されている場合には、それらの脱イオン水製造装置のうち少なくとも1つの脱イオン水製造装置、好ましくは昇圧ポンプ3に最も近接する脱イオン水製造装置がEDI装置1であって、そのEDI装置1と昇圧ポンプ3との間に圧力計4が配置される。図示しないが、好適な一形態として、上流側から、タンク5、供給ポンプ6、RO装置(図示せず)、前段のEDI装置1、圧力計4、昇圧ポンプ3、後段のEDI装置2が、この順番で接続されている構成を採用することもできる。
【0021】
[第2の実施形態]
図5に示す本発明の第2の実施形態に係る純水製造装置は、第1の実施形態の純水製造装置と同様に、タンク5、供給ポンプ6、前段のEDI装置1、圧力計4b、昇圧ポンプ3、後段のEDI装置2を含んでいる。それに加えて、本実施形態では、供給ポンプ6と昇圧ポンプ3にそれぞれインバータ7が接続されており、設定の周波数に到達するまでの加速時間が2秒~10秒、より好ましくは2秒~6秒になるように制御されている。また、本実施形態の純水製造装置では、第1の実施形態と同様に前段のEDI装置1の下流側であって昇圧ポンプ3の上流側に圧力計4bが接続されるのみならず、前段のEDI装置1の上流側に圧力計4aが、後段のEDI装置2の上流側であって昇圧ポンプ3の下流側の位置に圧力計4cが、後段のEDI装置2の下流側に圧力計4dがそれぞれ接続されている。さらに、前段のEDI装置1の上流側であって供給ポンプ6と圧力計4aとの間の位置に水質計8aが配置され、前段のEDI装置1の下流側かつ後段のEDI装置2の上流側であって昇圧ポンプ3と圧力計4cとの間の位置に水質計8bが配置され、後段のEDI装置2の下流側であって圧力計4dの下流側の位置に水質計8cが配置されている。なお、水質計8aで測定する水質条件と、水質計8b,8cで測定する水質条件とは、清浄さ(不純物の少なさ)のレベルの差が大きいため、水質計8aと水質計8b,8cとは異なるタイプの水質計である。具体的には、水質計8aは、単位μS/cmで表わされる電気伝導率の測定を行い、数値が小さいほど清浄である。一方、水質計8b,8cは、単位MΩ・cmで表わされる比抵抗値の測定を行い、数値が大きいほど清浄である。そして、本実施形態の純水製造装置では、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2が直列に接続されている通水ラインに加えて、2系統の循環ラインが設けられている。具体的には、前段のEDI装置1の上流側であって水質計8aと圧力計4aとの間の位置に切り替えバルブの1種である三方弁9aが設けられ、この三方弁9aからタンク5へ被処理水を戻す戻り経路10が設けられている。さらに、後段のEDI装置2の下流側であって水質計8cの下流側の位置にも切り替えバルブの1種である三方弁9bが設けられ、この三方弁9bからタンク5へ処理水を戻す戻り経路11が設けられている。なお、後段のEDI装置2を他の脱イオン水製造装置(例えばイオン交換樹脂装置やホウ素選択性樹脂装置など)に変更することも可能である。前段のEDI装置1の上流側であって水質計8aと圧力計4aとの間の位置に設けられている切り替えバルブと、後段のEDI装置2の下流側であって水質計8cの下流側の位置に設けられている切り替えバルブは、少なくとも一方が三方弁であることが好ましく、両方が三方弁であることがより好ましい。
【0022】
本実施形態の純水製造装置による純水の製造方法について説明する。作業開始からの経過時間と、各圧力計4a~4dによって測定される圧力値との関係を図6に示している。まず、供給ポンプ6を起動する。この時、三方弁9aは下流側への経路(通水ライン)を遮断し、戻り経路10を開放している。それにより、被処理水の循環が行われる(ステップS1)。これを通水前循環という。供給ポンプ6の直ぐ下流側の水質計8aの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS2)、所定の水質条件(例えば10μS/cm以下)をクリアした時点T1で、三方弁9aを切り替えて下流側へ被処理水を流す。それにより、前段のEDI装置1に通水して被処理水を脱塩する(ステップS3)。前段のEDI装置1への通水と並行して、昇圧ポンプ3の入口側(上流側)の圧力計4bによる圧力測定を継続的または断続的に行い(ステップS4)、その測定値が第1の設定圧力値(例えば0.02MPa)まで上昇した時点T2で、昇圧ポンプ3の動作を開始する。それにより、後段のEDI装置2に通水して中間処理水をさらに脱塩する(ステップS5)。この段階では、三方弁9bは下流側(純水製造装置の出口)への経路を遮断し、戻り経路11を開放している。そして、昇圧ポンプ3の出口側(下流側)の水質計8cの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS6)、条件(例えば18MΩ・cm以上)をクリアした時点T3で、三方弁9bを切り替えて下流側へ処理水を流す(ステップS7)。こうして、本実施形態の純水製造装置による純水の製造が行われる。その後、図6には示していないが、昇圧ポンプ3の入口側(上流側)の圧力計4bによる圧力測定値が第2の設定圧力値(例えば0.01MPa)以下になると、供給ポンプ6と昇圧ポンプ3の動作を停止させる。
【0023】
このように、本実施形態の純水製造装置でも、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間に位置する昇圧ポンプ3の動作を、その昇圧ポンプ3の入口側に位置する圧力計4bの測定値が第1の設定圧力値以上になった時に開始する。その後、圧力計4bの測定値が第2の設定圧力値以下になると動作を停止する。ただし、本実施形態の変形例として、供給ポンプ6が起動して前段のEDI装置1への通水を開始して昇圧ポンプ3の入口側に中間処理水を供給し始めてから、すなわち前段のEDI装置1から後段のEDI装置2への通水を開始してから、所定の時間が経過した時点で、昇圧ポンプ3の動作を開始させてもよい。この所定の時間は、1秒~10秒の範囲内、より好ましくは1秒~6秒の範囲内で適切に設定される。この所定の時間(昇圧ポンプ3を起動するまでの経過時間)や、インバータ7によって制御される加速時間は、通水する流量や配管口径等に応じて適切に設定される。具体的には、処理流量(通水流量)および配管口径が大きいと、昇圧ポンプ3を起動するまでの経過時間や加速時間を長くするように調整することが好ましい。例えば、配管口径が65Aで20m3/h程度の処理流量の場合には、昇圧ポンプ3を起動するまでの経過時間は2秒程度、インバータの加速時間は5秒程度の設定が好ましい。この制御方法により、EDI装置1,2よりも前段の処理状況やEDI装置1,2よりも後段における純水の送水先の状況に応じて変わる起動時の状況変動に応じた適切なタイミングで、昇圧ポンプ3の動作を制御することができ、特に前段のEDI装置1に加わる圧力の極端な変動を抑制することが可能になる。さらに、本実施形態では、昇圧ポンプ3の入口側(上流側)の圧力が低下した場合に供給ポンプ6と昇圧ポンプ3の動作を停止させる。それにより、装置停止時における圧力変動も抑制することができる。
【0024】
本実施形態では、EDI装置1,2に通水する通水ライン(供給ライン)に加えて、被処理水をタンク5へ戻す循環ライン(戻り経路10)が設けられている。純水製造装置の起動に際して、最初は前段のEDI装置1に被処理水を供給することなくタンク5へ循環させる。そして、前段のEDI装置1の上流側に位置する水質計8aによって被処理水の水質確認を行い、水質条件をクリアした後で、循環ラインから通水ラインに切り替えて純水の製造を開始する。この構成によると、前段のEDI装置1を通過した中間処理水の水質検査を行う必要がなく、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間からタンク5に戻す循環ラインを設ける必要はない。そして、安定した起動が実現できる。特に、このような循環ラインと通水ラインとの切替を三方弁9aを用いて行うと、2つのラインの切り替えを完全に同期して行うことが可能になる。弁の開閉のタイミングのずれや開閉度合いのばらつきが生じることが抑えられるため、循環ラインと通水ラインとの切替時の一時的な流量の変動や圧力の変動を抑えることができる。この三方弁9aは、切り替え動作時に全閉となるタイミングが無いものであって、中間の開度にて全ての経路がつながる構造であるものが好ましい。例えば、日本バルブコントロールズ株式会社製のL3型三方弁などが挙げられる。それにより、閉止している時間が長い弁ができるだけ存在しないようにして、弁が固着して再作動時の動作が鈍くなることを抑制することができる。
【0025】
後段のEDI装置2の下流側からタンク5に処理水を戻す循環ライン(戻り経路11)も設けられている。この純水製造装置で製造された純水の用途に応じた水質と、製造された純水を受け入れるタンク(図示せず)の容量等に応じて、純水製造装置から処理水を送出するか、タンク5に戻して循環させるかを決定する。この切替にも三方弁9bを用いることにより、三方弁9aに関して前述した効果と同様な効果が得られる。
【0026】
なお、図示しないが、通水ライン内の前段のEDI装置1の上流側等に、リリーフバルブを設けて、起動時の一時的な圧力増加が生じた際の圧力を逃がすようにして、前段のEDI装置1に過剰な圧力が加わることを防止することができる。リリーフバルブは、通水ラインから被処理水を排出するか、またはタンク5等の容器に被処理水を戻すものであってよい。
【0027】
[本発明の作用効果]
EDI装置は、直流電流が通電されて連続的に電気再生を行なえるため、一般的なイオン交換樹脂装置に比べて樹脂体積当たりの流量(空間速度:SV)が大きく、150~250h-1程度の流速で運用されるのが一般的であり、その際の通水差圧は0.09~0.15MPa程度である。複数のEDI装置を用いた多段階処理による純水製造を行う場合に、各EDI装置のそれぞれの流速を高速化して処理効率を高め、処理コストの低減を図ることが考えられる。例えば、図7のグラフに例示するように、従来のEDI装置を、例えばカタログなどに記載されている仕様上の標準流量(Standard-Flow、Nominal-Flowとも言う)の1.3倍~1.5倍程度の流量で運転すると、各EDI装置のそれぞれの通水差圧も1.3~1.5倍程度に高くなる。一例としては、EDI装置の処理流量が標準流量の1.2倍を超えると、脱塩室の入口と出口との差圧は0.2MPa以上になる。各EDI装置によって具体的な数値はある程度変動するとしても、このように処理流量が増加すると、それに伴って脱塩室の入口と出口との差圧も増加するという関係性は変わらない。そして、複数のEDI装置を直列に接続して1つの供給ポンプから被処理水を供給する場合、前段のEDI装置には、後段のEDI装置の差圧も加算された高い圧力の被処理水を供給する必要がある。
【0028】
「JIS B 8265圧力容器の構造」によると、耐圧試験における試験圧力は、水圧の場合、使用圧力の1.5倍と規定されている。従って、EDI装置に供給される処理水の流速を速くすることで、定常運転時の供給水圧力(前記使用圧力)の1.5倍を超えた圧力が加わると、EDI装置の耐圧性能を超えて、EDI装置が損傷してしまうおそれがある。EDI装置を高流速で運転するための条件としては、脱塩室のイオン交換樹脂の体積あたりの空間速度SVが300~450[h-1]となるように通水し、電流密度が0.8~1.2[A/dm2]となる電流を流し、脱塩室の通水差圧が0.2~0.3[MPa]になるようにすることが好ましい。
【0029】
本発明では、通水ライン内で前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間に昇圧ポンプ3が設けられている。これにより、通水ラインを流れる途中で中間処理水の圧力が上昇させられるため、前段のEDI装置1に供給する時点で、被処理水に、2つのEDI装置1,2のそれぞれの通水差圧を含む高い圧力を持たせておく必要がない。ただし、前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間に昇圧ポンプ3が設けられている構成において、高流速でEDI装置に通水する際に、供給ポンプ6の起動から昇圧ポンプ3の起動までの時間が遅いと、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力が一時的に高くなり過ぎるおそれがある。逆に、供給ポンプ6の起動から昇圧ポンプ3の起動までの時間が早過ぎると、昇圧ポンプ3の入口側における中間処理水の圧力が低過ぎて、負圧になってしまうおそれがある。従って、供給ポンプ6を起動した後に昇圧ポンプ3を起動させるタイミングが重要である。昇圧ポンプ3を起動させるタイミングは、供給ポンプ6を起動してからの経過時間によって決定することも可能である。すなわち、昇圧ポンプ3の動作停止中に、昇圧ポンプ3の入口への送液を開始してからの経過時間が設定時間に到達したときに昇圧ポンプ3の動作を開始させてもよい。ただし、昇圧ポンプ3を起動させるタイミングを、昇圧ポンプ3の入口側における圧力によって決定することがより好ましい。これにより、EDI装置1,2の損傷を抑制しつつ、比較的速い流速で通水して効率良く純水の製造が行え、その処理コストを抑えることができる。
【実施例
【0030】
[第1の実施例]
本発明の第1の実施例について説明する。本実施例では、図5に示す第2の実施形態の純水製造装置を用いて純水の製造を行った。本実施例のEDI装置1,2は、図3,8に模式的に示すように、イオン交換膜12を介して隣接する2つの脱塩室13を有する脱塩室2室型の装置である。このような脱塩室2室型の2つのEDI装置1,2を用い、図5に示すような純水製造装置を作製した。前段のEDI装置1も後段のEDI装置2も、脱塩室13の空間速度SVを高流速条件である320[h-1]に設定し、電流値を1.0[A/dm2]に設定して、前述したステップS1~S7を実施した。空間速度SVは、脱塩室13内に収容されたイオン交換樹脂の体積(脱塩室13の容積と実質的に一致する)で、その脱塩室13を通る液体の流量(単位時間あたりの流量)を割った値である。昇圧ポンプ3に接続されたインバータ7の加速時間は5秒に設定した。本実施例における起動時(供給ポンプ6の動作開始時)からの経過時間と圧力の関係は、図6に示す通りである。
【0031】
純水の製造にあたり、供給ポンプ6を起動し、前段のEDI装置1の上流側からタンク5に戻る被処理水の循環を行う(ステップS1)。供給ポンプ6の直ぐ下流側の水質計8aの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS2)、その測定値が設定値(例えば10μS/cm)以下になった時点T1で三方弁9aを切り替えて前段のEDI装置1に通水する(ステップS3)。昇圧ポンプ3の入口側(上流側)の圧力計4bの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS4)、その測定値が第1の設定圧力値(例えば0.02MPa)まで上昇した時点T2で、昇圧ポンプ3の動作を開始して、後段のEDI装置2に通水する(ステップS5)。昇圧ポンプ3の出口側(下流側)の水質計8cの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS6)、その測定値が設定値(例えば18MΩ・cm)以上になった時点T3で、三方弁9bを切り替えて下流側へ処理水を流す(ステップS7)。図6に示すように、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力(圧力計4aの測定値)は、昇圧ポンプ3の動作開始時の付近で最大値(0.28MPa)になり、その後に測定値は低下して定常状態(0.25MPa)になる。なお、昇圧ポンプ3に起動信号が入力されてから給水が始まって吐出するまで(モーターの回転数が十分に上昇するまで)にタイムラグが存在すると、昇圧ポンプ3に起動信号が入力された後に被処理水の圧力が最大値になる。さらに、図6に示す例では、圧力計4aの測定が断続的に(0.5秒間隔で)行われており、実際の圧力が最大値になるタイミングと、圧力計4aの測定を行うタイミングとの間にずれ(タイムラグ)が生じた結果、昇圧ポンプ3の動作開始後に圧力計4aの測定値が最大値になっているように見える。ただし、これらのタイムラグが無視できる場合、理論的には、昇圧ポンプ3の動作開始前に被処理水の圧力は最大値になり、昇圧ポンプ3が起動すると少しずつ被処理水の圧力が低下すると考えられる。このようにして被処理水の圧力が一定になった定常状態において、純水の製造が継続的に行われる。すなわち、前段のEDI装置の上流側における最大圧力(0.28MPa)は、定常状態における圧力(0.25MPa)の1.12倍程度に抑えられた。この程度の圧力上昇では、EDI装置1が圧力によって損傷する可能性は非常に低い。なお、本実施例の前段のEDI装置1の通水差圧は0.2MPaであり、後段のEDI装置2の通水差圧は0.19MPaであった。なお、脱塩室13内に充填するイオン交換樹脂として粒径が比較的小さい樹脂(例えば平均粒径が100~400μmの樹脂)を用いると、粒径が大きい樹脂(例えば平均粒径が400μmより大きい樹脂)を用いる場合に比べて通水差圧が上昇する。従って、イオン交換樹脂として粒径が比較的小さい樹脂(例えば平均粒径が100~400μmの樹脂)を用いる場合に、本発明を採用して前段のEDI装置1に過剰に高い圧力が加わることを防ぐことが特に好適である。
【0032】
図8に示すような脱塩室2室型のEDI装置の場合には、水の流れる方向における上流側(陽極側)の脱塩室13の入口部分の被処理水の圧力と、下流側(陰極側)の脱塩室13の出口部分の処理水の圧力との差が通水差圧である。そして、脱塩室2室型のEDI装置では、一方の脱塩室13内に収容されたイオン交換樹脂の体積V1[L]で、その脱塩室13を通る液体の流量Q[L/h]を割った値Q/V1[h-1]が、その脱塩室13の空間速度SVであり、他方の脱塩室13内に収容されたイオン交換樹脂の体積V2[L]で、その脱塩室13を通る液体の流量Q[L/h]を割った値Q/V2[h-1]が、その脱塩室13の空間速度SVである。
【0033】
本実施例のEDI装置1,2として、図3,8に示すような脱塩室2室型ではなく、図2,9に示すような脱塩室1室型のEDI装置を用いることもできる。脱塩室1室型のEDI装置の場合には、単一の脱塩室13の入口部分の被処理水の圧力と出口部分の処理水の圧力との差が通水差圧である。そして、単一の脱塩室13内に収容されたイオン交換樹脂の体積V[L]で、その脱塩室13を通る液体の流量Q[L/h]を割った値Q/V[h-1]が、空間速度SVである。本実施例において、脱塩室1室型のEDI装置を用いた純水製造装置を採用した場合にも、前述した脱塩室2室型のEDI装置を用いた純水製造装置を採用した場合の効果(速い流速を実現しつつEDI装置1,2の損傷を抑えること)と同様な効果が得られる。また、脱塩室1室型のEDI装置を用いた純水製造装置においても、脱塩室13内に充填するイオン交換樹脂として粒径が比較的小さい樹脂を用いると、大きな通水差圧になるため、本発明を採用して前段のEDI装置1に過剰に高い圧力が加わることを防ぐことが特に好適である。例えば、空間速度SVが150~450[h-1]という条件で運転される脱塩室1室型のEDI装置においても、脱塩室13に充填する樹脂の少なくとも一部に平均粒径が100~400μmの樹脂を用いる場合に、本発明を採用して前段のEDI装置1に過剰に高い圧力が加わることを防ぐことが特に好適である。
【0034】
[第2の比較例]
前述した第1の実施例と対比する第2の比較例として、図10に示す純水製造装置を用いて純水を製造した。この純水製造装置は、三方弁9aの代わりに2つの切替弁14a,14bの組み合わせを用い、三方弁9bの代わりに2つの切替弁14c,14dの組み合わせを用いた。それ以外は、図5に示す純水製造装置と実質的に同じ構成である。そして、本比較例では、昇圧ポンプ3の動作を開始させるタイミングを、前述した実施例から変更した。作業開始からの経過時間と、各圧力計4a~4dによって測定される圧力値との関係を図11に示している。前述した実施例と同様に、供給ポンプ6を起動し(ステップS1)、水質計8aの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS2)、その測定値が設定値(例えば10μS/cm)以下になった時点T1で、前段のEDI装置1に通水する(ステップS3)。そして、前段のEDI装置1に通水開始してからの経過時間を測定し(ステップS4’)、経過時間が4秒に到達した時点T2’で昇圧ポンプ3の動作を開始して後段のEDI装置2に通水する(ステップS5)。昇圧ポンプ3の出口側の水質計8cの測定値を継続的または断続的に確認し(ステップS6)、その測定値が設定値(例えば18MΩ・cm)以上になった時点T3で、下流側へ処理水を流す(ステップS7)。本比較例の定常運転時における各EDI装置1,2の通水差圧や、各EDI装置1,2に供給される被処理水の圧力の関係は前述した第1の実施例と同じであるが、図11に示すように、前段のEDI装置1に供給される被処理水の圧力(圧力計4aの測定値)の最大値は、0.48MPaであった。これは前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.25MPa)の1.92倍であり、EDI装置1の損傷を引き起こす可能性がある。このように被処理水の圧力が大きくなったのは、各切替弁14a~14dが別々に動作して同期が不完全であったことや、昇圧ポンプ3が起動して安定した定常動作に到達するまでに時間がかかる(例えば5秒程度の時間を要する)ことが原因の一部であると考えられる。これに対し、供給ポンプ6を起動してから昇圧ポンプ3の動作を開始するまでの時間を短くすることで、圧力上昇を低く抑えることが考えられる。しかし、その時間を短くし過ぎると、昇圧ポンプ3の入口側が負圧になり、良好な通水が行えなくなる。
【0035】
[第1の実施例と第2の比較例との対比]
前述したように、第2の比較例では、良好な通水を行いつつEDI装置1,2が損傷する可能性を低く抑えることは容易ではない。これは、昇圧ポンプ3の動作を開始するタイミングを適切に設定することが難しいからである。しかし、前述した本発明の実施例のように、昇圧ポンプ3の動作開始を経過時間ではなく圧力計4bの測定値によって決定すると、良好なタイミングで昇圧ポンプ3の動作を開始させて、EDI装置1,2の損傷を抑えつつ良好な純水製造を行うことがより容易にできる。
【0036】
[第2の実施例]
本発明の第2の実施例の純水製造装置について、図12を参照して説明する。図5に示す第1の実施例の純水製造装置の前段のEDI装置1と後段のEDI装置2との間、より詳しくは昇圧ポンプ3と後段のEDI装置2との間には、1つ以上の構成要素が設置されてもよい。本実施例の純水製造装置では、一例として、昇圧ポンプ3の直ぐ下流側の水質計8bと、圧力計4cとの間に、圧力計4eと、ホウ素選択性樹脂装置(EDI装置とは異なる種類の脱イオン水製造装置)17と、紫外線酸化装置15と、イオン交換樹脂装置(カートリッジポリッシャー、EDI装置とは異なる種類の脱イオン水製造装置)16とが、この順番に配置されている。それ以外の構成は第1の実施例の純水製造装置と同様であるため説明を省略する。本実施例の純水製造装置を用いて、第1の実施例と同じステップS1~S7を行って純水を製造した。その純水製造時の定常状態における圧力計4aの測定値は0.31MPa、圧力計4bの測定値は0.11MPa、圧力計4cの測定値は0.26MPa、圧力計4dの測定値は0.07MPaであり、昇圧ポンプ3の出口における圧力計4eの測定値は0.46MPaであった。この時の前段のEDI装置1の通水差圧は0.2MPaであり、後段のEDI装置2の通水差圧は0.19MPaであった。
【0037】
前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.31MPa)と、昇圧ポンプ3の後段の装置のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.46MPa)との合計は、0.31MPa+0.46MPa=0.77MPaである。これは前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.31MPa)の2.48倍であり、仮にこの圧力の被処理水がEDI装置1に供給されるとEDI装置1の損傷を引き起こす可能性が大きい。しかし、本実施例では昇圧ポンプ3が通水ライン内で液体の圧力を上昇させるため、EDI装置1に供給される液体の圧力を小さくすることができ、EDI装置1の損傷を抑制できる。なお、本実施例の純水製造装置は、4つの脱イオン水製造装置、すなわち、前段のEDI装置1と、中間位置のホウ素選択性樹脂装置17およびイオン交換樹脂装置16と、後段のEDI装置2とが設けられた構成である。この構成においても、昇圧ポンプ3の入口側(上流側)の圧力計4bの測定値に基づいて昇圧ポンプ3の動作を制御することにより、前段のEDI装置1が過大な圧力で損傷することを抑制する効果が得られる。
【0038】
[第3の実施例]
本発明の第3の実施例の純水製造装置について、図13を参照して説明する。本実施例の純水製造装置では、図5に示す第1の実施例の純水製造装置と同様な昇圧ポンプ3の直ぐ下流側の水質計8bと圧力計4dとの間に、圧力計4eと、ホウ素選択性樹脂装置(EDI装置とは異なる種類の脱イオン水製造装置)17と、紫外線酸化装置15と、イオン交換樹脂装置(カートリッジポリッシャー、EDI装置とは異なる種類の脱イオン水製造装置)16とが、この順番に配置されている。そして、圧力計4cと後段のEDI装置2とが設けられていない。それ以外の構成は第1の実施例の純水製造装置と同様であるため説明を省略する。第1の実施例では後段の脱イオン水製造装置としてEDI装置2が設けられていたのに対し、本実施例では後段の脱イオン水製造装置としてホウ素選択性樹脂装置17とイオン交換樹脂装置16とが設けられている。この純水製造装置を用いて、第1の実施例と同じステップS1~S7を行って純水を製造した。その純水製造時の定常状態における圧力計4aの測定値は0.31MPa、圧力計4bの測定値は0.11MPa、圧力計4dの測定値は0.10MPaであり、昇圧ポンプ3の出口における圧力計4eの測定値は0.30MPaであった。この時の前段のEDI装置1の通水差圧は0.2MPaであり、後段のホウ素選択性樹脂装置17と、紫外線酸化装置15と、イオン交換樹脂装置(カートリッジポリッシャー)16の通水差圧は0.20MPaであった。
【0039】
前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.31MPa)と、昇圧ポンプ3の後段の装置のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.30MPa)との合計は、0.31MPa+0.30MPa=0.61MPaである。これは前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.31MPa)の1.96倍であり、仮にこの圧力の被処理水がEDI装置1に供給されるとEDI装置1の損傷を引き起こす可能性が大きい。しかし、本実施例では昇圧ポンプ3が通水ライン内で液体の圧力を上昇させるため、EDI装置1に供給される液体の圧力を小さくすることができ、EDI装置1の損傷を抑制できる。
【0040】
[第4の実施例]
本発明の第4の実施例の純水製造装置について、図14を参照して説明する。本実施例の純水製造装置では、図5に示す第1の実施例の純水製造装置の後段のEDI装置2に代えてホウ素選択性樹脂装置17が配置されている。それ以外の構成は第1の実施例の純水製造装置と同様であるため説明を省略する。第1の実施例では後段の脱イオン水製造装置としてEDI装置2が設けられていたのに対し、本実施例では後段の脱イオン水製造装置としてホウ素選択性樹脂装置17が設けられている。この純水製造装置を用いて、第1の実施例と同じステップS1~S7を行って純水を製造した。その純水製造時の定常状態における圧力計4aの測定値は0.31MPa、圧力計4bの測定値は0.11MPa、圧力計4dの測定値は0.10MPaであり、昇圧ポンプ3の出口であってホウ素選択性樹脂装置17の入口における圧力計4cの測定値は0.18MPaであった。この時の前段のEDI装置1の通水差圧は0.2MPaであり、後段のホウ素選択性樹脂装置17の通水差圧は0.08MPaであった。
【0041】
前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.31MPa)と、昇圧ポンプ3の後段の装置のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.18MPa)との合計は、0.31MPa+0.18MPa=0.49MPaである。これは前段のEDI装置1のみが運転された時の定常状態において供給される被処理水の圧力(例えば0.31MPa)の1.58倍であり、仮にこの圧力の被処理水がEDI装置1に供給されるとEDI装置1の損傷を引き起こす可能性が大きい。しかし、本実施例では昇圧ポンプ3が通水ライン内で液体の圧力を上昇させるため、EDI装置1に供給される液体の圧力を小さくすることができ、EDI装置1の損傷を抑制できる。
【符号の説明】
【0042】
1,2 EDI装置(電気再生式の脱イオン水製造装置)
3 昇圧ポンプ
4,4a,4b,4c,4d,4e 圧力計
5 タンク
6 供給ポンプ
7 インバータ
8a,8b,8c 水質計
9a,9b 三方弁
10,11 戻り経路
12 イオン交換膜
13 脱塩室
14a,14b,14c,14d 切替弁
15 紫外線酸化装置
16 イオン交換樹脂装置(カートリッジポリッシャー、脱イオン水製造装置)
17 ホウ素選択性樹脂装置(脱イオン水製造装置)
18 陽極
19 陰極
20 陽極室
21 陰極室
22,27 アニオン交換膜
23,26 カチオン交換膜
24,25 濃縮室
【要約】
【課題】各脱イオン水製造装置において十分に速い流速を実現するとともに、過剰に高い圧力が加わって脱イオン水製造装置が損傷することを抑えることができる純水製造装置を提供する。
【解決手段】純水製造装置は、脱イオン水製造装置1,2同士の間に配置されている昇圧ポンプ3と、昇圧ポンプ3と当該昇圧ポンプ3の上流側に位置する脱イオン水製造装置1との間に配置されている圧力計4bと、を有する。昇圧ポンプ3および圧力計4bの上流側に位置する少なくとも1つの脱イオン水製造装置1は、電気再生式の脱イオン水製造装置である。昇圧ポンプ3は、動作の開始と動作の停止の少なくとも一方が圧力計4bの測定値に基づいて行われる。
【選択図】図5
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図2
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図4
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