(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】パッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20241206BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H04B1/38
H03F3/24
(21)【出願番号】P 2023138762
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2020037702の分割
【原出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】水谷 知大
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-071135(JP,A)
【文献】特開平06-112351(JP,A)
【文献】特開平03-250928(JP,A)
【文献】特開平06-232608(JP,A)
【文献】特開2009-088338(JP,A)
【文献】特開2010-093146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H03F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載面と、前記搭載面に形成された第1凹みおよび第2凹みと、を有する基板と、
前記基板の前記第1凹みに搭載された
送信系の回路部品である第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器と、
前記基板の前記第2凹みに搭載された
送信系の回路部品であって、前記第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器に電気的に直列に接続され、前記第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器とは異なる回路部品である第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器と、
前記基板の前記搭載面に搭載され、前記第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器および前記第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器と異なる送受信回路と、
前記基板を内部に収容する、金属製または表面が金属で覆われている筐体と、
前記搭載面に直接配置され、前記第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器
が搭載された前記第1凹みと前記第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器
が搭載された前記第2凹みとを覆う板である金属製または表面が金属で覆われている遮蔽部と、を備えることを特徴とするパッケージ構造。
【請求項2】
送受信回路は、第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器で増幅されたマイクロ波を出力し、入力されたマイクロ波を受信するサーキュレータを有することを特徴とする請求項1に記載のパッケージ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モノリシックマイクロ波集積回路増幅器を備えたパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通信またはレーダシステムに使用する送受信モジュールにおいて、特許文献1に示すように、モノリシックマイクロ波集積回路(Monolithic Microwave Integrated Circuit:MMIC)を用いた高周波増幅器を備えるものがある。なお、以下の説明において、モノリシックマイクロ波集積回路を用いた高周波増幅器をモノリシックマイクロ波集積回路増幅器またはMMIC増幅器と称する。
【0003】
このような送受信モジュールでは、モノリシックマイクロ波集積回路増幅器の接続部からの放射によって、モジュールの筐体内部の閉ループにて電磁界結合が発生し、送受信モジュールが発振したり、周波数特性が悪化したりすることがあった。
【0004】
このような問題を解決するために、従来の技術では、モジュールの筐体内部を壁で仕切って分割することで、アイソレーションを確保して電磁界結合の発生を抑制していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、筐体の内部が壁で仕切られて分割されるために、筐体の内部に設けられる基板も壁で仕切られた小部屋に収まる大きさに分割する必要があり、部品点数が増加してしまう。また、筐体の構成が複雑になる、分割された基板同士を接続する接続部の箇所が増える、という問題もあった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、部品点数の増加を抑えつつ、モジュールの筐体の内部での閉ループにて電磁界結合が発生することを抑制することができるパッケージ構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかるパッケージ構造は、搭載面と、搭載面に形成された第1凹みおよび第2凹みと、を有する基板と、基板の第1凹みに搭載された送信系の回路部品である第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器と、基板の第2凹みに搭載された送信系の回路部品であって、第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器に電気的に直列に接続され、第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器とは異なる回路部品である第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器と、基板の搭載面に搭載され、第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器および第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器と異なる送受信回路と、基板を内部に収容する、金属製または表面が金属で覆われている筐体と、搭載面に直接配置され、第1のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器が搭載された第1凹みと第2のモノリシックマイクロ波集積回路増幅器が搭載された第2凹みとを覆う板である金属製または表面が金属で覆われている遮蔽部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、部品点数の増加を抑えつつ、モジュールの筐体の内部での閉ループにて電磁界結合が発生することを抑制することができるパッケージ構造を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態1にかかるパッケージ構造を備える送受信モジュールの内部構成を示す図
【
図3】実施の形態1にかかる送受信モジュールの機能ブロック図
【
図4】本実施の形態2にかかるパッケージ構造を備える送受信モジュールの内部構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態にかかるパッケージ構造を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1にかかるパッケージ構造を備える送受信モジュールの内部構成を示す図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図3は、実施の形態1にかかる送受信モジュールの機能ブロック図である。
図3では、アッテネータ、位相器、LNA(Low Noise Amplifer)の保護回路等は本開示を説明する上で必要ないので省略している。
【0013】
送受信モジュール50は、モジュール筐体1を備える。モジュール筐体1には、後述する回路部品を収容可能な収容部1aが設けられている。
【0014】
モジュール筐体1の収容部1aに収容される回路部品には、第1の送信系MMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)増幅器2と、第2の送信系MMIC増幅器3と、MMIC送受切替えスイッチ4と、受信系MMIC増幅器5と、バイアス印加部7と、第1のRFコネクタ8と、第2のRFコネクタ9と、送受信回路10と、が含まれる。ここで、MMIC送受切替えスイッチ4は、位相器を含んでいてもよい。
【0015】
上述した回路部品は、収容部1aに収容されたMMIC基板6の搭載面6aに実装されている。MMIC基板6は、例えばセラミックス基板である。第1の送信系MMIC増幅器2とMMIC基板6とはワイヤ11で接続されている。また、第2の送信系MMIC増幅器3とMMIC基板6とはワイヤ11で接続されている。
【0016】
収容部1aには、遮断部である金属製の柱部15が設けられている。
図1に示すように、柱部15は、第1の送信系MMIC増幅器2と、第2の送信系MMIC増幅器3との間に設けられている。また、収容部1aを構成する内壁面のうち搭載面6aと垂直な方向に沿って見てMMIC基板6を囲む側壁面1bと、柱部15との間には空間が設けられている。すなわち、柱部15は、収容部1aの内部を仕切る壁ではない。
【0017】
図2に示すように、柱部15は、収容部1aを構成する内壁面のうち搭載面6aと向き合う第1の壁面である天面1cに向けて、搭載面6aの裏面6bと向き合う第2の壁面である底面1dから延びている。柱部15は、底面1dと一体に形成されている。なお、柱部15は、天面1cと一体に形成されて、底面1dに向けて伸びるように形成されていてもよいし、天面1cおよび底面1dとは別体で形成されていてもよい。
【0018】
MMIC基板6には、柱部15が貫通する孔6cが形成されている。なお、柱部15を天面1cから底面1dに向けて延ばすとともに、MMIC基板6を貫通しない長さで形成すれば、MMIC基板6への孔6cの形成は不要となる。MMIC基板6を貫通しない長さで柱部15を形成した場合には、柱部15の先端がMMIC基板6の搭載面6aに接触していることが好ましい。
【0019】
送受信モジュール50では、例えば第2の送信系MMIC増幅器3からの放射によって、第1の送信系MMIC増幅器2とMMIC基板6とを接続するワイヤ11に結合する電磁界20が発生する。本実施の形態1では、第1の送信系MMIC増幅器2と第2の送信系MMIC増幅器3との間に設けられた柱部15によって、アイソレーションが確保されることで、ワイヤ11に結合する電磁界20が弱められる。これにより、モジュール筐体1の内部での閉ループにて電磁界結合が発生することを抑制することができる。
【0020】
また、柱部15は、モジュール筐体1の収容部1aを仕切る壁ではないので、収容部1aに収容されるMMIC基板6を分割する必要がない。したがって、部品点数の削減を図ることができる。また、モジュール筐体1の収容部1aを仕切る壁を設ける場合に比べて、本実施の形態1にかかる送受信モジュール50では、モジュール筐体1の構造の簡素化を図ることができる。また、MMIC基板6を分割した場合には、基板同士を接続させる接続部が必要になるが、本実施の形態1にかかる送受信モジュール50では、MMIC基板6を分割する必要がないため、上述した接続部も不要となる。
【0021】
なお、柱部15は、全体が金属で形成されていてもよいし、金属以外の材料で形成された基体の表面が金属で覆われていてもよい。
【0022】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態2にかかるパッケージ構造を備える送受信モジュールの内部構成を示す図である。
図5は、
図4に示すV-V線に沿った断面図である。なお、上記実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施の形態2にかかる送受信モジュール51では、MMIC基板6の搭載面6aの上に遮断部である金属製の板部16が設けられている。板部16は、第1の送信系MMIC増幅器2と第2の送信系MMIC増幅器3との間に設けられつつ、第1の送信系MMIC増幅器2と第2の送信系MMIC増幅器3とを搭載面6a側から覆う。第1の送信系MMIC増幅器2および第2の送信系MMIC増幅器3と、板部16とが直接接触しないように、MMIC基板6の搭載面6aには、第1の送信系MMIC増幅器2および第2の送信系MMIC増幅器3が搭載される部分に凹み6dが形成されている。
【0024】
また、収容部1aを構成する内壁面のうち搭載面6aと垂直な方向に沿って見てMMIC基板6を囲む側壁面1bと、板部16との間には空間が設けられている。すなわち、上記実施の形態1で説明した柱部15と同様に、板部16は収容部1aの内部を仕切る壁ではない。
【0025】
本実施の形態2では、第1の送信系MMIC増幅器2と第2の送信系MMIC増幅器3との間に設けられ、第1の送信系MMIC増幅器2と第2の送信系MMIC増幅器3とを覆う板部16によって、アイソレーションが確保されることで、ワイヤ11に結合する電磁界20が弱められる。これにより、モジュール筐体1の内部での閉ループにて電磁界結合が発生することを抑制することができる。
【0026】
また、柱部15は、モジュール筐体1の収容部1aを仕切る壁ではないので、収容部1aに収容されるMMIC基板6を分割する必要がない。したがって、部品点数の削減を図ることができる。また、モジュール筐体1の収容部1aを仕切る壁を設ける場合に比べて、本実施の形態2にかかる送受信モジュール51では、モジュール筐体1の構造の簡素化を図ることができる。また、MMIC基板6を分割した場合には、基板同士を接続させる接続部が必要になるが、本実施の形態2にかかる送受信モジュール51では、MMIC基板6を分割する必要がないため、上述した接続部も不要となる。
【0027】
なお、板部16は、全体が金属で形成されていてもよいし、金属以外の材料で形成された基板の表面が金属で覆われていてもよい。
【0028】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 モジュール筐体、1a 収容部、1b 側壁面、1c 天面、1d 底面、2 第1の送信系MMIC増幅器、3 第2の送信系MMIC増幅器、4 MMIC送受切替えスイッチ、5 受信系MMIC増幅器、6 MMIC基板、6a 搭載面、6b 裏面、6c 孔、6d 凹み、7 バイアス印加部、8 第1のRFコネクタ、9 第2のRFコネクタ、10 送受信回路、15 柱部、16 板部、50,51 送受信モジュール。