(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】攪拌装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20241206BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20241206BHJP
B01F 27/192 20220101ALI20241206BHJP
B01F 27/172 20220101ALI20241206BHJP
B01F 27/1125 20220101ALI20241206BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20241206BHJP
B01F 27/1124 20220101ALI20241206BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20241206BHJP
【FI】
E02D3/12 102
B01F27/112
B01F27/192
B01F27/172
B01F27/1125
B01F27/90
B01F27/1124
B01F23/53
(21)【出願番号】P 2023185014
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2017178038の分割
【原出願日】2017-09-15
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】大草 正則
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155527(JP,A)
【文献】特開昭60-078013(JP,A)
【文献】特開2009-228246(JP,A)
【文献】特開2003-278146(JP,A)
【文献】特開2011-140790(JP,A)
【文献】特開2015-161088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
B01F 27/00 - 27/96
B01F 21/00 - 25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の軸部と、
前記軸部から前記軸部の径方向の外側に向かって突出しており、前記軸部と共回りする第1攪拌翼と、
前記軸部から前記径方向の外側に向かって突出しており、前記軸部と共回りし、前記第1攪拌翼に対して前記軸部の軸方向の先端側に位置する第2攪拌翼と、
前記軸部に対して相対的に回動可能に取り付けられている共回り防止部と、を備え、
前記共回り防止部は、前記軸部の径方向の外側に向かって突出する複数の共回り防止翼を備え、
前記複数の共回り防止翼それぞれは、前記軸方向の前記第1攪拌翼と前記第2攪拌翼との間の第1位置で、前記径方向に延在する第1翼部と、
前記第1翼部と連続し前記軸方向の先端側に向かって延在する第2翼部と、
前記第2翼部と連続し前記第2攪拌翼よりも前記軸方向の先端側の第2位置で前記径方向の内側に向かって延在すると共に、先端部が前記軸部に対して取り付けられていない第3翼部と、を備え、
前記共回り防止部は、前記第1位置で、前記軸部の周方向において隣接する前記第1翼部を連結している第1連結部材と、
前記第2位置で、前記周方向において隣接する第3翼部を連結している第2連結部材と、を備えることを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記軸方向の前記第1位置で、前記第1連結部材と前記軸部との間の位置に、前記軸方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記軸方向において、前記第1攪拌翼と前記貫通孔との最短距離は、前記第2攪拌翼と前記貫通孔との最短距離よりも短いことを特徴とする、請求項
2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記貫通孔を第1貫通孔とした場合に、前記軸方向の前記第2位置で、前記第2連結部材と前記軸部との間の位置には、前記軸方向に貫通する第2貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項
2又は3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記第1連結部材及び前記第2連結部材の少なくとも一方の連結部材は、前記軸部の周囲で前記周方向に延在する湾曲部を備えることを特徴とする、請求項
1乃至4のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記少なくとも一方の連結部材は、前記湾曲部と連続し、前記湾曲部から前記径方向に突出する突出部を更に備えることを特徴とする、請求項
5に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記第1攪拌翼に対して前記軸方向の基端側に間隙を隔てて配置されている第3攪拌翼を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記軸部の先端部に設けられた掘削翼を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至
7のいずれか1つに記載の攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建造物を建設する地盤において、地表面から建造物の荷重を支持する硬さを有する層(支持地盤面)に達するまでの深さが、所定深さを超える場合、地盤改良を行うための工法として深層混合処理工法が選択される場合がある。深層混合処理工法は、原地盤にセメントミルク等の地盤固化材を注入しながら掘削、攪拌することにより土にセメントを混ぜた柱状の改良地盤を形成するものである。この工法では、原地盤に対し、掘削翼を有する攪拌装置を先端に取り付けたオーガを掘進させて、建造物の基礎の直下に柱状の改良地盤を形成する。
【0003】
特許文献1には、攪拌装置としての、深層混合処理工法に用いることが可能な、土壌と凝固材とを混合攪拌する地盤改良機の混合攪拌装置、が開示されている。特許文献1の混合攪拌装置は、傾斜した攪拌翼と、この傾斜した攪拌翼と逆傾斜した少なくとも1つの共回り防止翼と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の攪拌装置としての混合攪拌装置では、掘進の際に、回転により下方に食い込むと共に掘削した土壌をすくい上げるように傾斜した攪拌翼と、この攪拌翼と逆方向に傾斜した共回り防止翼とを備える。そして、共回り防止翼が、攪拌翼の回転に従って回転しようとする土壌と凝固材との混合物に切り込みながら回転し、その結果、土壌が団子状態となることを阻止する。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載の混合攪拌装置によれば、攪拌翼と共回り防止翼とにより、土塊に対してせん断力を作用させ、土塊をせん断方向に細かく砕く又は挟み切る(以下、単に「土塊を細分化する」と記載する。)ことができると共に、掘削孔内で掘削土及びセメントを攪拌することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている混合攪拌装置は、土塊を細分化する細分化性能において、更なる改善の余地がある。
【0008】
そこで本発明は、土塊を細分化する細分化性能を向上可能な構成を有する攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様としての攪拌装置は、筒状の軸部と、前記軸部と共回りする攪拌翼と、前記軸部に対して相対的に回動可能に取り付けられており、少なくとも一部が前記攪拌翼に対して前記軸部の軸方向の先端側に間隙を隔てて配置されている共回り防止部と、を備え、前記攪拌翼の前記軸方向の先端側に位置する下面において、前記軸部の周方向のうち掘進作業時の回転方向の一端は、前記周方向のうち前記回転方向と逆方向の他端よりも、前記軸部の基端に近いことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記下面は、掘進作業時の前記回転方向に向かうにつれて前記軸部の基端に近づくように、前記周方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記共回り防止部は、前記軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記攪拌翼は、前記貫通孔に対して前記軸方向の基端側の位置で、前記共回り防止部に対して相対的に回動可能であることが好ましい。
【0012】
本発明の1つの実施形態としての攪拌装置は、前記攪拌翼を第1攪拌翼とした場合に、前記軸部と共回りし、前記貫通孔に対して前記軸方向の先端側の位置で、前記共回り防止部に対して相対的に回動可能な板状の第2攪拌翼を備え、前記第2攪拌翼は、前記回転方向に向かうにつれて、前記軸部の先端に近づくように傾斜していることが好ましい。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、前記軸方向において、前記第1攪拌翼と前記貫通孔との最短距離は、前記第2攪拌翼と前記貫通孔との最短距離よりも短いことが好ましい。
【0014】
本発明の1つの実施形態として、前記共回り防止部は、前記軸部の径方向の外側に向かって突出する複数の共回り防止翼と、前記軸方向の前記第1攪拌翼と前記第2攪拌翼との間の第1位置で、前記周方向において隣接する共回り防止翼を連結する連結部材と、を備え、前記貫通孔は、前記軸方向の前記第1位置で、前記連結部材と前記軸部との間の位置に形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の1つの実施形態として、前記複数の共回り防止翼それぞれは、前記軸方向の前記第1位置で、前記径方向に延在する第1翼部と、前記第1翼部と連続し前記軸方向の先端側に向かって延在する第2翼部と、前記第2翼部と連続し、前記第2攪拌翼よりも前記軸方向の先端側の第2位置で前記径方向の内側に向かって延在すると共に、先端部が前記軸部に対して取り付けられていない第3翼部と、を備え、前記連結部材を第1連結部材とした場合に、前記第1連結部材は、前記第1位置で、前記周方向において隣接する第1翼部を連結しており、前記軸方向の前記第2位置で、前記周方向において隣接する第3翼部を連結する第2連結部材を更に備えることが好ましい。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、前記貫通孔を第1貫通孔とした場合に、前記軸方向の前記第2位置で、前記第2連結部材と前記軸部との間の位置には、前記軸方向に貫通する第2貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、前記第1連結部材及び前記第2連結部材の少なくとも一方の連結部材は、前記軸部の周囲で前記周方向に延在する湾曲部を備えることが好ましい。
【0018】
本発明の1つの実施形態として、前記少なくとも一方の連結部材は、前記湾曲部と連続し、前記湾曲部から前記径方向に突出する突出部を更に備えることが好ましい。
【0019】
本発明の1つの実施形態としての攪拌装置は、前記第1攪拌翼に対して前記軸方向の基端側に間隙を隔てて配置されている板状の第3攪拌翼を備え、前記第3攪拌翼は、前記回転方向に向かうにつれて、前記軸部の先端に近づくように傾斜していることが好ましい。
【0020】
本発明の1つの実施形態としての攪拌装置は、前記軸部の先端部に設けられた掘削翼を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、土塊を細分化する細分化性能を向上可能な構成を有する攪拌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態としての攪拌装置の側面図である。
【
図2】
図1に示す攪拌翼の断面形状、並びに、攪拌翼及び共回り防止部の軸部の軸方向における位置関係、を示す図である。
【
図3】
図1に示す軸部の軸方向の第1位置としての、共回り防止翼の第1翼部の位置、での断面図である。
【
図4】
図1に示す軸部の軸方向の第2位置としての、共回り防止翼の第3翼部の位置、での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る攪拌装置の実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0024】
図1は、本発明に係る攪拌装置の1つの実施形態としての攪拌装置1の側面図である。
【0025】
攪拌装置1は、駆動装置としてのオーガ(図示省略)の下方先端部に取り付けられ、オーガによって回転駆動され、地盤改良すべき地中層を掘削、攪拌するものである。
図1に示すように、攪拌装置1は、軸部2と、掘削翼3と、攪拌翼4と、共回り防止部5と、を備えている。
【0026】
軸部2は筒状であり、オーガによって回転駆動される際の回転中心となる。
【0027】
軸部2は上述したように一軸一重の筒状形状を有しており、内部に中空部を区画している。軸部2内の中空部は、軸部2の基端から、軸部2の先端部の側面に形成された開口2aまで貫通しており、軸部2は、攪拌装置1が地盤を掘削する際に地盤固化材としてのセメントミルク等のセメント系固化材を、中空部を通じて地盤内に供給可能な配管を兼ねている。また、軸部2の基端部には、オーガと接続可能な接続部(不図示)が設けられており、軸部2は、接続部がオーガと接続された状態で、オーガにより回転駆動される。
【0028】
なお、開口2aには、逆流防止弁50が設けられている。この逆流防止弁50は、通常は閉じていて、掘削孔内の掘削土や地下水などが軸部2の中空部内に侵入しないようにしている。そして、中空部を通じて攪拌装置1外の掘削孔内の土圧よりも高い圧力をかけて地盤固化材を送ると、逆流防止弁50は開き、地盤固化材を、開口2aを通じて掘削孔内に噴出することができる。本実施形態では開口2a及び逆流防止弁50をそれぞれ1つずつのみ設ける構成としているが、開口2a及び逆流防止弁50の数は1つに限られるものではなく、2個以上設ける構成としてもよい。
【0029】
掘削翼3は、軸部2の先端部に設けられている。具体的に、本実施形態の掘削翼3は、軸部2の先端部に溶接により接合されることで一体化されている。掘削翼3は、地盤を掘削すると共に、掘削した掘削土と地盤固化材とを攪拌、混合する。これにより、掘削土と地盤固化材とが混合した改良土となる。この改良土には依然として掘削土の土塊が含まれている。本実施形態の攪拌装置1では、軸部2の外面から軸部2の径方向Bの外側に向かって突出する複数の掘削翼3が設けられている。より具体的に、本実施形態の掘削翼3は、軸部2を挟む両側にそれぞれ1つずつ設けられている。各掘削翼3の外面には、外方に突出する複数(本実施形態では4つ)の掘削爪3aが設けられている。なお、
図1に示すように、本実施形態の開口2aは、軸部2の軸方向Aにおいて掘削翼3が設けられている位置、かつ、軸部2の周方向Cにおいて隣り合う掘削翼3の間の位置、の軸部2の側面に形成されている。
【0030】
なお、本実施形態の掘削翼3は、上述したように2つ設けられているが、この数に限られるものではなく、例えば、3つ以上の掘削翼を設ける構成としてもよい。かかる場合には、軸部2の周方向Cにおいて等間隔を隔てた位置に各掘削翼3を設けることが、掘削効率の観点から好ましい。
【0031】
また、掘削爪3aの数についても、本実施形態で示す数に限られるものではなく、所望の掘削性能等を考慮して、適宜変更することが可能である。
【0032】
攪拌翼4は、軸部2と共に回動(以下、「共回り」と記載する。)し、掘削翼3により掘削され、地盤固化材と混合された掘削孔内の改良土を攪拌する。具体的に、本実施形態の攪拌翼4は、軸部2から径方向Bの外側に突出する長尺な板部材であり、その長手方向の一方側である径方向Bの内側の一端部が、軸部2に溶接により接合されることで、軸部2と一体化されている。また、攪拌翼4は、軸部2の周方向Cの一方向に向かうにつれて軸部2の先端又は基端に近づくように傾斜している。すなわち、攪拌翼4を構成する長尺な板部材は、軸部2の周方向Cの一方向に向かうにつれて軸部2の先端又は基端に近づくように傾斜した状態で、軸部2に対して接合されている。
【0033】
本実施形態の攪拌装置1は、3つの攪拌翼群30a、30b及び30cを備えている。具体的に、本実施形態の攪拌装置1では、軸部2の先端側から基端側に、第2攪拌翼群30b、第1攪拌翼群30a、第3攪拌翼群30cの順に配置されている。
【0034】
第1攪拌翼群30aは、複数(本実施形態では2つ)の第1攪拌翼4aにより構成されている。また、第2攪拌翼群30bについても、複数(本実施形態では2つ)の第2攪拌翼4bにより構成されている。更に、第3攪拌翼群30cについても、複数(本実施形態では2つ)の第3攪拌翼4cにより構成されている。
【0035】
ここで、
図2は、第1攪拌翼4a、第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cの長手方向と直交する断面形状、並びに第1攪拌翼4a、第2攪拌翼4b、第3攪拌翼4c及び共回り防止部5の軸方向Aにおける位置関係を示す図である。
図2に示すように、第1攪拌翼4aは板状の形状を有しており、第1攪拌翼4aの長手方向と直交する断面形状は、軸方向Aに対して傾斜する細長い略長方形である。換言すれば、第1攪拌翼4aは、軸方向A及び周方向Cに対して傾斜し、平行する2つの斜面である、軸部2の基端側に位置する上面10a及び軸部2の先端側に位置する下面10bと、これら上面10a及び下面10bを軸方向Aにおける軸部2の基端側で繋ぐ上側端面10cと、上面10a及び下面10bを軸方向Aにおける軸部2の先端側で繋ぐ下側端面10dと、を備えている。
【0036】
また、第2攪拌翼4bについても板状の形状を有しており、第2攪拌翼4bの長手方向と直交する断面形状についても、第1攪拌翼4aと同様である。具体的に、第2攪拌翼4bの断面形状は、軸方向Aに対して傾斜する細長い略長方形である。換言すれば、第2攪拌翼4bは、軸方向Aに対して傾斜し、平行する2つの斜面である、軸部2の基端側に位置する上面11a及び軸部2の先端側に位置する下面11bと、これら上面11a及び下面11bを軸方向Aにおける軸部2の基端側で繋ぐ上側端面11cと、上面11a及び下面11bを軸方向Aにおける軸部2の先端側で繋ぐ下側端面11dと、を備えている。
【0037】
更に、第3攪拌翼4cについても板状の形状を有しており、第3攪拌翼4cの長手方向と直交する断面形状についても、第1攪拌翼4a及び第2攪拌翼4bと同様である。具体的に、第3攪拌翼4cの断面形状は、軸方向Aに対して傾斜する細長い略長方形である。換言すれば、第3攪拌翼4cは、軸方向Aに対して傾斜し、平行する2つの斜面である、軸部2の基端側に位置する上面12a及び下面12bと、これら上面12a及び下面12bを軸方向Aにおける軸部2の基端側で繋ぐ上側端面12cと、上面12a及び下面12bを軸方向Aにおける軸部2の先端側で繋ぐ下側端面12dと、を備えている。
【0038】
但し、本実施形態において、板状の第1攪拌翼4aは、板状の第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cと逆側に傾斜している。具体的に、板状の第1攪拌翼4aは、軸部2の周方向Cのうち掘進作業時の回転方向C1に向かうにつれて軸部2の基端に近づくように、周方向Cに対して傾斜している。これに対して、板状の第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cは、軸部2の周方向Cのうち掘進作業時の回転方向C1に向かうにつれて軸部2の先端に近づくように、周方向Cに対して傾斜している。なお、周方向Cのうち掘進作業時の回転方向C1とは、掘進作業時に軸部2が回転する、周方向Cの一方向を意味する。また、本実施形態の第1攪拌翼4a、第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cの周方向Cに対する鋭角側の傾斜角度は略等しい。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の2つの第1攪拌翼4aは、軸部2を挟んで対向して配置されている。また、
図1では一方の第2攪拌翼4bのみが図示されているが、本実施形態の2つの第2攪拌翼4bについても、軸部2を挟んで対向して配置されている。更に、
図1では一方の第3攪拌翼4cのみが図示されているが、本実施形態の2つの第3攪拌翼4cについても、軸部2を挟んで対向して配置されている。
【0040】
更に、
図1に示すように、第1攪拌翼4aと第2攪拌翼4bとは、軸部2の周方向Cにおいて異なる位置に設けられている。具体的に、第1攪拌翼4aが軸部2から突設されている位置は、第2攪拌翼4bが軸部2から突設されている位置よりも、周方向Cにおいて中心角で約90度ずれている。換言すれば、第1攪拌翼4aと第2攪拌翼4bとは、軸方向Aに重ならない位置に設けられている。なお、第2攪拌翼4bと第3攪拌翼4cとは、軸方向Aに重なる位置に設けられている。
図2では、説明の便宜上、第1攪拌翼4a、第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cが軸方向Aにおいて重なる位置に描かれている。そのため、
図2では、第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cを二点鎖線により示している。
【0041】
また、上述したように、攪拌翼4は、軸部2と共に回動し、掘削翼3により掘削され、地盤固化材と混合された掘削孔内の改良土を攪拌するものである。本実施形態では、攪拌翼4の径方向Bの外端は、掘削翼3の径方向Bの外端と、径方向Bにおいて略等しい位置にある。
【0042】
なお、本実施形態の第1攪拌翼群30aは2つの第1攪拌翼4aを備えるものであるが、この数に限られるものではなく、例えば、3つ以上の第1攪拌翼を備える第1攪拌翼群としてもよい。同様に、本実施形態の第2攪拌翼群30bは、2つの第2攪拌翼4bを備えるものであるが、この数に限られるものではなく、例えば、3つ以上の第2攪拌翼を備える第2攪拌翼群としてもよい。また、本実施形態の第3攪拌翼群30cは、2つの第3攪拌翼4cを備えるものであるが、この数に限られるものではなく、例えば、3つ以上の第3攪拌翼を備える第3攪拌翼群としてもよい。但し、複数の第1攪拌翼4aは、その個数によらず、周方向Cにおいて等間隔を隔てて配置されていることが、攪拌性能の観点から好ましい。複数の第2攪拌翼4b、複数の第3攪拌翼4cについても同様である。また、本実施形態では、第1攪拌翼4aの数、第2攪拌翼4bの数、及び第3攪拌翼4cの数が等しい構成としているが、第1攪拌翼の数、第2攪拌翼の数、及び第3攪拌翼の数がそれぞれ異なる構成であってもよい。
【0043】
更に、本実施形態において、第1攪拌翼4aが軸部2から突設されている位置は、第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cが軸部2から突設されている位置よりも、周方向Cにおいて中心角で約90度ずれているが、周方向Cにおける位置関係はこの関係に限られるものではなく、例えば、第1攪拌翼、第2攪拌翼、及び第3攪拌翼が周方向Cにおいて略等しい位置に形成されているものであってもよく、周方向Cにおいて中心角が90度とは異なる角度でずれている構成であってもよい。
【0044】
共回り防止部5は、軸部2に対して相対的に回動可能に、軸部2に取り付けられている。共回り防止部5の径方向Bの外側の外端は、掘削翼3よりも外側まで延在している。そのため、攪拌装置1により地盤を掘削する際は、共回り防止部5の外端が、掘削孔の内壁70(
図3、
図4参照)に入り込んだ状態となり、掘削翼3及び攪拌翼4と共回りしない又は共回りし難いようになっている。そのため、改良土には、軸部2と共回りする掘削翼3及び攪拌翼4と、軸部2と共回りしない又はし難い共回り防止部5と、によって、軸方向Aと直交する方向のせん断力が作用する。このせん断力により、改良土の中の土塊を細分化することができる。
【0045】
また、共回り防止部5は、軸部2の軸方向Aに貫通する貫通孔Xを有している。
【0046】
具体的に、本実施形態の共回り防止部5は、軸部2の周囲の位置に、軸部2に対して相対的に回動可能に取り付けられた筒部21と、軸部2の径方向Bの外側に向かって突出し、径方向Bにおいて掘削翼3よりも外側まで延在する複数の共回り防止翼22と、軸部2の周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22を連結する第1連結部材23及び第2連結部材24と、を備えている。
【0047】
筒部21は、軸部2の周囲に遊嵌されており、軸部2に対して周方向Cに回動可能である。なお、筒部21は軸部2に対して軸方向Aには移動しないように固定されている。
【0048】
共回り防止翼22は、筒部21の外面から径方向Bの外側に突設されており、筒部21に片持ち状態で支持されている。
【0049】
図1に示すように、第1連結部材23は、軸方向Aの第1攪拌翼4aと第2攪拌翼4bとの間の第1位置P1で、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22を連結している。
図3は、軸方向Aの第1位置P1での断面図である。
図3に示すように、本実施形態において、上述した貫通孔Xは、軸方向Aの第1位置P1で、第1連結部材23と軸部2との間の位置に形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、複数の貫通孔Xが形成されている。より具体的に、本実施形態の貫通孔Xは2つである。
【0050】
図1に示すように、第2連結部材24は、第2攪拌翼4bよりも軸方向Aの先端側の第2位置P2で、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22を連結している。
図4は、軸方向Aの第2位置P2での断面図である。
図4に示すように、軸方向Aの第2位置P2で、第2連結部材24と軸部2との間の位置には、軸方向Aに貫通する、上述した貫通孔Xとは別の貫通孔Yが形成されている。なお、第2位置P2は、軸方向Aにおいて、第2攪拌翼4bよりも先端側であるが、掘削翼3よりも基端側の位置である。以下、説明の便宜上、軸方向Aの第1位置P1に形成されている貫通孔Xを「第1貫通孔X」と記載し、軸方向Aの第2位置P2に形成されている貫通孔Yを「第2貫通孔Y」と記載する。
【0051】
より具体的には、
図1~
図4に示すように、本実施形態の共回り防止翼22は、軸方向Aの第1位置P1で、径方向Bに延在する第1翼部22aと、この第1翼部22aと連続し軸方向Aの先端側に向かって延在する第2翼部22bと、この第2翼部22bと連続し、軸方向Aの第2位置P2で径方向Bの内側に向かって延在すると共に、先端部が軸部2に対して取り付けられていない第3翼部22cと、を備えている。換言すれば、第3翼部22cの先端部は、自由端を構成しており、筒部21や、軸部2に対して回動可能な他の部材に対して固定されていない。そのため、本実施形態の共回り防止翼22は、側面視でコの字形状を有している。
図3に示すように、本実施形態の第1連結部材23は、軸方向Aの第1位置P1で、周方向Cにおいて隣接する、共回り防止翼22の第1翼部22aを連結している。また、
図4に示すように、本実施形態の第2連結部材24は、軸方向Aの第2位置P2で、周方向Cにおいて隣接する、共回り防止翼22の第3翼部22cを連結している。
【0052】
更に、
図3に示すように、本実施形態の第1貫通孔Xは、軸方向Aの第1位置P1で、周方向Cにおいて隣接する第1翼部22aの間に形成されている。また、
図4に示すように、本実施形態の第2貫通孔Yは、軸方向Aの第2位置P2で、周方向Cにおいて隣接する第3翼部22cの間に形成されている。なお、本実施形態では、共回り防止翼22の第3翼部22cの先端部が、軸部2に対して取り付けられていない自由端となっているため、
図4に示すように、本実施形態の第2貫通孔Yは、第3翼部22cによって周方向Cに分断されておらず、第3翼部22cの先端部と軸部2との間を通じて周方向Cに連なる1つの孔を形成している。
【0053】
なお、第1翼部22aの長手方向と直交する断面の外形は、軸方向Aに直交する2辺と、軸方向Aに延在する2辺と、で構成される略正方形又は略長方形である。換言すれば、第1翼部22aは、軸方向Aにおいて軸部2の先端側に面する下面と、基端側に面する上面と、軸方向Aと略平行する2つの側面と、を備えている。
【0054】
また、第2翼部22bの長手方向と直交する断面の外形は、第1翼部22aの断面外形と同様、略正方形又は略長方形である。そして、攪拌装置1による掘削時には、第2翼部22bのうち、径方向Bの外側に位置する部分が、掘削孔の内壁70(
図3、
図4参照)にめり込むように入り込み、第2翼部22bと掘削孔の内壁70との間の摩擦力等の抵抗力により、共回り防止部5が軸部2と共回りすることが抑制される。なお、後で参照する
図3、
図4には、第2翼部22bの位置を破線により示している。
【0055】
更に、第3翼部22cの長手方向と直交する断面の外形についても、第1翼部22aの断面外形と同様、略正方形又は略長方形である。換言すれば、第3翼部22cは、軸方向Aにおいて軸部2の先端側に面する下面と、基端側に面する上面と、軸方向Aと略平行する2つの側面と、を備えている。
【0056】
図3、
図4に示すように、本実施形態の共回り防止部5は、周方向Cにおいて中心角180度の等間隔を隔てて配置された2つの共回り防止翼22を備えているが、共回り防止翼22の数や周方向Cの間隔は、本実施形態の構成に限られるものではない。但し、共回り防止翼22による土止め効果によって掘削作業時の軸部2のトルク抵抗が過度に増大することを抑制しつつ、所望の土止め効果を得ることによって攪拌性能を高める観点から、本実施形態のように周方向Cに等間隔に配置された2つの共回り防止翼22とすることが好ましい。
【0057】
また、本実施形態の第1連結部材23及び第2連結部材24は、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22を連結している。具体的には、本実施形態の第1連結部材23は、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22に当接した状態で、ボルト及びナット等の締結部材60により、共回り防止翼22に固定されている。換言すれば、本実施形態の第1連結部材23は、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22に対して取り付けられることにより、共回り防止翼22を補強する翼補強部材である。このような構成とすることにより、共回り防止翼22が土圧等の圧力により変形することを抑制することができる。なお、本実施形態の第1連結部材23は、周方向Cにおいて隣り合う共回り防止翼22の第1翼部22aの間に配置されており、第1連結部材23の周方向Cの両側それぞれが、ボルト及びナット等の締結部材60により、第1翼部22aに締結されている。
【0058】
また、本実施形態の第2連結部材24についても、上述の第1連結部材23と同様である。本実施形態の第2連結部材24は、周方向Cにおいて隣り合う共回り防止翼22の第3翼部22cの間に配置されており、第2連結部材24の周方向Cの両側それぞれが、ボルト及びナット等の締結部材60により、第3翼部22cに締結されている。
【0059】
このように、第1連結部材23及び第2連結部材24を設けることで、共回り防止翼22を補強でき、共回り防止翼22が土圧によって変形することを抑制することができる。
【0060】
そして、本実施形態では、第1連結部材23と軸部2との間の位置に、第1貫通孔Xが設けられている、また、本実施形態では、第2連結部材24と軸部2との間の位置に、第2貫通孔Yが設けられている。このように、第1連結部材23及び第2連結部材24を利用して、上述の第1貫通孔X及び第2貫通孔Yを形成するようにすれば、上述の共回り防止翼22の補強に加えて、一定の土止め効果を得ることができる。具体的には、第1貫通孔X及び第2貫通孔Yの中に入り込んだ改良土を、土止めすることができる。
【0061】
更に、本実施形態の共回り防止翼22は、第1連結部材23及び第2連結部材24よりも軸部2の径方向Bの外側に向かって突出している。より具体的に、本実施形態の共回り防止翼22の第2翼部22bは、第1連結部材23の径方向Bの外縁を構成する後述の湾曲部23a(
図3参照)よりも、更に径方向Bの外側に位置している。また、本実施形態の共回り防止翼22の第2翼部22bは、第2連結部材24の径方向Bの外縁を構成する後述の湾曲部24a(
図4参照)よりも、更に径方向Bの外側に位置している。
【0062】
そして、攪拌装置1により地盤の掘削、攪拌を行う場合には、第1連結部材23の径方向Bの外縁を構成する湾曲部23a(
図3参照)は、掘削孔の内壁70(説明の便宜上、
図3、
図4において二点鎖線により位置を表記)に当接せずに、掘削孔の内壁70、第1連結部材23の径方向Bの外縁を構成する湾曲部23a、および、第1連結部材23に対して周方向Cの両側に位置する2つの共回り防止翼22の第1翼部22a、により囲まれた領域の中に開口部S1(
図3参照)が形成される。このような開口部S1を設けることで、例えば掘進作業時において、地盤中の石、木片、廃棄物などのガラを、開口部S1を通じて軸部2の軸方向Aの基端側へと排出し易くするこができ、ガラが滞留して攪拌性能が低減することを抑制することができる。また、ガラが、第1攪拌翼4aと第1翼部22aとの間の間隙や、第2攪拌翼4bと第1翼部22aとの間の間隙等に挟まり込むリスクを低減することができる。その結果、隙間に挟まり込み攪拌装置1の一部に局所的な大きな外力が加わり、攪拌装置1の一部が変形してしまうことをも抑制することができる。
【0063】
また、攪拌装置1により地盤の掘削、攪拌を行う場合には、第2連結部材24の径方向Bの外縁を構成する湾曲部24a(
図4参照)は、掘削孔の内壁70(説明の便宜上、
図3、
図4において二点鎖線により位置を表記)に当接せずに、掘削孔の内壁70、第2連結部材24の径方向Bの外縁を構成する湾曲部24a、および、第2連結部材24に対して周方向Cの両側に位置する2つの共回り防止翼22の第3翼部22c、により囲まれた領域の中に開口部S2(
図4参照)が形成される。このような開口部S2を設けることで、例えば掘進作業時において、ガラを開口部S2を通じて軸部2の軸方向Aの基端側へと排出し易くすることができ、ガラが滞留して攪拌性能が低減することを抑制することができる。また、ガラが、第2攪拌翼4bと第3翼部22cとの間の間隙等に挟まり込むリスクを低減することができる。その結果、隙間に挟まり込み攪拌装置1の一部に局所的な大きな外力が加わり、攪拌装置1の一部が変形してしまうことをも抑制することができる。
【0064】
なお、本実施形態の掘削翼3は、第1連結部材23の湾曲部23a及び第2連結部材24の湾曲部24aよりも径方向Bの外側まで延在している。また、本実施形態の第1攪拌翼4a、第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cについても、第1連結部材23の湾曲部23a及び第2連結部材24の湾曲部24aよりも径方向Bの外側まで延在している。そして、本実施形態の掘削翼3と第1~第3攪拌翼4a~4cとは、径方向Bの略等しい位置にある。換言すれば、軸部2の中心軸線Oから径方向Bの外縁までの半径(以下、単に「半径距離」と記載する。)は、第2連結部材24の湾曲部24a、第1連結部材23の湾曲部23a、第1~第3攪拌翼4a~4c及び掘削翼3、共回り防止翼22の順に大きい関係となっている。半径距離をこのような関係とすれば、掘削孔の内壁70(
図3、
図4参照)と、第1連結部材23及び第2連結部材24それぞれと、の間で形成される開口部S1、S2の開口面積が大きくなり易い。つまり、ガラが通過可能な比較的大きい開口面積を有する開口部S1、S2を実現し易くすることができる。
【0065】
以下、翼補強部材を構成する本実施形態の第1連結部材23及び第2連結部材24の更なる詳細について説明する。
【0066】
図3に示すように、本実施形態の第1連結部材23は、軸部2の周囲で周方向Cに延在する湾曲部23aと、この湾曲部23aの周方向Cの一方側の端部に連続して設けられ、径方向Bに延在する第1取付部23bと、湾曲部23aの周方向Cの他方側の端部に連続して設けられ、径方向Bに延在する第2取付部23cと、を備える。
【0067】
湾曲部23aは、周方向Cに延在する弧状の板部により構成されており、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22の第1翼部22aの間に延在している。また、湾曲部23aは、軸部2及び筒部21から径方向Bの外側に離間した位置に配置されている。
【0068】
第1取付部23bは、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22の一方の共回り防止翼22の第1翼部22aに沿って配置されており、ボルト及びナット等の締結部材60により、この一方の共回り防止翼22の第1翼部22aに対して締結されている。また、第2取付部23cは、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22の他方の共回り防止翼22の第1翼部22aに沿って配置されており、ボルト及びナット等の締結部材60により、この他方の共回り防止翼22の第1翼部22aに対して締結されている。
【0069】
なお、第1貫通孔Xは、湾曲部23aに対して径方向Bの内側の位置に形成されている。より具体的に、径方向Bにおいて湾曲部23aと軸部2の間には間隙が存在し、この間隙により第1貫通孔Xが構成されている。また、本実施形態の第1連結部材23では、上述の湾曲部23a、第1取付部23b、及び第2取付部23cは、溶接により接合されて、一体化されているが、ボルト及びナット等の締結部材により締結されていてもよい。
【0070】
また、本実施形態の第1連結部材23は、湾曲部23aと連続し、湾曲部23aから径方向Bに突出する突出部23dを更に備えている。このような突出部23dを設けることにより、第1連結部材23による土止め効果を更に高めることが可能となる。本実施形態の突出部23dは、湾曲部23aから径方向Bの外側及び内側に突出しているが、所望の土止め効果に応じて、径方向Bの外側及び内側のいずれか一方のみであってもよい。また、本実施形態の突出部23dは、周方向Cにおいて間隔を隔てて4つ設けられているが、所望の土止め効果に応じて、3つ以下とすることも可能であり、5つ以上とすることも可能である。したがって、突出部23dを全く設けない構成とすることも可能である。また、本実施形態の突出部23dは、湾曲部23aに対して溶接により接合されて、一体化されているが、ボルト及びナット等の締結部材により、湾曲部23aに締結されていてもよい。
【0071】
図4に示すように、本実施形態の第2連結部材24は、軸部2の周囲で周方向Cに延在する湾曲部24aと、この湾曲部24aの周方向Cの一方側の端部に連続して設けられ、径方向Bに延在する第1取付部24bと、湾曲部24aの周方向Cの他方側の端部に連続して設けられ、径方向Bに延在する第2取付部24cと、を備える。
【0072】
湾曲部24aは、周方向Cに延在する弧状の板部により構成されており、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22の第3翼部22cの間に延在している。また、湾曲部24aは、軸部2から径方向Bの外側に離間した位置に配置されている。
【0073】
第1取付部24bは、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22の一方の共回り防止翼22の第3翼部22cに沿って配置されており、ボルト及びナット等の締結部材60により、この一方の共回り防止翼22の第3翼部22cに対して締結されている。また、第2取付部24cは、周方向Cにおいて隣接する共回り防止翼22の他方の共回り防止翼22の第3翼部22cに沿って配置されており、ボルト及びナット等の締結部材60により、この他方の共回り防止翼22の第3翼部22cに対して締結されている。
【0074】
なお、第2貫通孔Yは、湾曲部24aに対して径方向Bの内側の位置に形成されている。より具体的に、径方向Bにおいて湾曲部24aと軸部2の間には間隙が存在し、この間隙により第2貫通孔Yが構成されている。また、本実施形態の第2連結部材24では、上述の湾曲部24a、第1取付部24b、及び第2取付部24cは、溶接により接合されて、一体化されているが、ボルト及びナット等の締結部材により締結されていてもよい。
【0075】
また、本実施形態の第2連結部材24においても、上述の第1連結部材23の突出部23dと同様、湾曲部24aと連続し、湾曲部24aから径方向Bに突出する突出部を設けてもよい。
【0076】
ここで、本実施形態では、周方向Cにおいて等間隔を隔てて配置された2つの共回り防止翼22の第1翼部22aにより周方向Cにおいて形成された2つの間隙に嵌り込むように、2つの第1連結部材23が配置されているが、上述したように、周方向Cに配設される共回り防止翼22は2つに限られるものではないため、第1連結部材23の数についても、共回り防止翼22の周方向Cにおける数に応じて、適宜変更することが可能である。
【0077】
また、第2連結部材24についても同様である。つまり、本実施形態では、周方向Cにおいて等間隔を隔てて配置された2つの共回り防止翼22の第3翼部22cにより周方向Cにおいて形成された2つの間隙に嵌り込むように、2つの第2連結部材24が配置されているが、第2連結部材24についても、共回り防止翼22の周方向Cにおける数に応じて適宜変更することが可能である。
【0078】
更に、本実施形態の第1連結部材23は周方向Cに延在する湾曲部23aを備えるが、湾曲部23aを直線状に延在する構成や、角部を有する構成に代えてもよい。第2連結部材24の湾曲部24aについても同様である。但し、本実施形態のように、湾曲部を有する連結部材とすることで、周方向Cにおける補強強度のばらつきを、より低減することができる。また、周方向Cにおける土止め効果のばらつきについても抑制することができる。したがって、第1連結部材23及び第2連結部材24の少なくとも一方の連結部材が湾曲部を有する構成とすることが好ましく、本実施形態のように、第1連結部材23及び第2連結部材24の両方が湾曲部23a、24aを有する構成が特に好ましい。
【0079】
なお、
図1、
図2に示すように、軸方向Aにおいて、共回り防止翼22の第1翼部22aと、第1攪拌翼4aと、の間には、攪拌装置1における別の部位は介在せず、第1翼部22aと第1攪拌翼4aとが軸方向Aにおいて所定の間隙を隔てて配置されている。また、
図1、
図2に示すように、軸方向Aにおいて、共回り防止翼22の第1翼部22aと、第2攪拌翼4bと、の間には、攪拌装置1における別の部位は介在せず、第1翼部22aと第2攪拌翼4bとが軸方向Aにおいて所定の間隙を隔てて配置されている。更に、
図1、
図2に示すように、軸方向Aにおいて、共回り防止翼22の第3翼部22cと、第2攪拌翼4bと、の間には、攪拌装置1における別の部位は介在せず、第3翼部22cと第2攪拌翼4bとが軸方向Aにおいて所定の間隙を隔てて配置されている。また更に、
図1、
図2に示すように、軸方向Aにおいて、共回り防止翼22の第3翼部22cと、掘削翼3と、の間には、攪拌装置1における別の部位は介在せず、第3翼部22cと掘削翼3とが軸方向Aにおいて所定の間隙を隔てて配置されている。また、
図1、
図2に示すように、軸方向Aにおいて、第1攪拌翼4aと第3攪拌翼4cとの間には、攪拌装置1における別の部位は介在せず、第1攪拌翼4aと第3攪拌翼4cとが軸方向Aにおいて所定の間隙を隔てて配置されている。
【0080】
以下、攪拌装置1の特徴部について詳細に説明する。
【0081】
上述したように、攪拌装置1の攪拌翼4は、軸部2の回動と共回りする。これに対して、攪拌装置1の共回り防止部5は、攪拌翼4よりも、軸部2と共回りしない。そのため、攪拌装置1による掘削時の改良土には、攪拌翼4と共回り防止部5とによって、軸方向Aと直交する方向のせん断力が作用する。このせん断力により、改良土の中の土塊が細分化される。
【0082】
また、
図2に示すように、共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)は、第1攪拌翼4aに対して軸部2の軸方向Aの先端側に間隙を隔てて配置されている。そのため、上述した軸方向Aと直交する方向のせん断力、によって細分化された土塊の一部は、第1攪拌翼4aと上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)との間の間隙に入り込む。
【0083】
更に、
図2に示すように、第1攪拌翼4aの軸方向Aの先端側に位置する下面10bにおいて、周方向Cのうち掘進作業時の回転方向C1の一端10b1は、周方向Cのうち回転方向C1と逆方向C2の他端10b2よりも、軸部2の基端に近い。このような構成とすれば、掘進作業時において、第1攪拌翼4aと、この第1攪拌翼4aに対して軸方向Aの先端側に間隙を隔てて配置されている、共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の間隙に位置する土塊は、第1攪拌翼4aに対して相対的に、掘進作業時の回転方向C1と逆方向C2に移動し易い。つまり、第1攪拌翼4aと上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)との間の間隙に位置する土塊は、第1攪拌翼4aと上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)との軸方向Aの距離が大きいところから小さい所に向かって誘導され易くなる。これにより、掘進作業時において、第1攪拌翼4aと上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)との間の間隙に位置する土塊を、上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)に向かって押し付けるようにすることができる。その結果、第1攪拌翼4aと上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)との間の間隙に位置する土塊を、共回り防止部5側にすりつけて、すりこぐことができ、土塊を更に細分化することができる。そして、掘削土に地盤固化材を混ぜ合わせる際の攪拌性能を向上させることができる。以下、説明の便宜上、上記作用効果を、単に「すりこぎ効果」と記載する場合がある。
【0084】
なお、第1攪拌翼4aの下面10bにおいて、回転方向C1の一端10b1が、逆方向C2の他端10b2よりも軸部2の基端に近い構成であればよく、下面10bのうち上述の一端10b1と他端10b2との間の部分の面形状は特に限定されない。但し、上述のすりこぎ効果を高める観点から、下面10bの上述の一端10b1と他端10b2との間に、回転方向C1に向かうにつれて軸部2の基端に近づくように、周方向Cに対して傾斜している傾斜下面部があることが好ましい。傾斜下面部としては、平面状であっても湾曲状であってもよい。
【0085】
特に、本実施形態では、
図2に示すように、第1攪拌翼4aの軸方向Aの先端側に位置する下面10bは、周方向Cのうち掘進作業時の回転方向C1に向かうにつれて軸部2の基端に近づくように、周方向Cに対して傾斜している。換言すれば、本実施形態の下面10bは、上述の傾斜下面部のみにより構成されている。第1攪拌翼4aの下面10bをこのように傾斜させた構成とすれば、掘進作業時において、第1攪拌翼4aと、この第1攪拌翼4aに対して軸方向Aの先端側に間隙を隔てて配置されている、共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の間隙に位置する土塊は、第1攪拌翼4aに対して相対的に、掘進作業時の回転方向C1と逆方向C2に、より移動し易くなる。これにより、上述したすりこぎ効果を、より高めることができる。
【0086】
なお、本実施形態の共回り防止部5では、第1攪拌翼4aに対して軸方向Aの先端側に所定の間隔を隔てて配置されている一部が、共回り防止翼22の第1翼部22aと、第1連結部材23と、により構成されていたが、この構成に限られるものではない。したがって、共回り防止部5の別の部位が、第1攪拌翼4aに対して軸方向Aの先端側に所定の間隔を隔てて配置されている構成としてもよい。更に、本実施形態の共回り防止部5では、その一部(第1翼部22a及び第1連結部材23)のみが、第1攪拌翼4aに対して軸方向Aの先端側に所定の間隔を隔てて配置されている構成であるが、共回り防止部の全てが上記位置に配置される構成であってもよい。
【0087】
本実施形態では、第1攪拌翼4aを板状で形成し、この板状の第1攪拌翼4aを所謂「逆付け」することにより、上述の傾斜する下面10bを実現しているが、上述の傾斜する下面10bを実現できれば、板状の第1攪拌翼4aに限られるものではない。
【0088】
また、本実施形態の共回り防止部5は、上述したように、軸部2の軸方向Aに貫通する第1貫通孔Xを有している。具体的に、本実施形態の共回り防止部5の第1翼部22a及び第1連結部材23は、軸部2の軸方向Aに貫通する第1貫通孔Xを有している。そして、第1攪拌翼4aは、共回り防止部5の第1貫通孔Xに対して軸方向Aの基端側の位置で、共回り防止部5に対して相対的に回動可能に構成されている。このような構成とすれば、第1攪拌翼4aと、第1貫通孔Xが形成されている共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の間隙に位置する土塊を、共回り防止部5の第1貫通孔Xの縁等にすりつけて、上述のすりこぎ効果を高めることができ、土塊をより一層、細分化することができる。また、掘進作業時において、土塊を、第1攪拌翼4aと、第1貫通孔Xが形成されている共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の位置に、第1貫通孔Xを通じて効率的に供給でき、すりこぎ効果が得られる確率を高めることができる。更に、共回り防止部5に第1貫通孔Xを設けることにより、第1貫通孔Xに改良土が入るため、共回り防止部5による土止め効果を高めることができる。そのため、第1攪拌翼4aと共回り防止部5とに改良土に作用するせん断力を高めることができ、改良土に含まれる掘削土の土塊をより確実に細分化できると共に、掘削土に地盤固化材を混ぜ合わせる際の攪拌性能を向上させることができる。
【0089】
また、
図2に示すように、本実施形態の攪拌装置1は、軸部2と共回りし、第1貫通孔Xに対して軸方向Aの先端側の位置で、共回り防止部5に対して相対的に回動可能な板状の第2攪拌翼4bを備えている。そして、第2攪拌翼4bは、回転方向C1に向かうにつれて、軸部2の先端に近づくように傾斜している、すなわち、第2攪拌翼4bは所謂「正付け」されている。このような第2攪拌翼4bを備えることにより、第1攪拌翼4aと、第1貫通孔Xが形成されている共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の間隙に位置する土塊のみならず、第2攪拌翼4bと、上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の間隙に位置する土塊に対しても、上述のすりこぎ効果を得ることができる。また、板状の第2攪拌翼4bが所謂「正付け」されているため、掘進作業時において、掘削土の土塊を含む改良土をすくい上げて軸方向Aの基端側に押し上げ、土塊を含む改良土を、共回り防止部5の第1貫通孔Xに向かって供給することができる。これにより、土塊を、第2攪拌翼4bと、第1貫通孔Xが形成されている共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)との間の間隙に効率的に供給できることに加えて、土塊を、第1貫通孔Xを通じて、第1攪拌翼4aと、上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の間隙にも、より効率的に供給することができる。
【0090】
更に、
図2に示すように、本実施形態では、軸方向Aにおいて、第1攪拌翼4aと第1貫通孔Xとの最短距離L1は、第2攪拌翼4bと第1貫通孔Xとの最短距離L2よりも短い。第1攪拌翼4aと第1貫通孔Xとの軸方向Aの最短距離L1とは、第1攪拌翼4aのうち回転方向C1の逆方向C2側の端部から第1貫通孔Xまでの軸方向Aの距離である。また、第2攪拌翼4bと第1貫通孔Xとの軸方向Aの最短距離L2とは、第2攪拌翼4bのうち回転方向C1の逆方向C2側の端部から第1貫通孔Xまでの軸方向Aの距離である。第1攪拌翼4aについての最短距離L1を短くすることで、第1攪拌翼4aと、第1貫通孔Xが形成されている共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間の上述のすりこぎ効果により細分化される土塊を、より細かくすることができる。その一方で、第2攪拌翼4bについての最短距離L2を長くすることで、第2攪拌翼4bと、上述の共回り防止部5の一部(本実施形態では第1翼部22a及び第1連結部材23)と、の間にガラが滞留して攪拌性能が低減すること、を抑制することができる。以上のことから、本実施形態のように、軸方向Aにおいて、第1攪拌翼4aと第1貫通孔Xとの最短距離L1は、第2攪拌翼4bと第1貫通孔Xとの最短距離L2よりも短いことが好ましい。なお、最短距離L1及びL2は、10mm~70mmとすることが好ましい。10mmよりも小さくすると、間隙に土塊が入り難い一方で、一旦入り込んだ土塊が間隙の中に詰まってしまう可能性があり、70mmよりも大きいと、土塊の全体を所望の大きさ(10mm以下)まで細分化しきれない可能性があるからである。
【0091】
上述の第1攪拌翼4a、第2攪拌翼4b、及び、共回り防止部5の第1貫通孔X、は本実施形態で示す具体的な構成に限られるものではない。例えば、本実施形態の共回り防止部5は、上述したように、複数の共回り防止翼22と、この共回り防止翼22を軸方向Aの第1位置P1で連結する第1連結部材23と、を備えており、本実施形態の第1貫通孔Xが、軸方向Aの第1位置P1で、第1連結部材23と軸部2との間の位置に形成されているが、このような共回り防止部5や第1貫通孔Xの構成に限られるものではない。
【0092】
但し、本実施形態のように、軸方向Aの基端側から先端側に向かって、第1攪拌翼4a、共回り防止部5の第1貫通孔X、第2攪拌翼4b、共回り防止部5の第2貫通孔Y、の順に配置されていることが好ましい。このようにすれば、第2攪拌翼4bと、共回り防止部5の第2貫通孔Y及びその近傍(本実施形態では第3翼部22c及び第2連結部材24)と、の間の間隙においても、第2貫通孔Yによる所定の土止め効果を得ることができ、土塊の細分化性能を高めることができると共に、掘削土及び地盤固化材の攪拌性能を高めることができる。なお、本実施形態の第1貫通孔X及び第2貫通孔Yは共に、軸方向Aの第1位置P1から第2位置P2に亘って延在する共回り防止部5に形成されているが、軸方向Aの第1位置P1及び第2位置P2それぞれに別々の共回り防止部を設け、この別々の共回り防止部それぞれに第1貫通孔、第2貫通孔を形成してもよい。
【0093】
更に、
図1に示すように、共回り防止部5の第2貫通孔Y及びその近傍(本実施形態では第3翼部22c及び第2連結部材24)と、掘削翼3と、の間の間隙においても、第2貫通孔Yによる所定の土止め効果を得ることができ、土塊の細分化性能を高めると共に、掘削土及び地盤固化材の攪拌性能を高めることができる。
【0094】
また更に、本実施形態の攪拌装置1では、第1攪拌翼4aに対して軸方向Aの基端側に位置し、軸方向Aにおいて第1攪拌翼4aと所定の間隙を隔てて配置されている板状の第3攪拌翼4cを備えている。そして、本実施形態の板状の第3攪拌翼4cは、上述したように、回転方向C1に向かうにつれて、軸部2の先端に近づくように傾斜している。上述したように、本実施形態の第1攪拌翼4aの下面10bは、回転方向C1に向かうにつれて、軸部2の基端に近づくように傾斜している。そのため、第1攪拌翼の下面が回転方向C1に向かうにつれて、軸部2の先端に近づくように傾斜している構成と比較して、掘進作業時のトルク抵抗が大きくなる。しかしながら、この第1攪拌翼4aを、所謂「正付け」されている板状の第2攪拌翼4b及び第3攪拌翼4cで挟むことにより、第1攪拌翼4aによる掘進作業時のトルク抵抗の過度な増大を抑制することができる。
【0095】
なお、攪拌装置1の各部位は、高強度、高耐摩耗性の鉄鋼金属材料などで構成することができる。
【0096】
以上のように、本実施形態の攪拌装置1によれば、掘進作業時において、上述のすりこぎ効果によって、土塊の細分化性能を高めることができる。その結果、掘削土及び地盤固化材の攪拌性能を高めることができる。
【0097】
本発明に係る攪拌装置は、上述の実施形態で示す具体的な構成に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述の実施形態の板状の第1攪拌翼4a全てが所謂「逆付け」された構成になっているが、少なくとも1つの第1攪拌翼が所謂「逆付け」された構成であればよい。但し、上述の実施形態のように、全ての第1攪拌翼4aを所謂「逆付け」された構成とすれば、一部のみの第1攪拌翼が所謂「逆付け」された構成と比較して、上述のすりこぎ効果を高めることができ、土塊の細分化性能を、より向上させることができる。また、例えば、第1攪拌翼4aの下面10bにおいて、回転方向C1の一端10b1が、逆方向C2の他端10b2よりも軸部2の基端に近い構成であればよく、下面10bは、周方向Cに対して傾斜している傾斜下面部と、周方向Cに対して平行な平行下面部とを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は攪拌装置に関する。
【符号の説明】
【0099】
1:攪拌装置
2:軸部
2a:開口
3:掘削翼
3a:掘削爪
4:攪拌翼
4a:第1攪拌翼
4b:第2攪拌翼
4c:第3攪拌翼
5:共回り防止部
10a:第1攪拌翼の上面
10b:第1攪拌翼の下面
10b1:下面の一端
10b2:下面の他端
10c:第1攪拌翼の上側端面
10d:第1攪拌翼の下側端面
11a:第2攪拌翼の上面
11b:第2攪拌翼の下面
11c:第2攪拌翼の上側端面
11d:第2攪拌翼の下側端面
12a:第3攪拌翼の上面
12b:第3攪拌翼の下面
12c:第3攪拌翼の上側端面
12d:第3攪拌翼の下側端面
21:筒部
22:共回り防止翼
22a:第1翼部
22b:第2翼部
22c:第3翼部
23:第1連結部材
23a:第1連結部材の湾曲部
23b:第1連結部材の第1取付部
23c:第1連結部材の第2取付部
23d:突出部
24:第2連結部材
24a:第2連結部材の湾曲部
24b:第2連結部材の第1取付部
24c:第2連結部材の第2取付部
30a:第1攪拌翼群
30b:第2攪拌翼群
30c:第3攪拌翼群
50:逆流防止弁
60:締結部材
70:掘削孔の内壁
A:軸部の軸方向
B:軸部の径方向
C:軸部の周方向
C1:軸部の周方向のうち掘削作業時の回転方向
C2:軸部の周方向のうち掘削作業時の回転方向の逆方向
L1:第1攪拌翼と第1貫通孔との軸方向の最短距離
L2:第2攪拌翼と第1貫通孔との軸方向の最短距離
O:軸部の中心軸線
P1:軸方向の第1位置
P2:軸方向の第2位置
S1:第1連結部材に対いて径方向外側に形成されている開口部
S2:第2連結部材に対いて径方向外側に形成されている開口部
X:第1貫通孔
Y:第2貫通孔