(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】試験仕様作成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20241206BHJP
G06F 8/70 20180101ALI20241206BHJP
【FI】
G06F11/36 184
G06F8/70
(21)【出願番号】P 2023532912
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2021025400
(87)【国際公開番号】W WO2023281614
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 真理子
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 亮一
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101723(JP,A)
【文献】特開2014-115884(JP,A)
【文献】特開平11-175370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/36
G06F 8/70-8/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された新規案件の設計データと、蓄積している既存案件の設計データとに基づいて試験対象システムに対する試験仕様のひな形を作成する試験仕様作成装置であって、
前記新規案件の設計データと前記既存案件の設計データを比較する比較部と、
前記既存案件の設計データから既存案件の入出力情報を抽出し、前記新規案件の設計データから新規案件の入出力情報を抽出し、入出力情報変換ルールに基づいて既存案件の試験仕様を新規案件の試験仕様に変換する変換部と、
前記既存案件の設計データと前記新規案件の設計データとを受け、
前記既存案件の設計データで定義されている既存案件のアーキテクチャ情報と、
前記新規案件の設計データで定義されている新規案件のアーキテクチャ情報との差分を検出してアーキテクチャ変更を検出するアーキテクチャ変更検出部と、
前記アーキテクチャ変更による前記試験仕様の変更箇所を試験仕様変更箇所提示情報として提示する試験仕様変更箇所提示部と、
前記変換部で変換された前記新規案件の試験仕様と、前記試験仕様変更箇所提示情報とを用いて前記試験仕様のひな形を作成する試験仕様生成部と、を備え、
前記比較部は、前記既存案件の設計データと前記新規案件の設計データとの比較により、前記既存案件の設計データが流用可能かについて判断し、流用可能な場合に前記変換部において、前記新規案件の入出力情報および前記試験仕様の入出力情報を抽出し、前記既存案件の試験仕様を前記新規案件の試験仕様に変換する、試験仕様作成装置。
【請求項2】
前記比較部は、
前記既存案件の設計データと前記新規案件の設計データとの類似度を算出し、前記類似度が閾値以上、かつ最大である前記既存案件の設計データが存在する場合は、前記既存案件の設計データを流用可能と判断する、請求項1記載の試験仕様作成装置。
【請求項3】
前記入出力情報変換ルールは、
前記既存案件の入出力情報および前記新規案件の入出力情報において、機能仕様が対応する、入力データ名および出力データ名の少なくとも一方が類似する、入出力データの9割が同一の少なくとも1つを満たす場合には、前記既存案件の入出力情報と前記新規案件の入出力情報とが対応するものと判断するルールであり、前記変換部において、前記既存案件の試験仕様を前記新規案件の試験仕様に変換する、請求項1記載の試験仕様作成装置。
【請求項4】
前記入出力情報変換ルールは、
前記入出力情報変換ルールに前記既存案件の入出力情報、前記新規案件の入出力情報および前記既存案件の試験仕様が対応付けられたテーブルにより定義される、請求項3記載の試験仕様作成装置。
【請求項5】
前記変換部において抽出した前記既存案件の入出力情報および前記新規案件の入出力情報は、入出力データの名称、前記入出力データのデータ型、前記入出力データの前提条件および前記入出力データの値域を含む、請求項1記載の試験仕様作成装置。
【請求項6】
前記アーキテクチャ変更検出部は、
前記既存案件のアーキテクチャ情報および前記新規案件のアーキテクチャ情報を管理し、
前記アーキテクチャ変更検出部が管理する、前記既存案件のアーキテクチャ情報および前記新規案件のアーキテクチャ情報として、前記試験対象システムを構成する機器の名称、データ伝送方式および、前記機器に搭載される搭載機器の名称を含む、請求項1記載の試験仕様作成装置。
【請求項7】
前記試験仕様変更箇所提示部は、試験仕様変更箇所提示ルールに基づいて前記試験仕様の変更箇所を提示し、
前記試験仕様変更箇所提示ルールは、
パラメータの変化に対して、少なくとも変化条件、機能ブロック、機能仕様に対して対応付けた提示内容を含むテーブルで定義される、請求項1記載の試験仕様作成装置。
【請求項8】
前記試験仕様のひな形を作成した後に、前記入出力情報変換ルールおよび前記試験仕様変更箇所提示ルールの修正を可能とするユーザ編集部を備える、請求項7記載の試験仕様作成装置。
【請求項9】
前記比較部において、前記既存案件の設計データが流用不可能な場合に、前記新規案件の設計データを新規の設計パターンとして学習する新規パターン学習部を備える、請求項1記載の試験仕様作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、列車のシステムのような分散協調システムにおいて、試験仕様のひな形を作成する試験仕様作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車のシステムのような分散協調システムにおいて、従来は、例えば、システムごとに新規に試験仕様を作成し、作成した試験仕様に基づいてシミュレータで使用できる形式の試験仕様を作成し、シミュレーションを実行することで試験を実施していた。
【0003】
試験仕様を作成し、シミュレーションを実行するシステムとしては、例えば特許文献1に開示のシステムが挙げられる。
【0004】
特許文献1には、設計モデルと、インターフェース仕様と、該設計モデルをテストするために作成された1以上のテストとの間の整合性を自動的に確保するためのシステムが開示されている。当該システムでは、モデリング環境に組み込まれたブローカーと称されるコントローラが、インターフェース仕様を作成し、当該インターフェース仕様は、設計モデルのインターフェースを識別する。また、当該システムでは、設計モデルのインターフェース、インターフェース仕様およびテストのインターフェースのうちの任意の1つに対する提案された変更を、ブローカーによって捕捉し、他の2つに適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、列車のシステムのような分散協調システムにおけるシミュレーションでは、類似したシステムについては、試験仕様を流用して作成させることもあったが、データ名、データ値、前提条件などの誤記の発生に起因して、テストの結果に問題が生じ、試験仕様を見直す手戻りが発生することがある。また、機器構成および機能配置の変更など、アーキテクチャ変更時の試験仕様作成において、人間が作成した場合の網羅性が課題となっている。また、ユーザの試験観点を反映した試験仕様の作成、ユーザの試験観点でのメンテナンス性も課題となっている。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、試験仕様の作成工数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る試験仕様作成装置は、入力された新規案件の設計データと、蓄積している既存案件の設計データとに基づいて試験対象システムに対する試験仕様のひな形を作成する試験仕様作成装置であって、前記新規案件の設計データと前記既存案件データベースから取り出した前記既存案件の設計データを比較する比較部と、前記既存案件の設計データから既存案件の入出力情報を抽出し、前記新規案件の設計データから新規案件の入出力情報を抽出し、入出力情報変換ルールに基づいて既存案件の試験仕様を新規案件の試験仕様に変換する変換部と、前記既存案件の設計データと前記新規案件の設計データとを受け、前記既存案件の設計データで定義されている既存案件のアーキテクチャ情報と、前記新規案件の設計データで定義されている新規案件のアーキテクチャ情報との差分を検出してアーキテクチャ変更を検出するアーキテクチャ変更検出部と、前記アーキテクチャ変更による前記試験仕様の変更箇所を試験仕様変更箇所提示情報として提示する試験仕様変更箇所提示部と、前記変換部で変換された前記新規案件の試験仕様と、前記試験仕様変更箇所提示情報とを用いて前記試験仕様のひな形を作成する試験仕様生成部と、を備え、前記比較部は、前記既存案件の設計データと前記新規案件の設計データとの比較により、前記既存案件の設計データが流用可能かについて判断し、流用可能な場合に前記変換部において、前記新規案件の入出力情報および前記試験仕様の入出力情報を抽出し、前記既存案件の試験仕様を前記新規案件の試験仕様に変換する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る試験仕様作成装置によれば、既存案件の設計データが流用可能な場合に、変換部において、新規案件の入出力情報および試験仕様の入出力情報を抽出し、既存案件の試験仕様を新規案件の試験仕様に変換するので、案件ごとに新規で試験仕様を作成する必要がなく、試験仕様の作成工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る試験仕様作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る試験仕様作成装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図3】試験対象のシステムを機能ブロック、機能仕様および機能ユニットの階層構造で記述した機能リストを示す図である。
【
図4】新規案件の試験仕様を作成した例を示す図である。
【
図5】試験対象のシステムの機器構成をテーブルで表した図である。
【
図6】試験仕様変更箇所提示ルールの定義例を示す図である。
【
図7】アーキテクチャの変更例を説明する図である。
【
図8】アーキテクチャの変更例を説明する図である。
【
図9】実施の形態2に係る試験仕様作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態2に係る試験仕様作成装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図11】実施の形態1および2に係る試験仕様作成装置を実現するハードウェア構成を示す図である。
【
図12】実施の形態1および2に係る試験仕様作成装置を実現するハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<装置構成>
図1は実施の形態1に係る試験仕様作成装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、試験仕様作成装置100は、入力された新規案件設計データ1に基づいて、試験仕様12の作成を支援する装置であり、作成された試験仕様12は、試験対象システム(以下、「試験対象」)への入出力データの模擬装置13に入力される。試験対象への入出力データの模擬装置13は、分散協調システムの各機器の通信処理を模擬する装置であり、試験仕様12に記述された通信処理を行って試験仕様12を試験対象14に入力する。
【0012】
図1に示されるように、試験仕様作成装置100は、既存案件設計データおよび既存案件の試験仕様を格納する既存案件データベース3、入出力情報変換ルールを格納する入出力情報変換ルールデータベース6および試験仕様変更箇所の提示ルールを格納する試験仕様変更箇所提示ルールデータベース8を有している。
【0013】
また、
図1に示されるように、試験仕様作成装置100は、機能ブロック比較部2、新規パターン学習部4、入出力データ変換部5、アーキテクチャ変更検出部7、試験仕様生成部9および試験仕様変更箇所提示部10を有している。
【0014】
機能ブロック比較部2は、新規案件設計データ1と既存案件データベース3から抽出した既存案件の設計データについて、それぞれ機能リストを抽出して比較する。機能リストの比較には、機能リストどうしの類似度を算出して、閾値との比較を行う方法が挙げられる。
【0015】
そして、機能ブロック比較部2で機能リストを比較した結果、類似度が閾値以上、かつ最大である既存案件が存在する場合は、既存案件の設計データを流用して試験仕様12を作成可能、すなわち既存案件の設計データを流用可能と判断し、入出力データ変換部5では以下の処理を実行する。
【0016】
すなわち、入出力データ変換部5において、当該既存案件の設計データから、入出力データ名、入出力データの前提条件、初期条件、入出力データの値域を既存案件の入出力情報として抽出する。そして、新規案件設計データ1から試験仕様に記述する入出力データ名、入出力データの前提条件、初期条件、入出力データの値域を新規案件の入出力情報として抽出する。このような入出力情報を抽出することで、既存案件が流用可能であるかの判断が可能となる。
【0017】
さらに、入出力データ変換部5は、機能ブロック比較部2で類似度が閾値以上、かつ最大である既存案件の設計データに関連付けられた新規案件の入出力情報を入出力情報変換ルールデータベース6に格納されている入出力情報変換ルールに基づいて、試験仕様12の入力情報に変換する。このような構成を採ることで、既存案件の流用が可能となる。
【0018】
一方、機能ブロック比較部2で機能リストを比較した結果、類似度が閾値を超える既存案件が存在しなかった場合は、既存案件の設計データを流用不可能と判断し、新規パターン学習部4において、新規案件設計データを新規設計パターンとして学習し、既存案件設計データとして既存案件データベース3に格納する。
【0019】
アーキテクチャ変更検出部7は、既存案件の設計データと新規案件設計データ1とを受け、機能ブロック比較部2で類似度が閾値以上、かつ最大であるとされた既存案件の設計データで定義されている既存案件のアーキテクチャ情報および関連する前提条件と、新規案件設計データ1で定義されている新規案件のアーキテクチャ情報および関連する前提条件との差分を検出する。
【0020】
試験仕様変更箇所提示部10は、アーキテクチャ変更検出部7で検出したアーキテクチャ情報と、アーキテクチャ情報に関連する前提条件と、試験仕様変更箇所提示ルールデータベース8で格納されている、設計データで定義されたパラメータが変化したときの試験仕様変更箇所の提示ルールに基づいて、アーキテクチャの変更による試験仕様変更箇所提示情報を生成する。
【0021】
試験仕様生成部9は、入出力データ変換部5で生成した試験仕様12の入出力情報と、試験仕様変更箇所提示部10で生成した試験仕様変更箇所提示情報に基づいて試験仕様12を生成する。
【0022】
<動作>
次に、
図2に示すフローチャートを用いて、試験仕様作成装置100の動作を説明する。まず、既存案件の設計データと、既存案件の試験仕様12を既存案件データベース3に格納する(ステップS101)。
【0023】
設計データは、試験対象14において試験を実施する機能の機能リスト、各機能における入出力データの情報、各機能に関連する機器情報(アーキテクチャ情報)、各機能に関連する機能情報およびシステム全体の情報で構成される。
【0024】
図3は、試験対象14のシステムを機能ブロック、機能仕様および機能ユニットの階層構造で記述した場合の、機能リストの一例をテーブルで表している。
【0025】
図3に示される機能ブロックは、機能仕様を作成する単位であり、機能仕様を同じカテゴリ、例えば、空調、ブレーキなどでグループ化したものである。機能仕様は、機能の実行の流れを表す仕様である。画面操作、機器Aの処理、機器Bの処理などの分散協調システムの複数の構成機器の処理の組み合わせで構成される。機能ユニットは、機能仕様を実行するための単体の機能である。
【0026】
図3では、機能ブロックの一例として、列車内の空調の温度設定および座席ヒーターの温度設定などを表す空調設定、および分散協調システムの構成機器間の通信の監視機能を表す伝送監視を示している。また、機能仕様の一例として、空調設定に関しては、空調設定の初期化機能を表す空調イニシャリズ、列車内の送風機の設定機能を表すラインデリア設定を示している。また、伝送監視に関しては、列車統合管理システムのサブシステムを表すCCU-Oおよび各種情報の記録機能を表す記録を示している。また、機能ユニットの一例として、空調設定に関しては、列車内の空調を設定するための表示器での空調設定画面および空調設定の初期化のための空調設定初期化処理を示している。また、伝送監視に関しては、表示器でシステム内の伝送状態を表示する伝送監視画面、伝送監視処理および記録処理を示している。
【0027】
機能リストとしては、
図3に示したような階層構造に限定されず、個々の機能を羅列しただけの機能リストも使用でき、システムを構成する機器ごとに記述した機能リストも使用できる。
【0028】
また、設計データのうち、各機能における入出力データの情報は、例えば、入出力データ名、入出力データのデータ型、入出力データに関連付けられている機器情報および前提条件で表される。
【0029】
各機能に関連する機器情報は、各機能の処理を行うシステム内の機器の名称、インデックスおよび機器が搭載されている車両番号で表される。
【0030】
各機能に関連する機能情報は、各機能を構成するサブ機能の名称、インデックスおよびサブ機能の処理を行う機器情報で表される。
【0031】
システム全体の情報は、例えば、システムアーキテクチャをソフトウェアアーキテクチャ、機能配置、機能構成、機能間または機器間のデータ伝送方式、前提条件、初期条件で表される。なお、列車のシステムにおいては、システム全体の情報を、車両数、列車の構成、各機器の搭載数および伝送遅延により表すこともできる。
【0032】
ここで、
図2のフローチャートの説明に戻り、機能ブロック比較部2において既存案件データベース3から既存案件を取り出す(ステップS102)。これは、
図3に示したような既存案件の設計データの機能の入出力情報を抽出することを意味する。
【0033】
次に、試験仕様作成装置100に新規案件設計データ1を入力する(ステップS103)。この処理は、試験仕様作成装置100のユーザが入力インターフェースを介して新規案件設計データ1を入力することを意味する。
【0034】
新規案件設計データ1は、既存案件の設計データと同様に、試験対象14において試験を実施する機能の機能リスト、各機能における入出力データの情報、各機能に関連する機器情報、各機能に関連する機能情報およびシステム全体の情報で構成される。
【0035】
次に、機能ブロック比較部2において、新規案件設計データ1から機能ブロック構成を抽出する(ステップS104)。これは、新規案件設計データ1から機能リスト情報を抽出することを意味する。
【0036】
次に、機能ブロック比較部2において、ステップS102で抽出した既存案件の設計データの機能リストと、ステップS104で抽出した新規案件設計データ1の機能リストとを比較する(ステップS105)。これは、既存案件の設計データおよび新規案件設計データ1のそれぞれについて作成した
図3に示したような機能リストを比較する処理であり、既存案件の設計データが流用可能かについて判断することを意味する。
【0037】
比較の方法の例として、類似度=(機能ブロックの一致数)/(機能ブロックの個数)を算出し、ユーザが決めた閾値以上であるかどうかを確認する方法が挙げられる。また、機能ブロックの一致については、各機能ブロックに関連付けられた機能仕様が一致している割合により判定することもできる。
【0038】
ステップS105での比較において、類似度が閾値以上である場合は、既存案件の設計データが流用可能(Yes)と判断し、ステップS107に移行する。一方、類似度が閾値未満である場合は既存案件の設計データが流用不可能(No)と判断し、ステップS114に移行する。
【0039】
ステップS114では、ステップS105での比較の結果、既存案件データベース3の中に類似度が閾値以上である既存案件が存在しない場合は、入力された新規案件の設計データについて、新規パターン学習部4で学習し、既存案件データベース3に既存案件として格納する。
【0040】
新規パターン学習部4では、例えば、ディープラーニングを含む機械学習により新規案件の設計データ、アーキテクチャ情報のテーブルを1つの新規パターンとし、既存案件データベース3に格納する。このような新規パターン学習部4を備えることで、新規案件の新規パターンを蓄積することができる。ステップS105での比較において、類似度が閾値未満のものについて新規パターンとする。
【0041】
また、ステップS107での処理に先立って、既存案件の設計データおよび試験仕様から、入出力データの変換ルールを作成して入出力情報変換ルールデータベース6に格納しておく(ステップS106)。
【0042】
この処理は、試験仕様作成装置100のユーザが入力インターフェースを介して、既存案件および新規案件の試験仕様に対応する機能仕様、入力データ名、出力データ名、入出力データの形式、例えば、データ型、データ伝送方式、通信元、通信先などに基づいて作成した変換ルールを入力することを意味している。なお、変換ルールの一例については後に説明する。
【0043】
ステップS107では、入出力データ変換部5において、既存案件データベース3の中に類似度が閾値以上である既存案件のうち、類似度が最大の既存案件について入出力情報を抽出し、新規案件の試験仕様の入出力データの対応部分と関連付ける。関連付ける方法としては、例えば、データ名が合致するもの、データ名が類似するもので自動的に関連付けることもでき、人手を介在させて半自動的に関連付けることもできる。
【0044】
そして、既存案件データベース3に格納されている既存案件の設計データの中の入出力データと、入力された新規案件設計データ1の中の入出力データについて、ステップS106で入出力情報変換ルールデータベース6に格納した入出力データの変換ルールに基づいて、既存案件の試験仕様の入出力データを新規案件の試験仕様の入出力データに変換する。
【0045】
入出力データ変換部5では、ステップS107で生成した新規案件の試験仕様の入出力データと既存案件の試験仕様の入出力データから新規案件の試験仕様の入出力データを生成する(ステップS108)。
【0046】
図4に、既存案件の設計データ、新規案件の設計データおよび既存案件の試験仕様から変換ルールに基づいて新規案件の試験仕様を作成した例を示している。
図4の例では、変換ルールとして、以下の条件(1)~(3)の少なくとも1つを満たす場合、入出力データが異なっていても対応するデータと判断するものと定義する。
【0047】
(1)機能仕様が対応する
(2)入力データ名、出力データ名の少なくとも一方が類似
(3)データ型、送信元機器などの入出力データの9割が同一
なお、条件(3)の同一性の判断には、予め定めた閾値を用いて判断し、閾値は試験仕様作成装置100のユーザが選択できるものとする。
【0048】
上記変換ルールを適用した際のデータの変換例として、以下の(例1)~(例3)を挙げる。なお、(例1)~(例3)は、
図4のNo.1~No.3に対応する。
【0049】
(例1)
既存案件の設計データに、機能仕様:空調設定、入力データ:I_TrainConfValid、出力データ:HVAC_F_LAN1_ErrCnt_HVACが記述され、新規案件の設計データに、機能仕様:空調設定、入力データ:I_TrainSystemConfValid、出力データ:HVAC_F_LAN1_ErrCnt_HVACが記述されており、この設計データに関連付けられた既存案件の試験仕様に「空調設定仕様:I_TrainConfValidに”true”を設定し、HVAC_F_LAN1_ErrCnt_HVACが”false”であることを確認する」、と記述されている場合、新規案件の試験仕様「空調設定仕様:I_TrainSystemConfValidに”true”を設定し、HVAC_F_LAN1_ErrCnt_HVACが”false”であることを確認する」を出力する。
【0050】
上記の(例1)では、既存案件と新規案件とで機能仕様である空調設定が対応し、入力データ名が類似し、出力データ名が一致するので、変換ルール(1)、(2)に基づいて、既存案件の試験仕様の入出力データが、新規案件の試験仕様の入出力データに変換されている。
【0051】
(例2)
既存案件の設計データに、機能仕様:伝送監視、入力データ:CCU_O_F_LAN1_ErrCnt_CCUO_Status、出力データ:表示器、日時表示:yyyymmddhhmmssが記述され、新規案件の設計データに、機能仕様:伝送監視、入力データ:CCU_O_F_LAN1_ErrCnt_CCUO_Status、出力データ:表示器、日時表示:yyyymmddhhmmが記述されており、この設計データに関連付けられた既存案件の試験仕様に「伝送監視仕様:CCU_O_F_LAN1_ErrCnt_CCUO_Statusに”0”を設定し、表示が”yyyymmddhhmmss”であることを確認する。」、と記述されている場合、新規案件の試験仕様「伝送監視仕様:CCU_O_F_LAN1_ErrCnt_CCUO_Statusに”0”を設定し、表示が”yyyymmddhhmm”であることを確認する。」を出力する。
【0052】
上記の(例2)では、既存案件と新規案件とで機能仕様である伝送監視が対応し、入力データ名が類似し、出力データ名が一致するので、変換ルール(1)、(2)に基づいて、既存案件の試験仕様の入出力データが、新規案件の試験仕様の入出力データに変換されている。
【0053】
(例3)
既存案件の設計データに、機能仕様:パンタグラフ昇降、閾値(速度):50km/h、入力データ:I_TrainSpeed、出力データ:I_PantoValidが記述され、新規案件の設計データに、機能仕様:パンタグラフ昇降、閾値(速度):70km/h、入力データ:I_TrainSpeed、出力データ:I_PantoValidが記述されており、この設計データに関連付けられた既存案件の試験仕様に「パンタグラフ昇降仕様:I_TrainSpeedに初期値”0”を入力し、閾値50km/hを超えたときにI_PantoValidが”true”になっていることを確認する。」、と記述されている場合、新規案件の試験仕様「パンタグラフ昇降仕様:I_TrainSpeedに初期値”0”を入力し、閾値70km/hを超えたときにI_PantoValidが”true”になっていることを確認する。」を出力する。
【0054】
上記の(例3)では、既存案件と新規案件とで機能仕様であるパンタグラフ昇降が対応し、入力データ名が類似し、出力データ名が一致するので、変換ルール(1)、(2)に基づいて、既存案件の試験仕様の入出力データが、新規案件の試験仕様の入出力データに変換されている。
【0055】
ここで、ステップS106において上述したような変換ルールを作成する場合、条件(1)~(3)と各データの対応関係を入力インターフェースを介して入力し、各データとの対応関係を、例えばテーブルで管理する。このデータと条件との対応関係のテーブルが変換ルールとなる。
【0056】
上記のような変換ルールを用いることで、入出力データが多少異なっていても、既存案件の試験仕様から新規案件の試験仕様を自動的に作成することができる。
【0057】
また、上記対応関係の入力は、全てユーザが行うこともできるが、既存案件のデータおよび対応関係が流用できる場合は、流用できる範囲を入力インターフェースにより指定すると、その範囲について試験仕様作成装置100で自動的にデータと条件との対応関係のテーブル、すなわち変換ルールを作成することもできる。この場合、ユーザと試験仕様作成装置100とで変換ルールを作成するので、半自動的に変換ルールを作成すると言うことができる。
【0058】
次に、アーキテクチャ変更検出部7において、ステップS102で抽出した既存案件の設計データに記述されているアーキテクチャ情報および関連する前提条件と、ステップS104で抽出した新規案件設計データ1に記述されているアーキテクチャ情報および関連する前提条件との差分を抽出し(ステップS109)、アーキテクチャの変更対応部分提示情報として出力する。
【0059】
図5に、試験対象14の機器構成をテーブルで表している。
図5においては試験対象14の機器として、BECU(Brake Control Unit)、CCU(Central Control Unit)および表示器が示され、データ伝送方式として、BECUはイーサネット(登録商標)および専用伝送路を有し、CCUはイーサネットを有し、表示器はイーサネットを有していることが示されている。また、搭載機器として、BECUはTCU(Train Control Unit)を有し、CCUはTCMS(Train Control Management System)を有し、表示器は情報系機器を有していることが示されている。
【0060】
アーキテクチャ変更検出部7では、このようなアーキテクチャ情報および関連する前提条件を記述したテーブルを、既存案件と新規案件とで管理しており、既存案件と新規案件のテーブルを比較することで、各機器についてデータ伝送方式および搭載機器の異なる部分を差異として抽出する。なお、
図5では、入出力部(I/O)、前提条件は示していない。前提条件の列では、各行の機器構成情報の前提条件を記述する。例として、
図5の表の1行目では、TCUに搭載されているBECUがイーサネットで通信する場合の構成情報を表しているが、前提条件として、「列車の各号車内で2重系を組む冗長構成とする」を記述する。複数の前提条件を記述しても良いし、前提条件がない場合は記述しなくても良い。
【0061】
このような構成を採ることで、アーキテクチャ変更による試験仕様の変更箇所の抽出が可能となる。
【0062】
試験対象14の機器構成の記述は、
図5のような記述に限定されず、機器グループ、機器、データ伝送方式、前提条件などの要素を階層構造で記述することもできる。
【0063】
ステップS109において、アーキテクチャの変更を検出した後は、試験仕様変更箇所提示部10において、アーキテクチャ変更対応部分提示情報に基づく試験仕様の変更箇所を検出する(ステップS111)。
【0064】
また、ステップS111での処理に先立って、設計データで定義されたパラメータが変化したときの試験仕様変更箇所の提示ルールを作成し、試験仕様変更箇所提示ルールデータベース8に格納しておく(ステップS110)。パラメータとして、車両数、列車の構成、各機器の搭載数、設計データ、伝送遅延、試験対象などが挙げられる。
【0065】
図6は、試験仕様変更箇所提示ルールの定義例を表す図である。
図6では、パラメータとして上記した以外に、中央のシステムから各機器に伝送する場合を表す中央、各機器間で伝送する場合を表す分散および機能ブロックが示されている。
【0066】
図6においては、変化条件として、例えば、パラメータが車両数の場合は、増加、減少が挙げられている。また、パラメータが車両数の場合は、機能ブロックとして空調が挙げられ、機能使用として空調初期設定が挙げられ、試験仕様として(11-1)空調設定画面で空調機器配置図の表示確認を実施することが挙げられ、提示内容として空調機器の数の修正が挙げられている。
【0067】
ここで、
図6に示される試験仕様変更箇所提示ルールの使用例を、パラメータとしての車両数を例に採って説明する。新規案件において車両数が既存案件の車両数よりも増加(または減少)した場合、機能ブロックの「空調」、機能仕様の「空調初期設定」に対応する試験仕様の項目番号(11-1)について、既存案件の試験仕様上に提示内容として「空調機器の数を修正」が提示されるように、試験仕様変更箇所提示情報を作成する。
【0068】
これが、
図2のフローチャートにおけるステップS111の処理であり、ステップS109でのアーキテクチャの変更の検出結果と、ステップS110で格納した試験仕様変更箇所の提示ルールを使用して、試験仕様における試験仕様変更箇所提示情報を生成する試験仕様変更箇所提示部10での処理である。
【0069】
試験仕様生成部9では、アーキテクチャ変更対応部分提示情報を使用してアーキテクチャ変更対応部分を記述した試験仕様を生成する(ステップS112)。この試験仕様の例として、「表示器の空調設定画面1において、「全ての空調機器をOFF」にするにチェックを付ける操作を行い、空調機器1~5のON/OFF表示がOFFになっていることを確認する」であった場合、「空調機の個数を変更する」が提示情報となる。
【0070】
アーキテクチャ変更箇所を提示することで、追加、削除、修正すべき試験仕様を提示することができ、網羅性および試験品質を高めることができる。
【0071】
アーキテクチャ変更対応部分を記述した試験仕様は、新規案件の試験仕様のひな形として、例えば、図示されない表示装置を介してユーザに提示される(ステップS113)。ユーザは、その提示内容を参照しながら試験仕様のひな形を修正することで、最終的な試験仕様12を作成し、試験対象への入出力データの模擬装置13に入力する。
【0072】
<アーキテクチャの変更例>
最後に、
図7および
図8を用いて、アーキテクチャの変更例を説明する。
図7および
図8では列車の車上システムを統合する場合の変更例を示しており、
図7は統合前の車上システムを示し、
図8は統合後の車上システムを示している。
【0073】
図7に示されるように、統合前の車上システムにおいては、情報系機器201、TCMS202および推進制御装置203を備えている。情報系機器201は、PIS(Passenger Information System)2011および2012、カメラ2013、表示器2014を有し、各機器間はイーサネットENにより情報を授受している。
【0074】
TCMS202は、中央ユニット2021および2022を有し、中央ユニット2021と中央ユニット2022との間、情報系機器201とTCMS202との間および推進制御装置203とTCMS202との間はイーサネットENにより情報を授受している。
【0075】
推進制御装置203は、第1制御装置210および第2制御装置220を備えている。第1制御装置210は、制御演算CPU基板211および入出力(IO)基板212と、制御演算CPU基板213および入出力(IO)基板214と、を有している。制御演算CPU基板211および212は、イーサネットENによりTCMS202との間で情報を授受している。
【0076】
第2制御装置220は、制御演算CPU基板221および入出力(IO)基板222と、制御演算CPU基板223および入出力(IO)基板224と、を有し、制御演算CPU基板211および213は、イーサネットENによりTCMS202との間で情報を授受し、制御演算CPU基板211と制御演算CPU基板213との間は、ブレーキ制御専用伝送路BTLで情報を授受している。
【0077】
図8に示されるように、統合後の車上システムにおいては、統合システム205と制御装置206を備えている。統合システム205は、CCU、TCU演算機能統合ユニット2051および2052、PIS2053および2054、カメラ2055、表示器2056、入出力(IO)基板2057および2058を有し、各機器間と制御装置206との間はイーサネットENにより情報を授受している。
【0078】
制御装置206は、制御演算CPU基板2061および入出力(IO)基板2062と、制御演算CPU基板2063および入出力(IO)基板2064と、を有し、制御演算CPU基板261および212は、イーサネットENによりTCMS202との間で情報を授受し、制御演算CPU基板2061と制御演算CPU基板2063との間は、ブレーキ制御専用伝送路BTLで情報を授受している。
【0079】
図7および
図8に示したように、システムを統合するような場合、アーキテクチャが大幅に変更され、従来は変更後の新規案件の試験仕様を作成するには膨大な作成工数が必要であったが、実施の形態1の試験仕様作成装置100によれば、新規で試験仕様を作成する場合よりも作成工数を削減できる。
【0080】
以上説明した実施の形態1の試験仕様作成装置100によれば、既存案件の設計データと試験仕様、新規案件の設計データを入力することにより、試験仕様のひな形を作成することができ、新規で試験仕様を作成する場合よりも作成工数を削減できる。
【0081】
<実施の形態2>
<装置構成>
図9は実施の形態2に係る試験仕様作成装置200の構成を示すブロック図である。
図9に示される試験仕様作成装置200は、
図1に示した実施の形態1の試験仕様作成装置100にユーザ編集部15をさらに備えた構成を有している。
【0082】
ユーザ編集部15は、作成された試験仕様12をフィードバックとして受け取り、ユーザが試験仕様12を確認し、入出力情報変換ルールデータベース6で定義されている試験仕様変換ルールの修正と、試験仕様変更箇所提示ルールデータベース8で定義されている試験仕様変更箇所提示ルールの修正を可能とする。なお、
図9においては、
図1を用いて説明した試験仕様作成装置100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0083】
<動作>
次に、
図10に示すフローチャートを用いて、試験仕様作成装置200の動作を説明する。なお、
図10においては、
図2を用いて説明したフローチャートと同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0084】
ステップS113において新規案件の試験仕様のひな形を作成した後は、ユーザが、提示内容および変換内容が適切であるかを確認し(ステップS115)、適切である場合は一連の処理を終了し、適切でない場合はステップS116に移行する。
【0085】
ステップS116では、試験仕様変更箇所提示ルールデータベース8で定義している試験仕様変更箇所提示ルールを再設定し、ステップS117に移行する。この処理は、
図6を用いて説明したようなテーブルで仕様変更箇所提示ルールが定義されている場合、テーブル内のデータを編集することで再設定する処理となる。
【0086】
ステップS117では、入出力情報変換ルールデータベース6で定義している変換ルールを再設定する。この処理は、
図4を用いて説明したようなテーブルで入出力情報変換ルールが定義されている場合、変換ルールの文言を含むテーブルのセルの情報を書き換えることで再設定する処理となる。
【0087】
また、ステップS117で試験仕様変換ルールが再設定された場合、ステップS107において、入出力データの変換ルールに基づいて、既存案件の試験仕様の入出力データを新規案件の試験仕様の入出力データに変換する際に、再設定後の入出力データの変換ルールに基づいて、既存案件の試験仕様の入出力データを新規案件の試験仕様の入出力データに変換する。
【0088】
また、ステップS117で試験仕様変換ルールが再設定された場合、ステップS108において、新規で試験仕様を再作成するのではなく、入力情報変換ルールデータベース6の変更部分から影響を受ける範囲のみを検出して、前回のステップS108で作成した試験仕様を修正することもできる。
【0089】
また、ステップS116で、試験仕様変更箇所提示ルールが再設定された場合、ステップS112において、新規でアーキテクチャ変更対応部分提示情報を生成するのではなく、試験仕様変更箇所提示ルールデータベース8の変更部分から影響を受ける範囲のみを検出して、前回のステップS112で作成したアーキテクチャ変更対応部分提示情報を修正することもできる。
【0090】
以上説明した実施の形態2の試験仕様作成装置200によれば、試験仕様変換ルールおよびアーキテクチャ変更時のアーキテクチャ変更対応部分提示情報におけるパラメータの調整をユーザが定期的に実施することができるので、試験仕様作成装置200のメンテナンス性が向上する効果を期待できる。
【0091】
<ハードウェア構成>
なお、以上説明した実施の形態1および2の試験仕様作成装置100および200の各構成要素は、コンピュータを用いて構成することができ、コンピュータがプログラムを実行することで実現される。すなわち、試験仕様作成装置100および200は、例えば
図11に示す処理回路50により実現される。処理回路50には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサが適用され、記憶装置に格納されるプログラムを実行することで各部の機能が実現される。
【0092】
なお、処理回路50には、専用のハードウェアが適用されても良い。処理回路50が専用のハードウェアである場合、処理回路50は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたもの等が該当する。
【0093】
試験仕様作成装置100および200は、構成要素の各々の機能が個別の処理回路で実現されても良いし、それらの機能がまとめて1つの処理回路で実現されても良い。
【0094】
また、
図12には、処理回路50がプロセッサを用いて構成されている場合におけるハードウェア構成を示している。この場合、試験仕様作成装置100および200の各部の機能は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェア)との組み合わせにより実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。処理回路50として機能するプロセッサ51は、メモリ52(記憶装置)に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、このプログラムは、試験仕様作成装置100および200の構成要素の動作の手順および方法をコンピュータに実行させるものであると言える。
【0095】
ここで、メモリ52は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)およびそのドライブ装置等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であっても良い。
【0096】
以上、試験仕様作成装置100および200の各構成要素の機能が、ハードウェアおよびソフトウェア等の何れか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、試験仕様作成装置100および200の一部の構成要素を専用のハードウェアで実現し、別の一部の構成要素をソフトウェア等で実現する構成であっても良い。例えば、一部の構成要素については専用のハードウェアとしての処理回路50でその機能を実現し、他の一部の構成要素についてはプロセッサ51としての処理回路50がメモリ52に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0097】
以上のように、試験仕様作成装置100および200は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0098】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0099】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。