(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】緊急通報処理装置、緊急通報処理方法、緊急通報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/50 20180101AFI20241206BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20241206BHJP
H04W 4/021 20180101ALI20241206BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H04W76/50
H04W84/06
H04W4/021
H04M11/04
(21)【出願番号】P 2023542178
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036192
(87)【国際公開番号】W WO2023021714
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021134286
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健一郎
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0252781(US,A1)
【文献】特開2007-251357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0004378(US,A1)
【文献】特開2004-265191(JP,A)
【文献】特開2002-171571(JP,A)
【文献】特開2015-076840(JP,A)
【文献】特開2015-043487(JP,A)
【文献】特開2000-165928(JP,A)
【文献】特表平10-511241(JP,A)
【文献】特開2019-198023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0295885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる緊急機関の管轄エリアを含む通信セル内の通信機からの緊急通報を検知する緊急通報検知部と、
前記通信セル内における前記通信機の位置を示唆する位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて前記通信機がいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定する位置推定部と、
前記通信機が管轄エリア内にいると推定された緊急機関に当該通信機を接続させる接続制御部と、
を備え
、
前記通信セルは、前記通信機が通信衛星を介して通信可能な衛星通信セルを含み、
前記通信機が前記衛星通信セル内にいることを示す情報を取得する衛星通信情報取得部を更に備え、
前記位置情報取得部は、前記通信機が前記衛星通信セル内にいることを示す情報が前記衛星通信情報取得部によって取得された場合に限って、当該通信機について当該衛星通信セル内における前記位置情報を取得する緊急通報処理装置。
【請求項2】
前記位置情報取得部は、一または複数の通信機の活動データを収集する活動データ収集部から前記位置情報を取得する、請求項1に記載の緊急通報処理装置。
【請求項3】
前記位置情報取得部は、前記活動データ収集部としてのNWDAF(Network Data Analytics Function)から前記位置情報を取得する、請求項
2に記載の緊急通報処理装置。
【請求項4】
前記位置情報取得部は、前記活動データ収集部としてのLMF(Location Management Function)から前記位置情報を取得する、請求項
2または
3に記載の緊急通報処理装置。
【請求項5】
前記位置情報取得部は、一または複数の通信機の位置の履歴データを前記位置情報として前記活動データ収集部から取得する、請求項
2から
4のいずれかに記載の緊急通報処理装置。
【請求項6】
前記位置情報取得部は、前記通信機の位置の履歴データを前記位置情報として前記通信機から取得する、請求項1から
5のいずれかに記載の緊急通報処理装置。
【請求項7】
前記位置情報取得部は、前記緊急通報検知部が前記通信機からの緊急通報を検知する前に前記位置情報を予め取得する、請求項1から
6のいずれかに記載の緊急通報処理装置。
【請求項8】
異なる緊急機関の管轄エリアを含む通信セル内の通信機からの緊急通報を検知する緊急通報検知ステップと、
前記通信セル内における前記通信機の位置を示唆する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報に基づいて前記通信機がいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定する位置推定ステップと、
前記通信機が管轄エリア内にいると推定された緊急機関に当該通信機を接続させる接続制御ステップと、
を備え
、
前記通信セルは、前記通信機が通信衛星を介して通信可能な衛星通信セルを含み、
前記通信機が前記衛星通信セル内にいることを示す情報を取得する衛星通信情報取得ステップを更に備え、
前記位置情報取得ステップは、前記通信機が前記衛星通信セル内にいることを示す情報が前記衛星通信情報取得ステップによって取得された場合に限って、当該通信機について当該衛星通信セル内における前記位置情報を取得する緊急通報処理方法。
【請求項9】
異なる緊急機関の管轄エリアを含む通信セル内の通信機からの緊急通報を検知する緊急通報検知ステップと、
前記通信セル内における前記通信機の位置を示唆する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報に基づいて前記通信機がいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定する位置推定ステップと、
前記通信機が管轄エリア内にいると推定された緊急機関に当該通信機を接続させる接続制御ステップと、
をコンピュータに実行させ
、
前記通信セルは、前記通信機が通信衛星を介して通信可能な衛星通信セルを含み、
前記通信機が前記衛星通信セル内にいることを示す情報を取得する衛星通信情報取得ステップをコンピュータに更に実行させ、
前記位置情報取得ステップは、前記通信機が前記衛星通信セル内にいることを示す情報が前記衛星通信情報取得ステップによって取得された場合に限って、当該通信機について当該衛星通信セル内における前記位置情報を取得する緊急通報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機からの緊急通報を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやIoT(Internet of Things)デバイスに代表される無線通信デバイスの数、種類、用途は増加の一途を辿っており、無線通信規格の拡張や改善が続けられている。例えば「5G」として知られる第5世代移動通信システムの商用サービスは2018年に開始したが、現在も3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格策定が進められている。
【0003】
スマートフォン等の通信機で警察機関や消防機関等の緊急機関への緊急通報用電話番号等への緊急通報を行う際、当該緊急通報を検知したコアネットワークは当該通信機を接続すべき緊急機関を決定する。具体的には、通信機がいる通信セルの所在地、典型的には当該通信セルを提供する基地局の所在地を管轄エリアに含む緊急機関が、緊急通報の接続先としてコアネットワークによって接続される。すなわち、通信セルの基地局がA地域にある場合、当該通信セル内にいる通信機からの緊急通報は、A地域を管轄エリアとする緊急機関Aに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
5Gでは通信衛星を介した衛星通信との連携の検討が進められているが、通信衛星が提供する衛星通信セルは直径が20kmを超えるものもあり、一般的に5Gや4G(第4世代移動通信システム)等の移動通信における移動通信セルより大きい。このような場合、複数の異なる緊急機関の管轄エリアが一つの比較的大きい通信セルに含まれることも想定される。例えば、一つの通信セルに緊急機関Aが管轄するA地域と緊急機関Bが管轄するB地域が含まれうる。この通信セルにおいて緊急通報を行う通信機がB地域にいる場合、本来であればB地域を管轄する緊急機関Bに緊急通報が接続されるべきであるが、当該通信セルの基地局がA地域にある場合は前述のように緊急機関Aに緊急通報が接続されてしまう。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信機からの緊急通報を適切な緊急機関に接続できる緊急通報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の緊急通報処理装置は、異なる緊急機関の管轄エリアを含む通信セル内の通信機からの緊急通報を検知する緊急通報検知部と、通信セル内における通信機の位置を示唆する位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づいて通信機がいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定する位置推定部と、通信機が管轄エリア内にいると推定された緊急機関に当該通信機を接続させる接続制御部と、を備える。
【0008】
この態様では、通信セル内における通信機の位置を示唆する位置情報に基づいて、通信機がいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定できるため、通信機からの緊急通報を適切な緊急機関に接続できる。なお、以上では異なる緊急機関の管轄エリアを含む通信セルとして衛星通信セルを例示したが、5Gや4G等の移動通信における移動通信セルにも異なる緊急機関の管轄エリアが含まれうる。従って、本態様は衛星通信セルに限らず移動通信セルにも適用可能である。
【0009】
本発明の別の態様は、緊急通報処理方法である。この方法は、異なる緊急機関の管轄エリアを含む通信セル内の通信機からの緊急通報を検知する緊急通報検知ステップと、通信セル内における通信機の位置を示唆する位置情報を取得する位置情報取得ステップと、位置情報に基づいて通信機がいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定する位置推定ステップと、通信機が管轄エリア内にいると推定された緊急機関に当該通信機を接続させる接続制御ステップと、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信機からの緊急通報を適切な緊急機関に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】緊急通報処理装置が適用される無線通信システムの概要を模式的に示す。
【
図2】衛星通信セル内の通信機が緊急機関に緊急通報を行う様子を模式的に示す。
【
図3】ECGIに基づく緊急通報の接続処理を模式的に示す。
【
図4】CGIに基づく緊急呼の接続処理の流れを示す。
【
図6】UEからの初期メッセージに含まれるユーザ位置情報の具体例を示す。
【
図8】緊急通報処理装置の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る緊急通報処理装置が適用される無線通信システム1の概要を模式的に示す。無線通信システム1は、無線アクセス技術(RAT: Radio Access Technology)としてNR(New Radio)または5G NR(Fifth Generation New Radio)を使用し、コアネットワーク(Core Network)として5GC(Fifth Generation Core)を使用する第5世代移動通信システム(5G)に準拠する5G無線通信システム11と、無線アクセス技術としてLTE(Long Term Evolution)やLTE-Advancedを使用し、コアネットワークとしてEPC(Evolved Packet Core)を使用する第4世代移動通信システム(4G)に準拠する4G無線通信システム12と、通信衛星131を介した衛星通信を担う衛星通信システム13を含む。図示は省略するが、無線通信システム1は、4Gより前の世代の無線通信システムを含んでもよいし、5Gより後の世代の無線通信システムを含んでもよいし、Wi-Fi(登録商標)等の世代と関係づけられない任意の無線通信システムを含んでもよい。
【0014】
5G無線通信システム11は、UE(User Equipment)とも呼ばれるスマートフォン等の通信機2A、2B、2C、2D(以下、通信機2と総称することがある)と5G NRによって通信可能な複数の5G基地局111A、111B、111C(以下、5G基地局111と総称することがある)を含む。5Gにおける基地局111はgNodeB(gNB)とも呼ばれる。各5G基地局111A、111B、111Cの通信可能範囲またはサポート範囲はセルと呼ばれ、それぞれ112A、112B、112C(以下、5Gセル112またはセル112と総称することがある)として図示される。
【0015】
各5G基地局111の5Gセル112の大きさは任意であるが、典型的には半径数メートルから数十キロメートルである。確立した定義はないものの、半径数メートルから十メートルのセルはフェムトセルと呼ばれ、半径十メートルから数十メートルのセルはピコセルと呼ばれ、半径数十メートルから数百メートルのセルはマイクロセルと呼ばれ、半径数100メートルを超えるセルはマクロセルと呼ばれることがある。5Gではミリ波等の高い周波数の電波が使用されることも多く、直進性の高さ故に電波が障害物に遮られて通信可能距離が短くなる。このため、5Gでは4G以前の世代に比べて小さいセルが多用される傾向がある。
【0016】
通信機2は、複数の5Gセル112A、112B、112Cの少なくとも一つの内部にあれば、5G通信を行える。図示の例では、5Gセル112Aおよび112B内にある通信機2Bは、5G基地局111Aおよび111Bのいずれとも5G NRによって通信可能である。また、5Gセル112C内にある通信機2Cは、5G基地局111Cと5G NRによって通信可能である。通信機2Aおよび2Dは、全ての5Gセル112A、112B、112Cの外にあるため、5G NRによる通信ができない状態にある。各通信機2と各5G基地局111の間の5G NRによる5G通信は、コアネットワークである5GCによって管理される。例えば、5GCは、各5G基地局111との間のデータの授受、EPC、通信衛星131、インターネット等の外部ネットワークとの間のデータの授受、通信機2の移動管理等を行う。
【0017】
4G無線通信システム12は、通信機2とLTEやLTE-Advancedによって通信可能な複数の4G基地局121(
図1では一つのみを示す)を含む。4Gにおける基地局121はeNodeB(eNB)とも呼ばれる。各5G基地局111と同様に、各4G基地局121の通信可能範囲またはサポート範囲もセルと呼ばれ122として図示される。
【0018】
通信機2は4Gセル122の内部にあれば4G通信を行える。図示の例では、4Gセル122内にある通信機2Aおよび2Bは、4G基地局121とLTEやLTE-Advancedによって通信可能である。通信機2Cおよび2Dは、4Gセル122の外にあるため、LTEやLTE-Advancedによる通信ができない状態にある。各通信機2と各4G基地局121の間のLTEやLTE-Advancedによる4G通信は、コアネットワークであるEPCによって管理される。例えば、EPCは、各4G基地局121との間のデータの授受、5GC、通信衛星131、インターネット等の外部ネットワークとの間のデータの授受、通信機2の移動管理等を行う。
【0019】
各通信機2A、2B、2C、2Dに着目すると、図示の例では、通信機2Aは4G基地局121との4G通信が可能な状態にあり、通信機2Bは5G基地局111A、111Bとの5G通信および4G基地局121との4G通信が可能な状態にあり、通信機2Cは5G基地局111Cとの5G通信が可能な状態にある。通信機2Bのように通信可能な基地局(111A、111B、121)が複数ある場合は、コアネットワークである5GCおよび/またはEPCによる管理の下、通信品質等の観点で最適と判断された一つの基地局が選択されて通信機2Bとの通信を行う。また、通信機2Dはいずれの5G基地局111および4G基地局121とも通信が可能な状態にないため、次に説明する衛星通信システム13による通信を行う。
【0020】
衛星通信システム13は、地表から500km~700km程度の高さの低軌道を飛行する低軌道衛星としての通信衛星131を基地局として用いる無線通信システムである。5G基地局111および4G基地局121と同様に、通信衛星131の通信可能範囲またはサポート範囲もセルと呼ばれ132として図示される。通信機2は衛星通信セル132の内部にあれば衛星通信を行える。5G無線通信システム11における5G基地局111および4G無線通信システム12における4G基地局121と同様に、衛星通信システム13における基地局としての通信衛星131は、衛星通信セル132内の通信機2と直接的にまたは航空機等を介して間接的に無線通信可能である。通信衛星131が衛星通信セル132内の通信機2との無線通信に使用する無線アクセス技術は、5G基地局111と同じ5G NRでもよいし、4G基地局121と同じLTEやLTE-Advancedでもよいし、通信機2が使用可能な任意の他の無線アクセス技術でもよい。このため、通信機2には衛星通信のための特別な機能や部品を設ける必要はない。
【0021】
なお、通信衛星131が5G NRによって衛星通信セル132内の通信機2と5G通信する場合は5GCをコアネットワークとして利用し、通信衛星131がLTEやLTE-Advancedによって衛星通信セル132内の通信機2と4G通信する場合はEPCをコアネットワークとして利用する。図示は省略するが、5GCおよび/またはEPCを構成するネットワーク設備には、通信衛星131と通信するための衛星アンテナ等の衛星通信装置が設けられているため、5G通信、4G通信、衛星通信等の異なる無線通信システムの間で適切な連携が取られる。
【0022】
通信衛星131による衛星通信は、主に、5G基地局111や4G基地局121等の地上基地局が設けられないまたは少ない地域をカバーするために利用される。図示の例では、全ての地上基地局の通信セル外にいる通信機2Dが通信衛星131と通信する。一方、いずれかの地上基地局と良好に通信できる状態にある通信機2A、2B、2Cも、衛星通信セル132内にいるため通信衛星131と通信可能ではあるが、原則として衛星基地局としての通信衛星131ではなく地上基地局と通信を行うことで、通信衛星131の限られた通信リソースが通信機2D等のために節約される。通信衛星131は、ビームフォーミングによって通信電波を衛星通信セル132内の通信機2Dに向けることで、通信機2Dとの通信品質を向上させる。
【0023】
衛星基地局としての通信衛星131の衛星通信セル132の大きさは、通信衛星131が発するビームの本数に応じて任意に設定することができ、例えば、最大2,800本のビームを組み合わせることで直径約24kmの衛星通信セル132を形成できる。図示されるように、衛星通信セル132は、典型的には5Gセル112や4Gセル122等の地上通信セルより大きく、その内部に一または複数の5Gセル112および/または4Gセル122を含みうる。
【0024】
図2は、通信衛星131と通信中の衛星通信セル132内の通信機2Dが、警察機関や消防機関等の緊急機関に緊急通報を行う様子を模式的に示す。緊急通報としては、各緊急機関の緊急通報用電話番号への電話が例示される。日本では、警察機関への緊急通報用電話番号として110番が割り当てられ、消防機関への緊急通報用電話番号として119番が割り当てられ、海上保安庁への緊急通報用電話番号として118番が割り当てられている。欧州における自動車事故発生時の緊急通報システムであるeCallによる通報も本実施形態の緊急通報の一例であり、自動車事故の発生や自動車の位置等を無線通信システム1上で緊急通報する車載の通信ユニットが図示の通信機2Dに相当する。また、第5世代移動通信システムで規定されているEmergency Services Fallback(ES-FB)やEPS Fallback(Evolved Packet System Fallback)による通報も緊急通報の一例である。
【0025】
図示の例では、衛星通信セル132が異なる緊急機関の管轄エリアを含む。具体的には、衛星通信セル132は境界線Lによって、緊急機関Aの管轄エリア132Aと緊急機関Bの管轄エリア132Bに区画される。なお、管轄エリア132Aおよび管轄エリア132Bには重複部分があってもよい。Pは衛星通信セル132の所在地を表す代表地点であり、図示の例では管轄エリア132Aに属する。代表地点Pは、衛星通信セル132内の任意の地点でよいが、典型的には衛星通信セル132の地理的な中心付近の地点である。
【0026】
衛星通信セル132の代表地点Pの位置情報は、5GC、EPC、その他の衛星通信用のコアネットワークにおいて、衛星通信セル132のセルグローバル識別子(CGI: Cell Global Identity)として参照可能である。CGIは、本実施形態の衛星通信を含む移動通信ネットワークまたは無線通信システム1において、各通信セルに一意的に付与される識別子またはIDである。CGIは、MCC(Mobile Country Code)、MNC(Mobile Network Code)、LAC(Location Area Code)、CI(Cell Identification)という四つの部分からなる。
【0027】
MCCおよびMNCは、各通信事業者が各国/各地域で提供する各無線通信ネットワークの識別子であるPLMN(Public Land Mobile Network)を構成し、PLMNおよびLACは、各無線通信ネットワークの地理的な位置の識別子であるLAI(Location Area Identity)を構成する。
図2の例において、衛星通信セル132のLAIをコアネットワークにおいて参照すれば、その代表地点Pの地理的な位置が分かるため、当該代表地点Pが緊急機関Aの管轄エリア132Aに属することが分かる。なお、CGI+TA, E-UTRAN CGI (ECGI), E-CGI, U-TDOA, ATI, A-GPS等のCGIに基づいて開発された各種の技術をCGIに代えてまたは加えて使用してもよい。
【0028】
図2(A)および(B)は、通信衛星131と通信中の通信機2Dが衛星通信セル132内で行った緊急通報を、CGIに基づいてコアネットワークが検知した代表地点Pに応じて接続する様子を示す。
図2(A)では通信機2Dが緊急機関Aの管轄エリア132A内におり、
図2(B)では通信機2Dが緊急機関Bの管轄エリア132B内にいる。いずれの場合でも、通信機2Dからの緊急通報を検知したコアネットワークは、衛星通信セル132のCGIに基づいて代表地点Pの地理的な位置を検知し、当該代表地点Pを管轄エリア132Aに含む緊急機関Aに緊急通報を接続する。通信機2Dが管轄エリア132A内にいる
図2(A)では、正しい緊急機関Aに緊急通報が接続されるが、通信機2Dが管轄エリア132B内にいる
図2(B)では、正しい緊急機関Bに緊急通報が接続されず、誤った緊急機関Aに緊急通報が接続されてしまう。
【0029】
図3は、ECGIに基づく緊急通報の接続処理を模式的に示す。通信機2のユーザは「A県xx市」を代表地点Pとする通信セル「Cell#1」内におり、日本の警察機関に割り当てられた緊急通報用電話番号「110」への緊急呼(緊急通報)を行う。地上基地局111、121または衛星基地局131を介して緊急通報を受信した5GC、EPC、その他の衛星通信用のコアネットワークCNは、そのIMS(IP Multimedia Subsystem)において緊急通報用電話番号「110」を当該緊急通報の管轄緊急機関である警察機関の指令台等の実際の電話番号に変換する。この時、コアネットワークCNは緊急通報を発信した通信セル(地上基地局111、121または衛星基地局131が提供する地上通信セル112、122または衛星通信セル132)のECGIを参照し(具体的には「PCC based NPLI retrieval」等の既定の手続または処理によって、コアネットワークCNが当該基地局からECGIを取得する)、代表地点Pの所在地「A県xx市」を認識する。この結果、緊急通報用電話番号「110」が「A県xx市」を管轄エリアとする「警察A」の実際の電話番号「03xxxxxxxx」に変換される。このように、通信セル「Cell#1」内の通信機2からの緊急通報用電話番号「110」への緊急通報が、管轄緊急機関である「警察A」に接続される。
【0030】
図4は、CGIに基づく緊急呼(emergency call)の接続処理の流れを示す。最初に、スマートフォン等の通信機であるUE(User Equipment)が緊急呼の発生をRAN(Radio Access Network)に通知する。RANは地上基地局111、121または衛星基地局131によって構成される無線アクセスネットワークである。緊急呼を受けたRANはコアネットワークCNに緊急呼の発生を通知する際に、「PCC based NPLI retrieval」等の既定の手続に従って、緊急呼の発信元である地上通信セル112、122または衛星通信セル132のCGIをコアネットワークCNに提供する。また、緊急呼を受けたRANは、UEからの初期メッセージ(Initial UE Message)をコアネットワークCNに送信する。
【0031】
図5は、UEからの初期メッセージの具体例を示す。UEからの初期メッセージは、UEが接続した4G基地局であるeNB(121)、5G基地局であるgNB(111)、衛星基地局である通信衛星131等から、コアネットワークCNに含まれる接続・移動管理機能AMF(Access and Mobility Management Function)に送信される。
図6は、
図5のUEからの初期メッセージに含まれるユーザ位置情報(User Location Information)の具体例を示す。このユーザ位置情報には「E-UTRA CGI」や「NR CGI」等のCGI情報が含まれているため、これを受信したコアネットワークCNは緊急呼の発信元である地上通信セル112、122または衛星通信セル132の代表地点Pの所在地を認識できる。そして、コアネットワークCNは、代表地点Pを管轄エリアに含む緊急機関にUEからの緊急呼を接続する。
【0032】
図3~
図6においても
図2(B)と同様に、UE(
図2(B)における通信機2D)が代表地点Pを管轄エリアに含まない他の緊急機関(
図2(B)における緊急機関B)の管轄エリア内にいる場合、正しい緊急機関(B)には緊急呼が接続されず、代表地点Pを管轄エリアに含む誤った緊急機関(A)に緊急呼が接続されてしまう問題が発生する。
【0033】
図7は、
図2~
図6の問題を解決可能な緊急通報処理装置3の機能ブロック図である。緊急通報処理装置3は、緊急通報検知部31と、衛星通信情報取得部32と、位置情報取得部33と、位置推定部34と、接続制御部35を備える。これらの機能ブロックは、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、上記の各機能ブロックは、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。具体的には、上記の各機能ブロックの一部または全部は、5GC、EPC、その他の衛星通信用のコアネットワークCNにおけるハードウェア資源および/またはソフトウェアで実現される。
【0034】
図7の例では、
図2(B)と同様に、衛星基地局としての通信衛星131が提供する衛星通信セル132内に通信機2Dがいる場合を説明する。
図2(B)と同様に、衛星通信セル132の代表地点Pは緊急機関Aの管轄エリア132Aに含まれ、通信機2Dは緊急機関Bの管轄エリア132B内にいる。緊急通報検知部31は、異なる緊急機関A、Bの管轄エリア132A、132Bを含む衛星通信セル132内の通信機2Dからの緊急通報を、通信衛星131を介して検知する。緊急通報としては、
図3で説明した緊急機関の緊急通報用電話番号への緊急呼が例示される。なお、衛星通信セル132には三つ以上の異なる緊急機関の管轄エリアが含まれてもよい。また、衛星基地局としての通信衛星131が提供する衛星通信セル132に限らず、地上基地局としての5G基地局111または4G基地局121が提供する地上通信セルとしての5Gセル112または4Gセル122が異なる緊急機関の管轄エリアを含む場合は、以下の衛星通信セル132に関する説明と同様に本実施形態を適用できる。
【0035】
衛星通信情報取得部32は、通信機2Dが衛星通信セル132内にいることを示す情報を取得する。具体的には、衛星通信情報取得部32は、通信機2Dが行う緊急通報に限らない通信に関する情報を通信衛星131から受信したことをもって、通信機2Dが衛星通信セル132内にいることを検知できる。あるいは、衛星通信情報取得部32が実現されるコアネットワークCNは、その基本的な機能として通信機2Dが通信中または通信可能な状態にある通信セルを認識できるため、
図7のように通信機2Dが衛星通信セル132内にいることを検知できる。また、衛星通信情報取得部32が通信機2Dに搭載されたGPSモジュール等からの測位情報を、通信衛星131等を介して取得できる場合は、通信機2Dの地理的な位置が衛星通信セル132内にあるか否かを判定してもよい。
【0036】
位置情報取得部33は、衛星通信セル132内における通信機2Dの位置を示唆する位置情報を取得する。
図7の例では、衛星通信セル132内にいる通信機2Dが、緊急機関Aの管轄エリア132A内にいるのか、緊急機関Bの管轄エリア132B内にいるのか、を示唆する位置情報が位置情報取得部33によって取得される。
【0037】
位置情報取得部33は、例えば、一または複数の通信機2の活動データを収集する活動データ収集部4から、衛星通信セル132内における通信機2Dの位置を示唆する位置情報を取得する。活動データ収集部4は、各種のデータベース、データ解析エンジン、機械学習機能を備える人工知能、これらを利用して各種のサービスを提供するサービス事業者のサーバを包含する概念または機能部である。例えば、図示されるように、NWDAF(Network Data Analytics Function)41、LMF(Location Management Function)42、その他のデータ解析サーバ43が活動データ収集部4に含まれる。なお、活動データ収集部4が活動データを収集する一または複数の通信機2には
図7の通信機2D自体が含まれることが好ましいが、後述するように通信機2D以外の他の通信機2の活動データのみから通信機2Dの位置に関する示唆を得ることもできる。
【0038】
NWDAF41は、5Gのコアネットワークである5GCに導入された機能であり、5Gを含むネットワーク上のデータの収集と分析を担う。具体的には、NWDAF41は、ネットワークに接続された多数の通信機2がネットワーク上で行った各種の活動に関する活動データを収集および蓄積し、それらの分析結果を例えばネットワーク上のトラフィック制御に活用する。LMF42は、5Gのコアネットワークである5GCに導入された機能であり、5Gを含むネットワーク上の各通信機2の物理的な位置を管理する。なお、5Gより後の世代の無線通信システムを含む他の無線通信システムにおいて、NWDAF41および/またはLMF42と同様の機能が異なる名称で提供されることも想定されるが、本発明および/または本実施形態における「NWDAF」および/または「LMF」の用語はそのような類似機能も包含する。
【0039】
その他のデータ解析サーバ43は、例えば、ネットワークに接続された多数の通信機2について地図サービスや位置追跡サービスを提供するサービス事業者が使用するサーバである。これらのサービスでは、ネットワークに接続された多数の通信機2の位置データをGPSモジュール等から収集および蓄積し、それらの分析に基づいて例えば各地域の時間帯毎の混雑状況に関するデータを生成することで、サービス品質向上等に活用している。
【0040】
以上の活動データ収集部4に含まれる構成要素のうち、NWDAF41およびデータ解析サーバ43からは、主として不特定多数の通信機2のネットワーク上の活動に関する統計データまたは物理的位置に関する履歴データを位置情報取得部33が取得可能である。
図7の例では、衛星通信セル132内の緊急機関Aの管轄エリア132Aおよび緊急機関Bの管轄エリア132Bそれぞれにおける各時間帯の混雑状況や通信トラフィック等のデータを、衛星通信セル132内における通信機2Dの位置を示唆する位置情報として位置情報取得部33がNWDAF41やデータ解析サーバ43から取得できる。例えば、緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知した時間帯において、管轄エリア132B内の通信機2の数や通信量が管轄エリア132A内の通信機2の数や通信量よりも平均的に多いことをNWDAF41やデータ解析サーバ43からの位置情報が示唆している場合、緊急通報を発信した通信機2Dが管轄エリア132B内にいる可能性が高いと推定できる。
【0041】
なお、NWDAF41およびデータ解析サーバ43から不特定多数の通信機2の位置情報に限らず、緊急通報を発信した通信機2Dの位置の履歴データを取得できる場合、衛星通信セル132内における通信機2Dの位置を高精度に推定できる。例えば、緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知した時間帯において、当該通信機2Dが過去に管轄エリア132Aより管轄エリア132B内にいた頻度が高いことをNWDAF41やデータ解析サーバ43からの位置情報が示唆している場合、緊急通報を発信した通信機2Dが管轄エリア132B内にいる可能性が極めて高いと推定できる。また、このような過去の別日の位置の履歴データに加えてまたは代えて、通信機2Dが緊急通報を発信した直前(例えば1時間以内)の通信機2Dの位置の履歴データを利用してもよい。例えば、通信機2Dが緊急通報を発信した30分前以内に通信機2Dが管轄エリア132B内にいたことをNWDAF41やデータ解析サーバ43からの位置情報が示唆している場合、緊急通報を発信した通信機2Dが引き続き管轄エリア132B内にいる可能性が極めて高いと推定できる。
【0042】
不特定多数の通信機2の位置情報を収集するNWDAF41およびデータ解析サーバ43に対して、LMF42は特定の通信機2Dのネットワーク上の活動に関する統計データまたは物理的位置に関する履歴データを位置情報として収集可能である。例えば、緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知した時間帯において、当該通信機2Dが過去に管轄エリア132Aより管轄エリア132B内にいた頻度が高いことをLMF42からの位置情報が示唆している場合、緊急通報を発信した通信機2Dが管轄エリア132B内にいる可能性が極めて高いと推定できる。また、通信機2Dが緊急通報を発信した30分前以内に通信機2Dが管轄エリア132B内にいたことをLMF42からの位置情報が示唆している場合、緊急通報を発信した通信機2Dが引き続き管轄エリア132B内にいる可能性が極めて高いと推定できる。
【0043】
なお、以上のような特定の通信機2Dの位置の履歴データは、通信機2Dに搭載されたGPSモジュールやメモリ等から通信衛星131等を介して位置情報取得部33が直接的に取得してもよい。但し、緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知した後に、このような位置情報を通信機2Dから取得したのでは緊急事態への対応が遅れてしまうため、位置情報取得部33による通信機2Dからの位置情報の取得は緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知する前に予め行っておくのが好ましい。同様に、位置情報取得部33による活動データ収集部4からの位置情報の取得も、緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知する前に予め行っておくのが好ましい。
【0044】
一方、位置情報取得部33が取得する位置情報は、
図7の例のように一つの通信セルが異なる緊急機関の管轄エリアを含む場合に必要となるものであり、一つの通信セルが一つの緊急機関の管轄エリアのみを含む場合は不要である。そこで、
図7の実施形態では、通信機2Dが衛星通信セル132内にいることを示す情報が衛星通信情報取得部32によって取得された場合に限って、位置情報取得部33が活動データ収集部4および/または通信機2Dから位置情報を取得する。前述の通り、衛星通信セル132は直径が20kmを超えるものも多く、複数の異なる緊急機関の管轄エリアを含む可能性が高いためである。
【0045】
あるいは、個々の衛星通信セル132に複数の異なる緊急機関の管轄エリアが実際に含まれることをコアネットワークCN側で予め認識できる場合は、そのような衛星通信セル132内にいる通信機2Dについては位置情報取得部33による位置情報の取得を行い、そうでない衛星通信セル132内にいる通信機2については位置情報取得部33による位置情報の取得を行わないようにしてもよい。同様に、地上基地局111、121を介した地上通信についても、複数の異なる緊急機関の管轄エリアが含まれる地上通信セル112、122内にいる通信機2については位置情報取得部33による位置情報の取得を行い、そうでない地上通信セル112、122内にいる通信機2については位置情報取得部33による位置情報の取得を行わないようにしてもよい。
【0046】
位置推定部34は、緊急通報検知部31が緊急通報を検知した通信機2Dについて、位置情報取得部33が好ましくは緊急通報の前に予め取得した通信機2Dの位置情報に基づいて、衛星通信セル132内の通信機2Dがいずれの緊急機関A、Bの管轄エリア132A、132B内にいるかを推定する。推定の具体例については前述したが、
図7の例では通信機2Dが緊急機関Bの管轄エリア132B内にいると推定される。接続制御部35は、通信機2Dが管轄エリア132B内にいると推定された緊急機関Bに当該通信機2Dを接続させる。
【0047】
以上の緊急通報処理装置3によれば、
図2(B)や
図3~
図6で生じる問題を解決できる。すなわち、
図2(B)では、緊急機関Bの管轄エリア132B内にいる通信機2Dからの緊急通報が、正しい緊急機関Bに接続されずに誤った緊急機関Aに接続されてしまったが、
図7の緊急通報処理装置3によれば、衛星通信セル132内における通信機2Dの位置を示唆する位置情報に基づいて、通信機2Dがいずれの緊急機関A、Bの管轄エリア132A、132B内にいるかを推定できるため、通信機2Dからの緊急通報を適切な緊急機関Bに接続できる。
【0048】
図8は、
図7の緊急通報処理装置3の処理例を示すフローチャートである。フローチャートにおける「S」はステップまたは処理を意味する。S1では、衛星通信情報取得部32が、通信機2Dが衛星通信セル132内にいることを示す情報を取得する。S2では、衛星通信情報取得部32が、通信機2Dが衛星通信セル132内にいるか否かを判定する。S2で通信機2Dが衛星通信セル132内にいない場合(No)、すなわち通信機2Dが地上通信セル112、122内にいる場合、S3で緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知すると、S7で接続制御部35が当該地上通信セル112、122を管轄エリアとする緊急機関に通信機2Dを接続させる。
図3で説明したように、地上通信セル112、122を管轄エリアとする緊急機関は、当該地上通信セル112、122のCGI情報から認識できる代表地点Pの所在地に基づいて接続制御部35が選択する。
【0049】
S2で通信機2Dが衛星通信セル132内にいる場合(Yes)、S4で位置情報取得部33が衛星通信セル132内における通信機2Dの位置を示唆する位置情報を活動データ収集部4および/または通信機2Dから取得する。S5で緊急通報検知部31が通信機2Dからの緊急通報を検知すると、S6で位置推定部34がS4で取得された通信機2Dの位置情報に基づいて、当該通信機2Dがいずれの緊急機関の管轄エリア内にいるかを推定する。S7では、接続制御部35が、通信機2Dが管轄エリア内にいると推定された緊急機関に当該通信機2Dを接続させる。
【0050】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、通信機からの緊急通報を処理する技術に関する。
【符号の説明】
【0053】
1 無線通信システム、2 通信機、3 緊急通報処理装置、4 活動データ収集部、11 5G無線通信システム、12 4G無線通信システム、13 衛星通信システム、31 緊急通報検知部、32 衛星通信情報取得部、33 位置情報取得部、34 位置推定部、35 接続制御部、41 NWDAF、42 LMF、43 データ解析サーバ、111 5G基地局、112 5Gセル、121 4G基地局、122 4Gセル、131 通信衛星、132 衛星通信セル、132A 管轄エリア、132B 管轄エリア。