(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】置き去り警報装置、置き去り警報システム、および置き去り警報方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20241206BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G08B21/24
G08B25/04 K
G08B25/04 C
(21)【出願番号】P 2023580013
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2022005528
(87)【国際公開番号】W WO2023152936
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤拓
(72)【発明者】
【氏名】武井 匠
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/124548(WO,A1)
【文献】特開2018-163675(JP,A)
【文献】特開2020-149489(JP,A)
【文献】特開2020-144613(JP,A)
【文献】特開2020-201108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部と、
受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部と、
前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部と、
前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部と、
前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部と、
を備え、
前記補充判定部は、前記乗員に対して質問を行うように車内出力装置を制御し、前記質問に対する前記乗員からの応答に基づいて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定
する、
置き去り警報装置。
【請求項2】
前記応答は、マイクを介した音声応答、タッチパネルを介したタッチ操作、カメラまたは赤外線センサを介したジェスチャ、及び入力ボタンを介したボタン操作の内の少なくとも1つである、
請求項1に記載された置き去り警報装置。
【請求項3】
室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部と、
受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部と、
前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部と、
前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部と、
前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部と、
を備え、
前記乗員属性推定部は、前記推定の結果に対して信頼度を算出し、前記推定の結果と前記信頼度の少なくとも1つに基づいて、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定
する、
置き去り警報装置。
【請求項4】
前記乗員の位置に応じて、前記乗員に対する質問の方法および前記乗員からの応答の方法の少なくとも1つを変更する、
請求項1に記載された置き去り警報装置。
【請求項5】
前記室内の環境に応じて、前記乗員に対する質問のタイミングまたは質問の回数を変更する、
請求項1に記載された置き去り警報装置。
【請求項6】
前記室内は、車両の室内であり、
前記車両の位置する場所に応じて、前記乗員に対する質問のタイミングまたは質問の回数を変更する、
請求項1に記載された置き去り警報装置。
【請求項7】
室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部と、
受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部と、
前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部と、
前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部と、
前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部と、
を備え、
前記第1の方法はユーザ入力を用いない方法であり、前記第2の方法はユーザ入力を受け付けることができる方法で
ある、
置き去り警報装置。
【請求項8】
室内に電磁波を送信して反射波を受信するセンサを介して取得された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部、
前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部
であって、前記乗員に対して質問を行うように車内出力装置を制御し、前記質問に対する前記乗員からの応答に基づいて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定する補充判定部、
前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部、および
前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部、
の少なくとも1つを備えるサーバ装置と、
前記センサによる電磁波の送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部と、
前記乗員属性推定部、前記補充判定部、前記警報要否判定部および前記警報出力制御部のうち前記サーバ装置が備えない残りの全部と、
を備える置き去り警報装置と、
を備える、
置き去り警報システム。
【請求項9】
送受信部、乗員属性推定部、補充判定部、警報要否判定部、および警報出力制御部を備えた置き去り警報装置が行う置き去り警報方法であって、
前記送受信部が、室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信するステップと、
前記乗員属性推定部が、受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力するステップと、
前記補充判定部が、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力するステップ
であって、前記乗員に対して質問を行うように車内出力装置を制御し、前記質問に対する前記乗員からの応答に基づいて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定するステップと、
前記警報要否判定部が、前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定するステップと、
前記警報出力制御部が、前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行うステップと、
を備えた置き去り警報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、置き去り警報技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、幼児等の車両の扉を自在に開閉できない乗員の車室内への置き去りに起因する事故または事件が社会問題化している。この問題を解決するために、車室内の乗員の置き去りを検知し、警報が必要な場合は車外に警報を出力する等の対策が進められている。
【0003】
車室内の乗員の置き去りを検知して警報を出力する従来技術として、例えば特許文献1に開示された技術がある。特許文献1には、幼児が車室内にいるか否かを検出する赤外線と超音波センサ、幼児の泣き声を検出するセンサ、車室内の温度を計測する温度センサといった複数のセンサから得られる情報に基づいて、車室内に幼児がいるか否か、いるのであればその幼児が危険な状態であるか否かを判断して、危険な状態である場合には警報するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術は、複数のセンサから取得した情報に基づいて、車内乗員が置き去り警報を必要とする乗員か否かを判定して置き去り警報の要否を判断しているが、置き去り警報の要否を誤って判定してしまう場合があるという問題がある。例えば、警報が不要な大人を幼児であると誤判定する場合がある。この場合、不必要な警報が出力されてしまう。逆に、警報が必要な幼児を大人であると誤判定する場合がある。この場合、必要な警報が発せられない。
【0006】
本開示はこのような問題の認識を契機としてなされたものであり、置き去り警報の誤判定を抑制できる置き去り警報技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態による置き去り警報装置は、室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部と、受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部と、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部と、前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部と、前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態による置き去り警報装置によれば、置き去り警報の誤判定を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】置き去り警報装置および置き去り警報システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2A】置き去り警報装置のハードウェアの構成例を示す図である。
【
図2B】置き去り警報装置のハードウェアの構成例を示す図である。
【
図3】置き去り警報装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本開示における種々の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一または類似の符号を付された構成要素は、同一または類似の構成または機能を有するものであり、そのような構成要素についての重複する説明は省略する。
【0011】
実施の形態1.
<構成>
図1を参照して、実施の形態1の置き去り警報装置1について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る置き去り警報装置1の構成例を示すブロック図である。一例として、
図1に示されているように、置き去り警報装置1は、送受信部11、乗員属性推定部12、補充判定部13、警報要否判定部14、および警報出力制御部15を備える。
【0012】
送受信部11には、センサ2が接続されている。また、補充判定部13には、車内入力装置3と車内出力装置4が接続されている。また、警報出力制御部15には、車外出力装置5が接続されている。このような構成により、置き去り警報装置1、センサ2、車内入力装置3、車内出力装置4、および車外出力装置5は、全体的に車両Aに搭載される置き去り警報システムを構成する。
【0013】
他の例として、置き去り警報装置1の構成要素である乗員属性推定部12、補充判定部13、警報要否判定部14、および警報出力制御部15の一部または全ては、車両Aの外部に設けられてもよい。例えば、車両Aの外部に存在するサーバ装置6で置き去り警報装置1の機能を実現してよい。この場合、一例として、サーバ装置6が、車両Aに搭載された不図示の車載通信機器から送受信部11の電磁波受信結果、および車内入力装置3からの入力結果を受信し、受信した情報に基づいて警報出力情報を車載通信機器に返信する。車載通信機器は、受信した警報出力情報を車外出力装置5に出力する。このような構成により、置き去り警報装置1およびサーバ装置6は、置き去り警報装置1が車両Aに搭載され、サーバ装置6が車両Aの外部に備えられる置き去り警報システムを構成する。
【0014】
なお、本開示では、本開示による技術の利用例を車両Aの室内を想定して説明するが、車両Aの例には、一般的な乗用車の他、バス若しくはタクシー等の商用車両、または電車若しくは機関車等の鉄道車両も含まれる。また、本開示による技術は、車両の室内の他にも、航空機のような移動体の室内、または出入り口を開閉可能な部屋の内部でも利用可能である。
【0015】
(送受信部)
送受信部11は、センサ2を介して、車室内に向けて電磁波を照射し、照射した電磁波の反射波を受信する。より具体的には、送受信部11がセンサ2に対して電磁波を送信するための制御信号を出力し、センサ2が制御信号に従って電磁波を照射し、照射された電磁波の反射波をセンサ2が受信して反射波のデジタル受信信号(以下、単に受信信号という。)を出力し、送受信部11が出力された受信信号を受信する。
【0016】
電磁波の例には、ミリ波、赤外線、超音波、および可視光が挙げられるが、これら以外でもよい。また、センサ2は複数のセンサを含んでいてもよく、複数のセンサを車室内の別個の位置に設置してもよい。例えば、各センサが1つの座席に着座する乗員をセンシングの対象範囲に含むように、センサを座席ごとに設けてもよい。
【0017】
(乗員属性推定部12)
乗員属性推定部12は、受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて車室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する。第1の方法とは、以下にて例示する、体格検知、呼吸速度の推定、顔認識による年齢推定等のユーザ入力を用いない方法である。乗員とは、典型的には車室内に存在する人間であるが、人間以外の犬または猫などの動物を含んでもよい。
【0018】
車室内の乗員が警報を必要とする乗員か否かの推定は、体格の検知、呼吸速度の検知、顔認識による年齢推定等、公知の種々の方法を用いることができる。一例として、体格検知技術を用いる場合、監視対象の空間を複数のセルからなる3次元格子地図で表し、検出対象物が存在するかどうかを示す占有格子地図を送受信部11からの受信信号に基づいて作成することにより体格を推定できる。3次元格子地図は不図示のメモリに予め格納され、乗員属性推定部12がメモリにアクセスして3次元格子地図を取得して、占有格子地図を作成する。一例として、呼吸速度を検知する場合、車室内に照射する電磁波として遠赤外線を照射し、反射波に基づいて作成される遠赤外画像における輝度の変動から呼吸速度を検知する。検知された呼吸速度が予め設定された閾値より速い場合は幼児、つまり警報が必要な乗員であり、閾値より遅い場合は大人、つまり警報不要な乗員であると判定する。なお、呼吸の検知方法としては、コストメリットがあるミリ波レーダによる方法、可視光カメラで得られる微小な動きから検知する方法、またはシートに設置した圧力センサを用いた方法等、他の方法を用いてもよい。顔認識技術を用いる場合は不図示のカメラにより車室内を撮像し、撮像画像に対して画像処理を行って顔認識を行う。なお、複数の方法を組み合わせて警報を必要とする乗員か否かの推定を行ってもよい。
【0019】
乗員の有無、及び車室内の乗員が警報を必要とする乗員か否かの推定の結果として、警報が必要な乗員か否かといった2値情報だけでなく、乗員の推定年齢またはサイズ等の追加的情報を表す値も出力されてよい。また、センサの故障等、何らかの理由で推定が困難な場合は予め定義された推定不明を表す値を出力してもよい。
【0020】
乗員有無の推定結果および警報が必要な乗員か否かの推定結果の少なくとも1つに対して、推定の結果を信頼できる度合いを表す信頼度を算出してもよい。一例として、信頼度は、信頼度が高いまたは低いといったように、2値情報で表されてよい。別の例として、信頼度は、予め定められたある範囲内、例えば1~100の範囲内の値で表されてもよい。更に別の例として、信頼度は、信頼できる度合いが高くなるほど上限なく大きくなるような数値により表されてもよい。また、推定結果の尤度または確率を信頼度として使用してもよい。
【0021】
信頼度の算出方法としては、例えば、呼吸速度を用いた方法の場合、一定時間内の呼吸速度による警報要否判定結果の変動が大きい場合には信頼度を低く、判定結果が安定している場合に信頼度高くするようにすればよい。他には、顔認識による年齢推定で判定する方法の場合では、顔が正面を向いていて、年齢推定に用いるような輪郭やパーツといった情報が十分に取得できる場合に信頼度を高く、顔の傾きまたは一部遮蔽等により顔の情報が一部欠落している場合に信頼度を低くするようにすればよい。この場合は取得できたパーツ数を直接信頼度と置き換えることも可能である。
【0022】
さらに、複数の方法を組み合わせて判定する場合、各方法での推定結果の傾向が同じ場合に信頼度を高く、異なる場合に信頼度が低くなるようにすればよい。例えば、警報要否を1~5での5段階にて判断する方法AおよびBがあるとき、方法Aにて「1」、方法Bにて方法Aの結果と同じ傾向の「2」と判定された場合に、信頼度は段階数である「5」から、方法Aと方法Bの判定値の差である「1」を引いた「4」とする。一方で、方法Bにて方法Aと異なる傾向の「5」と判定された場合、信頼度は、「5」から方法Aと方法Bの判定値の差である「4」を引いた「1」となる。このように各推定結果の傾向が異なる場合に、同じ傾向であった場合と比較すると信頼度を低くなるようにすればよい。
【0023】
乗員属性推定部12は、車室内の乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定し、確定できる場合、確定できることを示す判定結果を警報要否判定部14に送信する。また、確定できない場合、乗員属性推定部12は、確定できないことを示す判定結果を補充判定部13に送信する。
【0024】
乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合とは、乗員属性推定部12における推定結果だけでは警報要否を誤判定する恐れがある、または誤判定の可能性が高い場合であり、例えば、以下の(a)~(c)のような複数の状況が考えられる。
(a)推定された乗員属性が、予め定められた警報が必要となる要件のボーダー付近の場合。例えば、体格に基づいて大人と幼児を判別し、幼児の場合は置き去り警報を鳴らす場合において、乗員属性推定部12で判定された車内乗員の体格が、幼児の体格に比較的近い小柄な大人であった場合は、体格を誤判定している可能性が高いと考えられる。
(b)乗員属性が不明の場合。
(c)乗員属性推定部12で判定された結果の信頼度が低い場合。例えば、上記(a)の体格に基づく置き去り警報を判定する例において、乗員属性推定部12で幼児の体格とは明らかに異なる、大柄な大人と判定された場合でも、結果の信頼度が低い場合は誤判定している可能性が高いと考えられる。
【0025】
なお、上記の(a)~(c)は例であり、上記以外の状況で補充判定部13による判定を実施してもよい。また、上記各状況を組み合わせて、例えば、乗員属性の推定結果とその信頼度に基づいて、乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かの判定をしてもよい。また、乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かの判定は、上記の(a)~(c)の例をもとに、乗員属性推定結果と警報が必要な乗員か否かの確定可否の関係を定義したテーブルを事前に作成しておき、そのテーブルを用いることにより行ってもよい。さらに、予め複数の属性判定結果と、それらに対する人手で付与した確定可否判断結果の情報を学習データとして学習することによって、確定可否を判断するような機械学習手法を用いてもよい。
【0026】
乗員属性推定部12から警報要否判定部14または補充判定部13に対して出力される判定結果には、確定できることまたは確定できないことを示す判定結果の他、乗員の有無、乗員が警報を必要とする乗員か否かの推定で得られた推定結果、および信頼度の全部または一部を含んでいてもよい。また、判定結果には、警報が必要な乗員と警報が不要な乗員の人数とが含まれていてもよい。
【0027】
(補充判定部)
補充判定部13は、乗員属性推定部12により乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、乗員属性推定部12が用いた第1の方法と異なる第2の方法を用いて乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを補充的に判定し、補充判定の結果を補充判定結果として警報要否判定部14に出力する。第2の方法とは、ユーザ入力を受け付けることができる方法である。第2の方法には、以下で説明する質問を行って応答を受け付けることができる方法が含まれる。
【0028】
一例として、補充判定部13は、乗員属性推定部12で検知した車内の乗員に対して質問を行うように補充判定部13に接続された車内出力装置4を制御し、補充判定部13に接続された車内入力装置3を介して受け付ける質問に対する乗員の応答に基づいて乗員が警報を必要とする乗員か否かを判定する。「乗員の応答に基づいて」とは、本開示では、警報の要否について乗員が明示的に答えた応答を考慮する場合の他、警報の要否について乗員の反応が不明である場合を考慮する場合、および警報の要否について乗員の反応が無いことを考慮する場合も含まれる。
【0029】
車内出力装置4を通じて行われる質問は、例えば、スピーカからの音声出力、ディスプレイへの表示、または予め設定されたボタンの点滅といった方法により行われるが、これら以外の方法により行われてもよい。また、複数の出力装置を組み合わせて質問を行ってもよい。
【0030】
車内入力装置3を通じて行われる車内乗員による応答は、例えば、マイクを介した音声応答、タッチパネルを介したタッチ操作、カメラまたは赤外線センサを介したジェスチャ、入力ボタンを介したボタン操作といった方法により行われるが、これら以外の方法でもよい。また、複数の入力装置を組み合わせて置き去り警報装置1が応答を受け付けるようにしてもよい。
【0031】
車内乗員に対してなされる質問は、質問に対する乗員の応答内容または反応から置き去り警報の要否を判断できるような質問である。質問には、例えば、「警報が必要ですか?」のような置き去り警報の要否を問う直接的な質問、または乗員の年齢を問う質問が含まれる。質問に対し、車内乗員から警報不要であることを意図とした応答、または警報不要と判断可能な応答が得られた場合は、補充判定部13はその乗員は警報不要の乗員であると判定する。一方で、乗員から警報が必要という旨の応答があった場合または乗員からの応答がない場合は、補充判定部13はその乗員は警報が必要な乗員であると判定する。
【0032】
なお、補充判定部13から警報要否判定部14に出力する補充判定結果として、警報が必要な乗員か否かを示す2値情報だけでなく、警報の必要度合いを表す値を出力してもよい。また、センサの故障等、何らかの理由で判定が困難な場合は、乗員属性推定部12の判定結果を警報要否判定部14に出力してもよい。
【0033】
なお、補充判定部13は、乗員属性推定部12で推定した車内乗員の位置に応じて、車内乗員への質問方法、および応答方法の少なくとも1つを変更してもよい。例えば、乗員位置に最も近い車内ディスプレイにて質問表示と応答を行う、乗員に向けてスピーカ出力と音声入力のビームを絞る等の制御をしてもよい。
【0034】
乗員属性推定部12で乗員が警報を必要とする乗員か否かを確定できる場合は、補充判定部13での判定は実施せず、警報要否判定部14に進む。これにより、例えば、明らかに警報が不要な大人と判断できる場合は、補充判定部13からの質問と乗員からの応答が不要となるため、警報が不要な場合の警報解除の煩わしさを抑制することができる。逆に、乗員属性推定部12で乗員が警報を必要とする乗員か否かを確定できない場合、つまり乗員属性推定部12における推定結果だけでは警報要否を誤判定する可能性があるか又は誤判定の可能性が高い場合は、補充判定部13での判定を追加で実施することで置き去り警報の誤りを抑制することができる。このように、置き去り警報装置1は、乗員属性推定部12による判定を行った後に、乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に補充判定部13による補充判定を行うように構成されているので、警報が不要な場合の警報解除の煩わしさを抑制しつつ、置き去り警報の誤判定を抑制できる。
【0035】
(警報要否判定部)
警報要否判定部14は、乗員属性推定部12の判定結果または補充判定部13の補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定し、判定の結果を警報出力制御部15に出力する。乗員属性推定部12で車内乗員が警報を必要とする乗員であると確定できる場合は、警報要否判定部14は乗員属性推定部12での判定結果をもとに置き去り警報の要否を判定する。乗員属性推定部12で確定できない場合は、補充判定部13での補充判定結果をもとに置き去り警報の要否を判定する。
【0036】
警報要否判定結果は、警報の要否といった2値情報だけでなく、警報の必要度合いを表す値により表されてもよい。置き去り警報の必要度合いは、例えば、乗員が幼児であって車内温度が高温または低温の場合には「3」、乗員が幼児であって車内温度が適温の場合には「2」、乗員が子供であって車内温度が高温または低温の場合には「2」、乗員が子供であって車内温度が適温の場合には「1」のように定めることができる。より単純に、置き去り警報の必要度合いは、乗員が幼児の場合には「2」、乗員が子供の場合には「1」のように定めてもよい。なお、車内温度に基づいて置き去り警報の必要度合いを定める場合は、置き去り警報装置1には、車室内の温度を計測する不図示の温度センサが接続される。
【0037】
また、警報要否判定結果には、乗員属性推定部12または補充判定部13で取得された車内の状況または乗員に関する情報が含まれていてもよい。
【0038】
(警報出力制御部)
警報出力制御部15は、警報要否判定部14により置き去り警報が必要と判定された場合に、車両の外部に向けて警報を発することが可能な車外出力装置5を制御して予め定められた警報を出力する。警報の出力方法としては、ハザードランプの点滅またはクラクションの吹鳴が含まれるが、これら以外でもよい。また、窓開けまたはロック解除等の車両制御を行ってもよいし、インターネット等の通信回線を介して保護者または運転手等の車外の人の携帯情報端末に車内に置き去りされている乗員がいることを報知してもよい。
【0039】
また、警報は警報要否判定部14の判定結果に応じて、複数段階のレベルで出力してもよく、レベルに応じて、警報の出力方法を変更してもよい。例えば、乳幼児が置き去りされており、警報が確実に必要と判断した場合は、車外への警報音量を上げる等が考えられる。なお、警報の方法及びレベルは、警報要否判定結果と警報方法及びレベルとの関係を定義したテーブルを事前に作成しておき、そのテーブルを用いることにより判断してもよい。また、乗員属性推定部12または補充判定部13で得られた情報を車外に報知してもよい。
【0040】
<ハードウェア構成>
次に、
図2Aおよび
図2Bを参照して、置き去り警報装置1のハードウェア構成について説明する。一例として、
図2Aに示すとおり、置き去り警報装置1はプロセッサ101およびメモリ102を有するコンピュータにより実現される。メモリ102には、コンピュータを送受信部11、乗員属性推定部12、補充判定部13、警報要否判定部14、および警報出力制御部15として機能させるためのプログラムが記憶されている。メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が読み出して実行することにより、送受信部11、乗員属性推定部12、補充判定部13、警報要否判定部14、および警報出力制御部15の機能が実現される。
【0041】
プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)などを用いたものである。
【0042】
メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)若しくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク又は光磁気ディスクなどを用いたものである。
【0043】
他の例として、
図2Bに示すとおり、置き去り警報装置1は専用の処理回路103により実現されてもよい。処理回路103は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)またはシステムLSI(Large-Scale Integration)等を用いたものである。
【0044】
他の例として、置き去り警報装置1は、プロセッサ101、メモリ102および処理回路103を用いて実現されてもよい。すなわち、送受信部11、乗員属性推定部12、補充判定部13、警報要否判定部14、および警報出力制御部15のうちの一部の機能がプロセッサ101とメモリ102により実現され、かつ、残余の機能が処理回路103により実現されるものであってもよい。
【0045】
また、サーバ装置6も、
図2Aまたは
図2Bのように構成することができる。
【0046】
<動作>
次に、
図3に示すフローチャートを参照して、置き去り警報装置1の動作について説明する。
【0047】
ステップST1において、送受信部11は、センサ2を介して、車室内に向けて電磁波を照射し、照射した電磁波の反射波を受信する。
【0048】
次に、ステップST2において、乗員属性推定部12は、送受信部11が受信した反射波の受信信号に基づいて車室内の乗員有無を判定し、乗員が存在する場合は、乗員が警報を必要とする乗員か否かを推定する。
【0049】
次にステップST3において、乗員属性推定部12にて車内の乗員が警報を必要とする乗員か否かを確定できない場合、つまり乗員属性推定部12での判定結果に誤判定の恐れがある場合は、処理はステップST4の補充判定部13での処理に進む。車内の乗員が警報を必要とする乗員か否かを確定できる場合は、処理はステップST4をスキップしてステップST5に進む。
【0050】
ステップST4では、補充判定部13にて、車内の入出力装置(車内入力装置3、車内出力装置4)を用いた置き去り警報装置1からの質問と乗員からの応答、および乗員属性推定部12での推定結果に基づいて、車内の乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定する。
【0051】
ステップST5では、乗員属性推定部12での判定結果、または補充判定部13での補充判定結果をもとに、警報要否判定部14は置き去り警報の要否を判定する。置き去り警報の要否の判定結果が警報が必要であることを示す場合(ステップST6でYESの場合)、処理はステップST7に進み、警報出力制御部15は車外出力装置5に対して置き去り警報を出力するように制御信号を出力する。
【0052】
(バリエーション)
ステップST6にて警報不要と判断された場合でも、再度ステップST1またはST5に戻って、乗員が警報を必要とする乗員か否かを複数回判定してもよい。また、複数回判定する条件としては、補充判定部13での乗員が警報を必要とする乗員か否かの判定が誤っている可能性が高い場合であってもよい。例えば、乗員属性推定部12にて警報が必要な幼児であると判定したにもかかわらず、補充判定部13にて警報不要を意図した応答が得られた場合が挙げられる。
【0053】
また、置き去り警報装置1は、車両内部の環境を取得する機能を追加的に有していてもよい。例えば、置き去り警報装置1に対して車室内の温度を計測する温度センサを追加的に接続することで、置き去り警報装置1は車内の危険度合いを取得することが可能である。これにより、警報要否判定部14において警報不要と判定した場合でも、車室内が高温となり危険な状態と判断される場合は、警報を出力し又は再度補充判定部13にて車内乗員が警報を必要とする乗員か否かを判定する等の追加処理を行ってもよい。これによって、より車内乗員の安全を守ることが可能である。
【0054】
また、判定の回数だけでなく、ステップST4で行う乗員への質問のタイミングも車内環境に応じて変更してもよい。例えば、前記温度センサを追加した例で、補充判定部13からの質問を車室内が高温となり、置き去り警報装置1が危険と判断したタイミングで行ってもよい。また、定期的に電磁波を送受信し、何らかの車内状況の変化により車内の乗員属性推定部12での判定結果が変化したタイミングで質問してもよい。乗員属性推定部12の判定結果が変わるタイミングとしては、車外から乗員が車内に侵入した場合や、乗員の体勢が変わった時などが考えられる。これによって、より車内状況の変化に柔軟に対応した置き去り警報が可能となる。
【0055】
さらに、車両Aの位置情報に基づいて、ステップST4における補充判定部13から乗員への質問のタイミングまたは回数を変更してもよい。置き去り警報に対する法規は、国または地域によって異なる。そこで、車両Aが存在する位置情報から、その地域の法規情報を取得し、取得した法規の規定に沿うように質問のタイミングや回数を制御することで、法規が異なる複数の国または地域についても対応することが可能となる。
【0056】
<付記>
以上で説明した種々の実施形態のいくつかの側面について、以下のとおりまとめる。
【0057】
(付記1)
付記1の置き去り警報装置(1)は、室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部(11)と、受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部(12)と、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部(13)と、
前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部(14)と、前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部(15)と、を備える。
【0058】
(付記2)
付記2の置き去り警報装置は、付記1に記載された置き去り警報装置であって、前記補充判定部は、前記乗員に対して質問を行うように車内出力装置(4)を制御し、前記質問に対する前記乗員からの応答に基づいて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定する。
【0059】
(付記3)
付記3の置き去り警報装置は、付記2に記載された置き去り警報装置であって、前記応答は、マイクを介した音声応答、タッチパネルを介したタッチ操作、カメラまたは赤外線センサを介したジェスチャ、及び入力ボタンを介したボタン操作の内の少なくとも1つである。
【0060】
(付記4)
付記4の置き去り警報装置は、付記1から3のいずれか1つに記載された置き去り警報装置であって、前記乗員属性推定部は、前記推定の結果に対して信頼度を算出し、前記推定の結果と前記信頼度の少なくとも1つに基づいて、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定する。
【0061】
(付記5)
付記5の置き去り警報装置は、付記1から4のいずれか1つに記載された置き去り警報装置であって、前記警報要否判定部は、前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて置き去り警報の必要度合いを更に判定し、前記警報出力制御部は、判定された必要度合いに基づいて、車外出力装置を制御して行う警報のレベルを変更する。
【0062】
(付記6)
付記6の置き去り警報装置は、付記2に記載された置き去り警報装置であって、前記乗員の位置に応じて、前記乗員に対する質問の方法および前記乗員からの応答の方法の少なくとも1つを変更する。
【0063】
(付記7)
付記7の置き去り警報装置は、付記2に記載された置き去り警報装置であって、前記車両の内部の環境および前記車両の位置する場所の内の少なくとも1つに応じて、前記乗員に対する質問のタイミングまたは質問の回数を変更する。
【0064】
(付記8)
付記8の置き去り警報装置は、付記1から7のいずれか1つに記載された置き去り警報装置であって、前記第1の方法はユーザ入力を用いない方法であり、前記第2の方法はユーザ入力を受け付けることができる方法である。
【0065】
(付記9)
付記9の置き去り警報システムは、室内に電磁波を送信して反射波を受信するセンサを介して取得された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力する乗員属性推定部(12)、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力する補充判定部(13)、前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定する警報要否判定部(14)、および前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行う警報出力制御部(15)、の少なくとも1つを備えるサーバ装置と、前記センサによる電磁波の送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信する送受信部(11)と、前記乗員属性推定部(12)、前記補充判定部(13)、前記警報要否判定部(14)および前記警報出力制御部(15)のうち前記サーバ装置が備えない残りの全部と、を備える置き去り警報装置と、を備える。
【0066】
(付記10)
付記10の置き去り警報方法は、送受信部(11)、乗員属性推定部(12)、補充判定部(13)、警報要否判定部(14)、および警報出力制御部(15)を備えた置き去り警報装置が行う置き去り警報方法であって、前記送受信部(11)が、室内に電磁波を送信するセンサの送信を制御するとともに、前記センサが受信する前記電磁波の反射波に基づいた受信信号を受信するステップと、前記乗員属性推定部(12)が、受信された受信信号に基づいて、第1の方法を用いて前記室内に検出される乗員が警報を必要とする乗員であるか否かを推定し、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できるか否かを判定して、判定の結果を判定結果として出力するステップと、前記補充判定部(13)が、前記乗員が警報を必要とする乗員であると確定できない場合に、前記第1の方法と異なる第2の方法を用いて、前記乗員が警報を必要とする乗員か否かを補充的に判定して、補充判定の結果を補充判定結果として出力するステップと、前記警報要否判定部(14)が、前記判定結果または前記補充判定結果に基づいて、置き去り警報の要否を判定するステップと、前記警報出力制御部(15)が、前記置き去り警報が必要と判定された場合に、車外出力装置を制御して予め定められた警報を行うステップと、を備える。
【0067】
なお、実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示の置き去り警報装置1は、車両に搭載されて、車内に置き去りにされた乗員が警報を要する乗員か否かを判定して警報の制御を行う警報装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 置き去り警報装置、2 センサ、3 車内入力装置、4 車内出力装置、5 車外出力装置、6 サーバ装置、11 送受信部、12 乗員属性推定部、13 補充判定部、14 警報要否判定部、15 警報出力制御部、101 プロセッサ、102 メモリ、103 処理回路、A 車両。