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▶ 清野 吉巳の特許一覧

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  • 特許-草刈り刃及び草刈り機 図1
  • 特許-草刈り刃及び草刈り機 図2
  • 特許-草刈り刃及び草刈り機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】草刈り刃及び草刈り機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/10 20060101AFI20241206BHJP
   A01B 1/16 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
A01D34/10 Z
A01B1/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024086784
(22)【出願日】2024-05-29
【審査請求日】2024-10-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312007526
【氏名又は名称】清野 吉巳
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】清野 吉巳
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6788466(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3209435(JP,U)
【文献】実公昭60-16274(JP,Y2)
【文献】特開平11-168934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/02-34/40
A01B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段がカバー体の内部に収納された本体部に取り付けて用いられ、前記駆動手段により振動する草刈り刃であって、
平板状で両側に鋸状刃が形成された刃部と、前記刃部を前記本体部に接続する接続部とを有し、
前記接続部は、丸棒状部と、前記丸棒状部の一端部に前記刃部を接合する刃接合部と、前記丸棒状部の他端部を前記本体部に取り付ける本体取付部とを有し、
前記接続部と前記刃部とは、前記丸棒状部が前記刃部に対して20°~40°の角度を有するように接合された
ことを特徴とする草刈り刃。
【請求項2】
前記鋸状刃にはアサリがないことを特徴とする請求項1記載の草刈り刃。
【請求項3】
駆動手段がカバー体の内部に収納された本体部と、
請求項1又は請求項2に記載の草刈り刃と
を備えたことを特徴とする草刈り機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り刃及び草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜作りを生業としていると、作物に負けじと伸びてくる雑草が問題である。捨て置くと作物は雑草の中に隠れて見えなくなってしまい、やせ細り枯れてしまう。除草剤を使う手もあるが、作物や土との相性により使えないことが多い。これは、農業のみならず、土地を所有している人にとって共通の問題である。作物がなければ除草剤による駆除も可能ではあるが、庭先や植木の下などは手で取るほかはなく、手で取っても途中で千切れたり小さい草だと取りこぼしもあり、すぐに草が青く伸びてきてしまう。
【0003】
そこで、古来より金具の草削りが利用されている。しかし、草削りは、草の種類、土の軟硬、作物の大小等により万能とは言い難く、一長一短で、条件が揃えば能率も上がるが、時期を外すと役に立たない。例えば、作物を作り易い土の畑の土性は、通常、壌土と呼ばれている畑で、砂が62.5%、粘土が37.5%の割合で混じり合っている。このような土に作物を植え付け、草が生え始まった時に雨が降ると土がやわらかくなり、草を取るために畑に入ると足跡が大きく深く土の中に入ってしまうので畑に入ることができない。一日の雨量が10mmだと翌日は畑に入れず、20mmだと2日、30mmだと3日は畑に入ることができない。たとえ入って草をとっても草の根には泥がつき、草削りにも土がついて根を切ることが難しい。降雨後、前述の日数を経た時が除草開始の適期で、これより2日~3日の間に大きい草削りで一気に除草を行えば、草丈15cm程度の草であれば効率よく除草することができる。
【0004】
しかし、4日目になると、草削りも草に阻まれると共に土が固くなり、大型の草削りでは除草が難しくなり、小型の片手による草削りで草の根際に刃を突き刺し掻き出すことになる。これも6日も過ぎると土はもう草削りの刃も受け付けなくなり、両手で鎌の刃に力を入れて掻きむしるのが一番の方法であるが、土の抵抗により鎌の刃は傷んでしまい、鎌としてそのまま使用することができなくなってしまう。土の締まりは非常に大きく、鑿ででも掘る程固くなる。この後は、鋸鎌の刃先を草の一株一株に突き刺して根を切り取って除草するか、又は、次の雨を待つことになるが、草は益々勢いを増して伸び放題となってしまう。
【0005】
そうした際に、電動鋸で庭木の根元を切っていた時に、草削りも入らないくらいに固くなった土に刃先が入り、土まで切ってしまうことがあった。電動鋸は、電気の力によりモーターを回転させ、回転運動をカム等の処理により振動に切り替えている。電動鋸は、刃の振動自体は小さいが振動は1分間に2000回以上と多く、固い土でも刃を侵入させることができる。そこで、振動により草の根をどのような形で断ち切ればよいのかを検討した。
【0006】
雑草は、土の表面より0.5cm~1cm程度の所に存在する種子が発芽し、これよりも浅い所の種子は土の乾燥等により発芽しないで休眠し、また、これよりも深い所の種子は土圧等により発芽不能となり休眠している。この0.5cm~1cm程度の深さの土中が雑草の生育根拠地で、ここに幹となり根となる分岐点があり、極点と呼ばれている(非特許文献1参照)。この極点よりも下、地表から0.5cm~1cm程度の地中において草の根を切断し引き抜けば、地中に根が残っていても発芽伸長しない。逆に、この極点よりも上で草を切り取っても、極点の幹となる部分が地中に残り、すぐに伸長してしまう。すなわち、刃を地表から1cm~2cmの地中に刃を挿入して草の根を切断することが好ましい。
【0007】
なお、特許文献1には、刃先が土中に押入可能に形成された刃部と、刃部を前後に揺動させる駆動手段を有する本体部とを備えた草刈り機が記載されている。しかしながら、刃先を土中に挿入すると、刃部及び刃部と駆動部との取付部に土や草の根、ごみ等が付着し、本体部に入ってしまう場合があり、故障の原因となる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-168934号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】作物の科学 川田信一郎著 東京大学出版会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、本体部に土などが入り込むことを抑制することができる草刈り刃及び草刈り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の草刈り刃は、駆動手段がカバー体の内部に収納された本体部に取り付けて用いられ、駆動手段により振動するものであって、平板状で両側に鋸状刃が形成された刃部と、刃部を本体部に接続する接続部とを有し、接続部は、丸棒状部と、丸棒状部の一端部に前記刃部を接合する刃接合部と、丸棒状部の他端部を前記本体部に取り付ける本体取付部とを有し、接続部と刃部とは、丸棒状部が刃部に対して20°~40°の角度を有するように接合されたものである。
【0012】
本発明の草刈り機は、駆動手段がカバー体の内部に収納された本体部と、本発明の草刈り刃とを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、刃部を本体部に接続する接続部に丸棒状部を有するようにしたので、刃部を土中に挿入して振動させた際に、丸棒状部に土や根やごみ等が付着しにくく、また、付着しても容易に振り落とすことができる。よって、本体部に土などが入り込むことを抑制することができ、故障の発生を抑制することができる。
【0014】
また、接続部と刃部とを、丸棒状部が刃部に対して20°~40°の角度を有するように接合したので、作業者が本体部を手に持ち、刃部を地面に水平にして容易に動かすことができる。よって、刃部を地表面下1cm~2cmの深さの位置で容易に動かすことができ、容易かつ効果的に草刈りをすることができる。
【0015】
更に、鋸状刃にアサリがないようにすれば、木の根等が引っかかることを抑制することができ、容易に草刈りをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る草刈り機の構成を表す図である。
図2図1に示した草刈り機に用いる草刈り刃の構成を分解して表す図である。
図3図1に示した草刈り機に用いる草刈り刃の構成を分解して表す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係る草刈り機1の構成を表すものである。図2及び図3は、草刈り機1に用いる草刈り刃10の構成を分解して表す図であり、図2は横から見た構成を表し、図3は上から構成を表している。この草刈り機1は、駆動手段(図示せず)がカバー体21の内部に収納された本体部20と、本体部20に取り付けて用いられ、駆動手段により振動する草刈り刃10とを備えている。
【0019】
駆動手段は、例えば、動力源となるモーターと、モーターの回転駆動力を前後方向での往復駆動力に変換する変換機構とを有している。カバー体21の前側からは、例えば、草刈り刃10を取り付けるための刃取付部22が突出して設けられている。刃取付部22の先端部には、例えば、後述する草刈り刃10の本体取付部12Cを挿入する挿入部が設けられており、本体取付部12Cの後端部を挿入してねじ23で固定することにより草刈り刃10を取り付けることができるように構成されている。刃取付部22は、駆動手段に対して接続されており、駆動手段の駆動力を草刈り刃10に伝達するようになっている。カバー体21の後方側からは、例えば、駆動手段に電力を供給するための電気コード24が取り出されている。カバー体21の例えば上側には、作業者が手で持つための把持部25が設けられている。
【0020】
なお、本体部20には、既存の電動鋸の本体部、すなわち、鋸刃を振動させる駆動手段をカバー体の内部に収納した本体部を利用してもよい。その場合、電動鋸の鋸刃を本実施の形態の草刈り刃10に交換して用いることができる。
【0021】
草刈り刃10は、平板状で両側に鋸状刃11Aが形成された刃部11と、刃部11を本体部20に接続する接続部12とを有している。刃部11及び接続部12は、例えば、鉄やステンレスなどの金属材料により構成することが好ましい。十分な強度を得ることができるからである。刃部11は、例えば、短冊状であり、先端側は、土中に挿入しやすいように、三角形の剣先形とすることが好ましい。刃部11の大きさは、例えば、長さが15cm~20cm程度、幅が1cm~3cm程度、厚みが0.15cm~0.2cm程度とすることが好ましい。取り扱いを容易とすることができるからである。刃部11の先端側の剣先形部分の長さは、例えば、1cm~3cm程度とすることが好ましい。刃部11の後端側には、例えば、接続部12を固定するねじ孔11Bが設けられている。
【0022】
鋸状刃11Aは、例えば、刃部11の長辺の両側に設けられている。鋸状刃11Aは、絹針ほどの細い草の根毛を抱き込み、振動により切断するためのものである。鋸状刃11Aは、例えば、0.2cm~0.4cm程度の切込み深さで、間隔が0.2cm~0.4cm程度の二等辺三角形の山形状とすることが好ましい。鋸状刃11Aにはアサリがないことが好ましい。すなわち、アサリが形成されず、アサリなしとされることが好ましい。アサリがあると木の根等が引っ掛かり、刃部11の振動が停止してしまう場合があるからである。
【0023】
接続部12は、丸棒状部材よりなる丸棒状部12Aと、丸棒状部12Aの一端部に設けられ、丸棒状部12Aに刃部11を接合する刃接合部12Bと、丸棒状部12Aの他端部に設けられ、丸棒状部12Aを本体部20に取り付ける本体取付部12Cとを有している。刃部11と本体部20とを丸棒状部12Aにより接続するのは、刃部11を土中に挿入して振動させた際に、丸棒状部12Aに土や根やごみ等が付着しにくく、また、付着しても容易に振り落とすことができるからである。丸棒状部12Aの直径は、例えば、0.5cm~1cm程度とすることが好ましい。強度を保持しつつ、土などの付着を効果的に抑制することができるからである。
【0024】
接続部12と刃部11とは、丸棒状部12Aが刃部11の平面に対して20°~40°の角度θを有するように接合することが好ましい。また、丸棒状部12Aの長さは、例えば、2cm~4cm程度とすることが好ましい。このように構成することにより、刃部11を地表面下1cm~2cmの深さの位置で地表面と平行にして容易に動かすことができるようになっている。また、本体部20を地表面に置かないで、作業者が本体部20を持って自由に動かせるようにもなっている。
【0025】
刃接合部12Bは、例えば、刃部11に当接するように平板状に形成されており、刃部11のねじ孔11Bに対応してねじ孔12Dが設けられている。刃接合部12Bは、例えば、丸棒状部12Aが刃接合部12Bの平面に対して20°~40°の角度θを有するように設けられている。刃部11と刃接合部12Bとは、例えば、ねじ孔11B,12Dの位置を合わせて当接し、ねじ12Eを螺合することにより固定されている。本体取付部12Cは、例えば、本体部20の刃取付部22に取り付けることができる形状とされている。例えば、本体取付部12Cは、刃取付部22に挿入する突起部12Fが設けられており、突起部12Fを刃取付部22の挿入部に突起部12Fを挿入してねじ23で固定することにより本体部20に取り付けられている。
【0026】
この草刈り機1は、例えば、次のようにして用いられる。まず、作業者は、本体部20に草刈り刃10を取り付け、本体部20を駆動させて、草刈り刃10を前後方向に振動、すなわち往復運動させる。次いで、作業者は、刃部11を雑草の根本に差し入れ、地表面から1cm~2cmの位置において刃部11が水平に土中に隠れるようにする。続いて、作業者は、刃部11が地表面から1cm~2cmの位置において水平になるように維持しつつ、本体部20を横、前後、又は、斜めに移動させて、雑草の根を切断する。作業者は、片手で本体部20を持ち、操作しながら、もう片手で切断した雑草をかき集めることにより、容易に草刈り作業を行うことができる。
【0027】
このように本実施の形態によれば、刃部11を本体部20に接続する接続部12に丸棒状部12Aを有するようにしたので、刃部11を土中に挿入して振動させた際に、丸棒状部12Aに土や根やごみ等が付着しにくく、また、付着しても容易に振り落とすことができる。よって、本体部20に土などが入り込むことを抑制することができ、故障の発生を抑制することができる。
【0028】
また、接続部12と刃部11とを、丸棒状部12Aが刃部11に対して20°~40°の角度θを有するように接合したので、作業者が本体部20を手に持ち、刃部11を地面に水平にして容易に動かすことができる。よって、刃部11を地表面下1cm~2cmの深さの位置で容易に動かすことができ、容易かつ効果的に草刈りをすることができる。
【0029】
更に、鋸状刃11Aにアサリがないようにすれば、木の根等が引っかかることを抑制することができ、容易に草刈りをすることができる。
【0030】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、各構成要素について具体的に説明したが、各構成要素を全て備えている必要はなく、他の構成要素を備えていてもよい。また、各構成要素の具体的な内容については異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…草刈り機、10…草刈り刃、11…刃部、11A…鋸状刃、11B…ねじ孔、12…接続部、12A…丸棒状部、12B…刃接合部、12C…本体取付部、12D…ねじ孔、12E…ねじ、12F…突起部、20…本体部、21…カバー体、22…刃取付部、23…ねじ、24…電気コード、25…把持部
【要約】
【課題】本体部に土などが入り込むことを抑制することができる草刈り刃及び草刈り機を提供する。
【解決手段】草刈り機1は、駆動手段がカバー体21の内部に収納された本体部20と、本体部20に取り付けて用いられ、駆動手段により振動する草刈り刃10とを備えている。草刈り刃10は、平板状で両側に鋸状刃11Aが形成された刃部11と、刃部11を本体部20に接続する接続部12とを有している。接続部12は、丸棒状部12Aと、丸棒状部12Aの一端部に刃部11を接合する刃接合部12Bと、丸棒状部12Aを本体部20に取り付ける本体取付部12Cとを有している。接続部12と刃部11とは、丸棒状部12Aが刃部11に対して20°~40°の角度θを有するように接合されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3