(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64F 5/60 20170101AFI20241206BHJP
B06B 1/02 20060101ALI20241206BHJP
B64C 25/42 20060101ALI20241206BHJP
F16D 66/00 20060101ALI20241206BHJP
G01M 7/02 20060101ALI20241206BHJP
G01M 13/00 20190101ALI20241206BHJP
【FI】
B64F5/60
B06B1/02 A
B64C25/42
F16D66/00 Z
G01M7/02 B
G01M13/00
(21)【出願番号】P 2024146576
(22)【出願日】2024-08-28
【審査請求日】2024-08-28
(31)【優先権主張番号】202311330803.9
(32)【優先日】2023-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522223408
【氏名又は名称】珠海翔翼航空技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】葉宗華
(72)【発明者】
【氏名】呉林
(72)【発明者】
【氏名】劉小東
(72)【発明者】
【氏名】曽▲テン▼
(72)【発明者】
【氏名】翁沛炎
(72)【発明者】
【氏名】韋崇富
(72)【発明者】
【氏名】林沢民
(72)【発明者】
【氏名】陳振浩
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-014710(JP,A)
【文献】特開昭61-124814(JP,A)
【文献】特開2004-019715(JP,A)
【文献】特開平06-117467(JP,A)
【文献】特開2002-031623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/60
B06B 1/02
B64C 25/42
F16D 66/00
G01M 7/02
G01M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機の静的整備時の制動器検査に用いられ、加振器、加振制御器、扇形アレイセンシングアセンブリ(3)、センサプロセッサ、中央データプロセッサを備え、
前記扇形アレイセンシングアセンブリ(3)には、1つの加振周波数センサが設けられた1つの加振域(2)があり、前記加振域(2)を円心とし、複数本の検出軸が等夾角で分布され、前記検出軸には、複数の振幅センサが等間隔で分布され、
前記センサプロセッサは、前記扇形アレイセンシングアセンブリ(3)により生成された振動信号を受信し、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成して前記中央データプロセッサに発信し、
そのうち、iは、検出軸記号を表し、nは、合計n本の検出軸を表し、jは、該検出軸において加振域(2)に沿って配列された
振幅センサの番号を表し、mは、各本の検出軸にm個の
振幅センサがあることを表し、Fは、加振周波数センサが実測した振動周波数を表し、tは、検出時間を表し、Aは、該
振幅センサの実測振動幅を表し、
前記加振器は、制動ディスク(1)に対して振幅が一定であり、周波数が漸増する振動を付与し、
前記中央データプロセッサは、まず前記扇形アレイセンシングアセンブリ(3)の末端の
振幅センサの振幅の平均値に基づいて、被測制動器の共振周波数f
Gを決定し、
そのうち、f
tは、t時刻の加振周波数センサにより与えられた加振周波数の実測値を表し、
は、
制動器の端部に最大振幅が出現したときの加振周波数を表し、
共振周波数f
Gを決定した後、加振器の周波数に共振周波数f
Gを設定して起振し、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成し、曲線フィッティングを行い、フィッティング曲線の傾き変化の最大点を危険領域(4)としてとる、
ことを特徴とする複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【請求項2】
危険領域(4)を初めて決定した後、加振器と扇形アレイセンシングアセンブリ(3)を制動器の円心に沿って所定の角度で偏向させ、共振周波数f
Gを付与して起振し、危険領域(4)を再度測定し、初めて決定された危険領域(4)と「ブール交差」運算を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【請求項3】
加振器と扇形アレイセンシングアセンブリ(3)を制動器の円心に沿って何度も偏向させ、複数の危険領域(4)を取得し、「ブール交差」運算を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【請求項4】
偏向角度は、30°から90°である、
ことを特徴とする請求項3に記載の複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【請求項5】
偏向角度は、30°、45°、60°及び90°のいずれかである、
ことを特徴とする請求項4に記載の複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【請求項6】
前記加振器は、慣性式、電動式、電磁式、電気油圧式、空圧式及び油圧式のうちの1つである、
ことを特徴とする請求項5に記載の複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の振動検出システムに基づいて実施され、
航空器の静的整備状態において、加振器を制動ディスク(1)の円心以外の位置に取り付け、扇形アレイセンシングアセンブリ(3)には1つの加振域(2)があり、加振器の加振ヘッドを前記加振域(2)に粘着する、機器取付けステップS1と、
前記加振器は、制動ディスク(1)に対して振幅が一定であり、周波数が漸増する振動を付与し、端部センサの振幅を検出し、振幅最大時の加振周波数を共振周波数としてとる、共振周波数の決定ステップS2と、
制動ディスク(1)に共振周波数を振動周波数とする加振振動を付与し、センサプロセッサは、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成し、中央データプロセッサに発信し、曲線フィッティングを行い、フィッティング曲線の傾き変化の最大点を危険領域(4)としてとる、ステップS3と、を含む、
ことを特徴とする複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空検出の分野に属し、具体的には複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム及び方法である。
【背景技術】
【0002】
飛行機の着陸ブレーキは、運動から静止まで運動エネルギを熱エネルギに変換する過程である。重量500トン、着陸速度270キロメートル/時間のA380を例に挙げると、その着陸時に、約1700メガジュールの運動エネルギがあり、多くの運動エネルギは、ブレーキ材料の摩擦により、熱エネルギに変換され、またブレーキ材料に吸収される。この際、ブレーキ材料の温度は、あっという間に1000摂氏度を超え、これは、ブレーキ材料の耐高温、放熱性が問われる厳しい試練となる。超高制動力の作用下で、高剛性の飛行機制動器は、異なる態様の振動を発し、構造機器が弱化すると、制動器の振動態様が変化し、その多くの場合は、故障の発生を予兆しており、如何に振動信号に基づいて制動器の故障を見越して、降下時の安全リスクを回避するかは、当分野で重点が置かれている課題である。
【0003】
従来技術には、飛行器制動器の振動検出に特化した技術案が存在する。
【0004】
(1)CN112078826Aは、飛行器ホイール及び制動器アセンブリを開示し、具体的には、ホイール、該ホイールを制動するように構成される制動器及びホイールの回転速度を計測するように構成される計測機器を開示しており、該制動器は、少なくとも1つの摩擦部材、制動器支持材、及び該制動器支持材により担持され、制動力を摩擦部材に選択的に付与するように構成される少なくとも1つの制動器を備え、該計測機器は、対象物及び対象物の回転速度を表す計測信号を生成するための感知部品を備え、飛行器ホイール及び制動器アセンブリを、飛行器ホイール及び制動器アセンブリの組立て時に、対象物がホイールとともに回転するように拘束されるように構成し、且つ感知部品を制動器支持材に取り付け、対象物及び感知部品を、感知部品が対象物の回転を検出するように構成する。
【0005】
(2)CN110816887Aは、飛行機ホイールブレーキシステム試験ベンチ及び試験方法を開示し、具体的には、飛行機ホイールブレーキシステム試験ベンチには3組の試験ユニットがあり、3つのホイールのブレーキ試験を同時に行えることを開示している。本発明は、駆動システムにおけるドラム表面で飛行機滑走路を模擬し、ドラム回転速度で飛行機の地上走行速度及び走行運動エネルギを模擬し、負荷システムで飛行機の接地荷重を模擬し、前記駆動システムと負荷システムを集積し、試験台において全機の離着過程を模擬し、制動システムは、飛行機滑走路でホイールブレーキシステム地上滑走の試験を行う。さらに、極限条件下で全機離着制動システムの飛行機滑走路での地上滑走試験を模擬してもよい。試験過程におけるリスクが低減され、飛行機を使用した試験による大きな試験コスト及び試験難度が低減され、試験データの制御及び収集がより容易及び正確に実現される。
【0006】
(3)CN107310750Aは、飛行機ブレーキシステムの振動試験方法を開示し、具体的には、試験時間を寿命要件における振動時間に応じて決定し、試験最高振動量値を寿命期内の最高振動量値に応じて決定し、ブレーキシステムの全ての製品をシステム接続方式に従って拡張ヘッドに取り付け、拡張ヘッドを電動振動台の可動コイルに取り付け、試験時間及び振動量値に応じて振動試験断面を決定する、ことを開示している。断面には、最高振動量値によって刺激された故障リスクを表示するのに必要な低量値振動があり、振動時間がブレーキシステムの寿命に従って決定されるため、本発明は原理的にはブレーキシステムの寿命期内の振動故障リスクを刺激することができる。
【0007】
上記技術案は改良を提出しているが、従来技術には、依然として以下の問題が存在する。
【0008】
1、センサに基づいた検出方式は、航空制動器の剛性変化具合を判断できず、高剛度の前提で、加速度センサや振幅センサが外部振動の影響を受けやすいため、制動器の劣化具合を迅速に判断できず。
2、従来の振動検出方法は、動的検出のみができるが、静的整備状態で迅速な検出ができず、航空器としては検出条件が厳しく、検出精度が高いものではなく。
3、従来の検出方法は、主にG値の検出に依存しており、制動器の異なる位置の振動の相違を判断できず、制動器構造内部の薄弱点を迅速に発見できず。
4、従来の制動器の寿命検出は、破壊性疲労試験に依存する必要があり、即ち、単一又は複数の制動器を疲労試験機に取り付け、破壊されるまで負荷をかけて、その疲労寿命を測り、そして同バッチの制動器製品と類比している。このような方法では、疲労試験に桁違いの相違がよくあり、即ち同バッチの製品の疲労寿命の相違が高い場合数十倍又は百倍にもなることがあるため、評価精度が非常に低く、高寿命の製品が早期に廃棄される問題が存在する。
【発明の概要】
【0009】
飛行機の静的整備時の制動器検査に用いられ、加振器、加振制御器、扇形アレイセンシングアセンブリ、センサプロセッサ、中央データプロセッサを備え、
前記扇形アレイセンシングアセンブリには、1つの加振周波数センサが設けられた1つの加振域があり、前記加振域を円心とし、複数本の検出軸が等夾角で分布され、前記検出軸には、複数の振幅センサが等間隔で分布され、
前記センサプロセッサは、前記扇形アレイセンシングアセンブリにより生成された振動信号を受信し、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成して前記中央データプロセッサに発信し、
そのうち、iは、検出軸記号を表し、nは、合計n本の検出軸を表し、jは、該検出軸において加振域に沿って配列された
振幅センサの番号を表し、mは、各本の検出軸にm個の
振幅センサがあることを表し、Fは、加振周波数センサが実測した振動周波数を表し、tは、検出時間を表し、Aは、該
振幅センサの実測振動幅を表し、
前記加振器は、制動ディスクに対して振幅が一定であり、周波数が漸増する振動を付与し、
前記中央データプロセッサは、まず前記扇形アレイセンシングアセンブリの末端の
振幅センサの振幅の平均値に基づいて、被測制動器の共振周波数f
Gを決定し、
そのうち、f
tは、t時刻の加振周波数センサにより与えられた加振周波数の実測値を表し、
は、
制動器の端部に最大振幅が出現したときの加振周波数を表し、
共振周波数f
Gを決定した後、加振器の周波数に共振周波数f
Gを設定して起振し、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成し、曲線フィッティングを行い、フィッティング曲線の傾き変化の最大点を危険領域としてとる、複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【0010】
さらに、危険領域を初めて決定した後、加振器と扇形アレイセンシングアセンブリを制動器の円心に沿って所定の角度で偏向させ、共振周波数fGを付与して起振し、危険領域を再度測定し、初めて決定された危険領域とに「ブール交差」運算を行う。
【0011】
さらに、加振器と扇形アレイセンシングアセンブリを制動器の円心に沿って何度も偏向させ、複数の危険領域を取得し、「ブール交差」運算を行う。
【0012】
さらに、偏向角度は、30°から90°である。
【0013】
さらに、偏向角度は、30°、45°、60°及び90°のいずれかである。
【0014】
さらに、前記加振器は、慣性式、電動式、電磁式、電気油圧式、空圧式及び油圧式のうちの1つである。
【0015】
前記振動検出システムに基づいて実施され、
航空器の静的整備状態において、加振器を制動ディスクの円心以外の位置に取り付け、扇形アレイセンシングアセンブリには1つの加振域があり、加振器の加振ヘッドを前記加振域に粘着する、機器取付けステップS1と、
前記加振器は、制動ディスクに対して振幅が一定であり、周波数が漸増する振動を付与し、端部センサの振幅を検出し、振幅最大時の加振周波数を共振周波数としてとる、共振周波数の決定ステップS2と、
制動ディスクに共振周波数を振動周波数とする加振振動を付与し、センサプロセッサは、振動信号集合{Qij(F;t,A)|i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成し、中央データプロセッサに発信し、曲線フィッティングを行い、フィッティング曲線の傾き変化の最大点を危険領域としてとる、ステップS3と、を含む、複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出方法。
【0016】
従来技術と比較すると、本発明は、以下の有益な効果を具備している。
【0017】
1、本発明では、加振器を利用して、静的整備時に、飛行器制動ディスクに対して危険点の検出を行うが、飛行器制動ディスクに振幅センサを取り付け、その降着時の振動を検出することと比較すると、本発明の検出方法は、実施がより便利であり、機体振動の干渉を受けることなく、検出精度がより高くなる。
【0018】
2、本発明では、扇形のセンサアレイを利用して、制動ディスクの各点箇所の振幅に対して検出を行い、振幅が激増する領域が出現すると、該領域が弱化していることを意味し、内部の損傷を予兆する可能性があり、X線探傷等の検出を行う必要がある。
【0019】
3、本発明では、ブール運算を採用して複数の危険領域に対して交差処理を行い、危険領域予測の精度が向上し、後続の探傷処理のステップが簡素化され、検出効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の1つの扇形アレイセンシングアセンブリの模式図である。
【
図2】本発明の別の1つの扇形アレイセンシングアセンブリの模式図である。
【
図3】本発明の曲線フィッティングの模式図であり、図中の4本の曲線は、4本の検出軸の検出データのフィッティング結果を表す。
【
図4】本発明の危険領域のブール交差運算の模式図である。
【
図5】欠陥制動ディスクの等価構造の模式図である。
【符号の説明】
【0021】
図面中、1・・・制動ディスク、2・・・加振域、3・・・扇形アレイセンシングアセンブリ、4・・・危険領域、5・・・第1危険域、6・・・第2危険域、7・・・ブール交差領域、8・・・完全制動ディスク、9・・・欠陥制動ディスク、10・・・等価構造。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確的で完全に記述するが、無論、記述される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者として創造的な労働を行うことなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0023】
実施例1
飛行機の静的整備時の制動器検査に用いられ、加振器、加振制御器、扇形アレイセンシングアセンブリ3、センサプロセッサ、中央データプロセッサを備え、
前記扇形アレイセンシングアセンブリ3には、1つの加振周波数センサが設けられた1つの加振域2があり、
図1に示すように、前記加振域2を円心とし、複数本の検出軸が等夾角で分布され、前記検出軸には、複数の振幅センサが等間隔で分布され、
前記センサプロセッサは、前記扇形アレイセンシングアセンブリ3により生成された振動信号を受信し、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成して前記中央データプロセッサに発信し、
そのうち、iは、検出軸記号を表し、nは、合計n本の検出軸を表し、jは、該検出軸において加振域2に沿って配列された
振幅センサの番号を表し、mは、各本の検出軸にm個の
振幅センサがあることを表し、Fは、加振周波数センサが実測した振動周波数を表し、tは、検出時間を表し、Aは、該
振幅センサの実測振動幅を表し、
前記加振器は、制動ディスク1に対して振幅が一定であり、周波数が漸増する振動を付与し、
前記中央データプロセッサは、まず前記扇形アレイセンシングアセンブリ3の末端の
振幅センサの振幅の平均値に基づいて、被測制動器の共振周波数f
Gを決定し、
そのうち、f
tは、t時刻の加振周波数センサにより与えられた加振周波数の実測値を表し、
は、
制動器の端部に最大振幅が出現したときの加振周波数を表し、
共振周波数f
Gを決定した後、加振器の周波数に共振周波数f
Gを設定して起振し、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成し、曲線フィッティングを行い、フィッティング結果は、
図3に示す通りであり、フィッティング曲線の傾き変化の最大点を危険領域4としてとる、複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム。
【0024】
具体的には、制動ディスク1が完全である場合、その側面図は、
図5に示すように、矩形棒材に等価されてもよい。制動ディスク1に目に見えない亀裂が出現すると、その中部に弱化点が出現し、バネで接続された2つの棒材に等価されてもよい。1本の棒材が加振されると、弱化点の遠端、即ちもう1本の棒材に「鞭打ち効果」が出現し、その結果、振幅が増大されている。曲線から見ると、弱化点の近端の振幅は小さく、弱化点の遠端の振幅は大きく、曲線は弱化点付近で変曲点が出現している。このような方法により、弱化点のおおよその位置を検出でき、何度も検出しブール運算することにより、弱化点を迅速に特定し、そしてX線を使用して探傷を行うことができ、検出が迅速、効率的、正確である。
【0025】
実施例2
前記振動検出システムに基づいて実施され、
航空器の静的整備状態において、制動ディスク1を取り外したり、制動キャリパを最大位置まで緩めたりして、制動ディスク1が加振過程で干渉されないことを保証し、
加振器を制動ディスク1の円心以外の位置に取り付け、
図2に示すように、加振域2が制動ディスク1の軸心に位置し、加振域2が外側に位置することを保証可能であり、
扇形アレイセンシングアセンブリ3には1つの加振域2があり、加振器の加振ヘッドを前記加振域2に粘着し、
加振器は、慣性式、電動式、電磁式、電気油圧式、空圧式及び油圧式のうちの1つである、機器取付けステップS1と、
前記加振器は、制動ディスク1に対して振幅が一定であり、周波数が漸増する振動を付与し、端部センサの振幅を検出し、振幅最大時の加振周波数を共振周波数としてとる、共振周波数の決定ステップS2と、
制動ディスク1に共振周波数を振動周波数とする加振振動を付与し、センサプロセッサは、振動信号集合{Q
ij(F;t,A)|
i=1,2,…,n;j=1,2,…,m}を生成し、中央データプロセッサに発信し、曲線フィッティングを行い、
図4に示すように、
図4中のx軸は、加振域との距離を表し、y軸は、振幅を表し、
図4中の曲線は、フィッティング曲線であり、フィッティング曲線の傾き変化の最大点を危険領域4としてとる、ステップS3と、を含む、複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出方法であって、
第1危険域5の決定を完成した後、加振域2を、30°、45°、60°及び90°のいずれかの角度で偏向させ、危険領域4を再度決定して第2危険域6と記し、ブール交差計算により、重なり合う領域、即ちブール交差領域7に、目に見えない損壊が発生する可能性がより高く、後続で超音波探傷又はX線探傷を利用して特定して検出を行うことができる。
【0026】
図5に示すように、完全制動ディスク8は、均質棒材であり、破損されると、
図5中の欠陥制動ディスク9のように、破損域が弱化され低剛度の細棒となり、バネで接続された2つの剛性棒、例えば
図5中の等価構造10に等価されてもよい。加振時に、端部が振られる「鞭打ち効果」が発生する。本発明の実施例を示して記述しているが、当業者であれば、本発明の原理及び精神から逸脱することなくこれらの実施例に対して様々な変化、修正、置換及び変形を行ってもよく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等物により限定されることを理解することができる。
【要約】
【課題】
機体振動の干渉を受けることなく、検出精度がより高くなる振動検出システム及び方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、航空検出の分野に関し、具体的には、飛行機の静的整備時の制動器検査に用いられ、加振器、加振制御器、扇形アレイセンシングアセンブリ、センサプロセッサ、中央データプロセッサを備え、前記扇形アレイセンシングアセンブリには、1つの加振周波数センサが設けられた1つの加振域があり、前記加振域を円心とし、複数本の検出軸が等夾角で分布され、前記検出軸には、複数の振幅センサが等間隔で分布される、複合パラメータに基づく飛行器制動器の振動検出システム及び方法に関し、本発明の検出方法は、実施がより便利であり、機体振動の干渉を受けることなく、検出精度がより高くなり、ブール運算を採用して複数の危険領域に対して交差処理を行い、危険領域予測の精度が向上し、後続の探傷処理のステップが簡素化され、検出効率が向上する。
【選択図】
図1