(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ダブルスクロールタービンハウジング、ダブルスクロールタービン及び過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20241206BHJP
F02B 37/18 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
F02B39/00 E
F02B37/18 E
(21)【出願番号】P 2024502725
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008220
(87)【国際公開番号】W WO2023162204
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】冨川 邦弘
(72)【発明者】
【氏名】星 徹
(72)【発明者】
【氏名】横山 隆雄
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016006719(DE,A1)
【文献】特開2019-173749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0341109(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016006718(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0318531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F02B 37/18
F01D 25/00
F01D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのスクロール流路が形成されたダブルスクロールタービンハウジングであって、
前記2つのスクロール流路は、第1スクロール流路と、前記第1スクロール流路とタービンの軸方向における同一の領域に形成された第2スクロール流路と、を含み、
前記ダブルスクロールタービンハウジングは、
前記第1スクロール流路から分岐する第1分岐流路、前記第2スクロール流路から分岐する第2分岐流路、及び前記第1分岐流路と前記第2分岐流路とが合流するとともに、前記タービンを通過した排ガスが流れる排気流路と排気流路側連通口を介して連通する合流流路、を含む接続流路を形成する接続流路形成部と、
前記排気流路側連通口に接離可能なシート面を含むシート部であって前記排気流路側連通口を開閉可能なシート部、及び前記シート部から前記合流流路に向かって突出する突出部であって前記合流流路において前記第1分岐流路および前記第2分岐流路の夫々を分断可能な突出部を有する弁体と、前記弁体を弁軸回りに回転させるための弁棒と、を含むスクロールコネクションバルブと、を備え、
前記弁体の前記シート面に直交する方向に沿って前記シート面から離隔する方向を高さ方向と定義し、
前記高さ方向および前記弁軸と平行な方向と夫々直交する方向を幅方向と定義し、
前記第1分岐流路および前記第2分岐流路の少なくとも一方と前記合流流路との接続位置における前記弁軸と平行な方向に直交する流路断面である第1流路断面を、前記高さ方向に延びて前記第1流路断面の図心を通過する第1基準線および前記幅方向に延びて前記図心を通過する第2基準線により4つの領域に分割した場合において、
前記4つの領域のうち、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面側、且つ前記幅方向の前記弁軸から離れた側を第1領域、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面側、且つ前記幅方向の前記弁軸側を第2領域、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面から離れた側、且つ前記幅方向の前記弁軸から離れた側を第3領域、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面から離れた側、且つ前記幅方向の前記弁軸側を第4領域、と定義した場合において、
前記第4領域は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域に比べて流路面積が小さい、
ダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項2】
前記第3領域及び前記第4領域の夫々は、前記高さ方向の前記シート面側に向かうにつれて前記幅方向の長さが前記弁軸側に向かって増加する拡幅領域を少なくとも含む、
請求項1に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項3】
前記第2領域は、前記高さ方向の前記シート面側に向かうにつれて前記幅方向の長さが前記弁軸側に向かって増加する拡幅領域を少なくとも含む、
請求項2に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項4】
前記第1領域及び前記第2領域の夫々は、前記幅方向の長さが一定である一定幅領域を含み、
前記第1領域の前記一定幅領域が形成された前記高さ方向の少なくとも一部において、前記第2領域の前記一定幅領域が形成された、
請求項2に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項5】
前記第1流路断面は、前記合流流路の前記弁軸と平行な方向に直交する流路断面である第2流路断面に比べて、前記幅方向の前記弁軸から離れた側及び前記高さ方向の前記シート面から離れた側が閉塞している、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項6】
前記突出部は、前記弁軸と平行な方向に直交する断面において、
前記弁軸側に位置する弁軸近傍側端面と、
前記弁軸近傍側端面よりも前記弁軸から離れた側に位置する弁軸遠方側端面と、
前記弁軸近傍側端面の先端と前記弁軸遠方側端面の先端とを接続する底面と、を含み、
前記底面は、前記弁軸遠方側端面の前記先端から前記弁軸側に向かうにつれて前記シート面からの距離が短くなるように傾斜している、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項7】
前記突出部は、前記弁軸と平行な方向に直交する断面において、
前記弁軸側に位置する弁軸近傍側端面と、
前記弁軸近傍側端面よりも前記弁軸から離れた側に位置する弁軸遠方側端面と、
前記弁軸近傍側端面の先端と前記弁軸遠方側端面の先端とを接続する底面と、を含み、
前記弁軸近傍側端面は、前記突出部の軸線を挟んで対向する前記弁軸遠方側端面に比べて傾斜角度が大きい傾斜面を有する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項8】
前記スクロールコネクションバルブは、
前記弁体の位置が全閉位置にある場合に、前記傾斜面の前記シート面側の端である基端が前記合流流路の内部に位置するように構成され、且つ
前記弁体の位置が全開位置にある場合に、前記傾斜面の前記基端が前記排気流路の内部に位置するように構成された、
請求項7に記載のダブルスクロールタービンハウジング。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のダブルスクロールタービンハウジングと、
前記ダブルスクロールタービンハウジングに回転可能に収容されるタービンホイールと、を含む、
ダブルスクロールタービン。
【請求項10】
エンジンから排出された排ガスで駆動されるダブルスクロールタービンであって、請求項9に記載のダブルスクロールタービンと、
前記ダブルスクロールタービンに同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気を前記エンジンに供給するためのコンプレッサと、を備える、
過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダブルスクロールタービンハウジング、該ダブルスクロールタービンハウジングを備えるダブルスクロールタービン、及び該ダブルスクロールタービンを備える過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
ダブルスクロールタービンハウジングには、第1スクロール流路から分岐する第1分岐流路と、第2スクロール流路から分岐する第2分岐流路と、第1分岐流路と第2分岐流路とが合流する合流流路であって、タービンホイールを通過した排ガスが流れる排気流路と連通する合流流路と、が形成されたものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のダブルスクロールタービンハウジングには、合流流路と排気流路との間に設けられる連通口を閉塞可能であり、且つ合流流路において第1分岐流路および前記第2分岐流路の夫々を分断可能な弁体を有するバルブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にはバルブの開弁時における流量特性を理想とする線形特性に近付けることができる旨の記載があるが、特許文献1に記載のダブルスクロールタービンハウジングやバルブの形状では、バルブの開弁時において、第1分岐流路や第2分岐流路と合流流路との間の接続位置における開口流路面積の増加率が急増する虞がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、スクロールコネクションバルブの開弁時における流量特性を改善できるダブルスクロールタービンハウジング、ダブルスクロールタービン及び過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングは、
2つのスクロール流路が形成されたダブルスクロールタービンハウジングであって、
前記2つのスクロール流路は、第1スクロール流路と、前記第1スクロール流路とタービンの軸方向における同一の領域に形成された第2スクロール流路と、を含み、
前記ダブルスクロールタービンハウジングは、
前記第1スクロール流路から分岐する第1分岐流路、前記第2スクロール流路から分岐する第2分岐流路、及び前記第1分岐流路と前記第2分岐流路とが合流するとともに、前記タービンを通過した排ガスが流れる排気流路と排気流路側連通口を介して連通する合流流路、を含む接続流路を形成する接続流路形成部と、
前記排気流路側連通口に接離可能なシート面を含むシート部であって前記排気流路側連通口を開閉可能なシート部、及び前記シート部から前記合流流路に向かって突出する突出部であって前記合流流路において前記第1分岐流路および前記第2分岐流路の夫々を分断可能な突出部を有する弁体と、前記弁体を弁軸回りに回転させるための弁棒と、を含むスクロールコネクションバルブと、を備え、
前記弁体の前記シート面に直交する方向に沿って前記シート面から離隔する方向を高さ方向と定義し、
前記高さ方向および前記弁軸と平行な方向と夫々直交する方向を幅方向と定義し、
前記第1分岐流路および前記第2分岐流路の少なくとも一方と前記合流流路との接続位置における前記弁軸と平行な方向に直交する流路断面である第1流路断面を、前記高さ方向に延びて前記第1流路断面の図心を通過する第1基準線および前記幅方向に延びて前記図心を通過する第2基準線により4つの領域に分割した場合において、
前記4つの領域のうち、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面側、且つ前記幅方向の前記弁軸から離れた側を第1領域、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面側、且つ前記幅方向の前記弁軸側を第2領域、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面から離れた側、且つ前記幅方向の前記弁軸から離れた側を第3領域、前記図心よりも前記高さ方向の前記シート面から離れた側、且つ前記幅方向の前記弁軸側を第4領域、と定義した場合において、
前記第4領域は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域に比べて流路面積が小さい。
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係るダブルスクロールタービンは、
前記ダブルスクロールタービンハウジングと、
前記ダブルスクロールタービンハウジングに回転可能に収容されるタービンホイールと、を含む。
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態に係る過給機は、
エンジンから排出された排ガスで駆動される前記ダブルスクロールタービンと、
前記ダブルスクロールタービンに同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気を前記エンジンに供給するためのコンプレッサと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、スクロールコネクションバルブの開弁時における流量特性を改善できるダブルスクロールタービンハウジング、ダブルスクロールタービン及び過給機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るダブルスクロールタービンのタービンホイールの軸線に対して直交する断面を概略的に示す概略断面図である。
【
図2】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングのスクロールコネクションバルブの軸線に沿った断面を概略的に示す概略断面図である。
【
図3】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングのスクロールコネクションバルブが全閉の状態を示す概略図であって、ダブルスクロールタービンハウジングを弁棒の弁軸の延在方向における一方側から視た状態を示す概略図である。
【
図4】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングの概略断面図であって、合流流路における弁軸と平行な方向に直交する流路断面、及び合流流路に挿入された弁体の弁軸と平行な方向に直交する断面を示す概略断面図である。
【
図5】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングの第1分岐流路や第2分岐流路と合流流路との接続位置における弁軸と平行な方向に直交する流路断面の概略図である。
【
図6】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングの第1分岐流路や第2分岐流路と合流流路との接続位置における弁軸と平行な方向に直交する流路断面の概略図である。
【
図7】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングのスクロールコネクションバルブの開弁時におけるSCV流れの流量特性を説明するための説明図である。
【
図8】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングのスクロールコネクションバルブの開弁時におけるバイパス流れの流量特性を説明するための説明図である。
【
図9】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングの概略断面図であって、合流流路における弁軸と平行な方向に直交する流路断面、及び合流流路に挿入された弁体の弁軸と平行な方向に直交する断面を示す概略断面図である。
【
図10】一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングの概略断面図であって、合流流路における弁軸と平行な方向に直交する流路断面、及び合流流路に挿入された弁体の弁軸と平行な方向に直交する断面を示す概略断面図である。
【
図11】一実施形態に係る過給機の構成を概略的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(ダブルスクロールタービン、ダブルスクロールタービンハウジング)
図1は、一実施形態に係るダブルスクロールタービン1のタービンホイール3の軸線LAに対して直交する断面を概略的に示す概略断面図である。
図2は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジング2のスクロールコネクションバルブ4の軸線LBに沿った断面を概略的に示す概略断面図である。以下、ダブルスクロールタービンハウジング2にタービンホイール3が収納されたときの、タービンホイール3の軸線LAが延在する方向をタービンホイール3(タービン1)の軸方向と定義する。
【0013】
図1に示されるように、ダブルスクロールタービン(以下、タービンという)1は、2つのスクロール流路21、22が形成されたダブルスクロールタービンハウジング(以下、ハウジングという)2と、ハウジング2に回転可能に収容されたタービンホイール3と、を含む。上記2つのスクロール流路21、22は、第1スクロール流路21と、第1スクロール流路21とタービン1の軸方向における同一の領域に形成された第2スクロール流路22と、を含む。なお、「タービン1の軸方向における同一の領域に形成された」とは、
図1に示されるような、タービンホイール3の軸線LAに対して直交する断面において、第1スクロール流路21及び第2スクロール流路22の夫々のスクロール形状が一緒に表示されることを意味する。
【0014】
図1に示されるように、ハウジング2は、第1スクロール流路21を形成する第1スクロール流路形成部210と、第2スクロール流路22を形成する第2スクロール流路形成部220と、を備える。第1スクロール流路21及び第2スクロール流路22の各々は、タービン1のノズル流路23に排ガスを導入するための流路である。ノズル流路23は、第1スクロール流路21や第2スクロール流路22よりもエンジンから排出された排ガスが流れる排ガス流路における下流側に設けられる。ノズル流路23は、ハウジング2の内部、且つタービンホイール3の外周側(タービンホイール3の径方向における外側)に形成される環状空間からなる。第1スクロール流路21及び第2スクロール流路22の各々は、ノズル流路23の外周側に設けられる渦状の流路からなる。
【0015】
ハウジング2は、
図1に示されるように、第1スクロール流路21を流れる排ガスが導入されるノズル流路23の第1範囲CR1と、第2スクロール流路22を流れる排ガスが導入されるノズル流路23の第2範囲CR2とが、タービンホイール3の軸線LA回りの周方向において重複しないように、構成されている。図示される実施形態では、第2スクロール流路22は、タービンホイール3の軸線LAに対して直交する断面において、第1スクロール流路21よりも外周側(タービンホイール3の径方向における外側)に設けられており、第1スクロール流路21と第2スクロール流路22は、タービンホイール3の周方向において少なくとも一部が重複している。なお、第1スクロール流路21と第2スクロール流路22は、タービンホイール3の周方向において重複しないように構成されていてもよい。
【0016】
エンジンから排出されてタービン1に導入された排ガスは、第1スクロール流路21や第2スクロール流路22を流れて、ノズル流路23を通じてタービンホイール3の外周側からタービンホイール3に導かれる。タービンホイール3に導かれた排ガスは、排気流路28(
図2参照)を通じて、タービン1の外部に排出される。
【0017】
(接続流路形成部)
図1、
図2に示されるように、ハウジング2には、第1スクロール流路21から分岐する第1分岐流路24と、第2スクロール流路22から分岐する第2分岐流路25と、が形成されている。第1分岐流路24は、第1分岐流路24の一端に形成された一端側接続口241が第1スクロール流路21に接続されることで、第1スクロール流路21との間で排ガスを流通可能に連通している。第2分岐流路25は、第2分岐流路25の一端に形成された一端側接続口251が第2スクロール流路22に接続されることで、第2スクロール流路22との間で排ガスを流通可能に連通している。
【0018】
図2に示されるように、ハウジング2は、第1分岐流路24、第2分岐流路25及び合流流路26を含む接続流路27を形成する接続流路形成部270と、タービン1(具体的にはタービンホイール3)を通過した排ガスが流れる排気流路28を形成する排気流路形成部280と、をさらに備える。合流流路26において、第1分岐流路24と第2分岐流路25とが合流している。合流流路26は、タービン1(具体的にはタービンホイール3)を通過した排ガスが流れる排気流路28と排気流路側連通口29を介して連通している。
【0019】
第1分岐流路24は、第1分岐流路24の他端に形成された他端側接続口242が合流流路26に接続されることで、合流流路26、第2分岐流路25及び排気流路28に対して排ガスを流通可能に連通している。第2分岐流路25は、第2分岐流路25の他端に形成された他端側接続口252が合流流路26に接続されることで、合流流路26、第1分岐流路24及び排気流路28に対して排ガスを流通可能に連通している。
【0020】
図3は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジング2のスクロールコネクションバルブ4が全閉の状態を示す概略図であって、ダブルスクロールタービンハウジング2を弁軸LC(弁棒6の弁軸の延在方向)における一方側から視た状態を示す概略図である。スクロールコネクションバルブ(以下、バルブという)4は、
図2、
図3に示されるように、シート部51及びシート部51から合流流路26に向かって突出する突出部53を有する弁体5と、弁体5を弁軸LC回りに回転させるための弁棒6と、を含む。弁軸LCは、弁棒6の軸線からなる。
【0021】
シート部51は、排気流路側連通口29に接離可能なシート面52を含む。図示される実施形態では、シート部51は、弁体5(スクロールコネクションバルブ4)の軸線LBに直交する方向に沿って延在するシート面52を含む円環板形状を有する。
【0022】
突出部53は、合流流路26において第1分岐流路24および第2分岐流路25の夫々を分断可能に構成されている。図示される実施形態では、突出部53は、弁体5の軸線LBの延在方向におけるシート面52から離隔する方向に向かって突出する凸形状を有する。
【0023】
バルブ4は、弁体5の開度を調整可能に構成されている。具体的には、バルブ4は、弁棒6を弁軸LC回りに回転させるための不図示のアクチュエータを含む回転駆動装置をさらに含む。バルブ4は、弁棒6及び弁棒6に連結された弁体5を弁軸LC回りに回転させることで、弁体5の開度を弁軸LCの周方向における角度位置に対応した開度に調整できる。バルブ4は、弁体5の開度を全開、全閉、全開と全閉との間の少なくとも1つの中間開度に調整可能に構成されている。
【0024】
エンジンの極低回転域及び低回転域では、第1スクロール流路21又は第2スクロール流路22の何れか一方によりエンジンから排出された排ガスの全量をノズル流路23に導くことができるため、弁体5の開度が全閉となっている。
図2、
図3に示されるように、弁体5の開度が全閉である場合には、弁体5の突出部53が合流流路26を塞ぎ、突出部53と合流流路26との間の隙間が狭くなるため、SCV流れ、すなわち、第1分岐流路24又は第2分岐流路25の何れか一方から他方に向かう流れが抑制される。また、
図2に示されるように、弁体5の開度が全閉である場合には、弁体5のシート面52が、接続流路形成部270のシート当接面291に当接する。シート当接面291は、排気流路側連通口29に連なり排気流路側連通口29の軸線LDに直交する方向に沿って延在する面であり、排気流路28に面する面である。シート面52とシート当接面291とが当接することで、合流流路26と排気流路28の間が閉塞されるため、排ガスがタービンホイール3を迂回して合流流路26から排気流路28に導入されるバイパス流れ(WG流れ)が抑制される。
【0025】
エンジンの中回転域では、低速回転域よりもエンジンから排出される排ガスの流量が増加し、第1スクロール流路21又は第2スクロール流路22の何れか一方のみではエンジンから排出された排ガスの全量をノズル流路23に導くことが困難となる。このため、弁体5の開度を全閉よりも大きい第1の中間開度にして、上述したSCV流れを生じさせ、第1スクロール流路21又は第2スクロール流路22の一方から他方に余剰分の排ガスを送ることが行われる。
【0026】
エンジンの高回転域では、SCV流れを増やしても、第1スクロール流路21及び第2スクロール流路22ではエンジンから排出された排ガスの全量をノズル流路23に導くことが困難となる。このため、弁体5の開度を第1の中間開度よりも大きい第2の中間開度又は全開にして、上述したバイパス流れを増やして、第1スクロール流路21や第2スクロール流路22から余剰分の排ガスを排気流路28に送ることが行われる。なお、弁体5の開度を第1の中間開度にした際に、少量のバイパス流れが生じていてもよい。
【0027】
図4は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングの概略断面図であって、合流流路における弁軸と平行な方向に直交する流路断面、及び合流流路に挿入された弁体の弁軸と平行な方向に直交する断面を示す概略断面図である。図示される実施形態では、上述した突出部53は、
図4に示されるような、弁軸LCと平行な方向に直交する断面において、弁体5の軸線LBよりも弁軸LC側に位置する弁軸近傍側端面54と、弁軸近傍側端面54や弁体5の軸線LBよりも弁軸LCから離れた側に位置する弁軸遠方側端面55と、弁軸近傍側端面54の先端541と弁軸遠方側端面55の先端551とを接続する底面56と、を含む。弁軸近傍側端面54及び弁軸遠方側端面55の夫々は、弁体5の軸線LBの延在方向に沿って延在している。先端541及び先端551は、シート面52とは離れた側の端である。底面56は、弁体5の軸線LBに交差する方向(図示例では、軸線LBに直交する方向)に沿って延在している。
【0028】
図示される実施形態では、上述した接続流路形成部270は、
図4に示されるような、合流流路26における弁軸LCと平行な方向に直交する断面において、排気流路側連通口29の軸線LDよりも弁軸LC側に位置する弁軸近傍側壁面271と、弁軸近傍側壁面271や軸線LDよりも弁軸LCから離れた側に位置する弁軸遠方側壁面272と、弁軸近傍側壁面271の先端273と弁軸遠方側壁面272の先端274とを接続する底壁面275と、を含む。弁軸近傍側壁面271、弁軸遠方側壁面272及び底壁面275の夫々は、合流流路26の一部を画定する壁面であり、合流流路26に面している。
【0029】
弁軸近傍側壁面271及び弁軸遠方側壁面272の夫々は、排気流路側連通口29の軸線LDの延在方向に沿って延在している。先端273及び先端274は、排気流路側連通口29を形成する端とは反対側の端である。底壁面275は、排気流路側連通口29の軸線LDに交差する方向(図示例では、軸線LDに直交する方向)に沿って延在している。バルブ4の全閉状態のときに、弁軸近傍側端面54が弁軸近傍側壁面271に対向し、弁軸遠方側端面55が弁軸遠方側壁面272に対向し、底面56が底壁面275に対向する。
【0030】
図4に示される実施形態では、弁軸近傍側端面54及び弁軸遠方側端面55の夫々は、軸線LBの延在方向におけるシート面52から離隔する方向に向かうにつれて軸線LBからの距離が小さくなる湾曲形状を有する。弁軸近傍側壁面271及び弁軸遠方側壁面272の夫々は、軸線LDの延在方向における排気流路側連通口29から離隔する方向に向かうにつれて軸線LDからの距離が小さくなる湾曲形状を有する。
【0031】
図5及び
図6の夫々は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジング2の第1分岐流路24や第2分岐流路25と合流流路26との接続位置(他端側接続口242、252)における弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面の概略図である。
図3に示されるように、弁体5のシート面52に直交する方向に沿ってシート面52から離隔する方向を高さ方向HDと定義し、高さ方向HDおよび弁棒6の弁軸LCと平行な方向と夫々直交する方向を幅方向WDと定義する。
図5及び
図6に示されるように、第1分岐流路24および第2分岐流路25の少なくとも一方と合流流路26との接続位置(他端側接続口242、252)における弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面(第1流路断面)7を、流路断面7において高さ方向HDに延びて流路断面7の図心RPを通過する第1基準線RL1および流路断面7において幅方向WDに延びて図心RPを通過する第2基準線RL2により4つの領域71、72、73、74に分割する。第2基準線RL2は、流路断面7の図心RPにおいて第1基準線RL1に直交する。
【0032】
図5及び
図6に示されるように、流路断面7を分割した4つの領域71、72、73、74のうち、図心RPよりも高さ方向HDのシート面52側(
図5、
図6中上側)、且つ図心RPよりも幅方向WDの弁軸LCから離れた側(
図5、
図6中左側)を第1領域71、図心RPよりも高さ方向HDのシート面52側、且つ図心RPよりも幅方向WDの弁軸LC側(
図5、
図6中右側)を第2領域72、図心RPよりも高さ方向HDのシート面52から離れた側(
図5、
図6中下側)、且つ図心RPよりも幅方向WDの弁軸LCから離れた側を第3領域73、図心RPよりも高さ方向HDのシート面52から離れた側、且つ図心RPよりも幅方向WDの弁軸LC側を第4領域74、と定義する。
【0033】
なお、上述した高さ方向HD、幅方向WD、図心RP及び第1領域71~第4領域74の定義は、弁体5の開度が全閉である場合を基準としたものである。これらを定義する際には、シート面52の代わりにシート当接面291を用いてもよいし、軸線LBの代わりに軸線LDを用いてもよい。
【0034】
幾つかの実施形態に係るハウジング(ダブルスクロールタービンハウジング)2は、
図2に示されるように、上述した第1分岐流路24、第2分岐流路25及び合流流路26を含む接続流路27を形成する接続流路形成部270と、上述したシート部51及び突出部53を有する弁体5と弁棒6とを含むスクロールコネクションバルブ4と、を備える。
図5及び
図6に示されるように、第1分岐流路24および第2分岐流路25の少なくとも一方と合流流路26との接続位置(他端側接続口242、252)における弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面7は、第4領域74の流路面積が、第1領域71、第2領域72及び第3領域73の夫々の流路面積に比べて流路面積が小さい。
【0035】
図5に示される実施形態では、流路断面7は、高さ方向HDのシート面52側に向かうにつれて幅方向WDの長さが弁軸LC側に向かって単調増加している。具体的には、第2領域72、第3領域73及び第4領域74の夫々は、高さ方向HDのシート面52側に向かうにつれて幅方向WDの長さが弁軸LC側に向かって増加する拡幅領域72A、73A、74Aを含む。第1領域71及び第3領域73の夫々は、幅方向WDの長さが一定である一定幅領域71B、73Bを含む。一定幅領域73Bは、拡幅領域73Aよりも高さ方向HDのシート面52側に形成される。
【0036】
図5に示される実施形態では、接続流路形成部270は、上述した接続位置(他端側接続口242、252)における弁軸LCと平行な方向に直交する断面において、高さ方向HDのシート面52から離れる側に向かうにつれて幅方向WDにおける弁軸LCから離れた側に向かって傾斜する弁軸近傍側斜辺部75と、弁軸近傍側斜辺部75よりも弁軸LCから離れた側に位置して高さ方向HDに沿って延在する弁軸遠方側辺部76と、弁軸近傍側斜辺部75のシート面52側の端である基端と弁軸遠方側辺部76のシート面52側の端である基端とを繋ぐ底辺部77と、を含む。弁軸近傍側斜辺部75の先端は、弁軸遠方側辺部76の先端に連なる。
【0037】
図6に示される実施形態では、流路断面7は、高さ方向HDのシート面52側に向かうにつれて幅方向WDの長さが弁軸LC側に向かって単調増加した後に一定になっている。具体的には、第3領域73及び第4領域74の夫々は、高さ方向HDのシート面52側に向かうにつれて幅方向WDの長さが弁軸LC側に向かって増加する拡幅領域73A、74Aを含む。第1領域71、第2領域72、第3領域73及び第4領域74の夫々は、幅方向WDの長さが一定である一定幅領域71B、72B、73B、74Bを含む。一定幅領域73Bは、拡幅領域73Aよりも高さ方向HDのシート面52側に形成される。一定幅領域74Bは、拡幅領域74Aよりも高さ方向HDのシート面52側に形成される。第1領域71の一定幅領域71Bが形成された高さ方向HDの少なくとも一部において、第2領域72の一定幅領域72Bが形成されている。第3領域73の一定幅領域73Bが形成された高さ方向HDの少なくとも一部において、第4領域74の一定幅領域74Bが形成されている。
【0038】
図6に示される実施形態では、接続流路形成部270は、上述した接続位置(他端側接続口242、252)における弁軸LCと平行な方向に直交する断面において、高さ方向HDのシート面52から離れる側に向かうにつれて幅方向WDにおける弁軸LCから離れた側に向かって傾斜する弁軸近傍側斜辺部75と、弁軸近傍側斜辺部75よりも弁軸LCから離れた側に位置して高さ方向HDに沿って延在する弁軸遠方側辺部76と、弁軸近傍側斜辺部75のシート面52側の端である基端から高さ方向HDに沿って延在する弁軸近傍側直辺部78と、弁軸近傍側直辺部78のシート面52側の端である基端と弁軸遠方側辺部76のシート面52側の端である基端とを繋ぐ底辺部77と、を含む。弁軸近傍側斜辺部75の先端は、弁軸遠方側辺部76の先端に連なる。
【0039】
図4及び後述する
図9、
図10では、弁体5の開度が全閉状態における突出部53を実線で示し、弁体5の開度が中間開度における突出部53を一点鎖線で示し、弁体5の開度が全開状態における突出部53を二点鎖線で示し、合流流路26の弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面(第2流路断面)8よりも図紙面の手前側又は奥側に位置する流路断面7を点線で示している。なお、流路断面8は、軸線LDを含む断面であってもよい。
【0040】
図4に示される実施形態では、弁軸LCの延在方向における一方側から視たときに、流路断面(第1流路断面)7は、流路断面(第2流路断面)8に比べて、幅方向WDの弁軸LC側及び弁軸LCから離れた側が閉塞している。また、弁軸LCの延在方向における一方側から視たときに、流路断面(第1流路断面)7は、流路断面(第2流路断面)8に比べて、高さ方向HDのシート面52側及びシート面52から離れた側が閉塞している。
図4に示されるように、弁軸近傍側斜辺部75は、全閉状態における弁軸近傍側端面54や弁軸近傍側壁面271よりも幅方向WDにおける弁軸LCから離れた側に設けられる。弁軸遠方側辺部76は、全閉状態のおける弁軸遠方側端面55や弁軸遠方側壁面272よりも幅方向WDにおける弁軸LC側に設けられる。また、弁軸近傍側斜辺部75や弁軸遠方側辺部76は、全閉状態における底面56や底壁面275よりも高さ方向HDにおけるシート面52側に設けられる。
【0041】
図7は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングのスクロールコネクションバルブの開弁時におけるSCV流れの流量特性を説明するための説明図である。
図8は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジングのスクロールコネクションバルブの開弁時におけるバイパス流れの流量特性を説明するための説明図である。
図7及び
図8におけるBaseは、
図3に示されるような、幅方向WDの長さが一定である一定幅領域を有する矩形状の流路断面(第1流路断面)7における流量特性(バルブ4の開度とSCV流れ又はバイパス流れとの関係)を示す曲線である。
図7及び
図8におけるCase1は、
図5や
図6に示されるような流路断面7における流量特性を示す曲線である。Baseは、バルブ4の開弁時(すなわち、弁体5の位置を全閉位置から所定の開位置までに変化させたとき)に、流路断面7における開口流路面積(流路断面7における突出部53により閉塞されていない領域の面積)の増加率が急増し、合流流路26を通過する排ガスの流量(SCV流れ)が急激に拡大している。これに対して、Case1は、Baseに比べて、バルブ4の開弁時に、流路断面7における開口流路面積OA1(流路断面7における突出部53により閉塞されていない領域の面積、
図4参照)の増加率が急増することを抑制できる。これにより、バルブ4の開度に対するSCV流れが理想とする線形特性に近づくため、SCV流れの制御性を向上できる。
【0042】
上記の構成によれば、第4領域74の流路面積を他の領域(第1領域71、第2領域72、第3領域73)の流路面積よりも小さくすることで、バルブ4の開弁時に、流路断面7における開口流路面積OA1の増加率が急増することを抑制でき、合流流路26を通過する排ガスの流量の急激な増大を抑制できる。これにより、バルブ4の開度に対するSCV流れが線形特性に近づくため、SCV流れの制御性を向上できる。よって、上記の構成によれば、バルブ4の開弁時における流量特性を改善できる。
【0043】
幾つかの実施形態では、
図5及び
図6に示されるように、上述した第3領域73及び第4領域74の夫々は、高さ方向HDのシート面52側に向かうにつれて幅方向WDの長さが弁軸LC側に向かって増加する拡幅領域73A、74Aを少なくとも含む。
【0044】
上記の構成によれば、第3領域73及び第4領域74の夫々が拡幅領域73A、74Aを含むことで、バルブ4の開弁時における、流路断面7における開口流路面積OA1の増加率が急増することを抑制でき、バルブ4の開度に対するSCV流れを線形特性に近付けることができる。これにより、バルブ4の開弁時におけるSCV流れの制御性を向上できる。
【0045】
幾つかの実施形態では、
図5に示されるように、上述した第3領域73及び第4領域74の夫々は、拡幅領域73A、74Aを含む。上述した第2領域72は、高さ方向HDのシート面52側に向かうにつれて幅方向WDの長さが弁軸LC側に向かって増加する拡幅領域72Aを含む。
【0046】
上記の構成によれば、第2領域72が拡幅領域72Aを含むことで、バルブ4の開弁時における、流路断面7における開口流路面積OA1の増加率が急増することを抑制でき、バルブ4の開度に対するSCV流れを線形特性に近付けることができる。これにより、バルブ4の開弁時におけるSCV流れの制御性を向上できる。
【0047】
幾つかの実施形態では、
図6に示されるように、上述した第3領域73及び第4領域74の夫々は、拡幅領域73A、74Aを含む。第1領域71、第2領域72の夫々は、幅方向WDの長さが一定である一定幅領域71B、72Bを含む。第1領域71の一定幅領域71Bが形成された高さ方向HDの少なくとも一部において、第2領域72の一定幅領域72Bが形成されている。
【0048】
上記の構成によれば、第1領域71および第2領域72が一定幅領域71B、72Bを含むことで、バルブ4の開弁時における、上記流路断面7における開口流路面積OA1の増加率が急増することを抑制でき、バルブ4の開度に対するSCV流れを線形特性に近付けることができる。これにより、バルブ4の開弁時におけるSCV流れの制御性を向上できる。
【0049】
また、上記の構成によれば、一定幅領域71B及び一定幅領域72Bの両方が形成された高さ方向HDの範囲では、上記流路断面7の流路幅が大きい。これにより、バルブ4の位置が大開度位置におけるSCV流れを大きなものにすることができる。一定幅領域71B及び一定幅領域72Bの両方が形成された高さ方向HDの範囲を変更することで、バルブ4の開度に対するSCV流れの流量の調整が可能である。
【0050】
幾つかの実施形態では、上述した流路断面(第1流路断面)7は、
図4に示されるように、合流流路26の弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面8に比べて、幅方向WDの弁軸LCから離れた側及び高さ方向HDのシート面52から離れた側が閉塞している。
【0051】
上記の構成によれば、上記接続位置242、252における流路断面7が、合流流路26の弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面8に比べて、幅方向WDの弁軸LCから離れた側及び高さ方向HDのシート面52から離れた側が閉塞している。この場合には、バルブ4により第1分岐流路24と第2分岐流路25とを分断することが容易になるため、バルブ4が全閉時におけるシール性を改善できる。
【0052】
図9は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジング2の概略断面図であって、合流流路26における弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面8、及び合流流路26に挿入された弁体5の弁軸LCと平行な方向に直交する断面を示す概略断面図である。幾つかの実施形態では、上述した突出部53は、
図9に示されるように、弁軸LCと平行な方向に直交する断面において、弁軸LC側に位置する上述した弁軸近傍側端面54と、弁軸近傍側端面54よりも弁軸LCから離れた側に位置する上述した弁軸遠方側端面55と、弁軸近傍側端面54の先端541と弁軸遠方側端面55の先端551とを接続する上述した底面56と、を含む。
【0053】
底面56(56A)は、弁軸遠方側端面55の先端551から弁軸LC側に向かうにつれてシート面52からの距離が短くなるように傾斜している。
図9に示されるように、弁軸近傍側端面54の先端541は、弁軸遠方側端面55の先端551よりも高さ方向よりもシート面52側に位置している。底面56Aは、その幅方向WDの弁軸LC側が、その幅方向WDの弁軸LCから離れた側に比べて、底壁面275との間の隙間が大きくなっている。このため、
図9に示される実施形態に係るハウジング2は、
図4に示される実施形態に係るハウジング2に比べて、合流流路26における排ガスの流通性が向上している。
【0054】
図7及び
図8におけるCase2は、
図9に示されるようなハウジング2における流量特性を示す曲線である。Case2は、Case1に比べて、バルブ4の開度に対するSCV流れの流量を増やすことができる。
【0055】
上記の構成によれば、突出部53の底面56Aを弁軸遠方側端面55の先端551から弁軸LC側に向かうにつれてシート面52からの距離が短くなるように傾斜させることで、バルブ4の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の開口流路面積OA1やバイパス流れ方向の開口流路面積OA2(排気流路側連通口29における突出部53により閉塞されていない領域の面積、
図9参照)の増大化を抑制しつつ、バルブ4の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の流量を増大させることができる。底面56Aの傾斜形状を変更することで、バルブ4の開度に対するSCV流れの流量の調整が可能である。
【0056】
図10は、一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジング2の概略断面図であって、合流流路26における弁軸LCと平行な方向に直交する流路断面8、及び合流流路26に挿入された弁体5の弁軸LCと平行な方向に直交する断面を示す概略断面図である。幾つかの実施形態では、上述した突出部53は、
図10に示されるように、弁軸LCと平行な方向に直交する断面において、弁軸LC側に位置する上述した弁軸近傍側端面54と、弁軸近傍側端面54よりも弁軸LCから離れた側に位置する上述した弁軸遠方側端面55と、弁軸近傍側端面54の先端541と弁軸遠方側端面55の先端551とを接続する上述した底面56と、を含む。弁軸近傍側端面54は、突出部53(弁体5)の軸線LBを挟んで対向する弁軸遠方側端面55に比べて傾斜角度(端面に接する接線と上記端面とがなす角度)が大きい傾斜面54Aを有する。弁軸近傍側端面54は、傾斜面54Aと、傾斜面54Aの基端542(シート面52側の端)から高さ方向に沿って延在する面54Bと、を含む。
【0057】
傾斜面54Aは、基端542から高さ方向HDにおけるシート面52から離れる側に向かうにつれて幅方向WDにおける弁軸LCから離れた側に向かって傾斜している。傾斜面54Aの先端541は、基端542よりも幅方向WDにおける弁軸LCから離れた側に位置している。傾斜面54Aを含む弁軸近傍側端面54は、弁軸遠方側端面55に比べて、合流流路26を形成する壁面との間の隙間が大きくなっている。すなわち、傾斜面54Aと弁軸近傍側壁面271との間の隙間は、傾斜面54Aに対して軸線LBを挟んで対向する弁軸遠方側端面55と弁軸遠方側壁面272との間の隙間よりも大きくなっている。このため、
図10に示される実施形態に係るハウジング2は、
図4に示される実施形態に係るハウジング2に比べて、合流流路26における排ガスの流通性が向上している。
【0058】
図7及び
図8におけるCase3は、
図10に示されるようなハウジング2における流量特性を示す曲線である。Case3は、Case1に比べて、バルブ4の開度に対するSCV流れの流量を増やすことができる。
【0059】
上記の構成によれば、突出部53の弁軸近傍側端面54が傾斜面54Aを有することで、バルブ4の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の開口流路面積OA1やバイパス流れ方向の開口流路面積OA2の増大化を抑制しつつ、バルブ4の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の流量を増大させることができる。上記傾斜面54Aの傾斜形状を変更することで、バルブ4の開度に対するSCV流れの流量の調整が可能である。
【0060】
幾つかの実施形態では、上述したスクロールコネクションバルブ4は、
図10に示されるように、弁体5の位置が全閉位置にある場合に、傾斜面54Aのシート面52側の端である基端542が合流流路26の内部に位置するように構成され、且つ弁体5の位置が全開位置にある場合に、傾斜面54Aの基端542が排気流路28の内部に位置するように構成された。
【0061】
図8におけるCase3は、Case1やCase2に比べて、バルブ4の開度に対するバイパス流れの流量を増やすことができる。
【0062】
上記の構成によれば、弁体5の位置が全閉位置から全開位置に変化する際に、傾斜面54Aの基端542が合流流路26の内部から排気流路28の内部に移動する。この場合には、弁体5の位置が全開位置において傾斜面54Aの基端542が合流流路26の内部に位置する構造に比べて、バルブ4の開弁時における、バイパス流れ方向の開口流路面積OA2を増大させることができる。
【0063】
幾つかの実施形態に係るタービン(ダブルスクロールタービン)1は、
図1に示されるように、上述したハウジング(ダブルスクロールタービンハウジング)2と、ハウジング2に回転可能に収容されるタービンホイール3と、を含む。上記の構成によれば、バルブ(スクロールコネクションバルブ4)の開弁時における流量特性を改善することで、タービン1の性能向上が図れる。
【0064】
図11は、一実施形態に係る過給機の構成を概略的に示す概略構成図である。幾つかの実施形態に係る過給機10は、
図11に示されるように、エンジン11から排出された排ガスで駆動される上述したダブルスクロールタービン1と、ダブルスクロールタービン1に同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気をエンジン11に供給するためのコンプレッサ12と、を備える。上記の構成によれば、バルブ(スクロールコネクションバルブ4)の開弁時における流量特性を改善することで、過給機10の性能向上が図れる。
【0065】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0066】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0067】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0068】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係るダブルスクロールタービンハウジング(2)は、
2つのスクロール流路(21、22)が形成されたダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記2つのスクロール流路(21、22)は、第1スクロール流路(21)と、前記第1スクロール流路(21)とタービン(1)の軸方向における同一の領域に形成された第2スクロール流路(22)と、を含み、
前記ダブルスクロールタービンハウジング(2)は、
前記第1スクロール流路(21)から分岐する第1分岐流路(24)、前記第2スクロール流路(22)から分岐する第2分岐流路(25)、及び前記第1分岐流路(24)と前記第2分岐流路(25)とが合流するとともに、前記タービン(1)を通過した排ガスが流れる排気流路(28)と排気流路側連通口(29)を介して連通する合流流路(26)、を含む接続流路(27)を形成する接続流路形成部(270)と、
前記排気流路側連通口(29)に接離可能なシート面(52)を含むシート部(51)であって前記排気流路側連通口(29)を開閉可能なシート部(51)、及び前記シート部(51)から前記合流流路(26)に向かって突出する突出部(53)であって前記合流流路(26)において前記第1分岐流路(24)および前記第2分岐流路(25)の夫々を分断可能な突出部(53)を有する弁体(5)と、前記弁体(5)を弁軸(LC)回りに回転させるための弁棒(6)と、を含むスクロールコネクションバルブ(4)と、を備え、
前記弁体(5)の前記シート面(52)から直交する方向に沿って前記シート面(52)から離隔する方向を高さ方向(HD)と定義し、
前記高さ方向(HD)および前記弁軸(LC)と平行な方向と夫々直交する方向を幅方向(WD)と定義し、
前記第1分岐流路(24)および前記第2分岐流路(25)の少なくとも一方と前記合流流路(26)との接続位置(242、252)における前記弁軸(LC)と平行な方向に直交する流路断面である第1流路断面(7)において、前記高さ方向(HD)に延びて前記第1流路断面(7)の図心(RP)を通過する第1基準線(RL1)および前記幅方向(WD)に延びて前記図心(RP)を通過する第2基準線(RL2)により4つの領域(71、72、73、74)に分割した場合において、
前記4つの領域(71、72、73、74)のうち、前記図心(RP)よりも前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)側、且つ前記幅方向(WD)の前記弁軸(LC)から離れた側を第1領域(71)、前記図心(RP)よりも前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)側、且つ前記幅方向(WD)の前記弁軸(LC)側を第2領域(72)、前記図心(RP)よりも前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)から離れた側、且つ前記幅方向(WD)の前記弁軸(LC)から離れた側を第3領域(73)、前記図心(RP)よりも前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)から離れた側、且つ前記幅方向(WD)の前記弁軸(LC)側を第4領域(74)、と定義した場合において、
前記第4領域(74)は、前記第1領域(71)、前記第2領域(72)及び前記第3領域(73)に比べて流路面積が小さい。
【0069】
上記1)の構成によれば、第4領域(74)の流路面積を他の領域(第1領域71、第2領域72、第3領域73)の流路面積よりも小さくすることで、バルブ(スクロールコネクションバルブ4)の開弁時(すなわち、弁体5の位置を全閉位置から所定の開位置までに変化させたとき)に、上記流路断面(7)における開口流路面積の増加率が急増することを抑制でき、合流流路(26)を通過する排ガスの流量の急激な増大を抑制できる。これにより、バルブ(4)の開度に対するSCV流れが線形特性に近づくため、SCV流れの制御性を向上できる。よって、上記1)の構成によれば、バルブ(4)の開弁時における流量特性を改善できる。
【0070】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記第3領域(73)及び前記第4領域(74)の夫々は、前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)側に向かうにつれて前記幅方向(WD)の長さが前記弁軸(LC)側に向かって増加する拡幅領域(73A、74A)を少なくとも含む。
【0071】
上記2)の構成によれば、第3領域(73)及び第4領域(74)の夫々が拡幅領域(73A、74A)を含むことで、バルブ(4)の開弁時における、上記流路断面(7)における開口流路面積の増加率が急増することを抑制でき、バルブ(4)の開度に対するSCV流れを線形特性に近付けることができる。これにより、バルブ(4)の開弁時におけるSCV流れの制御性を向上できる。
【0072】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記第2領域(72)は、前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)側に向かうにつれて前記幅方向(WD)の長さが前記弁軸(LC)側に向かって増加する拡幅領域(72A)を少なくとも含む。
【0073】
上記3)の構成によれば、第2領域(72)が拡幅領域(72A)を含むことで、バルブ(4)の開弁時における、上記流路断面(7)における開口流路面積の増加率が急増することを抑制でき、バルブ(4)の開度に対するSCV流れを線形特性に近付けることができる。これにより、バルブ(4)の開弁時におけるSCV流れの制御性を向上できる。
【0074】
4)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記第1領域(71)及び前記第2領域(72)の夫々は、前記幅方向(WD)の長さが一定である一定幅領域(71B、72B)を含み、
前記第1領域(71)の前記一定幅領域(71B)が形成された前記高さ方向(HD)の少なくとも一部において、前記第2領域(72)の前記一定幅領域(72B)が形成された。
【0075】
上記4)の構成によれば、第1領域(71)及び第2領域(72)が一定幅領域(71B、72B)を含むことで、バルブ(4)の開弁時における、上記流路断面(7)における開口流路面積の増加率が急増することを抑制でき、バルブ(4)の開度に対するSCV流れを線形特性に近付けることができる。これにより、バルブ(4)の開弁時におけるSCV流れの制御性を向上できる。
【0076】
また、上記4)の構成によれば、第1領域(71)の一定幅領域(71B)及び第2領域(72)の一定幅領域(72B)の両方が形成された高さ方向(HD)の範囲では、上記流路断面(7)の流路幅が大きい。これにより、バルブ(4)の位置が大開度位置におけるSCV流れを大きなものにすることができる。第1領域(71)の一定幅領域(71B)及び第2領域(72)の一定幅領域(72B)の両方が形成された高さ方向(HD)の範囲を変更することで、バルブ(4)の開度に対するSCV流れの流量の調整が可能である。
【0077】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から上記4)までの何れかに記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記第1流路断面(7)は、前記合流流路(26)の前記弁軸(LC)と平行な方向に直交する第2流路断面(8)に比べて、前記幅方向(WD)の前記弁軸(LC)から離れた側及び前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)から離れた側が閉塞している。
【0078】
上記5)の構成によれば、上記接続位置(242、252)における流路断面(7)が、合流流路(26)の弁軸(LC)と平行な方向に直交する流路断面(8)に比べて、幅方向(WD)の弁軸(LC)から離れた側及び前記高さ方向(HD)の前記シート面(52)から離れた側が閉塞している。この場合には、バルブ(4)により第1分岐流路(24)と第2分岐流路(25)とを分断することが容易になるため、バルブ(4)が全閉時におけるシール性を改善できる。
【0079】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記突出部(53)は、前記弁軸(LC)と平行な方向に直交する断面において、
前記弁軸(LC)側に位置する弁軸近傍側端面(54)と、
前記弁軸近傍側端面(54)よりも前記弁軸(LC)から離れた側に位置する弁軸遠方側端面(55)と、
前記弁軸近傍側端面(54)の先端(541)と前記弁軸遠方側端面(55)の先端(551)とを接続する底面(56A)と、を含み、
前記底面(56A)は、前記弁軸遠方側端面(55)の前記先端(551)から前記弁軸(LC)側に向かうにつれて前記シート面(52)からの距離が短くなるように傾斜している。
【0080】
上記6)の構成によれば、突出部(53)の底面(56A)を弁軸遠方側端面(55)の先端(551)から弁軸(LC)側に向かうにつれてシート面(52)からの距離が短くなるように傾斜させることで、バルブ(4)の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の開口流路面積(OA1)バイパス流れ方向の開口流路面積(OA2)の増大化を抑制しつつ、バルブ(4)の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の流量を増大させることができる。底面(56A)の傾斜形状を変更することで、バルブ(4)の開度に対するSCV流れの流量の調整が可能である。
【0081】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記突出部(53)は、前記弁軸(LC)と平行な方向に直交する断面において、
前記弁軸(LC)側に位置する弁軸近傍側端面(54)と、
前記弁軸近傍側端面(54)よりも前記弁軸(LC)から離れた側に位置する弁軸遠方側端面(55)と、
前記弁軸近傍側端面(54)の先端(541)と前記弁軸遠方側端面(55)の先端(551)とを接続する底面(56)と、を含み、
前記弁軸近傍側端面(54)は、前記突出部(53)の軸線(LB)を挟んで対向する前記弁軸遠方側端面(55)に比べて傾斜角度が大きい傾斜面(54A)を有する。
【0082】
上記7)の構成によれば、突出部(53)の弁軸近傍側端面(54)が上記傾斜面(54A)を有することで、バルブ(4)の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の開口流路面積(OA1)バイパス流れ方向の開口流路面積(OA2)の増大化を抑制しつつ、バルブ(4)の開弁時における、SCV流れ方向(連通方向)の流量を増大させることができる。上記傾斜面(54A)の傾斜形状を変更することで、バルブ(4)の開度に対するSCV流れの流量の調整が可能である。
【0083】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)であって、
前記スクロールコネクションバルブ(4)は、
前記弁体(5)の位置が全閉位置にある場合に、前記傾斜面(54A)の前記シート面(52)側の端である基端(542)が前記合流流路(26)の内部に位置するように構成され、且つ
前記弁体(5)の位置が全開位置にある場合に、前記傾斜面(54A)の前記基端(542)が前記排気流路(28)の内部に位置するように構成された。
【0084】
上記8)の構成によれば、弁体(5)の位置が全閉位置から全開位置に変化する際に、傾斜面(54A)の基端(542)が合流流路(26)の内部から排気流路(28)の内部に移動する。この場合には、弁体(5)の位置が全開位置において傾斜面(54A)の基端(542)が合流流路(26)の内部に位置する構造に比べて、バルブ(4)の開弁時における、バイパス流れ方向の開口流路面積(OA2)を増大させることができる。
【0085】
9)本開示の少なくとも一実施形態に係るダブルスクロールタービン(1)は、
上記1)から上記8)までの何れかに記載のダブルスクロールタービンハウジング(2)と、
前記ダブルスクロールタービンハウジング(2)に回転可能に収容されるタービンホイール(3)と、を含む。
【0086】
上記9)の構成によれば、バルブ(スクロールコネクションバルブ4)の開弁時における流量特性を改善することで、ダブルスクロールタービン(1)の性能向上が図れる。
【0087】
10)本開示の少なくとも一実施形態に係る過給機(10)は、
エンジン(11)から排出された排ガスで駆動されるダブルスクロールタービン(1)であって、上記10)に記載のダブルスクロールタービン(1)と、
前記ダブルスクロールタービン(1)に同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気を前記エンジン(11)に供給するためのコンプレッサ(12)と、を備える。
【0088】
上記10)の構成によれば、バルブ(スクロールコネクションバルブ4)の開弁時における流量特性を改善することで、過給機(10)の性能向上が図れる。
【符号の説明】
【0089】
1 ダブルスクロールタービン
2 ダブルスクロールタービンハウジング
3 タービンホイール
4 スクロールコネクションバルブ
5 弁体
6 弁棒
7,8 流路断面
10 過給機
11 エンジン
12 コンプレッサ
21 第1スクロール流路
22 第2スクロール流路
23 ノズル流路
24 第1分岐流路
25 第2分岐流路
26 合流流路
27 接続流路
28 排気流路
29 排気流路側連通口
51 シート部
52 シート面
53 突出部
54 弁軸近傍側端面
55 弁軸遠方側端面
56 底面
71 第1領域
72 第2領域
73 第3領域
74 第4領域
75 弁軸近傍側斜辺部
76 弁軸遠方側辺部
77 底辺部
78 直辺部
210 第1スクロール流路形成部
220 第2スクロール流路形成部
270 接続流路形成部
CR1 第1範囲
CR2 第2範囲
HD 高さ方向
LA,LB,LC 軸線
LC 弁軸
OA1,OA2 開口流路面積
RL1 第1基準線
RL2 第2基準線
RP 図心
WD 幅方向