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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】スイッチ及びスイッチの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20241206BHJP
   H01H 47/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01H9/54 F
H01H47/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024522806
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2022021433
(87)【国際公開番号】W WO2023228330
(87)【国際公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】小松 豊
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068426(JP,A)
【文献】特開平09-209889(JP,A)
【文献】特開2018-178901(JP,A)
【文献】特開2014-090551(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116509(WO,A1)
【文献】特開平10-191639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 - 9/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に設置された操作ハンドル部と、
前記操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、
電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、前記第1リレーに直列に接続された第2リレーと、前記第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗とを有し、外部電源から電力供給を受けて、前記出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを備え、
前記制御部は、前記操作ハンドル部に対して、前記電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作がなされると、前記第2リレーを予め設定された期間開き、前記第2リレーが開いている期間中に前記第1リレーを閉じ、前記操作ハンドル部に対して、前記電源入力線を接続から遮断に切り替える切替操作がなされると、前記第2リレーを予め設定された期間開き、前記第2リレーが開いている期間中に前記第1リレーを開くことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前面に設置された操作ハンドル部と、
前記操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、
電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、前記第1リレーに直列に接続された第2リレーと、前記第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗とを有し、外部電源から電力供給を受けて、前記出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを備え、
前記制御部は、前記操作ハンドル部に対して、前記電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作がなされると、前記第2リレーを予め設定された期間開き、前記第2リレーが開いている期間中に前記第1リレーを閉じ、
前記電源部は、前記第1リレー及び前記第2リレーに直列に接続され、前記電源入力線の接続先を切り替える第3リレーを有し、
前記制御部は、前記操作ハンドル部に対して前記電源入力線の接続先の切替操作がなされると、前記第2リレーを予め設定された期間開き、前記第2リレーが開いている期間中に前記第3リレーの接続先を切り替える制御を行うことを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
前面に設置された操作ハンドル部と、
前記操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、
電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、前記第1リレーに直列に接続された第2リレーと、前記第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗とを有し、外部電源から電力供給を受けて、前記出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを備え、
換気扇の制御用であり、
前記制御部は、前記操作ハンドル部に対して、前記電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作がなされると、前記第2リレーを予め設定された期間開き、前記第2リレーが開いている期間中に前記第1リレーを閉じることを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
交流電力を直流に変換して直流モータを駆動するモータ回路を備え、
前記モータ回路は、脈動電圧を平滑化する平滑コンデンサを有し、前記電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作がなされたときに、前記第2リレーを予め設定された期間開き、前記第2リレーが開いている期間中に前記第1リレーを閉じることにより、前記平滑コンデンサを充電する際に生じる突入電流を抑制することを特徴とする請求項に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記第2リレーを開く期間を変更可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項6】
前面に設置された操作ハンドル部と、前記操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、前記第1リレーに直列に接続された第2リレーと、前記第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗とを有し、外部電源から電力供給を受けて、前記出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを有するスイッチの制御方法であって、
前記操作ハンドル部に対する前記電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作に応じて、前記制御部が、前記第2リレーを開く工程と、
前記制御部が、前記第2リレーが開いている間に前記第1リレーを閉じる工程と、
前記制御部が前記第2リレーを閉じる工程と
前記操作ハンドル部に対する前記電源入力線を接続から遮断に切り替える切替操作に応じて、前記制御部が、前記第2リレーを開く工程と、
前記制御部が、前記第2リレーが開いている間に前記第1リレーを開く工程と、
前記制御部が、前記第2リレーを閉じる工程とを備えることを特徴とするスイッチの制御方法。
【請求項7】
前面に設置された操作ハンドル部と、前記操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、前記第1リレーに直列に接続された第2リレーと、前記第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗と、前記第2リレーに直列に接続され、前記電源入力線の接続先を切り替える第3リレーとを有し、外部電源から電力供給を受けて、前記出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを有するスイッチの制御方法であって、
前記操作ハンドル部に対する前記電源入力線の接続先の切替操作に応じて、前記制御部が、前記第2リレーを開く工程と、
前記制御部が、前記第2リレーが開いている間に前記第3リレーを切り替える工程と、
前記制御部が、前記第2リレーを閉じる工程とを備えることを特徴とするスイッチの制御方法。
【請求項8】
前面に設置された操作ハンドル部と、前記操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、前記第1リレーに直列に接続された第2リレーと、前記第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗とを有し、外部電源から電力供給を受けて、前記出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを有する換気扇用のスイッチを制御するスイッチの制御方法であって、
前記操作ハンドル部に対する前記電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作に応じて、前記制御部が、前記第2リレーを開く工程と、
前記制御部が、前記第2リレーが開いている間に前記第1リレーを閉じる工程と、
前記制御部が前記第2リレーを閉じる工程とを備えることを特徴とするスイッチの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具及び換気扇といった機器の操作に用いられる壁面設置型のスイッチ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具及び換気扇といった機器は、天井面などの高所に設置され、直接触れて操作を行うことが難しいため、壁面に設置されるスイッチを用いて操作されることが多い。
【0003】
特許文献1には、照明器具及び換気扇といった機器を、無線通信を介して遠方から遠隔操作可能なスイッチシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-129468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されるスイッチシステムでは、操作される機器に対する制御信号の送信タイミング間に時間差を設けることで、複数の機器への突入電流が同時に発生することを防止し、住宅全体としての突入電流を低減することは可能である。しかしながら、上記特許文献1に開示されるスイッチシステムは、スイッチ自体への突入電流を低減することはできない。ゆえに、直流モータ搭載機器などのスイッチへの突入電流が大きい機器が接続される場合は、突入電流に耐えうる電子部品を選定しなければならず、コストの増大及び部品サイズアップに繋がるという課題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、スイッチ自体への突入電流を低減できるスイッチを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るスイッチは、前面に設置された操作ハンドル部と、操作ハンドル部に対する操作に基づいて出力指令信号を生成する制御部と、電源入力線の接続と遮断とを切り替える第1リレーと、第1リレーに直列に接続された第2リレーと、第2リレーと並列に接続されたバイパス抵抗とを有し、外部電源から電力供給を受けて、出力指令信号に基づき外部負荷に電力を供給する電源部とを備える。制御部は、操作ハンドル部に対して、電源入力線を遮断から接続に切り替える切替操作がなされると、第2リレーを予め設定された期間開き、第2リレーが開いている期間中に第1リレーの開閉を閉じる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るスイッチは、スイッチ自体への突入電流を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るスイッチを用いた換気システムの構成を示す図
図2】実施の形態1に係るスイッチの斜視図
図3】実施の形態1に係るスイッチの斜視図
図4】実施の形態1に係るスイッチの模式図
図5】実施の形態1に係るスイッチの分解斜視図
図6】実施の形態1に係るスイッチの分解模式図
図7】実施の形態1に係るスイッチの機能ブロック図
図8】実施の形態1に係るスイッチの電源部の概略構成を示す図
図9】実施の形態1に係るスイッチから負荷駆動電力が供給されるモータ回路の構成を示す図
図10】実施の形態1に係るスイッチの電源部の模式図
図11】実施の形態1に係るスイッチの信号波形を示す図
図12】実施の形態1に係るスイッチから負荷駆動電力が供給されるモータ回路の構成を示す図
図13】実施の形態2に係るスイッチの信号波形を示す図
図14】実施の形態1及び実施の形態2に係るスイッチの制御部のハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態に係るスイッチ及びスイッチの制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るスイッチを用いた換気システムの構成を示す図である。換気システム200は、複数の換気扇42の各々に対して壁面設置型のスイッチ100が接続される。換気システム200は、スイッチ100に対する操作により換気扇42の運転状態が指示される。スイッチ100の各々は、無線通信でルータ61に接続される。ルータ61は、ネットワーク63に接続されている。スイッチ100は、ネットワーク63を介してサーバ62及びユーザ端末64に接続される。なお、複数の換気扇42を用いて換気システム200を構成せずに、一組の換気扇42及びスイッチ100による換気装置で運用してもよい。
【0012】
図2及び図3は、実施の形態1に係るスイッチの斜視図である。図2は、スイッチ100のうち室内の露出する前面側から見た状態を示している。図3は、スイッチ100のうち壁110の内部に埋め込まれる後面側から見た状態を示している。図4は、実施の形態1に係るスイッチの模式図である。図5は、実施の形態1に係るスイッチの分解斜視図である。図6は、実施の形態1に係るスイッチの分解模式図である。図7は、実施の形態1に係るスイッチの機能ブロック図である。スイッチ100は、壁110の内部に収められる器体20と、器体20を壁110内で覆う配線ボックス10と、壁110から露出する意匠部30と、壁110への取付用の取付枠3とを備える。なお、図2及び図3では、配線ボックス10の図示を省略している。また、図2及び図3では、取付枠3の図示を省略している。
【0013】
取付枠3は、取付穴3aを通した不図示の木ネジを用いて壁110に固定される。取付枠3が壁110に固定されることで、スイッチ100全体が壁110に固定される。
【0014】
意匠部30は、操作スイッチ4を覆うように配置される樹脂製の操作ハンドル部1と、操作ハンドル部1の周囲を囲うカバー2とを備える。操作ハンドル部1は、使用者が換気扇42のオンオフの切替及び運転強度の強弱を切り替えるための部品であり、スイッチ100の前面に設置されている。カバー2は、取付枠3に対して爪などによる嵌合で取り付けられる。
【0015】
図4に示すように、操作ハンドル部1は、第1操作ハンドル51、第2操作ハンドル52及び表示部53を備える。第1操作ハンドル51は、ユーザ操作により換気扇42のオンオフを切り替えるための部品である。第2操作ハンドル52は、ユーザ操作により換気扇42の運転強度の強弱を切り替えるための部品である。表示部53は、換気扇42のオンオフの状態、運転強度の状態及び無線通信の状態を表示する。
【0016】
器体20は、制御部5、通信部6、保護カバー7及び電源部8を備える。また、器体20は、制御部5、通信部6、保護カバー7及び電源部8を収納する四角筒状の器体カバー9と、器体カバー9の前面を覆う操作スイッチ4とを備える。操作スイッチ4には、操作ハンドル部1が爪などによる嵌合で取り付けられる。なお、器体カバー9は、筒状であればよく、四角筒状に限定されない。
【0017】
操作スイッチ4には、スイッチ伝動部4aが設けられている。スイッチ伝動部4aは変形可能であり、第1操作ハンドル51又は第2操作ハンドル52が押下されると制御部5側へ変形する。スイッチ伝動部4aが制御部5側へ変形すると、制御部5に設けられた不図示のボタンが押下される。
【0018】
制御部5は、電源部8に対して、出力状態を指示する出力指令信号を出力する。出力状態は、強運転、弱運転及び停止の三つの状態である。制御部5は、操作ハンドル部1に対する換気扇42の運転状態の切り替えを要求する操作に基づいて出力指令信号を生成する。
【0019】
制御部5は、通信部6に対して通信配線60を介して通信用信号を出力する。通信用信号は、状態変化信号として出力される。すなわち、運転状態がオンからオフに切り替わったことを示す第1状態変化信号、運転状態がオフからオンに切り替わったことを示す第2状態変化信号、運転強度が強から弱に切り替わったことを示す第3状態変化信号、運転強度が弱から強に切り替わったことを示す第4状態変化信号を定めておき、操作ハンドル部1に対する操作により状態が切り替わったときに、それぞれに対応する状態変化信号を出力する。
【0020】
通信部6は、器体カバー9のうち、保護カバー7が配置された部分よりも前方の部分に収納されている。通信部6は、制御部5から通信配線60を介して出力された状態変化信号を受けて、無線信号65をルータ61に対して出力する。
【0021】
通信部6は、状態変化信号を制御部5から受信し、状態変化信号が示す運転状態及び運転強度を無線信号にてユーザ端末64へ送信する。また、操作ハンドル部1以外での切替操作、例えばユーザ端末64による遠隔操作の信号を受信し、電源部8へ信号を送信する。通信部6が遠隔操作の信号を電源部8に送信することで、電源部8内のリレーを開閉させることができる。
【0022】
電源部8は、電子回路の開閉を行う電子部品の他に、外部電源86を換気扇42などの負荷が接続される端子台21を持つ。電源部8は、端子台21を通じて電源が供給されるとともに、負荷側へ電源を供給する。
【0023】
端子台21は、外部電源86から交流100Vの電力供給を受ける電源入力線81が接続される電源入力端子82と、モータ回路41に直流電力を供給する出力配線40が接続される出力端子83とを備えている。電源部8は、外部電源86から供給される100Vの交流から12Vの直流を生成し、制御配線50を通じて制御部5に供給する。通信部6には、制御部5から通信配線60を通じて12Vの直流が供給される。したがって、制御部5及び通信部6には、外部電源86から電源部8に供給される電圧よりも低い電圧が印加される。また、電源部8は、制御部5からの出力指令信号に基づいて、モータ回路41に負荷駆動電力を供給する。
【0024】
保護カバー7は、電源部8よりも前方に配置されて器体カバー9の内壁と当接し、器体カバー9内の電源部8が配置された空間を操作ハンドル部1から隔離する。例えば、保護カバー7は、電源部8と通信部6との間に配置される。実施の形態1では、電源部8は50V以上の高い電圧が印加される高電圧部であり、制御部5及び通信部6は50V未満の低い電圧が印加される低電圧部である。保護カバー7は、高電圧部である電源部8での発熱が低電圧部である制御部5及び通信部6と、操作部である操作ハンドル部1とへ影響することを抑制する。
【0025】
配線ボックス10は、器体20を覆うように配置される。スイッチ100は、端子台21に接続される配線が配線ボックス10に収納された状態で、取付穴3aを通したネジによって壁110に固定される。
【0026】
図8は、実施の形態1に係るスイッチの電源部の概略構成を示す図である。なお、電源部8の詳細な構造については後述する。制御部5は、不図示のリード線及びコネクタを用いて通信部6及び電源部8と電気的に接続されている。制御部5の第1操作ハンドル51が押下されることで電源部8内の第1リレー90が閉じられ、換気扇42に電流が流れる。すなわち、第1操作ハンドル51は、電源入力線81を遮断から接続に切り替える切替操作と、電源入力線81を切断から遮断へ切り替える切替操作を受け付ける。第1リレー90が閉じられた直後の電流は突入電流と呼ばれ、瞬間的に大きな電流が流れる。特に直流モータ搭載機器では回路の仕様上、交流モータ搭載機器と比較して大きな電流が流れる。この突入電流を低減するために、電源部8は、第2リレー91及びバイパス抵抗92を備える。第1リレー90が閉じられた直後は第2リレー91が開かれているため、バイパス抵抗92に電流が流れる。一定時間経過すると第2リレー91が閉じられることで電子部品に流れる突入電流を低減させることができる。
【0027】
第2リレー91を閉じる時刻は、制御部5にて任意に設定可能である。すなわち、第2リレー91を開いている期間は、制御部5にて設定可能である。したがって、突入電流の流れる時間を変更したい場合は、制御部5にて第2リレー91を閉じる時刻の設定を変更することで容易に対応可能である。
【0028】
スイッチ100に突入電流が大きい機器を接続したい場合においても、バイパス抵抗92のみ変更すればよく、第1リレー90及び第2リレー91は変更する必要がないため、容易に対応可能である。
【0029】
図9は、実施の形態1に係るスイッチから負荷駆動電力が供給されるモータ回路の構成を示す図である。図9は、交流誘導機モータを使用する場合のモータ回路41の例を示している。図9に示すように、モータ回路41は、交流電源に補助巻線111と主巻線112とを並列に接続し、補助巻線111にコンデンサ113を直列接続して構成されたコンデンサ誘導電動機を備えている。補助巻線111と主巻線112とは、コンデンサ113により、位相が90°ずれている。主巻線112には変速巻線114が直列に重ね巻きされる。交流電源の接続位置を、片方を共通位置116に接続し、もう片方を主巻線112のみを含む位置117と、主巻線112と変速巻線114とを含む位置118とで切換えることで、コンデンサ誘導電動機における速度調整を行う。
【0030】
出力配線40は、換気扇42の補助巻線111のみを含む位置117に接続される強運転用出力配線40aと、換気扇42の補助巻線111及び変速巻線114を含む位置118に接続される弱運転用出力配線40bと、共通位置116に接続される共通配線40cとを含んでいる。強運転指令時には、電源部8は、強運転用出力配線40aと共通配線40cとの間に交流100V電力を印加し、主巻線112及び補助巻線111に電流を流すことで強運転を実施する。弱運転指令時には、電源部8は、弱運転用出力配線40bと共通配線40cとの間に交流100V電力を印加し、主巻線112、補助巻線111及び変速巻線114に電流を流すことで弱運転を実施する。
【0031】
次に、電源部8の詳細な構造について説明する。図10は、実施の形態1に係るスイッチの電源部の模式図である。電源部8は、電源入力線81と、出力配線40と、入力部84と、直流低電圧電源出力配線85と、主リレーである第1リレー90と、第1リレー90に直列に接続されたバイパスリレーである第2リレー91と、第2リレー91に並列に接続されたバイパス抵抗92と、第1リレー90及び第2リレー91に直列に接続された強弱リレーである第3リレー94とを有する。
【0032】
入力部84は、外部電源86から交流電力の供給を受けて、一部を直流低電圧電力に変換し、直流低電圧電源出力配線85を介して制御部5に供給し、一部を負荷電力として出力配線40からモータ回路41に出力する。
【0033】
第1リレー90には、開閉を制御する第1信号線121が制御部5から接続される。第1信号線121がオンのとき、第1リレー90は閉状態、すなわち導通状態となる。第1信号線121がオフのとき、第1リレー90は開状態、すなわち遮断状態となる。第2リレー91には、開閉を制御する第2信号線122が制御部5から接続される。第2信号線122がオンのとき、第2リレー91は閉状態、すなわち導通状態となる。第2信号線122がオフのとき、第2リレー91は開状態、すなわち遮断状態となる。第3リレー94には、開閉を制御する第3信号線123が制御部5から接続される。第3信号線123がオンのとき、第3リレー94は閉状態、すなわち導通状態となる。第3信号線123がオフのとき、第3リレー94は開状態、すなわち遮断状態となる。
【0034】
第1リレー90及び第2リレー91の動作について説明する。図11は、実施の形態1に係るスイッチの信号波形を示す図である。図11において、第1操作ハンドル51に対する換気扇42のオンオフ切替操作による指令状態を「オンオフ信号」に示す。オンオフ信号は、換気扇42のオンを指示するときはハイレベルであり、換気扇42のオフを指示するときはローレベルである。時刻T1で換気扇42のオンが指示され、時刻T4で換気扇42のオフが指示される。
【0035】
「オンオフ信号」が制御部5に入力され、第1リレー90及び第2リレー91への指令信号が出力される。時刻T1において換気扇42のオンが指示されるとき、第2リレー91は閉状態、すなわち導通状態である。「オンオフ信号」が時刻T1で換気扇42のオンを指示するように変化すると、第2リレー信号は時刻T1から時刻T3までオフされ、時刻T3以降はオンに戻る。
【0036】
第1リレー90は、時刻T1と時刻T3との間の時刻T2において閉じられる。すなわち、第1リレー90は、第2リレー91が開かれた状態で閉じられる。
【0037】
第1リレー90が閉じられた瞬間は、第2リレー91は開かれているため、電流はバイパス抵抗92のみを流れる。第1リレー90が閉じられた瞬間には突入電流が流れるが、バイパス抵抗92により電圧が降下するため、モータ回路41に印加される電圧も降下し、突入電流によるモータ回路41への影響を低減させることができる。
【0038】
突入電流収束後の時刻T3に、第2リレー91を閉じることで、時刻T3以降はバイパス抵抗92による電力消費を回避することができる。
【0039】
時刻T2から時刻T3の間はバイパス抵抗92を経由して電流を流すが、この際には電流を1/10程度に抑制する。従って、時刻T2から時刻T3の時間は、交流周期の10倍程度の時間とすれば良い。すなわち、バイパス時間は十msecオーダーから百msecオーダーとすれば良い。
【0040】
スイッチオフ時も同様である。「オンオフ信号」が時刻T4で換気扇42のオフを指示するように変化すると、第2リレー信号は時刻T4から時刻T6までオフされ、時刻T6以降はオンに戻る。
【0041】
第1リレー90は、時刻T4と時刻T6との間の時刻T5において開かれる。すなわち、第1リレー90は、第2リレー91が開かれた状態で開かれる。
【0042】
第1リレー90が開かれた瞬間は、第2リレー91が開かれているため、電流はバイパス抵抗92のみを流れる。第1リレー90が開かれた瞬間は、スイッチングノイズが発生するが、バイパス抵抗92により電圧が降下するため、電子回路への影響を低減させることができる。
【0043】
図12は、実施の形態1に係るスイッチから負荷駆動電力が供給されるモータ回路の構成を示す図である。図12は、直流モータを使用する場合のモータ回路41の構成を示している。直流モータのモータ回路41は、検出部250と、整流部210と、平滑部220と、スイッチング部230と、モータ巻線部240と、を備える。
【0044】
検出部250は、スイッチ100からの入力が強端子から入力されたか、弱端子から入力されたかを検出し、スイッチング制御部231に出力する。
【0045】
整流部210は、ダイオードブリッジ回路211により、入力電圧の負電圧分を正電圧に変換して全波整流し、交流電力を脈動する直流に変換する。
【0046】
平滑部220は、平滑コンデンサ221により脈動電圧を平滑化する。
【0047】
スイッチング部230は、スイッチング素子を順に切り替えることにより、固定子のモータ巻線部240への供給を順に切り替え、モータに対して回転磁界を与える。切り替え制御方法としては、スイッチング制御部231にて、例えば回転子を磁石回転子とし、固定子側にホール素子を設けて回転子の回転角度を検出し、回転角度に応じてスイッチング素子を順に切り替える方法がある。また、スイッチング制御部231は、強弱のどちらが選択されているかの信号を検出部250から受信して、強弱運転を制御する。
【0048】
モータ巻線部240は、固定子に巻かれており、順に電流を切り替えることにより、回転磁界を形成する。
【0049】
電源オフ時には平滑コンデンサ221の電荷は放出されているため、電源投入時にはまず平滑コンデンサ221を充電する必要があり、突入電流の原因となる。すなわち、平滑コンデンサ221を使用する直流モータでは、突入電流は大きくなる。
【0050】
実施の形態1に係るスイッチ100では、入力部84から制御部5に直流低電圧電力が供給されるが、大きな突入電流が流れると、制御部5側への電源にも変動ノイズが発生する。特に、通信部6は、ノイズの影響を受けやすいが、実施の形態1に係るスイッチ100により、突入電流を抑制できるため、通信部6へのノイズによる誤動作を抑制することができる。
【0051】
また、壁面設置型のスイッチの場合、全体のサイズは決められているが、通信機能を使用するために通信部を設けると、スイッチ全体のサイズを維持するために、リレー部の大型化を抑制することが求められる。従来のスイッチでは、10A未満の定格電流に対しても、突入電流は10倍程度の電流が流れる。これに対し、実施の形態1に係るスイッチ100では、突入時にはバイパス抵抗92を経由するため、電気抵抗が10Ωから100Ω程度のバイパス抵抗92を用いることにより、突入電流を定格電流と同等に抑制することができる。このため、実施の形態1に係るスイッチ100は、リレー部などの部品サイズをアップさせることなく、オンオフ切替操作時に発生する突入電流を低減できる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態2に係るスイッチ100の構成は、実施の形態1に係るスイッチ100と同様である。図13は、実施の形態2に係るスイッチの信号波形を示す図である。第2操作ハンドル52は、電源入力線81の接続先切替操作を受け付ける。第2操作ハンドル52に対する操作により電源入力線81の接続先が切り替えられることにより、換気扇42の運転強度の強弱が変更される。図13において、第2操作ハンドル52の操作による指令状態を「強弱信号」に示す。強弱信号は、換気扇42に強運転を指示するときはハイレベルであり、換気扇42に弱運転を指示するときはローレベルである。時刻T11で換気扇42の運転強度を強にする信号が出力され、時刻T14で換気扇42の運転硬度を弱にする信号が出力される。
【0053】
第2操作ハンドル52が操作されることにより、「強弱信号」が制御部5に入力され、第2リレー91及び第3リレー94への指令信号が出力される。弱信号が出力される状態では、第2リレー91は閉状態、すなわち導通状態である。強指令により「強弱信号」が時刻T11で強になると、第2リレー信号は時刻T11から時刻T13までオフされ、時刻T13以降はオンに戻る。
【0054】
第3リレー94は、時刻T11と時刻T13との間の時刻T12で閉じられる。すなわち、第3リレー94は、第2リレー91が開かれた状態で切り替えられる。
【0055】
第3リレー94が閉じられた瞬間は、第2リレー91が開かれているため、電流はバイパス抵抗92のみを流れる。第3リレー94が閉じられて強弱出力配線が切り替わった瞬間には突入電流が流れるが、バイパス抵抗92により電圧が降下するため、モータ回路41に印加される電圧も降下し、突入電流によるモータ回路41への影響を低減させることができる。
【0056】
突入電流収束後の時刻T13で、第3リレー94を閉じることで、時刻T13以降はバイパス抵抗92による電力消費を回避することができる。
【0057】
弱指令時も同様である。「強弱信号」が時刻T14で弱になると、第2リレー信号は時刻T14から時刻T16までオフされ、時刻T16以降はオンに戻る。
【0058】
第3リレー94は、時刻T14と時刻T16との間の時刻T15のタイミングで開かれる。すなわち、第3リレー94は、第2リレー91が開かれた状態で切り替えられる。
【0059】
第3リレー94が開かれた瞬間は、第2リレー91が開かれているため、電流はバイパス抵抗92のみを流れる。第3リレー94が開かれた瞬間にも、閉じられた瞬間と同様に突入電流が流れるが、バイパス抵抗92により電圧が降下するため、モータ回路41に印加される電圧も降下し、突入電流によるモータ回路41への影響を低減させることができる。
【0060】
実施の形態2に係るスイッチ100では、突入時にはバイパス抵抗92を経由するため、電気抵抗が10Ωから100Ω程度のバイパス抵抗92を用いることにより、突入電流を定格電流と同等に抑制することができる。このため、実施の形態2に係るスイッチ100は、リレー部などの部品サイズをアップさせることなく、電源入力線81の接続先切替操作時に発生する突入電流を低減できる。
【0061】
次に、上記の実施の形態1及び実施の形態2に係るスイッチ100が備える制御部5のハードウェア構成について説明する。図14は、実施の形態1及び実施の形態2に係るスイッチの制御部のハードウェア構成例を示す図である。図14には、プログラムを実行するハードウェアを用いることによって制御部5の機能が実現される場合におけるハードウェア構成を示している。
【0062】
制御部5は、各種処理を実行するプロセッサ71と、メインメモリであるメモリ72と、情報を記憶する記憶装置73とを有する。プロセッサ71には、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)といった演算手段であってもよい。また、メモリ72には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリを用いることができる。記憶装置73には、換気風量決定処理を実行するためのプログラムが格納されている。プロセッサ71は、記憶装置73に格納されているプログラムをメモリ72に読み出して実行する。プロセッサ71が記憶装置73に格納されているプログラムをメモリ72に読み出して実行することにより、制御部5の機能が実現される。
【0063】
以上の実施の形態に示した構成は、内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 操作ハンドル部、2 カバー、3 取付枠、3a 取付穴、4 操作スイッチ、4a スイッチ伝動部、5 制御部、6 通信部、7 保護カバー、8 電源部、9 器体カバー、10 配線ボックス、20 器体、21 端子台、30 意匠部、40 出力配線、40a 強運転用出力配線、40b 弱運転用出力配線、40c 共通配線、41 モータ回路、42 換気扇、50 制御配線、51 第1操作ハンドル、52 第2操作ハンドル、53 表示部、60 通信配線、61 ルータ、62 サーバ、63 ネットワーク、64 ユーザ端末、65 無線信号、71 プロセッサ、72 メモリ、73 記憶装置、81 電源入力線、82 電源入力端子、83 出力端子、84 入力部、85 直流低電圧電源出力配線、86 外部電源、90 第1リレー、91 第2リレー、92 バイパス抵抗、94 第3リレー、100 スイッチ、110 壁、111 補助巻線、112 主巻線、113 コンデンサ、114 変速巻線、116 共通位置、117,118 位置、121 第1信号線、122 第2信号線、123 第3信号線、200 換気システム、210 整流部、211 ダイオードブリッジ回路、220 平滑部、221 平滑コンデンサ、230 スイッチング部、231 スイッチング制御部、240 モータ巻線部、250 検出部。
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