(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】配光制御装置及び配光制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/08 20060101AFI20241206BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B60Q1/08
B60Q1/24 A
(21)【出願番号】P 2024547230
(86)(22)【出願日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2024015530
【審査請求日】2024-08-08
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2023/026776
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中本 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】下谷 光生
(72)【発明者】
【氏名】井上 悟
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-205950(JP,A)
【文献】特開2009-040227(JP,A)
【文献】特開2020-017530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/08
B60Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の灯火装置の配光を制御する配光制御装置であって、
前記車両の周辺情報、前記車両の情報、及び、前記車両の運転者の視線方向に関する視線情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得する情報取得部と、
前記少なくともいずれかの情報に基づいて前記灯火装置に強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードを有する制御部と
を備え、
前記制御部は、
実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに前記実行中の照射モードから遷移するとともに、前記異なる照射モードにおいて前記強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードが同時にあるときは前記実行中の照射モードと前記遷移条件とに基づいて、前記強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する、配光制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配光制御装置であって、
前記情報取得部は、
前記周辺情報を取得する周辺情報取得部と、
前記視線情報を取得する視線情報取得部と
を含み、
前記制御部は、
前記周辺情報取得部で取得された前記周辺情報に基づいて前記車両周辺の要注意領域を特定する要注意領域特定部と、
前記強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードとして、前記要注意領域を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる要注意領域照射モードと、前記運転者の前記視線方向を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる視線連動照射モードとを有する配光制御部と
を含む、配光制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配光制御装置であって、
前記協調照射は、
前記視線連動照射モードの前記顕著性が、前記要注意領域照射モードの前記顕著性よりも高い視線連動照射優先モードを含み、
前記配光制御部は、
前記要注意領域照射モードが実行されており、前記運転者の前記視線方向が前記要注意領域に向いた場合に、前記視線連動照射優先モードを実行する、配光制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の配光制御装置であって、
前記協調照射は、
前記要注意領域照射モードの前記顕著性が、前記視線連動照射モードの前記顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードをさらに含み、
前記配光制御部は、
前記視線連動照射優先モードが実行されており、前記要注意領域の対象の要注意度が増加した場合に、前記要注意領域照射優先モードを実行する、配光制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の配光制御装置であって、
前記配光制御部は、
前記要注意領域照射優先モードが実行されており、前記要注意領域の対象が人である場合に、前記人と、前記車両の進行方向の路面との間に、前記路面への前記人の進入を阻止するための表示オブジェクトを前記灯火装置に照射させる、配光制御装置。
【請求項6】
請求項3に記載の配光制御装置であって、
前記協調照射は、
前記要注意領域照射モードの前記顕著性が、前記視線連動照射モードの前記顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードをさらに含み、
前記配光制御部は、
前記視線連動照射優先モードが実行されており、新たな前記要注意領域が特定された場合に、前記要注意領域照射優先モードを実行する、配光制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の配光制御装置であって、
前記協調照射は、
前記要注意領域照射モードの前記顕著性が、前記視線連動照射モードの前記顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードを含み、
前記配光制御部は、
前記視線連動照射モードが実行されており、新たな前記要注意領域が特定された場合に、前記要注意領域照射優先モードを実行する、配光制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の配光制御装置であって、
前記配光制御部は、
前記視線連動照射モードから前記要注意領域照射優先モードへの遷移を行う際に、前記視線方向への照射領域と新たな前記要注意領域との間の距離が、予め定められた閾値以上である場合に、前記運転者の視線を前記照射領域から新たな前記要注意領域へ誘導するための表示オブジェクトを前記灯火装置に照射させる、配光制御装置。
【請求項9】
請求項2に記載の配光制御装置であって、
前記協調照射は、
前記視線連動照射モードの前記顕著性が、前記要注意領域照射モードの前記顕著性よりも高い視線連動照射優先モードと、前記要注意領域照射モードの前記顕著性が、前記視線連動照射モードの前記顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードとを含み、
前記配光制御部は、
前記視線連動照射優先モードを実行している間に、時間の経過とともに前記要注意領域照射モードの前記顕著性を低くし、前記要注意領域照射優先モードを実行している間に、時間の経過とともに前記視線連動照射モードの前記顕著性を低くする、配光制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の配光制御装置であって、
前記照射態様の前記顕著性の差異は、前記灯火装置から照射される色の顕著性の差異を含む、配光制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の配光制御装置であって、
前記照射態様の前記顕著性の差異は、前記灯火装置から照射されるアニメーションの顕著性の差異を含む、配光制御装置。
【請求項12】
請求項2に記載の配光制御装置であって、
前記協調照射は、
前記視線連動照射モードの前記顕著性が、前記要注意領域照射モードの前記顕著性よりも高い視線連動照射優先モードを含み、
前記配光制御部は、
前記視線連動照射優先モードのうちの前記視線連動照射モードとして、前記運転者の前記視線方向に基づいて前記灯火装置に尾引照射させる、配光制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載の配光制御装置であって、
前記制御部は、
前記強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードとして
、要注意領域を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる要注意領域照射モードと、前記運転者の前記視線方向を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる視線連動照射モードと、経路案内を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる経路案内照射モードと、進行道路を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる進行道路照射モードと、案内標識を強調照射させる対象の種別として前記灯火装置に強調照射させる案内標識照射モードのうち少なくとも2つの強調照射モードを有する配光制御部と
を含む、配光制御装置。
【請求項14】
請求項1に記載の配光制御装置であって、
前記強調照射させる対象の種別として前記運転者が注意すべき対象の種別と、前記運転者が見たい対象の種別とを含む、配光制御装置。
【請求項15】
車両の灯火装置の配光を制御する配光制御方法であって、
前記車両の周辺情報、前記車両の情報、及び、前記車両の運転者の視線方向に関する視線情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得し、
前記少なくともいずれかの情報に基づいて前記灯火装置に強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードを準備し、
実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに前記実行中の照射モードから遷移するとともに、前記異なる照射モードにおいて前記強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードが同時にあるときは前記実行中の照射モードと前記遷移条件とに基づいて、前記強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する、配光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配光制御装置及び配光制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両周辺が暗い場合に、車両の灯火装置に強調照射させる配光制御装置について、様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、車両の走行に影響する障害物を灯火装置に強調照射させる技術が提案されている。例えば特許文献2には、車両の運転者の視線方向へ灯火装置に強調照射させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-38878号公報
【文献】特開2020-111328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異なる強調照射を、同じ顕著性で同時に実行すると、どの強調照射に注目すればよいかが運転者にとって分かり難く、運転者にとって適切な強調照射を行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、運転者にとって適切な強調照射を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配光制御装置は、車両の灯火装置の配光を制御する配光制御装置であって、車両の周辺情報、車両の情報、及び、車両の運転者の視線方向に関する視線情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得する情報取得部と、少なくともいずれかの情報に基づいて灯火装置に強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードを有する制御部とを備え、制御部は、実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに実行中の照射モードから遷移するとともに、異なる照射モードにおいて強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードが同時にあるときは実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、強調照射させる対象の種別が異なる複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。このような構成によれば、運転者にとって適切な照射を行うことができる。
【0008】
本開示の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る配光制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る配光制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図6】実施の形態1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図7】実施の形態1の変形例1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図8】実施の形態1の変形例3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図9】照射モードの遷移をまとめた照射モード遷移図である。
【
図10】実施の形態2に係る配光制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態2に係る配光制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態2に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図13】実施の形態2に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図14】照射モードの遷移をまとめた照射モード遷移図である。
【
図15】実施の形態2の変形例2に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図16】実施の形態2の変形例2に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図17】実施の形態2の変形例3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図18】実施の形態2の変形例3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図19】照射モードの遷移をまとめた照射モード遷移図である。
【
図20】実施の形態2の変形例5に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図21】実施の形態2の変形例5に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図22】実施の形態3に係る配光制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図23】実施の形態3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図24】実施の形態3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図25】実施の形態3の変形例1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図26】実施の形態3の変形例1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図27】実施の形態3の変形例1に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図28】実施の形態3の変形例3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図29】実施の形態3の変形例3に係る配光制御装置の動作を説明する図である。
【
図30】その他の変形例に係る配光制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図31】その他の変形例に係る配光制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る配光制御装置1の構成を示すブロック図である。配光制御装置1は、車両システムに備えられており、当該車両システムは、配光制御装置1以外に周辺検出装置21と、視線検出装置22と、灯火装置23とを備える。まず、配光制御装置1について説明する前に、周辺検出装置21、視線検出装置22及び灯火装置23について説明する。
【0011】
周辺検出装置21は、車両の周辺情報を検出する。車両の周辺情報には、車両周辺の物体に関わる情報や車両周辺の状況に関わる情報などが例示される。車両周辺の物体に関わる情報は、例えば車両周辺の物体の位置、種別、及び、移動方向の等の物体に関わる何らかの情報を含む。物体は、例えば、障害物と、道路及び道路標識などの地物と、歩行者と、二輪車(例えば自転車、自動二輪車など)と、四輪車などを含む。周辺検出装置21は、例えば、ミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、超音波センサに代表される物体検出センサ、もしくは、カメラ等に代表される車両外部に向けられた画像認識装置あるいは双方により構成される。
【0012】
視線検出装置22は、例えば車両の運転者の顔画像を撮影し、当該顔画像から運転者の視線方向を検出し、当該視線方向を示す視線情報を生成する。なお、視線検出装置22は、顔画像から運転者の顔の向きを視線方向として検出してもよい。もしくは、視線検出装置22は、画像ではなく運転者の眼球の向きに基づいて視線方向を検出してもよい。視線検出装置22は、例えば車両内部に向けた画像認識装置を含む。
【0013】
灯火装置23は、車両に設けられたヘッドライト23aとサブライト23bとを含む。ヘッドライト23aは、車両前方を照射する主たる灯火装置であり、走行灯であるハイビームと、すれ違い灯であるロービームとに切り替え可能に構成されている。サブライト23bは、任意の方向に様々な照射領域の形状で強調照射することによって、運転者の運転を支援可能な照射、つまりスポット照射が可能に構成されている。
【0014】
以下の説明では、サブライト23bの配光は、配光制御装置1によって制御されるものとして説明するが、これに限ったものではない。例えば、ヘッドライト23aがスポット照射の機能を有する場合には、当該機能の配光が配光制御装置1によって制御されてもよい。また、スポット照射が可能であれば、灯火装置23の構成は上記に限ったものではない。
【0015】
次に配光制御装置1について説明する。配光制御装置1は、灯火装置23のサブライト23bの配光を制御する。本実施の形態1では、この配光制御装置1は、周辺情報取得部11aと、視線情報取得部11bと、要注意領域特定部12aと、配光制御部12bとを備える。
【0016】
周辺情報取得部11aは、周辺検出装置21から周辺情報を取得する。本実施の形態1では、周辺情報取得部11aは、例えば周辺検出装置21のインターフェースを含むが、周辺検出装置21そのものを含んでもよい。
【0017】
視線情報取得部11bは、視線検出装置22から視線情報を取得する。本実施の形態1では、視線情報取得部11bは、例えば視線検出装置22のインターフェースを含むが、視線検出装置22そのものを含んでもよい。
【0018】
以上で説明した周辺情報取得部11a及び視線情報取得部11bは、情報取得部11の概念に含まれる。本実施の形態1では、この情報取得部11は、周辺情報及び視線情報を取得する。ただし、情報取得部11は、これに限ったものではなく、実施の形態3で説明するように、周辺情報、車両の情報、及び、視線情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得するように構成されればよい。
【0019】
要注意領域特定部12aは、周辺情報取得部11aで取得された周辺情報に基づいて、車両の走行中に運転者が注意すべき、車両周辺の要注意対象の有無を判定する。要注意対象は、例えば障害物と、歩行者、二輪車などの移動体とを含む。要注意領域特定部12aは、車両周辺に要注意対象があると判定した場合に、要注意対象を含む領域を要注意領域として特定する。
【0020】
配光制御部12bは、要注意領域特定部12aで特定された要注意領域へサブライト23bに照射させる要注意領域照射モードAと、視線情報が示す運転者の視線方向へサブライト23bに照射させる視線連動照射モードBとを、強調照射モードとして有する。配光制御部12bが要注意領域照射モードAを実行すると、要注意領域に対する運転者の視認性を高めることができる。一方、配光制御部12bが視線連動照射モードBを実行すると、運転者が見たい方向に対する運転者の視認性を高めることができる。
【0021】
また、配光制御部12bは、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの双方を同時に実行する際には、要注意領域照射モードAの照射態様の顕著性、もしくは、視線連動照射モードBの照射態様の顕著性のうちの一方が他方よりも高い協調照射を実行する。本実施の形態1では、協調照射は、視線連動照射モードBの顕著性が、要注意領域照射モードAの顕著性よりも高い視線連動照射優先モードCbaを含む。
【0022】
つまり本実施の形態1では、配光制御部12bは、実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに実行中の照射モードから遷移するとともに、異なる照射モードにおいて複数の強調照射モードがあるときは実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。以下では、その一例として、要注意領域照射モードAが実行されており、かつ予め定められた遷移条件としての運転者の視線方向が要注意領域に向いたという条件を満足した場合に、異なる照射モードとしての視線連動照射優先モードCbaに遷移する構成について説明する。また以下では、照射態様の顕著性の差異が、照射の光度及び照度などの明るさの差異に対応する構成について説明する。なお顕著性とは人の注意を引き付ける程度であるから、顕著性の差異として、明るさの差異に限られるものではなく点滅、色、マーキングなどあるいはその他の態様の差異が考えられよう。
【0023】
以上で説明した要注意領域特定部12a及び配光制御部12bは、制御部12の概念に含まれる。本実施の形態1では、この制御部12は、要注意領域照射モードAと視線連動照射モードBという複数の強調照射モードを有し、要注意領域照射モードA、視線連動照射モードBもしくは視線連動照射優先モードCbaを実行する。
【0024】
ただし、実施の形態3で説明するように、情報取得部11で取得された少なくともいずれかの情報に基づいてサブライト23bに強調照射させる複数の強調照射モードは、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBに限ったものではない。この場合でも、制御部12は、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行すればよい。
【0025】
<動作>
図2は、本実施の形態1に係る配光制御装置1の動作を示すフローチャートである。
図2の動作は、例えばヘッドライト23aの照明がオンの場合に行われる。以下では、説明の便宜上、一度検出された要注意対象は継続して検出されるものとして説明する。
【0026】
ヘッドライト23aがオンされると、ステップS1にて、配光制御部12bは、通常照射モードOを実行する。通常照射モードOでは、ヘッドライト23aの照射は実行されるが、サブライト23bの強調照射は実行されない。本実施の形態1に係る通常照射モードOでは、
図3に示すように、左側走行の道路においてヘッドライト23aの照射領域32は、ロービームの照射領域であり、照射領域32のうちの右側の照射到達距離は、左側の照射到達距離よりも短くなっている。このような照射によれば、右側車線を走行する対向車の運転者の眩惑を抑制することができる。なお、
図3には、運転者の視線方向33、及び、車両31の進行方向の道路34も図示されている。
【0027】
図2のステップS2にて、周辺情報取得部11aは、周辺検出装置21から周辺情報を取得する。
【0028】
ステップS3にて、視線情報取得部11bは、視線検出装置22から視線情報を取得し、当該視線情報に基づいて運転者の現在の視線方向を求める。視線情報取得部11bは、視線情報が示す視線方向の時系列に基づいて、運転者の視線分布を求め、当該視線分布から運転者の視線方向を求めてもよいし、視線情報が示す視線方向をそのまま運転者の視線方向として求めてもよい。視線情報が運転者の視線分布を示す場合には、視線情報取得部11bは、視線情報が示す運転者の視線分布から運転者の視線方向を求めてもよい。
【0029】
ステップS4にて、配光制御部12bは、現在、どの照射モードが実行されているかを判定する。通常照射モードOが実行されていると判定された場合には処理がステップS5に進む。単独の要注意領域照射モードAが実行されていると判定された場合には処理がステップS10に進む。視線連動照射優先モードCbaが実行されていると判定された場合には処理がステップS20に進む。
【0030】
ステップS5にて、要注意領域特定部12aは、周辺情報に基づいて車両周辺の物体の種別を判定し、物体の種別が予め定められた種別である場合に要注意対象があると判定する。要注意対象は、例えば、歩行者または二輪車などである。
【0031】
なお、要注意領域特定部12aは、車両または車両の進行方向の道路と、歩行者または二輪車との位置関係に基づいて要注意対象があるか否かを判定してもよい。その一例として、要注意領域特定部12aは、車両の進行方向の道路から2m以内に歩行者が存在する場合には、要注意対象があると判定してもよい。また、要注意領域特定部12aは、歩行者または二輪車の移動方向を加味して要注意対象があるか否かを判定してもよい。その一例として、要注意領域特定部12aは、歩行者が車両の進行方向の道路に近づいている場合には、要注意対象があると判定してもよい。
【0032】
また、要注意領域特定部12aは、例えば、自転車専用道路を走行している自転車と、車道の端を走行している自転車、軽車両、自動二輪と、脇道から出てくる無灯火の移動体とを要注意対象物として判定してもよい。また、要注意領域特定部12aは、車両の情報としての車両の走行速度を加味して要注意対象があるか否かを判定してもよい。
【0033】
上述したステップS5にて、要注意領域特定部12aは、要注意対象があると判定した場合に要注意領域を特定する。また、配光制御部12bは、要注意領域特定部12aが要注意領域を特定したか否か(つまり要注意対象があると判定したか否か)を判定する。要注意領域が特定されたと判定された場合には処理がステップS6に進み、要注意領域が特定されたと判定されなかった場合には処理がステップS8に進む。
【0034】
ステップS6にて、配光制御部12bは、単独の要注意領域照射モードAを実行すると判定する。
【0035】
ステップS7にて、配光制御部12bは、単独の要注意領域照射モードAを実行し、要注意領域特定部12aで特定された要注意領域へサブライト23bに強調照射させる。すなわちステップS4で実行中の照射モードとしての通常照射モードOが実行されており、ステップS5で予め定められた遷移条件としての要注意領域を特定したという条件を満足したので、ステップS6、S7において異なる照射モードとしての要注意領域照射モードAに遷移する。ただしこの場合は複数の強調照射モードがないので協調照射は実行されない。
図4は、単独の要注意領域照射モードAの照射状況の一例を示す図である。
図4の例では、車両31前方の左側の歩行者35が要注意対象として判定されており、歩行者35及びその周辺を含む一定領域が要注意領域36として強調照射されている。
【0036】
図2のステップS8にて、配光制御部12bは、終了条件を満たしているか否かを判定する。終了条件は、例えば、ヘッドライト23aのオフまたは車両の走行の終了などが該当する。終了条件を満たしていると判定された場合には処理が
図2の動作が終了し、終了条件を満たしていると判定されなかった場合には処理がステップS2に進む。ステップS2→S3→S4→S5→S8→S2の一連の処理が繰り返されている場合には、通常照射モードOの実行が継続される。一方、ステップS6→S7→S8で単独の要注意領域照射モードAが実行され、S8→S2→S3の処理が行われた場合には、ステップS4にて単独の要注意領域照射モードAが実行されていると判定されるので、処理がステップS10に進む。
【0037】
ステップS10において実行中の照射モードとして要注意領域照射モードAが実行されている。ステップS10にて、配光制御部12bは、視線情報から得られた視線方向と、要注意対象の方向とに基づいて、予め定められた遷移条件の判定として運転者が要注意領域を視認したか否かを判定する。例えば配光制御部12bは、視線方向と、要注意対象の方向との間の角度が2度以内である場合に、運転者が要注意領域を視認したと判定する。運転者が要注意領域を視認したと判定された場合には処理がステップS11に進み、運転者が要注意領域を視認したと判定されなかった場合には処理がステップS6に進む。ステップS10→S6→S7→S8→S2→S3→S4→S10の一連の処理が繰り返されている場合には、単独の要注意領域照射モードAの実行が継続される。
【0038】
ステップS11にて、配光制御部12bは、異なる照射モードとしての視線連動照射優先モードCbaを実行すると判定する。
【0039】
ステップS12にて、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAを実行しながら視線連動照射モードBを実行し、視線方向へサブライト23bに強調照射させる。
【0040】
ステップS13において、視線連動照射優先モードCbaには複数の強調照射モードが存在している。そこで要注意領域照射モードAの実行中に運転者が要注意領域を視認したという条件を満足したことに基づいて配光制御部12bは、協調照射を実行する。ステップS13にて、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAの照射の明るさを下げること、及び、視線連動照射モードBの照射の明るさを上げることの少なくともいずれか1つを行うことによって、視線連動照射優先モードCbaにおいて協調照射を実行する。すなわち要注意領域照射モードAの実行中に運転者が要注意領域を視認したということは、歩行者35に運転者の注意を向けるという要注意領域照射モードAによる強調照射の意義が達成されたということである。運転者は、運転者は、要注意領域を視認した後、歩行者35がどの程度危険なものかを判断するため歩行者35の周囲の状況を把握しようとする。これを支援するため視線連動照射モードBによる強調照射が実行される。この状況下において強調照射の顕著性をより必要とするのは視線連動照射モードBである。配光制御部12bは、このような制御思想に基づいて視線連動照射優先モードCbaで協調照射を実行する。
【0041】
図5は、視線連動照射優先モードCbaの照射状況の一例を示す図である。なお、
図5以降の図では、ドットハッチングは相対的に顕著性が低いことを示す。視線連動照射優先モードCbaでは、視線方向に基づいて照射される視線照射領域37が要注意領域36よりも明るくなる制御が行われるが、
図5の例のように、要注意領域36と、視線照射領域37とが重なっている部分は、単独の視線照射領域37よりも明るくなる。なおこの時点の要注意領域36の形状と視線照射領域37の形状とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
図2のステップS13の後、ステップS8に処理が進む。ステップS11→S12→S13で視線連動照射優先モードCbaが実行され、S8→S2→S3の処理が行われた場合、ステップS4にて視線連動照射優先モードCbaが実行されていると判定されるので、処理がステップS20に進む。このときの実行中の照射モードには、視線連動照射優先モードCbaが該当する。
【0043】
ステップS20にて、配光制御部12bは、予め定められた遷移条件の判定として、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第1閾値(例えば10秒)を超えたか否かを判定する。経過した時間が第1閾値を超えたと判定された場合には予め定められた遷移条件を満足したものとして処理がステップS21に進み、経過した時間が第1閾値を超えたと判定されなかった場合には予め定められた遷移条件を満足していないものとして処理がステップS11に進む。ステップS20→S11→S12→S13→S8→S2→S3→S4→S20の一連の処理が繰り返されている場合には、視線連動照射優先モードCbaの実行が継続される。
【0044】
図6は、視線連動照射優先モードCbaの実行が継続されている場合に、運転者が視線を要注意領域36から移動させた場合の照射状況の一例を示す図である。視線方向に基づいて照射される視線照射領域37の形状は、
図5と同じ円形を維持してもよい。しかしながら、運転時の視線方向は頻繁に変化するため、その視線方向に基づいて一定形状の視線照射領域37を移動させると、運転者から見た視線照射領域37がちらつき、運転者にとって視線照射領域37が見づらいという問題がある。
【0045】
そこで本実施の形態1では、配光制御部12bは、視線連動照射優先モードCbaのうちの視線連動照射モードBとして、視線照射領域37のうち一旦照射された部分をすぐに消すのではなく徐々に減光する。具体的には、配光制御部12bは、視線照射領域37の視線移動方向側の照射端部を視線移動方向に追従して移動させ、視線照射領域37の視線移動方向と反対側の照射端部を視線移動方向の照射端部の移動よりも小さい移動速度で移動させる配光制御を行う。結果として、左側に視線が移動した場合は、視線照射領域37は、右側が暗い楕円形の領域となり、右側に視線が移動した場合は、視線照射領域37は、左側が暗い楕円形の領域となる。以下の説明では便宜上、以上のような照射、つまり
図6のような楕円形の領域への照射を尾引照射と記す。
【0046】
ステップS20において予め定められた遷移条件を満足した場合は
図2のステップS21にて、配光制御部12bは、異なる照射モードとしての通常照射モードOを実行すると判定する。ステップS22にて、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAを停止する。ステップS23にて、配光制御部12bは、視線連動照射モードBを停止する。これにより、照射状況は
図3のような照射状況に戻る。この場合には複数の強調照射モードが存在しないので協調照射は実行されない。
図2のステップS23の後、処理がステップS8に進む。
【0047】
<実施の形態1のまとめ>
複数の強調照射モードの強調照射を同じ顕著性で行うと、運転者はどの強調照射に注目すればよいかが分かりにくくなる。これに対して本実施の形態1に係る配光制御装置1によれば、制御部12は、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。このような構成によれば、運転者はどの強調照射に注目すればよいかを容易に知ることができる。また、本実施の形態1では、複数の強調照射モードがあるときは実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて協調照射を実行するので、運転者はどの強調照射に注目すればよいかを容易に知ることができる。
【0048】
また本実施の形態1によれば、要注意領域照射モードAが実行されており、運転者の視線方向が要注意領域36に向いた場合に、制御部12は、視線連動照射優先モードCbaを実行する。このような構成によれば、運転者は、要注意対象を視認した時点以降に、視線照射領域37によって要注意領域36の周辺を容易に確認することができるので、運転者の一般的な注意確認傾向に合わせた配光制御を行うことができる。
【0049】
また本実施の形態1によれば、制御部12は、視線連動照射優先モードCbaのうちの視線連動照射モードBとして、運転者の視線方向に基づいてサブライト23bに尾引照射させる。このような構成によれば、運転者から見た視線照射領域37のちらつきを抑制できるので、運転者にとって視線照射領域37を見えやすくすることができる。
【0050】
<変形例1>
実施の形態1では、
図2のステップS20にて、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第1閾値を超えると判定されるまで、視線連動照射優先モードCbaを実現する要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの顕著性が維持されたが、これに限ったものではない。
【0051】
例えば、視線連動照射優先モードCbaが実行されている間に、配光制御部12bは、視線連動照射モードBの顕著性を維持しつつ、時間の経過とともに要注意領域照射モードAの顕著性を低くしてもよい。そして、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第2閾値(例えば5秒)を超えた場合に、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAを停止して、
図7に示すように単独の視線連動照射モードBを実行してもよい。これにより視線連動照射優先モードCbaから単独の視線連動照射モードBへのスムーズな遷移を行うことができる。
【0052】
その後、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第1閾値(例えば10秒)を超えた場合に、配光制御部12bは、単独の視線連動照射モードBを停止して、通常照射モードOを実行してもよい。このような構成によれば、サブライト23bの照射が徐々に減光されるので、視線連動照射優先モードCbaから通常照射モードOへのスムーズな遷移を行うことができる。
【0053】
<変形例2>
変形例1では、視線連動照射優先モードCbaが実行されている間に、配光制御部12bは、視線連動照射モードBの顕著性を維持しつつ、時間の経過とともに要注意領域照射モードAの顕著性を低くした。しかしながら、視線連動照射優先モードCbaが実行されている間に、配光制御部12bは、時間の経過とともに要注意領域照射モードAの顕著性を低くするだけでなく、視線連動照射モードBの顕著性も低くしてもよい。ただし、視線連動照射モードBの顕著性が要注意領域照射モードAの顕著性よりも高いという条件は保たれているものとする。そして、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第2閾値を超えた場合に、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAを停止して、単独の視線連動照射モードBを実行してもよい。
【0054】
その後、単独の視線連動照射モードBの顕著性の低下を継続し、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第1閾値を超えた場合に、配光制御部12bは、単独の視線連動照射モードBを停止して、通常照射モードOを実行してもよい。このような構成によれば、サブライト23bの照射が徐々に減光されるので、視線連動照射優先モードCbaから単独の視線連動照射モードBを経た通常照射モードOへのスムーズな遷移を行うことができる。
【0055】
<変形例3>
以上の説明では、視線連動照射優先モードCbaが実行されてから経過した時間が第1閾値または第2閾値を超えることが、視線連動照射優先モードCbaを停止する条件であったが、これに限ったものではない。例えば、視線連動照射優先モードCbaが実行されており、運転者が予め定められた操作を行った場合に、配光制御部12bは、視線連動照射モードBを停止して、単独の要注意領域照射モードAを実行してもよい。
【0056】
予め定められた操作は、例えば、運転者の視線方向がヘッドライト23aの照射領域32に向くことであってもよい。つまり
図8のように、運転者の視線方向がヘッドライト23aの照射領域32に向いた場合に、配光制御部12bは、視線連動照射優先モードCbaから単独の要注意領域照射モードAへの遷移を行ってもよい。これは歩行者35の周辺の確認が終わり、運転者が再び正面を見た状況にある。この場合は視線連動照射モードBの強調照射の意義は達成されているので、視線連動照射モードBの強調照射を継続する必要性は低い。
【0057】
<変形例4>
図2の説明では、一度検出された要注意対象は継続して検出されるものとして説明したが、要注意対象が途中で検出されなくなった場合には、適宜照射モードが変更されてもよい。例えば、単独の要注意領域照射モードAが実行されており、照射されていた要注意対象が検出されなくなった場合に、配光制御部12bは、単独の要注意領域照射モードAを停止して、通常照射モードOを実行してもよい。また例えば、視線連動照射優先モードCbaが実行されており、照射されていた要注意対象が検出されなくなった場合に、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAを停止して、単独の視線連動照射モードBを実行してもよい。
【0058】
<その他>
図9は、実施の形態1及び変形例1~4の照射モードの遷移をまとめた照射モード遷移図である。
図9において、円(ノード)は照射モードを表し、矢印(エッジ)は遷移を表し、矢印に付された文字は実施の形態1の遷移条件及び変形例の番号を表し、S1などは
図2のS1などを表す。実線は、実施の形態1で説明された照射モード及び遷移を表し、破線は、変形例で説明された照射モード及び遷移を表す。
【0059】
実施の形態1では、配光制御部12bは、例えばヘッドライト23aの照明がオンの場合に
図2の動作を行うとして説明したが、これに限ったものではない。例えば、配光制御部12bは、ヘッドライト23aの照明のオン及びオフに関わらず、車両周辺の照度が閾値以下である場合に
図2の動作を行ってもよい。なお、車両周辺の照度の検出には、照度計、または、撮影装置の明るさに関するセンサなどが用いられてもよい。
【0060】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る配光制御装置1の構成を示すブロック図は、
図1と同様である。以下、本実施の形態2に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0061】
本実施の形態2では、協調照射は、視線連動照射優先モードCbaだけでなく、要注意領域照射モードAの顕著性が視線連動照射モードBの顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードCabを含む。そして実行中の照射モードが視線連動照射優先モードCbaであるときに、予め定められた遷移条件としての要注意対象の要注意度が増加したという条件を満足した場合に、配光制御部12bは、異なる照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabに遷移する。
【0062】
<動作>
図10及び
図11は、本実施の形態2に係る配光制御装置1の動作を示すフローチャートである。
図10及び
図11の動作は、
図2の動作にステップS24,S30~S32が追加され、ステップS4,S5がステップS4a,S5aに変更された動作と同様である。以下、
図10及び
図11については、ステップS4a,S5a,S24,S30~S32について主に説明する。
【0063】
ステップS4aにて、配光制御部12bは、現在、どの照射モードが実行されているかを判定する。通常照射モードOが実行されていると判定された場合には処理がステップS5aに進む。単独の要注意領域照射モードAが実行されていると判定された場合には処理がステップS10に進む。視線連動照射優先モードCbaが実行されていると判定された場合には処理がステップS24に進む。要注意領域照射優先モードCabが実行されていると判定された場合には処理がステップS30に進む。
【0064】
実施の形態1では、ステップS5にて、要注意領域特定部12aは、周辺情報に基づいて車両周辺の物体の種別を判定し、当該種別に基づいて要注意対象があるか否かを判定して要注意領域を特定した。本実施の形態2では、ステップS5aにて、要注意領域特定部12aは、周辺情報に基づいて車両周辺の物体の要注意度を算出し、当該要注意度が閾値以上である場合に要注意対象があると判定して要注意領域を特定する。つまり、ステップS5aで算出された要注意度をCAUTION(t0)とし、ステップS5aの閾値をCAUTION_TH1として、CAUTION(t0)≧CAUTION_TH1が成り立つ場合に、要注意領域特定部12aは要注意領域を特定する。
【0065】
本実施の形態2では、要注意領域特定部12aは、車両と車両周辺の物体との接触可能性が高いほど大きくなる要注意度を算出する。例えば、要注意領域特定部12aは、物体が、車両の進行方向の道路に近いほど大きな要注意度を算出してもよい。また、要注意領域特定部12aは、物体の速度や向きから物体が、車両の道路に到達するまでの時間が短いほど大きな要注意度を算出してもよいし、物体が車両と接触する時間が短いほど大きな要注意度を算出してもよい。接触時間は車両の車速と関係するので、要注意領域特定部12aは、接触時間を算出する場合には、車両に設けられた図示しない車内LAN(Local Area Network)から車両の情報の一例として車速を取得してもよい。
【0066】
ステップS5aの後、実施の形態1と同様にステップS6~S8の動作が行われる。ステップS6→S7の処理によって、単独の要注意領域照射モードAが実行され、S8→S2→S3の処理が行われた場合、ステップS4aにて単独の要注意領域照射モードAが実行されていると判定されるので、処理がステップS10に進む。
【0067】
ステップS10にて、配光制御部12bは、視線情報から得られた視線方向と、要注意対象の方向とに基づいて、運転者が要注意領域を視認したか否かを判定する。そして実施の形態1と同様に、運転者が要注意領域を視認したと判定された場合には処理がステップS11に進み、運転者が要注意領域を視認したと判定されなかった場合には処理がステップS6に進む。ステップS11→S12→S13の処理によって、視線連動照射優先モードCbaが実行され、S8→S2→S3の処理が行われた場合、ステップS4aにて視線連動照射優先モードCbaが実行されていると判定されるので、処理がステップS24に進む。このとき視線連動照射優先モードCbaは、実行中の照射モードに該当する。
【0068】
ステップS24にて、要注意領域特定部12aは、ステップS5aと同様に要注意度を算出し、配光制御部12bは、予め定められた遷移条件の判定として要注意対象の要注意度が増加したか否かを判定する。なお、要注意度が増加することは、衝突の危険性が増すことを意味する。
【0069】
例えばステップS24にて、要注意対象そのものがステップS5aの閾値よりも大きい閾値以上である場合に、配光制御部12bは、要注意対象の要注意度が増加したと判定してもよい。つまり、ステップS24で算出された要注意度をCAUTION(t1)とし、ステップS5aの閾値をCAUTION_TH1とし、ステップS24の閾値をCAUTION_TH2として、CAUTION(t1)≧CAUTION_TH2>CAUTION_TH1が成り立つ場合に、配光制御部12bは、要注意対象の要注意度が増加したと判定してもよい。
【0070】
例えばステップS24にて、要注意対象の変化が閾値以上である場合に、配光制御部12bは、要注意対象の要注意度が増加したと判定してもよい。つまり、ステップS5aで算出された要注意度をCAUTION(t0)とし、ステップS24で算出された要注意度をCAUTION(t1)とし、ステップS24の閾値をCAUTION_TH3として、CAUTION(t1)-CAUTION(t0)≧CAUTION_TH3が成り立つ場合に、配光制御部12bは、要注意対象の要注意度が増加したと判定してもよい。
【0071】
ステップS24にて、要注意対象の要注意度が増加したと判定された場合には予め定められた遷移条件を満足したものとして処理が
図11のステップS31に進み、要注意対象の要注意度が増加したと判定されなかった場合には予め定められた遷移条件を満足しなかったものとして処理がステップS20に進む。
【0072】
図11のステップS31にて、配光制御部12bは、異なる照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabを実行すると判定する。
【0073】
ステップS32にて、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAの照射の明るさを上げること、及び、視線連動照射モードBの照射の明るさを下げることの少なくともいずれか1つを行うことによって、要注意領域照射優先モードCabにおいて協調照射を実行する。例えば、配光制御部12bは、要注意領域照射モードAの照射の明るさを上げて元に戻し、視線連動照射モードBの照射の明るさを下げることによって、要注意領域照射優先モードCabを実行する。
【0074】
図12及び
図13は、視線連動照射優先モードCbaから要注意領域照射優先モードCabへの遷移状況の一例を示す図である。
図12では、視線連動照射優先モードCbaが実行されている。
図13では、
図12の状態において、要注意対象である歩行者35が車両31の進行方向の道路34に近づいて要注意度が増加したと判定されたため、視線連動照射優先モードCbaから要注意領域照射優先モードCabへの遷移が行われている。
【0075】
図11のステップS32の後、
図10のステップS8に処理が進む。ステップS31→S32の処理によって、要注意領域照射優先モードCabが実行され、S8→S2→S3の処理が行われた場合、ステップS4aにて要注意領域照射優先モードCabが実行されていると判定されるので、処理が
図11のステップS30に進む。
【0076】
ステップS30において実行中の照射モードは、要注意領域照射優先モードCabである。ステップS30にて、配光制御部12bは、視線情報から得られた視線方向と、要注意対象の方向とに基づいて、予め定められた遷移条件の判定として運転者が要注意領域を視認したか否かを判定する。運転者が要注意領域を視認したと判定された場合には予め定められた遷移条件を満足したものとして処理が
図10のステップS11~S13に進み、異なる照射モードとしての視線連動照射優先モードCbaに遷移する。視線連動照射優先モードCbaは、要注意領域照射モードAの強調照射と視線連動照射モードBの強調照射とからなる複数の強調照射があるので、これらの顕著性が調整された協調照射が実行される。運転者が要注意領域を視認したと判定されなかった場合には予め定められた遷移条件を満足しなかったものとして処理がステップS31に進む。ステップS31→S32→S8→S2→S3→S4→S30→S31の一連の処理が繰り返されている場合には、要注意領域照射優先モードCabの実行が継続される。
【0077】
図14は、実施の形態1の変形例1~4及び実施の形態2の照射モードの遷移をまとめた遷移図である。
図14の照射モード遷移図では、
図9の照射モード遷移図に、要注意領域照射優先モードCabに関するノード及びエッジが追加されている。
【0078】
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る配光制御装置1によれば、視線連動照射優先モードCbaが実行されており、要注意対象の要注意度が増加した場合に、制御部12は、要注意領域照射優先モードCabを実行する。このような構成によれば、視線連動照射優先モードCbaを実行していても、要注意度が増加した場合には、要注意領域照射優先モードCabを実行するので、運転者に対して要注意対象への注意喚起を行うことができる。
【0079】
<変形例1>
実施の形態2の
図10及び
図11のステップS10,S30にて、配光制御部12bは、照射モードをすぐに遷移させるのではなく、遷移にヒステリシスを持たせてもよい。例えば、要注意領域照射優先モードCabを実行した時点Twから、一定時間(例えば2秒)以内に運転者が要注意領域を視認したと判定した場合を想定する。このような場合に、配光制御部12bは、単独の要注意領域照射モードAまたは要注意領域照射優先モードCabから視線連動照射優先モードCbaへの遷移をすぐに行うのではなく、時点Twから一定時間が経過した後に行ってもよい。
【0080】
<変形例2>
要注意領域照射優先モードCabが実行されており、要注意領域の対象が人である場合に、配光制御部12bは、
図15のように阻止表示オブジェクト41をサブライト23bに照射させてもよい。阻止表示オブジェクト41は、歩行者35などの人と、車両31の進行方向の道路34の路面との間に照射される、路面への人の進入を阻止するための表示オブジェクトである。
【0081】
阻止表示オブジェクト41は、図形、文字、その他の任意の記号を示す表示オブジェクトであってもよいし、阻止表示オブジェクト41の照射には、点滅などのアニメーションが用いられてもよい。
図15の例の阻止表示オブジェクト41は、歩行者35などの人から見てあたかも立体物が存在するような錯視を生じさせる図形を示す表示オブジェクトである。
図15のような阻止表示オブジェクト41によれば、歩行者35に障害物が存在すると錯視させることができるので、歩行者35が道路34に進入することを抑制することができる。
【0082】
なお、
図15の状態から歩行者35が道路34にさらに近づき、歩行者35の要注意度がさらに増加した場合、配光制御部12bは、
図16のように、阻止表示オブジェクト41を拡大したり、点滅の間隔を早めたりすることによって、阻止表示オブジェクト41の顕著性を高めてもよい。また、
図15または
図16の要注意領域照射優先モードCabが実行されている場合に、配光制御部12bは、視線連動照射モードBを停止して、阻止表示オブジェクト41を照射しつつ、要注意領域照射モードAを実行してもよい。また、その後に、歩行者35が立ち止まったり、方向転換したりした場合に、配光制御部12bは、要注意度が低減したと判定して阻止表示オブジェクト41の照射を停止して、単独の要注意領域照射モードAを実行してもよい。
【0083】
なお変形例2については、実行中の照射モードを要注意領域照射優先モードCabとし、予め定められた遷移条件を要注意領域の対象が人であるとし、これを満足したとき異なる照射モードとしての阻止表示オブジェクト照射に遷移すると捉えることもできる。このとき強調照射として要注意領域照射モードA、視線連動照射モードB及び阻止表示オブジェクト照射があるものとして、これらの間で顕著性が調整された協調照射が行われるようにしてもよい。
【0084】
<変形例3>
実施の形態1,2では、要注意対象が1つである場合について説明した。要注意対象が複数である場合、配光制御部12bは、複数の要注意対象のそれぞれに対して、要注意領域照射モードAを実行してもよい。この場合は要注意領域照射モードAにおいて強調照射が複数あることになる。よって、配光制御部12bは、複数の要注意対象の要注意度に基づいて、複数の要注意対象への照射態様の顕著性に差異を設ける協調照射を実行してもよいし、最も要注意度が高い要注意対象のみに要注意領域照射モードAで照射する協調照射を実行してもよい。また、配光制御部12bは、複数の要注意対象の要注意度に基づいて、車両の右側半分の中で最も要注意度が高い要注意対象、及び、車両の左側半分の中で最も要注意度が高い要注意対象に対して要注意領域照射モードAを実行してもよい。
【0085】
また、
図17のように実行中の照射モードとしての視線連動照射優先モードCbaが実行されており、予め定められた遷移条件を満足する場合として新たな要注意領域が特定された場合に、配光制御部12bは、
図18のように異なる照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabを実行してもよい。
図17の例では、視線連動照射優先モードCbaが実行され、車両31の左側において歩行者35の要注意領域36が低い顕著性で照射されている。
図18の例では、
図17の状態において、車両31の右側に新たな歩行者35の要注意領域36が特定されている。この場合、配光制御部12bは、左側の要注意領域36に対する要注意領域照射モードAの顕著性をそのままにし、視線連動照射モードBの顕著性を低くし、右側の要注意領域36に対する要注意領域照射モードAの顕著性を視線連動照射モードBの顕著性よりも高くするという協調照射を実行する。
【0086】
これにより、視線連動照射優先モードCbaから要注意領域照射優先モードCabへの遷移が行われる。このような構成によれば、視線連動照射優先モードCbaが実行されており、新たな要注意領域が特定された場合に、運転者は新たな要注意領域に容易に注目することができる。
【0087】
なお、配光制御部12bは、
図18の要注意領域照射優先モードCabの照射状態において、左側の要注意領域36に対する要注意領域照射モードAを停止して顕著性を低くしてもよい。または、配光制御部12bは、時間の経過とともに左側の要注意領域36に対する要注意領域照射モードAの顕著性を低くし、要注意領域照射優先モードCabが実行されてから経過した時間が閾値を超えた場合に、当該要注意領域照射モードAを停止してもよい。
【0088】
また、
図18の実行中の照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabの照射状態において、予め定められた遷移条件を満足する場合として左側の歩行者35の要注意度が増加した場合に、配光制御部12bは、異なる照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabに遷移してもよい。そして、配光制御部12bは、左側の要注意領域36に対する要注意領域照射モードAの顕著性を右側の要注意領域36に対する要注意領域照射モードAの顕著性や視線連動照射モードBの顕著性よりも高くするという協調照射を実行してもよい。すなわち異なる照射モードとは、必ずしも要注意領域照射モードAと視線連動照射優先モードCbaというように種別が異なるもののみを指すのではなく、顕著性が異なる要注意領域照射優先モードCab同士であるものも含む。また、視線連動照射優先モードCbaが実行されている間に、配光制御部12bは、時間の経過とともに視線連動照射モードBの顕著性を低くして、要注意領域照射優先モードCabから単独の要注意領域照射モードAへの遷移を行ってもよい。
【0089】
<変形例4>
単独の視線連動照射モードBに対する予め定められた起動条件が満たされたと判定された場合に、配光制御部12bは、単独の視線連動照射モードBを実行してもよい。予め定められた起動条件は、例えば、運転者が予め定められた起動操作を行ったこと、運転者が予め定められた起動ジェスチャーを行ったこと、運転者が車両の走行道路近傍の特定の地点を注視したことの少なくともいずれか1つを含んでもよい。なお、運転者が車両の走行道路近傍の特定の地点を注視する場合とは、その特定の地点に何があるかを運転者が確かめたい場合であり、そのような場合が満たされる条件は、自動的に視線連動照射モードBを起動するための好ましい起動条件となる。
【0090】
また、単独の視線連動照射モードBに対する予め定められた終了条件が満たされたと判定された場合に、配光制御部12bは、単独の視線連動照射モードBを停止して、通常照射モードOを実行してもよい。予め定められた終了条件は、例えば、運転者が予め定められた終了操作を行ったこと、運転者が予め定められた終了ジェスチャーを行ったこと、運転者が予め定められた地点以外の領域(例えばヘッドライト23aの照射領域及び道路34)を注視したこと、単独の視線連動照射モードBを実行してから一定時間が経過したことの少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0091】
単独の視線連動照射モードBが実行されており、新たな要注意領域が特定された場合に、配光制御部12bは、
図11のステップS31~S32を実行して、要注意領域照射優先モードCabを実行してもよい。このような構成によれば、単独の視線連動照射モードBが実行されており、新たな要注意領域が特定された場合に、運転者は新たな要注意領域に容易に注目することができる。
【0092】
図19は、
図14の照射モード遷移図に、ここで説明した変形例4の遷移を追加した照射モード遷移図である。
図19の照射モード遷移図では、当該変形例4の遷移が一点鎖線で示されている。
【0093】
<変形例5>
配光制御部12bは、実行中の照射モードとしての
図20のような単独の視線連動照射モードBから異なる照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabへの遷移を行う際に、予め定められた遷移条件の判定として視線照射領域と新たな要注意領域との間の距離が予め定められた閾値以上であるか否かを判定してもよい。そして、配光制御部12bは、当該距離が閾値以上であると判定された場合に、
図21のように、運転者の視線を視線照射領域37から新たな要注意領域36へ誘導するための表示オブジェクトである誘導表示オブジェクト42をサブライト23bに照射させてもよい。
【0094】
図21では、視線照射領域37から新たな要注意領域36から時間の経過とともに移動する(スイープする)誘導表示オブジェクト42が示されている。ただし、誘導表示オブジェクト42は、運転者の視線を視線照射領域37から新たな要注意領域36へ誘導するための表示オブジェクトであれば、これに限ったものではなく、例えば、新たな要注意領域36を示す矢印の表示オブジェクトであってもよい。以上のような構成によれば、視線照射領域37と新たな要注意領域36との間の距離が閾値以上である場合に、運転者は新たな要注意領域を容易に知ることができる。
【0095】
<変形例6>
実施の形態2では、
図11のステップS31,S32の要注意領域照射優先モードCabにおける、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの照射態様の顕著性の差異は、サブライト23bから照射される明るさの顕著性の差異であった。しかしながら、顕著性の際はこれに限ったものではない。
【0096】
ステップS31,S32の要注意領域照射優先モードCabにおける、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの照射態様の顕著性の差異は、サブライト23bから照射される色の顕著性の差異であってもよい。つまり、要注意領域照射モードAの顕著性が視線連動照射モードBの顕著性よりも高いことは、要注意領域照射モードAでの照射の色の顕著性が、視線連動照射モードBでの照射の色の顕著性が高いことに相当してもよい。
【0097】
例えば、要注意領域照射モードAでの照射の色の顕著性が、視線連動照射モードBでの照射の色の顕著性が高いことは、要注意領域照射モードAでの照射の色が複数色であり、視線連動照射モードBでの照射の色が単色であることであってもよい。または例えば、要注意領域照射モードAでの照射の色の顕著性が、視線連動照射モードBでの照射の色の顕著性が高いことは、要注意領域照射モードAでの照射の色調が暖色であり、視線連動照射モードBでの照射の色調が寒色であることであってもよい。また例えば、要注意領域照射モードAでの照射の色の顕著性が、視線連動照射モードBでの照射の色の顕著性が高いことは、要注意領域照射モードAでの照射の色が模様及び図形を表し、視線連動照射モードBでの照射の色が模様及び図形を表さないことであってもよい。
【0098】
なお、
図2及び
図10のステップS11~S13の視線連動照射優先モードCbaにおける、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの照射態様の顕著性の差異も、サブライト23bから照射される色の顕著性の差異であってもよい。
【0099】
<変形例7>
図11のステップS31,S32の要注意領域照射優先モードCabにおける、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの照射態様の顕著性の差異は、サブライト23bから照射されるアニメーションの顕著性の差異であってもよい。つまり、要注意領域照射モードAの顕著性が視線連動照射モードBの顕著性よりも高いことは、要注意領域照射モードAでの照射のアニメーションの顕著性が、視線連動照射モードBでの照射のアニメーションの顕著性が高いことに相当してもよい。
【0100】
例えば、要注意領域照射モードAでの照射の色の顕著性が、視線連動照射モードBでの照射の色の顕著性が高いことは、要注意領域照射モードAでの照射の点滅の間隔が、視線連動照射モードBでの照射の点滅の間隔よりも早いことであってもよい。また例えば、要注意領域照射モードAでの照射の色の顕著性が、視線連動照射モードBでの照射の色の顕著性が高いことは、要注意領域照射モードAでの照射の色調、サイズ及び形状の少なくともいずれか1つの変化が、視線連動照射モードBでの照射の変化よりも大きいことであってもよい。
【0101】
なお、
図2及び
図10のステップS11~S13の視線連動照射優先モードCbaにおける、要注意領域照射モードA及び視線連動照射モードBの照射態様の顕著性の差異も、サブライト23bから照射されるアニメーションの顕著性の差異であってもよい。
【0102】
<変形例8>
配光制御部12bは、視線連動照射優先モードCbaのうちの視線連動照射モードBとして、運転者の視線方向に基づいてサブライト23bに尾引照射させてもよい。一方、配光制御部12bは、要注意領域照射優先モードCabのうちの視線連動照射モードBとしてサブライト23bに尾引照射させずに、一定形状の視線照射領域37をサブライト23bに照射させてもよい。要注意領域照射優先モードCabでは、視線連動照射モードBの顕著性が低いので、処理負荷が高い尾引照射をしなくても、運転者から見た視線照射領域37のちらつきを抑制することができる。
【0103】
<その他>
実施の形態1及び実施の形態1の変形例1~4の少なくともいずれか1つと、実施の形態2及び実施の形態2の変形例1~8の少なくともいずれか1つとが、任意に組み合わせられてもよい。
【0104】
<実施の形態3>
図22は、本実施の形態3に係る配光制御装置1の構成を示すブロック図である。以下、本実施の形態3に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
図22の構成は、
図1の構成に、ナビゲーション装置25及び車両情報取得部11cが追加された構成と同様である。なお、車両情報取得部11cは、情報取得部11の概念に含まれる。
【0105】
ナビゲーション装置25は、車両の位置情報を取得するロケータと、道路単位の道路形状データを有する通常精度地図データベースとを有する。また、ナビゲーション装置25は、車両の位置情報と、通常精度地図データベースとに基づいて、車両が進行すべき経路を探索する経路探索を行う機能と、経路探索結果に基づいて交差点及び分合流地点などの進行変更地点で経路誘導を行う機能とを有する。
【0106】
車両情報取得部11cは、車両の情報を取得する。車両の情報は、例えば、ナビゲーション装置25で取得された車両の位置情報及び経路探索結果を含む。なお、車両の情報は、これに限ったものではなく、例えば、車両の進行方向、車両の速度などを含んでもよい。また車両の情報は、図示しないCAN(Controller Area Network)と称される車載ネットワークから取得するものでもよい。本実施の形態3では、車両情報取得部11cは、例えばナビゲーション装置25のインターフェースを含むが、ナビゲーション装置25そのものを含んでもよい。
【0107】
<照射モード>
本実施の形態3に係る制御部12は、実施の形態1に係る制御部12と同様に、情報取得部11で取得された少なくともいずれかの情報に基づいてサブライト23bに強調照射させる複数の強調照射モードを有する。ただし、実施の形態1に係る強調照射モードは、要注意領域照射モードAと視線連動照射モードBとを含んだが、本実施の形態3に係る強調照射モードは、視線連動照射モードBと、経路案内照射モードDとを含む。経路案内照射モードDは、車両の位置情報及び経路探索結果に基づいて、車両が進行すべき経路を案内する表示オブジェクトである案内表示オブジェクトをサブライト23bに照射させる強調照射モードである。
【0108】
図23は、単独の経路案内照射モードDの照射状況の一例を示す図である。単独の経路案内照射モードDが実行されている場合、制御部12の配光制御部12bは、情報取得部11で取得された車両31の位置情報及び経路探索結果に基づいて、車両31が、案内表示オブジェクト46を照射すべき範囲に位置するか否かを判定する。案内表示オブジェクト46を照射すべき範囲は、例えば、車両が進行を変更すべき分岐地点などの進行変更地点38から一定距離だけ離れた範囲、または、一定時間後(例えば5秒後)に進行変更地点38に到着可能な範囲である。
【0109】
車両31が、案内表示オブジェクト46を照射すべき地点に位置すると判定した場合に、配光制御部12bは、進行変更地点38近傍に案内表示オブジェクト46をサブライト23bに照射させる。
図23の案内表示オブジェクト46は、進行変更地点38から車両31進行すべき経路39を示す矢印である。なお、案内表示オブジェクト46は、車両が進行すべき経路を案内する表示オブジェクトであれば、矢印に限ったものではない。
【0110】
<協調照射>
本実施の形態3に係る制御部12は、実施の形態1に係る制御部12と同様に、実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を、残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。ただし、実施の形態1に係る協調照射は、視線連動照射優先モードCbaを含んだが、本実施の形態3に係る協調照射は、視線連動照射モードBの顕著性が、経路案内照射モードDの顕著性よりも高い視線連動照射優先モードCbdを含む。つまり本実施の形態3に係る制御部12は、視線連動照射モードB及び経路案内照射モードDのうち視線連動照射モードBの顕著性が相対的に高い視線連動照射優先モードCbdを実行する。
【0111】
図24は、視線連動照射優先モードCbdの照射状況の一例を示す図である。実行中の照射モードとしての経路案内照射モードDが実行されており、予め定められた遷移条件を満足する場合として運転者の視線が案内表示オブジェクト46に向いた場合、または、進行変更地点38から進行すべき道路の方向に向いた場合に、制御部12の配光制御部12bは、異なる照射モードとしての視線連動照射優先モードCbdを実行する。
【0112】
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る配光制御装置1によれば、実施の形態1と同様に、制御部12は、実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を、残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。このような構成によれば、運転者はどの照射に注目すればよいかを容易に知ることができる。
【0113】
また本実施の形態3によれば、経路案内照射モードDが実行されており、運転者の視線方向が案内表示オブジェクト46に向いた場合、または、進行変更地点38から進行すべき道路の方向に向いた場合に、制御部12は、視線連動照射優先モードCbdを実行する。このような構成によれば、進行すべき経路を視認した時点以降に、視線照射領域37によって進行すべき経路を容易に確認することができるので、運転者の一般的な注意確認傾向に合わせた配光制御を行うことができる。
【0114】
<変形例1>
実施の形態3では、協調照射は、視線連動照射優先モードCbdを含んだが、経路案内照射モードDの顕著性が、視線連動照射モードBの顕著性よりも高い経路案内照射優先モードCdbを含んでもよい。例えば、実行中の照射モードとして視線連動照射優先モードCbdが実行されており、予め定められた遷移条件を満足する場合として車両31が進行変更地点38にさらに近い地点に到達しても運転者が案内表示オブジェクト46を再度視認しなかった場合に、配光制御部12bは、異なる照射モードとしての経路案内照射優先モードCdbに遷移して協調照射を実行してもよい。進行変更地点38にさらに近い地点は、例えば2秒後に進行変更地点38に到達可能な地点であってもよい。また、実行中の照射モードとして経路案内照射モードDが実行されており、予め定められた遷移条件を満足する場合として車両31が進行変更地点38にさらに近い地点に到達した場合に、配光制御部12bは、運転者の視線に関わらず、異なる照射モードとしての経路案内照射優先モードCdbに遷移し協調照射を実行してもよい。
【0115】
また、強調照射モードは、視線連動照射モードBと、経路案内照射モードDとを含んだが、要注意領域照射モードAと、視線連動照射モードBと、経路案内照射モードDとを含んでもよい。協調照射は、視線連動照射モードBの顕著性が経路案内照射モードDの顕著性よりも高く、要注意領域照射モードAの顕著性が視線連動照射モードBの顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードCabdを含んでもよい。また、協調照射は、要注意領域照射モードAの顕著性が経路案内照射モードDの顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードCadを含んでもよい。
【0116】
そして、実行中の照射モードとして視線連動照射優先モードCbdが実行されており、予め定められた遷移条件を満足する場合として新たな要注意領域が特定された場合に、配光制御部12bは、
図25のように異なる照射モードとしての要注意領域照射優先モードCabdを実行してもよいし、
図26のように要注意領域照射優先モードCadに遷移し協調照射を実行してもよい。また、協調照射は、経路案内照射モードDの顕著性が視線連動照射モードBの顕著性よりも高く、要注意領域照射モードAの顕著性が経路案内照射モードDの顕著性よりも高い要注意領域照射優先モードCadbを含んでもよい。
【0117】
また以上の説明では、協調照射において、要注意領域照射モードA、視線連動照射モードB及び経路案内照射モードDの顕著性が全て異なっていたが、これに限ったものではない。例えば、協調照射において、要注意領域照射モードAの顕著性と視線連動照射モードBの顕著性とが同じであり、かつ、これらの顕著性が経路案内照射モードDの顕著性よりも高いマルチ優先照射モードCmを含んでもよい。そして、視線連動照射優先モードCbdが実行されており、新たな要注意領域が特定された場合に、配光制御部12bは、
図27のようにマルチ優先照射モードCmを実行してもよい。
【0118】
<変形例2>
実施の形態3では、ナビゲーション装置25は、車両の位置情報を取得するロケータと、道路単位の道路形状データを有する通常精度地図データベースとを有していたが、これに限ったものではない。例えば、ナビゲーション装置25は、車両の位置情報をサブメータ級の精度で取得する高精度ロケータ(HDL)と、車線単位の道路形状データを有する高精度地図データベース(HD地図データベース)とを有してもよい。
【0119】
そして、ナビゲーション装置25は、サブメータ級の精度の位置情報と、HD地図データベースとに基づいて、経路探索及び経路誘導を行うことによって、車両の情報は、サブメータ級の精度の位置情報及び経路探索結果を含んでもよい。このような構成によれば、例えば、経路が分岐地点から左側に向かう道路であり、車両が、当該道路に進入できる車線を走行していない場合に、配光制御部12bは、車線変更を示す案内表示オブジェクト46をサブライト23bに照射させてもよい。
【0120】
<変形例3>
照射モードは、車両が進行すべき経路が、現在、車両が走行している道路と分岐地点で接続された分岐道路である場合に、分岐道路に沿った領域をサブライト23bに照射させる進行道路照射モードEをさらに含んでもよい。協調照射は、視線連動照射モードBの顕著性が進行道路照射モードEの顕著性よりも高い視線連動照射優先モードCbeを含んでもよい。そして、
図28のように、車両が進行すべき経路39である分岐道路を照射する進行道路照射モードEが実行されており、運転者の視線が、分岐道路に向いた場合に、配光制御部12bは、
図29のように視線連動照射優先モードCbeを実行してもよい。
【0121】
<変形例4>
強調照射モードは、案内標識が、車両の車線変更に関係する案内を示す場合に、案内標識をサブライト23bに照射させる案内標識照射モードFをさらに含んでもよい。協調照射は、例えば視線連動照射モードBの照射態様の顕著性が案内標識照射モードFの顕著性よりも高い視線連動照射優先モードCbfを含んでもよい。
【0122】
<その他>
実施の形態1、実施の形態1の変形例1~4、実施の形態2、及び、実施の形態2の変形例1~8の少なくともいずれか1つと、実施の形態3及び実施の形態3の変形例1~4の少なくともいずれか1つとが、任意に組み合わせられてもよい。
【0123】
<その他の変形例>
上述した
図1の情報取得部11及び制御部12を、以下「情報取得部11等」と記す。情報取得部11等は、
図30に示す処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、車両の周辺情報、車両の情報、及び、車両の運転者の視線方向に関する視線情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得する情報取得部11と、少なくともいずれかの情報に基づいて灯火装置に強調照射させる複数の強調照射モードを有し、実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに実行中の照射モードから遷移するとともに、異なる照射モードにおいて複数の強調照射モードがあるときは実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を、残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する制御部12と、を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されてもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されてもよい。プロセッサには、例えば、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
【0124】
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。情報取得部11等の各部の機能それぞれは、処理回路を分散させた回路で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0125】
処理回路81がプロセッサである場合、情報取得部11等の機能は、ソフトウェア等との組み合わせにより実現される。なお、ソフトウェア等には、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェア及びファームウェアが該当する。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。
図31に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、配光制御装置1は、処理回路81により実行されるときに、車両の周辺情報、車両の情報、及び、車両の運転者の視線方向に関する視線情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得するステップと、少なくともいずれかの情報に基づいて灯火装置に強調照射させる複数の強調照射モードを準備するステップと、実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに実行中の照射モードから遷移するとともに、異なる照射モードにおいて複数の強調照射モードがあるときは実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行するステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、情報取得部11等の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、それらのドライブ装置、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0126】
以上、情報取得部11等の各機能が、ハードウェア及びソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、情報取得部11等の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、情報取得部11については専用のハードウェアとしての処理回路81でその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0127】
以上のように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0128】
また、以上で説明した配光制御装置は、車両装置と、通信端末と、車両装置及び通信端末の少なくとも1つにインストールされるアプリケーションの機能と、サーバとを適宜に組み合わせてシステムとして構築される配光制御システムにも適用することができる。通信端末は、例えば、携帯電話、スマートフォン及びタブレットなどを含む。以上で説明した配光制御装置の各機能あるいは各構成要素は、前記システムを構築する各機器に分散して配置されてもよいし、いずれかの機器に集中して配置されてもよい。
【0129】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0130】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0131】
1 配光制御装置、11 情報取得部、11a 周辺情報取得部、11b 視線情報取得部、12 制御部、12a 要注意領域特定部、12b 配光制御部、23b サブライト、36 要注意領域、37 視線照射領域、41 阻止表示オブジェクト、42 誘導表示オブジェクト、46 案内表示オブジェクト。
【要約】
運転者にとって適切な協調照射を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。配光制御装置は、情報取得部で取得された少なくともいずれかの情報に基づいて灯火装置に強調照射させる複数の強調照射モードを有する制御部を備える。制御部は、実行中の照射モードにおいて予め定められた遷移条件を満足したとき異なる照射モードに実行中の照射モードから遷移するとともに、異なる照射モードにおいて複数の強調照射モードがあるときは実行中の照射モードと遷移条件とに基づいて、複数の強調照射モードのうちの1つ以上かつ全て未満の強調照射モードの照射態様の顕著性を残りの強調照射モードの照射態様の顕著性よりも高くする協調照射を実行する。