(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】回転電機及び回転電機システム
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
H02K5/00 B
(21)【出願番号】P 2024558297
(86)(22)【出願日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 JP2024014672
【審査請求日】2024-10-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2022年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 俊
(72)【発明者】
【氏名】三浦 英明
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特許第6880348(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第110912376(CN,A)
【文献】特開平2-17846(JP,A)
【文献】特開2000-270507(JP,A)
【文献】国際公開第2022/239190(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K5/00
H02K9/19
H02K55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに回転可能である回転子と、
固定子と、
前記回転子及び前記固定子を収容するハウジングと、
前記ハウジングに対して前記回転子を回転可能に支持する複数の軸受とを備え、
前記回転子は、シャフトと、前記シャフトに接続されている回転子コアと、前記回転子コアに巻き回されている回転子巻線と
、前記回転子の外殻を成している常温ダンパとを有し、
前記固定子は、前記ハウジングに接続されている固定子鉄心と、固定子巻線とを有し、
前記軸線に対する径方向において前記回転子
の前記常温ダンパと前記固定子との間に配置されている部分を有する少なくとも1つの静電シールドをさらに備え、
前記少なくとも1つの静電シールドには、前記径方向において前記少なくとも1つの静電シールドよりも前記回転子側に位置する第1空間と、前記径方向において前記少なくとも1つの静電シールドに対して前記回転子とは反対側に位置する第2空間とを連通させる複数の連通孔が設けられており、
前記複数の軸受の各々は、前記シャフト
及び前記常温ダンパに電気的に接続されている内輪と、前記ハウジングに電気的に接続されている外輪とを有し、
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記固定子鉄心及び前記ハウジングのいずれかに電気的に接続されている、回転電機。
【請求項2】
前記シャフトは、前記軸線の延在方向において前記回転子コアに対して一方の側に延びている第1シャフトと、前記延在方向において前記回転子コアに対して他方の側に延びている第2シャフトとを有し、
前記複数の軸受は、前記第1シャフトを回転可能に支持する第1軸受と、前記第2シャフトを回転可能に支持する第2軸受とを有し、
前記ハウジングは、前記第1軸受の前記外輪に接続されている第1壁部と、前記第2軸受の前記外輪に接続されている第2壁部とを有し、
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記第1壁部及び前記第2壁部の少なくともいずれかに電気的に接続されている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記第1壁部と前記第2壁部との間に渡されている、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの静電シールドは、第1静電シールド及び第2静電シールドを有する複数の静電シールドであり、
前第1静電シールド及び前記第2静電シールドは、前記軸線の延在方向において互いに間隔を空けて配置されており、
前記第1静電シールドは、前記第1壁部に電気的に接続されており、
前記第2静電シールドは、前記第2壁部に電気的に接続されている、請求項2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記固定子と間隔を空けて配置されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記固定子鉄心を介して前記ハウジングに電気的に接続されている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項7】
前記シャフトは、前記軸線の延在方向において前記回転子巻線に対して一方の側に延びている第1シャフトと、前記延在方向において前記回転子巻線に対して他方の側に延びている第2シャフトとを有し、
前記複数の軸受は、前記第1シャフトを回転可能に支持する第1軸受と、前記第2シャフトを回転可能に支持する第2軸受とを有し、
前記ハウジングは、前記第1軸受の前記外輪に接続されている第1壁部と、前記第2軸受の前記外輪に接続されている第2壁部とを有し、
前記少なくとも1つの静電シールドは、第1静電シールド及び第2静電シールドを有する複数の静電シールドであり、
前第1静電シールド及び前記第2静電シールドは、前記軸線の延在方向において互いに間隔を空けて配置されており、
前記第1静電シールドは、前記軸線の延在方向における前記固定子鉄心の一方端に電気的に接続されており、
前記第2静電シールドは、前記軸線の延在方向における前記固定子鉄心の他方端に電気的に接続されている、請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記固定子鉄心は、前記径方向において前記回転子巻線を囲む内周面を有し、
前記固定子鉄心には、前記内周面に開口する少なくとも1つのスロットが設けられており、
前記固定子巻線の一部は、前記少なくとも1つのスロット内に配置されており、
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記少なくとも1つのスロットの前記開口を塞ぐように前記少なくとも1つのスロット内に配置されている部分を有する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記少なくとも1つのスロット内に配置されている部分のみからなる、請求項8に記載の回転電機。
【請求項10】
前記固定子鉄心は、円筒状のバックヨークと、前記バックヨークから前記回転子側に突出する複数のティースと、前記複数のティースの各々の前記径方向の内周端から前記シャフトに対する周方向に突出する複数の鍔とを有し、
前記少なくとも1つのスロットは、前記複数のティース間に形成され、
前記少なくとも1つのスロットの前記開口は、前記複数のティースの各々の前記鍔間に形成され、
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記径方向において前記固定子巻線の前記一部と前記鍔との間に配置されている、請求項
8に記載の回転電機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの静電シールドは、前記ハウジングと間隔を空けて配置されている、請求項6
又は7に記載の回転電機。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記回転子巻線を冷却するための冷却媒体を収容する容器であり、
前記回転子には、前記冷却媒体が前記ハウジングの外部から前記回転子巻線を経て前記第1空間に流出するための第1流路が設けられており、
前記ハウジングには、前記冷却媒体が前記第2空間から前記ハウジングの外部に流出するための第2流路が設けられている、請求項1~
4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項13】
前記回転子巻線は、超電導巻線である、請求項12に記載の回転電機。
【請求項14】
請求項
12に記載の回転電機と、
前記冷却媒体を前記第1流路に供給するための供給部と、
前記冷却媒体を前記第2流路から回収するための回収部とを備える、回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機及び回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平01-144356号公報(特許文献1)には、回転子の界磁巻線が超電導線材で構成されている超電導回転電機が記載されている。超電導回転電機は、常温状態においてガスヘリウムよりも絶縁性の高い冷媒を用いて回転子及び固定子を冷却するように設けられている。回転子の回転軸は、軸受によって固定子フレームに対して回転自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記回転電機では、回転子と固定子鉄心及び固定子巻線との間に浮遊容量が生じる。そのため、回転軸と固定子フレームとの間に電位差が生じ、結果、軸受の内輪と外輪との間にも電位差が生じる。これにより、軸受に電気的ストレスが加わり、軸受が損傷するリスクがある。
【0005】
本開示の主たる目的は、回転子及び固定子の各々に対する冷却実現しつつ、軸受の損傷リスクを低減することができる回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る回転電機は、軸線周りに回転可能である回転子と、固定子と、回転子及び固定子を収容するハウジングと、ハウジングに対して回転子を回転可能に支持する複数の軸受とを備える。回転子は、シャフトと、シャフトに接続されている回転子コアと、回転子コアに巻き回されている回転子巻線とを有する。固定子は、ハウジングに接続されている固定子鉄心と、固定子巻線とを有する。回転電機は、軸線に対する径方向において回転子と固定子との間に配置されている部分を有する少なくとも1つの静電シールドをさらに備える。少なくとも1つの静電シールドには、径方向において少なくとも1つの静電シールドよりも回転子側に位置する第1空間と、径方向において少なくとも1つの静電シールドに対して回転子とは反対側に位置する第2空間とを連通させる複数の連通孔が設けられている。複数の軸受は、シャフトに電気的に接続されている内輪と、ハウジングに電気的に接続されている外輪とを有する。少なくとも1つの静電シールドは、固定子鉄心及びハウジングのいずれかに電気的に接続されている。
【0007】
本開示に係る回転電機システムは、上記回転電機と、冷却媒体を第1流路に供給するための供給部と、冷却媒体を第2流路から回収するための回収部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、回転子及び固定子の各々に対する冷却実現しつつ、軸受の損傷リスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る回転電機及び回転電機システムを示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る回転電機の回転子、固定子、及び静電シールドを示す分部拡大断面図である。
【
図3】実施の形態2に係る回転電機及び回転電機システムを示す断面図である。
【
図4】実施の形態3に係る回転電機及び回転電機システムを示す断面図である。
【
図5】実施の形態3に係る回転電機の回転子、固定子、及び静電シールドを示す分部拡大断面図である。
【
図6】実施の形態4に係る回転電機を示す断面図である。
【
図7】実施の形態4に係る回転電機の回転子、固定子、及び静電シールドを示す分部拡大断面図である。
【
図8】実施の形態1~4に係る回転電機の組み合わせの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0011】
実施の形態1.
<回転電機の構成>
実施の形態1に係る回転電機は、超電導回転電機である。
図1に示されるように、実施の形態1に係る回転電機101は、回転子1と、固定子2と、ハウジング3と、1対の軸受4と、静電シールド5と、磁気シールド6とを備える。
【0012】
回転子1は、軸線CA周りに回転可能である。以下では、回転子1の軸線CAに対する径方向及び周方向を、単に径方向及び周方向と記載する。回転子1は、例えば軸線CAが水平方向に沿うように配置される。なお、
図1は、軸線CAに沿った断面図である。
【0013】
回転子1は、シャフト10と、回転子コア11と、回転子巻線12と、低温ダンパ15と、常温ダンパ16とを有する。回転子巻線12は、超電導巻線である。低温ダンパ15は、上記径方向において常温ダンパ16よりも内側に設けられている。回転子コア11及び回転子巻線12は、上記径方向において低温ダンパ15よりも内側に設けられている。回転子1は、上記径方向において後述する固定子2の固定子鉄心21と対向する外周面13を有する。外周面13は、例えば常温ダンパ16の外周面である。
【0014】
シャフト10は、軸線CAに沿って延びている。シャフト10は、第1シャフト10A及び第2シャフト10Bを有する。第1シャフト10A及び第2シャフト10Bは、軸線CA上に互いに間隔を空けて配置されている。第1シャフト10Aは、軸線CAの延在方向において回転子コア11から一方の側に延びている。第2シャフト10Bは、軸線CAの延在方向において回転子コア11から他方の側に延びている。
【0015】
回転子コア11は、例えば磁性体により構成されている回転子鉄心である。なお、回転子コア11は、例えばステンレス鋼(SUS)等の非磁性体により構成されていてもよい。
【0016】
回転子巻線12は、回転子コア11に巻き回されている。回転子巻線12は、いわゆる低温超電導巻線であってもよい。好ましくは、回転子巻線12は、超電導転移温度が窒素ガスの液化温度(77K)以上の高温超電導巻線である。
【0017】
回転子1には、回転子巻線12の一部を収容する複数のスロット14が設けられている。複数のスロット14は、上記周方向に互いに間隔を空けて配置されている。複数のスロット14の各々は、上記径方向において低温ダンパ15よりも内側に設けられている。
【0018】
低温ダンパ15は、図示しない連通孔によって常温ダンパ16と連通している。
常温ダンパ16は、回転子1の外殻を成している。常温ダンパ16は、シャフト10に電気的に接続されている。常温ダンパ16は、例えばシャフト10と同電位である。第1シャフト10A及び第2シャフト10Bの各々は、常温ダンパと同電位である。
【0019】
回転子1は、冷却媒体を回転子巻線12に供給するための構造及び回転子巻線12に供給された冷却媒体を回転子1の外部に放出するための構造を有している。当該構造の詳細については、後述する。
【0020】
固定子2は、ハウジング3に固定されている。固定子2は、上記径方向において回転子巻線12よりも外側に配置されている。固定子2は、上記周方向において回転子巻線12の全周を囲んでいる。固定子2は、固定子鉄心21と、固定子巻線22とを有する。
【0021】
固定子鉄心21は、ハウジング3に電気的に接続されている。固定子鉄心21は、上記径方向において回転子コア11の外周面13と対向する内周面23を有する。固定子鉄心21の内周面23と回転子コア11の外周面13との間には、空隙(エアギャップ)が設けられている。
【0022】
固定子鉄心21には、固定子巻線22の一部を収容する複数のスロット24が設けられている。複数のスロット24は、上記周方向に互いに間隔を空けて配置されている。複数のスロット24の各々は、例えば内周面23に開口する開口部24A(
図2参照)を有している。
【0023】
固定子巻線22は、固定子鉄心21に巻き回されている。固定子巻線22は、固定子鉄心21の複数のスロット24の各々に収容されている複数の第1部分22Aと、軸線CAの延在方向において固定子鉄心21よりも外側に突出している複数の第2部分22Bとを有している。複数の第2部分22Bの各々は、上記周方向において隣り合う2つのスロット24の各々に収容されている2つの第1部分22A間を接続する部分、いわゆるコイルエンド、である。固定子巻線22の全体は、固定子鉄心21の内周面23よりも外側に配置されている。固定子巻線22は、例えば常電導巻線である。なお、固定子巻線22は、超電導巻線であってもよい。
【0024】
ハウジング3は、回転子1及び固定子2を収容している。ハウジング3は、軸線CAの延在方向において互いに対向する第1壁部3A及び第2壁部3Bと、第1壁部3Aと第2壁部3Bとの間を接続する第3壁部3Cとを有している。第1シャフト10Aは、第1壁部3Aよりも外側に配置されている部分を有している。第2シャフト10Bは、第2壁部3Bよりも外側に配置されている部分を有している。固定子2は、磁気シールド6を介して第3壁部3Cに固定されている。固定子鉄心21は、第3壁部3Cに電気的に接続されている。第1壁部3A及び第2壁部3Bは、例えば固定子鉄心21と同電位である。
【0025】
ハウジング3は、冷却媒体を外部に排出するための構造を有している。当該構造の詳細については、後述する。
【0026】
1対の軸受4は、第1シャフト10Aを回転可能に支持する第1軸受4Aと、第2シャフト10Bを回転可能に支持する第2軸受4Bとを有する。第1軸受4A及び第2軸受4Bは、例えば転がり軸受である。第1軸受4Aは、第1シャフト10Aに接続されている内輪と、ハウジング3の第1壁部3Aに接続されている外輪と、転動体とを有する。第2軸受4Bは、第2シャフト10Bに接続されている内輪と、ハウジング3の第2壁部3Bに接続されている外輪と、転動体とを有する。第1軸受4A及び第2軸受4Bにおいて、内輪及び外輪の各々と転動体との間には、潤滑油が供給されている。
【0027】
第1軸受4Aの外輪は、第1壁部3A及び第3壁部3Cを介して固定子鉄心21に電気的に接続されている。第1軸受4Aの内輪は、第1シャフト10Aに電気的に接続されている。第2軸受4Bの外輪は、第2壁部3B及び第3壁部3Cを介して固定子鉄心21に電気的に接続されている。第2軸受4Bの内輪は、第2シャフト10Bに電気的に接続されている。第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々において、内輪と外輪との間の電位差は、回転子1の常温ダンパと固定子鉄心21との間の電位差と等しい。
【0028】
静電シールド5は、上記径方向において回転子1と固定子2との間に配置されている部分を有する。静電シールド5の上記部分は、常温ダンパ16の外周面13と固定子鉄心21の内周面23との間の上記空隙内に配置されている。静電シールド5は、上記径方向において常温ダンパ16の外周面13及び固定子鉄心21の内周面23の各々と間隔を空けて配置されている。静電シールド5は、上記径方向において固定子巻線22の上記複数の第1部分及び上記複数の第2部分の各々と間隔を空けて配置されている。
【0029】
静電シールド5は、ハウジング3に電気的に接続されている。静電シールド5は、ハウジング3に固定されている。静電シールド5は、第1壁部3Aと第2壁部3Bとの間に渡されている。静電シールド5は、第1壁部3Aに電気的に接続されている一端と、第2壁部3Bに電気的に接続されている他端とを有している。静電シールド5の上記一端は、第1壁部3Aに固定されている。静電シールド5の上記他端は、第2壁部3Bに固定されている。静電シールド5は、第1壁部3A及び第2壁部3Bと同電位である。
【0030】
以下では、ハウジング3の内部空間であって、上記径方向において静電シールド5よりも回転子1側に位置する空間を、第1空間S1と記載する。ハウジング3の内部空間であって、上記径方向において静電シールド5に対して回転子1とは反対側に位置する空間を、第2空間S2と記載する。静電シールド5には、上記第1空間S1と上記第2空間S2とを連通させる複数の連通孔50が設けられている。複数の連通孔50は、軸線CAの延在方向及び上記周方向の各々において互いに間隔を空けて配置されている。複数の連通孔50の各々は、例えば静電シールド5を上記径方向に貫通する貫通孔である。複数の連通孔50の各々は、上記径方向において常温ダンパ16の外周面13及び固定子鉄心21の内周面23の各々と間隔を空けて配置されている。なお、複数の連通孔50の数は、任意の数であればよい。
【0031】
静電シールド5を構成する材料は、導電性を有する非磁性材料を含む。静電シールド5を構成する材料は、例えばCu及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを含む。静電シールド5は、樹脂からなる本体部と、本体部の表面を覆う導電膜とを有していてもよい。この場合、導電膜が導電性を有する非磁性材料により構成されていればよい。導電膜の形成方法は特に制限されない。導電膜は、めっき膜であってもよい。なお、静電シールド5は、導電性を有する非磁性材料からなる単一の部材であってもよい。静電シールド5は、例えば環状部材である。
【0032】
磁気シールド6は、ハウジング3において固定子2よりも上記径方向の外側に配置されている。磁気シールド6は、上記径方向において固定子2とハウジング3の第3壁部3Cとの間に配置されている。磁気シールド6は、回転電機101の内部から外部へ漏洩する磁束を減少させる。
【0033】
図2は、軸線CAに直交する断面での、回転電機101の回転子1、固定子2、及び静電シールド5を示す部分拡大断面図である。なお、
図2では、回転子1の内部の図示が
図1よりも簡略化されている。
図2に示されるように、固定子鉄心21は、バックヨーク25と、複数のティース26と、複数の鍔27とを有する。
【0034】
バックヨーク25は、円筒状である。バックヨーク25は、磁気シールド6に接続されている。
【0035】
複数のティース26は、バックヨーク25から回転子1側に突出する。複数のティース26は、上記周方向において互いに間隔を空けて配置されている。複数のスロット24は、上記周方向において複数のティース26間に形成されている。固定子巻線22は、複数のティース26の各々の周囲に巻き回されている。
【0036】
複数の鍔27は、複数のティース26の各々の上記径方向の内周端から上記周方向に突出する。上記周方向において互いに隣り合う2つのティース26の各内周端から突出する1対の鍔27は、上記周方向において互いに間隔を空けて配置されている。複数のスロット24の各々の上記開口部24Aは、上記1対の鍔27間に形成されている。
【0037】
静電シールド5は、上記径方向において複数のスロット24の各々の開口部24Aと重なるように配置されている。なお、連通孔50が、上記径方向において複数のスロット24の各々の開口部24Aと重なるように配置されていてもよい。
【0038】
次に、
図1を参照して、冷却媒体を回転子巻線12に供給するための回転子1の構造例について説明する。
【0039】
回転子1には、冷却媒体がハウジング3の外部から回転子巻線12を経て第1空間に流出するための第1流路F1が設けられている。第1流路F1は、冷却媒体が流入する流入口I1と、冷却媒体が流出する複数の流出口O1とを有する。流入口I1は、ハウジング3の外部において後述する供給部111に接続される。複数の流出口O1の各々は、常温ダンパ16の外周面13上に開口する。
【0040】
第1流路F1は、例えば、第3流路F3と、複数の第4流路F4と、複数のスロット14と、複数の第5流路F5とを有している。第3流路F3、複数の第4流路F4、複数のスロット14、及び複数の第5流路F5は、互いに直列に接続されている。第3流路F3は、流入口I1を有している。複数の第5流路F5の各々は、流出口O1を有している。
【0041】
第3流路F3は、軸線CAに沿って延びている。第3流路F3は、第1シャフト10A及び回転子コア11の内部に設けられている。第3流路F3は、回転子コア11の内部において、回転子巻線12よりも内側に配置されている。
【0042】
複数の第4流路F4の各々は、上記径方向に沿って延びている。複数の第4流路F4の各々は、回転子コア11の内部において、回転子巻線12よりも上記径方向の内側に設けられている。複数の第4流路F4の各々は、第3流路F3と連なっている。複数の第4流路F4の各々は、第3流路F3と複数のスロット14の各々との間を連通する。複数の第4流路F4の各々は、上記周方向及び軸線CAの延在方向において互いに間隔を空けて配置されている。
【0043】
複数の第5流路F5の各々は、上記径方向に沿って延びている。複数の第5流路F5の各々は、回転子コア11の内部において、回転子巻線12よりも上記径方向の外側に設けられている。複数の第5流路F5の各々は、複数のスロット14を介して、複数の第4流路F4の少なくとも1つと連なっている。複数の第5流路F5の各々は、複数のスロット14の各々と、常温ダンパ16の外周面13との間を連通する。複数の第5流路F5の各々は、上記周方向及び軸線CAの延在方向において互いに間隔を空けて配置されている。
【0044】
第3流路F3は、第1シャフト10Aに挿通されている管と、回転子コア11の内部に設けられており冷却媒体を貯留可能な容器とによって構成されてもよい。複数の第4流路F4及び複数の第5流路F5の各々は、例えば回転子コア11の内部に設けられている管によって構成されてもよい。
【0045】
回転子巻線12において互いに隣り合う線材間には、冷却媒体が流通可能な微小な隙間が存在する。複数の第4流路F4の各々から複数のスロット14の各々に流入した冷却媒体は、回転子巻線12において互いに隣り合う線材間に存在する上記隙間を通り、複数の第5流路F5の各々に流出する。
【0046】
第1流路F1を流れる冷却媒体は、回転子巻線12を冷却した後、第1空間S1に流出する。第1空間S1に流出した冷却媒体は、静電シールド5に設けられている複数の連通孔50を経て、第2空間S2に流入する。
【0047】
次に、
図1を参照して、冷却媒体を回転電機101の外部に排出するためのハウジング3の構造例について説明する。
【0048】
ハウジング3には、冷却媒体が第2空間S2からハウジングの外部に流出するための第2流路F2が設けられている。第2流路F2は、冷却媒体が流入する流入口I2と、冷却媒体が流出する流出口O2とを有する。流入口I2は、ハウジング3の第2空間S2に開口する。流入口I2は、例えば、固定子2よりも上記径方向の外側であり、かつ固定子2よりも軸線CAの延在方向の外側に配置されている。流入口I2は、ハウジング3において重力方向における最も下側に配置されていてもよい。このような第2流路F2により、液化状態の冷却媒体を効率的に回収できる。流入口I2は、ハウジング3において重力方向における最も上側に配置されていてもよい。このような第2流路F2により、気化状態の冷却媒体を効率的に回収できる。流入口I2は、例えば第2空間S2中の上方に位置する空間部分に開口する。流出口O2は、ハウジング3の外部において後述する回収部121に接続される。
【0049】
第2流路F2は、例えば軸線CAの延在方向において固定子2に対して負荷とは反対側に配置されている。
【0050】
<回転電機システムの構成>
図1に示されるように、実施の形態1に係る回転電機システム201は、実施の形態1に係る回転電機101と、供給部111と、回収部121とを主に備える。回転電機システム201において、回転電機101と、供給部111と、回収部121とは、例えば、冷却媒体の少なくとも一部が循環する回路に含まれている。
【0051】
供給部111は、冷却媒体を回転電機101に供給する。供給部111は、第1流路F1の流入口I1に接続されている。好ましくは、供給部111は、液相の冷却媒体を回転電機101に供給する。供給部111は、例えば冷却媒体を送りこむためのポンプを有する。
【0052】
回収部121は、回転電機101から冷却媒体を回収する。回収部121は、例えば回転電機101から気相の冷却媒体を回収する。回収部121は、例えばポンプを有する。
【0053】
回転電機システム201は、例えば、冷却部131と、貯蔵部141とを備える。回転電機システム201において、冷却部131及び貯蔵部141は、上記回路に含まれている。
【0054】
冷却部131は、回収部121によって回転電機101から回収された冷却媒体を冷却する。冷却部131は、例えば、気相の冷却媒体を液相の冷却媒体に凝縮する凝縮部である。冷却部131は、例えば熱交換器である。貯蔵部141は、冷却媒体を貯蔵する。貯蔵部141は、例えば冷却部131によって凝縮された液相の冷却媒体を貯蔵する。
【0055】
冷却媒体は、回転子巻線12を適切に冷却できる限りにおいて、特に制限されない。回転子巻線12が低温超電導巻線である場合、冷却媒体は例えば液体ヘリウムである。回転子巻線12が高温超電導巻線である場合、冷却媒体は例えば液体窒素である。回転子巻線12に供給される冷却媒体の温度は、超電導巻線の転位温度以下である。冷却媒体の蒸発温度は、超電導巻線の転位温度よりも高い。
【0056】
回転電機システム201において、シャフト10は、第2シャフト10B側において、図示しない負荷に接続される。タービンは、シャフト10とともに軸線CA周りに回転するように設けられる。なお、回転電機システム201の負荷の一例として、ギア(歯車)及び動力機構等が挙げられる。
【0057】
<作用>
回転電機101は、上記径方向において回転子1と固定子巻線22との間に配置されている部分を有し、ハウジング3に電気的に接続されている静電シールド5を備える。静電シールド5は、静電シールド5を備えない回転電機との対比において、回転子1と固定子巻線22との間の浮遊容量を小さくし、第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々の内輪と外輪との間の電位差を小さくする。その結果、回転電機101における第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々の損傷リスクは、従来の回転電機における軸受の損傷リスクと比べて、低減され得る。
【0058】
回転電機101の静電シールド5には、第1空間S1と第2空間S2とを連通させる複数の連通孔50が設けられている。複数の連通孔50は、回転子1にて生じた熱が第1空間S1に蓄えられること、及び固定子2に生じた熱が第2空間S2に蓄えられることを抑制できる。冷却媒体が上述のようにハウジング3内に供給される場合には、複数の連通孔50は、第1空間S1及び第2空間S2の各々における冷却媒体の滞留を抑制できる。上述のように冷却媒体が第1空間S1に供給される場合には、冷却媒体は、第1空間S1から複数の連通孔50のを経て第2空間S2に流入し得る。その結果、回転電機101によれば、静電シールド5によって第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々の損傷リスクを低減しながらも、回転子1及び固定子2の各々を効率的に冷却できる。
【0059】
回転電機101では、回転子1が回転子巻線12を有するため、回転子巻線12に流れる電流量に応じて回転子1の磁束量を調整可能である。回転電機101では、回転子巻線12として超電導巻線が採用されている。そのため、回転子巻線12に供給される冷却媒体の温度が超電導転位温度以下とされれば、回転子巻線12は超電導状態に効率的に保持され得る。固定子2は、回転子巻線12の冷却に用いられた冷却媒体によって、冷却され得る。回転電機101によれば、静電シールド5によって第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々の損傷リスクを低減しながらも、回転子1に対する冷却性能を超電導回転電機の回転子に求められる冷却性能以上とすることができる。
【0060】
回転電機101では、静電シールド5が、固定子鉄心21及びハウジング3のうち、ハウジング3の第1壁部3A及び第2壁部3Bの各々に電気的に接続されている。静電シールド5は、上記径方向において固定子鉄心21の内周面23の各々と間隔を空けて配置されている。複数の連通孔50は、固定子鉄心21の内周面23によって塞がれていない。このような回転電機101では、静電シールド5が固定子鉄心21の内周面23と接続されている場合と比べて、固定子2に対する冷却効率が高い。回転電機101では、固定子2に対する冷却効率が高いため、固定子巻線22を超電導巻線とすることも可能である。
【0061】
回転電機101において、静電シールド5は、第1壁部3Aと第2壁部3Bとの間に渡されている。このような静電シールド5は、上記径方向において回転子1と固定子巻線22の全体との間に配置されるため、後述する回転電機102等と比べて、回転子1と固定子巻線22との間の浮遊容量をより小さくすることができ、第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々の内輪と外輪との間の電位差をより小さくすることができる。
【0062】
回転電機システム201は、回転電機101と、供給部111と、回収部121と、冷却部131とを備える。そのため、回転電機101と、供給部111と、回収部121と、冷却部131とを含む回路を構成することにより、回転電機101の回転子1及び固定子2は、当該回路を循環する冷却媒体によって効率的に冷却され得る。好ましくは、回転電機システム201は、貯蔵部141をさらに備える。貯蔵部141を備える回転電機システム201によれば、上記回路を循環する冷却媒体の流量を適切に制御することができ、回転電機システム201のさらなる高効率が実現され得る。
【0063】
<変形例>
回転子巻線12は、常電導巻線であってもよい。この場合にも、静電シールド5によって第1軸受4A及び第2軸受4Bの各々の損傷リスクを低減しながらも、回転子巻線12及び固定子巻線22の各々の発熱に伴う不具合の発生を抑制可能である。なお、回転子1は低温ダンパ15及び常温ダンパ16の一方あるいは両方を有していなくてもよい。外周面13は、上記径方向において回転子1の外殻を成す任意の部材の外周面であればよい。
【0064】
冷却媒体を回転子巻線12に供給するための回転子1の構造は、
図1に示される構造例に制限されない。
【0065】
回転電機101及び回転電機システム201に含まれる上述した各要素の数は、任意の数であればよい。
【0066】
実施の形態2.
実施の形態2に係る回転電機は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0067】
図3に示されるように、実施の形態2に係る回転電機102は、第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bを備える。
【0068】
第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bは、軸線CAの延在方向において互いに間隔を空けて配置されている。第1静電シールド5Aは、第1壁部3Aに電気的に接続されている。第2静電シールド5Bは、第2壁部3Bに電気的に接続されている。
【0069】
例えば、第1静電シールド5Aの軸線CAの延在方向の一方端が、第1壁部3Aに電気的に接続されている。第1静電シールド5Aの軸線CAの延在方向の他方端は、軸線CAの延在方向において固定子鉄心21と間隔を空けて配置されている。
【0070】
例えば、第2静電シールド5Bの軸線CAの延在方向の一方端が、第2壁部3Bに電気的に接続されている。第2静電シールド5Bの軸線CAの延在方向の他方端は、軸線CAの延在方向において固定子鉄心21と間隔を空けて配置されている。
【0071】
第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bの各々は、軸線CAの延在方向において固定子鉄心21と間隔を空けて配置されている。第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bの各々は、上記径方向において固定子巻線22の複数の第2部分22Bの一部と間隔を空けて配置されている。
【0072】
異なる観点から言えば、静電シールド5には、上記径方向において固定子鉄心21と重なる領域に開口する開口部が設けられている。静電シールド5は、上記径方向において固定子巻線22の複数の第2部分22Bの各一部と重なるように配置されている。
【0073】
回転電機102では、静電シールド5が上記径方向において固定子鉄心21と重ならないため、冷却媒体は固定子鉄心21の複数のスロット24内に流入しやすい。その結果、回転電機102では、回転電機101と比べて、固定子2に対する冷却効率が高い。
【0074】
実施の形態2に係る回転電機システム202は、回転電機102を備える点を除き、回転電機システム201と同様の構成を有している。
【0075】
<変形例>
回転電機102は、回転電機101と同様に変形され得る。
【0076】
実施の形態3.
実施の形態3に係る回転電機は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1又は実施の形態2と同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1又は実施の形態2と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0077】
図4及び
図5に示されるように、実施の形態3に係る回転電機103は、複数の第1静電シールド5Aと、複数の第2静電シールド5Bとを備える。
【0078】
複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々は、固定子鉄心21を介して、ハウジング3に電気的に接続されている。複数の第1静電シールド5Aの各々は、上記周方向に互いに間隔を空けて配置されている。複数の第2静電シールド5Bの各々は、上記周方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0079】
複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々は、複数のスロット24の各々の内部に配置されている第3部分51を有する。複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々の第3部分51は、固定子鉄心21に電気的に接続されている。第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bの各々の上記第3部分51は、例えば、複数のスロット24の上記開口の一部を塞ぐように設けられている。
【0080】
複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々は、例えば上記径方向において回転子1と固定子巻線22の複数の第2部分22Bとの間に配置されている第4部分52をさらに有する。複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々の第4部分52は、ハウジング3と間隔を空けて配置されている。複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々の第4部分52は、固定子巻線22と間隔を空けて配置されている。
【0081】
図5に示されるように、複数の第1静電シールド5A及び複数の第2静電シールド5Bの各々の上記第3部分51は、上記径方向において固定子巻線22の複数の第1部分22Aの各々と上記1対の鍔27との間に配置されている。各第3部分51は、例えば、上記1対の鍔27の各々に電気的に接続されている。各第3部分51は、例えば、上記1対の鍔27の各々と、上記1対の鍔27の各々に連なる複数のティース26の各々の先端部分と、接触している。
【0082】
回転電機103においても、回転電機102と同様に、静電シールド5が上記径方向において固定子鉄心21と重ならないため、冷却媒体は第1空間S1と第2空間S2との間を流れやすい。その結果、回転電機103では、回転電機101と比べて、固定子2に対する冷却効率が高い。
【0083】
また、回転電機101,102では、固定子2及び静電シールド5を個別にハウジング3に固定する必要があるため、固定子2、ハウジング3、及び静電シールド5について組み立て交差及び製造公差等を管理する必要がある。これに対し、回転電機103では、静電シールド5は固定子2と一体としてハウジング3に固定され得る。そのため、回転電機103によれば、固定子2及び静電シールド5とハウジング3との組み立て交差及び製造公差等の管理を緩和できる。
【0084】
実施の形態3に係る回転電機システム203は、回転電機103を備える点を除き、回転電機システム201と同様の構成を有している。
【0085】
<変形例>
第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bの各々は、固定子鉄心21の軸線CAの延在方向の端面に固定されていてもよい。
【0086】
回転電機103は、静電シールドとして、第1静電シールド5A及び第2静電シールド5Bのいずれかのみを備えていてもよい。例えば、第2軸受4Bの加わる機械的ストレスが第1軸受4Aに加わる機械的ストレスよりも大きい場合、第2軸受4Bの加わる電気的ストレスが第1軸受4Aに加わる電気的ストレスよりも小さくなるように、回転電機103は静電シールドとして第2静電シールド5Bのみを備えていてもよい。
【0087】
回転電機103は、回転電機101,102と同様に変形され得る。
実施の形態4.
実施の形態4に係る回転電機は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1~実施の形態3のいずれかと同一の構成、動作原理、および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1~実施の形態3と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0088】
図6に示されるように、実施の形態4に係る回転電機104は、複数の静電シールド5を備える。複数の静電シールド5の各々は、固定子鉄心21を介して、ハウジング3に電気的に接続されている。複数の静電シールド5の各々は、例えば複数のスロット24の各々の内部にのみ配置されている。複数の静電シールド5の各々は、例えば上記径方向において回転子1と固定子巻線22の複数の第1部分22Aとの間にのみ配置されている。複数の静電シールド5の各々は、例えば上記径方向において回転子1と固定子巻線22の複数の第2部分22Bとの間に配置されていない。異なる観点から言えば、複数の静電シールド5の各々は、例えば第3部分51のみからなる。
【0089】
図7に示されるように、複数の静電シールド5の各々の上記第3部分51は、上記径方向において固定子巻線22の複数の第1部分22Aの各々と上記1対の鍔27との間に配置されている。各第3部分51は、例えば、上記1対の鍔27の各々に電気的に接続されている。各第3部分51は、例えば、上記1対の鍔27の各々と、上記1対の鍔27の各々に連なる複数のティース26の各々の先端部分と、接触している。
【0090】
回転電機104では、静電シールド5が上記径方向において固定子巻線22の第2部分22Bと重ならないため、冷却媒体は第1空間S1と第2空間S2との間を流れやすい。その結果、回転電機104では、回転電機101と比べて、固定子2に対する冷却効率が高い。
【0091】
回転電機104では、回転電機103と同様に、静電シールド5は固定子2と一体としてハウジング3に固定され得る。そのため、回転電機104によれば、固定子2及び静電シールド5とハウジング3との組み立て交差及び製造公差等の管理を緩和できる。
【0092】
実施の形態4に係る回転電機システム204は、回転電機104を備える点を除き、回転電機システム201と同様の構成を有している。
【0093】
<変形例>
回転電機104は、回転電機101~103と同様に変形され得る。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。例えば、
図8に示される回転電機105は、回転電機101と回転電機104とを組み合わせた構造を有している。
図8に示されるように、複数の静電シールド5は、第1壁部3Aと第2壁部3Bとの間に渡されているとともに、複数のスロット24の各々の内部に配置されている第3部分51を有していてもよい。
【0095】
実施の形態5に係る回転電機システム205は、回転電機105を備える点を除き、回転電機システム201と同様の構成を有している。
【0096】
本開示の範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 回転子、10 シャフト、10A 第1シャフト、10B 第2シャフト、11 回転子コア、12 回転子巻線、13 外周面、14 スロット、15 低温ダンパ、16 常温ダンパ、2 固定子、21 固定子鉄心、22 固定子巻線、22A 第1部分、22B 第2部分、23 内周面、24 スロット、24A 開口部、25 バックヨーク、26 ティース、27 鍔、3 ハウジング、3A 第1壁部、3B 第2壁部、3C 第3壁部、4 軸受、4A 第1軸受、4B 第2軸受、5 静電シールド、5A 第1静電シールド、5B 第2静電シールド、50 連通孔、51 第3部分、6 磁気シールド、101,102,103,104,105 回転電機、111 供給部、121 回収部、131 冷却部、141 貯蔵部、201,202,203,204 回転電機システム、CA 軸線、F1 第1流路、F2 第2流路、F3 第3流路、F4 第4流路、F5 第5流路、I1,I2 流入口、O1,O2 流出口、S1 第1空間、S2 第2空間。
【要約】
回転電機(101)は、軸線(CA)周りに回転可能である回転子(1)と、固定子(2)と、回転子及び固定子を収容するハウジング(3)と、ハウジングに対して回転子を回転可能に支持する複数の軸受(4A,4B)とを備える。回転子は、シャフト(10)と、シャフトに接続されている回転子コア(11)と、回転子コアに巻き回されている回転子巻線(12)とを有する。固定子は、ハウジングに接続されている固定子鉄心(21)と、固定子巻線(22)とを有する。回転電機は、軸線に対する径方向において回転子と固定子との間に配置されている部分を有する少なくとも1つの静電シールド(5)をさらに備える。少なくとも1つの静電シールドには、複数の連通孔(50)が設けられている。少なくとも1つの静電シールドは、固定子鉄心及びハウジングのいずれかに電気的に接続されている。