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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】家具転倒防止具
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A47B97/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020097257
(22)【出願日】2020-05-02
(65)【公開番号】P2021175487
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-05-10
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】593118782
【氏名又は名称】澤木 英夫
(73)【特許権者】
【識別番号】509207977
【氏名又は名称】澤木 由弥子
(72)【発明者】
【氏名】澤木 英夫
(72)【発明者】
【氏名】澤木 由弥子
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特許第6547210(JP,B2)
【文献】特開2005-034583(JP,A)
【文献】特開2007-061532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具17と天井15の間に設置して地震の際に家具17の転倒を防止する箱体であって、
少なくとも底板33と両側板31を有する下箱3と、
少なくとも上板22と両側板21を有する上箱2と、
その上箱2の前記両側板21は前記下箱3の前記両側板31に昇降自在に嵌合し、
前記下箱3の少なくとも一方の前記側板31の上端近傍に設けた滑車45と、
その滑車45にかけまわす紐体42と、
前記滑車45を取り付けた前記下箱3の前記側板31と嵌合する側の前記上箱2の前記両側板21の下端近傍に前記紐体42の一方の端部を係止する紐体係止部43と、
前記紐体42の一方の端部に取り付けて牽引する重り41と、
でなる家具転倒防止具。
【請求項2】
家具17と天井15の間に設置して地震の際に家具17の転倒を防止する箱体であって、少なくとも底板33と両側板31を有する下箱3と、
少なくとも上板22と両側板21を有する上箱2と、
その上箱2の前記両側板21は前記下箱3の前記両側板31に昇降自在に嵌合し、
前記上箱2の前記両側板21の少なくとも一方の側板21の下端近傍に取り付けた動滑車46と、
その動滑車46を取り付けた前記上箱2の前記側板21と嵌合する側の前記下箱3の前記側板31の上端近傍に設けた定滑車45と、
その定滑車45と前記動滑車46にかけまわす紐体42と、
その紐体42の一方の端部を、前記定滑車45を設けた前記下箱3の前記側板31の上端近傍に係止する紐体係止部43と、
前記紐体42の一方の端部に取り付けた重り41と、
でなる家具転倒防止具。
【請求項3】
家具17と天井15の間に設置して地震の際に家具17の転倒を防止する箱体であって、少なくとも底板33と両側板31を有する下箱3と、
少なくとも上板22と両側板21を有する上箱2と、
その上箱2の前記両側板21は前記下箱3の前記両側板31の外側に昇降自在に嵌合し、前記下箱3の前記両側板31の少なくとも一方の側板31の内側に支点52を設けたテコ体51と、
そのテコ体51の一方の端部の作用点54と、
その作用点54に連結したプッシュロット55と、
そのプッシュロット55を受け止め、前記上箱2の上板22の内側に取り付けたプッシュ受け部56と、
前記作用点54と対向する側の端部の力点53と、
その力点53に取り付けた重り41と、
でなる家具転倒防止具。
【請求項4】
前記下箱3の前記両側板31と略同寸法の中板71と、
その中板71に少なくとも一列の垂直方向に複数設けた側板結合穴73と、
前記下箱3の前記両側板31に前記中板71の前記側板結合穴73と同一の位置に設けた中板結合穴38と、
前記下箱3の前記両側板31と前記中板71を一体化させる結合手段77と、
により前記上箱2の高さ調節構造を備えた請求項1~3のいずれかに記載の家具転倒防止具。
【請求項5】
前記上箱2の前記両側板21の下端近傍に少なくとも1か所に設けた上昇停止ピン穴63と、
前記下箱3の前記両側板31に前記上昇停止ピン穴63と合致する位置に垂直方向に複数設けた下降停止ピン穴62と、
前記上箱2の前記上昇停止ピン穴63と前記下箱3の前記下降停止ピン穴62とを貫通させる下降停止兼上昇停止ピン61と、
でなる請求項1~4のいずれかに記載の家具転倒防止具。
【請求項6】
前記重り41の高さを調節するため、前記紐体係止部43に設けた紐体長さ調節部44と、
でなる請求項1~2のいずれかに記載の家具転倒防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地震の際の危険防止を図った家具転倒防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家具転倒防止具には、家具の天板上に載置し、押板を上昇させて天井に押圧させるものがある(例えば特許文献1および特許文献2)参照。
【0003】
特許文献1は、下箱と上箱に設けた滑車にかけまわした紐体を手回しで牽引して上箱を上昇させ、天井への押圧で家具転倒を防止する。
特許文献2は、バネで常時自動的に押板を天井に押圧させ、摩擦で家具転倒を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6547210号公報
【文献】特開第2006-158809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとしている課題】
【0005】
特許文献1は、天井への押圧を、巻き上げる手の力加減で調節するため、トルク過剰で天井の破損や、破損しないよう加減のあまりトルク不足による天井への押圧不足で転倒防止機能を損なうことがある。 更に、設置当初は天井への押圧が十分でも、家具の重量と家具転倒防止具の床や天井への経年押圧により、特に畳やクッションフロアは床面が凹み、家具も沈下して天井への押圧のゆるみや隙間が生ずることがある。
この場合、地震発生時に家具転倒防止具が家具の天板上でズレ動き転倒防止機能が失われる恐れがある。そのため、定期的に押圧状態の確認と増し締めの手間がかかるが、その間に地震が発生すれば家具が転倒する恐れがある。
尚、特許文献1の発明者および出願者は、本願の発明者および出願者と同一の者である。
【0006】
特許文献2の長期間圧縮されたバネは、復元力が減衰し、天井との摩擦力も低下する。
【0007】
本発明は、天井への押圧が一定で、増し締めが不要で押圧を常時自動的に行う機能により静止摩擦が効き、常に転倒防止機能を万全にして地震に備えられ、設置が容易な家具転倒防止具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内、第1の構成は、
家具17と天井15の間に設置して地震の際に家具17の転倒を防止する箱体であって、
少なくとも底板33と両側板31を有する下箱3と、
少なくとも上板22と両側板21を有する上箱2と、
その上箱2の前記両側板21は前記下箱3の前記両側板31に昇降自在に嵌合し、
前記下箱3の少なくとも一方の前記側板31の上端近傍に設けた滑車45と、
その滑車45にかけまわす紐体42と、
前記滑車45を取り付けた前記下箱3の前記側板31と嵌合する側の前記上箱2の前記両側板21の下端近傍に前記紐体42の一方の端部を係止する紐体係止部43と、
前記紐体42の一方の端部に取り付けて牽引する重り41と、
で構成する。
【0009】
本発明の第2の構成は、
家具17と天井15の間に設置して地震の際に家具17の転倒を防止する箱体であって、少なくとも底板33と両側板31を有する下箱3と、
少なくとも上板22と両側板21を有する上箱2と、
その上箱2の前記両側板21は前記下箱3の前記両側板31に昇降自在に嵌合し、
前記上箱2の前記両側板21の少なくとも一方の側板21の下端近傍に取り付けた動滑車46と、
その動滑車46を取り付けた前記上箱2の前記側板21と嵌合する側の前記下箱3の前記側板31の上端近傍に設けた定滑車45と、
その定滑車45と前記動滑車46にかけまわす紐体42と、
その紐体42の一方の端部を、前記定滑車45を設けた前記下箱3の前記側板31の上端近傍に係止する紐体係止部43と、
前記紐体42の一方の端部に取り付けた重り41と、
で構成する。
【0010】
本発明の第3の構成は、
家具17と天井15の間に設置して地震の際に家具17の転倒を防止する箱体であって、少なくとも底板33と両側板31を有する下箱3と、
少なくとも上板22と両側板21を有する上箱2と、
その上箱2の前記両側板21は前記下箱3の前記両側板31の外側に昇降自在に嵌合し、前記下箱3の前記両側板31の少なくとも一方の側板31の内側に支点52を設けたテコ体51と、
その作用点54に連結したプッシュロット55と、
そのプッシュロット55を受け止め、前記上箱2の上板22の内側に取り付けたプッシュ受け部56と、
前記作用点54と対向する側の端部の力点53と、
その力点53に取り付けた重り41と、
で構成する。
【0011】
本発明の第4の構成は、
前記下箱3の前記両側板31と略同寸法の中板71と、
その中板71に少なくとも一列の垂直方向に複数設けた中板結合穴38と、
前記下箱3の前記両側板31に前記中板71の前記中板結合穴38と同一の位置に設けた中板結合穴38と、
前記下箱3の前記両側板31と前記中板71を一体化させる結合手段75と、
で構成し、前項第1~第3記載のいずれかの構成に加える。
【0012】
本発明の第5の構成は、
前記上箱2の前記両側板21の下端近傍に少なくとも1か所に設けた上昇停止ピン穴63と、
前記下箱3両側板31に前記上昇停止ピン穴63と合致する位置に垂直方向に複数設けた下降停止ピン穴62と、
前記上箱2の前記上昇停止ピン穴63と前記下箱3の前記下降停止ピン穴62とを貫通させる下降停止兼上昇停止ピン61と、
で構成し、前項1~4のいずれかに記載の構成に加える。
【0013】
本発明の第6の構成は、
前記重り41の高さを調節するため、前記紐体係止部43に設けた紐体長さ調節部44と、
で構成し、前項1~2のいずれかに記載の構成に加える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1・2・3により、
1.重力の利用で、常時一定の押圧を維持し、増し締めが不要である。
2.地震発生と同時に、静止摩擦が常時押圧により即効し、家具の揺れを抑える。
3.地震で重りが揺れ、加速重量でポンピングブレーキが効き、家具の揺れを抑える。 4.摩擦と、家具と本体の対角線の天井への押し付けと、の二段階で家具の転倒を防止 することで、避難の時間ができる。
5.押圧力を調整できる。(重りの重量の加減で)
請求項2・3により、動滑車やテコを利用した倍力により押圧を強められる。
請求項4により、中板により、家具の天板と天井までの寸法に対し、適応範囲が広がる。請求項5により、設置が容易で安全である。上箱の上昇停止機能により、本体が天井に当 接しない寸法の位置で停止させ、家具の天板上に容易に押し込める。停止機能を解除 すれば自動で上昇し、設置完了となり、踏み台不要で安全である。
上箱下降停止機能により、地震の際、家具と本体の対角線に対し、天井までの間隔 が狭まる圧力による上箱の下降を停止し、重りの押圧と合わせ家具の揺れを抑える。請求項6により、
地震が大きくなっても、本体と家具の一体化により、安定して家具の揺れを抑える。 地震時に本体が家具の天板上を移動することなく機能し、図2に示す事態を防止する 。
派生効果として、収納器具として保存食など軽量な防災用品の備蓄に使える。
重りを硬貨にし、停電でキャッシュレス不可の事態に備えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 家具転倒防止具の設置作業を、従来と本願を比較した側面図
図2】 従来の家具転倒防止具の問題点を示す側面図
図3】 本願の基本構造を示す正面図
図4】 重力と滑車を利用した(a)斜視図 (b)は側面の透視図
図5図4の斜視図の透視図
図6】 動滑車を用いた正面図
図7】 動滑車を用いた側面図
図8】 動滑車を用いた平面図
図9】 テコを用いた正面図
図10】 テコを用いた斜視図の透視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
請求項1について図3・4・5を基に説明する。底板33と下箱両側板31で成る下箱3と、上板22と上箱両側板21で成る上箱2と、上箱両側板21は下箱両側板31に昇降自在に篏合する。
その上箱両側板21の少なくとも一方の側板21の下端近傍に設けた係止部43に紐体42を取付け、係止部43と対向する下箱側板31の上端に設けた滑車又はすべり材部45に紐体42をかけまわしその先端に重り41を取付ける。
上箱両側板21は下箱両側板31に篏合する状態に図3の(a)と、(b)があり、どちらでも機能し、違いは設計変更の差である。請求項1は、重り41が下降する距離と、同じ距離を上箱2が上昇する構造である。
【0017】
請求項1~3の共通事項として、上箱2の天井15への押圧力は、上箱2の重量と滑車などの摩擦に対し、重り41の重量×倍力が大きいほど押圧力が強い、故に上箱2は軽量で堅牢であることを要する。また、上箱2の上昇力を強め円滑に上昇させるため、上箱2を上昇させる各装置を、下箱3の両側板31と後板32にも設けてもよい。
【0018】
請求項2について図6・7・8を基に説明する。図6は正面図であり、左の側面は右と対称となるため省略した。図7は側面図の透視図である。図8は平面図であり上箱2の上板22を透視した状態の図である。また、右と対称のため左は省略した。
上箱両側板21の内側の下端近傍に設けた動滑車46と、対向する側の下箱両側板31の上端に設けた定滑車45と、その定滑車45を設けた下箱両側板31の上端近傍に係止部43を設け、その係止部43に一方の端部を取り付けた紐体42と、その紐体42の係止部43と対向する端部に取り付けた重り41と、紐体42を動滑車46と定滑車45にかけまわす。
以上の構成で動滑車46の倍力を利用して上箱2を上昇させる構造である。
【0019】
請求項3について図9~10を基に説明する。図9は正面図であり、左側面は左右対称のため省略した。下箱の両側板31の少なくとも一方の側板31の内側に支点52を設けたテコ体51と、テコ体51の作用点側に設けた連結部54に、回動自在に取り付けたプッシュロット55と、そのプッシュロットの一方の端部を受け止める上箱2の上板22の内側の上端近傍に取り付けた受け部56と、テコ体51の力点側端部に取り付けた重り41とで成る。以上の構成でテコの倍力を利用して上箱2を上昇させる構造である。
図10は、本体の斜視図の透視図であり、左側面と後ろ面に取り付けたテコの一連の構造の図示は省略した。 なお、図9・10は請求項4の中板も図示した。
【0020】
請求項4について図9.10を基に説明する。下箱3の両側板31と略同寸法の中板71と、その中板71に少なくとも一列の垂直方向に設けた複数の側板結合穴73と、下箱3の側板31に中板71の側板結合穴73と一致する位置に設けた中板結合穴38と、結合手段77と、で成る。
使用方法は、家具17の天板171と天井15の間隔より、若干短く下箱3と上箱2の位置を決め、それに合わせて下箱3の両側板31の中板結合穴38と、中板71の下箱側板結合穴73を決め、結合手段77のピン・木ネジ・ビス・ボルトなどで結合させる。
中板71は、下箱3の両側板33に結合が必須であるが、下箱3の後板35にも中板71を設けてもよい、その場合両側板33と一体のコの字状にして強度を増すことができる。
中板71を下箱3の両側板31の外側に取り付ける場合は、中板71の上端に突出部76を設け下箱3の側板31に設けた上箱上昇機能を中板71の突出部76に移し、突出部71と同じ位置の下箱3の側板31に突出部76が篏合して上下にスライド可能な形状の切り欠き部37を設け、突出部76を切り欠き部37に篏合させてもよい。
【0021】
請求項4による使用例を説明する。
中板71を用いない場合は、例えば下箱3と上箱2を合わせた上下寸法30cmで上箱2の上昇が20cmの場合、天井15に押圧した状態で上昇余地を10cm以上が適切として、適用範囲は30cmから40cmとなる。
一方、本願の中板71を用いれば下箱3が30cm+中板71が30cmの場合、10cmを下箱3との結合部78として、下箱3の上端から20cm中板71が突出して合わせて50cmになり、上箱3の上昇10cmを+して適応幅は50から60cmになる。
以上により下箱3の上下寸法30cmに中板71を結合させた場合、家具17の天板171と天井15までの間隔は30cm~60cmまで適応する。
【0022】
請求項5について図1(b)(c)図5図~図10を基に説明する。上箱2の両側板21の正面側端部近傍の下端近傍に少なくとも1か所に設けた貫通孔の上箱上昇停止穴63を設ける。下箱両側板31、および中板71の正面側端部近傍で前記上箱上昇停止穴63と合致する位置に貫通孔の上箱上昇停止穴兼下降停止穴62を垂直方向に複数設ける。
上箱上昇停止穴63と上箱下降停止穴62に通すことのできる太さで、上箱側板21と下箱側板31を合わせた厚みより若干長い寸法の棒につまみ部を設けた上箱上昇停止兼下降停止ピン61で構成する。
使い方は、本体1を家具17の天板上171に設置する時、本体1が天井15に当接しないよう、家具17の天板171と天井までの寸法より本体の上下寸法を若干短く上箱2の上昇停止位置を決め、上箱に設けた上箱上昇停止穴63と、下箱又は中板に設けた上箱上昇停止兼上箱下降停止穴62に上箱停止兼上箱下降停止ピン61を差し込めば上箱2の上昇を停止し、図1(b)のとおりスムーズに押し込める。
次いで図1(c)おとおり、上箱上昇停止兼下降停止ピン61を抜くことで重り41が下降し、上箱2が自動的に上昇して天井15に押圧する。
次に、上箱2の両側板21の下端縁部の下に露出した下箱3の両側板31の中で最も上の下降停止穴62に上箱上昇停止兼下降停止ピン61を刺すことで、上箱2は上昇のみ可能で下降を停止させ、地震時に上箱2が下降せず天井15への押圧を維持し家具17の転倒を防止する。
【0023】
請求項6について図2図5図8図10を基に説明する。
下箱3の底板33に設けた複数の貫通孔の家具結合穴36に木ネジなどにより家具17の天板171に結合させる。
図2(b)の矢印Fに示すように、地震で家具17の天板171との摩擦力を上回る揺れにより、又は押圧不足で摩擦減少により、本体1が家具17の天板171上を前後に移動して転倒防止機能を失う恐れがあり、それを家具と一体化で防止する。
スチールキャビネットの場合はキャビネットの天板に穴をあけボルトで結合してもよい。図では省略したが、下箱3の底板33の外側と上箱2の上板の外側にすべり止め剤を塗布、又はすべり止めシートを貼着してもよい。更に、家具17の天面171や天井15の一部にもすべり止め剤の塗布又は、すべり止めシートを貼着し摩擦力を増してもよい。
【0024】
図1(a)は、従来のポール式家具転倒防止具12である。家具17の天板171の最奥に設置するため、設置時と増し締めの時には踏み台19を使う必要があり、危険である。
一方図1(b)のとおり、本願は踏み台19が不要で本体1を設置でき安全である。
【0025】
図2は、従来の家具転倒防止具11.12の問題点を示す側面図である。
従来の家具転倒防止具11.12は、設置当初は天井15への押圧が十分であっても、経年により家具17の重さで設置床16が特に畳やクッションフロアは凹み易く、その分家具17が沈下し、天井15への押圧が緩く又は隙間が生じる。
そのため一部の品の取扱説明書には設置した数日後に増し締めし、以後定期的に増し締めするよう記載されている。しかし、踏み台19を使う手間などで放置されている。
そのような状態の時に地震が発生すれば、次の事態が推測される。
図2(a)のポール式の家具転倒防止具12は、地震で家具17が前方に矢印Cの方向に移動し、後方の壁14との間が広がり、家具17が後方矢印Dの方向にも揺れるため、家具17の天板171の後方端部が下がり、ポール12も下がり上部が前方Eに倒れ、家具転倒防止の機能を低減させる恐れが推測される。
図2(b)の箱型の家具転倒防止具11は、天井15と家具17の天板171上で前方にすべり、天板171の前後方向の半分の寸法以上に前方に移動すると対角線18が短くなり家具転倒防止具11の機能が低減する恐れが推測される。
図2(c)は、家具17が摩擦が少ないため、地震の初期から揺れ出し弾みをつけて前方に傾き、家具転倒防止具11は上端後部が天井15を破壊し天井15の中に押し上げられ、家具転倒防止具11の底面を家具17の天板171が摺動し転倒する恐れがある。
【0026】
図2の問題点を解決するため、図1(c)に示す本願は、永久不変の重力を利用し、床16の沈下に伴い、自動的に上箱2が上昇し常に天井15に押圧している。
それにより地震の際は、常時一定の押圧と広い面の静止摩擦力で地震の初期からブレーキが効き家具の転倒を防止する。
下箱3の底板33の家具結合穴36で家具の天板に固定により本体が移動せず機能する。
【0027】
図4は、上箱2に前板24を設けることで、下箱3を覆い下箱3の外周をレールとして上箱2が安定して昇降できようにしたものである。
【0028】
図6~10は、上箱2と下箱3をスライドレール26で連結させることで、本体1の強度を増し、上箱2が滑らかに安定して昇降し、地震の際は家具17と天井15からの変形圧力を受けとめる役割も果たす。
【0029】
図6~8に示す通り、本体1を収納器具として使用する場合に、重り41やテコ体51が収納物に接触して機能を損なわないようにカバー47で覆うことで外観も向上する。
【0030】
重り41が下箱3の底板33に着地すると上箱2のそれ以上の上昇力は失われる。
そこで、紐体42を留める係止部43を、該当部位に設けた貫通孔を係止部43とし、それを通した紐体42を留め具による長さ調節部44とする。
使い方と効果は、上箱2が天井15に押圧した状態で、紐体42を引いて重り41を引き上げ、紐体42を長さ調節部44で留める。それにより重り41の下降余地が多くなり結果、上箱2の上昇力の余地が多くなり、安定して天井15に押圧できる。
【0031】
図4(b)に示す下箱3に上板32を設けることで、下箱3の強度を高められる。
滑車45などが当接する部位は切り欠きを設ける。更に、上箱2を上昇させた際に下箱3の上板32が棚板となって収納に便利である。
【符号の説明】
【0032】
1本体 11従来の箱型家具転倒防止具 12従来のポール型家具転倒防止具 13人 14壁 15天井 151天井と上箱の上板との隙間 16床 17家具 171家具の天板 18対角線 19踏み台 2上箱 21両側板 22上板 23後板 24前板25後板 26スライドレール 3下箱 31両側板 32上板 33底板 34前板 35後板 36家具結合用穴 37切り欠き部 38中板結合穴 41重り 42紐体 43紐体係止部 44紐体長さ調節部 45定滑車 46動滑車 47装置カバー 51テコ体 52支点 53力点 54作用点 55プッシュロット 56プッシュ受け部 61下降停止兼上昇停止ピン 62下降停止ピン穴 63上昇停止ピン穴 71中板 72突出部 73貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10