(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】腰袋
(51)【国際特許分類】
B25H 3/00 20060101AFI20241209BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B25H3/00 Z
A45C11/00 P
(21)【出願番号】P 2023126652
(22)【出願日】2023-08-02
【審査請求日】2023-09-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 令和4年9月12日 掲載アドレス等 https://www.instagram.com/ishiyama_leather_factory/ https://www.instagram.com/p/CiaHgk8vhMs/
(73)【特許権者】
【識別番号】523295279
【氏名又は名称】石山 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100199336
【氏名又は名称】倉橋 和之
(72)【発明者】
【氏名】石山 仁
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-093815(JP,A)
【文献】特開平11-104978(JP,A)
【文献】特開平10-76483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 3/00
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の腰に装着する腰ベルトに吊下げる腰袋であって、
剛性の高い平板のベース部材を有し、開口を有する袋状の収納部と、
剛性の高い平板を二つに折り曲げて可塑変形し、前記
ベース部材の上側に連結したベルト取付部材と、
前記
ベース部材の外面に取り付けられた第1磁性体と、
前記ベルト取付部材に取り付けられた第2磁性体と、
を備え、
前記ベルト取付部材は、
剛性の高い平板であって前記ベース部材に連結される連結部と、剛性の高い平板であって前記腰ベルトと前記作業者との間に挿通する長尺状のベルト挿込部と、
折り曲げて可塑変形した部分であって前記連結部と前記ベルト挿込部との間に位置する、前記腰ベルトに引っ掛けるベルト受け部と、を有し、
前記第2磁性体は、前記ベルト挿込部に取り付けられ、
前記ベルト取付部材は、可とう性を有する前記ベルト受け部が曲がることで、開閉可能であり、
前記ベルト取付部材を折り曲げ
て閉じた状態で、前記ベルト挿込部はフラップ状に前記収納部の外面の一部を覆い、かつ、前記第1磁性体および前記第2磁性体は少なくとも一部が対向し、
前記ベルト取付部材が閉じた状態で、前記ベース部材、前記ベルト取付部材、前記第1磁性体および前記第2磁性体によって前記腰ベルトを通すループが形成され、前記第1磁性体および前記第2磁性体が磁力
で吸い付くこと
により、前記ベルト挿込部は前記収納部に固定される、腰袋。
【請求項2】
前記ベルト挿込部を前記収納部に固定した状態で、前記ベルト受け部
のうち前記腰ベルトの上部に当接する部分から、前記第1磁性体および前記第2磁性体が接触した部分までの長さは、10cm以上
、かつ20cm以下である、請求項1に記載の腰袋。
【請求項3】
前記収納部は、平板であるカバー部材を有し、
前記ベース部材および前記カバー部材は、前記カバー部材を折り曲げた状態で前記ベース部材に連結することにより前記外面とは反対の内面側に、収納空間を形成し、
前記収納部は、側方の下側に位置し、前記収納空間の最底部に達する側開口を有する、請求項1
または2に記載の腰袋。
【請求項4】
前記収納部の素材、および前記ベルト取付部材の素材は、主に牛革である、請求項
3に記載の腰袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具等を収容するために、作業者が腰に吊下げて使用する腰袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から作業現場等では、作業時に用いる工具等(工具や小物、道具)を収容・携帯するため、腰に吊下げる腰袋が用いられている。これらの腰袋の多くは、腰に巻くズボン等の腰ベルトに装着するタイプであり、工具等を収納する収納部とベルト通し部とを有する。
【0003】
例えば特許文献1,2には、帯状部材の両先端を縫着(溶着、またはリベット止め)してループ状(筒状)にしたベルト通し部に、腰ベルトを挿通する腰袋がそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実全平01-114287号公報
【文献】特開2018-134715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の腰袋は、ループ状のベルト通し部に腰ベルトを挿通して取り付けるため、作業中に外れ難い。しかし、その一方で、取り付ける際はベルト通し部に腰ベルトを通す作業が必要であり、取り外しの際はベルト通し部から腰ベルトを引き抜く作業が必要である。つまり、上記の腰袋の取り付け・取り外しは容易ではなく、かなり手間がかかるという問題があった。本発明の目的は、作業中には外れ難く、かつ、容易に腰ベルトに着脱できる腰袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の腰袋は、作業者の腰に装着する腰ベルトに吊下げるものであって、
開口を有する袋状の収納部と、
二つに折り曲げて可塑変形し、 前記収納部の上側に連結したベルト取付部材と、
前記収納部の外面に取り付けられた第1磁性体と、
前記ベルト取付部材に取り付けられた第2磁性体と、
を備え、
前記ベルト取付部材は、前記腰ベルトに引っ掛けるベルト受け部と、前記腰ベルトと前記作業者との間に挿通する長尺状のベルト挿込部と、を有し、
前記ベルト取付部材を折り曲げた状態で、前記ベルト挿込部はフラップ状に前記収納部の外面の一部を覆い、かつ、前記第1磁性体および前記第2磁性体は少なくとも一部が対向し、
前記ベルト挿込部は、前記第1磁性体および前記第2磁性体が磁力によって互いに吸い付くことで、前記収納部に固定されることを特徴とする。
【0007】
一般に、腰ベルトに掛ける腰袋は、ループ(環状・筒状)のベルト通しに腰ベルトを挿通して装着するタイプが多い。これら腰袋は、車や徒歩での移動時や飲食店等への入店時に取り外したり、作業再開時には再び取り付けたりと、一日の中で何度か取り付け・取り外しを繰り返し行う必要がある場合がある。しかしながら、従来の上記腰袋の取り付け・取り外しには腰ベルトへの着脱を伴うため、取り付け・取り外しには手間がかかってしまうという問題があった。本発明の構成によれば、取り付ける際は、作業者と腰ベルトとの間にベルト挿込部を挿し込んで、ベルト受け部を腰ベルトに引っ掛けた後、第1磁性体と第2磁性体を磁力で吸着させるだけで固定できるため、取り付けが容易である。また、取り外す際は、収納部またはベルト挿込部を上方に引き抜くだけで、第1磁性体と第2磁性体が離れて、容易に取り外すことができる。このように、余計な手間や時間をかけず、片手でも容易に取り付け・取り外しが可能な腰袋を実現できる。
【0008】
また、本発明では、比較的剛性の高い素材からなる収納部およびベルト取付部材に、それぞれ第1磁性体および第2磁性体が取り付けられた構造である。例えば、収納部やベルト取付部材の剛性が低いと外力等によって変形しやすいため(撚れやすいため)、第1磁性体および第2磁性体の位置がずれやすくなって、ベルト取付部材と収納部との固定が上手くできない虞がある。したがって、上記構成によれば、腰袋を取り付ける際に第1磁性体および第2磁性体の相対的な位置がずれにくくなり、ベルト取付部材および収納部の固定が安定化する。
【0009】
また、本発明では、ベルト受け部が、二つに折り曲げられた状態で可塑変形している。腰ベルトを引っ掛けるベルト受け部が可塑変形していないと、ベルト取付部材の様々な箇所に腰袋等の重量による応力が掛かって、吸着させた第1磁性体と第2磁性体が離れやすくなる場合がある。また、腰ベルトを引っ掛けるベルト受け部が可塑変形していないと、腰ベルトが引っ掛かる箇所が毎回異なることになり、ベルト取付部材と収納部(第1磁性体と第2磁性体)の固定が不安定となる虞がある。一方、ベルト受け部が二つに折り曲げられた状態で可塑変形していることにより、余計な応力が第1磁性体および第2磁性体に掛かるのを抑制でき、外れ難くできる。また、上記構成によれば、取り付ける際に腰ベルトが引っ掛かる箇所が毎回略同じ位置になるため、ベルト取付部材と収納部の固定が安定化する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業中に外れ難く、かつ、容易に腰ベルトに着脱が可能な腰袋を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)は腰袋1の斜視図であり、
図1(B)は別の視点から視た腰袋1の斜視図である(第1の実施形態)。
【
図2】
図2(A)は腰袋1の天面図であり、
図2(B)は
図2(A)におけるA-A断面図である(第1の実施形態)。
【
図3】
図3は腰袋1の背面図である(第1の実施形態)。
【
図4】
図4は、ベルト取付部材3を180°開いた状態の腰袋1の背面図である(第1の実施形態)。
【
図5】
図5(A)は腰袋1の右側面図であり、
図5(B)は第1磁性体G1および第2磁性体G2を離してベルト取付部材3を開いた状態の腰袋1の右側面図である(第1の実施形態)。
【
図6】
図6(A)は腰ベルト50に取り付けた状態の腰袋1の断面図であり、
図6(B)は腰ベルト50に取り付ける際、または腰ベルト50から取り外す際の腰袋1の断面図である。(第1の実施形態)。
【
図7】
図7は腰袋1の正面図である(第1の実施形態)。
【
図8】
図8は腰袋1の背面図である(第1の実施形態)。
【
図9】
図9は腰袋1の平面図である(第1の実施形態)。
【
図11】
図11は腰袋1の右側面図である(第1の実施形態)。
【
図12】
図12は腰袋1の左側面図である(第1の実施形態)。
【
図13】
図13(A)は腰袋1Aの背面図であり、
図13(B)はベルト取付部材3Aを180°開いた状態の腰袋1Aの背面図である(第2の実施形態)。
【
図14】
図14(A)は腰袋1Bの背面図であり、
図14(B)はベルト取付部材3Bを180°開いた状態の腰袋1Bの背面図である(第3の実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用・効果については実施形態毎には逐次言及しない。なお、各図(
図2(B)、
図5(A)、
図5(B)、
図6(A)および
図6(B))において、各部の長さ・厚み等は誇張して図示しており、実際の寸法とは一致しない場合がある。このことは、以降の各実施形態における各図においても同様である。
【0013】
本発明の「腰袋」は、小道具や工具等を収容する収納部を有する、作業者のズボン等の腰ベルトに取り付けて吊下げる腰袋である。本発明の「腰袋」は、例えば、理容師や美容師等のシザーケースや、業者(電気工事業者やリフォーム業者、管工事業者等)がスケールやカッター、マジック等を持ち歩くための携帯用の収納具である。第1の実施形態に係る腰袋は、比較的剛性の高い革製の小型バッグであり、背面上側には平板をU字形またはV字形に可塑変形させたベルト取付部材が取り付けられている。ベルト取付部材は、腰袋を取り付ける際に腰ベルトと作業者との間に挿通する、長尺かつ先細り形状のベルト挿込部を有する。ベルト取付部材を二つ折りに曲げた状態で、ベルト挿込部および収納部(ベース部材)は対向する。ベルト挿込部および収納部が対向する部分には、それぞれ第1磁性体および第2磁性体が取り付けられている。取り付ける際は第1磁性体および第2磁性体が磁力によって互いに吸い付くことで、ベルト挿込部の先端付近が収納部の外面に固定され、ベルト取付部材と収納部とでループが形成される。ベルト挿込部の先端付近と収納部の外面が磁力によって固定されているため、腰ベルトへの着脱が容易である。
【0014】
《第1の実施形態》
図1(A)は腰袋1の斜視図であり、
図1(B)は別の視点から視た腰袋1の斜視図である。
図2(A)は腰袋1の天面図であり、
図2(B)は
図2(A)におけるA-A断面図である。
図3は腰袋1の背面図である。
図4は、ベルト取付部材3を180°開いた状態の腰袋1の背面図である。
図5(A)は腰袋1の右側面図であり、
図5(B)は第1磁性体G1および第2磁性体G2を離してベルト取付部材3を開いた状態の腰袋1の右側面図である。
図6(A)は腰ベルト50に取り付けた状態の腰袋1の断面図であり、
図6(B)は腰ベルト50に取り付ける際、または腰ベルト50から取り外す際の腰袋1の断面図である。
図7は腰袋1の正面図である。
図8は腰袋1の背面図である。
図9は腰袋1の平面図である。
図10は腰袋1の底面図である。
図11は腰袋1の右側面図である。
図12は腰袋1の左側面図である。
【0015】
腰袋1は、収納部2、ベルト取付部材3、第1磁性体G1、第2磁性体G2等を備える。なお、本明細書では、+Z方向が腰袋の上方・上側、-Z方向が下方・下側であり、+Y方向が裏側・後側、-Y方向が表側・前側であり、X軸方向が側方である。
【0016】
収納部2は、上側(Z軸方向における高さの1/2よりも+Z方向側に位置する箇所)に形成された開口21と、側方(X軸方向に位置する部分)にそれぞれ形成された側開口22と、を有する袋状または箱状の部材である。収納部2は、ベース部材11、カバー部材12、仕切部材13,14等を有する。ベース部材11は、取り付ける際に作業者に当接(または近接)する部材であり、平面形状が台形の平板である。カバー部材12は、平面形状がT字形の平板であり、折り曲げた状態でベース部材11の表側(-Y方向側)に、リベット止めまたは縫着によって取り付けられた部材である。
図2(A)および
図2(B)等に示すように、ベース部材11の表側にカバー部材12を取り付けることで、楕円形の開口21、略半円形の2つの側開口22、および収納空間6が形成される。仕切部材13,14はいずれも収納空間6内に配置されている。仕切部材13は、平面形状が矩形の平板であり、略M字形に折り曲げた状態でベース部材11の表面S1に取り付けられている。仕切部材14は平面形状が矩形の平板であり、仕切部材13の表面に取り付けられている。
図2(A)および
図2(B)等に示すように、ベース部材11の表面S1に仕切部材13を取り付けることにより、涙形の2つの開口23、および2つの収納空間7が形成される。また、仕切部材13の表面に仕切部材14を取り付けることにより、略半円の開口24、および収納空間8が形成される。ベース部材11、カバー部材12、仕切部材13,14の素材は、例えば4mm厚のタンニン鞣し牛革である。
【0017】
ベルト取付部材3は、長尺状の平板を二つに(U字状またはV字状に)折り曲げて可塑変形した部材である。ベルト取付部材3は、ベルト挿込部31およびベルト受け部32を有する。
図2(B)等に示すように、ベルト取付部材3のうち二つ折りにした一方は、収納部2の外面(ベース部材11の裏面S2)の上側に、リベット止めおよび縫着によって連結されている。ベルト挿込部31は、二つ折りにした他方であり、
図2(B)および
図6(A)等に示すように、作業者が取り付ける際に、腰ベルト50と作業者40との間に挿通する長尺状の部分である。また、ベルト挿込部31の表面PS1が、取り付ける際に作業者に実際に当接する面である。ベルト受け部32は、ベルト取付部材3のうち、折れ曲がった状態で可塑変形した箇所であり腰ベルト50に引っ掛ける部分である。ベルト取付部材3の素材は、例えば4mm厚のタンニン鞣し牛革である。
【0018】
図2(B)および
図3等に示すように、ベルト挿込部31は、ベルト取付部材3を折り曲げた状態で収納部2の一部を覆っている(Y軸方向から視てベース部材11の裏面S2に重なるように、フラップ状に垂れ下がっている)。ベルト挿込部31の平面形状は、ベルト受け部32側の幅が太く、先端に近づく(-Z方向に移動する)につれて幅が狭くなっていくような「先細り形状」をしている。また、ベルト挿込部31は、腰ベルト50と作業者40との間に挿し込みやすいように、簡単には折れ曲がらないよう相対的に剛性を高くしてある。具体的に本実施形態に係るベルト挿込部31は、1.5mm厚の補強用ポリエチレンテレフタレート板(比重1.27)を真ん中に挟んで(不図示)、平板を2枚張り合わせた構造である。
【0019】
第1磁性体G1は丸形の磁性体であり、収納部2の外面(ベース部材11の裏面S2)の下側(Z軸方向における高さの1/2よりも-Z方向側に位置する箇所)に取り付けられている。第2磁性体G2は平面形状が長方形の平板磁性体であり、ベルト挿込部31の裏面PS2の先端付近に取り付けられている。
図3および
図5(A)等に示すように、ベルト取付部材3を収納部2に固定した状態で(ベルト取付部材3を折り曲げた状態で)、第1磁性体G1および第2磁性体G2は少なくとも一部が対向している。第1磁性体G1は、例えば直径20mm高さ6mmの丸形のネオジム磁石(軸方向磁化。軸に対する最大垂直負荷10kg、200mT以上)である。第2磁性体G2は、例えば矩形(13mm×43mm)の鉄製プレートである。
【0020】
第1磁性体G1および第2磁性体G2が磁力で互いに吸い付くことにより、ベルト挿込部31は収納部2に固定される。すなわち、第1磁性体G1および第2磁性体G2が磁力で互いに吸い付くことで、収納部2、ベルト取付部材3、第1磁性体G1および第2磁性体G2によるループ(ベルト通し部)が形成される。ベルト挿込部31および収納部2が固定された状態での、腰ベルトを挟持する部分の厚み方向の間隙D1(例えば、
図5中の、腰ベルトを挟持する部分のY軸方向の間隙)は10mmである。
【0021】
腰袋1の実寸は、奥行(Y軸方向の長さ)115mm、幅L1(X軸方向の長さ)は125mm、高さ(Z軸方向の長さ)は195mm、収納部2のカバー部材12の高さH2は148mm、ベース部材11の高さは190mmである。また、ベルト受け部32の幅L2(X軸方向の長さ)は100mmであり、ベルト受け部32から腰袋1の底部までの長さH1(Z軸方向の高さ)は185mmである。さらに、ループの長さH3(取り付けた際に、ベルト受け部32から第1磁性体G1および第2磁性体G2が接触した部分までの長さ)は125mm、ベルト挿込部31のZ軸方向の高さは168mm、ベルト挿込部31の先端部分の幅L3は50mmである。
【0022】
次に、本発明の腰袋1の取り付け・取り外し方法について簡単に説明を行う。
【0023】
図6(A)に示すように、腰袋1を腰ベルト50に取り付けた際には、第1磁性体G1および第2磁性体G2が磁力で吸い付くことで、ベルト取付部材3は収納部2のベース部材11に固定される。このとき、ベルト取付部材3(ベルト挿込部の表面)は作業者40の臀部41に当接する。
【0024】
腰袋1を取り付ける際には、
図6(B)に示すように、第1磁性体G1と第2磁性体G2とを切り離した状態で、ベルト取付部材3のベルト挿込部31を、上方から下方(-Z方向)へ腰ベルト50と作業者40との間に挿通する。ベルト挿込部31を奥まで挿通すると、腰ベルト50はベルト受け部32に引っ掛かる。その後、収納部2(ベース部材11)をベルト挿込部に近づけることで、腰ベルト50が折れ曲がったベルト取付部材3で挟持される。そして、第1磁性体G1と第2磁性体G2とを磁力で吸い付かせることにより、ベルト挿込部31をベース部材11に固定する。
【0025】
逆に、腰袋1を取り外す際には、収納部2またはベルト取付部材3を上方(+Z方向)へ引き上げることで、腰袋1を容易に引き抜くことができる。具体的には、腰袋1を上方へ引き上げることで、磁力で吸い付いていた第1磁性体G1および第2磁性体G2が腰ベルト50に引っ掛かって離れ、固定されていた収納部2とベルト取付部材3が外れる。なお、腰袋1を上方に引き抜く前に、収納部2を-Y方向に持ち上げて第1磁性体G1および第2磁性体G2を先に切り離してもよい。
【0026】
本実施形態に係る腰袋1によれば、次のような効果を奏する。
【0027】
(a)一般に、腰ベルトに掛ける腰袋は、ループ(環状・筒状)のベルト通し部に腰ベルトを挿通して装着するタイプが多い。これら腰袋は、車や徒歩での移動時や飲食店等への入店時に取り外したり、作業再開時には再び取り付けたりと、一日の中で何度か取り付け・取り外しを繰り返し行う必要がある場合がある。しかしながら、従来の上記腰袋の取り付け・取り外しには腰ベルトへの着脱を伴うため、取り付け・取り外しには手間がかかってしまうという問題があった。本発明の腰袋1は、取り付ける際は、作業者40と腰ベルト50との間にベルト挿込部31を挿し込んで、ベルト受け部32を腰ベルト50に引っ掛けた後、第1磁性体G1と第2磁性体G2を磁力で吸着させるだけで固定できるため、取り付けが容易である。また、取り外す際は、収納部2またはベルト挿込部31を上方に引き抜くだけで、第1磁性体G1と第2磁性体G2が離れて、容易に取り外すことができる。このように本発明によれば、余計な手間や時間をかけず、片手でも容易に取り付け・取り外しが可能である。
【0028】
また、ボタンや面ファスナーで固定してループを形成する腰袋も存在するが、取り付ける際にはボタンや面ファスナーを留める必要があり、取り外す際にもボタンや面ファスナーを外す必要であることから、両手での作業が必要となる。また、ボタンや面ファスナーの場合、繰り返しの使用によって素材が劣化・破損して固定力が落ちる虞がある。一方、本発明によれば、収納部2とベルト取付部材3とが第1磁性体G1および第2磁性体G2の磁力によって固定されるため、繰り返しの使用による劣化・破損の可能性は低い。すなわち、片手でも容易に取り付け・取り外しが可能で、繰り返しの使用でも(ベルト取付部材3と収納部2との)固定力の低下が生じにくい腰袋を実現できる。
【0029】
本発明の腰袋1は、比較的剛性の高い素材からなる収納部2およびベルト取付部材3に、それぞれ第1磁性体G1および第2磁性体G2が取り付けられた構造である。例えば、収納部2やベルト取付部材3の剛性が低いと外力等によって変形しやすく(撚れやすく)、第1磁性体G1および第2磁性体G2の位置ずれが起こりやすくなるため、ベルト取付部材3と収納部2との固定が上手くできない虞がある。つまり、第1磁性体G1および第2磁性体G2が対向しなくなって、第1磁性体G1および第2磁性体G2が磁力で吸着しなくなる可能性がある。したがって、この構成により、腰袋を取り付ける際に第1磁性体G1および第2磁性体G2の相対的な位置ずれが起こり難くでき、ベルト取付部材3および収納部2の固定が安定化する。なお、「比較的に高い剛性(強度)」とは、曲げ剛性(または強度)が、例えば軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC)、または3mm厚のポリ塩化ビニル板よりも高いことを言う。
【0030】
また、本発明では、ベルト受け部32が、二つに折り曲げられた状態で可塑変形している。腰ベルト50を引っ掛けるベルト受け部32が可塑変形していないと、ベルト取付部材3の様々な箇所に腰袋等の重量による応力が掛かって、吸着させた第1磁性体G1と第2磁性体G2が離れやすくなる場合がある。また、腰ベルト50を引っ掛けるベルト受け部32が可塑変形していないと、腰ベルト50が引っ掛かる箇所が毎回異なる可能性があり、ベルト取付部材3と収納部2(第1磁性体G1と第2磁性体G2)の固定力がバラついて、固定が不安定となる虞がある。一方、本発明によれば、ベルト受け部32が二つに折り曲げられた状態で可塑変形しているため、余計な応力が第1磁性体G1および第2磁性体G2に掛かるのを抑制でき、外れ難くできる。また、この構成によれば、取り付ける際に腰ベルト50が引っ掛かる箇所が毎回略同じ位置になるため、ベルト取付部材3と収納部2の固定が安定化する。
【0031】
(b)本発明の腰袋1では、ベルト挿込部31が比較的高い強度(剛性)を有するため、腰袋1を取り付ける際に、作業者40と腰ベルト50との間に挿し込みやすくなる。また、本発明の腰袋1では、ベルト取付部材3全体(ベルト挿込部31およびベルト受け部32)が比較的高い強度(剛性)を有する。ベルト取付部材3の強度(剛性)が低いと、腰袋等(腰袋自体や、収納部2に収納した工具等)の重量によりベルト取付部材3が変形し、固定された第1磁性体G1と第2磁性体G2との間に余計な負荷がかかって腰ベルト50から脱落する虞がある。したがって、ベルト取付部材3の強度(剛性)を高くすることで、収納部2とベルト取付部材3との固定を安定化させることができ、作業中の腰袋の脱落を抑制できる。なお、本実施形態に係る腰袋1のベルト受け部32の耐荷重は、約10kgであった。なお、ベルト挿込部31の剛性(曲げ剛性)または強度は、例えば軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC)、または3mm厚のポリ塩化ビニル板よりも高い。
【0032】
(c)本実施形態のベルト挿込部31は、先端に向かって幅が狭くなっていく「先細り形状」であるため、先端に向かって幅が広くなる形状に比べて、ベルト挿込部31を腰ベルト50と作業者40との間に挿し込みやすい。なお、本実施形態では、台形の上辺(短辺)の先に剣形を組み合わせたような平面形状のベルト挿込部31を例示したが、「先細り形状」はこれに限定されるものではない。本明細書中の「先細り形状」とは、根元から先端に向かって幅が狭くなっていくようなテーパー形状のものを言う。つまり、ベルト挿込部31が三角形や台形等の形状や、2つ以上の図形を組み合わせた形状(例えば、長方形に三角形を足し合わせた形状)でも、先端に移動するにつれ大まかに幅が狭くなる場合は「先細り形状」という。逆に、先端に移動するにつれて幅が太くなる箇所がある場合には、「先細り形状」とは言わない。なお、ベルト挿込部31は必ずしも「先細り形状」でなくてもよく、先端に移動するにつれて幅が広くなる部分があってもよいが、その場合には、取り付ける際に腰ベルト50に引っ掛かってしまう虞がある。したがって、ベルト挿込部31は「先細り形状」が好ましい。
【0033】
(d)腰袋1の各部(ベース部材11およびベルト取付部材3)の素材は、牛革(4mm厚のタンニン鞣し)である。腰袋の各部に、比較的剛性が高く、可塑変形させることができる素材を用いることで、補強部材等を別途使用せずとも、本発明の作用・効果を奏する腰袋を実現できる。
【0034】
(e)本実施形態では、第1磁性体G1および第2磁性体G2の軸方向に対する垂直強度・垂直負荷(Z軸方向の耐荷重)は10kgであり、軸方向における引張強度(Y軸方向の耐荷重)は、8kgである。このように軸方向(Y軸方向)や軸方向の垂直方向(Z軸方向)に対して、吸着した第1磁性体G1と第2磁性体G2とが容易に離れないため、作業中のベルト取付部材3と収納部2との固定は外れ難く安定化する。
【0035】
(f)また、収納部2とベルト取付部材3をボタンや面ファスナーで固定してループを形成する腰袋の場合、基本的には一度外れてしまうと、再び手動で留めないかぎり固定されることはない。一方、本発明では、収納部2とベルト取付部材3とが、第1磁性体G1および第2磁性体G2の磁力によって固定されるため、使用中に何かの拍子(振動や揺れ等)で収納部2とベルト取付部材3の固定が外れても、第1磁性体G1と第2磁性体G2とが近接すれば再固定される。したがって、腰ベルト50から脱落し難い腰袋1を実現できる。
【0036】
(g)厚み方向に腰ベルトを挟持する部分の間隙D1が大きすぎると、作業者の歩行時や作業時での振動・揺れが大きくなってしまう虞がある。一方、本実施形態では、ベルト挿込部31および収納部2が固定された状態での、腰ベルトを挟持する部分の厚み方向の間隙D1が5mm以上20mm以下である。この構成によれば、腰ベルト50の厚みが厚い場合には、ベルト取付部材3で腰ベルト50が挟持される。また、この構成であれば、腰ベルト50の厚みが薄い場合でも、ベルト取付部材3と腰ベルト50との間隙が狭い。したがって、この構成により、腰ベルト50に取り付けた際の腰袋1の振動や揺れが抑制される。
【0037】
(h)腰ベルト50に当接するベルト受け部32とその近傍の幅(X軸方向の長さ)が狭いと、腰ベルト50に取り付けた腰袋1が不安定になりやすく、作業者の歩行時や作業時の振動・揺れが大きくなってしまう虞がある。一方、本実施形態では、ベルト受け部32の幅L2およびその近傍の幅が、60mm以上である(腰袋1の幅L1の3/5以上である)。ベルト受け部32とその近傍の幅を広くすることで、腰ベルト50に取り付けた腰袋1の振動や揺れが抑制される。但し、人間の腰は曲線であるのに対し、剛性の高いベルト受け部32は変形し難い。特にベルト受け部32の幅が広すぎると、腰ベルト50に取り付けた際に不快感が顕著となる。また、ベルト受け部32の幅が広いと、取り付けた際にベルト受け部32に大きな負荷(曲げ)が掛かるため、耐久性も低くなってしまう。そのため、取り付けた際の不快感の抑制と耐久性向上のため、ベルト受け部32とその近傍の幅は125mm以下(腰袋1の幅L1以下)が好ましい。なお、本明細書中で「ベルト受け部32の近傍」とは、ベルト挿込部31のうち、腰ベルト50を実際に引っ掛ける箇所から50mm離れた部分までを言う。
【0038】
(i)本実施形態では、腰袋1を取り付けた際の、ループの長さH3(ベルト受け部32から第1磁性体G1および第2磁性体G2が接触した部分までの長さ)は50mm以上である(または、腰袋1のZ軸方向の高さの1/3以上である)。ループの長さH3が長ければ、幅の広い腰ベルト50にも腰袋1を取り付けることが可能となる。また、ループの長さH3が長ければ、隙間(遊び)も大きくなるため、腰袋1が多少揺れたり衝撃を受けたりしても隙間によって吸収され、容易には外れ難くなる。なお、より好ましくは、ループの長さH3は100mm以上である。但し、ループの長さH3が長過ぎると、作業者が腰袋1を取り外し難くもなる。そのため、ループの長さH3は、200mm以下(または、腰袋1のZ軸方向の高さの4/5以下)が好ましい。
【0039】
(j)ベルト受け部32から腰袋1の底部までの長さが長過ぎると、作業者40が歩行する際に腰袋1が太腿等に当たって邪魔になる場合がある。また、腰袋1を取り付けた状態で座ると、収納部2が床等に当たって押し上げられ、腰袋1が外れてしまう場合もある。本実施形態では、ベルト受け部32から腰袋1の底部までの長さ(Z軸方向の長さ)は200mm以下と短いため、腰袋1が歩行の妨げになり難く、かつ、取り付けた状態で座っても外れ難くできる。なお、本実施形態では、第2磁性体G2がベルト挿込部31の先端付近に取り付けられている。この構成によれば、ベルト受け部32から腰袋1の底部までの長さを必要以上に長くしなくとも、ループの長さH3(隙間)を大きくしてできる。
【0040】
(k)本実施形態に係る腰袋1では、収納部2の側方の下側に2つの側開口22が形成されている。この構成によれば、収納部2の収納空間6内にゴミ等が溜まるのを抑制できる。なお、本実施形態では、側方下側にそれぞれ1つずつ側開口22が形成された収納部2を示したが、この構成に限定されるものではない。側開口22は無くてもよく、収納部2に3つ以上が形成されていてもよい。また、側開口22が形成されている位置は、収納部2の側方下側に限定されるものではなく、側方の上側や中央(Z軸方向における高さの中央)付近であってもよく、収納部2の正面や背面でもよい。但し、上記効果の点で、側開口22は収納部2の側方の下側に配置されていることが望ましい。
【0041】
なお、本実施形態では、平面形状が台形のベース部材11を備えた腰袋1を例示したが、この構成に限定されるものではない。ベース部材11の平面形状は、例えば矩形や多角形等でもよく、T字形やH字形等でもよい。また、ベース部材11の表面S1は平面だけに限らず、表面S1が曲面であってもよいし、ベース部材11が折れ曲がっている構成でもよい。
【0042】
また、本実施形態では、平面形状が略T字形のカバー部材12を備えた腰袋1を示したが、この構成に限定されるものではない。カバー部材12の平面形状は、例えば矩形や多角形、Y字形、H字形等でもよい。なお、カバー部材12の平面形状によって、側開口22の形状・位置は変化する。また、本実施形態では矩形の外縁を切り欠いて略T字形にしたカバー部材12を示したが、カバー部材12には貫通孔(外縁に接しない開口)が設けられていてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、ベース部材11、カバー部材12、仕切部材13,14等を有する収納部2を例示したが、この構成に限定されるものではない。収納部は、ベース部材11とカバー部材12のみで構成されていてもよい。また、収納部2は、袋状または箱状であればよく、例えば1つの部材(ベース部材)のみを折り曲げて袋状にしたものでもよく、3つ以上の部材を組み上げて袋状にしたものでもよい。さらに、収納部2は、例えば、円筒状に曲げたベース部材に、底板として別の部材を取り付けたものでもよい。
【0044】
本実施形態では、収納部2の上側に形成された開口21が開放された腰袋1を例示したが、開口21が下側にあってもよい。また、開口21は蓋やカバーで覆われていてもよい。また、本実施形態では、ベルト取付部材3を収納部2の外面(ベース部材11の裏面S2)の上側にリベット止めによって連結した例を示したが、この構成に限定されるものではない。ベルト取付部材3は収納部2の内面(ベース部材11の表面S1)に連結してもよい。また、ベルト取付部材3は縫着によって連結してもよく、収納部2と一体となっていてもよい。
【0045】
本実施形態では、第1磁性体G1が丸形磁石で、第2磁性体G2が矩形の鉄製プレートである例を示したが、この構成に限定されるものではない。第1磁性体G1および第2磁性体G2は、どちらかが磁石であればよく、両方とも磁石であってもよい。また、第1磁性体G1および第2磁性体G2の形状も適宜変更が可能であるが、着脱の観点から、その表面は平坦で(凹凸等が少なく)、厚み(Z軸方向の高さ)も薄い方が好ましい。第1磁性体G1および第2磁性体G2の平面形状は、例えば、円形や矩形のほかに多角形、楕円形、L字形、T字形、クランク形などでもよい。また、本実施形態では、1つの第1磁性体G1と1つの第2磁性体G2を備える腰袋1の例を示したが、この構成に限定されるものではない。第1磁性体G1および第2磁性体G2の数は1つでもよく、複数であってもよい。さらに、本実施形態では、ベルト取付部材3を収納部2に固定した状態で、第1磁性体G1と第2磁性体G2のそれぞれ一部が対向(Y軸方向から視て、第1磁性体G1および第2磁性体G2の一部が重なる)した腰袋1を例示したが、この構成に限定されるものではない。ベルト取付部材3を収納部2に固定した状態で、第1磁性体G1全体が第2磁性体G2に重なっていてもよく、その逆であってもよい。第1磁性体G1と第2磁性体G2の重なり具合は、ベルト取付部材3と収納部2に必要な固定力(磁力や、磁性体の種類・形状・面積・配置等)を考慮して決定すればよい。
【0046】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、形状の異なるベルト取付部材を備えた腰袋の例を示す。
【0047】
図13(A)は腰袋1Aの背面図であり、
図13(B)はベルト取付部材3Aを180°開いた状態の腰袋1Aの背面図である。
【0048】
腰袋1Aは、ベルト取付部材3A、2つの第1磁性体G1A、および2つの第2磁性体G2Aを備える点で、第1の実施形態に係る腰袋1と異なる。それ以外の構成については、腰袋1と同じである。
【0049】
ベルト取付部材3Aは、矩形のベルト挿込部31Aを有する。2つの第1磁性体G1Aは、収納部2の外面下側に取り付けられた平面形状が丸形の磁石であり、X軸方向に並べられている。2つの第2磁性体G2Aは、第1磁性体G1Aと略同じ形状・大きさの丸形の磁石である。2つの第2磁性体G2Aは、ベルト取付部材3Aを収納部2に固定した状態で、第1磁性体G1Aに対応する場所に配置されている。
図13(A)に示すように、第1磁性体G1Aおよび第2磁性体G2Aは、Y軸方向から視て、略重なっている。
【0050】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、形状の異なるベルト取付部材を備えた腰袋の例を示す。
【0051】
図14(A)は腰袋1Bの背面図であり、
図14(B)はベルト取付部材3Bを180°開いた状態の腰袋1Bの背面図である。
【0052】
腰袋1Bは、ベルト取付部材3B、2つの第1磁性体G1B、および2つの第2磁性体G2Bを備える点で、第1の実施形態に係る腰袋1と異なる。それ以外の構成については、腰袋1と同じである。
【0053】
ベルト取付部材3Bは、先細り形状(剣形)のベルト挿込部31Bを有する。2つの第1磁性体G1Bは、収納部2の外面下側に取り付けられた平面形状が丸形の磁石であり、Z軸方向に並べられている。2つの第2磁性体G2Bは、第1磁性体G1Bと略同じ形状・大きさの丸形の磁石である。2つの第2磁性体G2Bは、ベルト取付部材3Bを収納部2に固定した状態で、第1磁性体G1Bに対応する場所に配置されている。
図14(A)に示すように、第1磁性体G1Bおよび第2磁性体G2Bは、Y軸方向から視て、略重なっている。
【0054】
《その他の実施形態》
以上に示した実施形態では、収納部2およびベルト取付部材3,3A,3Bの素材が、4mm厚のタンニン鞣し牛革である例を示したが、これに限定されるものではない。収納部2およびベルト取付部材3,3A,3Bの各部に必要な剛性および可塑性を有するのであれば、素材や厚みは適宜変更が可能である。また、収納部2およびベルト取付部材3,3A,3Bの各部の素材は、例えば、他の動物の革やクロム鞣し革、帆布、鉄板、熱可塑性樹脂などでもよい。また、腰袋の略全体が同一の素材である必要はなく、各部が異なる素材を組み合わせていてもよい。
【0055】
以上に示した実施形態では、腰袋が備えるベルト取付部材が1つである例を示したが、ベルト取付部材は複数あってもよい。但し、ベルト取付部材が複数あると、取り付け・取り外しが面倒になる虞がある。したがって、腰袋の取り付け・取り外しの容易さの観点から、ベルト取付部材は1つであることが好ましい。
【0056】
なお、本発明の腰袋は腰ベルト50にのみ取り付けるものに限定されず、例えば薄手の生地(ポケットやズボン、カバン等)にベルト取付部材を引っ掛けて挟み、第1磁性体および第2磁性体で固定してもよい。また、上記生地に鉄板等の磁性体を仕込み、ベルト取付部材を引っ掛けてから磁石(第1磁性体および第2磁性体)で固定してもよい。また、使用しないときには、鉄板等の磁性体にベルト取付部材を引っ掛けて、磁石(第1磁性体または第2磁性体)で固定して置いてもよい。
【0057】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B …腰袋
2 …収納部
3,3A,3B …ベルト取付部材
6,7,8 …収納空間
11 …ベース部材
12 …カバー部材
13,14 …仕切部材
21 …開口
22 …側開口
23,24 …開口
31,31A,31B …ベルト挿込部
32 …ベルト受け部
40 …作業者
41 …臀部
50 …腰ベルト
G1,G1A,G1B …第1磁性体
G2,G2A,G2B …第2磁性体
PS1 …ベルト挿込部の表面
PS2 …ベルト挿込部の裏面
S1 …ベース部材の表面
S2 …ベース部材の裏面
H1 …ベルト受け部から腰袋の底部までの長さ
H2 …収納部のカバー部材の高さ
L1 …腰袋の幅
L2 …ベルト受け部の幅
【要約】
【課題】容易に腰ベルトに着脱できる腰袋を提供する。
【解決手段】腰袋1は、開口21を有する収納部2、二つに折り曲げて可塑変形したベルト取付部材3、収納部2の外面に取り付けられた第1磁性体G1、ベルト取付部材3に取り付けられた第2磁性体G2を備える。ベルト取付部材3は、ベルト受け部32、長尺状のベルト挿込部31を有する。ベルト取付部材3を折り曲げた状態で、ベルト挿込部31は収納部2の外面の一部を覆い、第1磁性体G1および第2磁性体G2は少なくとも一部が対向する。ベルト挿込部31は、第1磁性体G1および第2磁性体G2が磁力によって吸着して、収納部2に固定される。
【選択図】
図5