(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241209BHJP
【FI】
F21S2/00 435
(21)【出願番号】P 2021006905
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】506032473
【氏名又は名称】株式会社アイテックシステム
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘実
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に並
ぶ複数の光源又は前記X方向に長手を有する発光面と、
前記X方向に長手を有し、前記複数の光源又は前記発光面からの光が前記X方向と直交するY方向の端面から
入る導光板と、
照明器と、を備え、
前記導光板の厚さ方向の一方の面には、前記端面から
入る前記光を前記導光板が面する照射位置に向かって反射する複数の反射部が設けられ、
前記照明器は、前記導光板の前記複数の反射部が設けられた部分である光透過部を
前記照明器の光軸が通るように配置されると共に前記光透過部を介して前記照射位置を照明し、又は、前記導光板の下方から前記照射位置を照明するものである、照明装置。
【請求項2】
前記光透過部における前記反射部が設けられている面積の前記光透過部の面積に対する割合は5%以上である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
各前記反射部は、前記導光板から突出しているレンズである、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
X方向に並ぶ複数の光源又は前記X方向に長手を有する発光面と、
前記X方向に長手を有し、前記複数の光源又は前記発光面からの光が前記X方向と直交するY方向の端面から入る導光板と、
照明器と、を備え、
前記導光板の厚さ方向の一方の面には、前記端面から入る前記光を前記導光板が面する照射位置に向かって反射する複数の反射部が設けられ、
前記照明器は、前記導光板の前記複数の反射部が設けられた部分である光透過部を前記照明器の光軸が通るように配置されると共に前記光透過部を介して前記照射位置を照明し、又は、前記導光板の下方から前記照射位置を照明するものであり、
前記導光板には、当該導光板を介して前記照射位置をラインセンサで観察することを可能とする観察窓であって、前記X方向に長手を有する観察窓が設けられ、
前記観察窓における前記反射部が設けられている面積の前記観察窓の面積に対する割合は2%以上である、
照明装置。
【請求項5】
前記導光板に対し前記照明器の位置を固定する固定部材を備える、請求項1~4の何れかに記載の照明装置。.
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラインセンサの撮像ライン(観察位置)をドーム型照明装置によって照明する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のドーム型照明装置は、反射ドームの上端にラインセンサの長手に沿ったスリットが設けられ、スリットを介して反射ドームの下方に配置された対象がラインセンサによって観察される。ドーム型照明装置によって、ラインセンサの観察位置には様々な方向から光が照射される。このため、対象において影になる部分を極力減らすことができるという利点がある。
【0005】
また、反射ドームの上端にスリットが設けられ、ラインセンサはスリットの真上に配置される。このため、鏡面である上面を有する平板等が対象である場合でも、ラインセンサから見た時に鏡面である対象の上面に反射ドームの内面や光源であるLED等が映り込むことがないという利点がある。
【0006】
しかし、ラインセンサから見た時に鏡面である対象の上面に反射ドームの内面や光源であるLED等が映り込むことがない状態は、反射ドームからの光がラインセンサに届き難い状態でもある。つまり、反射ドームの上端にスリットがあるため、ラインセンサの観察位置には反射ドームから斜めに光が照射され、斜めに照射された光が鏡面である対象の上面によって正反射される。このため、ラインセンサでの対象の観察時に光量が不十分になる場合もある。
【0007】
また、対象に様々な方向から十分な量の光を供給するためには、反射ドームが大型化する場合もある。
さらに、ラインセンサの観察位置に他の照明器から光を照射できれば、ドーム型照明装置の照明状態とは異なる照明状態で観察位置を照明できる。これは、様々な対象の観察をより正確に行うために好ましい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ドーム型照明装置の利点を極力維持しながら、ラインセンサの観察位置の照明状態を、ドーム型照明装置のように様々な方向から比較的弱い光が照射されるだけの状態とは異なる照明状態とすることができ、しかも省スペース化を図ることができる照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る照明装置は、X方向に並ぶ複数の光源又は前記X方向に長手を有する発光面と、前記X方向に長手を有し、前記複数の光源又は前記発光面からの光が前記X方向と直交するY方向の端面から入る導光板と、照明器と、を備え、前記導光板の厚さ方向の一方の面には、前記端面から入る前記光を前記導光板が面する照射位置に向かって反射する複数の反射部が設けられ、前記照明器は、前記導光板の前記複数の反射部が設けられた部分である光透過部を前記照明器の光軸が通るように配置されると共に前記光透過部を介して前記照射位置を照明し、又は、前記導光板の下方から前記照射位置を照明するものである。
【0010】
当該態様では、導光板の反射部によって照射位置に様々な方向の光が照射される。このため、照射位置内の線状の観察位置をラインセンサによって観察する時に、観察位置には様々な方向から光が照射される。
また、当該態様では、ラインセンサの観察位置の照明状態を、導光板によるドーム型照明装置のような照明状態、つまり様々な方向から比較的弱い光が観察位置に照射される照明状態だけではなく、照明器のみから観察位置に光が照射される照明状態にもすることができる。
【0011】
さらに、導光板によってドーム型照明装置のような照明状態を形成できるので、省スペース化を図ることができる。特に、照明器は、導光板の複数の反射部が設けられた部分である光透過部を介して照射位置を照明できるので、設計の自由度が増し、これは効率的に省スペース化を行うために有用である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドーム型照明装置の利点を極力維持しながら、ラインセンサの観察位置の照明状態を、ドーム型照明装置のように様々な方向から比較的弱い光が照射されるだけの状態とは異なる照明状態とすることができ、しかも省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の一部の平面図である。
【
図2】本実施形態の照明装置の導光板の使用状態説明図である。
【
図3】本実施形態の照明装置の一部の正面図である。
【
図4】本実施形態の照明装置の一部の側面図である。
【
図5】本実施形態の照明装置の一部の平面図である。
【
図6】本実施形態の照明装置の導光板の反射部の機能を示すイメージ図である。
【
図7】本実施形態の照明装置の導光板の反射部の機能を示すイメージ図である。
【
図8】本実施形態の照明装置の変形例の導光板のイメージ図である。
【
図9】本実施形態の照明装置の一部断面側面概略図である。
【
図10】本実施形態の照明装置の変形例の一部断面側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る照明装置について
図1~
図7および
図9を参照して以下に説明する。
この照明装置は、
図2に示すようにラインセンサSによって観察(検査)等する対象Wを照明する。
図1に示すように、この照明装置は、所定方向(
図1のX方向)に並ぶ複数の第1の光源10と、前記所定方向に並ぶ複数の第2の光源20とを有し、本実施形態では各光源10,20はチップ型LED、砲弾型LED等のLED素子である。複数の光源10はX方向に互いに間隔をおいて配置され、当該間隔は数mm、十数mm等である。複数の光源20も同様にX方向に互いに間隔をおいて配置されている。一例では、
図2に示すように対象WはコンベヤCVによってX方向と直交するY方向に搬送されている。
【0015】
この照明装置は、複数の第1の光源10からの光および複数の第2の光源20からの光が入射
する導光板30を備える。本実施形態では導光板30は透明なプラスチックの平板である。導光板30の材質はガラス等の周知の他の材質であってもよい。
図1に示すように、本実施形態では、前記所定方向をX方向と称し、X方向と直交する方向であって導光板30が延在する方向をY方向と称する。また、
図1および
図2に示すようにX方向およびY方向に直交する方向をZ方向と称する。
【0016】
複数の第1の光源10からの光は導光板30のY方向の一方の端面30aから導光板30内に
入り、複数の第2の光源20からの光は導光板30のY方向の他方の端面30bから導光板30内に
入る。
図2および
図5に示すように、複数の第1の光源10は第1のボディ11に取付けられ、複数の第2の光源20は第2のボディ21に取付けられている。
【0017】
一例では、第1のボディ11のY方向における導光板30側の一端面に複数の第1の光源10が取付けられている。また、第1のボディ11における前記一端面側には、Y方向に突出する一対の突出部11aが設けられている。一対の突出部11aは互いにZ方向に間隔をおいて配置され、一対の突出部11aの間に導光板30のY方向の一方の端部が配置されている。本実施形態では、各突出部11aは第1のボディ11のY方向の略全体に亘って設けられている。一対の突出部11aによって第1のボディ11に対し導光板30が少なくともZ方向に位置決めされる。
【0018】
第2のボディ21のY方向における導光板30側の一端面に複数の第2の光源20が取付けられ、第2のボディ21にも第1のボディ11と同様に一対の突出部21aが設けられている。
図2および
図4に示すように、第1のボディ11および第2のボディ21のY方向における導光板30と反対側の端部には放熱部11b,21bが形成されている。
【0019】
図1、
図3、および
図5に示すように、第1および第2のボディ11,21のX方向の一端および他端にはそれぞれ固定部材40が取付けられている。一方の固定部材40は、第1のボディ11のX方向の一端にボルト等の締結部材41によって固定され、第2のボディ21のX方向の一端に締結部材41によって固定されている。また、他方の固定部材40は、第1のボディ11のX方向の他端にも締結部材41によって固定され、第2のボディ21のX方向の他端にも締結部材41によって固定されている。また、各固定部材40は、導光板30のX方向の移動を規制すると共に、第1のボディ11と第2のボディ21とを連結する。当該構成によって、第1および第2のボディ10,20に導光板30が容易且つ確実に取付けられる。
上記構成によって、X方向の寸法が異なるこの照明装置を容易且つ確実に製造することが可能であり、これは検査対象、検査条件等が異なる様々な客の要求に柔軟に対応する上で有用である。
【0020】
図6に示すように、導光板30の厚さ方向一方の面30cには複数の反射部31が設けられている。本実施形態では、各反射部31は前記一方の面30cから突出している凸レンズである。
図6は各反射部31の理想的な形状の一つを示す。
図6に示すように、各反射部31は、導光板30内の各光源10,20からの光を導光板30の厚さ方向他方の面30dを介して導光板30が面する照射位置に向かって反射するものである。なお、
図6は反射部31の機能を図示するための模式的な図であり、
図6では反射部31の大きさに対し導光板30の厚さ寸法が小さく描かれている。
【0021】
なお、各反射部31は、例えば透明な紫外線硬化プラスチックを用いたインクジェット印刷によって形成可能である。複数の反射部31は互いにX方向およびY方向のそれぞれに間隔DTをおいて配置され、間隔DTは例えば85μmである。
【0022】
本実施形態では、
図1および
図2に示すように、導光板30のY方向の中央側は観察窓32として機能し、観察窓32はX方向に長手を有する。本実施形態では観察窓32は導光板30のX方向の全体に亘って設けられているが、観察窓32のX方向の範囲は、ラインセンサの観察範囲に対応していればよい。観察窓32のY方向の寸法は2cm以下であることが好ましいが、本実施形態では観察窓32のY方向の寸法は1cm以下である。
【0023】
観察窓32にも前記複数の反射部31が設けられている。観察窓32の第1の直径(
図6に示す直径D)は、好ましくは41μm以下であり、より好ましくは36μm以下であり、本願では32μmである。つまり、観察窓32において、好ましくは、観察窓32の全体の面積に対し反射部31が設けられている面積の割合である第1の割合は、好ましくは18%以下である。第1の割合は、より好ましくは14%以下であり、本実施形態では約11%である。第1の割合が前記の割合よりも高いと、
図2のようにラインセンサによって観察窓32を介して対象Wを観察する時に、得られる像が不鮮明になる場合がある。なお、前記第1の割合は2%以上であることが好ましい。第1の割合が2%未満である場合は、後述の効果が得られない場合が多くなるが、観察条件、対象等に応じて使える場合はある。本実施形態では観察窓32の反射部31が均等に設けられるが、反射部31の分布に偏りがある場合もある。
【0024】
ここで、各反射部31を形成する際に、前記照射位置に前記光を向かわせる凸レンズとしてほぼ機能しない部分が形成される場合がある。例えば、
図7に示すように、反射部31の一部31aが導光板30の前記一方の面に沿って薄く形成され、当該一部31aが略平面になっている場合は、上記凸レンズとしてほぼ機能しない。この場合は、
図7に示すように、前記照射位置に前記光を向かわせる凸レンズの部分ARの面積が前記第1の割合の計算に使用される。下記第2の割合でも同様の計算が行われる。また、
図7に示すように、反射部31に他の部分と形状特性が異なる単一又は複数の特異部31bが存在する場合や、反射部31全体がスムーズな凸レンズでない場合でも、全体として照射位置に前記光を向かわせる機能を有するならば反射部31と言える。
【0025】
一方、導光板30の観察窓32以外の他の部分33における反射部31が設けられている面積の他の部分33の全体の面積に対する割合である第2の割合は、前記第1の割合に対し好ましくは1.5倍以上であり、より好ましくは2倍以上である。第1の割合が5%以上である場合等は、第2の割合が前記第1の割合に対し1.2倍以上であれば後述の効果が達成される場合がある。本実施形態では観察窓32の各反射部31の直径は32μmなので、各反射部31の第2の直径(
図6に示す直径D)は好ましくは45μm以上となる。本実施形態では、第2の直径は62μmであり、第2の割合は約42%となる。第2の割合は5%以上であれば本照明装置を実現可能であり、15%以上であることが好ましく、より光量を増す場合は好ましくは20%以上であり、更に光量を増す場合は好ましくは25%以上である。第2の割合が15%未満であっても、観察目的等によっては問題無く検査できる場合もある。本実施形態では他の部分33の反射部31が均等に設けられるが、反射部31の分布に偏りがある場合もある。本実施形態では他の部分33のY方向の寸法は5cm以上であるが、照射位置迄の距離が小さければ、他の部分33のY方向の寸法が1cm以上であれば同様の効果が得られる場合がある。
【0026】
なお、反射部31が均一に分布しておらず、観察窓32の全体又は他の部分33の全体の前記割合を確認し難い場合もある。この場合、第1の割合は、観察窓32の複数個所のそれぞれで当該箇所の面積に対する反射部31の面積の割合を求め、複数個所で求められた割合の平均を第1の割合とすることができる。第2の割合についても同様である。
また、第1の割合および第2の割合を反射部31同士の間隔DTによって変更することも可能である。
【0027】
図2に示すように、公知のラインセンサSは、導光板30の前記一方の面30c側に配置され、導光板30の前記他方の面30d側の照射位置の対象Wの像を得る。なお、ラインセンサSは当然に観察窓32に沿って配置される。
【0028】
上記の構成を有する照明装置を用いると、ラインセンサSに届く光が多くなる。特に、観察窓32からも照射位置に向けて光が照射される。光源10,20からの光は
図6に示される光線軌跡L1,L2,L3,L4のように導光板30内を進み、光線軌跡L1,L2,L3,L4の一部が反射部31によって照射位置に向かって反射される。そのうちの一部L4は導光板30の他方の面30dに対して略垂直に進む。略垂直とは、例えば、他方の面30dと光線L4とがなす角度が80°以下、より好ましくは85°以下であることを言う。なお、導光板30がプラスチック材料から成る場合は、臨界角は45°以下となり、臨界角を超える角度で反射部31に侵入する光が反射される。
【0029】
このように、観察窓32で反射された光が導光板30の他方の面30dに対して略垂直に進むと、対象Wが光沢を有する物である場合にラインセンサSを用いた観察、検査等が正確になる場合がある。また、対象Wの表面から電子部品等が突出している場合に、電子部品による影が形成され難い。このように、本実施形態は、対象Wの表面の形状や光沢による観察ラインの照度変化の低減に有効である。
【0030】
また、観察窓32の位置において対象Wに向かって光が反射されることによって、様々な種類の対象Wに関してラインセンサSに届く光が多くなり、これは検査の高速化および検査の精度向上を狙う上で有利である。また、観察窓32に反射部31が設けられていない場合と異なり、ラインセンサSの光軸に沿った方向からも対象Wに光が照射されることになり、ラインセンサSにより得られる画像は観察窓32に反射部31が設けられていない場合とは異なる。これは、画像内における対象Wの明るさや見え方の差となり、対象Wの種類によっては検査の精度向上に繋がる。
【0031】
また、ラインセンサSによる観察位置には、前記他の部分33からの光も照射される。このため、観察位置(照射位置)の対象Wが様々な方向から照射されることになり、従来のドーム型照明と同様の効果も得られる。つまり、ドーム型照明と同じ効果を省スペースで実現することができる。
【0032】
前記第2の割合が前記第1の割合に対し1.5倍以上であると、ラインセンサSの光軸方向からの光の照射量、他の部分33からの光の照射量、およびラインセンサSにより得られる像の鮮明性のバランスから、対象Wの観察を良好に行うことができる。なお、本実施径形態のように、前記第2の割合が前記第1の割合に対し2.5倍以上又は3倍以上になると、対象Wの観察がより良好になる場合が多い。
なお、第1の割合が10%以上である場合等は、第2の割合が前記第1の割合に対し1.2倍以上であれば、第1の割合と第2の割合との差の絶対値が2%以上となる。この場合も対象Wの観察がより良好になる場合が多い。
【0033】
なお、導光板30における観察窓32の位置は任意に設定可能である。例えば、導光板30のY方向の一端側に観察窓32を設け、他の部分33を観察窓32に対しY方向の他端側にのみ設けることも可能である。または、導光板30のY方向の一端側に観察窓32を設け、他の部分33を観察窓32に対しY方向の両側に設けることも可能である。これらの配置は、一方側から多くの光を照射した方が対象Wが良く見える場合に有効である。
【0034】
また、互いにY方向に間隔をおいて複数の観察窓32を導光板30に設けることも可能である。
また、観察窓32に対してY方向の一方の他の部分33の前記第2の割合とY方向の他方の他の部分33の前記第2の割合とを異ならせてもよい。例えば、一方の第2の割合が他方の第2の割合の1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上としてもよい。当該構成は、Y方向の一方側からの光を強くした方が観察し易い対象Wを検査する時に有用である。
【0035】
さらに、当該照明装置が複数種類の導光板30を有し、導光板30を検査対象に応じて他の種類の導光板30に取り換え可能に構成されていることは有用である。本実施形態では固定部材40の着脱によって導光板30を取り換え可能である。
【0036】
また、他の部分33の反射部31の密度が観察窓32側に向かって徐々に高くなるように構成することも可能である。この場合、他の部分33において、観察窓32の近傍から照射位置に向かう光が多くなる。他の部分33において反射部31を他の態様で分布させることも可能である。
他の部分33において、観察窓32に近い側の反射部31の密度を観察窓32から遠い側の反射部31の密度よりも高くすることも可能である。この場合、観察窓32に反射部31を設けなくても、ラインセンサS側から照射位置に向かう光が多くなる。当該構成を用いる場合も、対象W、観察目的等によっては、対象Wの観察を良好に行える場合がある。
【0037】
なお、
図8に示すように、反射部31の代わりに厚さ方向一方の面30cに凹部である反射部34を設けることも可能である。この場合でも、各反射部34は光源10,20からの光を照射位置に向かって反射する。反射部34は、円錐形状の凹部とすることも可能であり、角錐形状の凹部とすることも可能であり、球面の一部の形状の凹部とすることも可能であり、その他の形状の凹部とすることも可能である。
また、各反射部31は、導光板30の厚さ方向一方の面30cに小さな金属部材等の反射部材を貼付けることによって形成することも可能である。
【0038】
また、他の部分33の厚さ方向一方の面30cに、反射部31,34と共に、又は、反射部31,34を設けずに、反射シートを接触又は近接させることも可能である。反射シートは、紙等の白いシート、アルミニウム箔等の金属光沢を有するシート等、光を反射する公知のシートであればよい。反射部31,34、粗面処理等による凹凸等が厚さ方向一方の面30cにおける他の部分33に設けられる場合のように、端面30a,30bから入る光が厚さ方向一方の面30cから漏れるように構成されていると、他の部分33に反射部31,34を設ける場合と同様の作用効果を奏し得る。他の部分33に反射部31,34等と共に反射シートを設けると、照射位置の光量が増す。
【0039】
また、複数の第1の光源10の代わりに、導光板30の端面30aに沿って配置され、端面30aから導光板30内に光を入れる発光面が設けられてもよい。発光面は、端面30aに沿って配置された別の導光板であってもよい。この場合、当該別の導光板に光が導入され、当該別の導光板の端面30aに沿った面から光が射出される。複数の第2の光源10の代わりに同様の発光面が設けられてもよい。さらに、各第1の光源10,20が光ファイバの先端であってもよい。
【0040】
図9に示すように、当該照明装置が照明器40を備えていてもよい。照明器40は、例えば、ラインセンサSの観察位置にライン光を照射するライン照明装置である。
図9の照明器40は、照明器本体41と、照明器本体41内に固定され、互いに
図9の紙面奥行き方向(X方向)に間隔をおいて並ぶ複数のLED42と、を有する。また、この照明器40は、照明器本体41内に固定され、複数のLED42からの光をX方向と直交する方向に集光するシリンドリカルレンズ(集光レンズ)43を有する。また、この照明器40は、シリンドリカルレンズ43からの光を主にX方向に拡散する拡散レンズ44と、保護レンズ45と、を有する。
【0041】
図9では、固定部材50の一端側が照明器40に図示しないボルト等の固定手段により固定され、固定部材50の他端側がボルト等の固定手段によって第2のボディ21に固定され、第2のボディ21に導光板30が取付けられている。このように、照明器40は固定部材50によって導光板30に対する位置が固定されている。なお、固定部材50の他端側がボルト等の固定手段によって第1のボディ11に固定されてもよい。
【0042】
当該構成によって、照明器40からの光は、導光板30における他の部分(光透過部)33を透過して、導光板30による照射位置を照明する。また、照明器40からの光はX方向に長い線(ライン)状となる。一例では、
図9のように照明器40はラインセンサSの観察位置を照明する。他の部分33に反射部31が存在することにより、照明器40からの光が拡散されるが、それでも照明器40からの多くの光が観察位置に届く。導光板30からの光だけによる観察、照明器40からの光だけによる観察、および導光板30および照明器40からの光による観察は、それぞれ対象Wの異なる特徴を目立たせることができる。なお、他の部分33において照明器40からの光が透過する部分の反射部31の密度が低くなるように、導光板30を製作することも可能である。
【0043】
このように、当該照明装置は、ラインセンサSの観察位置を様々な状態に照明することができる。なお、照明器40からの光は導光板30の他の部分33を通過して導光板30による光の照射位置である観察位置を照明する。当該実施形態は、ドーム型照明装置のように導光板30によって観察位置に様々な方向から光を供給でき、省スペース化を行いながら観察位置の照明状態を様々に変化させることもできる。これにより、対象Wの種類や検査の要求に応じた様々な照明状態が省スペースで実現される。
【0044】
ここで、本実施形態の照明器40は、複数のLED42の光をシリンドリカルレンズ43によってラインセンサSの観察位置に集光している。このため、照明器40から観察位置に供給される光量は導光板30から観察位置に供給される光量の2倍以上になる。このように、観察位置における照明状態のバリエーションが豊富になり、対象Wの種類や検査の要求に応じた様々な照明状態が実現される。
【0045】
なお、この照明装置が、導光板30の他の部分33を介して観察位置を照明する他の照明器をさらに備えていてもよい。また、照明器40を公知の他の照明装置とすることも可能であり、ラインセンサSと同軸で観察位置を照明する照明器を導光板30又はボディ11,21に固定することも可能である。
また、観察窓32に反射部31が設けられていない導光板30を採用することも可能である。この場合でも、ドーム型照明装置のように導光板30によって観察位置に様々な方向から光を供給でき、省スペース化を行いながら観察位置の照明状態を様々に変化させることもできる。
【0046】
また、真下を観察するようにラインセンサSを配置せずに、ラインセンサSによって観察窓32を介して斜め下方を観察することも可能である。
また、
図10に示すように、照明器40が導光板30の下側に配置されるように固定部材50によって照明器40を第2のボディ21に固定してもよい。この場合でも、導光板30を用いることによって、省スペース化を行いながら、ドーム型照明装置のように観察位置に様々な方向から光を供給することができ、観察位置の照明状態を様々に変化させることもできる。
図9に示す構成の方が、導光板30を対象Wに近付けることができ、導光板30からの光をより多く対象Wに届ける必要がある用途に適している。また、照明器40からの光は
図9の場合よりも浅い角度で観察位置に照射され、観察対象物によって、例えば
図9の場合よりも製品の凹凸、エッジ等を際立たせることができる。
【符号の説明】
【0047】
10…第1の光源、20…第2の光源、30…導光板、30a…Y方向の一方の端面、30b…Y方向の他方の端面、31…反射部、32…観察窓、33…他の部分、34…反射部、40…照明器、50固定部材、S…ラインセンサ、W…対象