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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】リリーフバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
F16K17/04 F
F16K17/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021039327
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022139092
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】堀河 裕生
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
(72)【発明者】
【氏名】大道 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 真司
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 一志
(72)【発明者】
【氏名】久保 利賀剛
(72)【発明者】
【氏名】中野 哲
(72)【発明者】
【氏名】木原 侑也
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-292089(JP,A)
【文献】特開2014-152845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付勢手段によって、流体機器の流路と接続される圧力室の開放端周縁に形成した弁座にシートを付勢し、圧力室の圧力が所定値を超えたとき、付勢手段の付勢力に抗ってシートが弁座から離間して圧力室の流体を流路の外部に放出するリリーフバルブであって、
円環状底部から突出する円環状のシール部を有する弁体となるシートと、
該シートを配備する凹部を備えたディスクと、
該ディスクにシートを固定するシート押えと、
前記ディスクを弁座側に付勢する付勢手段とを備え、
前記流体機器の圧力室に連なるバルブ空間に、前記シートをシート押えで固定したディスク及び付勢手段を内装し、
前記シート押えは、前記シートの円環状底部の中心穴部を貫通し、ディスクに形成した係止孔に係止する係止部を形成した小径部及び該小径部に連なる大径部を有し、該大径部には径方向に突出する環状鍔部を備え、当該環状鍔部の前記円環状底部に当接する面と、円環状底部の前記環状鍔部に当接する当接面とは、組み立て密着前は非平行となるようにしたリリーフバルブ。
【請求項2】
前記環状鍔部の前記円環状底部に当接する面は、外径側より内径側に向かって漸次前記環状鍔部の厚みが薄くなるようにした請求項1に記載のリリーフバルブ。
【請求項3】
前記シートの前記環状鍔部との当接面は、内径側より外径側に向かって漸次前記円環状底部の厚みが薄くなるようにした請求項1に記載のリリーフバルブ。
【請求項4】
前記ディスクの凹部底面には、円環状の突起部を備えた請求項1乃至3に記載のリリーフバルブ。
【請求項5】
前記ディスクは、凹部上端部が内側に向かった円環鍔部を形成するとともに、該鍔部の内側円環面に円環状の突起部を備えた請求項1乃至4に記載のリリーフバルブ。
【請求項6】
前記係止孔及び係止部は、それぞれ雌ねじ孔と当該雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部である請求項1乃至5にし記載のリリーフバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機器内を流れる流体に異常圧力が発生したとき、流体を外部に流すようにするリリーフバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のリリーフバルブは、弁座に当接する弁体(シート)を保持する弁体ホルダをコイルばねで弁座側に押圧し、弁座側の流路内圧力が所定圧力を超え、コイルばねの押圧力を上回ったときに弁体が弁座から離間し、流体が内部流路から排出流路に流れ出るようになっている。
【0003】
この種のリリーフ弁では、弁体であるシートは弁体ホルダに保持されているが、流路内が高圧となって弁座からシートが離間したときに、高圧流体がシートと弁体ホルダ間に流入し、場合によってシートが弁体ホルダから浮上ったり外れたりすることがある。この場合、流路内圧力が所定圧に復帰したときに弁座の所定位置に弁体であるシートが当接しないこととなる。このような状態になると流路内の流体が常に排出流路に流れ出るという不具合がある。そのため、図8に示すように弁体であるシート300を弁体ホルダ(ディスク500)にシート押え400によって固定する方法が提案されている。
【0004】
図8(a)に示すリリーフバルブ100は、流体機器9のバルブ空間92に配備されるもので、流体機器9には、内部流路(図示省略)と連なる圧力室90と、内部が異常圧力となったとき内部流体を外部に逃がす排出流路91とが、リリーフバルブ100が配備されるバルブ空間92を介して繋がっている。
【0005】
リリーフバルブ100は、一端側の周面に複数の切欠き部22を形成した筒状のバルブボディ2と、シート押え400によって、凹部50に弁体となるシート300を固定したディスク500と、バルブボディ2の他端側に止め輪8を介して配設されるバネ受け600と、ディスク500とバネ受け600との間に配設されるコイルばね700とから構成されている。そして、弁体であるシート300は、バルブボディ2を流体機器9のバルブ空間92に取り付け、ディスク500、コイルばね700、バネ受け600をバルブボディ2内に配備してバネ受け600をシート300側に押圧して止め輪8でバネ受け600を固定することで、弁座面となるバルブ空間92の底面92aに押し当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-152845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、シート300が、バルブ空間92の底面92aに押し当てられている状態で、圧力室90の圧力が所定値以下(コイルばね700の押圧力以下)の場合、流体機器9の内部流路を流れる流体が排出流路91に流れ出すことはない。
【0008】
シート300は、図8(a)に示すように、中心にシート押え400が貫通する穴部を形成した環状部材で、環状円盤部320と、この環状円盤部320から突出して形成される環状のシール部310とから構成されている。そして、シート300の穴部を抜け、ディスク500のネジ穴51に螺合するねじ部41を形成したシート押え400は、環状円盤部320に当接し、ネジ部41の螺合に伴って、シート300の環状円盤部320を押圧する環状鍔部410を備えている。環状円盤部320と環状鍔部410との当接面320a、410aは両者が平行となる平面状であり、その接触形態は面接触となっているため、図8(b)に示す、矢印U(隙間)を介し、圧力室90の流体が排出流路91に漏洩する、いわゆる裏漏れが生じる虞があった。
【0009】
本発明は、ディスクに対し螺合するシート押えとシートとの間から流体が裏漏れすることを抑制することができるリリーフバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るバルブは、
付勢手段によって、流体機器の流路と接続される圧力室の開放端周縁に形成した弁座にシートを付勢し、圧力室の圧力が所定値を超えたとき、付勢手段の付勢力に抗ってシートが弁座から離間して圧力室の流体を流路の外部に放出するリリーフバルブであって、
円環状底部から突出する円環状のシール部を有する弁体となるシートと、
該シートを配備する凹部を備えたディスクと、
該ディスクにシートを固定するシート押えと、
前記ディスクを弁座側に付勢する付勢手段と、
前記流体機器の圧力室に連なるバルブ空間に取り付けられる、内部に前記シートをシート押えで固定したディスク及び付勢手段を内装したバルブボディとを備え、
前記シート押えは、前記シートの円環状底部の中心穴部を貫通し、ディスクに形成した係止孔に係止する係止部を形成した小径部及び該小径部に連なる大径部を有し、該大径部には径方向に突出する環状鍔部を備え、当該環状鍔部の前記円環状底部に当接する面と、円環状底部の前記環状鍔部に当接する当接面とは、組み立て密着前は非平行となるようにしている。
【0011】
本発明のバルブは、シートを押圧するシート押えのシートとの当接面と、シートのシート押えとの当接面とが組み立て密着前は非平行となっており、組み立て密着後の当接箇所の一部が線接触のように他の部分と比べ強い押圧力が発生する。
【0012】
この場合において、環状鍔部の円環状底部に当接する面は、外径側より内径側に向かって漸次環状鍔部の厚みが薄くなるようにすることで両面を組み立て密着前に非平行とすることができ、また、シートの環状鍔部との当接面を、内径側より外径側に向かって漸次円環状底部の厚みが薄くなるようにして両面を非平行とすることができる。
【0013】
この場合において、ディスクの凹部底面には、円環状の突起部を備えたり、凹部上端部が内側に向かった円環鍔部を形成するとともに、該鍔部の内側円環面に円環状の突起部を備えることもできる。
【0014】
また、係止孔及び係止部は、それぞれ雌ねじ孔と当該雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部とすることができる。
【0015】
さらにこれらの場合において、バルブ空間には、シートをシート押えで固定したディスク及び付勢手段を内装したバルブボディを取り付ける構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のバルブによれば、シートを押圧するシート押えのシートとの当接面が組み立て密着前は非平行となっており、組み立て密着後は、当接範囲のうち一部がシートと強く接触する線接触のような形となり、強く押圧される個所が生じることで、シートの円環状底部の上面とシート押えの環状鍔部との接触が均一な面接触と比べ、良好なシール性を発揮し、いわゆる裏漏れを抑制することができるリリーフバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のリリーフバルブの閉鎖状態を示す正面断面図である。
図2】同リリーフバルブの開放状態を示す正面断面図である。
図3】同リリーフバルブのバルブボディを示す斜視図である。
図4】同リリーフバルブのシート部を示し、(a)はシートをディスクに取り付ける直前の状態を示す一部切り欠きの断面拡大図、(b)はシートをシート押えによって固定した状態を示す一部切り欠きの断面拡大図、(c)はシート部の変形例で、シートをディスクに取り付ける直前の状態を示す一部切り欠きの断面拡大図、(d)は(c)のシートをシート押えによって固定した状態を示す一部切り欠きの断面拡大図である。
図5】同リリーフバルブのシート部の別の変形例を示し、(a)はディスクの凹部底面に環状凸部を設けた例を、(b)はディスクの凹部上端部の内側に向かった円環鍔部に環状凸部を設けた例を示す。
図6】本発明のリリーフバルブの別の実施例を示す正面断面図である。
図7】本発明のリリーフバルブのさらに別の実施例を示す正面断面図である。
図8】従来のリリーフバルブの概略説明図で、(a)は流体機器に取り付けた状態の断面図、(b)は裏漏れの状態を説明する一部切り欠きの拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るバルブの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施例に記載されている構成部品の形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0019】
<実施形態1>
図1図3に、本発明の第1の実施形態のリリーフバルブを示す。図1は、本発明のリリーフバルブ1の正面断面図である。本発明のリリーフバルブ1は、流体機器9の内部流路から分岐した圧力室90に連通するバルブ空間92に取り付けられる。このバルブ空間92は圧力室90の他、排出流路91とも連通している。このリリーフバルブ1は、例えば、コイルばね等からなる付勢手段7によって、流体機器9の流路と接続される圧力室90の開放端周縁に形成した弁座にシート3を付勢し、圧力室90の圧力が所定値を超えたとき、付勢手段7の付勢力に抗ってシート3が弁座から離間して圧力室90の流体を流路の外部である排出流路91に放出するようにしている。
【0020】
そして、このリリーフバルブ1は、円環状底部31から突出する円環状のシール部30を有する弁体となるシート3と、このシート3を配備する凹部50を備えたディスク5と、このディスク5にシート3を固定するシート押え4と、ディスク5を弁座側に付勢する付勢手段7と、流体機器9の圧力室90に連なるバルブ空間92に取り付けられる、内部にシート3をシート押え4で固定したディスク5及び付勢手段7を内装したバルブボディ2とを備えている。
【0021】
そして、本発明のリリーフバルブ1のシート押え4は、シート3の円環状底部31の中心穴部32を貫通し、ディスク5に形成した雌ねじ部51に螺合する雄ねじ部41aを形成した小径部41及びこの小径部41に連なる大径部40を有し、大径部40には径方向に突出する環状鍔部42を備え、環状鍔部42の円環状底部31に当接する当接面42aは、外径側より内径側に向かって漸次環状鍔部42の厚みが薄くなるように傾斜し、円錐台形状をなしている。
【0022】
本リリーフバルブ1の組付け手順は、まずバルブボディ2を流体機器9のバルブ空間92に取り付ける。この際、図例ではバルブボディ2の切欠き部22が形成されている側の端面21が、バルブ空間92の底面(図例では天面)92aに当接しているが、特に当接する必要はなく、バルブ空間92の内周面に形成された雌ねじ93に、バルブボディ2の外周に形成された雄ねじ23を所定トルクで螺合することによって固定される。この際、バルブボディ2の他端側の外周面には図3に示すように二面幅25を形成しているが六角等の多角形に形成しても構わない。
【0023】
また、雄ねじ23の他端側に形成されたシール溝24に配備されるシール材(例えばOリング)Sによってバルブ空間92と外部が遮断される。そして、弁体であるシート3をシート押え4で固定したディスク5、付勢手段7及び付勢手段7を受ける底板6をバルブボディ2の内部の空間20内に配備して底板6をシート3側に押圧した状態で止め輪8を空間20の環状溝に取り付け、底板6の外部への脱落を防止し、シート3の突出したシール部30が弁座面となるバルブ空間92の底面(図例では天面)92aに押し当てる。これにより圧力室90とバルブ空間92の連通は遮断される。本実施形態では底板6を止め輪8で係止する例を示すが、バルブボディ2の内部の空間20開放端近傍に雌ねじを形成し、係る雌ねじに螺合する止めネジで底板を係止するように構成することもできる。この場合、付勢手段7の押圧力を調整することができ、リリーフ圧力を任意に変更することができる。
【0024】
<シート押え>
本発明のシート押え4は、上述した通り、シート3の円環状底部31の当接面31aと当接面42aは、外径側より内径側に向かって漸次環状鍔部42の厚みが薄くなるように傾斜し、円錐台形状をなしている。これによりシート3は図4(a)~(b)に示すように、シート押え4の環状鍔部42の当接面42aの最外周部が当接面31aを大きく変形させ、シート3とシート押え4の当接が、押圧が弱く均等になる面接触から押圧が一部の線上(図例P1の部分)で強くなる線接触となり裏漏れを有効に抑制することができる。図4(a)に示すように、シート3の当接面31aと、シート押え4の当接面42aとは、組み立て密着前においては非平行となっている。図4(b)は、組み立て密着後の状態を示している。
【0025】
また、図4(c)に示すように、シート押え4の環状鍔部42との当接面31aを、内径側より外径側に向かって漸次円環状底部31の厚みが薄くなるよう傾斜させることもできる。この場合、シート押え4をディスク5に捻じ込むと図4(d)に示すように、押圧力が強くなる箇所はシート3の内径側P2部となる。シート押え4の当接面42aを傾斜させるより、シート3の当接面31aを傾斜させる方が製造コストの低廉化を図ることができるメリットがある。図4(c)においても、シート3の当接面31aと、シート押え4の当接面42aとは、組み立て密着前においては非平行となっている。図4(d)は、組み立て密着後の状態を示している。
【0026】
<変形例>
図5(a)~(b)は、実施形態1の変形例を示す。
【0027】
図5(a)は、ディスク5の凹部50の底面50aに、円環状の突起部52を形成している。また、図5(b)は、ディスク5の凹部50の上端部が内側に向かった円環鍔部51を形成し、シート3のシール部30より外周側の円環状底部31を覆い、この円環鍔部51の内側円環面に円環状又はV状の突起部53を形成するようにしている。
【0028】
この円環状の突起部52及び突起部53が、シート3の凹部50の底面50aとの当接面に食い込み、仮にシート押え4の面42aとシート3の当接面31aから若干の漏れがあっても突起部52及び突起部53によって排出流路91へ漏れることを防止する。なお、突起部52及び突起部53は同一平面上に複数設けるようにしても構わない。
【0029】
<実施形態2>
図6に、本発明の第2の実施形態のリリーフバルブ1Aを示す。
【0030】
このリリーフバルブ1Aは、バルブボディ2の形状と流体機器9のバルブ空間92の構成が異なる以外は、実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0031】
<バルブボディ>
バルブボディ2は、内部20が実施形態1では貫通孔となっていたが、本実施形態では有底筒状で、切欠き部22を形成した端面21の一端側は同形状であるが、他端側は貫通しておらずフランジ26を形成し、このフランジ26には、流体機器9のバルブ空間92の開放端近傍に形成したネジ穴94に合わせてボルト取付孔26aが開口している。
【0032】
そして、バルブボディ2の外周面にはシール溝27が形成され、例えば、Oリング等のシール材Sを取り付け、バルブ空間92と外部が遮断されている。バルブボディ2は、例えば、六角穴付ボルト等の締結手段8をボルト取付孔26aからネジ穴94に螺合することで固定される。
【0033】
バルブボディ2を流体機器9のバルブ空間92へ螺合しながら取り付けることがないため、(シート3を取り付けた状態で螺合しながら取り付けるとシート3のシール部30が弁座となるバルブ空間92の底面(図例では天面)92aに摺接し、シート性能が劣化する虞がある。)バルブボディ2の内部空間20に予め、シート3をシート押え4で凹部50に固定したディスク5及びコイルばね等からなる付勢手段7を配備した状態で取り付けることができるとともに、底板や止め輪を必要とせず部品点数の削減を図ることができる。
【0034】
<実施形態3>
図7に、本発明の第3の実施形態のリリーフバルブ1Bを示す。
【0035】
このリリーフバルブ1Bは、上述した実施形態と異なり、シート3をシート押え4で固定したディスク5及び付勢手段7を内装したバルブボディ2を無くし、それぞれの部材と付勢手段7を受ける底板6を直接流体機器9のバルブ空間92に配備し、バルブ空間92の開放端近傍に形成した溝95に止め輪8を取り付けて、シート3をシート押え4で固定したディスク5、付勢手段7及び底板6をバルブ空間92内に保持するようにしている。底板6の周面には、シール材(例えばOリング)Sを配設することによってバルブ空間92と外部が遮断される。また、シート押え4の小径部には雄ねじを形成せず、ディスク5の係止孔54に圧入する係止部43とすることでシート3をディスク5に固定するようにしている。シート押え4をディスク5に圧入する構成は実施形態1~2に適用できることは言うまでもない。また、シート押え4の係止部43を廃止し、シート押え4の中央部に孔部を設け、その穴部に挿通する筒状部をディスク5の中央に形成して筒状部の先端をカシメることでシート3を固定するように構成することもできる。
【0036】
第3の実施形態では、バルブボディを省略する構成としたことで機器の大幅な低廉化に資するものである。また、シート押え4をディスク5に圧入する構成によってもネジ部の形成が省略されコストダウンを図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るリリーフバルブは、シール部材の脱落を防止しながら、裏漏れを抑制することができるから広く流体機器内を流れる流体に異常圧力が発生したとき、流体を外部に流す機器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 リリーフバルブ
2 バルブボディ
20 内部空間
22 切欠き部
3 シート
30 シール部
31 円環状底部
32 中心穴部
4 シート押え
42 環状鍔部
5 ディスク
50 凹部
51 鍔部
52 円環状の突起部
53 円環状の突起部
6 底板
7 付勢手段
9 流体機器
90 圧力室
91 排出流路
92 バルブ空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8