(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】サーバーラック
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20241209BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H05K9/00 E
H05K5/03 B
(21)【出願番号】P 2024054302
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523253361
【氏名又は名称】株式会社電磁シールド研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】川杉 琢真
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第213715827(CN,U)
【文献】実開昭60-045479(JP,U)
【文献】特開2014-096930(JP,A)
【文献】中国実用新案第212749724(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 5/03
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーが配置される配置空間を形成するラック筐体と、
前記配置空間を閉鎖するためのラック扉と、を備え、
前記ラック筐体は、
前記ラック筐体の外側の側面を形成している壁面側板と、
前記配置空間を形成するとともに、前記壁面側板を構成する材料とは異なる材料によって構成されている内側壁部材と、
前記配置空間にアクセスする開口を形成すると共に、前記ラック扉の一部が押圧される第1筐体部材と、
前記開口を囲むように設けられ、前記ラック扉の別の一部が押圧されることによって変形可能な第2筐体部材と、を有し、
前記ラック扉は、
前記ラック扉の一部であって、前記第1筐体部材に押し当てられることによって弾性変形可能な導電材料により形成された第1扉部材と、
前記ラック扉の別の一部であって、前記第2筐体部材に押し当てることによって前記第2筐体部材を弾性変形させる第2扉部材と、を有
し、
前記第1筐体部材において前記第1扉部材が押圧される面は、前記内側壁部材の一部分であり、
前記第2筐体部材は、前記壁面側板に取り付けられている、サーバーラック。
【請求項2】
前記ラック筐体は、前記開口を含む筐体主面を含み、
前記第1扉部材と前記第1筐体部材とが接触する位置から前記筐体主面までの距離は、前記第2扉部材と前記第2筐体部材とが接触する位置から前記筐体主面までの距離より、長い、請求項1に記載のサーバーラック。
【請求項3】
前記第1筐体部材は、前記第1扉部材が押圧される開口部主面と、前記開口部主面の法線方向と交差する方向を向く開口部端面と、を有し、
前記第2扉部材は、前記第2筐体部材に当接する扉部材端面と、前記扉部材端面の法線方向と交差する方向を向く扉部材側面と、を有し、
前記開口部主面は、前記筐体主面から前記筐体主面の法線方向に沿って離れている、請求項2に記載のサーバーラック。
【請求項4】
前記第1筐体部材は、前記第1扉部材が押圧される開口部主面と、前記開口部主面の法線方向と交差する方向を向く開口部端面と、を有し、
前記第2扉部材は、前記第2筐体部材に当接する扉部材端面と、前記扉部材端面の法線方向と交差する方向を向く扉部材側面と、を有し、
前記開口部端面は、前記扉部材側面と向き合う、請求項2に記載のサーバーラック。
【請求項5】
前記開口部端面は、前記扉部材側面から離れている、請求項3に記載のサーバーラック。
【請求項6】
前記ラック筐体は、前記配置空間を形成する内側壁部材を有し、
前記第1筐体部材において前記第1扉部材が押圧される面は、前記内側壁部材の一部分である、請求項1に記載のサーバーラック。
【請求項7】
前記第1筐体部材は、前記第1扉部材が押圧される開口部主面と、前記開口部主面の法線方向と交差する方向を向く開口部端面と、を有し、
前記第2扉部材は、前記第2筐体部材に当接する扉部材端面と、前記扉部材端面の法線方向と交差する方向を向く扉部材側面と、を有し、
前記開口部主面と前記第1扉部材との接触面積は、前記扉部材端面と
前記第2筐体部材との接触面積よりも、大きい、請求項1に記載のサーバーラック。
【請求項8】
前記ラック筐体は、電気的な接地のためのバスバーが接続されるバスバー接続部を含む、請求項1に記載のサーバーラック。
【請求項9】
前記ラック筐体は、吸気及び/又は排気のための吸排気開口を含み、
前記吸排気開口は、ハニカムパネル構造を含むカバーに覆われ、
前記カバーは、10本以上のねじによって前記ラック筐体に固定されている、請求項1に記載のサーバーラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーラックに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバーが扱う情報の重要度がますます高まっている。特に、営業秘密や個人情報といった機密度の高い情報は、サーバーにおいて厳密に管理する必要がある。サーバーに対するアクセスは、サーバーに接続された通信回線を通じて行われる。このように、通信回線を通じて行われる不正なアクセス行為については、ファイアウォールといった技術手段などにより対策を講じることが可能である。
【0003】
サーバーへの脅威は、通信回線を介した不正アクセス行為に留まらない。例えば、サーバーが発生する微弱な電磁波を用いて、サーバーが管理する情報を抜き取るといった脅威があり得る。また、サーバーに対して強い電磁波を照射することにより、サーバーを構築するプロセッサやメモリと言った物理的な構成要素を破壊したり、サーバーに記憶されている情報を破壊するといった脅威も存在する。
【0004】
特許文献1には、サーバー及びサーバーに記憶されている情報を外部からの有害な電磁波から守るサーバーラックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、外部から照射される強い電磁波に起因する脅威は、自然災害に起因するものや、人為的な行為に起因するものが考えられる。強い電磁波の照射からサーバーを物理的に保護すること、サーバーが記憶する情報を保護することの重要性はますます高まっている。
【0007】
そこで、本発明は、外部から照射される強い電磁波に起因する脅威に対抗し得るサーバーラックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態であるサーバーラックは、サーバーが配置される配置空間を形成するラック筐体と、配置空間を閉鎖するためのラック扉と、を備え、ラック筐体は、配置空間にアクセスする開口を形成すると共に、ラック扉の一部が押圧される第1筐体部材と、開口を囲むように設けられ、ラック扉の別の一部が押圧されることによって変形可能な第2筐体部材と、を有し、ラック扉は、ラック扉の一部であって、第1筐体部材に押し当てられることによって弾性変形可能な導電材料により形成された第1扉部材と、ラック扉の別の一部であって、第2筐体部材に押し当てることによって第2筐体部材を弾性変形させる第2扉部材と、を有する。
【0009】
このサーバーラックは、第1筐体部材及び第1扉部材によって、電磁波に対する第1の障壁を構成する。さらに、サーバーラックは、第2筐体部材及び第2扉部材によって、電磁波に対する第2の障壁を構成する。その結果、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することが抑制される。従って、外部から照射される強い電磁波に起因する脅威に対抗することができる。
【0010】
上記のサーバーラックが備えるラック筐体は、開口を含む筐体主面を含み、第1扉部材と第1筐体部材とが接触する位置から筐体主面までの距離は、第2扉部材と第2筐体部材とが接触する位置から筐体主面までの距離より、長くてもよい。この構成によっても、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することを好適に抑制することができる。
【0011】
上記のサーバーラックが備える第1筐体部材は、第1扉部材が押圧される開口部主面と、開口部主面の法線方向と交差する方向を向く開口部端面と、を有し、第2扉部材は、第2筐体部材に当接する扉部材端面と、扉部材端面の法線方向と交差する方向を向く扉部材側面と、を有し、開口部主面は、筐体主面から筐体主面の法線方向に沿って離れてもよい。この構成によっても、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することを好適に抑制することができる。
【0012】
上記のサーバーラックが備える第1筐体部材は、第1扉部材が押圧される開口部主面と、開口部主面の法線方向と交差する方向を向く開口部端面と、を有し、第2扉部材は、第2筐体部材に当接する扉部材端面と、扉部材端面の法線方向と交差する方向を向く扉部材側面と、を有し、開口部端面は、扉部材側面と向き合ってもよい。この構成によっても、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することを好適に抑制することができる。
【0013】
上記のサーバーラックが備える開口部端面は、扉部材側面から離れてもよい。この構成によっても、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することを好適に抑制することができる。
【0014】
上記のサーバーラックが備えるラック筐体は、配置空間を形成する内側壁部材を有し、第1筐体部材において第1扉部材が押圧される面は、内側壁部材の一部分であってもよい。この構成によっても、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することを好適に抑制することができる。
【0015】
上記のサーバーラックが備える第1筐体部材は、第1扉部材が押圧される開口部主面と、開口部主面の法線方向と交差する方向を向く開口部端面と、を有し、第2扉部材は、第2筐体部材に当接する扉部材端面と、扉部材端面の法線方向と交差する方向を向く扉部材側面と、を有し、開口部主面と第1扉部材との接触面積は、扉部材端面と第2扉部材の接触面積よりも、大きくてもよい。この構成によっても、開口を介して外部から電磁波が内部へ侵入することを好適に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のサーバーラックによれば、外部から照射される強い電磁波に起因する脅威に対して、サーバーを物理的に保護することができると共にサーバーが記憶する情報を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態であるサーバーラックの斜視図である。
【
図2】
図2は、筐体天板部を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、筐体天板部の要部を拡大して示す断面斜視図である。
【
図4】
図4は、天板ハニカムパネルカバーを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、筐体底板部を分解して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、筐体底板部の要部を拡大して示す断面斜視図である。
【
図7】
図7は、筐体右壁部を分解して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、筐体右壁部の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、ラック前扉を分解して示す斜視図である。
【
図10】
図10は、ラック前扉の要部を拡大して示す断面斜視図である。
【
図11】
図11は、電磁波を遮蔽するための構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1に示すサーバーラック1は、1又は複数のサーバー(不図示)を収容する。サーバーラック1は、サーバーラック1の外部から侵入しようとする電磁波から収容したサーバーを保護する。この保護には、サーバーを構成する物理的な構成要素であるプロセッサやメモリの破損を防ぐことを含む。さらに、この保護には、サーバーに記憶された情報の破損を防ぐことも含む。さらに、サーバーの動作に起因して、サーバーから微弱な電磁波が生じることがある。サーバーラック1は、サーバーが発生する微弱な電磁波が外部に漏れ出ることも防ぐ。
【0020】
サーバーラック1は、ラック筐体11と、ラック前扉6(ラック扉)と、ラック後扉7と、を有する。ラック筐体11は、サーバーを収容するための配置空間1Sを形成する。ラック筐体11は、2つのラック開口11Sを有する。ラック開口11Sは、サーバーを収容するために用いられる。また、ラック開口11Sは、収容したサーバーに対して所望の作業を行うためにも用いられる。ラック開口11Sは、通常は、ラック前扉6及びラック後扉7によって閉鎖されている。
【0021】
サーバーラック1の外部から内部への電磁波の侵入を遮蔽する視点、及びサーバーラック1の内部から外部への電磁波の漏洩を遮蔽する視点からすると、最もクリティカルな部位のひとつに、ラック筐体11にラック前扉6が接する部位が挙げられる。ラック筐体11にラック後扉7が接する部位も同様である。電磁波は、このような部位を介して侵入及び漏出しやすい。例えば、サーバーラック1の電磁波を遮蔽する性能は、ラック筐体11にラック前扉6が接する部位及び/又はラック筐体11にラック後扉7が接する部位における電磁波を遮蔽する性能によって決まるとも言える。そこで、本実施形態のサーバーラック1は、ラック筐体11にラック前扉6が接する部位において、電磁波を遮蔽する極めて高い性能を発揮できる構造を備えている。
【0022】
ラック筐体11は、筐体天板部2と、筐体底板部3と、筐体右壁板部4と、筐体左壁板部5と、を有する。つまり、ラック筐体11は、直方体であるサーバーラック1における4つの面を構成する。
【0023】
<筐体天板部2>
図2及び
図3に示すように、筐体天板部2は、天板21と、天板シールド22(内側壁部材)と、天板側面補強23と、天板前面補強24と、を有する。天板21は、鋼鈑により形成されている。天板21に採用可能な鋼鈑として、電気亜鉛メッキ鋼板(SEHC材)、ステンレス鋼板(SUS材)が例示できる。また、天板21は、鋼鈑とは異なる金属製の板材を用いることもできる。天板シールド22は、アルミニウム合金板によって形成されている。
【0024】
天板21は、サーバーラック1の外側の上面を形成する。天板21は、天板本体部211と、天板開口形成部212と、を含む。
【0025】
天板本体部211は、天板本体部外面211aと、天板本体部内面211bと、を含む。天板本体部外面211aは、サーバーラック1の外側の上面である。天板本体部内面211bは、天板シールド22に向いている。天板本体部211には、1つの天板本体部開口21H(吸排気開口)が設けられている。
【0026】
天板開口形成部212は、天板枠部212Aと、天板開口部212Bと、天板接触部212Cと、を含む。天板接触部212Cは、後述する天板シールド接触部222Cと共に、筐体接触部220(第1筐体部材)を構成する。天板枠部212Aは、天板枠部外面212a(筐体主面)と、天板枠部内面212bと、を含む。天板開口部212Bは、天板開口部外面212cと、天板開口部内面212dと、を含む。天板接触部212Cは、天板接触部外面212eと、天板接触部内面212fと、天板接触部端面212gと、を含む。
【0027】
ここで、天板枠部外面212aには、ガスケット410(第2筐体部材)が張り付けられている。ガスケット410には、後述する扉シールド壁端面623cが押し付けられる。ガスケット410は、扉シールド壁端面623cが押し付けられることによって、柔軟に変形することができる。ガスケット410の幅は、扉シールド壁端面623cの幅(板厚)よりも大きい。さらに、ガスケット410は、導電性を有する。扉シールド壁端面623cがガスケット410に押し付けられることによって、天板シールド22と扉補強62とが電気的に接続される。
【0028】
天板シールド22は、サーバーを収容する空間を形成する。つまり、天板シールド22は、サーバーラック1の内面を形成する。
【0029】
天板シールド22は、天板シールド本体部221と、天板シールド開口形成部222と、天板シールド固定部223と、を含む。
【0030】
天板シールド本体部221は、サーバーを収容する空間を形成する。天板シールド本体部221には、4つの天板シールド本体部開口22H(吸排気開口)が設けられている。例えば、天板シールド本体部開口22Hには、それぞれファンが取り付けられてもよい。ファンが配置空間1Sから空気を排出する動作をする場合には、天板本体部開口21H及び天板シールド本体部開口22Hは、排気口として機能する。この排気に伴い、後述する底本体部開口31H及び底板シールド本体部開口32Hから外気が配置空間1Sに吸い込まれる。従って、底本体部開口31H及び底板シールド本体部開口32Hは、吸気口として機能する。天板シールド本体部221は、天板シールド本体部外面221aと、天板シールド本体部内面221bと、を含む。天板シールド本体部外面221aは、天板本体部内面211bを向く。天板シールド本体部内面221bは、サーバーを収容する空間に向く。つまり、天板シールド本体部内面221bは、サーバーと対面する。天板シールド本体部外面221aと天板本体部内面211bとの間には、所定の隙間が形成されている。この隙間は、後述する天板側面補強23及び天板前面補強24によって形成されている。
【0031】
天板シールド開口形成部222は、ラック開口11Sを形成する要素の一部である。天板シールド開口形成部222は、天板シールド枠部222Aと、天板シールド開口部222Bと、天板シールド接触部222Cと、を含む。天板シールド枠部222A、天板シールド開口部222B及び天板シールド接触部222Cは、断面を側面視すると(
図3参照)、コ字状の形状である。
【0032】
天板シールド枠部222Aは、天板シールド枠部外面222aと、天板シールド枠部内面222bと、を含む。天板シールド枠部外面222aは、ラック前扉6に向いている。
【0033】
天板シールド開口部222Bは、ラック開口11Sを形成する。天板シールド開口部222Bは、天板シールド開口部外面222cと、天板シールド開口部内面222dと、を含む。天板シールド開口部外面222cは、ラック開口11Sに向いている。天板シールド開口部内面222dは、天板開口部外面212cと接している。
【0034】
天板シールド接触部222Cには、ラック前扉6の一部が押し付けられる。具体的には、天板シールド接触部222Cには、ラック前扉6のシールドフィンガー64(第1扉部材)が押し付けられる。前述のガスケット410とは異なり、天板シールド接触部222Cは、シールドフィンガー64が押し付けられても有意な変形を生じない。天板シールド接触部222Cにシールドフィンガー64が押し付けられると、シールドフィンガー64が弾性変形する。
【0035】
天板シールド接触部222Cは、天板シールド接触部外面222e(開口部主面)と、天板シールド接触部内面222fと、天板シールド接触部端面222g(開口部端面)と、を含む。天板シールド接触部外面222eは、シールドフィンガー64に接する。天板シールド接触部内面222fは、天板接触部外面212eに接する。天板シールド接触部端面222gは、ラック前扉6の一部に向いている。
【0036】
天板側面補強23は、天板本体部内面211bと、天板シールド本体部外面221aと、に固定されている。天板前面補強24も、天板本体部内面211bと、天板シールド本体部外面221aと、に固定されている。
【0037】
天板21には、天板ハニカムパネルカバー8が複数のねじ8Sよって取り付けられている。天板ハニカムパネルカバー8は、天板本体部開口21Hを覆う。天板ハニカムパネルカバー8は、ステンレス鋼鈑(SUS材)によって形成されている。
図4に示すように、天板ハニカムパネルカバー8は、カバー本体81と、4か所のカバーフランジ82と、を含む。カバー本体81は、ハニカムパネルカバー面81aと、カバー枠面81bと、を含む。なお、ハニカムパネルカバー面81aには、所定のハニカムパネル構造を構成する複数の貫通穴が形成されているが、
図4等ではそれらの具体的な図示は省略している。
【0038】
天板21に対して天板ハニカムパネルカバー8を取り付けることを考えたとき、天板ハニカムパネルカバー8には、大きな外力が作用することがないので、4本程度のねじ8Sによって固定することも可能である。しかし、電磁波を遮蔽する機能に注目すると、カバーフランジ82と天板21とのわずかな隙間も電磁波の通路となり得る。そこで、本実施形態のサーバーラック1では、4か所のカバーフランジ82のそれぞれに、複数の貫通穴82Hが設けられている。それぞれの貫通穴82Hにねじ82Sが差し込まれている。例えば、一つのカバーフランジ82には、10個以上の貫通穴82Hが設けられ、10本以上のねじ82Sによって固定されていてもよい。
【0039】
<筐体底板部3>
図5及び
図6に示すように、筐体底板部3は、底板31と、底板シールド32(内側壁部材)と、底板側面補強33と、底板前面補強34と、を有する。底板31は、鋼鈑により形成されている。底板31に採用可能な鋼鈑として、電気亜鉛メッキ鋼板(SEHC材)、ステンレス鋼板(SUS材)が例示できる。また、底板31は、鋼鈑とは異なる金属製の板材を用いることもできる。底板シールド32は、アルミニウム合金板によって形成されている。
【0040】
底板31は、サーバーラック1の外側の下面を形成する。図示は省略するが、底板31には、キャスターなどが設けられてもよい。底板31は、底板本体部311と、底板開口形成部312と、を含む。
【0041】
底板本体部311は、底板本体部外面311aと、底板本体部内面311bと、を含む。底板本体部外面311aは、サーバーラック1の外側の下面である。底板本体部内面311bは、底板シールド32に向いている。底板本体部311には、2つの底本体部開口31H(吸排気開口)が設けられている。
【0042】
底板開口形成部312は、底板枠部312Aと、底板開口部312Bと、底板接触部312Cと、を含む。底板接触部312Cは、後述する底板シールド接触部322Cと共に、筐体接触部320(第1筐体部材)を構成する。底板枠部312Aは、底板枠部外面312a(筐体主面)と、底板枠部内面312bと、を含む。底板開口部312Bは、底板開口部外面312cと、底板開口部内面312dと、を含む。底板接触部312Cは、底板接触部外面312eと、底板接触部内面312fと、底板接触部端面312gと、を含む。
【0043】
底板シールド32は、サーバーを収容する空間を形成する。つまり、天板シールド22は、サーバーラック1の内面を形成する。
【0044】
底板シールド32は、底板シールド本体部321と、底板シールド開口形成部322と、底板シールド固定部323と、を含む。
【0045】
底板シールド本体部321は、サーバーを収容する空間を形成する。底板シールド本体部321には、2つの底板シールド本体部開口32H(吸排気開口)が設けられている。底板シールド本体部321は、底板シールド本体部外面321aと、底板シールド本体部内面321bと、を含む。底板シールド本体部外面321aは、底板本体部内面311bを向く。底板シールド本体部内面321bは、サーバーを収容する空間に向く。つまり、底板シールド本体部内面321bは、サーバーと対面する。底板シールド本体部外面321aと底板本体部内面311bとの間には、所定の隙間が形成されている。この隙間は、後述する底板側面補強33及び底板前面補強34によって形成されている。
【0046】
底板シールド開口形成部322は、ラック開口11Sを形成する要素の一部である。底板シールド開口形成部322は、底板シールド枠部322Aと、底板シールド開口部322Bと、底板シールド接触部322Cと、を含む。底板シールド枠部322A、底板シールド開口部322B及び底板シールド接触部322Cは、断面を側面視すると(
図6参照)、コ字状の形状である。
【0047】
底板シールド枠部322Aは、底板シールド枠部外面322aと、底板シールド枠部内面322bと、を含む。底板シールド枠部外面322aは、ラック前扉6に向いている。また、底板シールド枠部外面322aには、ガスケット410が張り付けられている。
【0048】
底板シールド開口部322Bは、ラック開口11Sを形成する。底板シールド開口部322Bは、底板シールド開口部外面322cと、底板シールド開口部内面322dと、を含む。底板シールド開口部外面322cは、ラック開口11Sに向いている。底板シールド開口部内面322dは、底板開口部外面312cと接している。
【0049】
底板シールド接触部322Cには、ラック前扉6のシールドフィンガー64が押し付けられる。底板シールド接触部322Cは、底板シールド接触部外面322e(開口部主面)と、底板シールド接触部内面322fと、底板シールド接触部端面322g(開口部端面)と、を含む。底板シールド接触部外面322eは、シールドフィンガー64に接する。底板シールド接触部内面322fは、底板接触部外面312eに接する。底板シールド接触部端面322gは、ラック前扉6の一部に向いている(
図11参照)。
【0050】
底板側面補強33は、底板本体部内面311bと、底板シールド本体部外面321aと、に固定されている。底板前面補強34も、底板本体部内面311bと、底板シールド本体部外面321aと、に固定されている。
【0051】
底板シールド32には、底板ハニカムパネルカバー9が取り付けられている。底板ハニカムパネルカバー9は、底板シールド本体部開口32Hをそれぞれ覆う。底板ハニカムパネルカバー9は、天板ハニカムパネルカバー8に対して寸法や、貫通穴82Hの数が異なるが、そのほかは天板ハニカムパネルカバー8とおおむね同じ構造を有する。従って、底板ハニカムパネルカバー9の詳細な説明は省略する。
【0052】
<筐体右壁板部4>
図7及び
図8に示すように、筐体右壁板部4は、壁面側板41と、側面シールド42(内側壁部材)と、側板補強43と、本体支柱45と、を有する。壁面側板41は、鋼鈑により形成されている。底板31に採用可能な鋼鈑として、電気亜鉛メッキ鋼板(SEHC材)、ステンレス鋼板(SUS材)が例示できる。また、壁面側板41は、鋼鈑とは異なる金属製の板材を用いることもできる。側面シールド42は、アルミニウム合金板により形成されている。側板補強43は、鋼鈑により形成されている。本体支柱45も壁面側板41と同様に、鋼鈑により形成されている。本体支柱45に採用可能な鋼鈑として、電気亜鉛メッキ鋼板(SEHC材)、ステンレス鋼板(SUS材)が例示できる。また、本体支柱45は、鋼鈑とは異なる金属製の板材を用いることもできる。
【0053】
壁面側板41は、サーバーラック1の外側の側面を形成する。壁面側板41は、側板本体部411と、側板開口形成部412と、を含む。
【0054】
側板本体部411は、側板本体部外面411aと、側板本体部内面411bと、を含む。側板本体部外面411aは、サーバーラック1の外側の側面である。側板本体部内面411bは、側面シールド42に向いている。側板本体部内面411bは、側面シールド42には接していない。
【0055】
側板開口形成部412は、側板枠部412Aと、側板開口部412Bと、側板接触部412Cと、を含む。側板接触部412Cは、後述する側面シールド接触部422Cと共に、筐体接触部420(第1筐体部材)を構成する。
【0056】
側板枠部412Aは、側板枠部外面412a(筐体主面)と、側板枠部内面412bと、を含む。側板枠部外面412aは、ラック前扉6を向いている。具体的には、側板枠部外面412aは、扉本体裏面61bに向いている部分と、扉シールド壁端面623cに向いている部分と、扉シールド枠内面622bに向いている部分と、を含む。このうち、扉シールド壁端面623cに向いている部分には、ガスケット410が取り付けられている。さらに、側板枠部外面412aは、後述する側板接触部内面412fに向いている部分も含む。側板枠部内面412bは、本体支柱主面45aを向いている部分と、本体支柱開口部内面45cを向いている部分とを含む。側板枠部内面412bは、本体支柱主面45aには接していない。側板枠部内面412bは、本体支柱開口部内面45cには接している。
【0057】
側板開口部412Bは、側板開口部外面412cと、側板開口部内面412dと、を含む。側板開口部外面412cは、側面シールド開口部内面422dを向いている。側板開口部外面412cは、側面シールド開口部内面422dに接している。側板開口部内面412dは、扉シールド壁内側面623bに向いている部分と、ガスケット410に向いている部分とを含む。側板開口部内面412dは、扉シールド壁内側面623bには接しない。側板開口部内面412dは、ガスケット410にも接しない。
【0058】
側板接触部412Cは、側板接触部外面412eと、側板接触部内面412fと、側板接触部端面412gと、を含む。側板接触部外面412eは、扉シールド枠内面622bに向いている。側板接触部外面412eは、扉シールド枠内面622bには接しない。側板接触部内面412fは、側板枠部外面412aに向いている。側板接触部内面412fは、側板枠部外面412aには接しない。側板接触部端面412gは、扉シールド壁内側面623bに向いている。側板接触部端面412gは、扉シールド壁内側面623bには接しない。
【0059】
側面シールド42は、サーバーを収容する空間を形成する。つまり、側面シールド42は、サーバーラック1の内面を形成する。側面シールド42は、側面シールド本体部421と、側面シールド開口形成部422と、を含む。
【0060】
側面シールド本体部421は、シールド本体部外面421aと、シールド本体部内面421bと、を含む。シールド本体部外面421aは、側板本体部内面411bを向いている。シールド本体部外面421aは、側板本体部内面411bには接していない。シールド本体部内面421bは、配置空間1Sの内壁面である。シールド本体部内面421bは、配置空間1Sに配置されたサーバーに向いている。
【0061】
側面シールド開口形成部422は、側面シールド枠部422Aと、側面シールド開口部422Bと、側面シールド接触部422Cと、を含む。
【0062】
側面シールド枠部422Aは、側面シールド枠部外面422aと、側面シールド枠部内面422bと、を含む。側面シールド枠部外面422aは、本体支柱45に向いている。側面シールド枠部外面422aは、本体支柱45に接している。側面シールド枠部内面422bは、配置空間1Sの内壁面である。側面シールド枠部内面422bは、配置空間1Sに配置されたサーバーに向いている。
【0063】
側面シールド開口部422Bは、側面シールド開口部外面422cと、側面シールド開口部内面422dと、を含む。側面シールド開口部外面422cは、ラック開口11Sに向いている。側面シールド開口部内面422dは、側板開口部外面412cに向いている。側面シールド開口部内面422dは、側板開口部外面412cに接している。
【0064】
側面シールド接触部422Cは、側面シールド接触部外面422e(開口部主面)と、側面シールド接触部内面422fと、側面シールド接触部端面422g(開口部端面)と、を含む。側面シールド接触部外面422eは、扉シールド枠内面622bに向いている。一方、側面シールド接触部外面422eには、扉シールド枠内面622bに取り付けられたシールドフィンガー64が押し付けられる。側面シールド接触部内面422fは、側板接触部外面412eに向いている。側面シールド接触部内面422fは、側板接触部外面412eに接している。側面シールド接触部端面422gは、扉シールド壁内側面623bに向いている。側面シールド接触部端面422gは、扉シールド壁内側面623bには接しない。
【0065】
本体支柱45は、本体支柱主面45aと、本体支柱取付面45bと、本体支柱開口部内面45cと、を含む。本体支柱主面45aは、側板枠部内面412bに向いている。本体支柱主面45aは、側板枠部内面412bには接していない。本体支柱取付面45bは、側面シールド枠部内面422bに向いている。本体支柱取付面45bは、側面シールド枠部内面422bに接している。本体支柱開口部内面45cは、側板枠部内面412bに向いている。本体支柱開口部内面45cは、側板枠部内面412bに接している。
【0066】
側板補強43は、一対の側面シールド42にまたがって配置されている。側板補強43は、側板補強本体431と、一対の側板補強フランジ432と、を含む。側板補強本体431は、側板補強本体主面部431Aと、側板補強本体側壁部431Bと、を含む。側板補強本体431の断面はコ字状である。このような断面によれば、側板補強43の断面係数が高まるので曲げ荷重に対して十分に対抗することができる。一方の側板補強フランジ432は、ラック前扉6側の側面シールド42に固定されている。他方の側板補強フランジ432は、ラック後扉7側の側面シールド42に固定されている。
【0067】
<筐体左壁板部5>
筐体左壁板部5は、筐体右壁板部4と同様の構成を有する。従って、筐体左壁板部5の詳細な説明は省略する。
【0068】
なお、
図1に示すように、筐体右壁板部4の壁面側板41には、サーバーラック1を基準電位に接続するための電気的なバスバー接続部40が設けられてもよい。このバスバー接続部40には、銅板によって形成されたバスバーが接続される。そしてバスバーの他端は、サーバーラック1が設置される部屋に設けられた接地点に電気的に接続される。つまり、本実施形態のサーバーラック1は、電気的な接地のために、ケーブルではなくバスバーを用いる。このような構成によっても、サーバーラック1の電磁波を遮蔽する性能をより高めることができる。
【0069】
<ラック前扉6>
ラック前扉6は、3個の蝶番(不図示)によって、筐体右壁板部4に開閉可能に連結されている。さらに、ラック前扉6には、蝶番が取り付けられた逆側の端面に、5個のキャッチクリップ(不図示)が取り付けられている。ラック前扉6は、5個のキャッチクリップによってラック筐体11に押圧されることによって、電磁波を遮蔽する性能を好適に奏することができる。
【0070】
なお、ラック前扉6をラック筐体11に取り付けるための部品及び構成は、上記の例示に限定されない。ラック前扉6をラック筐体11に取り付けるための部品及び構成は、ラック前扉6及びラック筐体11の大きさ又は重量などに応じて、任意に選択することができる。例えば、蝶番の数は、3個以上であってもよいし、3個未満であってもよい。キャッチクリップの数も、5個以上であってもよいし、5個未満であってもよい。さらに、キャッチクリップは、ラック前扉6をラック筐体11に対して固定した状態と、固定を解除した状態(開放状態)とを、相互に切り替え可能な機能を有していればよい。キャッチクリップに代えて、このような機能を有するそのほかの機械部品を採用してもよい。
【0071】
図9及び
図10に示すように、ラック前扉6は、扉本体61と、扉補強62と、扉シールド63と、シールドフィンガー64と、を有する。例えば、扉本体61は、アルミニウム合金板により形成される。扉補強62は、ステンレス鋼(SUS材)により形成される。扉シールド63は、アルミニウム合金板により形成される。
【0072】
扉本体61は、サーバーラック1の外側の前面を形成する。扉本体61は、扉本体主面61aと、扉本体裏面61bと、扉本体外側面61cと、扉本体内側面61dと、を含む。
【0073】
扉本体主面61aは、サーバーラック1の外側の前面である。扉本体裏面61bの中央部分は、扉補強62の、扉本体主面61aに接している。扉本体裏面61bにおいて扉補強62に接している部分を囲む領域は、扉補強62の扉シールド枠外面622aに向いている。扉本体裏面61bは、扉シールド枠外面622aには接していない。さらに、扉本体裏面61bにおいて扉補強62の扉シールド枠外面622aに向いている部分をさらに囲む領域は、天板枠部外面212a、底板枠部外面312a及び側板枠部外面412aに向いている。扉本体裏面61bは、天板枠部外面212a、底板枠部外面312a及び側板枠部外面412aには接していない。
【0074】
扉補強62は、ラック筐体11に接触する箇所を含む。扉補強62は、扉補強本体621を有する。扉補強本体621は、扉補強主面621aと、扉補強裏面621bと、扉補強壁面621cを含む。扉補強主面621aは、扉本体裏面61bに接している。扉補強裏面621bは、扉シールド63を向いている。扉補強裏面621bは、扉シールド63には接していない。
【0075】
扉補強62は、さらに、扉補強シールド枠622と、扉補強シールド壁623(第2扉部材)と、を含む。
【0076】
扉補強シールド枠622は、扉補強壁面621cから張り出す。扉補強シールド枠622は、扉シールド枠外面622aと、扉シールド枠内面622bを含む。扉シールド枠外面622aは、扉本体裏面61bを向いている。扉シールド枠外面622aは、扉本体裏面61bには接しない。扉シールド枠内面622bは、ラック筐体11に向いている。具体的には、扉シールド枠内面622bは、筐体接触部220、320、420と対面する領域を含む(
図11参照)。扉シールド枠内面622bにおいて筐体接触部220、320、420と対面する領域には、シールドフィンガー64が取り付けられている。
【0077】
シールドフィンガー64は、電磁波を遮蔽するための第1の障壁である。シールドフィンガー64は、押圧されることによってつぶれるように変形する。この変形によって、シールドフィンガー64と筐体接触部220、320、420との接触面積が増加する。その結果、シールドフィンガー64と筐体接触部220、320、420との電気抵抗がより小さくなる。
【0078】
扉補強シールド壁623は、電磁波を遮蔽するための第2の障壁である。扉補強シールド壁623は、扉補強シールド枠622の外縁部分から起立する。扉補強シールド壁623は、扉シールド壁外側面623aと、扉シールド壁内側面623b(扉部材側面)と、扉シールド壁端面623c(扉部材端面)と、を含む。扉シールド壁外側面623aは、扉本体内側面61dに向いている。扉シールド壁外側面623aは、扉本体内側面61dには接しない。扉シールド壁内側面623bは、筐体接触部220、320、420に向いている。具体的には、扉シールド壁内側面623bは、天板接触部端面212g、天板シールド接触部端面222g、底板接触部端面312g、底板シールド接触部端面322g、側板接触部端面412g、側面シールド接触部端面422gに向いている。さらに、扉シールド壁内側面623bは、シールドフィンガー64にも向いている。そのうえ、扉シールド壁内側面623bは、側板開口部外面412cにも向いている。なお、扉シールド壁内側面623bは、これらの対面部位のいずれにも接しない。扉シールド壁端面623cは、ガスケット410に向いている。扉シールド壁端面623cは、ガスケット410に接している。具体的には、扉シールド壁端面623cは、ガスケット410が変形する程度にガスケット410に対して押し付けられている。なお、側板枠部外面412aを基準とした場合、側板枠部外面412aから第1の障壁までの距離は、側板枠部外面412aから第2の障壁よりも長い。第1の障壁の位置は、例えば、
図11の例示ではシールドフィンガー64と側板接触部外面412eとが接触した位置であると定義してよい。また、第2の障壁の位置は、ガスケット410と扉シールド壁端面623cとが接触した位置であると定義してよい。つまり、側板枠部外面412aの法線方向において、第1の障壁の位置と第2の障壁の位置とが異なっている。従って、電磁波の侵入及び漏れを良好に抑制することができる。
【0079】
扉シールド63は、サーバーを収容する空間を形成する。つまり、扉シールド63は、サーバーラック1の内面を形成する。扉シールド63は、扉シールド主面63aと、扉シールド裏面63bと、を含む。扉シールド主面63aは、扉補強62の扉本体裏面61bに向いている。扉シールド主面63aは、扉本体裏面61bには接しない。また、扉シールド主面63aの外縁部分は、扉補強シールド枠622に固定されている。具体的には、扉シールド主面63aの外縁部分は、扉シールド枠内面622bに接している。
【0080】
<ラック後扉7>
ラック後扉7は、ラック前扉6とおおむね同様の構成を有する。従って、ラック後扉7の詳細な説明は省略する。
【0081】
<作用効果>
サーバーラック1は、サーバーが配置される配置空間1Sを形成するラック筐体11と、配置空間1Sを閉鎖するためのラック前扉6と、を備える。ラック筐体11は、配置空間1Sにアクセスするためのラック開口11Sを形成すると共に、ラック前扉6の一部が押圧される第1筐体部材と、ラック開口11Sを囲むように設けられ、ラック前扉6の別の一部が押圧されることによって変形可能なガスケット410と、を有する。ラック前扉6は、ラック前扉6の一部であって、第1筐体部材に押し当てられることによって弾性変形可能な導電材料により形成されたシールドフィンガー64と、ラック前扉6の別の一部であって、シールドフィンガー64に押し当てることによってシールドフィンガー64を弾性変形させる扉補強シールド壁623と、を有する。
【0082】
このサーバーラック1は、第1筐体部材である筐体接触部220、320、420及び第1扉部材であるシールドフィンガー64によって、電磁波に対する第1の障壁を構成する。さらに、サーバーラック1は、第2筐体部材であるガスケット410及び第2扉部材である扉補強シールド壁623によって、電磁波に対する第2の障壁を構成する。その結果、ラック開口11Sを介して外部から電磁波が内部へ侵入することが抑制される。従って、このサーバーラック1は、外部から照射される強い電磁波に起因する脅威に対抗することができる。
【0083】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施してよい。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、変形例を構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…サーバーラック、1S…配置空間、11…ラック筐体、6…ラック前扉(ラック扉)、11S…ラック開口、220,320,420…筐体接触部(第1筐体部材)、410…ガスケット(第2筐体部材)、64…シールドフィンガー(第1扉部材)、623…扉補強シールド壁(第2扉部材)。
【要約】
【課題】外部から照射される強い電磁波に起因する脅威に対して、サーバーを物理的に保護することができると共にサーバーが記憶する情報を保護する。
【解決手段】サーバーラック1は、ラック筐体11とラック前扉6とを備える。ラック筐体11は、ラック開口11Sを形成すると共に、ラック前扉6の一部が押圧される筐体接触部220、320、420と、ラック開口11Sを囲むように設けられ、ラック前扉6の別の一部が押圧されることによって変形可能なガスケット410と、を有する。ラック前扉6は、ラック前扉6の一部であって、第1筐体部材に押し当てられることによって弾性変形可能な導電材料により形成されたシールドフィンガー64と、ラック前扉6の別の一部であって、シールドフィンガー64に押し当てることによってシールドフィンガー64を弾性変形させる扉補強シールド壁623と、を有する。
【選択図】
図1