(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20241209BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20241209BHJP
G06F 40/44 20200101ALI20241209BHJP
【FI】
G06Q30/0203
G06F40/56
G06F40/44
(21)【出願番号】P 2024093816
(22)【出願日】2024-06-10
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】517268544
【氏名又は名称】AIQ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 求
(72)【発明者】
【氏名】高松 睦
(72)【発明者】
【氏名】高島 孝太郎
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177490(JP,A)
【文献】特開2018-156299(JP,A)
【文献】特開2021-77221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0365591(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第117786039(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 40/56
G06F 40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNSサービス、ブログサービス、口コミサービスの少なくとも一つを提供するサーバと、アンケートの依頼元としての情報処理端末と、生成装置(生成AI)とに対して通信回線を介して接続される情報処理装置であって、
前記情報処理端末から、アンケートの質問及び調査対象を含む前記アンケートの調査依頼を受信する手段と、
前記調査対象に合致する複数のユーザが前記SNSサービス、前記ブログサービス、前記口コミサービスの少なくとも一つに対して投稿した複数の投稿文に関するデータを、前記サーバから収集する手段と、
前記質問と前記複数の投稿文とについてそれぞれの内容的特徴を定量化した特徴量を演算する特徴量演算手段と、
前記質問の特徴量に対して前記複数の投稿文に関する複数の特徴量を比較し、前記複数の投稿文から少なくとも一つの投稿文を前記ユーザごとに抽出する抽出手段と、
前記抽出された投稿文をもとに、前記質問に対する回答を前記ユーザごとに生成することを要求するためのプロンプトを生成する手段と、
前記プロンプトを前記生成装置に送信する手段と、
前記生成装置により前記プロンプトに従って生成された前記回答のデータを前記生成装置から受信する手段と、
前記受信された前記回答と集計結果との少なくとも一方を、前記情報処理端末に送信する手段とを具備する、情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記質問の特徴量に対して前記投稿文の特徴量が最も近い少なくとも一つの投稿文を抽出する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記質問の特徴量に対する前記投稿文の特徴量の差が所定値未満である少なくとも一つの投稿文を抽出する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特徴量演算手段は、
前記質問と前記投稿文各々とについて名詞を抽出する手段と、
前記抽出した名詞の内容に基づいて、N軸に名詞が表す複数種類の区分がそれぞれ対応付けられ、各軸にそれぞれの区分に関係する複数の名詞が座標値とともに割り付けられるN次元空間上の座標を前記特徴量として割り当てる手段とを有する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特徴量演算手段は、前記質問の特徴量と前記複数の投稿文各々の特徴量とを、様々な文を入力し特徴量を出力するように予め学習された学習済みモデルを用いて求める、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記サーバに対して前記SNSサービス、前記ブログサービス、前記口コミサービスの少なくとも一つに対してユーザが登録したプロフィールのデータの送信要求を送信する手段と、
前記送信要求に呼応して前記サーバから送信された前記プロフィールのデータを記憶する手段と、
前記プロフィールに基づいて前記調査対象に整合する複数のユーザを抽出する手段とをさらに備える、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
SNSサービス、ブログサービス、口コミサービスの少なくとも一つを提供するサーバと、アンケートの依頼元としての情報処理端末と、生成装置(生成AI)とに対して通信回線を介して接続される情報処理装置を、
前記情報処理端末から、アンケートの質問及び調査対象を含む前記アンケートの調査依頼を受信する手段と、
前記調査対象に整合する複数のユーザが前記SNSサービス、前記ブログサービス、前記口コミサービスの少なくとも一つに対して投稿した複数の投稿文に関するデータを、前記サーバから収集する手段と、
前記質問と前記複数の投稿文とについてそれぞれの内容的特徴を定量化した特徴量を演算する特徴量演算手段と、
前記質問の特徴量に対して前記複数の投稿文に関する複数の特徴量を比較し、前記複数の投稿文から少なくとも一つの投稿文を前記ユーザごとに抽出する抽出手段と、
前記抽出された投稿文をもとに、前記質問に対する回答を前記ユーザごとに生成することを要求するためのプロンプトを生成する手段と、
前記プロンプトを前記生成装置に送信する手段と、
前記生成装置により前記プロンプトに従って生成された前記回答のデータを前記生成装置から受信する手段と、
前記受信された前記回答と集計結果との少なくとも一方を、前記情報処理端末に送信する手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンケート調査とは、調査対象の意見や嗜好傾向等を把握するため、特定対象の消費者に対して統一的な質問で回答を求める調査方法であり、調査結果は例えば商品開発に活用される。アンケート調査の形式には、郵送調査、街頭調査、訪問調査、インターネット調査がある。特に最近では、インターネット調査が普及している。
【0003】
インターネット調査は、郵送調査、街頭調査、訪問調査に比べると、コスト低減、調査時間短縮の点では有利ではあるものの、必要数のユーザからの回答を待機する期間が必要とされる。
【0004】
またアンケートに回答するか否かは各ユーザの判断によるため、回答者の属性が偏ることがある。さらに匿名性が高いため、回答の信頼性が低下することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンケート調査について、コスト低減、調査時間短縮、信頼性の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る情報処理装置は、SNSサービス、ブログサービス、口コミサービスの少なくとも一つを提供するサーバと、アンケートの依頼元としての情報処理端末と、生成装置(生成AI)とに対して通信回線を介して接続され、情報処理端末から、アンケートの質問及び調査対象を含むアンケートの調査依頼を受信する手段と、調査対象に合致する複数のユーザがSNSサービス、ブログサービス、口コミサービスの少なくとも一つに対して投稿した複数の投稿文に関するデータをサーバから収集する手段と、質問と複数の投稿文とについてそれぞれの内容的特徴を定量化した特徴量を演算する特徴量演算手段と、質問の特徴量に対して複数の投稿文に関する複数の特徴量を比較し、複数の投稿文から少なくとも一つの投稿文をユーザごとに抽出する抽出手段と、抽出された投稿文をもとに質問に対する回答を抽出されたユーザごとに生成することを要求するためのプロンプトを生成する手段と、プロンプトを生成装置に送信する手段と、生成装置によりプロンプトに従って生成された回答のデータを生成装置から受信する手段と、受信された回答と集計結果との少なくとも一方を情報処理端末に送信する手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を含む全体システムの構成図である。
【
図2】
図2は、
図1の情報処理装置の物理的構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1の情報処理装置の機能的構成を示す図である。
【
図5】
図5は、アンケートの質問及びその特徴量の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態において、特徴量を表すN次元空間の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1の全体システムのデータフロー及び情報処理装置の処理を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7の工程S16において、収集されたあるユーザの投稿文の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図7の工程S18において、収取された投稿文各々の特徴量をN次元空間上で示す図である。
【
図10】
図10は、
図7の工程S19において、抽出された投稿文及びそれら各々の特徴量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る情報処理装置は、アンケート調査を実行し、アンケート調査依頼元に報告する処理を実行する。本実施形態においては、アンケート調査のために、アンケートの質問に対する回答を実在のユーザから収集するのではなく、当該ユーザであればアンケートの質問に対して答えるであろう回答(仮想回答という)を生成AIに生成させ、当該仮想回答を複数のユーザについて収集する。本実施形態は、実在のユーザの回答に対して仮想回答が近似している、つまり仮想回答の精度を高めるために、実在のユーザが、ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という)などに投稿した多くの投稿文から、アンケートの質問に対して内容的特徴が近い1又は複数の投稿文を抽出し、当該抽出した投稿文をもとに、SNS等から収集したプロフィールを有するユーザが、アンケートの質問に対して答えるであろう回答(仮想回答)を、生成AIに生成させることを特徴としている。
【0009】
図1に示すように本実施形態に係る情報処理装置1に対して、通信回線網として典型的にはインターネット回線網6を介して、ChatGPT(登録商標)等の生成AIとして機能する仮想回答生成装置2、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のサービスとしてソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という)を提供するSNSサーバ3-1、ユーザが日常の事柄や考え等を記事として投稿しそれらを時系列で表示させるブログサービスを提供するブログサイトサーバ3-2、ユーザが商品やサービスの評価を書き込んだり、閲覧するための口コミサイトを運営する口コミサイトサーバ3-3、情報処理装置1にアンケート調査を依頼するアンケート調査依頼端末(情報処理装置)4とが接続される。
【0010】
例えば、SNSとしては、「インスタグラム(登録商標)」、「フェイスブック(登録商標)」、「現Xであるツイッター(登録商標)」等がその代表例である。口コミサイトとしては、「食べログ(登録商標)」、「価格コム(登録商標)」等がその代表例である。またブログサイトとしては、FC2(登録商標)のブログ等多くのサイトが存在する。なお、SNS、ブログサービス、口コミサイトは、ユーザが自身発信の文章を投稿する機会を提供するサービスの一例であり、当該サービスを提供する限りにおいて、SNSサーバ3-1、ブログサイトサーバ3-2、口コミサイトサーバ3-3に限定されることはない。
【0011】
図2に示すように情報処理装置1は、プロセッサ11に対してシステムバス10を介して、RAM12、ROM13、記憶部14、入力デバイス15、ディスプレイ16、通信部17が接続される。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びGPU(Graphics Processing Unit)により構成される。プロセッサ11は、記憶部14及びROM13からRAM12にロードされたプログラムを実行して、アンケート調査処理を実行する。RAM12は、プロセッサ11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM13あるいは記憶部14は、プロセッサ11により実行されるBIOS(Basic Input Output System)、オペレーティングシステムプログラム(OS)、アンケート調査処理プログラム、その他各種機能を実現するためのプログラム、それら処理に必要とされる各種データ等が記憶される。
【0012】
入力デバイス15で、キーボード(KB)、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイス等からなる。ディスプレイ19は、典型的にはLCD(Liquid Crystal Display)で実現される。記憶部14には、アンケート回答処理プログラムの他に、アンケート回答処理等に必要とされる投稿文、それぞれの特徴量、ユーザのプロフィール、アンケートの質問及びその調査対象などに関するデータが記憶される。
【0013】
図3に示すように、プロセッサ11は、アンケート回答処理プログラムを実行することにより、制御部20、ユーザ情報収集部21、アンケート調査依頼受信部22、ユーザ抽出部23、投稿文収集部24、自然言語解析処理部25、特徴量演算部26、投稿文抽出部27、仮想回答生成指令作成部28、指令送信部29、仮想回答受信部30、仮想回答集計部31、集計結果送信部32として機能する。
【0014】
ユーザ情報には、
図4(a)、
図4(b)に例示するように、SNS、ブログサイト、口コミサイト等それぞれのユーザアカウント情報と、SNS、ブログサイト、口コミサイト等それぞれに登録されているユーザプロフィール情報とが含まれる。ユーザ情報収集部21は、サーバ3-1、3-2、3-3から全ユーザに関するユーザアカウント情報を収集するとともに、ユーザアカウント情報に基づいて各ユーザのユーザプロフィール情報を収集する。収集されたユーザアカウント情報及びユーザプロフィール情報のデータは、記憶部14に記憶される。
【0015】
アンケート調査依頼受信部22は、アンケート調査依頼端末4から、
図5に例示する調査対象及び質問を含むアンケートの調査依頼を受信する。受信されたアンケートの質問及び調査対象のデータは、記憶部14に記憶される。
【0016】
ユーザ抽出部23は、ユーザアカウント情報及びユーザアカウント情報が収集され記憶部14に記憶された全ユーザから、ユーザプロフィール情報に基づいて調査対象に含まれるユーザを抽出する。調査対象として例えば「30歳代の東京都在住の女性」であり、質問として例えば「最近購入したファッションアイテムとその色、購入先について教えてください。」である。
【0017】
投稿文収集部24は、抽出されたユーザのユーザアカウント情報を用いて、SNSサーバ3-1、ブログサイトサーバ3-2、口コミサイトサーバ3-3等から、抽出されたユーザ各々が投稿した投稿文(投稿文、記事文、口コミ文、評価文、メッセージ等の文章という)を収集する。収集されたユーザ各々の投稿文のデータは、記憶部14に記憶される。
【0018】
自然言語解析処理部25は、質問及び投稿文に対して自然言語解析処理を実行し、品詞に分解するとともに、名詞の文字列を抽出する。特徴量演算部26は、抽出された名詞に基づいて、質問及び投稿文について個々に内容的特徴を定量化した特徴量を演算する。特徴量は、N次元空間上の座標として与えられる。アパレル、音楽、健康食品、書籍、食品、家電などのジャンルごとにN次元空間が予め設定されている。アンケートの質問に応じてジャンルが特定され、特定されたジャンルに対応するN次元空間が選択される。
【0019】
N次元空間を構成するN軸には、名詞をその意味に応じて分類する複数の種類がそれぞれ対応付けられている。N次元空間のN軸には、それぞれの種類に関係する複数の名詞がそれぞれ固有の座標値とともに割り付けられている。アパレルジャンルであれば、
図6に例示するように、カラー、商品種別、サイズ、素材、価格帯、時期、購入先、用途、ファッションスタイル、ファッション情報の入手先、予算などの種類が各軸に対応付けられている。各軸には、それぞれの種類に包括される具体的な下位概念の事柄を表す多数の名詞(文字列)が相互の意味的な近さに従って順番付けされ、それぞれ数値(座標値)が予め割り当てられている。
【0020】
投稿文(文章)から抽出された名詞は、N次元空間のN軸上の名詞に照会され、対応する名詞の文字列が存在するとき、その名詞の文字列に対応する座標値が与えられる。対応する名詞の文字列が存在しないときにはその座標軸の座標値にはゼロ値が与えられる。特徴量が近い投稿文どうしは内容的に近い、内容的特徴が似通っているものといえる。例えば名詞「青」に対しては、カラーに対応する座標軸上の「青」に割り当てられている座標値が充てられる。例えば名詞「スカート」に対しては、商品種別に対応する座標軸上の「スカート」に割り当てられている座標値が充てられる。
【0021】
なお、特徴量演算処理としては、質問や投稿文を入力データとして、それらの内容的特徴を定量化した特徴量のデータを出力するように予め学習された学習済みモデルを用いて求めるようにしてもよい。
【0022】
また、特徴量演算処理としては、文章中の単語の出現回数を数える「Bag of Words(BoW)」、文章中に登場する単語の出現頻度と逆文書頻度に基づいて重み付けして単語の重要度を演算する「TF-IDF (Term Frequency-Inverse Document Frequency)」、単語の意味的な類似度を考慮してベクトル化する「ワードエンベディング(Word Embedding)」など自然言語解析処理で従来から用いられている任意の方法を用いてもよい。
【0023】
投稿文抽出部27は、アンケートの質問の特徴量に対してユーザの投稿文の特徴量を比較し、収拾した複数の投稿文から少なくとも一つの投稿文を抽出する。この抽出処理は、ユーザごとに個別に実施される。具体的には質問の特徴量に対して最も近い特徴量を有する一又は所定数の投稿文が抽出される。又は、質問の特徴量に対する投稿文の特徴量の差が、所定値未満である一又は複数の投稿文が抽出される。上述した通り特徴量は、内容的特徴を定量化したものであるため、抽出される投稿文は、アンケートの質問に対して内容的に近似している。
【0024】
仮想回答生成指令作成部28は、アンケートの質問、抽出される投稿文、ユーザのプロフィールを用いて、アンケートの質問に対する仮想回答の生成を仮想回答生成装置2に要求するための指令(プロンプト)をユーザごとに作成する。例えば、
「あなたは次のプロフィールを有する一般消費者です。
♯命令文
次のアンケートの質問に対するあなたの回答を、あなたの発言をもとに、生成してください。
【0025】
♯プロフィール
AAA
♯あなたの発言
BBB
♯アンケートの質問
bbb」
実在のユーザのプロフィールとともに、当該ユーザがSNS等に実際に投稿した発言であって、アンケートの質問に対して内容的に近い発言をもとに、アンケートの質問に対して回答(仮想回答)を生成するので、ユーザがアンケートの質問に対して答えるであろう回答に対して仮想回答が近似している、つまり仮想回答の精度を高めることができる。
【0026】
指令送信部29は、仮想回答生成指令作成部28で作成した指令を仮想回答生成装置2に送信する。この送信はユーザごとに繰り返される。仮想回答生成装置2では、アンケートの質問に対する、プロフィールAAAの一般消費者が答えるであろう回答(仮想回答)を、普段の発言BBBをもとに生成する。この仮想回答の生成はユーザごとに繰り返される。
【0027】
仮想回答受信部30は、仮想回答生成装置2によりプロンプトに従って生成された抽出ユーザ各々の仮想回答のデータを、仮想回答生成装置2から受信する。仮想回答集計部31は、受信された抽出ユーザの仮想回答を「度数」や「割合」などとして集計する。集計結果送信部32は、抽出ユーザの仮想回答と、その集計結果とをアンケート調査報告としてアンケート調査依頼端末(情報処理装置)4に送信する。
【0028】
図7には、本実施形態に係る情報処理装置1によるアンケート調査の処理工程を、サーバ3-1,3-2,3-3、アンケート調査依頼端末4及び仮想回答生成装置2に対するデータフローとともに表している。情報処理装置1のユーザ情報収集部21により、サーバ3-1,3-2,3-3が定期的に巡回され、各サービスに登録されている複数のユーザ各々のユーザ情報としてのアカウント及びプロフィールが収集される(S11)。収集されたユーザのアカウント及びプロフィールのデータは記憶部14に記憶される(S12)。工程S11、S12は、アンケート調査の準備処理である。
【0029】
アンケート調査依頼端末4からアンケート調査依頼をアンケート調査依頼受信部22が受信したことを契機としてアンケート調査処理が開始される。アンケート調査依頼には、質問と調査対象とが含まれる。
【0030】
ユーザ抽出部23により、記憶部14に記憶されている全ユーザからそれらのプロフィールに基づいてアンケート調査対象に合致するユーザが抽出される(S13)。
図5に例示するように調査対象が「30歳代の東京都在住の女性」であれば、プロフィールに30歳代、東京都在住及び女性が含まれるユーザが抽出される。
【0031】
抽出されたユーザのユーザアカウント情報を用いて、サーバ3-1,3-2,3-3から、抽出されたユーザ各々が投稿した全ての投稿文が投稿文収集部24により収集される(S14)。収集されたユーザ各々の投稿文のデータは、記憶部14に記憶される。
図8にはある一人のユーザが投稿した投稿文が例示される。
【0032】
自然言語解析処理部25により、アンケートの質問、投稿文各々に対して自然言語解析処理が実行され、品詞に分解されるとともに、名詞が抽出される(S15)。
図9に例示するように、特徴量演算部26により、アンケートの質問、投稿文について個別に、抽出された名詞に基づいて内容的特徴を定量化した特徴量が演算される(S16)。例えば、投稿文No.2であれば、当該投稿文から抽出された名詞「明日」、「グレンチェック」、「パンツ」、「青系」、「ジャケット」、「予定」それぞれに対して、N軸上の座標値が与えられる。例えば「明日」は季節の秋に置き換えられ、時期を表す第6軸上において秋に割り当てられている座標値”5”が与えられる。例えば「パンツ」は商品種別を表す第2軸上においてパンツに割り当てられている座標値”7”が与えられる。他の名詞についても、同様に対応する座標の座標値が与えられる。座標に割り当てられる種類の名詞が投稿文に登場しないときには、その軸の座標値としてはゼロ値が与えられる。アンケートの質問についても同様に特徴量が演算される。
【0033】
なお、好ましくは、異なる表記や言い回しが同じ意味を持つ複数の名詞を統一した名詞に置き換えるために、「同義語辞書」、「表記ゆれ辞書」、独自に作成した用語集等が記憶部14に予め保存され、特徴量演算部26においてこれら辞書を用いて投稿文から抽出した名詞を、揺らぎのない統一した言い方の名詞に置き換える処理を前処理として実行される。
【0034】
次に、
図9、
図10に例示するように、質問の特徴量に対して、複数の投稿文に関する複数の特徴量がそれぞれ比較され、質問の特徴量に対して最も近い特徴量を有する一又は所定数の投稿文が投稿文抽出部27により抽出される(S17)。換言すると、質問の特徴量との差が最も小さい特徴量を有する一つの投稿文、又は質問の特徴量との差が小さい特徴量を有する所定数の投稿文が抽出される。なお、投稿文の抽出方法はこれら方法に限定されることはなく、例えば質問の特徴量に対する投稿文の特徴量の差が所定値未満である投稿文を抽出するようにしてもよい。特徴量は内容的特徴を定量化したものであるため、特徴量が質問のそれに近い投稿文は、アンケートの質問に対して内容的に近いことを意味する。投稿文の抽出処理はユーザごとに実行される。アンケートの質問に対して内容的に近い投稿文がユーザごとに抽出される。
【0035】
アンケートの質問及びユーザのプロフィールに加えて、抽出された投稿文を用いて、アンケートの質問に対する仮想回答の生成を仮想回答生成装置2に要求するための指令(プロンプト)が仮想回答生成指令作成部28によりユーザごとに作成される(S18)。プロンプトの作成例は上述した通りである。作成されたプロンプトは指令送信部29から仮想回答生成装置2に送信される。
【0036】
仮想回答生成装置2において、ユーザのプロフィールと、ユーザによりSNS等に実際に投稿され、アンケートの質問に対して内容的に近い投稿文とをもとに、アンケートの質問にユーザが答えるであろう仮想回答が生成される(S19)この仮想回答は、ユーザのプロフィールとともに、当該ユーザがSNS等に実際に投稿し、且つアンケートの質問に対して内容的に近い発言をもとに生成されるので、ユーザがアンケートの質問に対して答えるであろう回答に対して仮想回答が近いものとなる。
【0037】
仮想回答生成装置2で生成された複数のユーザにそれぞれ対応する複数の仮想回答のデータが仮想回答生成装置2から送信され、仮想回答受信部30で受信される。仮想回答集計部31において、複数の仮想回答が集計処理に供され(S20)、集計結果送信部32からアンケート調査依頼端末4に送信される。
【0038】
以上の通り、本実施形態によれば、実在のユーザからアンケートの質問に対する回答を収集するのではなく、アンケートの質問及び実在のユーザのプロフィールに加えて、抽出された投稿文を用いて、アンケートの質問に対する仮想回答を仮想回答生成装置2で生成させるので、インターネット調査は、郵送調査、街頭調査、訪問調査に比べて、コストが低減され、調査時間が短縮され、回答者の属性の偏ることもない。さらに実在のユーザの恣意が混在することもないため、回答の信頼性が低下することもない。
【0039】
そして実在のユーザのプロフィールに加えて、実在のユーザがSNS等に実際に投稿した投稿文から、アンケートの質問に対して内容的特徴が近い投稿文を抽出し、当該抽出した投稿文をもとに、アンケートの質問に対して仮想回答を生成AIに生成させるので、投稿文を用いない、また投稿文を用いたとしても、その投稿文がアンケートの質問に対する内容的特徴の近さに従って抽出したものではない場合に比べて、仮想回答の精度を向上させることができ、その信頼性を高めることができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1…情報処理装置、2…仮想回答生成装置(生成AI)、3-1…SNSサーバ、3-2…ブログサイトサーバ、3-3…口コミサイトサーバ、4…アンケート調査依頼端末(情報処理装置)。
【要約】
【課題】アンケート調査のコスト低減、調査時間短縮、信頼性の向上。
【解決手段】情報処理装置1は、SNS等サービスサーバ3と、アンケート調査依頼端末4と、生成AI2とに通信回線を介して接続され、情報処理端末からアンケート調査依頼を受信する手段と、複数のユーザがSNS等サービスに投稿した複数の投稿文のデータをサーバから収集する手段と、質問と複数の投稿文それぞれの内容的な特徴量を演算する特徴量演算手段と、質問の特徴量に投稿文の特徴量を比較し、投稿文をユーザごとに抽出する手段と、抽出された投稿文をもとに質問の回答をユーザごとに生成することを要求するプロンプトを生成する手段と、プロンプトを生成装置に送信する手段と、生成装置によりプロンプトに従って生成された回答のデータを生成装置から受信する手段と、受信された回答と集計結果とを情報処理端末に送信する手段とを具備する。
【選択図】
図1