(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】皮膚外用剤および皮膚外用剤用キット
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20241209BHJP
A61K 8/9741 20170101ALI20241209BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20241209BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241209BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20241209BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9741
A61K8/9728
A61K8/64
A61K8/23
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020145690
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】522048568
【氏名又は名称】株式会社マレセット
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 由依
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0791089(KR,B1)
【文献】特開平11-263707(JP,A)
【文献】特開2003-113072(JP,A)
【文献】特開2018-027928(JP,A)
【文献】特公昭26-004947(JP,B1)
【文献】Medicated AC Powder,ID1824197,Mintel GNPD[online],2012年06月,<URL https://www.portal.mintel.com>,[検索日2024.07.16]
【文献】Black Pack,ID4175161,Mintel GNPD[online],2016年08月,<URL https://www.portal.mintel.com>,[検索日2024.07.16]
【文献】ギャッツビー 薬用 アクネウォーター,Cosmetic-Info[online],2013年02月25日,<URL https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=21778>,[検索日2024.07.16]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来成分、角質軟化剤およびシルクパウダーを含有する皮膚外用剤であり、前記植物由来成分として、スギナ由来成分、ブクリョウ由来成分、ドクダミ由来成分およびハンゲショウ由来成分を含有し、前記角質軟化剤として硫黄を含有
し、ピーリング剤として使用される皮膚外用剤。
【請求項2】
前記角質軟化剤の含有率が0.05~5質量%である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記スギナ由来成分の含有率が10質量%以上60質量%以下の範囲内にあり、前記ブクリョウ由来成分の含有率が10質量%以上40質量%以下の範囲内にあり、前記ドクダミ由来成分の含有率が2質量%以上30質量%以下の範囲内にあり、前記ハンゲショウ由来成分の含有率が5質量%以上30質量%以下の範囲内にある、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤と、前記皮膚外用剤を溶解又は分散するための溶解剤である第1の水性溶液と、皮膚上に形成された塗膜に含まれる前記皮膚外用剤の経皮吸収促進剤である第2の水性溶液とを備えた皮膚外用剤用キット。
【請求項5】
前記第1の水性溶液は25℃におけるpHが3~4の範囲である、請求項
4に記載の皮膚外用剤用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤および皮膚外用剤用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚表面の古い角質層を剥離し、さらに新しい角質層を再生させて、表皮のターンオーバー(新陳代謝)を促進させる効果を有するピーリング剤と呼ばれる皮膚外用剤がある。従来のピーリング剤の中には、必要な角質層を剥がしてしまい、皮膚のターンオーバーのサイクルを無理に早めてしまうものがある。この場合、肌が薄くなるため一時的には透明感が上がるが、未熟な角質層が肌表面に押し上げられてしまうため、肌のバリア機能が低下し、乾燥、しわ、吹き出物やニキビなどの肌荒れの原因となることがある。
【0003】
特許文献1には、副作用なく効果的に角質を除去するピーリング剤として、スギナ15~25質量%、白茯苓(シロブクリョウ)10~20質量%、ドクダミ0.2~1質量%、ハンゲショウ15~25質量%、白僵蚕(ビャッキョウサン)10~20質量%、硫黄25~35質量%を含有するピーリング剤が開示されている。ここで、白僵蚕とは、カイコガ科の蚕の幼虫が白僵菌に感染し、白く硬直して死んだものを乾燥したものである。白僵蚕は、解表、止痙、化痰の効能があり、かぜによる発熱や頭痛、咽喉の痛み、痙攣、風疹による痒みなどを抑制するために服用されることがある漢方薬として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者が検討したところ、特許文献1に記載されたピーリング剤は、使用する者によっては稀に肌に合わず、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルを引き起こすことがあることがわかった。
【0006】
硫黄には還元作用があり、皮膚表面のタンパク質(ケラチンなど)と反応して角質を軟化させる作用があるため、ピーリング剤において傷んだ角質を取り除くことを目的に使用されることがある。しかしながら、硫黄の高濃度使用による副作用として皮膚炎を生じることがある。特許文献1に記載のピーリング剤においては、上記の通り、硫黄が全固形分中25~35質量%と高濃度で使用されている。このため高濃度で含有される硫黄が上記肌トラブルの原因ではないかと当初は思われたが、本発明者の更なる鋭意検討により、硫黄の高濃度使用だけが上記肌トラブルの原因ではないことがわかった。
【0007】
本発明は、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルを生じることなく、皮膚のターンオーバーを促進して新しい角質層の再生を無理なく実現することができる皮膚外用剤および皮膚外用剤用キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一側面により、植物由来成分、角質軟化剤およびシルクパウダーを含有する皮膚外用剤が提供される。
【0009】
本実施形態において、上記角質軟化剤は硫黄であってよい。
また、本実施形態において、上記角質軟化剤の含有率は、0.05~5質量%であってよい。
【0010】
また、本実施形態において、上記皮膚外用剤は、上記植物由来成分として、スギナ、ブクリョウ、ドクダミおよびハンゲショウから選択される1種または2種以上の植物由来成分を含有してよい。
【0011】
また、本実施形態において、上記皮膚外用剤は、フラーレン系化合物及び/又はザクロ幹細胞由来成分を更に含有してよい。
また、本実施形態において、上記皮膚外用剤はピーリング剤であってよい。
【0012】
本発明の第二側面により、上記皮膚外用剤と、第1の水性溶液と、上記第1の水性溶液とは異なる第2の水性溶液とを備えた皮膚外用剤用キットが提供される。
【0013】
本実施形態において、上記第1の水性溶液は、上記皮膚外用剤を溶解又は分散するための溶解剤である。第1の水性溶液は、25℃におけるpHが3~4の範囲であってよく、例えば、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸およびクエン酸ナトリウムから選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、乳酸及び/又は乳酸ナトリウムを少なくとも含有することがより好ましい。
【0014】
本実施形態において、上記第1の水性溶液は、アラントイン及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムをさらに含有してよい。
【0015】
本実施形態において、上記第2の水性溶液は、皮膚上に形成された塗膜に含まれる上記皮膚外用剤の経皮吸収促進剤であってよい。
本実施形態において、上記第2の水性溶液は、グリシルグリシン、ペプチドおよびビタミンPから選択される少なくとも1種を含有してよい。ペプチドとしては、ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、合成ヒト遺伝子組換ポリペプチド-31、およびヒト遺伝子組換ポリペプチド-10(以下において、「3種ペプチド」という。)が挙げられ、これら3種ペプチドから選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、これら3種ペプチドをすべて含有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルを生じることなく、皮膚のターンオーバーを促進して新しい角質層の再生を無理なく実現することができる皮膚外用剤および皮膚外用剤用キットを提供することが可能となる。皮膚のターンオーバーを促進し新しい角質層を無理なく再生することができると、肌のバリア機能がアップし、肌に弾力が生まれる、しわや毛穴が目立たなくなる、乾燥しにくくなる、炎症が治まるなどの効果が表れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
本実施形態に係る皮膚外用剤は、植物由来成分、角質軟化剤およびシルクパウダーを含有してなる。一般には漢方薬として服用される上述した白僵蚕は、経皮浸透させることにより皮膚のターンオーバーを促進する効能を有するが、本発明者の鋭意研究により、白僵蚕を経皮浸透させた場合、使用する者によっては、発疹、発赤、かゆみなどの症状を引き起こすことがあることがわかった。この症状は、白僵蚕に限らず、蚕の乾燥粉末を経皮浸透させた場合にもみられることも明らかとなった。
【0018】
本実施形態に係る皮膚外用剤は、白僵蚕などの蚕の乾燥粉末に替え、シルクパウダーを使用したことを第一の特徴とするものである。本発明者により、シルクパウダーは経皮浸透により皮膚のターンオーバーを促進することができ、且つ、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルを引き起こすこともないことが確認されている。更に、シルクパウダーが本実施形態に係る皮膚外用剤に配合されることにより、後述する硫黄等の角質軟化剤の配合量を、その作用効果を維持しつつ減らすことも可能となり、例えば硫黄の高濃度使用による皮膚炎等の副作用を抑制することも可能となった。
以下に本実施形態に係る皮膚外用剤に含有される各成分について説明する。
【0019】
(シルクパウダー)
シルクパウダーは、繭を原料とする粉末であり、絹繊維の主成分である絹フィブロインと呼ばれる高分子のタンパク質からできている。その製法としては、例えば、絹繊維を粉砕して、水に不溶のシルクパウダーを製造する方法、再結晶させたシルク水溶液を脱水してシルクパウダーを得る方法、再結晶させたシルク水溶液を凍結、解凍、分離、乾燥して得る方法、絹繊維を加水分解する方法等を挙げることができる(例えば、特開2007-006762号公報参照)。上述したように、シルクパウダーは皮膚のターンオーバーの促進効果を有しつつ、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルの発生を抑制することができるため、本実施形態に係る皮膚外用剤は、ニキビやアトピー性皮膚炎など何らかの皮膚疾患を抱えている人にも安心して使用することができる。
【0020】
シルクパウダーの配合比は、例えば、皮膚のターンオーバーの促進効果や、後述する他の成分の配合比などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、シルクパウダーは、皮膚外用剤の全質量を基準として通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上配合される。他方、シルクパウダーは、皮膚外用剤に通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下配合される。
【0021】
(角質軟化剤)
角質軟化剤は、皮膚表面のタンパク質(ケラチンなど)と反応して角質を軟化させ、傷んだ角質を取り除く効能を有する成分である。角質軟化剤の角質軟化作用は、角質塊がつまったニキビにも適している。本実施形態に係る皮膚外用剤は、シルクパウダーを含有し皮膚疾患を有するなど肌の弱い人にも安全に使用することができるため、一般的なピーリング剤としての効果だけでなく、ニキビ治療にも効果を有する。角質軟化剤の具体例としては、硫黄、二硫化セレン、サリチル酸、ベタイン類、尿素、グリコール酸、乳酸、トリクロロ酢酸、及び、これらの誘導体並びに塩を挙げることができ、これらの中から選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0022】
(硫黄)
上述した角質軟化剤の具体例の中でも、硫黄は角質軟化作用に加え、抗菌/殺菌作用及び抗炎症作用も有する。したがって、アトピー治療やニキビ治療の効果、抗炎症効果が期待できる観点から角質軟化剤として少なくとも硫黄を使用することが好ましい。本実施形態において使用される硫黄は、通常、硫黄鉱石を粉砕して得られる粉末固体である。
【0023】
角質軟化剤の配合比は、適宜設定することができる。一形態において、角質軟化剤は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上配合される。この範囲とすれば、角質軟化作用、アトピー治療、ニキビ治療などの効果が奏されやすくなる。他方、角質軟化剤は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下配合される。上述したように、本実施形態に係る皮膚外用剤にシルクパウダーを配合した結果、理由は定かではないが、角質軟化剤の配合比を上記上限値に低減してもその効果、すなわち、角質軟化作用、抗炎症作用、アトピー治療、ニキビ治療などの効果を奏することが可能となった。これにより、角質軟化剤(特に硫黄)の使用量が過剰となることによる弊害、具体的には皮膚への刺激が大きくなることによる上記肌トラブルを回避することが可能となった。
【0024】
(植物由来成分)
本実施形態に係る皮膚外用剤は、1種又は2種以上の植物由来成分を含有する。植物由来成分を経皮浸透させることにより、皮膚のターンオーバーが一層促進され、新しい角質層の再生を無理なく実現することが可能となる。ここで、植物由来成分とは、植物を原料として生成される成分であればよく、例えば、葉、茎、根、花、実、果実などの植物体そのものを破砕したものや、エキス、精油、チンキなどのような、植物を溶媒などで処理して得られる抽出物、それらを部分精製、或いは、高度に精製したものであってもよい。
【0025】
植物由来成分の植物の具体例としては、例えば、アケビ、アスナロ、アスパラガス、アボカド、アマチャ、アーモンド、アルニカ、アロエ、アロニア、アンズ、イチョウ、インドキノ、ウイキョウ、ウド、エイジツ、エゾウコギ、エンメイソウ、オウゴン、オウバク、オウレン、オタネニンジン、オトギリソウ、オドリコソウ、オレンジ、カキョク、カッコン、カモミラ、カロット、カワラヨモギ、キウイ、キューカンバー、グアバ、クジン、クチナシ、クマザサ、クララ、クルミ、グレープフルーツ、黒米、クロレラ、クワ、ケイケットウ、ゲットウヨウ、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、紅茶、ゴボウ、コメ、コメ発酵、コメヌカ発酵、コメ胚芽油、コケモモ、サルビア、サボンソウ、ササ、サンシャ、サンショウ、シイタケ、ジオウ、シコン、シソ、シナノキ、シモツケソウ、シャクヤク、ショウキョウ、ショウブ根、シラカバ、スギナ、ステビア、ステビア発酵物、セイヨウキズタ、セイヨウサンザシ、セイヨウニワトコ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウハッカ、セージ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、ソウハクヒ、ダイオウ、ダイズ、タイソウ、タイム、タンポポ、茶、チョウジ、チンピ、甜茶、トウガラシ、トウキ、トウキンセンカ、トウニン、トウヒ、ドクダミ、ハンゲショウ、トマト、納豆、ニンジン、ニンニク、ノバラ、ハイビスカス、バクモンドウ、ハス、パセリ、バーチ、ハマメリス、ヒキオコシ、ヒノキ、ビワ、フキタンポポ、フキノトウ、ブクリョウ、ブッチャーブルーム、ブドウ、ブドウ種子、ヘチマ、ベニバナ、ペパーミント、ボダイジュ、ボタン、ホップ、マツ、マヨナラ、マロニエ、ミズバショウ、ムクロジ、メリッサ、モズク、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユリ、ヨクイニン、ヨモギ、ラベンダー、緑茶、リンゴ、ルイボス茶、レイシ、レタス、レモン、レンギョウ、レンゲソウ、ローズ、ローズマリー、ローマカミツレ、ローヤルゼリー、ワレモコウ等が挙げられる。
【0026】
これらの中でも、肌を保護しつつ皮膚のターンオーバーを促進する観点から、本実施形態に係る皮膚外用剤は、スギナ、ドクダミ、ハンゲショウおよびブクリョウから選択される植物由来成分を1種又は2種以上含有することが好ましい。これら植物由来成分の各々は以下に詳述する効能を有するが、シルクパウダーと併用されることにより、皮膚のターンオーバーの促進に寄与し、新しい角質層の再生を無理なく実現することを可能とする。
【0027】
(スギナ由来成分)
スギナは、シダ植物の仲間でトクサ科の多年草であり、保湿、抗シワ作用、収れん作用を有する植物として知られている。スギナ由来成分としては、例えば、スギナの葉を乾燥しジェットミルで粉砕して粉末にしたものであってもよいし、スギナエキスであってもよい。スギナエキスは、一般的には、トクサ科植物スギナ(学名:Equisetum arvense)の全草から水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスである。その性状は、常温で液体である。本実施形態において、スギナエキスを液体の状態で使用してもよいし、乾燥させて固体(粉体)にしたものを使用してもよい。
【0028】
スギナ由来成分の配合比は、例えば、皮膚のターンオーバーの促進効果や、保湿、抗シワ作用、収れん作用などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、スギナ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上配合される。他方、スギナ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として、通常60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下配合される。
【0029】
(ドクダミ由来成分)
ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属の多年草であり、腫れ物、吹き出物、皮膚病などに対する排膿作用、毒下し等の殺菌作用、ニキビ等に対する抗炎症作用を有する植物として知られている。ドクダミ由来成分としては、例えば、ドクダミ科の多年草であるドクダミを株元から切り、洗って陰干しした葉っぱを粉砕して粉体状にしたものであってよい。
【0030】
ドクダミ由来成分の配合比は、例えば、皮膚のターンオーバーの促進効果や、排膿、殺菌作用、抗炎症作用などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、ドクダミ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上配合される。他方、ドクダミ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下配合される。
【0031】
(ハンゲショウ)
ハンゲショウ(半夏生)は、ドクダミ科の多年草落葉草本植物であり、抗炎症作用、皮膚湿疹の治療効果を有する植物として知られている。ハンゲショウ由来成分としては、例えば、ハンゲショウの葉を抽出し、冷却、ろ過したものを噴霧乾燥した粉末固体であってよい。
【0032】
ハンゲショウ由来成分の配合比は、例えば、皮膚のターンオーバーの促進効果や、抗炎症作用、皮膚湿疹の治療効果などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、ハンゲショウ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上配合される。他方、ハンゲショウ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下配合される。
【0033】
(ブクリョウ)
ブクリョウ(茯苓)は、サルノコシカケ科のマツホドの菌核の外層をほとんど取り除いたものであり、むくみ解消、抗シミ・抗シワ作用などのアンチエイジング効果、美白効果を有する植物として知られている。ブクリョウの有効成分として、多糖類のパキマンの他、パキマ酸、エブリコ酸、デハイドロエブリコ酸、ツムロース酸などの四環性トリテルペンカルボン酸及びエルゴステロールが含まれている。ブクリョウ由来成分としては、例えば、ブクリョウを乾燥した固体(粉末)であってよい。
【0034】
ブクリョウ由来成分の配合比は、例えば、皮膚のターンオーバーの促進効果や、むくみ解消、アンチエイジング効果、美白効果などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、ブクリョウ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上配合される。他方、ブクリョウ由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下含有される。
【0035】
(フラーレン系化合物)
本実施形態に係る皮膚外用剤は、フラーレン系化合物を更に含有してよい。ここでフラーレン系化合物とは、フラーレン又はフラーレン誘導体を意味する。フラーレンは、炭素原子から構成される球殻状の分子の総称であり、抗酸化力があり、美白、抗シワ作用、肌のバリア機能改善、毛穴改善などの効果が期待される化合物として知られ、様々な誘導体が開発されている。
【0036】
本実施形態において用い得るフラーレンは、フラーレン分子であれば特に限定されることなく、例えば、炭素原子数60(C60)、同(C70)、同(C76)、同(C78)、同(C82)、同(C84)、同(C90)、同(C96)等を用いることができる。これらの中でも、球状構造上の安定性、人体への使用実績、油剤への溶解性、及び入手のしやすさの観点から、C60及びC70を用いることが好ましい。性状は常温で固体(粉末)である。フラーレンは水不溶性であるが、例えば、特開2018-172362号公報に開示された方法で調製された、水分散性が高められたフラーレン含有組成物として使用してもよい。
【0037】
フラーレン誘導体としては、例えば、無機質多孔性担体に上述したフラーレンを担持させたものが挙げられ、例えば、特許第5806077号公報に開示された方法で調製された、シリカゲルにフラーレンが担持されたフラーレン内包シリカゲルを用いることができる。フラーレン内包シリカゲルの商品としては、ビタミンC60バイオリサーチ株式会社から提供されている「ヴェールフラーレン」(登録商標)が入手可能である。
【0038】
また、フラーレン誘導体は、上述したフラーレン分子をメチル基、ヒドロキシル基、アミノ基、飽和脂肪酸等で化学修飾したものであってよく、例えば、水酸化フラーレン、水素化フラーレン等が挙げられる。
【0039】
また、本実施形態においては、フラーレン系化合物として、上述したフラーレン又はフラーレン誘導体を有機化合物(有機オリゴマー、有機ポリマー、シクロデキストリン、クラウンエーテル、及びこれらの類縁化合物のうちの1種以上)により修飾もしくは包接した水溶性フラーレン又は水溶性フラーレン誘導体を使用することもできる。
本実施形態において、フラーレン系化合物を1種使用してもよいし、2種以上使用してよい。
【0040】
フラーレン系化合物の配合比は、例えば、美白、抗シワ作用、肌のバリア機能改善、毛穴改善などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、フラーレン系化合物は、皮膚外用剤の全質量を基準として通常0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上配合される。他方、フラーレン系化合物は、皮膚外用剤の全質量を基準として、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下配合される。
【0041】
(ザクロ幹細胞由来成分)
本実施形態に係る皮膚外用剤は、ザクロ幹細胞由来成分を更に含有してよい。ザクロ幹細胞由来成分を配合することにより、抗酸化、メラニンの合成阻害、肌修復の効果が期待される。ザクロ幹細胞は植物幹細胞の一種であり、ザクロ幹細胞由来成分は、例えば、(1)植物(ザクロ)の細胞片を培養し、(2)種々の内因性シグナルによってカルスを誘導させ、(3)カルスを採取するために選択的にカルスを増殖させる条件下で培養し、(4)カルスを単離して液体培地で培養、幹細胞を得て、(5)幹細胞に外的刺激を加える、という工程(Vytrus Biotech社が保有するPlant Cell Biofactriesという技術)を経て抽出される成分であってよいし、あるいは、工程(4)で得られるザクロ幹細胞であってよい。ザクロ幹細胞由来成分は、一形態において、ザクロ幹細胞抽出成分又はザクロ幹細胞の乾燥粉末体であってよい。
【0042】
ザクロ幹細胞由来成分の配合比は、例えば、抗酸化、メラニンの合成阻害、肌修復の効果などを考慮して適宜設定することができる。一形態において、ザクロ幹細胞由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として、通常0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上配合される。他方、ザクロ幹細胞由来成分は、皮膚外用剤の全質量を基準として、通常1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下配合される。
【0043】
(その他の成分)
本実施形態に係る皮膚外用剤は、更に他の成分を更に含有してよい。このような他の成分としては例えば、防腐・殺菌剤を挙げることができる。
防腐・殺菌剤としては、例えば、尿素;パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、ポリリン酸、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3-ブチレングリコール等がある。これら防腐・殺菌剤の性状は、一般的には、常温・常湿で個体(粉体)である。本発明においては、上記例示した防腐・殺菌剤を適宜用いればよいが、防腐・殺菌作用を確保しつつ、本実施形態に係る皮膚外用剤の作用効果を減じにくくするという観点からは、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)とフェノキシエタノールとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0044】
本実施形態に係る皮膚外用剤が防腐・殺菌剤を含有する場合、その配合比としては、皮膚外用剤の全質量を基準として、通常0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上とする。他方、防腐・殺菌剤の配合比は、皮膚外用剤の全質量を基準として、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.7質量%以下とする。
本実施形態に係る皮膚外用剤は、さらに他の成分として、酵素を含有してもよい。
【0045】
(製造方法)
本実施形態に係る皮膚外用剤の製造方法は、特に制限はないが、一般的には、上記説明した各成分は常温・常湿で固体(粉体)であるので、各成分を粉砕、攪拌することによって製造することができる。通常は、粉体状である各成分を従来公知の攪拌機で攪拌することによって製造することができる。
【0046】
(使用方法)
本実施形態に係る皮膚外用剤は、通常、常温・常湿で固体(粉体)の性状であるため、皮膚上に適用する際には、水性溶液に溶解又は分散させて、液状、又は一定の粘度を有する状態(ゲル状、ペースト状、軟膏状)で使用することが好ましい。このような液状又は一定の粘度がある状態で本実施形態に係る皮膚外用剤を皮膚にのせることにより、皮膚のターンオーバーが促進され、新しい角質層を無理なく再生させることができる。
【0047】
ここで、本実施形態に係る皮膚外用剤の溶解又は分散に使用される上記水性溶液(以下において、「第1の水性溶液」という。)は、水を基本溶媒とする溶液である。第1の水性溶液は、水以外の他の溶媒を含有してもよく、特に水と混和する溶媒(例えば、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等)を更に含有することが好ましい。第1の水性溶液中の水の含有率は、例えば、70質量%以上であればよい。
【0048】
第1の水性溶液は、一形態において、乳酸を含有することが好ましい。乳酸は角質を柔らかくする効果を有するため、乳酸を配合することにより、皮膚外用剤の皮膚への浸透を促進することができる。乳酸は、pH調整剤としても機能する。
【0049】
また、第1の水性溶液は、一形態において、アラントインを含有することが好ましい。アラントインを配合することで、保湿作用および抗炎症作用を向上させることができる。また、アラントインを配合することで、古い角質を除去し、新しい表皮組織の生成を助長する効果も期待できる。
【0050】
また、第1の水性溶液は、一形態において、グリチルリチン酸ジカリウムを含有することが好ましい。グリチルリチン酸ジカリウムは、優れた抗炎症作用を持ちながら、肌への刺激が少ないため、グリチルリチン酸ジカリウムを配合することで安全に抗炎症作用を向上させることができる。
【0051】
第1の水性溶液は、上述した成分以外に種々の任意の成分を含有してよい。第1の水性溶液が含有し得る他の成分としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、水酸化カリウム、PPG-6デシルテトラデセス-20、ラベンダー油、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、マンニトール、水溶性コラーゲン、ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、ヒト遺伝子組換ポリペプチド-10等を挙げることができる。これらのうち乳酸ナトリウム、クエン酸及びクエン酸ナトリウムは、pH調整剤としても機能する。
【0052】
第1の水性溶液に含まれる各成分の配合比は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0053】
第1の水性溶液は、皮膚外用剤に対する溶解・分散性、並びに、皮膚外用剤の皮膚への浸透性の観点から、25℃におけるpHが3~4の範囲に調整されることが好ましい。
【0054】
本実施形態に係る皮膚外用剤と第1の水性溶液との混合比は、適宜設定することができる。例えば、皮膚外用剤1gに対して、第1の水性溶液を、通常1mL以上、好ましくは2mL以上、より好ましくは2.5mL以上とし、通常5mL以下、好ましくは4mL以下、より好ましくは3.5mL以下とする。この範囲にすることで、本実施形態に係る皮膚外用剤と第1の水性溶液とを混合することで生成する組成物(以下において、「ペースト」などともいう。)を肌に乗せやすくすることができ、また皮膚外用剤の皮膚への浸透を促進することができる。
【0055】
上記ペーストを皮膚上に塗布して塗膜を形成し、皮膚外用剤を浸透させるために時間を置く。その間、塗膜に指を押し当てるようにしてしっかりと皮膚外用剤を入れ込むことが好ましい。次第に塗膜が乾燥してくるが、乾いた状態では皮膚外用剤が経皮吸収されず、皮膚に浸透しない。そこで、上記塗膜が乾燥してきた段階で、塗膜に含まれる皮膚外用剤の経皮吸収促進剤として、第2の水性溶液を塗膜上に吹きかけ、ペーストに第2の水性溶液をなじます。この状態でしばらく時間を置き、皮膚外用剤の皮膚への浸透を更に促す。
【0056】
第2の水性溶液は、水を基本溶媒とする溶液である。第2の水性溶液は、水以外の他の溶媒を含有してもよく、特に水と混和する溶媒(例えば、ブチレングリコール、グリセリン、ペンチレングリコール等)を更に含有することが好ましい。第2の水性溶液中の水の含有率は、例えば、70質量%以上であればよい。
【0057】
第2の水性溶液は、一形態において、グリシルグリシンを含有することが好ましい。第2の水性溶液にグリシルグリシンを配合することで、角化異常を改善し、毛穴を引き締める効果が期待される。
【0058】
第2の水性溶液は、一形態において、ペプチドを含有することが好ましい。ペプチドとしては、ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、合成ヒト遺伝子組換ポリペプチド-31、およびヒト遺伝子組換ポリペプチド-10(3種ペプチド)が挙げられる。第2の水性溶液は、これら3種ペプチドから選択される1種以上を含有することが好ましく、これら3種ペプチドをすべて含有することがより好ましい。
【0059】
第2の水性溶液は、一形態において、ビタミンP(グルコシルヘスペリジン)を含有することが好ましい。ビタミンPを配合することにより、皮膚の毛細血管を拡張して血流を促進する効果が期待される。
【0060】
第2の水性溶液は、上述した成分以外に種々の任意の成分を含有してよい。第2の水性溶液が含有し得る他の成分としては、例えば、グリコシルトレハロース、フェノキシエタノール、ジヒドロキシプロピルアルギニンHCl、加水分解水添デンプン、PPG-6デシルテトラデセス-20、ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、クエン酸、ラベンダー油、グレープフルーツ果皮油、コンフリー葉エキス、ローズマリー葉油、マンニトール、水溶性コラーゲン等を挙げることができる。
【0061】
第2の水性溶液に含まれる各成分の配合比は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0062】
ペーストが皮膚に十分浸透した後、ペーストを拭き取る。その後、ローション、ジェル、クリーム等で皮膚を保湿することが好ましい。施術時間は適宜設定することができるが、例えば、ペーストを皮膚上に塗布してから拭き取るまでの時間として、約20分程度を目安とすることができる。
【0063】
<第2実施形態>
本実施形態に係る皮膚外用剤用キットは、上述した皮膚外用剤と、上述した第1の水性溶液と、第1の水性溶液とは異なる上述した第2の水性溶液とを備える。
【実施例】
【0064】
<試験例1>
下記表1に示されるそれぞれの成分単独に対する肌トラブルの評価試験を行った。
それぞれの乾燥粉体0.1gに対して、第1の水性溶液を0.3g加えて混合し、単独成分からなる各ペーストを得た。第1の水性溶液としては、主たる有効成分として、乳酸、アラントインおよびグリチルリチン酸ジカリウムを含有し、溶媒として水、ブチレングリコール、グリセリン及びペンチレングリコールを含有してなる水性溶液(水の配合比:約80質量%)を使用した。
皮膚疾患のない19歳~53歳の女性10名、男性3名を被験者として、各ペーストを腕に塗布し、15分後における肌トラブルを評価した。その結果を表1に示す。
【0065】
【0066】
表1に示される結果から、上記被験者13人中、蚕に対しては13人、硫黄に対しては6人が、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルの症状がみられたことがわかる。一方、スギナ末、ブクリョウ末、ドクダミ末及びハンゲショウ末については、肌トラブルの症状がみられた被験者はゼロであった。これらの結果から、特許文献1に開示されたピーリング剤を使用した場合において、稀に使用者に肌トラブルを引き起こしていた要因は、白僵蚕と、高濃度で配合された硫黄が要因であると推測される。また、シルクパウダーについては、上記植物由来成分と同様、肌トラブルの症状がみられた被験者はゼロであった。この結果から、皮膚のターンオーバーを促進する効能を有するシルクパウダーを安心して使用できることがわかる。
【0067】
<実施例1>
下記表2に示される成分を同表に示される配合比において混合することにより、本実施形態に係る皮膚外用剤を調製した。
【0068】
【0069】
皮膚疾患のない15歳~73歳の女性15名、男性5名を被験者(試験例1の被験者とは異なる)とし、上掲で調製した皮膚外用剤を以下に示す手順で施術し、肌トラブル評価と官能評価を行った。
肌トラブル評価は、上掲の試験例1と同様、発疹、発赤又はかゆみの症状が見られたか否かで行った。官能評価は、皮膚のターンオーバーが促進され新しい角質層が無理なく再生されることによる肌のバリア機能アップに対する官能評価であり、具体的には、「肌に弾力が生まれた」、「しわが目立たなくなった」、「毛穴が目立たなくなった」、「乾燥しにくくなった」、および「炎症が治まった」の中から該当する項目を選択する方式で行った。
【0070】
(手順)
(1) 上掲で得られた皮膚外用剤1gをガラスボウルにとり、上掲の試験例1で使用した第1の水性溶液3mLを加え、混合することによりペースト状の組成物を得た。
(2) (1)で得たペーストを、被験者の顔に塗布し、塗膜を形成する。
(3) 上記塗膜に指を押し当てるようにしてペーストを皮膚に浸透させる。
(4) 乾燥により指の滑りが悪くなったら、後掲の第2の水性溶液を塗膜に吹きかけ、第2の水性溶液を指でペーストになじませながらのばしていく。
(5) ペーストが皮膚に十分浸透したら(目安:塗布後20分)、濡らしたスポンジで軽く拭き取り、その後濡らした冷たいタオルで拭き取る。
(6) ローション、ジェル及びクリームを塗布し、保湿する。
(7) 上記(1)~(6)の手順からなる施術(1回目の施術)を行った日から3日後、上記(1)~(6)の手順で施術する(2回目の施術)。
【0071】
第2の水溶液としては、主たる有効成分として、グリシルグリシン、3種ペプチドおよびビタミンP(グルコシルヘスペリジン)を含有し、溶媒として水、ブチレングリコール、グリセリン及びペンチレングリコールを含有してなる水性溶液(水の配合比:約80質量%)を使用した。
【0072】
2回目の施術を行った日から3日後に行った被験者による肌トラブル評価と官能評価を後掲の表5に示す。
【0073】
【0074】
表5に示される結果から、本実施形態に係る皮膚外用剤は、発疹、発赤、かゆみなどの肌トラブルを生じることなく、皮膚のターンオーバーを促進して新しい角質層の再生を無理なく実現できることがわかった。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。