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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】汚泥かき寄せ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/18 20060101AFI20241209BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B01D21/18 F
B01D21/18 A
B01D21/24 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020183541
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073513
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 修史
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-024711(JP,A)
【文献】特開平11-137912(JP,A)
【文献】特開2002-253902(JP,A)
【文献】特開2002-253903(JP,A)
【文献】特開2002-035506(JP,A)
【文献】特開2010-253468(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1047285(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D21/00-21/34
C02F1/52-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け入れた懸濁水に含まれている汚泥が池底面に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
水中に没する位置に配置され、池幅方向に延在した駆動軸と、
地上に設置され、前記駆動軸を回転させるモータと、
前記モータの回転駆動力を前記駆動軸に伝達する駆動力伝達機構と、
前記駆動軸の一端側に配置され、前記池幅方向と直交する往復移動方向に繰り返し移動することで前記池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる第1かき寄せ部材が連結された第1プルロッドと、
前記駆動軸の他端側に配置され、前記往復移動方向に繰り返し移動することで前記池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる第2かき寄せ部材が連結された第2プルロッドと、
前記駆動軸の一端部分に接続されて該駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第1変換装置と、
前記駆動軸の他端部分に接続されて該駆動軸の一方向の回転運動を前記第2プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第2変換装置とを備えたことを特徴とする汚泥かき寄せ装置。
【請求項2】
前記第1変換装置は、前記駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第1リンク機構を備えたものであり、
前記第2変換装置は、前記駆動軸の一方向の回転運動を前記第2プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第2リンク機構を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の汚泥かき寄せ装置。
【請求項3】
前記駆動軸は、前記第1変換装置が配置された前記一端側と前記第2変換装置が配置された前記他端側の間に、前記モータの回転駆動力が伝達される被伝達部が固定されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の汚泥かき寄せ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け入れた懸濁水に含まれている汚泥が池底面に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沈殿池の池底部において往復移動方向に移動するかき寄せ部材を備え、そのかき寄せ部材を往復移動方向に繰り返し移動させることで、池底面に沈殿した汚泥を段階的にかき寄せていく、いわゆるレシプロ式の汚泥かき寄せ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の汚泥かき寄せ装置では、地上に設置されたモータを両方向に回転させることで、ピストンロッドが上下運動し、そのピストンロッドの下端に連結された概略三角形状をしたアングルアームが揺動中心軸を中心にして揺動することでプルロッドが往復移動方向に直線移動する。そして、そのプルロッドに取り付けられたかき寄せ部材がプルロッドとともに繰り返し往復移動方向に移動することで池底面に沈殿した汚泥がかき寄せられる。
【0003】
ところで、沈殿池には複数の水路が並列に形成されたものがある。このような複数水路を有する沈殿池の池底面に沈殿した汚泥を特許文献1に記載された汚泥かき寄せ装置によってかき寄せる場合、水路ごとに汚泥かき寄せ装置が配置されることになる。このため、水路の数に汚泥かき寄せ装置1台あたりの価格を乗じた費用がかかってしまう。また、1つの水路しかない沈殿池においても、池幅が広い沈殿池では、池幅方向に複数の汚泥かき寄せ装置を設置する場合がある。この場合にも複数水路がある場合と同様に、汚泥かき寄せ装置の台数が増加し、台数に応じた費用がかかってしまう。これに対し、揺動中心軸を池幅方向に延在させ、1つのモータで2つのプルロッドを往復移動方向に移動させることでモータの数を減らして上述したような沈殿池に設置される汚泥かき寄せ装置の価格を低下させる試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-180247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、揺動中心軸は、プルロッドの往方向への移動と復方向への移動で異なる方向に回転するため、揺動中心軸には荷重の方向が繰り返し変動する交番荷重が加わる。このため、池幅方向に離れた2つのプルロッドの間に延在する長尺な揺動中心軸は、交番荷重に対して十分な強さを得るために軸径を相当程度太くする必要が生じて軸が高価になってしまう。また、長尺で重量が重い揺動中心軸を沈殿池まで運搬し、沈殿池に設置することは非常に困難な作業になるため運搬費用および設置費用も高価になってしまう。その結果、モータの数を減らせてもその他の費用が増加して結局は汚泥かき寄せ装置が高価になってしまう。一方、揺動中心軸を延在方向の途中で分割し、沈殿池への設置時に分割部分をカップリングによって連結することで、沈殿池までの運搬費用や沈殿池への設置費用を抑制することが考えられる。しかし、カップリングを用いる場合は、交番荷重が加わっても外れにくい高価なカップリングを用いることになるため、やはり汚泥かき寄せ装置が高価になってしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、安価な汚泥かき寄せ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の汚泥かき寄せ装置は、
受け入れた懸濁水に含まれている汚泥が池底面に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
水中に没する位置に配置され、池幅方向に延在した駆動軸と、
地上に設置され、前記駆動軸を回転させるモータと、
前記モータの回転駆動力を前記駆動軸に伝達する駆動力伝達機構と、
前記駆動軸の一端側に配置され、前記池幅方向と直交する往復移動方向に繰り返し移動することで前記池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる第1かき寄せ部材が連結された第1プルロッドと、
前記駆動軸の他端側に配置され、前記往復移動方向に繰り返し移動することで前記池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる第2かき寄せ部材が連結された第2プルロッドと、
前記駆動軸の一端部分に接続されて該駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第1変換装置と、
前記駆動軸の他端部分に接続されて該駆動軸の一方向の回転運動を前記第2プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第2変換装置とを備えたことを特徴とする。
また、受け入れた懸濁水に含まれている汚泥が池底面に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
池幅方向に延在した駆動軸と、
前記駆動軸を回転させるモータと、
前記駆動軸の一端側に配置され、前記池幅方向と直交する往復移動方向に繰り返し移動することで前記池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる第1かき寄せ部材が連結された第1プルロッドと、
前記駆動軸の他端側に配置され、前記往復移動方向に繰り返し移動することで前記池底面に沈殿した汚泥をかき寄せる第2かき寄せ部材が連結された第2プルロッドと、
前記駆動軸の一端側に配置されて該駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第1変換装置と、
前記駆動軸の他端側に配置されて該駆動軸の一方向の回転運動を前記第2プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第2変換装置とを備えたことを特徴としてもよい
【0008】
本発明の汚泥かき寄せ装置によれば、前記駆動軸の一方向の回転運動に応じて前記第1プルロッドと前記第2プルロッドが前記往復移動方向に直線運動するので、該駆動軸にねじり方向の交番荷重が加わらない。これにより、前記駆動軸の軸径をそれほど太くする必要もなく、カップリングを用いる場合には交番荷重を考慮する必要がないので安価なものを用いることが可能になり、結果としてこの汚泥かき寄せ装置を安価に提供することができる。
【0009】
また、このかき寄せ装置において、
前記第1変換装置は、前記駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第1リンク機構を備えたものであり、
前記第2変換装置は、前記駆動軸の一方向の回転運動を前記第2プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第2リンク機構を備えたものであってもよい。
【0010】
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構を採用することで、前記駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドと前記第2プルロッドの直線運動に簡易な構成で変換することができる。なお、前記駆動軸は、水中に没した位置に配置されたものであってもよい。
【0011】
また、このかき寄せ装置において、
前記第1変換装置は、上下方向に延在する第1ピストンロッドを有し前記駆動軸の一方向の回転運動を該第1ピストンロッドの上下運動に変換する第3リンク機構と、該第1ピストンロッドの上下運動を前記第1プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第1揺動機構とを備えたものであり、
前記第2変換装置は、上下方向に延在する第2ピストンロッドを有し前記駆動軸の一方向の回転運動を該第2ピストンロッドの上下運動に変換する第4リンク機構と、該第2ピストンロッドの上下運動を前記第2プルロッドの前記往復移動方向の直線運動に変換する第2揺動機構とを備えたものであってもよい。
【0012】
この構成においても、前記駆動軸の一方向の回転運動を前記第1プルロッドと前記第2プルロッドの直線運動に変換することができる。なお、前記駆動軸は、大気中に設置されたものであってもよい。また、前記第1揺動機構および前記第2揺動機構は、水中に没する位置に配置されたものであってもよい。
【0013】
また、このかき寄せ装置において、
前記駆動軸は、前記第1変換装置が配置された前記一端側と前記第2変換装置が配置された前記他端側の間に、前記モータの回転駆動力が伝達される被伝達部が固定されたものであってもよい。
【0014】
こうすることで、前記駆動軸に加わる曲げモーメントを小さくすることができるので、該駆動軸の耐久性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安価な汚泥かき寄せ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態である汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池の下側部分を上方からみた平面図である。
図2図1の矢印Aの方向に沈殿池を見たA矢視図である。
図3図1に示す汚泥かき寄せ装置を側面から見た側面図である。
図4】第2実施形態の汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池の下側部分を上方からみた、図1と同様の平面図である。
図5図4の矢印Bの方向に沈殿池を見たB矢視図である。
図6図4に示す汚泥かき寄せ装置を側面から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の説明では、本発明の汚泥かき寄せ装置を下水処理施設に設けられた沈殿池に設置した例を用いる。本実施形態の汚泥かき寄せ装置は、かき寄せ部材を往復移動方向に移動させることで汚泥をかき寄せるいわゆるレシプロ式の汚泥かき寄せ装置である。また、本実施形態の汚泥かき寄せ装置は、2つの水路を有する沈殿池に配置され、2つの水路それぞれに配置された汚泥かき寄せ部材を1つのモータで往復移動方向に移動させるものである。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池の下側部分を上方からみた平面図である。また、図2は、図1の矢印Aの方向に沈殿池を見たA矢視図である。なお、見やすさを考慮して、図2では図の上下方向と沈殿池の上下方向とを一致させている。
【0019】
図1および図2に示す沈殿池9は、平面視で略長方形状をした池である。なお、図1では、沈殿池9の下流側部分(図1における右側部分)を省略して示している。この沈殿池9は、沈殿池9内に並列に配置された第1水路9aと第2水路9bとを備えている。第1水路9aと第2水路9bは、ほぼ同一の形状をしている。第1水路9aと第2水路9bは、仕切壁90によって仕切られている。第1水路9aと第2水路9bは、それぞれ図1では左側にある導水渠から汚水や雨水といった下水を受け入れ、図1では右側から排水する。この下水は、懸濁水の一例に相当する。沈殿池9が受け入れた下水に含まれる汚泥は、第1水路9aと第2水路9bを流れる間に、図2に示した第1池底面91aおよび第2池底面91bに沈殿する。以下、図1における左側を上流側と称し、図1における右側を下流側と称し、図1における左右方向を沈殿池9の長手方向と称することがある。また、以下、図1における上下方向を池幅方向と称し、図1における紙面に直交する方向を上下方向と称することがある。なお、第1池底面91aおよび第2池底面91bは、上流側に向かうに従って第2水路9bの水深が増加するように少しだけ傾斜した傾斜面になっている。
【0020】
図1に示すように、第1水路9aの上流側部分には、第1汚泥ピット92aが設けられている。同様に第2水路9bの上流側部分には、第2汚泥ピット92bが設けられている。第1汚泥ピット92aおよび第2汚泥ピット92bにかき寄せられた汚泥は、図示しない汚泥ポンプによって沈殿池9の外部に排出される。
【0021】
沈殿池9には、汚泥かき寄せ装置1が設置されている。図1では、汚泥かき寄せ装置1のうち、水中に没している下側部分のみを示している。本実施形態の汚泥かき寄せ装置1は、3本の第1ガイドレール11aと、複数の第1かき寄せ部材12aと、3本の第1滑り板13a(図2参照)と、第1プルロッド14aと、第1リンク機構15aと、3本の第2ガイドレール11bと、複数の第2かき寄せ部材12bと、3本の第2滑り板13b(図2参照)と、第2プルロッド14bと、第2リンク機構15bと、駆動軸16と、モータ17(図2参照)と、駆動力伝達機構18(図2参照)とを備えている。第1ガイドレール11a、第1かき寄せ部材12a、第1滑り板13a、第1プルロッド14aおよび第1リンク機構15aは、第1水路9a側に配置されている。また、第2ガイドレール11b、第2かき寄せ部材12b、第2滑り板13b、第2プルロッド14bおよび第2リンク機構15bは、第2水路9b側に配置されている。第1ガイドレール11aと第2ガイドレール11b、複数の第1かき寄せ部材12aと複数の第2かき寄せ部材12b、第1滑り板13aと第2滑り板13b、第1プルロッド14aと第2プルロッド14b、第1リンク機構15aと第2リンク機構15bは、池幅方向と直交する、仕切壁90の中心面を基準面としてそれぞれ面対称に構成されている。以下の説明では、これらの面対称の構成要素のうちの一方のみを説明し、他方の説明は省略することがある。
【0022】
図2に示すように、第1ガイドレール11a、第1かき寄せ部材12a、第1滑り板13a、第1プルロッド14a、第1リンク機構15aおよび駆動軸16は、第1水路9aが受け入れた下水における水中に没する位置に配置されている。なお、図2では、第1ガイドレール11a、第2ガイドレール11b、第1滑り板13aおよび第2滑り板13bの厚みを誇張して示している。本実施形態では、池幅方向中央部と池幅方向両端部の計3本の第1ガイドレール11aが第1水路9aの第1池底面91aに固定されている。第1ガイドレール11aは、例えば超高分子量ポリエチレン製のものである。また、図1に示すように、第1ガイドレール11aは、第1水路9aの長手方向に延在している。
【0023】
図1に示すように、各第1かき寄せ部材12aは、沈殿池9の長手方向に均等あるいは略均等の間隔で複数配置されている。第1かき寄せ部材12aそれぞれは、第1水路9aの池幅方向に延在している。各第1かき寄せ部材12aは、第1プルロッド14aに連結されており、第1プルロッド14aが長手方向に往復移動することで、第1ガイドレール11aに沿って上流側と下流側との間で往復移動する。以下、第1かき寄せ部材12aが往復移動する方向を、往復移動方向と称することがある。この往復移動方向は、沈殿池9の長手方向と一致している。第1かき寄せ部材12aの往復移動のストロークは、第1かき寄せ部材12aが配置された往復移動方向の間隔以上の距離に設定されている。第1池底面91aに沈殿した汚泥は、第1かき寄せ部材12aの上流側への移動の際に第1汚泥ピット92a側にかき寄せられる。その沈殿した汚泥は、第1かき寄せ部材12aを複数回往復移動させることにより、1ストロークづつ段階的にかき寄せられて第1汚泥ピット92aに送り込まれる。
【0024】
第1滑り板13aは、複数の第1かき寄せ部材12aを連結している。第1滑り板13aは、池幅方向中央部と池幅方向両端部の計3本設けられ、各々第1ガイドレール11aの上面に接している。第1滑り板13aは、板状のステンレス製のものである。第1滑り板13aは、複数の第1かき寄せ部材12aが配置された往復移動方向の全長にわたって延在している。各第1滑り板13aには、複数の第1かき寄せ部材12aそれぞれが固定されている。これにより、第1滑り板13aは、複数の第1かき寄せ部材12a全てを連結している。各第1かき寄せ部材12aが池幅方向中央部と池幅方向両端側部分において第1滑り板13aによって連結されているので、各第1かき寄せ部材12aが池幅方向中央部と池幅方向両側部分において一体化されて第1かき寄せ部材12a全体として剛性が高まる。これにより、各第1かき寄せ部材12aの池幅方向両端側部分が往復移動方向に撓んでしまうことを抑制できる。第1かき寄せ部材12aが撓んでしまうと、池幅方向端側に汚泥のかき残しが生じてしまう虞がある。第1かき寄せ部材12aが往復移動すると、第1滑り板13aの下面が、第1ガイドレール11a上を摺動する。
【0025】
第1プルロッド14aは、第1かき寄せ部材12aを往復移動方向に移動させるものである。第1プルロッド14aは、池幅方向中央部で第1かき寄せ部材12aの上端に接するように配置され、第1かき寄せ部材12aの往復移動方向に延在している。第1プルロッド14aには、第1かき寄せ部材12aと池幅方向中央に配置された第1滑り板13aが固定機構によって固定されている。
【0026】
第1リンク機構15aは、第1駆動アーム151aと第1リンクアーム152aとを備えている。第1リンク機構15aは、駆動軸16の一方向の回転運動を第1プルロッド14aの往復移動方向の直線運動に変換するスライダクランク型のリンク機構である。この第1リンク機構15aは、第1変換装置の一例に相当する。なお、図1では、第1リンクアーム152aが簡略化されて一点鎖線で示されている。第1駆動アーム151aは、リブによって補強された板状をしている。この第1駆動アーム151aは、その基端が駆動軸16の一端部分に固定され、その固定された部分から駆動軸16の径方向に向かって延在している。第1駆動アーム151aの先端には、駆動軸16と平行に、駆動軸16よりも池幅方向外側に向かって突出した軸が形成されている。その軸には、第1リンクアーム152aの上流側端部が回転自在に取り付けられている。第1リンクアーム152aは、概略往復移動方向に延在するパイプである。第1リンクアーム152aの両端部分それぞれには、軸が挿入可能な孔が形成されている。第1リンクアーム152aの上流端部分の孔には、第1駆動アーム151a先端に形成された軸が回転自在に挿入されている。また、第1リンクアーム152aの下流端部分の孔には、第1プルロッド14aの上流側部分に設けられた軸が回転自在に挿入されている。
【0027】
第2リンク機構15bは、第2駆動アーム151bと第2リンクアーム152bとを備えている。第2リンク機構15bは、駆動軸16の一方向の回転運動を第2プルロッド14bの往復移動方向の直線運動に変換するスライダクランク型のリンク機構である。この第2リンク機構15bは、第2変換装置の一例に相当する。なお、図1では、第2リンクアーム152bが簡略化されて一点鎖線で示されている。第2駆動アーム151bは、リブによって補強された板状をしている。この第2駆動アーム151bは、その基端が駆動軸16の他端部分に固定され、その固定された部分から駆動軸16の径方向に向かって延在している。第2駆動アーム151bの先端には、駆動軸16と平行に、駆動軸16よりも池幅方向外側に向かって突出した軸が形成されている。その軸には、第2リンクアーム152bの上流側端部が回転自在に取り付けられている。第2リンクアーム152bは、概略往復移動方向に延在するパイプである。第2リンクアーム152bの両端部分それぞれには、軸が挿入可能な孔が形成されている。第2リンクアーム152bの上流端部分の孔には、第2駆動アーム151b先端に形成された軸が回転自在に挿入されている。また、第2リンクアーム152bの下流端部分の孔には、第2プルロッド14bの上流側部分に設けられた軸が回転自在に挿入されている。
【0028】
駆動軸16は、池幅方向に延在した軸である。この駆動軸16は、仕切壁90に形成された貫通孔901を貫通し、第1水路9aの池幅方向中央部分から第2水路9bの池幅方向中央部分まで延在している。沈殿池9の上流側の壁には4つの軸受台161が固定されている。駆動軸16は、その軸受台161それぞれに設けられた軸受162によって軸線周りに回転自在に支持されている。駆動軸16は、3本の軸が2つのカップリング163によって連結されることで構成されている。駆動軸16を長尺の1本の軸で構成していてもよい。ただし、駆動軸16を1本の軸で構成すると、駆動軸16を沈殿池9まで運搬する際や、駆動軸16を沈殿池9に設置する際に運搬費用および設置費用が高価になってしまう。このため、駆動軸16は、複数本に分割してカップリングで連結することが好ましい。上述したように、この駆動軸16の一端部分には、第1リンク機構15aが接続されている。また、駆動軸16の他端部分には、第2リンク機構15bが接続されている。
【0029】
図2に示すように、モータ17は、大気中であって、沈殿池9よりも上方の地上に設置されている。このモータ17は、駆動軸16を回転させるためのものである。モータ17の回転駆動力は、駆動力伝達機構18を介して駆動軸16に伝達される。
【0030】
駆動力伝達機構18は、駆動スプロケット181と、従動スプロケット182と、チェーン183とを備えている。駆動スプロケット181は、モータ17の出力軸に固定されている。従動スプロケット182は、駆動軸16の、第1リンク機構15aが配置された一端側と第2リンク機構15bが配置された他端側の間に固定されている。この従動スプロケット182は、被伝達部の一例に相当する。チェーン183は、駆動スプロケット181と従動スプロケット182それぞれに巻き掛けられている。なお、図2ではチェーン183が一点鎖線で示されている。
【0031】
次に、図1に示す汚泥かき寄せ装置1の動作について主に図3を用いて説明する。この動作の説明では、駆動軸16、モータ17および駆動力伝達機構18によって実行される、第1ガイドレール11a、第1かき寄せ部材12a、第1滑り板13a、第1プルロッド14a、第1リンク機構15aの動作について説明するが、駆動軸16、モータ17および駆動力伝達機構18によって、第2ガイドレール11b、第2かき寄せ部材12b、第2滑り板13b、第2プルロッド14b、第2リンク機構15bも同時に同一の動作が行われる。同一の動作であるので、後者の説明は省略する。なお、前者の第1駆動アーム151aと後者の第2駆動アーム151bの、駆動軸16への取付位相をずらして、前者の第1かき寄せ部材12aが往移動しているときに後者の第2かき寄せ部材12bが復移動し、前者の第1かき寄せ部材12aが復移動しているときに後者の第2かき寄せ部材12bが往移動するように構成してもよい。こうすることで、モータ17に加わる負荷を平均化してモータ寿命を延ばすことができる。
【0032】
図3は、図1に示す汚泥かき寄せ装置を側面から見た側面図である。この図3では、第1ガイドレール11aおよび第1滑り板13aの厚みを誇張して示している。
【0033】
モータ17の出力軸が1方向に回転すると、駆動スプロケット181とチェーン183を介して従動スプロケット182に回転駆動力が伝達されて駆動軸16はモータ17の出力軸と同一方向に回転する。図3には、駆動軸16が回転する方向が円弧状の4つの矢印で示されている。図3に二点鎖線で示すように、駆動軸16が回転すると、第1リンクアーム152aの、第1駆動アーム151aに回転自在に取り付けられた上流側端部は回転運動を行う。そして、第1リンクアーム152aの、第1プルロッド14aが回転自在に取り付けられた下流側端部は往復移動方向に直線運動をする。詳細には、第1リンクアーム152aの上流側端部が駆動軸16よりも上方で回転運動しているときは、第1プルロッド14aは下流側に移動し、第1リンクアーム152aの上流側端部が駆動軸16よりも下方で回転運動しているときは、第1プルロッド14aは上流側に移動する。すなわち、駆動軸16が1方向に複数回回転すると、第1プルロッド14aは、その回転と同数だけ往復運動を繰り返す。そして、第1プルロッド14aに連結された全ての第1かき寄せ部材12aおよび3本の第1滑り板13aも同様に往復方向に繰り返し移動する。これにより、第1水路9aの第1池底面91aに沈殿した汚泥は、第1汚泥ピット92a側に1ストロークづつ段階的にかき寄せられ、第1汚泥ピット92aに送り込まれる。なお、モータ17を逆回転させて、図3に示した円弧状の矢印とは逆方向に駆動軸16を回転させることでも第1かき寄せ部材12aを往復移動方向に直線運動させることができる。ただし、第1かき寄せ部材12aは、下流側への移動に対して上流側への移動の方が汚泥をかき寄せる分の移動負荷が増加する。このため、その上流側への移動において駆動力の伝達ロスが少なくなる方向に駆動軸16を回転させることが好ましい。図3に示した円弧状の矢印の方向に駆動軸16を回転させると、第1かき寄せ部材12aを下流側へ移動させるときと比較して、第1かき寄せ部材12aを上流側へ移動させるときに駆動軸16から第1プルロッド14aに伝達される駆動力における移動方向への分力がより大きくなり、駆動力の伝達ロスが少なくなる。つまり、第1駆動アーム151aと第1リンクアーム152aの連結部が駆動軸16よりも下方にある場合、その連結部の高さ位置が、第1リンクアーム152aと第1プルロッド14aの連結部の高さ位置により近くなるので、駆動軸16の回転駆動力を第1プルロッド14aの直線運動の力として効率的に変換できる。
【0034】
この実施形態によれば、駆動軸16の一方向の回転運動に応じて第1プルロッド14aと第2プルロッド14bが往復移動方向に直線運動するので、通常の汚泥のかき寄せ動作において駆動軸16にねじり方向の交番荷重が加わらない。これにより、交番荷重を考慮した強度を駆動軸16に必要としないため、駆動軸16の軸径を細くすることができる。また、カップリング163にも交番荷重が加わらないので、カップリング163に安価なものを用いることが可能になる。さらに、リンク機構を用いているので、簡易な構成で駆動軸16の回転運動を直線運動に変換することができる。加えて、駆動軸16は、第1リンク機構15aが配置された一端側と第2リンク機構15bが配置された他端側の間に従動スプロケット182が固定されたものであるので、それらが配置された位置の外側に従動スプロケット182が固定された場合と比較して駆動軸16に加わる曲げモーメントが小さくなり、駆動軸16の軸径を細くすることができる。これらの結果、汚泥かき寄せ装置1を安価に構成することができる。また、駆動軸16の軸径を細くすることで、駆動軸16の慣性モーメントが低下するため、モータ17を回転させるための電力量を低下させることもできる。
【0035】
次に、第2実施形態の汚泥かき寄せ装置1について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0036】
図4は、第2実施形態の汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池の下側部分を上方からみた、図1と同様の平面図である。図5は、図4の矢印Bの方向に沈殿池を見たB矢視図である。図6は、図4に示す汚泥かき寄せ装置を側面から見た側面図である。なお、見やすさを考慮して、図5では図の上下方向と沈殿池の上下方向とを一致させている。また、図5および図6では、第1ガイドレール11aおよび第1滑り板13aの厚みを誇張して示し、図5では、第2ガイドレール11bおよび第2滑り板13bの厚みも誇張して示している。ている。加えて、図4および図6では、沈殿池9の下流側部分を省略して示している。
【0037】
図4~6に示す汚泥かき寄せ装置1は、先の実施形態における第1リンク機構15aと第2リンク機構15bの代わりに、第1揺動機構21a、第3リンク機構23a、第2揺動機構21bおよび第4リンク機構23bが設けられている点と、駆動軸16が配置されている位置が地上である点とが先の実施形態に示した汚泥かき寄せ装置1とは異なる。図4に示すように、沈殿池9は、ほぼ同一の形状をした第1水路9aと第2水路9bとを並列に備えている。第1水路9aと第2水路9bは、仕切壁90によって仕切られている。図5に示すように、第1揺動機構21aおよび第3リンク機構23aは、第1水路9a側に配置され、第2揺動機構21bおよび第4リンク機構23bは、第2水路9b側に配置されている。第2実施形態では、これら第1揺動機構21aおよび第3リンク機構23aが第1変換装置の一例に相当し、第2揺動機構21bおよび第4リンク機構23bが、第2変換装置の一例に相当する。第1ガイドレール11aと第2ガイドレール11b、複数の第1かき寄せ部材12aと複数の第2かき寄せ部材12b、第1滑り板13aと第2滑り板13b、第1プルロッド14aと第2プルロッド14b、第1揺動機構21aと第2揺動機構21b、第3リンク機構23aと第4リンク機構23bは、池幅方向と直交する、仕切壁90の中心面を基準面としてそれぞれ面対称に構成されている。以下の説明では、これらの面対称の構成要素のうちの一方のみを説明し、他方の説明は省略することがある。
【0038】
図5および図6に示すように、第1揺動機構21aは、第1ブラケット211aと、第1アングルアーム212aと、第1リンクアーム213aとを備えている。第1揺動機構21aは、第3リンク機構23aに設けられた第1ピストンロッド232aの上下運動を第1プルロッド14aの往復移動方向の直線運動に変換する機構である。第1ブラケット211aは、池幅方向から見てA字状をした一対の第1フレーム2111aと、その一対の第1フレーム2111a間に掛け渡された第1揺動中心軸2112aとを備えている。一対の第1フレーム2111aは、根元部分が第1水路9aの上流側の壁に固定され、先端部分が下流側に向かって突出したものである。第1揺動中心軸2112aは、池幅方向に軸心を向けて一対の第1フレーム2111aの先端部分に固定されている。第1アングルアーム212aは、その第1揺動中心軸2112aに揺動自在に取り付けられている。第1アングルアーム212aは、池幅方向から見て概略三角形状をした枠体で構成されている。第1アングルアーム212aの下端には、池幅方向に軸心を向けた下部ジョイント軸が固定されている。また、第1アングルアーム212aの上端には、池幅方向に軸心を向けた上部ジョイント軸が固定されている。第1リンクアーム213aは、概略往復移動方向に延在するパイプである。第1リンクアーム213aの両端部分それぞれには、軸が挿入可能な孔が形成されている。第1リンクアーム213aの上流端部分の孔には、下部ジョイント軸が回転自在に挿入されている。また、第1リンクアーム213aの下流端部分の孔には、第1プルロッド14aの上流側部分に固定された軸が回転自在に挿入されている。なお、図4では、第1リンクアーム213aを簡略化して一点鎖線で示しており、図5では、第1リンクアーム213aを図示省略している。
【0039】
図5に示すように、第3リンク機構23aは、第3駆動アーム231aと第1ピストンロッド232aとを備えている。第3リンク機構23aは、駆動軸16の一方向の回転運動を第1ピストンロッド232aの上下運動に変換するスライダクランク型のリンク機構である。第3駆動アーム231aは、リブによって補強された板状をしている。この第3駆動アーム231aは、その基端が駆動軸16の一端部分に固定され、その固定された部分から駆動軸16の径方向に向かって延在している。第3駆動アーム231aの先端には、駆動軸16と平行に、駆動軸16よりも池幅方向外側に向かって突出した軸が形成されている。第1ピストンロッド232aは、地上から第1池底面91a近傍まで上下方向に延在するパイプである。第1ピストンロッド232aの上端部分と下端部分それぞれには、軸が挿入可能な孔が形成されている。第1ピストンロッド232aの上端部分の孔には、第3駆動アーム231a先端に形成された軸が回転自在に挿入されている。また、第1ピストンロッド232aの下端部分の孔には、第1アングルアーム212aの上部ジョイント軸が回転自在に挿入されている。
【0040】
第2揺動機構21bは、第2ブラケット211bと、第2アングルアーム212bと、第2リンクアーム213b(図4参照)とを備えている。第2揺動機構21bは、第4リンク機構23bに設けられた第2ピストンロッド232bの上下運動を第2プルロッド14bの往復移動方向の直線運動に変換する機構である。第2ブラケット211bは、池幅方向から見てA字状をした一対の第2フレーム2111bと、その一対の第2フレーム2111b間に掛け渡された第2揺動中心軸2112bとを備えている。一対の第2フレーム2111bは、根元部分が第2水路9bの上流側の壁に固定され、先端部分が下流側に向かって突出したものである。第2揺動中心軸2112bは、池幅方向に軸心を向けて一対の第2フレーム2111bの先端部分に固定されている。第2アングルアーム212bは、その第2揺動中心軸2112bに揺動自在に取り付けられている。第2アングルアーム212bは、池幅方向から見て概略三角形状をした枠体で構成されている。第2アングルアーム212bの下端には、池幅方向に軸心を向けた下部ジョイント軸が固定されている。また、第2アングルアーム212bの上端には、池幅方向に軸心を向けた上部ジョイント軸が固定されている。第2リンクアーム213bは、概略往復移動方向に延在するパイプである。第2リンクアーム213bの両端部分それぞれには、軸が挿入可能な孔が形成されている。第2リンクアーム213bの上流端部分の孔には、下部ジョイント軸が回転自在に挿入されている。また、第2リンクアーム213bの下流端部分の孔には、第2プルロッド14bの上流側部分に固定された軸が回転自在に挿入されている。なお、図4では、第2リンクアーム213bを簡略化して一点鎖線で示しており、図5では、第2リンクアーム213bを図示省略している。
【0041】
第4リンク機構23bは、第4駆動アーム231bと第2ピストンロッド232bとを備えている。第4リンク機構23bは、駆動軸16の一方向の回転運動を第2ピストンロッド232bの上下運動に変換するスライダクランク型のリンク機構である。第4駆動アーム231bは、リブによって補強された板状をしている。この第4駆動アーム231bは、その基端が駆動軸16の他端部分に固定され、その固定された部分から駆動軸16の径方向に向かって延在している。第4駆動アーム231bの先端には、駆動軸16と平行に、駆動軸16よりも池幅方向外側に向かって突出した軸が形成されている。第2ピストンロッド232bは、地上から第2池底面91b近傍まで上下方向に延在するパイプである。第2ピストンロッド232bの上端部分と下端部分それぞれには、軸が挿入可能な孔が形成されている。第2ピストンロッド232bの上端部分の孔には、第4駆動アーム231b先端に形成された軸が回転自在に挿入されている。また、第2ピストンロッド232bの下端部分の孔には、第2アングルアーム212bの上部ジョイント軸が回転自在に挿入されている。
【0042】
図6に示すように、駆動軸16、モータ17および駆動力伝達機構18は、大気中であって、沈殿池9よりも上方の地上に設置されている。駆動軸16は、地上において、第1水路9aの池幅方向中央部分から第2水路9bの池幅方向中央部分まで延在している。駆動力伝達機構18の従動スプロケット182は、仕切壁90の真上に配置されている。また、先の実施形態に対して、駆動軸16とモータ17が近接して配置されているため、チェーン183は、先の実施形態のものよりも短い。
【0043】
次に、図4~6に示す汚泥かき寄せ装置1の動作について主に図6を用いて説明する。この動作の説明では、駆動軸16、モータ17および駆動力伝達機構18によって実行される、第1ガイドレール11a、第1かき寄せ部材12a、第1滑り板13a、第1プルロッド14a、第1揺動機構21aおよび第3リンク機構23aの動作について説明するが、駆動軸16、モータ17および駆動力伝達機構18によって、第2ガイドレール11b、第2かき寄せ部材12b、第2滑り板13b、第2プルロッド14b、第2揺動機構21bおよび第4リンク機構23bも同時に同一の動作が行われる。同一の動作であるので、後者の説明は省略する。なお、前者の第3駆動アーム231aと後者の第4駆動アーム231bの、駆動軸16への取付位相をずらして、前者の第1かき寄せ部材12aが往移動しているときに後者の第2かき寄せ部材12bが復移動し、前者の第1かき寄せ部材12aが復移動しているときに後者の第2かき寄せ部材12bが往移動するように構成してもよい。こうすることで、モータ17に加わる負荷を平均化してモータ寿命を延ばすことができる。
【0044】
モータ17の出力軸が回転すると、駆動スプロケット181とチェーン183を介して従動スプロケット182に回転駆動力が伝達されて駆動軸16はモータ17の出力軸と同一方向に回転する。モータ17および駆動軸16は、図6における時計回りまたは反時計回りのどちらか一方向にのみ回転する。駆動軸16が回転すると、第1ピストンロッド232aの、第3駆動アーム231aに回転自在に取り付けられた上端部分は回転運動し、第1アングルアーム212aの上部ジョイント軸が回転自在に取り付けられた下端部分は上下運動する。図6に二点鎖線で示すように、第1ピストンロッド232a下端部分の上下運動によって、第1揺動機構21aの第1アングルアーム212aは第1揺動中心軸2112aを中心として揺動する。図6には、両端に矢印を有する円弧によって揺動方向が示されている。第1アングルアーム212aが揺動運動すると、第1リンクアーム213aの、第1アングルアーム212aに回転自在に取り付けられた上流側端部も揺動運動を行う。そして、第1リンクアーム213aの、第1プルロッド14aが回転自在に取り付けられた下流側端部は往復移動方向に直線運動を行う。詳細には、第1ピストンロッド232aが上方向に移動すると、第1アングルアーム212aが図6における反時計回りに揺動し、第1プルロッド14aは上流側に進出(往移動)する。反対に、第1ピストンロッド232aが下方向に移動すると、第1アングルアーム212aが図6における反時計回りに揺動し、第1プルロッド14aは下流側に後退(復移動)する。すなわち、駆動軸16が1方向に複数回回転すると、第1プルロッド14aは、その回転と同数だけ往復移動方向に往復運動を繰り返す。そして、第1プルロッド14aに連結された全ての第1かき寄せ部材12aおよび3本の第1滑り板13aも同様に往復方向に繰り返し移動する。これにより、第1水路9aの第1池底面91aに沈殿した汚泥は、第1汚泥ピット92a側に1ストロークづつ段階的にかき寄せられ、第1汚泥ピット92aに送り込まれる。
【0045】
この第2実施形態の汚泥かき寄せ装置1においても、先の実施形態と同様の効果を奏する。
【0046】
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、本実施形態では、2水路を有する沈殿池9において、その2水路にまたがって延在し、その2水路それぞれで汚泥をかき寄せる汚泥かき寄せ装置1を設置した例で説明したが、第1かき寄せ部材12aと第2かき寄せ部材12bを1つの水路に並列に配置した沈殿池にこの汚泥かき寄せ装置1を適用してもよい。また、カップリング163を省略し、長尺の駆動軸16を用いてもよい。さらに、本実施形態では下水処理施設の沈殿池に汚泥かき寄せ装置を設置した例を用いたが、河川などから取水した原水を浄水処理する浄水施設の沈殿池に本発明の汚泥かき寄せ装置を設置してもよい。浄水施設の沈殿池に本発明の汚泥かき寄せ装置を設置した場合、原水が、懸濁水の一例に相当する。
【0047】
なお、以上説明した実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 汚泥かき寄せ装置
9 沈殿池
12a 第1かき寄せ部材
12b 第2かき寄せ部材
14a 第1プルロッド
14b 第2プルロッド
15a 第1リンク機構
15b 第2リンク機構
16 駆動軸
17 モータ
91a 第1池底面
91b 第2池底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6