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<図1>
  • 特許-集塵装置 図1
  • 特許-集塵装置 図2
  • 特許-集塵装置 図3
  • 特許-集塵装置 図4
  • 特許-集塵装置 図5
  • 特許-集塵装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20241209BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20241209BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20241209BHJP
   B01D 50/00 20220101ALI20241209BHJP
   B01D 51/00 20060101ALI20241209BHJP
   B01D 46/44 20060101ALI20241209BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241209BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B01D46/00 F
B01D46/42 Z
B01D45/08 Z
B01D50/00 501A
B01D50/00 501G
B01D50/00 502B
B01D51/00 B
B01D46/44
B23Q11/00 M
A62C3/00 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021056558
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153829
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502098662
【氏名又は名称】株式会社エステーリンク
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】石井 知治
(72)【発明者】
【氏名】本間 義広
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 文昭
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-042334(JP,A)
【文献】特開2018-020323(JP,A)
【文献】特開2001-062220(JP,A)
【文献】特開昭56-158117(JP,A)
【文献】特開2014-054611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00-45/18
B01D 46/00-46/90
B01D 49/00-51/10
B23Q 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸排気機構を有する集塵機本体と、この集塵機本体の前面に設けられ火粉を含む粉塵を吸引可能な前面開口部と、前記前面開口部から吸入された前記火を消火するための消火機構とを備えた集塵装置であって、
基端側が前記集塵機本体に連結され先端側に前記前面開口部より開口面積が小さい先端開口部が設けられ、前記先端開口部の位置を所定の範囲内で調整自在且つ保持可能に構成された局所吸引用の管体と、
前記管体を閉塞する第一の閉塞機構と、
前記前面開口部を閉塞する第二の閉塞機構と、
前記前面開口部および前記先端開口部で吸引された粉塵を捕集する共通のフィルター機構とを有することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
請求項1記載の集塵装置において、前記管体の前記先端開口部を閉塞して前記前面開口部から吸引を行う場合と、前記前面開口部を閉塞して前記管体の前記先端開口部から吸引を行う場合とで、前記吸排気機構の吸排気風量を切り替える切替機構が設けられていることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
請求項記載の集塵装置において、前記管体の前記先端開口部から吸引を行う場合は、前記前面開口部で吸引を行う場合より前記吸排気機構の風量が小さいことを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の集塵装置において、前記管体の前記先端開口部から吸引を行う場合における前記フィルター機構を通過する際のろ過風速が0.4~1.0m/minとなるように構成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
請求項2~4いずれか1項に記載の集塵装置において、前記前面開口部から吸引を行う場合における前記フィルター機構を通過する際のろ過風速が1.0~2.0m/minとなるように構成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
請求項1~いずれか1項に記載の集塵装置において、前記消火機構は、前記前面開口部から吸引される前記粉塵の流れ方向と交差する方向に並設され該粉塵を衝突させて前記火を冷却するための壁部を含むことを特徴とする集塵装置。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の集塵装置において、前記前面開口部の左右両側に一対の吸引ガイド板を有し、この吸引ガイド板は前記集塵機本体の側面に沿う格納状態と該集塵機本体の前方に突出する突出状態との間で回動可能に設けられていることを特徴とする集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属加工工場では作業員の健康被害を抑制するため種々の集塵機が用いられている。
【0003】
例えば、研削作業(切削および研磨を含む)の際に用いられるグラインダー作業用集塵機は、金属製の吸引用開口部と消火機構とを有しており、火を含む研削粉塵を吸引・捕捉してもフィルター等の焦げ付きを良好に防止できるものである(特許文献1)。
【0004】
また、溶接作業の際に用いられる溶接作業用集塵機は、溶接ヒュームの発生源の近傍(溶接作業位置)までフードを移動させてその位置で保持可能なダクトアームを有している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭60―22917号公報
【文献】実登3212508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従前は、例えば溶接作業と研削作業とが予定される場合、上述の二種の集塵機を夫々用意している。
【0007】
本発明は、一台で研削作業および溶接作業における集塵が行える集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
吸排気機構を有する集塵機本体1と、この集塵機本体1の前面に設けられ火粉を含む粉塵を吸引可能な前面開口部2と、前記前面開口部2から吸入された前記火を消火するための消火機構とを備えた集塵装置であって、
基端側が前記集塵機本体1に連結され先端側に前記前面開口部2より開口面積が小さい先端開口部3が設けられ、前記先端開口部3の位置を所定の範囲内で調整自在且つ保持可能に構成された局所吸引用の管体4と、
前記管体4を閉塞する第一の閉塞機構6と、
前記前面開口部2を閉塞する第二の閉塞機構7と、
前記前面開口部2および前記先端開口部3で吸引された粉塵を捕集する共通のフィルター機構5とを有することを特徴とする集塵装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の集塵装置において、前記管体4の前記先端開口部3を閉塞して前記前面開口部2から吸引を行う場合と、前記前面開口部2を閉塞して前記管体4の前記先端開口部3から吸引を行う場合とで、前記吸排気機構の吸排気風量を切り替える切替機構が設けられていることを特徴とする集塵装置に係るものである。
【0011】
また、請求項記載の集塵装置において、前記管体4の前記先端開口部3から吸引を行う場合は、前記前面開口部2で吸引を行う場合より前記吸排気機構の風量が小さいことを特徴とする集塵装置に係るものである。
【0012】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の集塵装置において、前記管体4の前記先端開口部3から吸引を行う場合における前記フィルター機構5を通過する際のろ過風速が0.4~1.0m/minとなるように構成されていることを特徴とする集塵装置に係るものである。
【0013】
また、請求項2~4いずれか1項に記載の集塵装置において、前記前面開口部2から吸引を行う場合における前記フィルター機構5を通過する際のろ過風速が1.0~2.0m/minとなるように構成されていることを特徴とする集塵装置に係るものである。
【0014】
また、請求項1~いずれか1項に記載の集塵装置において、前記消火機構は、前記前面開口部2から吸引される前記粉塵の流れ方向と交差する方向に並設され該粉塵を衝突させて前記火を冷却するための壁部8を含むことを特徴とする集塵装置に係るものである。
【0015】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の集塵装置において、前記前面開口部2の左右両側に一対の吸引ガイド板10を有し、この吸引ガイド板10は前記集塵機本体1の側面に沿う格納状態と該集塵機本体1の前方に突出する突出状態との間で回動可能に設けられていることを特徴とする集塵装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、一台で研削作業および溶接作業における集塵を良好に行える集塵装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例の概略説明斜視図である。
図2】本実施例の概略説明横断面図である。
図3】本実施例の概略説明縦断面図である。
図4】本実施例の概略説明縦断面図である。
図5】本実施例の壁部8の拡大概略説明断面図である。
図6】別例の壁部8の拡大概略説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
例えば溶接作業前に研削作業を行う場合、前面開口部2の正面で該前面開口部2に向かって火花(火を含む粉塵)が飛ぶようにしてグラインダー等の研削機で研削作業を行い、研削作業後、局所吸引用の管体4の先端開口部3を適宜な位置に固定し溶接作業を行う。
【0020】
この際、研削作業時に生じる研削粉塵は前面開口部2から吸引され、溶接作業で生じる溶接ヒュームは先端開口部3から吸引される。
【0021】
従って、研削作業と溶接作業とで夫々異なる集塵機を用いる必要がなく、一台の集塵機で研削粉塵と溶接ヒュームの双方を良好に集塵することが可能となる。
【実施例
【0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、吸排気機構を有する集塵機本体1と、この集塵機本体1の前面に設けられ火粉を含む粉塵を吸引可能な前面開口部2と、前記前面開口部2から吸入された前記火を消火するための消火機構とを備えた集塵装置である。
【0024】
本実施例は、図1および図2に図示したように、基端側が前記集塵機本体1に連結され先端側に前記前面開口部2より開口面積が小さい先端開口部3が設けられ、前記先端開口部3の位置を所定の範囲内で調整自在且つ保持可能に構成された局所吸引用の管体4と、前記前面開口部2および前記先端開口部3で吸引された粉塵を捕集する共通のフィルター機構5とを有している。
【0025】
各部を具体的に説明する。
【0026】
集塵機本体1は全体的に略直方体形状の箱状を呈し、前面の中央部に矩形状の前面開口部2が設けられ、上面に排気口27が設けられている。また、上面には一段低い段差面11が設けられており、この段差面11に管体4の基端側が集塵機本体1の内部と連通するように水平方向に回動自在に連結されている。具体的には、段差面11は、垂直面となる前面開口部2の上側前面に交差(直交)するように連なる水平面であり、この段差面11に管体4の基端側が連結される開口部が設けられている。
【0027】
管体4は、先端にフード12を有しフレキシブルアーム構造を内蔵するフレキシブルダクトであり、フード12を移動可能な範囲で上下位置調整自在且つ位置保持可能に構成されたものである。
【0028】
管体4の先端部には、先端開口部3を閉塞する第一の閉塞機構6を有する。第一の閉塞機構6は、風量調整ダンバーである。具体的には、回転軸に管体4の内径と略合致する閉塞板13が設けられ、回転軸と連結されたハンドル14を操作することで管体4の流路を開閉可能に構成されている。なお、第一の閉塞機構6は、中間部または基端部に設けても良いが、操作性の観点から先端部(フード12近傍)に設けるのが好ましい。
【0029】
集塵機本体1の上面側に管体4を取り付ける構成とすることで、側面に取り付ける場合に比べ、省スペースとなり、且つ、管体4の取り回しが容易となり使い勝手の良い構成となる。
【0030】
また、集塵機本体1には、前面開口部2を閉塞する第二の閉塞機構7が設けられている。第二の閉塞機構7は、前面開口部2の上下縁部に沿って設けられたレール15と、このレール15に上下端部が夫々係合する蓋体16とで構成されている(所謂ケンドン式の閉塞蓋)。前面開口部2の下方側には、一対の収納用レール17が設けられており、前面開口部2を使用する際(蓋体不使用時)には、蓋体16をこの収納用レール17に上下端部を夫々係合させて収納できる。なお、ケンドン式に限らず、例えば前面開口部2の左右縁部に沿って集塵機本体1の前面の下部に至る垂直なスライドレールを設け、このスライドレールに沿って蓋体16を上下スライド可能に設け、蓋体16の位置を上方(前面開口部2を閉塞する状態)若しくは下方(収納状態)で保持可能なロック機構を設けることで、蓋体16の位置を上方と下方とに切り替えられるように上下スライド式の閉塞蓋としても良い。
【0031】
すなわち、前面開口部2から吸引を行う場合には、第一の閉塞機構6により先端開口部3を閉塞した状態とし、先端開口部3から吸引を行う場合には、第二の閉塞機構7により前面開口部2を閉塞した状態とする。前面開口部2から吸引された研削粉塵および先端開口部3から吸引された溶接ヒュームは、いずれも集塵機本体1の内部を通過してフィルター機構5と吸排気機構とを介して排出される。
【0032】
図3は、例えば集塵機本体1の前方に設置された作業台25にてグラインダーAを用いてワークW1に研削を行う際に第一の閉塞機構6により先端開口部3を閉塞している例、図4は作業台25にて溶接機Bを用いてワークW2に溶接を行う際に第二の閉塞機構7により前面開口部2を閉塞している例である。
【0033】
集塵機本体1の上部には、吸排気機構(吸排気ファン9)が設けられている。吸排気ファン9は第一の仕切壁18に該第一の仕切壁18の開口部に連通するように配置され吸排気を行う。
【0034】
また、本実施例では、前記管体4の前記先端開口部3を閉塞して前記前面開口部2から吸引を行う場合と、前記前面開口部2を閉塞して前記管体4の前記先端開口部3から吸引を行う場合とで、前記吸排気機構の吸排気風量を切り替える切替機構が設けられている。
【0035】
本実施例では、切替機構は、吸排気ファン9の回転数をインバーターにより制御することで吸排気風量(処理風量)を切り替えるように構成されている(スイッチ操作で切り替えられるようにしている。)。なお、インバーターによる切り替えに限らず、例えば流路中に設けた風量調整ダンパーにより切り替え調整する構成としても良い。
【0036】
具体的には、前記管体4の前記先端開口部3から吸引を行う場合は、前記前面開口部2で吸引を行う場合より前記吸排気機構の風量が小さくなるように(例えば半分程度となるように)吸排気機構を制御する。
【0037】
前記第一の仕切壁18の下方には、下面側にフィルター機構5が垂設される第二の仕切壁19が設けられている。フィルター機構5を通過して第二の仕切壁19の開口部を通じた清浄空気が吸排気ファン9を介して排気される。フィルター機構5は、後述する壁部8の奥側に水平方向に複数並設されている。
【0038】
本実施例は、前記管体4の前記先端開口部3から吸引を行う際に前記フィルター機構5を通過する際のろ過風速が0.4~1.0(好ましくは0.5~0.8)m/minとなるようにし、前記前面開口部2から吸引を行う際に前記フィルター機構5を通過する際のろ過風速が1.0~2.0m/minとなるようにする。これらは、先端開口部3から吸引する溶接ヒューム、前面開口部2から吸引する研削粉塵の粒径(詰まり易さ)と処理風量とを考慮したろ過風速である。
【0039】
具体的には、例えば、前面開口部2の開口が幅1m×高さ0.5mである場合、(開口面で1m/sの風速を得ると共に)上記ろ過風速を得るためには30m/min程度の吸排気風量が必要となる。また、例えば、先端開口部3の開口が直径0.17mである場合、(開口面で10m/sの風速を得ると共に)上記ろ過風速を得るためには14m/min程度の吸排気風量が必要となる。
【0040】
フィルター機構5は、円筒状の布製フィルターで構成されている(本実施例では4つ設けている。)。具体的には、ポリエステル製で、表面処理(フッ素樹脂ラミネート加工)がされている所謂バグフィルターである。フィルター機構5にはパルスジェット機構が設けられており、フィルター表面に付着した粉塵を払い落とすことができるように構成されている。
【0041】
また、フィルター機構5のフィルター面積は、ろ過風速の適正範囲と、前面開口部2から吸引する場合の風量と先端開口部3から吸引する場合の風量とを考慮して設定する。すなわち、上述のように先端開口部3から吸引する際に、前面開口部2から吸引する際の風量の半分程度に切り替える構成とする場合、本実施例においては、フィルター面積を18m程度とすると上記ろ過風速を満たす構成となる。
【0042】
前記消火機構は、前記前面開口部2から吸引される前記粉塵の流れ方向と交差する方向に並設され該粉塵を衝突させて前記火を冷却するための壁部8を含むものである。
【0043】
本実施例では、前記壁部8は上下方向に長さを有するものであって、図2,5に図示したように、入口側に設けられ粉塵の流れ方向に対して傾斜する壁面を有するV字状板部材8aと、V字状板部材8aよりフィルター機構5側に設けられ円弧状の湾曲壁面を有する3字状板部材8bとを含んで構成される。V字状板部材8aおよび3字状板部材8bは夫々水平方向に所定間隔を置いて複数並設されている。図中、符号20は粉塵の流れ方向に対して傾斜する平坦壁面を有する傾斜板、21はガイド壁、26は3字状板部材8bへの粉塵を含む気流の流れを制限する制限板である。
【0044】
V字状板部材8a間には上下方向に延設される仕切板22が配設され、V字状板部材8aと仕切板22の間には粉塵が通過可能な間隙が設けられている。また、V字状板部材8aの両端には仕切板22と平行な延長部が設けられている。V字状板部材8aと仕切板22により、後の3字状板部材8bへ導入させるよう気流を絞りながら火粉や粉塵の跳ね返りを防ぐことができる。仕切板22は吸引される粉塵の流れ方向に平行に配設され、V字状板部材8aは流れ方向に対して30~45°(好ましくは40~45°)傾いて配設される(本実施例では45°)。V字状板部材8aの角度が45°より大きくなってくると火粉や粉塵の跳ね返りが多くなってしまう。また、仕切板22がなくても跳ね返りが多くなってしまう。
【0045】
V字状板部材8aと仕切板22との間隙の正面には3字状板部材8bの中央突出部の左側内壁面若しくは右側内壁面が位置するように3字状板部材8bが配設されている。間隙を通過した粉塵(気流)は3字状板部材8bの内壁面に沿って移動し、冷却される。すなわち、3字状板部材8bの左右両側の円弧状(概ね3/4円弧状)の湾曲内壁面は、渦巻き状に粉塵を誘導する壁面であり、少ない段数で衝突回数を稼ぐことができる構成となる。
【0046】
また、3字状板部材8bは、複数段設けると一層良好に消火を行える。すなわち、水平方向に並設された3字状板部材8b同士の間隙の正面に次段の3字状板部材8bの中央部が配置されるようにする。本実施例では3段設けた構成としているが、最もフィルター機構5側の3段目を除いた2段としても良い。また、両端部の湾曲半径や開口度合い(両端部と中央突出部との間隔)は適宜設定できる。
【0047】
なお、本実施例では左右に夫々渦巻き状に粉塵を誘導する円弧状の湾曲内壁面を有する3字状板8bを用いた構成としているが、(大きめの)一つの円弧状の湾曲内壁面を有する(平面視においてC字の対向端部の一方を円弧状ではなく平坦形状とした)C字状板部材8cを用いる構成としても良い。この場合、例えば、図6に図示したように、1段目と2段目の3字状板部材8bを1つのC字状板部材8cで置き換えることができる。
【0048】
すなわち、壁部8としては、粉塵の流れ方向に対して傾斜する壁面と、その後方に設けられる渦巻き状に粉塵を誘導する壁面とを組み合わせた構成であれば適宜採用できる。
【0049】
V字状板部材8aは、開口部下部の折り返し部に立設されている。3字状板部材8b(C字状板部材8c)は、第二の仕切り板等の天井側の部材に垂設されている。なお、これらを集塵機本体1の底部に立設させる構成としても良い。
【0050】
従って、火粉を含む粉塵であっても前面開口部2近傍に設けられたV字状板部材8aおよび3字状板部材8b(C字状板部材8c)に繰り返し衝突することでフィルター機構5に到達する前に良好に冷却・消火されることになる。
【0051】
また、集塵機本体1の前面開口部2の左右両側には一対の矩形板状の吸引ガイド板10を有している。この吸引ガイド板10は前記集塵機本体1の側面に沿う格納状態と該集塵機本体1の前方に突出する突出状態との間で回動可能に設けられている。吸引ガイド板10を突出状態として研削粉塵の集塵を行うことで一層確実に研削粉塵の集塵を行えることになる。
【0052】
集塵機本体1の下部(底部)には壁部8に衝突したりフィルター機構5の表面から払い落とされたりした粉塵(ダスト)を回収するダストボックス23が2つ設けられている。図中、符号24はダストボックス23へのガイド壁、28はダストボックス23を出し入れするための開閉蓋、29はガイド壁24と制限板26との間を仕切り火が3字状板8bを通過せずにフィルター機構5に到達することを防止する仕切板である。
【0053】
本実施例は上述のように構成したから、例えば溶接作業前に研削作業を行う場合、前面開口部2の正面で該前面開口部2に向かって火花(火を含む粉塵)が飛ぶようにしてグラインダー等の研削機で研削作業を行い、研削作業後、局所吸引用の管体4の先端開口部3を適宜な位置に固定し溶接作業を行う際、研削作業時に生じる研削粉塵は前面開口部2から吸引され、溶接作業で生じる溶接ヒュームは先端開口部4から吸引される。
【0054】
従って、研削作業と溶接作業とで夫々異なる集塵機を用いる必要がなく、一台の集塵機で研削粉塵と溶接ヒュームの双方を良好に集塵することが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 集塵機本体
2 前面開口部
3 先端開口部
4 管体
5 フィルター機構
6 第一の閉塞機構
7 第二の閉塞機構
8 壁部
10 吸引ガイド板
図1
図2
図3
図4
図5
図6