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特許7599714ノズル及びこのノズルを備えたゴム射出機
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  • 特許-ノズル及びこのノズルを備えたゴム射出機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ノズル及びこのノズルを備えたゴム射出機
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20241209BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20241209BHJP
   B29C 45/20 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B05C5/00 Z
B05B1/02
B29C45/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021174992
(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公開番号】P2023064619
(43)【公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000177058
【氏名又は名称】三友工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】西村 聡史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直也
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-156725(JP,A)
【文献】特開昭55-146723(JP,A)
【文献】実開平02-019518(JP,U)
【文献】特開2000-271961(JP,A)
【文献】特開2003-136558(JP,A)
【文献】実開昭57-105726(JP,U)
【文献】特開平10-052837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00
B05B 1/02
B29C 45/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムが射出される射出口と、
前記ゴムが供給されるゴム供給路と、
第一ピストン部と、前記第一ピストン部の他端側に連接する第二ピストン部と、前記第二ピストン部の他端側に連接する前記第二ピストン部より細い第三ピストン部と、からなり、前記射出口に近づく方向又は遠ざかる方向に揺動し、前記第三ピストン部の他端側が前記射出口を開閉するピストン部と、
前記ピストン部の側面に設けられた翼部と、
前記ピストン部を前記射出口の方向に付勢する付勢部材と、
前記ピストン部の一部が貫通する貫通孔を有し、前記付勢部材及び前記ピストン部の少なくとも一部を収容する収容部と、
を備え、
前記翼部は、前記射出口が開状態となる際、前記貫通孔を塞ぐことを特徴とする、
ノズル。
【請求項2】
前記貫通孔は、Oリングが設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記翼部は、前記射出口が開状態となる際、前記貫通孔の近傍と当接することを特徴とする、
請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のノズルと、
前記ノズルにゴムを供給するゴム押出機と、
を備えることを特徴とする、
ゴム射出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル及びこのノズルを備えたゴム射出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メンテナンス性の向上したバルブノズルが知られている。例えば、特許文献1では、バルブノズル本体の内部空間に、ヘッド部分と軸部とを有するピストンと、ノズルヘッドの内部空間に配設され前記ピストンを摺動自在に支持して前記ピストンのガイドとなると共に外周面には樹脂射出方向に対して捩れを生じて形成され、旋回する複数本の樹脂流路となる凹条溝が設けられているトーピードと、ピストンをゲート方向に付勢するコイルバネと、トーピードの後端を閉塞すると共に前記コイルバネのバネ受け部と成るカバーと、を一体的に組込構成して成るゲート開閉機構を配設し、樹脂の圧力が一定値以下時には前記ピストンのヘッド部分の断面円形の全周がノズルヘッドのゲート内壁に当接して樹脂流路が閉となり、樹脂の圧力が一定値以上になるとヘッド部分がゲートから後退して解放するバルブノズルが記載されている。このバルブノズルは、ノズルホルダー及び該ノズルホルダーの先端に取り付けられたノズルヘッドとを有して成るバルブノズル本体の内部空間に、ピストンとトーピードとコイルバネとカバーとを一体的に組込構成してなるゲート開閉機構を配設したので、メンテナンスの際にはノズルヘッドを外すことによって、ゲート開閉機構を全て一度に取り外すことができるため、メンテナンス性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-246951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバルブノズルでは、樹脂を射出する際、樹脂の圧力によって射出されるべき樹脂がトーピードとピストンとの隙間からトーピードの内部に侵入する可能性があり、樹脂がトーピードの内部に侵入すると、コイルバネの付勢力によるピストンの揺動を妨げる場合があるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、樹脂によりピストン部の揺動が妨げられる可能性を未然に低減することができるノズルを提供することを主目的とする。また、このノズルを備えたゴム射出機を提供することも目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のノズルは、
ゴムが射出される射出口と、
前記ゴムが供給されるゴム供給路と、
第一ピストン部と、前記第一ピストン部の他端側に連接する第二ピストン部と、前記第二ピストン部の他端側に連接する前記第二ピストン部より細い第三ピストン部と、からなり、前記射出口に近づく方向又は遠ざかる方向に揺動し、前記射出口を開閉するピストン部と、
前記ピストン部の側面に設けられた翼部と、
前記ピストン部を前記射出口の方向に付勢する付勢部材と、
前記ピストン部の一部が貫通する貫通孔を有し、前記付勢部材及び前記ピストン部の少なくとも一部を収容する収容部と、
を備え、
前記翼部は、前記射出口が開状態となる際、前記貫通孔を塞ぐことを特徴とする、
ものである。
【0008】
このノズルは、ゴムが射出される射出口を開状態又は閉状態とするピストン部と、ピストン部の少なくとも一部及びピストン部を射出口の方向に付勢する付勢部材を収容する収容部と、を備えている。このピストン部は、第一ピストン部と、第一ピストン部の他端側に連接する第二ピストン部と、第二ピストン部の他端側に連接し、第二ピストン部より太さが細い第三ピストン部と、からなり、射出口に近づく方向又は遠ざかる方向に揺動する。このピストン部は、ノズル内のゴムの圧力が低い場合には、付勢部材の付勢力によって射出口方向に付勢され、ピストン部が射出口を塞ぎ閉状態とする。こうすることにより、ゴムを射出する時以外は、ピストン部によって射出口が閉状態となるため、射出口からゴムが漏れ出す可能性を低減することができる。一方、ノズル内のゴムの圧力が高まると、第三ピストン部は第二ピストン部より細いため、ピストン部の周囲のゴムの圧力に起因して、ピストン部が収容部の方向に押圧される力が生じる。この力が付勢部材の付勢力より強くなると、この力によってピストン部が収容部の方向に移動し、射出口が開放され、開状態となる。このとき、ピストン部の側面には、貫通孔を塞ぐ翼部が設けられているため、ゴムの射出の際にノズル内のゴムの圧力が高くなると、ピストン部が収容部の方向に移動するに伴い、翼部によって貫通孔が塞がれることになる。こうすることにより、貫通孔とピストン部との隙間からゴムが収容部の内部に侵入する可能性を未然に低減することができる。付言すると、ゴムが収容部の内部に侵入し、付勢部材に絡みつくことで、侵入したゴムによりピストン部の揺動が妨げられる可能性を未然に低減することができる。なお、ここで「他端側」とは、第一ピストン部又は第二ピストン部において、射出口36に近い側を意味する。
【0009】
本発明のノズルにおいて、前記貫通孔は、Oリングが設けられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、貫通孔とピストン部との隙間からゴムが収容部の内部に侵入し、付勢部材に絡みつくことで、侵入したゴムによりピストン部の揺動が妨げられる可能性を未然に低減することができる。
【0010】
本発明のノズルにおいて、前記翼部は、前記射出口が開状態となる際、前記貫通孔の近傍と当接することを特徴としてもよい。射出口が開状態となる際には、ピストン部の周囲にゴムが高圧状態で存在する。このとき、翼部が貫通孔の近傍と当接するとゴムの圧力によって翼部が収容部の表面に押し付けられることになるため、貫通孔の近傍と翼部とが密着することになり、ゴムがピストン部と貫通孔との隙間に侵入する可能性をより低減することができる。付言すると、ゴムが収容部の内部に侵入し、付勢部材に絡みつくことで、侵入したゴムによりピストン部の揺動が妨げられる可能性を未然に低減することができる。
【0011】
本発明のゴム射出機は、
上述したいずれかに記載のノズルと、
前記ノズルにゴムを供給するゴム押出機と、
を備えることを特徴とする、
ものである。
【0012】
このゴム射出機は、上述したいずれかのノズルと、前記ノズルにゴムを供給するゴム押出機と、を備えたものである。本発明のノズルを備えたゴム射出機は、本発明のノズルを備えることで、侵入したゴムによりピストン部の揺動が妨げられる可能性を未然に低減することができるものであるから、これを備えたゴム射出機も同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、ゴム射出機20の構成の概略を示す全体図である。
図2図2は、閉状態のノズル30の構成の概略を示す説明図である。
図3図3は、開状態のノズル30の構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態の一例として、ゴム射出機20について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。また、ゴム射出機20の使用方法の一例を示すことで、本発明のゴム射出機の使用方法の一例も明らかにする。
【0015】
本発明の実施の形態の一例であるゴム射出機20は、図1に示すように、ゴム押出機22で加熱し、予備可塑化することで流動性を高められ、図示しない射出チャンバーに供給される。この射出チャンバーから射出されたゴムが、ノズル30を介して図示しない成形用型に供給される。このノズル30は、図2に示すように、ゴムが供給されるゴム供給路32と、ゴムを射出する射出口36と、ピストン部34の一部及びピストン部34を射出口36方向に付勢する付勢部材40を収容する収容部38と、を備え、ピストン部34は、射出口36が閉状態の際には、付勢部材40の付勢力によって射出口36の方向に付勢され、射出口36を塞ぐ。こうすることにより、射出口36からゴムを射出しない状態において、射出口36からゴムが漏れ出る可能性を未然に低減することができる。一方、ゴムを射出する際、ゴム供給路32を介して供給されたゴムの圧力が高まると、ピストン部34を収容部38方向に押圧する力が付勢部材40の付勢力よりも強くなり、ピストン部34が収容部38の方向に押圧される。こうすることにより、ピストン部34に設けられた翼部35が収容部38の壁面と当接し、貫通孔39を覆い、ゴムが収容部38内に侵入し、収容部38の内部に設けられた付勢部材40がピストン部34を揺動することの妨げとなる可能性を未然に低減することができる。
【0016】
ゴム押出機22は、図1に示すように、加熱したゴムをゴム射出機20に押し出すための装置であり、図示しない加熱手段によって加熱したゴムを図示しない射出チャンバーに供給する公知のゴム押出機である。この、ゴム押出機22は、リボン化されたゴムが供給されると、混練・加熱して予備可塑化し、流動性を高めた状態で図示しない射出チャンバーに供給する。この射出チャンバーからゴムが射出されると、ゴムはゴム供給路32を通過し、ノズル30を介して図示しない成形用型に供給される。このとき、ゴム供給路32は、収容部38の外壁の内部を図示しない射出チャンバー側から射出口36側(図2中、上側から下側)貫通して設けられている。なお、ゴム押出機22におけるゴムの押出や、加熱手段の温度制御等については、図示しない制御手段によって制御される。この制御方法については、公知の種々の制御方法を用いて制御することができるため、ここでは説明を省略する。
【0017】
ノズル30は、図2に示すように、ゴムを射出する射出口36と、図示しない射出チャンバーから射出されたゴムの流路であるゴム供給路32と、射出口36に近づく方向又は遠ざかる方向に揺動するピストン部34と、ピストン部34を射出口36の方向に付勢する付勢部材40と、ピストン部34の一部及び付勢部材40を収容する収容部38と、を備えている。射出口36からゴムが射出される際以外のときには、ピストン部34の他端側(射出口36側)が付勢部材40によって射出口36の方向に付勢されており、ピストン部34が射出口36と当接することで射出口36を塞ぎ、射出口を閉状態とする。こうすることにより、ゴムを射出する際以外のときに、ゴムが射出口36から漏れ出る可能性を未然に低減することができる。
【0018】
一方、図3に示すように、射出口36からゴムが射出される際は、付勢部材40の付勢力よりもゴムの圧力が強くなり、ゴムの圧力によってピストン部34が射出口36から遠ざかる方向に押圧され、射出口36が開状態となり、ゴムが射出される。一方、ゴムが射出されると、ゴムの圧力が低下するため、再び付勢部材40の付勢力がゴムの圧力よりも強くなり、ピストン部34が射出口36に近づく方向に付勢され、ピストン部34と射出口36とが当接し、閉状態となる。こうすることにより、ゴム押出機22で加熱して流動性が高められたゴムが図示しない射出チャンバーから射出され、ノズル30を介して図示しない成形用型に供給される。また、ゴムを射出した後には、付勢部材40に付勢されることでピストン部34が射出口36を閉状態とし、ゴムが射出口から漏れ出る可能性を未然に低減することができる。
【0019】
ピストン部34は、柱状の第一ピストン部34aと、第一ピストン部34aの他端側(射出口36側)に連接する柱状の第二ピストン部34bと、第二ピストン部34bの他端側に連接する第二ピストン部34bよりも細い柱状の第三ピストン部34cと、からなり、第二ピストン部34bと第三ピストン部34cの境界位置には、側面側に突出する翼部35が設けられている。この第二ピストン部34bと第三ピストン部34cの境界位置は、ピストン部34が射出口36から最も遠ざる際、翼部35が収容部38の壁面と当接し、貫通孔39を覆う位置でもある。このピストン部34は、第一ピストン部34aの側面に取り付けられた付勢部材40によって射出口36の方向に付勢されており、第一ピストン部34aの一部及び第二ピストン部34bが貫通孔39を通過して揺動する。このとき、第二ピストン部34bと第二ピストン部34cの境界位置に設けられた翼部35は、ピストン部34が射出口36から最も遠ざかった際、収容部38の壁面と当接し、貫通孔39を覆う位置に設けられているため、ピストン部34が射出口36から遠ざかる位置に移動して射出口36からゴムを射出する際には、翼部35が収容部38の壁面と当接し、貫通孔39を覆う。こうすることにより、ゴムを射出する際、ゴムが貫通孔39を通過して収容部38内に侵入し、収容部38の内部に設けられた付勢部材40がピストン部34を揺動することの妨げとなる可能性を未然に低減することができる。
【0020】
翼部35は、金属製の円錐台形状の部材であって、貫通孔39の直径よりも収容部38側の直径が大きく形成されている。この翼部35は、第二ピストン部34bと第三ピストン部34cの境界位置に設けられており、この境界位置は、ピストン部34が射出口36から最も遠ざかった際、翼部35が収容部38の壁面と当接し、貫通孔39を覆う位置でもある。このため、ピストン部34が射出口36から最も遠ざかると、翼部35の収容部38側の面が貫通孔39を覆う状態で、収容部38の射出口35側の面に押圧される。こうすることにより、貫通孔39とピストン部34との間の隙間は翼部35によって塞がれることになり、貫通孔39とピストン部34との間の隙間からゴムが収容部38に侵入する可能性を未然に低減することができる。付言すると、ピストン部34と貫通孔39との隙間からゴムが収容部38内に侵入し、収容部38の内部に設けられた付勢部材40がピストン部34を揺動することの妨げとなる可能性を未然に低減することができる。
【0021】
射出口36は、ノズル30の先端に設けられた略円錐台形状の流路を有する射出口であり、ゴム供給路32を介して供給されたゴムを射出し、図示しない成形用型にゴムを供給する。この射出口36は、射出口36に近づくにつれて狭くなる円錐台形状を有しており、ピストン部34が付勢部材40によって射出口36の方向に付勢されると、ピストン部34の他端側と射出口36とが当接し、射出口36が閉状態となる。こうすることにより、ゴムを射出しないタイミングの際には、ピストン部34によって射出口36が閉状態となり、ゴムが射出口36から漏れ出る可能性を未然に低減することができる。
【0022】
収容部38は、射出口36側の側面に貫通孔39を有し、貫通孔39を通過する位置に設けられたピストン部34の一部を収容し、収容部38の内部に設けられた付勢部材40によって、ピストン部34を射出口36方向に付勢する。また、貫通孔39の直径は、ピストン部34の直径と略同一に形成されており、ピストン部34が揺動する際には、貫通孔39の内面に沿って揺動することができる。また、貫通孔39には、Oリング34dが設けられているため、貫通孔39とピストン部34との間の隙間からゴムが収容部38に侵入する可能性を未然に低減することができる。付言すると、ピストン部34と貫通孔39との隙間からゴムが収容部38内に侵入し、収容部38の内部に設けられた付勢部材40がピストン部34を揺動することの妨げとなる可能性を未然に低減することができる。
【0023】
付勢部材40は、例えば、公知の付勢部材(例えば、コイルバネ等の各種バネ、弾性体等)であって、ピストン部34の側面に沿って配置され、ピストン部34に固定されている。また、一端側は収容部38の内側面に固定されており、ピストン部34を射出口36の方向に付勢している。こうすることにより、ゴムが射出されない際には、ピストン部34が射出口36に当接し、射出口36を閉状態とすることで、射出口36からゴムが漏れ出る可能性を低減することができる。
【0024】
次に、ノズル30からゴムが射出される際の動き(射出口36の開閉動作)について、説明する。図示しない射出チャンバーからゴムが射出されると、ゴム供給路32を介してゴムが翼部35の周囲に到達するが、この時点では、ピストン部34が射出口36の方向に付勢されているため、射出口36が閉状態であり、ゴムは射出口36の手前である翼部35の周囲に留まることになる。ゴムの射出に伴って、翼部35の周囲に存在するゴムの圧力が高くなると、第三ピストン部34cは第二ピストン部34bよりも細く形成されているため、翼部35を収容部38方向に押圧される力が生じ、ピストン部34が収容部38の方向に押圧される。この力が付勢部材40の付勢力より大きくなると、ピストン部34が収容部38の方向に移動し、翼部35が収容部38の壁面に当接することで貫通孔39を塞ぎ、射出口36が開状態となり(図3参照)、ゴムが射出される。このとき、ピストン部34と貫通孔39との間の隙間は翼部35によって塞がれるため、ゴムが収容部38の内部に侵入する可能性を低減することができる。一方、ゴムが射出されると、翼部35の周囲に存在するゴムの圧力が低下し、翼部35を収容部38方向に押圧される力が小さくなり、付勢部材40の付勢力がこの力より大きくなるため、付勢部材40によってピストン部34が射出口36の方向に押圧され、ピストン部34の他端側が射出口36と嵌合することにより、射出口36が閉状態となり(図2参照)、射出口36からゴムが漏れる可能性を未然に低減することができる。
【0025】
以上詳述した実施の形態のゴム射出機20によれば、ゴムを射出しない状態では、ピストン部34が付勢部材40によって射出口36方向に付勢されることによりピストン部34と射出口36とが当接して射出口36を閉状態とし、ゴムが漏れ出す可能性を未然に低減することができる。一方、ゴムを射出する際には、第三ピストン部34cは第二ピストン部34bよりも細く形成されているため、ゴムの圧力に起因して翼部35を収容部38方向に押圧する力によって翼部35が収容部38の方向に押圧され、この力が付勢部材40の付勢力より大きくなると、ピストン部34が収容部38の方向に移動し、翼部35が収容部38の壁面に当接することで貫通孔39を塞ぎ、射出口36が開状態となると共に、翼部35によって貫通孔39が塞がれることにより、ピストン部34と貫通孔39との隙間からゴムが収容部38の内側に侵入する可能性を低減することができる。こうすることにより、付勢部材40の周囲にゴムが侵入し、ピストン部34を付勢部材40が付勢することを妨げる可能性を未然に低減することができる。
【0026】
更に、貫通孔39にはOリング34dが設けられているため、ピストン部34と貫通孔39との隙間からゴムが収容部38内に侵入し、収容部38の内部に設けられた付勢部材40がピストン部34を揺動することの妨げとなる可能性を未然に低減することができる。
【0027】
更にまた、翼部35の直径は貫通孔39の直径より大きく形成されているため、翼部35が貫通孔39を塞ぐ際、貫通孔39の表面近傍と翼部35の表面とが当接することになり、ピストン部34と貫通孔39との隙間からゴムが収容部38の内側に侵入する可能性をより低減することができる。こうすることにより、付勢部材40の周囲にゴムが侵入し、ピストン部34を付勢部材40が付勢することを妨げる可能性をより低減することができる。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0029】
例えば、上述した実施の形態では、ピストン部34の他端側と射出口36の流路と当接するものとしたが、ピストン部34が射出口36を閉状態とできる形状であればこの形状に限定されるものではなく、例えば、射出口36よりもピストン部34が大きい形状であってもよいし、射出口36とピストン部34の他端側とが互いに嵌合する形状であってもよい。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0030】
上述した実施の形態では、翼部35が円錐台形状であるものとしたが、円錐台形状に限定されるものではなく、例えば、円盤状であってもよいし、多角柱形状であってもよい。いずれの場合であっても、ゴムが収容部38に侵入し、付勢部材40の付勢を妨げる可能性を未然に低減することができうる。
【0031】
上述した実施の形態では、第二ピストン部34bと第三ピストン部34cとの境界は段差を有するものとしたが、第三ピストン部34cの太さが第二ピストン部34bよりも細い形状であればこの形状に限定されるものではなく、例えば傾斜面であってもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0032】
上述した実施の形態では、ピストン部34の側面に沿って付勢部材40が配置されるものとしたが、ピストン部34を射出口36方向に付勢できる位置であればこの位置に限定されるものではなく、例えば、ピストン部34の他方端側に固定されていてもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上述した実施の形態で示すように、ゴム射出機、特に、ゴム射出機用ノズルとして利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
20…ゴム射出機、22…ゴム押出機、30…ノズル、32…ゴム供給路、34…ピストン部、34a…第一ピストン部、34b…第二ピストン部、34c…第三ピストン部、34d…Oリング、35…蓋部、36…射出口、38…収容部、39…貫通孔、40…付勢部材。
図1
図2
図3