(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】コーヒー用抽出バッグ構造
(51)【国際特許分類】
A47J 31/02 20060101AFI20241209BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20241209BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A47J31/02
B65D77/00 F
B65D85/804 100
(21)【出願番号】P 2023081115
(22)【出願日】2023-05-16
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】202310254667.3
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523181341
【氏名又は名称】易廷企業有限公司
【氏名又は名称原語表記】YI TING NON-WOVEN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO. 13, LN. 298, WENGONG 1ST RD., GUISHAN DIST., TAOYUAN CITY 333001, TAIWAN,
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】顔 志偉
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-187549(JP,A)
【文献】特開2015-146932(JP,A)
【文献】実開平03-007330(JP,U)
【文献】特開2006-036357(JP,A)
【文献】実公平4-018514(JP,Y2)
【文献】国際公開第2017/043289(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/02
B65D 77/00
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過シートからなり、複数の濾過孔を有するフィルタバッグと、
複数の耳掛け部と、
を含み、
前記耳掛け部のそれぞれは、
前記フィルタバッグに接合され、開口支持シートと、底部支持シートと、中央支持シートと、2つの側辺支持シートと、を有し、前記中央支持シートと前記複数の側辺支持シートが前記開口支持シートと前記底部支持シートを接続する支持部と、前記耳掛け部の左右両側にそれぞれ位置し、それぞれ接続部と凸部を有し、前記接続部を介して前記側辺支持シートのそれぞれに接続され
、前記中央支持シートに近い側に前記底部支持シートに向けて前記凸部を形成
し、且つ、中央に空洞を有する2つのクロスフレーム部と、前記開口支持シートに縦方向に設けられ、前記複数の接続部に前記複数の側辺支持シートまで延伸して斜め方向に設けられる複数本の押さえ折り線と、前記複数のクロスフレーム部の境界に位置し、前記複数のクロスフレーム部を前記開口支持シート、前記底部支持シート及び前記複数の中央支持シートから分離させるように設けられる複数本の切断線と、を含み、
前記フィルタバッグと前記複数の耳掛け部は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、メタクリル酸メチル又はそれらから任意に選ばれた2つからなる共重合体又はポリマーブレンドを含む同一の材質であるコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項2】
前記フィルタバッグは、前記材質がメルトブローン工程で製造された不織布シート或いは織布シートである請求項1に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項3】
前記複数の耳掛け部は、前記材質が発泡成形工程で製造されたプラスチックシート、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートである請求項1に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項4】
前記複数の耳掛け部は、形状記憶機能又は弾性回復を持つ発泡プラスチックシート、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートである請求項1に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項5】
前記フィルタバッグと前記複数の耳掛け部とは、超音波溶着又は熱間圧接プロセスにより接合される請求項1に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項6】
濾過シートからなるフィルタバッグであって、前記フィルタバッグの上方に位置する開口と、前記フィルタバッグの側面に位置する複数の袋壁と、前記フィルタバッグの下方に位置する袋状底部と、前記フィルタバッグを展開させた後に前記複数の袋壁と袋状底部とによって共同で定義され、前記開口に連通する収容室と、前記袋壁のそれぞれと前記袋状底部に位置する複数の濾過孔とを有するフィルタバッグと、
複数の耳掛け部と、
を含み、
前記耳掛け部のそれぞれは、前記フィルタバッグの前記袋壁のそれぞれに接合され、開口支持シートと、底部支持シートと、中央支持シートと、2つの側辺支持シートと、を有し、前記中央支持シートと前記複数の側辺支持シートが前記開口支持シートと前記底部支持シートを接続する支持部と、前記耳掛け部の左右両側にそれぞれ位置し、それぞれ接続部と凸部を有し、前記接続部を介して前記側辺支持シートのそれぞれに接続され
、前記中央支持シートに近い側に前記底部支持シートに向けて前記凸部を形成
し、且つ、中央に空洞を有する2つのクロスフレーム部と、を含み、
前記クロスフレーム部のそれぞれは左右両側に開くとともに、前記フィルタバッグの前記袋壁から分離するように設けられ、
前記フィルタバッグと前記複数の耳掛け部は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、メタクリル酸メチル又はそれらから任意に選ばれた2つからなる共重合体又はポリマーブレンドを含む同一の材質であるコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項7】
前記袋壁のそれぞれは何れも長方形であり、方形の前記袋状底部を形成する請求項6に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項8】
前記袋壁のそれぞれは何れも五角形であり、テーパ状の前記袋状底部を形成し、漏斗状となる請求項6に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項9】
前記耳掛け部を折り曲げて前記フィルタバッグの前記収容室を展開させた後、前記開口支持シートは前記開口に沿って前記開口の形状を維持し、前記底部支持シートは前記袋状底部に沿って前記袋状底部の形状を維持する請求項6に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【請求項10】
前記フィルタバッグは、前記濾過シートを二つ折りにしたものである請求項6に記載のコーヒー用抽出バッグ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳掛け式のコーヒー用抽出バッグ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
耳掛け式コーヒー用抽出バッグ構造は、主にフィルタバッグで研磨されたコーヒー粉を収容し、使用者が包装を開けて、耳掛け式コーヒー用抽出バッグ構造をカップに吊り下げ、さらに適量の温水を注入すれば、一杯分のコーヒーを便利に抽出することができる。抽出式コーヒーは、インスタントコーヒーの利便性だけでなく、ハンドドリップの高品質と儀式感を楽しむことができる。
【0003】
従来の耳掛け式コーヒー用抽出バッグ構造は、フィルタバッグ部がプラスチック材質からなり、耳掛け部が紙製からなる。このため、フィルタバッグ部と耳掛け部とを接合するには接着剤を用いる必要がある。また、水に曝されたときに耳掛け部が支持する強度を保つためには、紙製の耳掛け部の表面に湿潤紙力増強剤を塗布する必要がある。接着剤と湿潤紙力増強剤は何れも水を加えて抽出する時に、抽出液に放出される恐れがある。さらに、フィルタバッグ部と耳掛け部とを異なる材質で作製するため、使用済みの抽出バッグを廃棄する際に、回収することができない。
【0004】
従来の耳掛け式コーヒー用抽出バッグ構造は、耳掛け部をカップの縁部に吊り下げ、フィルタバッグの底部がカップの縁部より低いものである。この時に多くの水を加えると、フィルタバッグの底部が液面に接触し、さらに、抽出したコーヒーの風味に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、フィルタバッグと耳掛け部とを同一の材質で作製し、耳掛け部がカップの縁部の上方に架け渡される時に、フィルタバッグの底部は、カップの液体に当たることがなく、依然としてカップの縁部の上方に保持されるコーヒー用抽出バッグ構造を提供することである。
【0006】
本発明の一実施例は、濾過シートからなり、複数の濾過孔を有するフィルタバッグと、耳掛け部と、を含み、耳掛け部のそれぞれは、フィルタバッグに接合され、開口支持シートと、底部支持シートと、中央支持シートと、2つの側辺支持シートと、を有し、中央支持シートと側辺支持シートが開口支持シートと底部支持シートを接続する支持部と、耳掛け部の左右両側にそれぞれ位置し、それぞれ接続部と凸部を有し、接続部を介して側辺支持シートのそれぞれに接続され、且つ、中央支持シートに近い側に底部支持シートに向けて凸部を形成する2つのクロスフレーム部と、開口支持シートに縦方向に設けられ、接続部に側辺支持シートまで延伸して斜め方向に設けられる複数本の押さえ折り線と、クロスフレーム部の境界に位置し、クロスフレーム部を開口支持シート、底部支持シート及び中央支持シートから分離させるように設けられる複数本の切断線と、を含み、フィルタバッグと耳掛け部は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、メタクリル酸メチル又はそれらから任意に選ばれた2つからなる共重合体又はポリマーブレンドを含む同一の材質であるコーヒー用抽出バッグ構造を提供する。
【0007】
幾つかの実施例において、フィルタバッグは、前記材質がメルトブローン工程で製造された不織布シート或いは織布シートである。
【0008】
幾つかの実施例において、耳掛け部は、前記材質が発泡成形工程で製造されたプラスチックシート、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートである。
【0009】
幾つかの実施例において、耳掛け部は、形状記憶機能又は弾性回復を持つ発泡プラスチックシート、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートである。
【0010】
幾つかの実施例において、フィルタバッグと耳掛け部とは、超音波溶着又は熱間圧接プロセスにより接合される。
【0011】
本発明の一実施例は、濾過シートからなるフィルタバッグであって、フィルタバッグの上方に位置する開口と、フィルタバッグの側面に位置する複数の袋壁と、フィルタバッグの下方に位置する袋状底部と、フィルタバッグを展開させた後に袋壁と袋状底部とによって共同で定義され、開口に連通する収容室と、袋壁のそれぞれと袋状底部に位置する複数の濾過孔とを有するフィルタバッグと、耳掛け部と、を含み、耳掛け部は、フィルタバッグの袋壁のそれぞれに接合され、開口支持シートと、底部支持シートと、中央支持シートと、2つの側辺支持シートと、を有し、中央支持シートと側辺支持シートが開口支持シートと底部支持シートを接続する支持部と、耳掛け部の左右両側にそれぞれ位置し、それぞれ接続部と凸部を有し、接続部を介して側辺支持シートのそれぞれに接続され、且つ、中央支持シートに近い側に底部支持シートに向けて凸部を形成する2つのクロスフレーム部と、を含み、クロスフレーム部のそれぞれは左右両側に開くとともに、フィルタバッグの袋壁から分離するように設けられ、フィルタバッグと耳掛け部は、ポリエチレン又はポリプロピレンを含む同一の材質であるコーヒー用抽出バッグ構造を提供する。各部材の接続プロセスは、超音波、熱間圧接である。
【0012】
幾つかの実施例において、袋壁のそれぞれは何れも長方形であり、方形の袋状底部を形成する。
【0013】
幾つかの実施例において、袋壁のそれぞれは何れも五角形であり、テーパ状の袋状底部を形成し、漏斗状となる。
【0014】
幾つかの実施例において、耳掛け部を折り曲げてフィルタバッグの収容室を展開させた後、開口支持シートは開口に沿って開口の形状を維持し、底部支持シートは袋状底部に沿って袋状底部の形状を維持する。
【0015】
幾つかの実施例において、フィルタバッグは、濾過シートを二つ折りにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を明瞭に理解するために、図面と併せて以下の実施形態を読む。
【
図1】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の開封前の平面図である。
【
図2】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の展開後の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の使用の説明図である。
【
図4】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の使用の説明図である。
【
図5】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の使用の説明図である。
【
図6】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の製造用シートの平面図である。
【
図7】本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の製造方法の説明図である。
【
図8】本発明の別の実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の開封前の平面図である。
【
図9】本発明の別の実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の使用の説明図である。
【
図10】本発明の更なる実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の製造用シートの平面図である。
【
図11】本発明の更なる実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の使用の説明図である。
【
図12】本発明の更なる実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の開封前の平面図である。
【
図13】本発明の更なる実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造の使用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の幾つかの実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造について説明し、同一の部品を同一の符号で説明する。
【0018】
本明細書において素子の名称を説明する「上方」、「下方」、「左側」、「右側」、「側辺」の用語は、各部品の相対位置を対照して説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0019】
図1は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100の開封前の平面図である。
図1に示すように、コーヒー用抽出バッグ構造100はフィルタバッグ200と耳掛け部300とを含む。フィルタバッグ200は濾過シート202からなり、複数の濾過孔250を有する。濾過シート202として、プラスチック母粒子からメルトブローン工程を経て製造された不織布を用いることができる。この実施例において、プラスチック母粒子の材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、メタクリル酸メチル又はそれらから任意に選ばれた2つからなる共重合体又はポリマーブレンドであってもよい。
【0020】
耳掛け部300はプラスチックシートからプレス工程を経て形成される。このプラスチックシートはプラスチック母粒子が発泡成形工程を経て製造されたプラスチックシートである。この実施例において、プラスチック母粒子の材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、メタクリル酸メチル又はそれらから任意に選ばれた2つからなる共重合体又はポリマーブレンド。耳掛け部300は、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートであってもよい。耳掛け部300はプラスチックシート、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートであり、水に晒されても支持強度に影響を与えないので、耳掛け部300の表面に湿潤紙力増強剤を塗布する必要がない。
【0021】
この実施例において、フィルタバッグ200と耳掛け部300とを同一の材質にする。すなわち、フィルタバッグ200がポリエチレンを用いて不織布とする場合、耳掛け部300にポリエチレン製のプラスチックシート、圧延フィルム、織布シート又は不織布シートを用いる。フィルタバッグ200と耳掛け部300とを同一の材質とするため、使用済みのコーヒー抽出バッグを廃棄する際に、容易に回収することができる。
【0022】
図1に示すように、フィルタバッグ200の一方側に位置する一つの耳掛け部300は、支持部310と、2つのクロスフレーム部320と、複数本の押さえ折り線330-1、押さえ折り線330-2、押さえ折り線330-3と、複数の切断線340とを備える。
【0023】
支持部310は、開口支持シート312と、底部支持シート314と、中央支持シート316と、左右両側に位置する側辺支持シート318とを有する。中央支持シート316と両側の側辺支持シート318は開口支持シート312と底部支持シート314を接続する。フィルタバッグ200と耳掛け部300とを同一の材質とするため、フィルタバッグ200と耳掛け部300とを接合する際に接着剤を用いる必要がなく、超音波溶着又は熱間圧接プロセスにより支持部310とフィルタバッグ200とを接合することができる。
【0024】
2つのクロスフレーム部320は耳掛け部300の左右両側にそれぞれ位置する。クロスフレーム部320のそれぞれは接続部322と凸部324とをそれぞれ有する。クロスフレーム部320のそれぞれは接続部322を介して一方側の側辺支持シート318に接続される。クロスフレーム部320のそれぞれは中央支持シート316に近い側に底部支持シート314に向けて凸部324を形成する。
【0025】
開口支持シート312の中央に縦方向の押さえ折り線330-1が設けられる。開口支持シート312の左右両側に押さえ折り線330-1よりも短い縦方向の押さえ折り線330-2が設けられる。接続部322のそれぞれに側辺支持シート318まで延伸して斜め方向に押さえ折り線330-3が設けられる。押さえ折り線330-1、押さえ折り線330-2、押さえ折り線330-3は開口支持シート312と接続部322が所望の形状に折り曲げられるように案内することに用いられる。
【0026】
クロスフレーム部320の開口支持シート312、底部支持シート314及び中央支持シート316の境界のすぐに切断線340が設けられる。切断線340は、クロスフレーム部320を、開口支持シート312、底部支持シート314及び中央支持シート316から分離させるように設けられる。超音波溶着を行う際には、支持部310とフィルタバッグ200とを接合するだけであるので、クロスフレーム部320もフィルタバッグ200から分離されることがある。
【0027】
フィルタバッグ200の開口支持シート312に近い側に開封線260が設けられる。開封線260は、コーヒー粉がこぼれないように常態では閉じた状態になっており、使用時には容易に引き裂くことができる。
【0028】
図2は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100の展開後の斜視図である。
図2に示すように、展開後のフィルタバッグ200は、開口210と、袋壁220と、袋状底部230と、収容室240と、複数の濾過孔250とを有する。開口210はフィルタバッグ200の上方に位置する。収容室240は袋壁220と袋状底部230とによって共同で定義され、且つ開口210は収容室240に連通する。この実施例において、袋壁220は矩形であり、方形の袋状底部230を形成する。
【0029】
支持部310は袋壁220に接合され、フィルタバッグ200の形状を支持し維持することに用いられる。耳掛け部300が形状記憶特性を有するプラスチックシートからなるので、フィルタバッグ200が展開された後、開口210に沿って設けられた開口支持シート312は、開口210の展開状態を維持することができるが、袋状底部230に沿って設けられた底部支持シート314は袋状底部230の展開状態を維持することができる。中央支持シート316と側辺支持シート318は開口支持シート312と底部支持シート314を支持し接続することに用いられる。
【0030】
クロスフレーム部320は耳掛け部300の左右両側にそれぞれ位置する。左側のクロスフレーム部320を例にとると、クロスフレーム部320は接続部322を介して左側の側辺支持シート318に接続される。左側接続部322の押さえ折り線330-3に沿って左側のクロスフレーム部320を折り曲げた後、左側のクロスフレーム部320は左側に展開し、袋壁220から離間することができる。右側のクロスフレーム部320は右側に展開し、袋壁220から離間することができる。
【0031】
この実施例において、耳掛け部300を作製するためのプラスチックシートは形状記憶特性を有してもよい。このようにすれば、押さえ折り線330-1、押さえ折り線330-2、押さえ折り線330-3に沿って開口支持シート312を折り曲げることでフィルタバッグ200の開口210を展開させ、接続部322を折り曲げてクロスフレーム部320を展開させることができる。また、これらの押さえ折り線330-1、押さえ折り線330-2、押さえ折り線330-3に沿って折り曲げられた部分は、折り曲げられた形状を維持することができる。
【0032】
図3~
図5は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100の使用の説明図である。コーヒー用抽出バッグ構造100を使用する際には、まず開封線260を引き裂き、
図3に示すように、両側の側辺支持シート318を指で摘んで両側を同時にフィルタバッグ200の中央に向けて適宜押圧する。押さえ折り線330-1、押さえ折り線330-2の案内により、フィルタバッグ200を展開させることができ、押さえ折り線330-3の案内により、クロスフレーム部320を展開させることができるべきである。
図4に示すように、カップ口の大きさに応じてクロスフレーム部320の展開度合いを調整し、さらに
図5に示すようにコーヒー用抽出バッグ構造100をカップの縁部400に架渡す。次に、開口210からフィルタバッグ200内に水を加えることにより、収容室240内に充填された抽出材料、例えばコーヒーを入れることができる。
【0033】
図5に示すように、クロスフレーム部320の凸部324の中央支持シート316から離れた側はカップの縁部400の外側に掛けることに用いられ、コーヒー用抽出バッグ構造100がカップの縁部400に架渡されることができるようになっている。このようにすれば、多くの水を注いで液面をカップの縁部400に近づけても、袋状底部230がカップの縁部400よりも高いので、袋状底部230が液面に当たることがない。
【0034】
図6は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100の製造用シートの平面図である。
図7は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100の製造方法の説明図である。
【0035】
図6に示すように、コーヒー用抽出バッグ構造100は主にフィルタバッグ202と耳掛け部300とを含む。先ず、耳掛け部300を底部支持シート314側に間隔をあけて互いに対向させ、底部が対向する一対の耳掛け部300を長尺状の濾過シート202上に間隔をあけて配列する。濾過シート202と耳掛け部300の支持部310とを超音波溶着により接合する。
【0036】
さらに
図7に示すように、濾過シート202の長辺を重ね合わせて二つ折りする。開口支持シート312に近い側の濾過シート202に開封線260が設けられる。フィルタバッグ200の幅dの間隔で濾過シート202の短手方向に溶着溶断を繰り返して行い、その間に1袋分のコーヒー粉などの抽出材料を充填すれば、本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100を得ることができる。
【0037】
以上のように、本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100のフィルタバッグ200は、濾過シート202を途中から二つ折りにしたものであり、フィルタバッグ200に他の折り返し構造がない。したがって、形状記憶特性を有する発泡プラスチックシートを用いて耳掛け部300を作製することにより、フィルタバッグ200の展開後の開口210及び収容室240の形状を効果的に維持することができる。
【0038】
図8は本発明の別の実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100Bの開封前の平面図である。
図8に示すように、コーヒー用抽出バッグ構造100Bの袋壁220Bは五角形であり、テーパ状の袋状底部230Bを形成する。この実施例において、押さえ折り線330B-1、押さえ折り線330B-2、押さえ折り線330B-3は縦方向であり、押さえ折り線330B-4は斜め方向である。
【0039】
図9は本発明の別の実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100Bの使用模式図である。
図9に示すように、コーヒー用抽出バッグ構造100Bをクロスフレーム部320Bを介してカップの縁部400に掛け渡した後、五角形の袋壁220Bによりテーパ状の袋状底部230Bの2つの辺線が交わる尖端からコーヒーを透過させて濾出することができる。袋状底部230Bの底部面積が頂部より小さいため、入れる時にコーヒー液がカップ内に速やかに落下し、温水が研磨されたコーヒー粉に接触する時間を短縮させ、短時間内にコーヒーを迅速に抽出する目的を達成し、且つコーヒーの食感がより爽やかである。
【0040】
図10は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100Cの製造用シートの平面図である。
図10に示すように、濾過シート202C上の耳掛け部300Cの支持部310Cの中央、すなわち一対のクロスフレーム部320Cと他の一対のクロスフレーム部320Cとの間に、複数本のリブ状の底部支持シート314C-1及び複数の空洞314C-2が形成される。耳掛け部300Cを作製したプラスチックシートがプレス工程を経る際に空洞314C-2のプラスチックシートを取り除き、空洞314C-2が形成される。さらに、支持部310Cと濾過シート202Cとを超音波溶着により接合する。
【0041】
図11は本発明の一実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100Cの使用の説明図である。
図11に示すように、コーヒー用抽出バッグ構造100Cをクロスフレーム部320Cを介してカップの縁部400に掛け渡した後、袋状底部230C上のリブ状の底部支持シート314C-1の空洞314C-2を介してコーヒーを濾出することができる。方形の袋状底部230Cの隅部分のコーヒー粉が十分に浸水しないことがよくあるため、リブ状の底部支持シート314C-1で形成された空洞314C-2を介して袋状底部230C全体に均等に水流を導き、隅のコーヒー粉を十分に浸水させることができる。また、リブ状の底部支持シート314C-1は袋状底部230Cに支持力を与え、袋状底部230Cの展開形状を維持することもできる。
【0042】
図12は本発明の更なる実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100Dの開封前の平面図である。
図12に示すように、クロスフレーム部320D-1は耳掛け部300Dの左右両側にそれぞれ位置する。支持部310Dに押さえ折り線330D-1、330D-2、330D-3が設けられる。左側のクロスフレーム部320D-1を例にとると、クロスフレーム部320D-1は接続部322Dを介して中央支持シート316Dに接続される。左側の接続部322Dの押さえ線330D-3に沿って左側のクロスフレーム部320D-1を折り曲げた後、左側のクロスフレーム部320D-1は右側に展開し、袋壁220Dから離間することができる。すなわち、左右両側のクロスフレーム部320D-1は中央支持シート316Dの方向に向けて展開可能である。
【0043】
また
図12に示すように、必要に応じてクロスフレーム部320Dに空洞320D-2を形成してもよい。耳掛け部300Dを作製したプラスチックシートがプレス工程を経る際に空洞320D-2のプラスチックシートを取り除き、空洞320D-2が形成される。さらに、支持部310Dとフィルタバッグ200とを超音波溶着により接合する。クロスフレーム部320Dの空洞320D-2により加工済みのコーヒー用抽出バッグ構造100Dを軽量化することができる。
【0044】
図13は本発明の更なる実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造100Dの使用の説明図である。
図13に示すように、コーヒー用抽出バッグ構造100Dをクロスフレーム部320D-1を介してカップの縁部400に掛け渡した後、袋状底部230Dを介してコーヒーを濾出することができる。この実施例において、左右両側のクロスフレーム部320D-1が中央支持シート316Dの方向に向けて展開し、幅広い中央支持シート316Dが袋壁220Dの中央から濾出した水を遮るため、水流を両側に流出するように案内し、さらに両側のコーヒー粉を十分に浸水させることができる。また中央支持シート316Dは袋壁220Dに縦方向の支持力を提供することもできる。
【0045】
以上で説明したように、本発明の幾つかの実施例が提供するコーヒー用抽出バッグ構造は、フィルタバッグと耳掛け部とを同一の材質にするので、超音波熔接又は熱間圧接プロセスによってフィルタバッグと耳掛け部とを接合することができるので、スプレーグルーの接着材質も、ラミネートによる接着材質の塗布も使用せずに、フィルタバッグと耳掛け部を接合することができる。また、耳掛け部はプラスチックシートからなり、表面に湿潤紙力増強剤を塗布する必要もない。本発明の幾つかの実施例におけるコーヒー用抽出バッグ構造は、使用時にコーヒーに接着剤と湿潤紙力増強剤が放出することがなく、且つ使用後に回収しやすい。また、本発明の幾つかの実施例が提供するコーヒー用抽出バッグ構造の耳掛け部はカップの縁部に掛け渡されるので、袋状底部がカップの縁部より低くなく、使用時に袋状底部が液面に接触しない。
【符号の説明】
【0046】
100、100B、100C、100D コーヒー用抽出バッグ構造
200 フィルタバッグ
202、202C 濾過シート
210 開口
220、220B、220D 袋壁
230、230B、230D 袋状底部
240 収容室
250 濾過孔
260 開封線
300、300C、300D 耳掛け部
310、310C 支持部
312 開口支持シート
314 底部支持シート
314C-1 リブ状の底部支持シート
314C-2 空洞
316、316D 中央支持シート
318 側辺支持シート
320、320B、320C、320D-1 クロスフレーム部
320D-2 空洞
322、322D 接続部
324 凸部
330-1、330-2、330-3、330B-1、330B-2、330B-3、330B-4、330D-1、330D-2、330D-3 押さえ折り線
340 切断せん
400 カップの縁部
d 幅