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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】半導体素子の検査装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241209BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01L21/66 J
H01L21/66 X
G01N21/956 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024043925
(22)【出願日】2024-03-19
【審査請求日】2024-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500203868
【氏名又は名称】株式会社 オプト・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100100376
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100143199
【弁理士】
【氏名又は名称】磯邉 毅
(72)【発明者】
【氏名】池田 研一
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/012966(WO,A1)
【文献】特開2009-115611(JP,A)
【文献】特許第7426575(JP,B1)
【文献】特許第7415215(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射性又は光透過性を有する載置面に配置された撮影対象の半導体チップのチップ上面を撮影可能な平面撮影装置と、
前記半導体チップの斜め上方位置と前記半導体チップとの間で傾斜方向に往復移動しつつ前記半導体チップのチップ端面を撮影可能な端面撮影装置と、
前記平面撮影装置の撮影画像に基づいて、前記端面撮影装置を第1基準位置に位置決めした後、前記端面撮影装置を第1基準位置から水平方向に移動させ、移動中の前記半導体チップの撮影画像を評価して第2基準位置で停止させ、その後、前記端面撮影装置を前記半導体チップに向けて傾斜移動させる動作制御装置と、を有して構成された半導体素子の検査装置であって、
第1基準位置は、前記半導体チップとの平面上の位置関係において、第1基準位置の以遠又は以内に、第2基準位置を含んだ位置であり、第2基準位置は、前記端面撮影装置の撮影画面内に、前記半導体チップの全体像を捕捉する位置であり、
前記動作制御装置は、
前記端面撮影装置を、第2基準位置から前記傾斜移動をさせつつ、前記チップ端面を照明した状態で、複数枚の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した複数枚の撮影画像について、前記チップ上面から前記チップ端面に続く評価ライン上のデータを注出し、前記評価ライン上のデータの変化態様を評価して、最適な画像を特定する特定手段と、を有して構成されている半導体素子の検査装置。
【請求項2】
光透過性を有する載置面に配置された前記半導体チップのチップ下面を照明する照明部を設けた請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記半導体チップの第1チップ端面と上面とを含んだ第1画像を撮影可能な第1の端面撮影装置と、前記半導体チップの第2チップ端面と上面とを含んだ第2画像を撮影可能な第2の端面撮影装置と、を有して構成され、
第1の端面撮影装置と、第2の端面撮影装置とは、時間順次、又は任意のタイミングで撮影動作を実行するよう構成された請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
第1の端面撮影装置と、第2の端面撮影装置とが、時間順次に撮影動作を実行することに対応して、
第2チップ端面への照明が停止された状態で、第1チップ端面を照明し、第2チップ端面への照明が停止された状態で、第1チップ端面を照明する照明部を設けた請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
第1の端面撮影装置と、第2の端面撮影装置とが、任意のタイミングで撮影動作を実行することに対応して、
光透過性を有する載置面に配置された前記半導体チップのチップ下面を照明する照明部を設けた請求項3に記載の検査装置。
【請求項6】
光反射性又は光透過性を有する載置面に配置された撮影対象の半導体チップのチップ上面を撮影可能な平面撮影装置と、
前記半導体チップの斜め上方位置と前記半導体チップとの間で傾斜方向に往復移動しつつ前記半導体チップのチップ端面を撮影可能な端面撮影装置と、
前記平面撮影装置の撮影画像に基づいて、前記端面撮影装置を第1基準位置に位置決めする第1工程と、
その後、前記端面撮影装置を第1基準位置から水平方向に移動させ、移動中の前記半導体チップの撮影画像を評価して第2基準位置で停止させる第2工程と、
その後、前記端面撮影装置を前記半導体チップに向けて傾斜移動させる第3工程を実行する動作制御装置と、を有して構成された半導体素子の検査方法であって、
第1基準位置は、前記半導体チップとの平面上の位置関係において、第1基準位置の以遠又は以内に、第2基準位置を含んだ位置であり、第2基準位置は、前記端面撮影装置の撮影画面内に、前記半導体チップの全体像を捕捉する位置であり、
前記動作制御装置は、
前記端面撮影装置を、第2基準位置から前記傾斜移動をさせつつ、前記チップ端面を照明した状態で、複数枚の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した複数枚の撮影画像について、前記チップ上面から前記チップ端面に続く評価ライン上のデータを注出し、前記評価ライン上のデータの変化態様を評価して、最適な画像を特定する特定手段と、を有して構成されている半導体素子の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザLD(Laser Diode )などの半導体チップの製造過程において、チップ端面を、迅速かつ確実に検査できる検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LDチップは、一般に、レーザ発光波長で発光する活性層を、P型クラッド層と、N型クラッド層とで挟み込んだダブルへテロ構造を有している。そして、P型層とN型層の間に、順方向電圧を印加すると、活性層の両端面が反射鏡として機能することで、レーザ光が活性層内を増幅されながら往復して誘導放出が生じる。
【0003】
ここで、端面出射型レーザを、反射構造により大別すると、半導体劈開面を反射鏡として利用するファブリペロレーザ、回折格子を導波路中に形成する分布帰還型レーザ(DFBレーザ:Distributed Feedback)、及び、活性領域の前後に回折格子を形成する分布反射器レーザ(DBRレーザ:Distributed Bragg Reflector )などに区分される。
【0004】
このような構成の半導体チップについて、チップ端面に形成された誘導放出口に、キズやホコリが無いかの検査が、例えば、製造最終段階で必要となる。そこで、出願人は、誘導放出口の良否を、迅速かつ確実に検査できる発明を提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2023012966号公報(2021年8月5日出願)
【発明の概要】
【0006】
上記の発明では、やや強引に規定される傾斜移動の開始位置から、半導体チップから遠ざかる方向に撮像装置を傾斜移動させ、この移動過程で複数の画像を取得して、その中からピントの合った最適画像を選択している。そして、選出された最適画像に基づいて、誘導放出口の良否を判定している。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、必ずしも、完全平面性を実現しない載置面に、多数の半導体チップが配置されている検査環境下、上記の構成では、傾斜移動開始時に、半導体チップ毎に異なる最適位置に撮影装置を移動させることができない。
【0008】
すなわち、半導体チップには、半導体チップ毎に、その板厚に多少の厚み誤差があり、しかも、半導体チップが貼着される載置面にも、多少の凹凸(例えば、数100ミクロンオーダー)は不可避であるので、傾斜移動の最適な開始点は、実際には、検査対象の半導体チップ毎に相違する。
【0009】
そのため、不正確な移動開始位置から、撮影装置の傾斜移動が開始されることがあり、このような場合には、当該半導体チップの端面を正確に判定することができない。
【0010】
特に、引用文献1のように、半導体チップに最接近した状態で半導体チップを大きく捉えても、その後、撮像装置が、傾斜方向に上昇する過程で半導体チップを見逃すおそれがある。また、半導体チップの両端面について良否判定が必要な場合もあり、そのような場合の良否検査の正確性及び迅速性も望まれているところである。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、より正確な検査を、より迅速に実現する検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体素子の検査装置は、光反射性又は光透過性を有する載置面に配置された撮影対象の半導体チップのチップ上面を撮影可能な平面撮影装置と、前記半導体チップの斜め上方位置と前記半導体チップとの間で傾斜方向に往復移動しつつ前記半導体チップのチップ端面を撮影可能な端面撮影装置と、前記平面撮影装置の撮影画像に基づいて、前記端面撮影装置を第1基準位置に位置決めした後、前記端面撮影装置を第1基準位置から水平方向に移動させ、移動中の前記半導体チップの撮影画像を評価して第2基準位置で停止させ、その後、前記端面撮影装置を前記半導体チップに向けて傾斜移動させる動作制御装置と、を有して構成された半導体素子の検査装置であって、第1基準位置は、前記半導体チップとの平面上の位置関係において、第1基準位置の以遠又は以内に、第2基準位置を含んだ位置であり、第2基準位置は、前記端面撮影装置の撮影画面内に、前記半導体チップの全体像を捕捉する位置であり、前記動作制御装置は、前記端面撮影装置を、第2基準位置から前記傾斜移動をさせつつ、前記チップ端面を照明した状態で、複数枚の画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した複数枚の撮影画像について、前記チップ上面から前記チップ端面に続く評価ライン上のデータを注出し、前記評価ライン上のデータの変化態様を評価して、最適な画像を特定する特定手段と、を有して構成されている。
【0013】
また、本発明に係る半導体素子の検査方法は、光反射性又は光透過性を有する載置面に配置された撮影対象の半導体チップのチップ上面を撮影可能な平面撮影装置と、前記半導体チップの斜め上方位置と前記半導体チップとの間で傾斜方向に往復移動しつつ前記半導体チップのチップ端面を撮影可能な端面撮影装置と、前記平面撮影装置の撮影画像に基づいて、前記端面撮影装置を第1基準位置に位置決めする第1工程と、その後、前記端面撮影装置を第1基準位置から水平方向に移動させ、移動中の前記半導体チップの撮影画像を評価して第2基準位置で停止させる第2工程と、その後、前記端面撮影装置を前記半導体チップに向けて傾斜移動させる第3工程を実行する動作制御装置と、を有して構成された半導体素子の検査方法であって、第1基準位置は、前記半導体チップとの平面上の位置関係において、第1基準位置の以遠又は以内に、第2基準位置を含んだ位置であり、第2基準位置は、前記端面撮影装置の撮影画面内に、前記半導体チップの全体像を捕捉する位置であり、前記動作制御装置は、前記端面撮影装置を、第2基準位置から前記傾斜移動をさせつつ、前記チップ端面を照明した状態で、複数枚の画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した複数枚の撮影画像について、前記チップ上面から前記チップ端面に続く評価ライン上のデータを注出し、前記評価ライン上のデータの変化態様を評価して、最適な画像を特定する特定手段と、を有して構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、端面撮影装置が半導体チップに向けて傾斜移動を開始する第2基準位置が、検査ターゲットの半導体チップ毎に規定されるので、撮影手段が適切に機能し、特定手段の正確な判定が可能となる。また、請求項2や請求項3の構成を採ることで、半導体チップの両側面を手際よく迅速且つ正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1基準位置Poと第2基準位置Psを決定する手順を説明する図面である。
図2】半導体チップの配列状態と、端面撮影装置の動作を説明する図面である。
図3】端面撮影装置の構成と、被写界深度を説明する図面である。
図4】撮影ピッチPiの最大値を説明する図面である。
図5】傾斜移動を実現するモータが、所定角度Φ回転する毎に起動される割込み処理を説明するフローチャートである。
図6】検査動作全体を説明するフローチャートである。
図7】載置面を光透過性シートとする実施例を説明する図面である。
図8図7の実施例における撮影画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図3に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、半導体素子として、半導体レーザLD(以下、半導体チップ10と称す)を例示し、図2に示すように、縦横に整列配置された多数の半導体チップ10・・・10について、各チップ端面10a,10bの誘導放出口を検査することにする。
【0017】
図1に示す通り、実施例に係る検査装置EQUは、半導体チップ10・・・10を保持する移動可能な保持装置BSと、検査ターゲットとなる半導体チップ10のチップ上面10cを真上から撮影する平面撮影装置HRと、保持装置BSから高さVRの水平移動ラインL0を、第1基準位置Poから第2基準位置Psまで水平移動すると共に、第2基準位置Psに達すると、所定の傾斜角θで半導体チップ10に向けて傾斜移動ラインLNを傾斜移動しつつ、当該半導体チップ10を撮影する端面撮影装置SLと、平面撮影装置HRや端面撮影装置SLなど動作を制御すると共に、端面撮影装置SLの撮影画像に基づいて、半導体チップ10の良否を判定する中央制御装置CTLと、を有して構成されている。
【0018】
ここで、多数の半導体チップ10は、図2(b)に示す整列配置、又は、図2(c)に示す千鳥配置の整列姿勢で、保持装置BSの載置面40に貼着されている。保持装置BSは、中央制御装置CTLの制御に基づき、水平面上を適宜に移動することで、平面撮影装置HRの真下に検査ターゲットとなる半導体チップを位置させるよう移動可能に構成されている。
【0019】
特に限定されないが、この実施例では、各半導体チップ10について、長手方向の両端面10a,10bが検査面となる。そのため、本実施例では、第1の端面撮影装置SLaに加えて、第2の撮影装置SLbが配置されている。また、載置面40は、光反射性を有して構成されており、検査光20は、載置面40で反射されて、チップ端面10a,10bで再反射された反射光30が、端面撮影装置SLa,SLbに戻るよう構成されている(図2(d)参照)。
【0020】
これらの端面撮影装置SLa,SLbは、検査ターゲットとなる半導体チップ10に向けて検査光20を照射する照明部と、反射光30を受ける落射型顕微鏡と、これら照明部及び顕微鏡を、傾斜移動させる傾斜移動部と、照明部及び顕微鏡を、水平移動させる水平移動部と、を有して構成されている。
【0021】
図3(c)は、傾斜方向(Z方向)の往復移動を実現する傾斜移動部と、水平方向(X方向)の水平移動を実現する水平移動部と、を概略的に説明する図面である。ここで、照明部には、メカニカルシャッターが設けられており、シャッタのON/OFF動作に基づいて、動作状態の照明部から、実際に、検査ターゲットに向けて検査光が照射されるか否かが制御される。なお、シャッタのON/OFF動作に代えて照明部の動作をON/OFFさせても良いが、反応速度に劣り、高速の点滅動作には不適である。
【0022】
図1図3(c)に示す通り、本発明のZ方向は、X方向に対して傾斜角θを形成している。傾斜角θは、照明方向における半導体チップ10の配列ピッチ(図2に示すW1,W2)や、チップ端面10a,10bにおける、検査範囲の高低差などを考慮して決定され、好適には、20°~40°の範囲で決定される。すなわち、この傾斜角θは、隣接する半導体チップ10に邪魔されることなく、検査ターゲットのチップ端面10a,10bを撮影可能な角度であり、図2(c)の千鳥配列の方が、図2(b)の整列配置より、傾斜角θを小さく設定できる利点がある。
【0023】
図3(c)に示す通り、端面撮像装置SLa,SLbは、X方向の往復移動を実現するステッピングモータMxと、ステッピングモータMxの回転と第1ボールネジ機構とに基づいてX方向に往復移動可能な水平スライド台45と、ステッピングモータMz及び第2ボールネジ機構を内蔵するスライドユニット44と、スライドユニット44に沿って傾斜方向に往復移動可能なスライド台43及び撮像本体部42と、を有して構成されている。
【0024】
この構成では、ステッピングモータMx及び水平スライド台45が水平移動部を構成し、ライドユニット44及びスライド台43が傾斜移動部を構成することになる。なお、図3(c)では、水平移動部や傾斜移動部の概略構成を単純化して記載しているに過ぎず、実際の端面撮影装置SLは、正確には、図3(c)の構成に対応していない。
【0025】
以上を踏まえて説明を続けると、中央制御装置CTLは、平面撮影装置HRの撮影画面を監視しつつ、保持装置BSを、水平面上を移動させることで、平面撮影装置HRの真下に、載置面40上の検査ターゲットたる半導体チップ10を位置させる。
【0026】
次に、平面撮影装置HRの座標位置に対応して、端面撮像装置SLを、水平移動ラインL0上の第1基準位置Poに位置決めする(図1参照)。なお、チップ端面10aに対応して、第1の端面撮影装置SLaが第1基準位置Poに位置決めされ、チップ端面10bに対応して、第2の端面撮影装置SLbが別の第1基準位置Poに位置決めされる。
【0027】
ここで、第1基準位置Poは、平面撮影装置HRの座標位置(検査ターゲットの真上位置O)に基づいて、画一的に規定され、平面撮影装置HRの検査ターゲットとの相対離間距離DSTは、例えば、DST={VR/tan(θ)}+Δと決定される。ここで、VRは、載置面40と水平移動ラインL0との高低差であり、θは、傾斜移動ラインLNと水平移動ラインL0とが形成する傾斜角である。また、Δは、半導体チップ10の板厚や長さ寸法に対応して決定される適宜な補正値である。
【0028】
この実施例では、上記の補正値Δは、プラス値であって、検査ターゲットの真上位置Oを基準にして、水平移動ラインL0上の最終停止位置である第2基準位置Psの外側領域に、第1基準位置Poが位置するよう設定されている。但し、何らこの構成に限定されず、補正値Δをマイナス値として、第2基準位置Psの内側領域に、第1基準位置Poが位置するよう設定してもよい。
【0029】
何れにしても、中央制御装置CTLの制御に基づき、水平移動ラインL0上を第1基準位置Poに移動した端面撮像装置SLa,SLbは、上記したプラスの補正値Δに基づき、カメラ画面の上部又はその外側に、半導体チップ10の撮影画像を捕捉することになる。なお、図1(b)は、カメラ画面の最上部に、半導体チップ10の最下辺を捉えた状態を示している。但し、焦点が全く合っていないので、実際には、半導体チップ10からの反射光が、「明るい捕捉部」として、ぼんやり映った状態となる。
【0030】
次に、中央制御装置CTLは、端面撮影装置SLa,SLbの撮影動作を開始させ、検査ターゲットとなる半導体チップ10を撮影しつつ、水平移動ラインL0上を、更に、平面撮影装置HRの方向に前進させる。すると、撮影画像における「明るい捕捉部」は、端面撮影装置SLの前進移動に対応して、図1(b)の状態から図1(b)の状態に向けて降下する。
【0031】
そこで、中央制御装置CTLは、「明るい捕捉部」が、撮影画像の中央部に達した段階で、水平移動ラインL0上の前進移動を停止し、その停止位置を第2基準位置Psとする。ここで、「明るい捕捉部」が、撮影画像の中央部に達した状態とは、図1(c)に示すように、「明るい捕捉部」の周囲が、明確に明度に劣る「暗い背景」となっている状態を意味し、先行文献1のようにチップ端面10を問題にはしない。
【0032】
これは、そもそも、水平移動ラインL0は、焦点が合わないラインとして設定されている以上、水平移動ラインL0上でチップ端面10を間違いなく認識することは、コンピュータ処理上、実際にはほぼ不可能であるからである。
【0033】
また、本実施例では、先行文献1の動作とは逆に、その後、端面撮影装置SLa,SLbを傾斜移動ラインLN上で降下させるので、第2基準位置Psにおいて捉えた画像は、カメラの視線と傾斜移動ラインLNが一致している限り、その後の降下移動において見逃すことはない。そこで、本実施例では、「明るい捕捉部」の周囲に、少なくとも、カメラ画面の縦横サイズ15%以上の「暗い領域(暗い背景)」が存在することを、端面撮影装置SLa,SLbの水平移動の停止条件としている。
【0034】
その後は、中央制御装置CTLの制御に基づき傾斜移動部が機能して、端面撮像装置SLの要部である照明部及び顕微鏡が、傾斜移動ラインLN上を降下移動する。なお、第2基準位置Psから降下する傾斜移動ラインLN上の傾斜移動と、傾斜移動ラインLN上の撮影動作については、後で、図5図6に基づいて詳述する。
【0035】
以上を踏まえて、先ず、撮影動作に関連して、図3(a)と図3(b)に基づいて、落射型顕微鏡と、焦点深度と、被写界深度δとを説明する。図3(a)に示す通り、落射型顕微鏡は、試料6に対面する対物レンズ1と、画像センサ7に撮影光30を結像させる結像レンズ2と、照明光20を受ける照明レンズ3と、照明レンズ3を通過した照明光20を、試料6に導くスプリッタ5と、照明光20を生成する光源4と、を有して構成される。
【0036】
なお、チップ端面10a,10b(試料6)からの反射波である撮像光30は、スプリッタ5を経過して画像センサ7に導かれる。また、撮像本体部42には照明光20が導入され、対物レンズ1を経由して、半導体チップ10の端面10aが照明される。そして、チップ端面10a,10bからの反射波は、撮像光として、撮像カメラ41の画像センサ7に結像される。
【0037】
次に、被写界深度δ(図3(b)参照)は、試料面6とレンズ間距離の許容範囲を意味し、言い換えると、被写界深度δとは、ピントが合っている範囲を意味する。この被写界深度は、レンズの焦点距離や、絞りに依存するが、被写界深度に存在する物体の像は、CCD(Charge Coupled Device )などの画像センサ7の結像範囲(焦点深度)内に存在することになる。
【0038】
本実施例の場合、半導体チップ10のチップ端面10a,10bの良否を評価するには、総合倍率が10倍~20倍であるのが好適であり、これに対応して、被写界深度δは、δ=10μm~2μm程度となる。
【0039】
また、端面撮影装置SLの傾斜移動時に取得すべき複数枚の画像は、端面撮像装置SLが規定距離(撮影ピッチ)Pi移動するごとに間欠的に取得するのが好適であり、撮影ピッチPiは、良否判定の判定対象となる判定領域を包含する検査範囲の高さ寸法Hを考慮して決定される。詳細には、先行文献1に記載の通りであり、傾斜移動ラインLN上の撮影ピッチPiは、Pi≦δ-H*SIN(θ)の条件下で適宜に設定される。
【0040】
図4は、この関係を説明する図面であり、半導体チップ10の上端面を原点ラインORG(図2(a)参照)とし、原点ラインORGから下方にHの範囲が、検査範囲Hであるとしている。そして、図4(b)は、焦点位置F1が、原点ラインORGの手前側-X1に位置にある場合を示し、図4(c)は、焦点位置F2が、原点ラインORGより奥側+X2の位置にある場合を示している。
【0041】
続いて、図5に基づいて、傾斜移動ラインLN上の傾斜移動及び撮影動作について説明する。特に限定されないが、本実施例では、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbの傾斜移動が、各々の傾斜移動部(スライド台43)を駆動する各ステッピングモータMzの回転角によって管理されている。具体的には、端面撮影装置SLaのステッピングモータMzと、端面撮影装置SLbのステッピングモータMzが、所定角度Φ回転する毎に、ロータリーエンコーダからパルス信号が出力され、このパルス信号が、割込み信号(エンコーダ割込み)として、中央制御装置CTLに伝送されるよう構成されている(図5(c)(d)参照)。
【0042】
端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbの撮影ピッチPia,Pibは、Pi≦δ-H*SIN(θ)の条件で、適宜に決定される同一値に設定されるが、この撮影ピッチPi(Pia,Pib)は、エンコーダ割込みの割込み回数Nで管理されている。ここで、割込み回数Nは、ステッピングモータMzが回転角N*Φだけ回転し、端面撮影装置SLa,SLbが、撮影ピッチPiだけ移動したことを意味する。そこで、撮影ピッチPiに対応する割込み回数Nに達する毎に、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbは、半導体チップ10の端面10a,10bを撮影している。
【0043】
図5(c)と図5(d)は、この関係を図示しており、割込み回数Nで規定される撮影タイミングPia1,Pia2,・・・Pianと、撮影タイミングPib1,Pib2,・・・Pibnと、が示されている。なお、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbの撮影タイミングPia,Pibが重複しないよう、各ステッピングモータMz,Mzの回転開始タイミングは、図示の通り、割込み回数N/2程度、距離換算すると撮影ピッチPiの1/2程度、適切にズラされている。
【0044】
ところで、図1(b)~図1(d)に示す通り、コンピュータによる判定精度を上げるには、端面撮影装置SLの撮影画面は、明確に明度の劣る暗い背景に、半導体チップ10が明るく撮影されている必要がある。そこで、本実施例では、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbの一方の撮影動作中は、他方の端面撮影装置は、各々のメカニカルシャッターに基づいて、その照明部を消灯状態、つまり、検査光を照射しない状態としている。
【0045】
図5(c)と図5(d)に示す実施例では、撮影タイミングPia,Pibの一タイミング前のエンコーダ割込み時から、検査光の照射が開始され、撮影タイミングPia,Pibの一タイミング後のエンコーダ割込みで、検査光の照射が終了している。先に説明した通り、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbのステッピングモータMzの回転開始タイミングは、撮影ピッチPiの1/2程度、適度にずれているので、一方の検査光の照射状態において、他方の端面端面撮影装置が、撮影動作を実行することはない。
【0046】
以上の通り、本実施例では、何れの端面撮影装置SLについても、その撮影画面は、明確に明度の劣る暗い背景に、半導体チップ10が明るく撮影されることになり、コンピュータによる半導体チップ端面の判定処理を最適化している。
【0047】
ところで、明確に明度の劣る暗い背景に、半導体チップ10が明るく撮影される必要性は、半導体チップ10の端面に、焦点が合っているか否かに係わらない。したがって、水平移動ラインL0上で第2基準位置Ps(傾斜移動の開始位置)を検出する位置決め動作についても、二台の端面撮影装置SLa,SLbが同時に実行することはなく、時間順次に実行される。
【0048】
続いて、傾斜移動ラインLN上の傾斜移動及び撮影動作について、フローチャートに基づいて、確認的に説明する。図5(a)は、端面撮影装置SLaのエンコーダ割込処理(SLa割込み)を示し、図5(b)は、端面撮影装置SLaのエンコーダ割込処理(SLb割込み)を示しており、いずれの処理も、ステッピングモータMz,Mzが所定角度Φだけ回転したタイミングで起動される。
【0049】
何れかのエンコーダ割込処理が起動されると、照射タイミングに達したか否かが判定され(ST1)、もし、照射タイミングなら検査光の照射を開始させる(ST2)。次に、j=1~nとして、撮影タイミング(Piaj/Pibj)に達したか否かが判定され(ST3)、撮影タイミングでなければ、そのまま割込み処理を終える。
【0050】
一方、撮影タイミング(Piaj/Pibj)であれば、チップ端面10a/10bを撮影し、その画像を記憶して(ST4)、検査光の照射を停止する(ST5)。次に、端面撮影装置SLが、撮影処理を終了すべき限界位置に達しているか否かを判定し(ST6)、限界位置に達していなければ、そのまま割込み処理を終える。
【0051】
一方、端面撮影装置SLが、撮影処理を終えるべき限界位置に達した場合には、取得した一連の画像データに基づいて、検査ターゲットの端面の良否を判定する最終処理を実行し(ST7)、その後のエンコーダ割込みを禁止するべく、制御フラグIa,Ibを0にクリアする。
【0052】
ここで、制御フラグIa,Ibは、エンコーダ割込みの許否に対応するフラグであり、第2基準位置Ps(傾斜移動の開始位置)を検出する位置決め動作を終え、傾斜移動ラインLN上の傾斜移動が開始されるタイミングで、エンコーダ割込みが許可設定されることに対応して、制御フラグIa,Ibが1に設定されている(図6のST13参照)。
【0053】
図6(a)は、水平移動ラインL0上の位置決め移動と、傾斜移動ラインLN上の傾斜移動とで実現される検査動作全体を説明するフローチャートである。最初に、撮影タイミングPiに対応する割込み回数Nを決定すると共に、当該半導体チップ10の典型良品である基準チップの基準画像について特徴パラメータを特定する(ST11)。また、基準チップの良否判定領域である基準範囲について、基準チップの左端からの水平方向の範囲H1/HMAX~H2/HMAXと、上端からの垂直方向の範囲V1/VMAX~V2/VMAXとが特定される。
【0054】
次に、中央制御装置CTLは、保持装置BSを水平移動させて、平面撮影装置HRの真下に、載置面40上の検査ターゲットたる半導体チップ10を位置させた後、水平移動ラインL0上で、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbを、各々の傾斜移動開始位置(第2基準位置Ps)に位置決めする(ST12)。
【0055】
位置決め動作は、例えば、端面撮影装置SLa、端面撮影装置SLbの順番で実行され、水平移動ラインL0において、先ず、端面撮影装置SLaを、第1基準位置Poに移動させた後、第2基準位置Psに移動させる。そして、次に、同じ位置決め移動が、端面撮影装置SLbについて実行させる。なお、図1に示す通り、チップ端面10aに対応して、端面撮影装置SLaが第2基準位置Psに位置決めされ、チップ端面10bに対応して、端面撮影装置SLbが、別の第2基準位置Psに位置決めされる。
【0056】
なお、半導体チップ10を撮影しつつ水平移動する端面撮影装置SLaの位置決め移動時には、端面撮影装置SLbから検査光が照射されないこと、逆に、半導体チップ10を撮影しつつ水平移動する端面撮影装置SLbの移動時には、端面撮影装置SLaから検査光が照射されないことは先に説明した通りである。
【0057】
以上の位置決め動作が終わると、中央制御装置CTLは、SLaエンコーダ割込みと、SLbエンコーダ割込みを許可設定すると共に、制御フラグIa,Ibを共に1に設定し(ST13)、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbのステッピングモータMz,Mzの回転を開始させる。図5(c)(d)に示す通り、先ず、端面撮影装置SLaのステッピングモータMzの回転を開始させ、このステッピングモータMzが、撮影ピッチPiの1/2程度の回転した後に、端面撮影装置SLbのステッピングモータMzの回転を開始させる。
【0058】
ステップST13の処理によって、ステッピングモータMzが所定角度Φ回転する毎に、エンコーダ割込みが起動され、図6(b)又は図6(c)の動作が実行される。なお、SLaエンコーダ割込みと、SLbエンコーダ割込みの処理内容は、先に説明した図5(a)と図5(b)に示す通りである。
【0059】
図6(d)は、図5のステップST4の画像取得タイミングの動作を説明する図面である。画像取得タイミングPia/Pibに達すると、最初に、半導体体チップ10の端面10a,10bを撮影して記憶する(ST41)。次に、半導体チップ10の領域を確定して、半導体チップ10の上面10cから、半導体チップ10の端面10a,10bに至る評価ラインを特定する(ST42)。
【0060】
図1(d)に示す通り、焦点が合っている状態では、半導体チップの上面10cと、端面10a/10bと、が明るく撮影され、その間に、二重線で示す、更に明るい帯部分が検出される。なお、作図の便宜上、帯部分を二重線で示しているが、この帯部分は、上面10cと端面10a/10bとの連結アール部であり、実際には、平坦面10a/10bより明るく輝いている。
【0061】
そして、評価ラインは、この明るい帯部分を検出するために規定される。なお、焦点が合っていない状態では、帯部分が明確には検出されないが、この場合でも、図1(c)に示す通り、「暗い背景」の中に、「明るい捕捉部」が出現するので、「暗い背景」を含んで「明るい捕捉部」を縦に横切るラインが評価ラインとされる。
【0062】
ステップST42の処理に続いて、評価ライン上の明度データについて、移動平均値を算出するなどの平均化処理を実行してノイズを除去し(ST43)、ノイズ処理後のデータを微分処理して、正負のエッジを注出する(ST44)。また、正エッジ又は負エッジに着目して、所定の閾値THに基づいて、正エッジを二値化し、二値化後のパルス波のパルス幅PLを第1評価値として算出する(ST45)。
【0063】
また、算出された第1評価値(パルス幅PL)が、規定値より狭い場合には、図1(d)の二重線で示す部分(すなわち、平坦面10a/10bより明るく輝いている帯部分)が、明確に検出されるか否かの観点で評価ライン上の明度データを評価して第2評価値を算出する(ST45)。この第2評価値は、図1(d)の二重線で示す帯部分が、鮮明か否かを示すパラメータである。
【0064】
次に、この第2評価値を、それまでの評価値ANSと比較し、もし、それまでの評価値より優れている場合には、評価値ANSを、今回の第2評価値に書き換えると共に、この第2評価値に対応する画像番号iを記憶する(ST47)。
【0065】
以上の通り、画像取得タイミングPia/Pib毎に、チップ上面とチップ端面との境界部である帯部分を、明確に特定する可能性のあるパルス幅PLが算出され、最良の第2評価値が、順次、変数ANSに更新される。
【0066】
以上を踏まえて、図5(a)及び図5(b)に示す最終処理(ST7)について説明する。図6(d)に示す通り、最終処理では、その時に記憶されている第2評価値ANSに対応する画像番号iに基づいて、最適な画像が特定される(ST71)。そして、特定された最適画像iについて、背景を除去した上で、必要な特徴パラメータを算出する。
【0067】
続いて、基準画像の特徴パラメータとの比較に基づいて類似度を算出して、当該最適画像iに対応するチップ端面10a.10bについて良否判定し(ST72)、不良品として評価された半導体チップ10については、載置面上の配置位置などが記憶され、その後の必要な処理に委ねられる(ST13)。
【0068】
ところで、ここまでの実施例では、落射型顕微鏡を使用したが、何ら限定されず、透過型顕微鏡を使用するのも好適である。図7は、透過型顕微鏡を活用する実施例を示すもので、透明のガラステーブルTLと、載置面40となる透明フィルム材40と、が積層された保持装置BSが示されている。なお、透明フィルム材40には、多数の半導体チップ10・・・10が、所定の配列隙間Wで、整然と貼着されている。
【0069】
この実施例では、透明のガラステーブルTLの下方に照明部LHが配置されており、照明部LHからの照明光20が、透明フィルム材40の裏面全体を照明している。この照明光20は、半導体チップ10・・・10の裏面で遮光される一方、半導体チップ10・・・10の隙間を透過して、半導体チップ10の左右両端面10a,10bに至る。そして、半導体チップ10の左右両端面10a,10bでの反射光30が、透過型顕微鏡を具備する端面撮影装置SLa,SLbに至ることになる。
【0070】
図8(a)と図8(b)は、端面撮影装置SLaの撮影画像を示している。青色ないし紫色の帯部分は、照明光20の反射面である半導体チップ端面10aを示しており、その上側には、照明光20を遮光する半導体チップ上面10cが黒く映っている。なお、白い部分は、半導体チップ10,10の隙間を透過した照明光によるものである。
【0071】
図8(b)は、半導体チップの配置隙間Wが、図7の左右方向に狭い場合の撮影画像である。そのため、図8(b)の下方には、図7において検査ターゲットとなる半導体チップ10の左側の半導体チップ10の上面10cが黒く映っている。なお、図8(a)と図8(b)では、配列隙間Wだけでなく、傾斜角度θや、顕微鏡倍率も同じでなく、半導体チップ端面10aの厚みは同じでない。
【0072】
本実施例によれば、配列隙間Wを狭く設定できるだけでなく、チップ上面10cとチップ端面10a/10bとの境界ラインを明確に把握できるので、良否判定領域の確定が容易であり、高精度の良否判定が可能となる。また、端面撮影装置SLaと、端面撮影装置SLbとを時間順次の動作させる必要もなく、且つ、照明光のON/OFF制御も不要であり、常時点灯状態で足りる利点がある。なお、画像取得タイミングPia/Pib毎に、半導体体チップ10の端面10a,10bを撮影すること、評価ライン上のデータに基づいて最適画像を選択すること、その他は、他の実施例と同じである。
【0073】
以上、実施例について具体的に説明したが、具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱することなく、適宜に変更可能である。例えば、実施例では、端面撮影装置SLaと端面撮影装置SLbの移動中にチップ端面を撮影したが、一時停止状態でチップ端面を撮影しても良い。また、最小パルス幅PLを検出する方法も、図6に示す逐次動作に限定されず、例えば、必要枚数の画像を全て取得して保存した後、各画像についてエッジ抽出を行い、最適画像を選択するバッチ処理も好適である。
【0074】
なお、図5の実施例では、説明の便宜上、ロータリーエンコーダの出力パルスに基づいて、ステッピングモータMzの回転角度や回転数を把握したが、この構成は必須ではない。例えば、ロータリーエンコーダを使用することなく、ステッピングモータMzを回転駆動する駆動パルスをカウントすることで、ステッピングモータMzの回転角度や回転数を把握しても良いのは勿論である。また、説明の便宜上、上記の実施例では、図5に示す割込み処理を採用したが、何ら限定されず、中央制御装置CTLが、端面撮影装置SLa,SLbのステッピングモータMz,Mzの駆動パルスをサンプリングすれば、割込み処理によることなく、同様の処理を実現することができる。
【0075】
なお、図8の実施例では、二つの端面撮影装置SLa,SLbが、同時タイミングを含む、任意のタイミングで水平移動や傾斜移動を開始して良いこと、及び、各々、任意のタイミングで撮影動作を実行して良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
HR 平面撮影装置
SLa,SLb 端面撮影装置
Po 第1基準位置
Ps 第2基準位置
CTL 動作制御装置(中央制御装置)
【要約】      (修正有)
【課題】より正確な検査を、より迅速に実現する検査装置を提供する。
【解決手段】半導体チップのチップ上面10cを撮影する平面撮影装置HRと、チップ端面10a,10bを撮影する端面撮影装置SLa,SLbと、端面撮影装置SLa,SLbを第1基準位置P0に位置決めした後、移動中の撮影画像を評価して第2基準位置Psで停止させ、その後、端面撮影装置SLa,SLbを半導体チップ10に向けて傾斜移動させつつチップ端面10a,10bを繰り返し撮影させる動作制御装置CTLと、を有する。複数の撮影画像は、チップ上面10cとチップ端面10a,10bを接続する部分を鮮明に検出できるかの観点から評価され、最適画像が決定される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8